1 00:00:03,276 --> 00:00:06,313 ・~ 2 00:00:06,313 --> 00:00:11,418 今から半世紀前の 1970年。 3 00:00:11,418 --> 00:00:16,323 6, 000万人を集めた 大阪万博。 4 00:00:16,323 --> 00:00:23,023 人々が豊かさに酔いしれた その年に 事件は起きた。 5 00:00:38,345 --> 00:00:44,217 作家 三島由紀夫が 4人の学生と共に乱入。 6 00:00:44,217 --> 00:00:49,217 人質をとり 自衛隊に決起を訴えた。 7 00:00:57,197 --> 00:01:00,997 大演説を打った その直後…。 8 00:01:07,841 --> 00:01:11,645 まさかの割腹自殺。 9 00:01:11,645 --> 00:01:17,245 世界的作家の身に 何が起きていたのか。 10 00:01:19,019 --> 00:01:36,319 ・~ 11 00:01:39,005 --> 00:01:43,677 世界に誇る文豪 三島由紀夫。 12 00:01:43,677 --> 00:01:46,179 皆さんも きっと 彼の小説を・ 13 00:01:46,179 --> 00:01:48,882 読んだことがあるのでは ないでしょうか。 14 00:01:48,882 --> 00:01:56,356 「金閣寺」 「潮騒」など 数々の名作を残した小説家。 15 00:01:56,356 --> 00:01:59,356 それが三島由紀夫です。 16 00:02:02,295 --> 00:02:07,067 でも三島の顔は それだけではありません。 17 00:02:07,067 --> 00:02:13,306 自分の肉体を とことんまで鍛え上げた三島。 18 00:02:13,306 --> 00:02:17,944 自衛隊に体験入隊した三島。 19 00:02:17,944 --> 00:02:22,882 演技者として 映画にも出演した三島。 20 00:02:22,882 --> 00:02:28,989 本名 平岡公威という 素顔の三島。 21 00:02:28,989 --> 00:02:35,261 そして 彼の最期の装いは これでした。 22 00:02:35,261 --> 00:02:42,161 自ら設立した 「楯の会」隊長の三島由紀夫。 23 00:02:43,837 --> 00:02:49,476 あの時あの場所で 自らの手で 45歳の生涯を閉じたのは・ 24 00:02:49,476 --> 00:02:53,276 果たして どの三島由紀夫だったのでしょうか? 25 00:02:55,181 --> 00:03:00,687 三島は デビュー当時から 異彩を放っていた。 26 00:03:00,687 --> 00:03:03,289 「仮面の告白」。 27 00:03:03,289 --> 00:03:10,430 24歳で書いた2作目の小説は 同性愛の世界を描き話題に。 28 00:03:10,430 --> 00:03:15,430 一躍 戦後日本を代表する作家に のぼり詰めた。 29 00:03:17,137 --> 00:03:23,337 その後も 「金閣寺」や「潮騒」など ベストセラーを量産。 30 00:03:25,011 --> 00:03:28,148 海外でも数多く翻訳され・ 31 00:03:28,148 --> 00:03:33,648 30代にして ノーベル文学賞の候補となった。 32 00:03:37,424 --> 00:03:40,927 日本文学っていうものが 私は どうしても 今まで この・ 33 00:03:40,927 --> 00:03:46,332 1つの島の孤立した言語の中で 営まれてた世界だと思いますし。 34 00:03:46,332 --> 00:03:51,432 国内外問わず その発言は注目を集めた。 35 00:03:54,207 --> 00:03:59,879 小説だけでなく戯曲も書き 映画にも出た。 36 00:03:59,879 --> 00:04:06,379 ・~ 37 00:04:08,121 --> 00:04:11,825 ボディビルで肉体を鍛えたかと思えば・ 38 00:04:11,825 --> 00:04:16,296 今度は自衛隊へ体験入隊。 39 00:04:16,296 --> 00:04:20,596 やることなすこと 全てが型破り。 40 00:04:23,169 --> 00:04:26,840 「最もダンディーな男」の ランキングでは・ 41 00:04:26,840 --> 00:04:31,840 各界のスターを抑え 堂々の1位。 42 00:04:33,980 --> 00:04:36,883 知性と行動力を併せ持つ・ 43 00:04:36,883 --> 00:04:42,183 まさに ジャンルを超えた 時代のスーパースターだった。 44 00:04:44,991 --> 00:04:49,929 そんな三島の 突然の自決。 45 00:04:49,929 --> 00:04:54,029 あの日 一体何があったのか。 46 00:04:55,702 --> 00:04:57,702 運命の分岐点は… 47 00:05:04,944 --> 00:05:07,981 その日 よく晴れた秋の空には・ 48 00:05:07,981 --> 00:05:12,418 新聞社のヘリコプターが 飛び交っていました。 49 00:05:12,418 --> 00:05:18,224 東京 市ヶ谷の自衛隊駐屯地に 三島由紀夫と 「楯の会」が乗り込み・ 50 00:05:18,224 --> 00:05:21,427 大事件を引き起こしたからです。 51 00:05:21,427 --> 00:05:28,268 三島たちは 自衛隊トップの一人 東部方面総監を人質にとりました。 52 00:05:28,268 --> 00:05:32,168 その現場が こちらです。 53 00:05:34,440 --> 00:05:40,246 三島と「楯の会」の4名が 刃物で総監を拘束しています。 54 00:05:40,246 --> 00:05:43,946 ドアの前には バリケードが築かれました。 55 00:05:45,652 --> 00:05:53,526 しかし数分後 異変を察した自衛官たちが 総監の救出を試みます。 56 00:05:53,526 --> 00:05:57,263 バリケードを破り 総監室へ突入。 57 00:05:57,263 --> 00:06:00,463 三島たちと もみ合いになりました。 58 00:06:02,101 --> 00:06:07,874 そして三島は… 日本刀で自衛官に斬りつけます。 59 00:06:07,874 --> 00:06:10,476 第1の視点は・ 60 00:06:10,476 --> 00:06:14,876 この時 三島に斬られた… 61 00:06:18,218 --> 00:06:24,090 三島の死の直前 総監室では何が起きていたのか。 62 00:06:24,090 --> 00:06:27,790 極限状態の アナザーストーリーです。 63 00:06:34,133 --> 00:06:37,333 防衛省の中枢… 64 00:06:42,308 --> 00:06:47,146 およそ1万人の自衛官を擁する 敷地の一角に・ 65 00:06:47,146 --> 00:06:53,646 事件の舞台となった建物の一部が 資料館として残されている。 66 00:07:06,933 --> 00:07:11,433 当時 自衛官として働いていた… 67 00:07:15,108 --> 00:07:20,808 あの日 直接 三島と渡り合った。 68 00:07:25,752 --> 00:07:32,952 三島は 自衛隊トップの一人 東部方面総監のもとを訪れていた。 69 00:07:35,962 --> 00:07:41,134 かねてより国防問題に 深い関心を寄せていた三島。 70 00:07:41,134 --> 00:07:43,803 体験入隊を通じて・ 71 00:07:43,803 --> 00:07:48,603 自衛隊とは親密な関係を築いていた。 72 00:07:50,310 --> 00:07:57,183 自ら結成した 「楯の会」の学生を連れ 駐屯地に出入りするのも・ 73 00:07:57,183 --> 00:07:59,983 いつものことだった。 74 00:08:01,821 --> 00:08:06,592 寺尾たちも 通常の任務に就いていた。 75 00:08:06,592 --> 00:08:08,892 ところが…。 76 00:08:23,042 --> 00:08:27,780 寺尾がいた会議室と総監室は 同じフロア。 77 00:08:27,780 --> 00:08:32,980 事態を把握しようと 仲間と両サイドのドアへ向かった。 78 00:08:34,554 --> 00:08:36,854 だが…。 79 00:08:55,641 --> 00:08:58,544 寺尾の目に飛び込んできたのは…。 80 00:08:58,544 --> 00:09:01,344 この辺に来たら… 81 00:09:11,124 --> 00:09:16,763 総監を拘束していたのは 「楯の会」の学生。 82 00:09:16,763 --> 00:09:20,633 三島は奥の入り口にいたが 薄暗く・ 83 00:09:20,633 --> 00:09:24,433 確かな様子は つかめなかった。 84 00:09:31,911 --> 00:09:34,311 木刀に見えたわけ 僕はね。 85 00:09:40,953 --> 00:09:46,292 寺尾は 学生が持っている短刀を 奪いにかかった。 86 00:09:46,292 --> 00:09:50,630 その時 背後から やって来たのが…・ 87 00:09:50,630 --> 00:09:53,166 三島だった。 88 00:09:53,166 --> 00:09:55,666 今度 三島由紀夫が こっちへ来て… 89 00:10:02,308 --> 00:10:08,508 三島が持っていたのは 木刀ではなく 日本刀だった。 90 00:10:10,817 --> 00:10:13,453 傷の長さ 30センチ。 91 00:10:13,453 --> 00:10:18,858 深さは ろっ骨にまで及んでいた。 92 00:10:18,858 --> 00:10:23,062 寺尾君はね 一番最初に…。 93 00:10:23,062 --> 00:10:29,462 高橋は この木刀で 三島に立ち向かった。 94 00:10:41,013 --> 00:10:44,913 まあ ここで やってる時は 無我夢中ですからね。 95 00:10:53,192 --> 00:10:58,998 木刀に刻まれた 刀傷。 96 00:10:58,998 --> 00:11:06,298 自衛官たちは 三島の太刀筋から あることを感じ取っていた。 97 00:11:10,243 --> 00:11:12,343 もう こういう格好だからね… 98 00:11:16,649 --> 00:11:21,154 三島に 殺意はなかった。 99 00:11:21,154 --> 00:11:26,526 もみ合いの末 9人の自衛官が負傷。 100 00:11:26,526 --> 00:11:31,826 目的は 何だったのか。 101 00:11:35,001 --> 00:11:41,001 事件を伝えるマスコミでも 情報が錯綜していた。 102 00:12:00,026 --> 00:12:03,796 ああ これね これですね。 もう50年前だもんね。 103 00:12:03,796 --> 00:12:07,596 当時 駆け出しのラジオ記者だった… 104 00:12:09,302 --> 00:12:12,802 取材をしようと駆けつけた。 105 00:12:16,175 --> 00:12:18,644 インタビューか何か とれるかなということで・ 106 00:12:18,644 --> 00:12:21,981 マイクを持って ず~っと こっちに近づいて・ 107 00:12:21,981 --> 00:12:24,281 要するにインタビューしようかなと 思った時に… 108 00:12:35,461 --> 00:12:39,861 みんなも こうやって上を見ながら ぽかんとしてですね… 109 00:12:42,235 --> 00:12:45,137 なぜ三島由紀夫なのかというのは 誰も分からなかったですね。 110 00:12:45,137 --> 00:12:52,637 三島のねらいが明らかになるのに 時間は かからなかった。 111 00:12:54,680 --> 00:12:56,616 正午前。 112 00:12:56,616 --> 00:13:01,354 三島は自衛隊に 要求書を突きつけた。 113 00:13:01,354 --> 00:13:06,554 その内容に 辺りは 騒然となった。 114 00:13:08,427 --> 00:13:16,168 市ヶ谷の自衛官を本館前に集合させ 三島の演説を清聴させること。 115 00:13:16,168 --> 00:13:18,170 そして…。 116 00:13:18,170 --> 00:13:21,440 「右条件が守られず・ 117 00:13:21,440 --> 00:13:24,310 あるいは そのおそれが ある時は・ 118 00:13:24,310 --> 00:13:29,810 ただちに総監を 殺害して 自決する」。 119 00:13:33,319 --> 00:13:39,125 有名作家が自衛隊を巻き込んだ 前代未聞の大事件。 120 00:13:39,125 --> 00:13:47,425 総監部の前には およそ1, 000人の自衛官 警察やマスコミも駆けつけた。 121 00:13:51,737 --> 00:13:54,340 この こうやって掲げてるのが 私だと思いますけど。 122 00:13:54,340 --> 00:13:56,676 マイクを上に上げてるのが。 123 00:13:56,676 --> 00:14:01,347 三島は 一体何を訴えるのか? 124 00:14:01,347 --> 00:14:05,847 三木は 三島にマイクを向けた。 125 00:14:19,432 --> 00:14:23,032 (ヘリコプターの飛来音) 126 00:14:27,306 --> 00:14:31,644 ヘリコプターの騒音に かき消される演説。 127 00:14:31,644 --> 00:14:37,344 そんな中 三島は自衛隊への思いを叫んだ。 128 00:14:53,866 --> 00:14:55,866 おりてこい! おりてこい! 129 00:15:02,641 --> 00:15:06,278 (取材者)批判されてるから? 130 00:15:06,278 --> 00:15:09,078 あとから来た人は… 131 00:15:13,986 --> 00:15:15,921 上はヘリコプターが…・ 132 00:15:15,921 --> 00:15:19,625 下では野次の怒号が 声も大きくなってきて。 133 00:15:19,625 --> 00:15:23,796 演説開始から およそ8分。 134 00:15:23,796 --> 00:15:28,396 三島は 最後の言葉を投げかけた。 135 00:15:32,805 --> 00:15:36,905 (怒号) 136 00:15:52,658 --> 00:15:57,858 そう言い放つと 総監室に戻った三島は…。 137 00:15:59,999 --> 00:16:07,199 「楯の会」森田必勝と共に 割腹自殺を遂げた。 138 00:16:14,647 --> 00:16:29,962 ・~ 139 00:16:29,962 --> 00:16:33,462 その時も一種の なんていうかな 夢というか… 140 00:16:44,443 --> 00:16:47,943 なぜ彼は死を選んだんだ というふうに思いながら… 141 00:16:51,217 --> 00:16:59,325 この日 三島と行動を共にした 「楯の会」の会員は4人。 142 00:16:59,325 --> 00:17:06,425 それ以外は 駐屯地横の市ヶ谷会館に集まっていた。 143 00:17:08,934 --> 00:17:13,934 およそ30名が 何も知らされずに…。 144 00:17:20,279 --> 00:17:27,779 三島が 愛国主義の学生ら およそ100人を集めて つくった組織だ。 145 00:17:29,421 --> 00:17:35,227 きっかけは 彼らから原稿を 依頼されたことだった。 146 00:17:35,227 --> 00:17:43,227 国を思う熱意に感銘を受けた三島は 以後 行動を共にした。 147 00:17:46,639 --> 00:17:55,639 当時の日本は 学生 労働者による 反体制運動の嵐が吹き荒れていた。 148 00:17:57,283 --> 00:18:01,153 彼らとは正反対の思想を掲げた三島。 149 00:18:01,153 --> 00:18:08,394 「楯の会」の会員と 自衛隊に体験入隊を重ね・ 150 00:18:08,394 --> 00:18:12,594 非常時に備えての訓練に打ち込んだ。 151 00:18:14,199 --> 00:18:19,772 あの日も 月に1度の例会が 開かれるはずだったが・ 152 00:18:19,772 --> 00:18:24,072 三島は現れなかった。 153 00:18:31,483 --> 00:18:35,254 テーブルが多分 こういうふうに並んでたと…。 154 00:18:35,254 --> 00:18:38,554 異変に気付いたのは…。 155 00:18:42,728 --> 00:18:48,500 バタバタ バタバタ バタバタっていう音が ず~っと聞こえてましたからね。 156 00:18:48,500 --> 00:18:51,000 いや これは… 157 00:19:01,180 --> 00:19:05,584 (取材者)誰かが。 誰かが入れた。 「ラジオだ」つってね。 158 00:19:05,584 --> 00:19:09,584 そこで 事のあらましっていうか… 159 00:19:14,093 --> 00:19:18,263 なかなか うまく言葉に言えないね。 160 00:19:18,263 --> 00:19:23,763 う~ん だって そんな… 161 00:19:31,276 --> 00:19:37,476 篠原たちは 警察の指示のもと 外へ。 162 00:19:39,151 --> 00:19:43,856 結局 彼らは機動隊に阻まれ・ 163 00:19:43,856 --> 00:19:48,356 三島のもとに駆けつけることは かなわなかった。 164 00:19:50,129 --> 00:19:57,870 多くの会員たちには明かさぬまま 決死の行動に出た三島。 165 00:19:57,870 --> 00:20:03,570 その最後の言葉を聞いたのは 監禁されていた… 166 00:20:14,753 --> 00:20:17,853 「自分としては もう…」 167 00:20:21,460 --> 00:20:25,931 「これが終わったら 腹切って死にます」と。 168 00:20:25,931 --> 00:20:29,802 「仕方がなくなったんだ」。 169 00:20:29,802 --> 00:20:36,502 その言葉を遺して 三島由紀夫は割腹した。 170 00:20:39,545 --> 00:20:47,186 さまざまな人を巻き込み 衝撃的な死を選んだ 三島由紀夫。 171 00:20:47,186 --> 00:20:50,222 三島の最後の演説を録音したのは・ 172 00:20:50,222 --> 00:20:54,022 文化放送の記者だった 三木明博でした。 173 00:20:55,861 --> 00:20:59,832 三木が 三島由紀夫を見たのは それが2度目。 174 00:20:59,832 --> 00:21:04,403 1度目は 意外な場所で出会っています。 175 00:21:04,403 --> 00:21:10,809 この事件の1年半前 東京大学のキャンパスで行われた・ 176 00:21:10,809 --> 00:21:15,309 三島由紀夫 対 東大全共闘の 討論の場でした。 177 00:21:17,983 --> 00:21:25,357 21歳の三木は そこで 鮮烈な印象を心に刻みました。 178 00:21:25,357 --> 00:21:29,257 第2の視点は… 179 00:21:31,997 --> 00:21:37,903 運命的な2度の出会いを通じて 三島の死を考え続けてきた男の・ 180 00:21:37,903 --> 00:21:40,003 アナザーストーリーです。 181 00:21:42,474 --> 00:21:45,844 (三島)「諸君の中に 一人でも 俺と一緒に起つやつはいないのか」。 182 00:21:45,844 --> 00:21:50,349 (怒号) 183 00:21:50,349 --> 00:21:53,349 (自衛官)「おりてこい!」。 184 00:21:58,223 --> 00:22:03,295 最後はもう 自衛官の声だけですよね。 185 00:22:03,295 --> 00:22:06,198 だから非常に 聞き取りにくい部分もあるし・ 186 00:22:06,198 --> 00:22:09,398 明瞭に聞こえる部分もあるんですけど… 187 00:22:11,804 --> 00:22:13,804 彼が前に出て しゃべって。 188 00:22:19,144 --> 00:22:21,814 それで最初に入ったのが 報道部だったんで・ 189 00:22:21,814 --> 00:22:25,014 いきなり こういうことに出会ったので 大変 まあ… 190 00:22:28,987 --> 00:22:33,158 ラジオ局に就職する前 三木は・ 191 00:22:33,158 --> 00:22:38,858 学生運動の真っただ中で 初めて三島と会った。 192 00:22:46,171 --> 00:22:50,671 現状に 「NO!」を突きつける学生たち。 193 00:22:52,344 --> 00:23:00,144 その運動は 大学当局や 機動隊との衝突も辞さなかった。 194 00:23:03,288 --> 00:23:08,927 それは 特定の政治信条を持たない 若者をも巻き込む・ 195 00:23:08,927 --> 00:23:12,927 大きなムーブメントとなっていた。 196 00:23:15,300 --> 00:23:23,100 早稲田大学に通う演劇青年だった 三木も そんな一人だった。 197 00:23:29,848 --> 00:23:33,719 まあ半分 粋がってるところも あったんでしょうけども。 198 00:23:33,719 --> 00:23:41,019 先輩に誘われて参加した 東大全共闘の集会。 199 00:23:42,828 --> 00:23:47,332 そこに単身 乗り込んできたのが…・ 200 00:23:47,332 --> 00:23:52,204 右翼系の作家と見られていた 三島だった。 201 00:23:52,204 --> 00:23:55,204 (三木)どちらかというと… 202 00:24:05,284 --> 00:24:11,484 敵陣に姿を見せた三島は 何を語ったのか。 203 00:24:13,959 --> 00:24:21,059 三島が「楯の会」を立ち上げたのは 1968年。 204 00:24:23,201 --> 00:24:30,701 人々は高度経済成長を謳歌し バラ色の未来を夢みていた。 205 00:24:33,845 --> 00:24:39,445 三島は そんな日本に 強い違和感を示した。 206 00:25:09,414 --> 00:25:14,720 守るべきは 経済至上主義の日本ではなく・ 207 00:25:14,720 --> 00:25:22,020 神としての天皇を中心とする 精神文化の国 日本。 208 00:25:23,729 --> 00:25:30,068 三島は著書を通じて 独特の愛国思想を語っていた。 209 00:25:30,068 --> 00:25:38,777 その三島が 正反対の思想を持つ 全共闘の前に 単身現れた。 210 00:25:38,777 --> 00:25:43,077 そして 驚くべきことを言い放った。 211 00:25:54,326 --> 00:25:57,626 (笑い声) 212 00:25:59,998 --> 00:26:02,467 (三島)常々 言ってることである。 213 00:26:02,467 --> 00:26:08,040 まさかの発言に 会場は沸いた。 214 00:26:08,040 --> 00:26:10,240 三島由紀夫も… 215 00:26:20,685 --> 00:26:23,785 最初のうちは 我々も騒然としてたんですけども… 216 00:26:32,364 --> 00:26:38,036 (笑い声と拍手) 217 00:26:38,036 --> 00:26:45,136 最後の時には学生の代表の人間が 出てきて 三島に対して… 218 00:27:01,827 --> 00:27:05,464 一緒に見てた 少なくとも私はですね なんか・ 219 00:27:05,464 --> 00:27:07,699 ちょっと熱くなるのを感じましたね。 220 00:27:07,699 --> 00:27:10,399 特に やっぱり… 221 00:27:21,213 --> 00:27:24,983 こんなの予想してなかった。 ハハハハハ! 222 00:27:24,983 --> 00:27:29,483 討論会を主催した… 223 00:27:57,883 --> 00:28:05,683 三島は この集会で 後の決起を予感させる言葉を残している。 224 00:28:47,232 --> 00:28:51,032 三島と行動を共にしていた… 225 00:28:54,639 --> 00:29:00,312 支給された制服を 今も大切に保管している。 226 00:29:00,312 --> 00:29:03,114 (原)こちらが冬服ですかね。・ 227 00:29:03,114 --> 00:29:06,751 これは いわゆる夏服ということで。・ 228 00:29:06,751 --> 00:29:12,351 デパートの立派な所で 採寸しましたんでね。 229 00:29:19,331 --> 00:29:21,531 ええ。 サイズまで… 230 00:29:26,171 --> 00:29:29,674 100名分をオーダーメード。 231 00:29:29,674 --> 00:29:35,480 「楯の会」の費用は 全て三島が負担した。 232 00:29:35,480 --> 00:29:38,080 全体の名簿で。 233 00:29:40,318 --> 00:29:43,221 森田班 倉持班…。 234 00:29:43,221 --> 00:29:50,021 「楯の会」の目的は 左翼勢力から日本を守ることだった。 235 00:30:01,506 --> 00:30:04,106 そういう時代です。 236 00:30:08,847 --> 00:30:11,616 私ら大嫌いですから そういうのは。 (取材者)そうなんですか。 237 00:30:11,616 --> 00:30:13,816 嫌いですよ。 238 00:30:18,390 --> 00:30:21,690 日本にはないから そういうのは。 239 00:30:23,728 --> 00:30:28,028 自衛隊にしたって… 240 00:30:31,836 --> 00:30:36,007 「日本を守るため」。 241 00:30:36,007 --> 00:30:42,307 自衛隊で訓練を重ねた三島たちには 目指す日があった。 242 00:30:54,292 --> 00:31:00,398 前年のこの日 「新宿騒乱」と呼ばれる事件が起きた。 243 00:31:00,398 --> 00:31:06,398 全国から およそ4, 500人のデモ隊が集結。 244 00:31:09,808 --> 00:31:18,608 新宿駅に乱入し 投石や放火で 交通機能はマヒ状態に陥った。 245 00:31:20,819 --> 00:31:27,625 69年の国際反戦デーは 更なる混乱が予想され・ 246 00:31:27,625 --> 00:31:31,625 警察は厳戒態勢を敷いていた。 247 00:31:34,966 --> 00:31:37,836 三島のねらいは こうだ。 248 00:31:37,836 --> 00:31:44,609 現在の平和憲法の下では 自衛隊の出動は許されない。 249 00:31:44,609 --> 00:31:49,280 だが 警察が左翼勢力に敗れた時・ 250 00:31:49,280 --> 00:31:54,680 国は 自衛隊の武力に 頼らざるをえないだろう。 251 00:31:57,956 --> 00:32:02,894 その時こそ 憲法改正の声も高まり・ 252 00:32:02,894 --> 00:32:05,597 道も開ける。 253 00:32:05,597 --> 00:32:13,697 「楯の会」は 国防のため 自衛隊と共に戦える… はずだった。 254 00:32:16,241 --> 00:32:21,079 しかし 三島のもくろみは外れた。 255 00:32:21,079 --> 00:32:25,950 機動隊によって暴動は鎮圧。 256 00:32:25,950 --> 00:32:32,350 1, 400人を越す検挙者を出して 事は終息したのだ。 257 00:32:35,326 --> 00:32:41,626 三木も 友人とデモに参加し 危うく逃れた。 258 00:32:50,675 --> 00:32:53,611 ちょっと大学に行かなくて。 259 00:32:53,611 --> 00:32:56,911 ワタナベっていうのは… 260 00:32:58,550 --> 00:33:01,850 「どうしたんだ?」って言ったら 「そのあと西口に逃げたら」… 261 00:33:06,691 --> 00:33:09,891 「もう一人のあいつ どうしたんだろうな」 って あとで聞いたら… 262 00:33:21,506 --> 00:33:25,109 逆の立場で 報道する立場に 入ってしまったんですけども。 263 00:33:25,109 --> 00:33:29,509 そして三島は…。 264 00:33:37,188 --> 00:33:44,788 まあ がっかりされたような印象は ありましたね。 265 00:33:48,333 --> 00:33:53,838 …というふうに変わっていくっていう…。 266 00:33:53,838 --> 00:33:56,538 それは もう… 267 00:34:00,979 --> 00:34:03,179 もう それしか方法はないと。 268 00:34:06,284 --> 00:34:13,992 そして1年後 1970年11月25日。 269 00:34:13,992 --> 00:34:21,892 三島は 「楯の会」の学生4人と共に 市ヶ谷へと向かった。 270 00:35:35,974 --> 00:35:41,674 その象徴として 天皇あるいは天皇制 ということを言ってたので。 271 00:35:47,185 --> 00:35:51,055 そういう点でいくと 若者たちもですね 基本的には・ 272 00:35:51,055 --> 00:35:56,055 自分を愛する人がいたり 家族がいたり それでも… 273 00:36:04,469 --> 00:36:07,905 ああいう全共闘運動みたいなものが・ 274 00:36:07,905 --> 00:36:12,105 燎原の火のごとく 各大学に広まってった中で… 275 00:36:15,413 --> 00:36:20,013 私は ましてや そのことを 生で聞いたりしてる人間なんで… 276 00:36:26,491 --> 00:36:29,694 三島由紀夫の割腹自殺。 277 00:36:29,694 --> 00:36:35,933 それは 日本中にショックを与えた 大事件でした。 278 00:36:35,933 --> 00:36:39,533 ニュースは世界中を駆け巡りました。 279 00:36:41,739 --> 00:36:43,839 アメリカでは… 280 00:36:46,244 --> 00:36:48,344 旧ソビエトでは… 281 00:36:51,983 --> 00:36:53,983 イギリスでは… 282 00:36:57,555 --> 00:37:02,694 しかし これが 三島の本意だったのでしょうか? 283 00:37:02,694 --> 00:37:07,565 「いや そうではない」と言う 人物がいます。 284 00:37:07,565 --> 00:37:10,865 第3の視点は… 285 00:37:13,938 --> 00:37:17,809 あの日の朝 三島本人から 市ヶ谷に呼び出され・ 286 00:37:17,809 --> 00:37:22,947 重要なメッセージを 託されていました。 287 00:37:22,947 --> 00:37:27,385 最後の日まで三島を取材した 記者だけが知る・ 288 00:37:27,385 --> 00:37:29,785 アナザーストーリーです。 289 00:37:34,025 --> 00:37:40,425 あの日の朝 三島は 一人の男を呼び出していた。 290 00:38:10,795 --> 00:38:16,601 徳岡は市ヶ谷会館で 思わぬ光景に遭遇する。 291 00:38:16,601 --> 00:38:20,304 (徳岡) 市ヶ谷会館のバルコニーに出てみたら・ 292 00:38:20,304 --> 00:38:25,604 パトカーが猛烈な勢いで 坂道を上がってきたんですよね。 293 00:38:44,295 --> 00:38:50,735 入っていたのは 手紙と 演説の趣旨が書かれた檄文。 294 00:38:50,735 --> 00:38:58,242 計画が失敗した時のためにと 三島が託したものだった。 295 00:38:58,242 --> 00:39:01,078 (取材者)「…用中を顧みず おいで頂いたのは・ 296 00:39:01,078 --> 00:39:05,016 事柄が 自衛隊内部で起きるため…」。 297 00:39:05,016 --> 00:39:09,587 (徳岡)そう。 もみ消しを恐れて あらかじめ差し上げるのですと。 298 00:39:09,587 --> 00:39:12,287 例えばですね… 299 00:39:36,280 --> 00:39:43,080 これほど重要な役割を なぜ徳岡に任せたのか。 300 00:39:46,724 --> 00:39:54,131 徳岡が三島に初めて会ったのは 事件の3年半前。 301 00:39:54,131 --> 00:40:01,731 自衛隊での体験入隊を終えた三島を 取材した時のことだった。 302 00:40:03,407 --> 00:40:07,245 (取材者)一雑誌記者として その時の 三島さんを取材するっていうのは・ 303 00:40:07,245 --> 00:40:09,945 魅力的だったんですか? 304 00:40:15,953 --> 00:40:18,053 変わってましただけじゃなくて… 305 00:40:30,234 --> 00:40:33,671 …ということを 繰り返してるんですよ。 306 00:40:33,671 --> 00:40:39,176 三島は 小説「英霊の聲」で・ 307 00:40:39,176 --> 00:40:44,682 敗戦後 「人間宣言」をした昭和天皇を批判。 308 00:40:44,682 --> 00:40:50,282 タブーに踏み込んだ姿勢が 論議を呼んでいた。 309 00:40:52,123 --> 00:40:58,362 その後の自衛隊への体験入隊も 世間を ざわつかせた。 310 00:40:58,362 --> 00:41:01,599 どれほどの曲者なのか。 311 00:41:01,599 --> 00:41:09,499 心して三島の家に向かった徳岡だが その素顔は 意外なものだった。 312 00:41:31,028 --> 00:41:33,328 三島さん… 313 00:41:35,032 --> 00:41:41,132 そこで徳岡 少し意地悪な質問で揺さぶりをかけた。 314 00:42:00,691 --> 00:42:02,626 ハハハッ。 315 00:42:02,626 --> 00:42:05,296 だが一方で…。 316 00:42:05,296 --> 00:42:07,396 転げ回って笑ってですね… 317 00:42:15,806 --> 00:42:20,306 …って僕が言うたら三島さん なお笑うてですね 文字どおり… 318 00:42:22,680 --> 00:42:29,987 物おじせず ぶしつけな質問をする 関西弁の雑誌記者。 319 00:42:29,987 --> 00:42:35,987 三島は そんな徳岡に 徐々に心を開いていった。 320 00:42:39,363 --> 00:42:43,300 自決の3年前。 321 00:42:43,300 --> 00:42:49,100 三島が タイ バンコクに 滞在していた時のこと。 322 00:42:51,542 --> 00:42:58,149 海外特派員としてバンコクにいた徳岡は 三島を訪ねた。 323 00:42:58,149 --> 00:43:00,149 というのも…。 324 00:43:01,852 --> 00:43:04,152 (徳岡)当時 電報やったんですよね。 325 00:43:12,797 --> 00:43:14,765 …という電報が来たんですよ。 326 00:43:14,765 --> 00:43:22,165 「何をとるまで待たないかんねん」 というのは 僕のあれでね それで… 327 00:43:25,376 --> 00:43:33,551 当時の三島は 「日本人初のノーベル文学賞 最有力」と言われていた。 328 00:43:33,551 --> 00:43:35,486 その評判は・ 329 00:43:35,486 --> 00:43:40,324 海外の有名雑誌に 特集されるほど。 330 00:43:40,324 --> 00:43:45,729 徳岡は 前もって三島の受賞コメント・ 331 00:43:45,729 --> 00:43:50,601 いわゆる 「予定談話」を もらっておきたかった。 332 00:43:50,601 --> 00:43:53,901 僕がステーキハウス行ったら 三島さんが… 333 00:44:04,482 --> 00:44:07,485 僕は それで そのアメリカ観光客の後ろへ回って・ 334 00:44:07,485 --> 00:44:11,355 こうやって こうやって 三島さんに信号を送ったんですよ。 335 00:44:11,355 --> 00:44:17,928 そうして やっと 三島に気付いてもらった徳岡。 336 00:44:17,928 --> 00:44:22,328 予定談話を依頼すると 三島は…。 337 00:44:39,083 --> 00:44:43,283 (徳岡)しかし そりゃ誰だって その気になってきますよ。 338 00:44:48,159 --> 00:44:55,359 三島は 周囲の期待を避けるために 日本を離れていた。 339 00:44:57,668 --> 00:45:02,806 翌年 ノーベル文学賞 発表の日。 340 00:45:02,806 --> 00:45:07,906 日本人で初めての受賞者が生まれた。 341 00:45:11,515 --> 00:45:15,915 三島が師と仰ぎ 慕っていた文豪だった。 342 00:45:17,454 --> 00:45:23,060 三島も早速 祝いに駆けつけた。 343 00:45:23,060 --> 00:45:31,260 川端さんの文学がノーベル賞を受賞された ということは すなわち端的に… 344 00:45:34,805 --> 00:45:37,105 私どもは… 345 00:45:42,846 --> 00:45:49,253 「日本文学が世界に認められたことが 一番うれしい」。 346 00:45:49,253 --> 00:45:54,225 自決の2年前の言葉だ。 347 00:45:54,225 --> 00:46:00,125 (徳岡)しかし 僕は 三島さん自身も とる自信はあったと思いますよ。 348 00:46:12,776 --> 00:46:17,748 徳岡とは違う見方をする人物がいる。 349 00:46:17,748 --> 00:46:20,184 (平野)想像してたより小さいですね。 350 00:46:20,184 --> 00:46:23,153 やっぱり下から あおりで撮ってる 写真を よく見てたから。 351 00:46:23,153 --> 00:46:31,153 「三島の再来」と呼ばれ その文学を熟知する芥川賞作家… 352 00:46:47,645 --> 00:46:52,149 平野は 三島の行動を考えるには・ 353 00:46:52,149 --> 00:46:57,149 青年時代にまで遡る必要があるという。 354 00:46:58,822 --> 00:47:02,622 やっぱり戦後 その… 355 00:47:05,629 --> 00:47:08,632 一種の「サバイバーズ・ギルト」に 似たような思いを・ 356 00:47:08,632 --> 00:47:11,101 三島は ずっと抱いてましたし・ 357 00:47:11,101 --> 00:47:16,401 生き残ってしまった者の苦悩というのを 何度も何度も主題化してますよね。 358 00:47:18,509 --> 00:47:21,609 太平洋戦争末期。 359 00:47:27,251 --> 00:47:32,351 二十歳を迎えた三島も 戦地に赴くはずだった。 360 00:47:34,058 --> 00:47:44,658 だが 出征直前の検査で 肺の疾患と診断され 入隊を免れる。 361 00:47:47,304 --> 00:47:52,910 入るはずだった部隊は フィリピンで ほぼ全滅。 362 00:47:52,910 --> 00:47:59,083 この経験が後の人生に 大きく影響しているという。 363 00:47:59,083 --> 00:48:05,283 三島は その徴兵検査の時に… 364 00:48:14,865 --> 00:48:19,269 恐らく やや誇張して・ 365 00:48:19,269 --> 00:48:24,069 「仮面の告白」なんかの記述によると… 366 00:48:38,655 --> 00:48:43,155 …っていうことが やっぱり 非常に大きな傷になっていて。 367 00:48:44,962 --> 00:48:50,601 三島の自伝的小説 「仮面の告白」。 368 00:48:50,601 --> 00:48:56,001 主人公に 自らの葛藤を託している。 369 00:48:58,242 --> 00:49:01,812 「何だって私は あのようにむきになって・ 370 00:49:01,812 --> 00:49:05,612 軍医に嘘をついたのか?」。 371 00:49:07,584 --> 00:49:11,755 「微熱が ここ半年つづいていると言ったり」。 372 00:49:11,755 --> 00:49:17,027 「血痰が出ると言ったり」。 373 00:49:17,027 --> 00:49:24,827 「私は自分を 『死』に見捨てられた人間だと 感じることのほうを好んだ」。 374 00:49:27,671 --> 00:49:30,641 死んでしまった 同世代人たちにとってはね・ 375 00:49:30,641 --> 00:49:33,310 やっぱり 生き続けられることっていうのは・ 376 00:49:33,310 --> 00:49:36,310 非常に大きな意味を持っていたし… 377 00:49:43,520 --> 00:49:46,020 三島は やっぱり戦後も何か自分が… 378 00:49:59,002 --> 00:50:06,402 三島は 過去の自分に あらがうかのように 肉体を鍛え始めた。 379 00:50:08,612 --> 00:50:13,050 次々とベストセラーも生み出した。 380 00:50:13,050 --> 00:50:18,850 それでも 満たされない 心の内を明かしている。 381 00:50:26,430 --> 00:50:30,830 (三島)生き残っちゃったと。 で 生き残っちゃった… 382 00:50:34,671 --> 00:50:38,871 (三島)それじゃ 俺は つまり 文化をやってたんだと。 383 00:50:46,016 --> 00:50:48,716 書斎の中で… 384 00:50:51,388 --> 00:50:53,323 自分の 生きてるって実感の中で。 385 00:50:53,323 --> 00:50:56,323 そのことは晩年も何度も言ってますけど。 386 00:51:00,030 --> 00:51:03,800 しかも自分は やっぱり 生き残ってしまったっていう思いが・ 387 00:51:03,800 --> 00:51:07,300 ずっとありますから… 388 00:51:10,307 --> 00:51:13,310 …っていうふうに 思い始めるわけですよね。・ 389 00:51:13,310 --> 00:51:16,110 そうなった時に… 390 00:51:25,122 --> 00:51:31,122 (平野)その人たちが 今 起こそうとしてる 政治的な行動の中にはね… 391 00:51:38,702 --> 00:51:48,078 三島が なぜ自決を選んだのか 真相は誰にも語っていない。 392 00:51:48,078 --> 00:51:53,078 だが そのヒントとなる インタビューが残っている。 393 00:52:20,010 --> 00:52:23,510 それが 昔 言われた… 394 00:52:35,826 --> 00:52:39,262 そして あの日…。 395 00:52:39,262 --> 00:52:44,201 ちょっと よく見えないので あなたに お任せしますが。 396 00:52:44,201 --> 00:52:47,738 命を絶つ1時間前・ 397 00:52:47,738 --> 00:52:52,009 三島は 自らの主張を記した檄文・ 398 00:52:52,009 --> 00:52:56,309 そして 手紙を徳岡に託した。 399 00:53:15,232 --> 00:53:18,432 そして 檄文には…。 400 00:54:29,139 --> 00:54:37,948 徳岡は 怒号が飛び交う中 三島の声を漏らさず書き留めた。 401 00:54:37,948 --> 00:54:45,722 (三島)「話を聞け! 男一匹が命をかけて 諸君に訴えてるんだぞ!・ 402 00:54:45,722 --> 00:54:48,992 諸君の中に 一人でも 俺と一緒に起つやつはいないのか」。 403 00:54:48,992 --> 00:54:52,996 (怒号) 404 00:54:52,996 --> 00:54:56,833 (自衛官)「おりてこい!」。 (三島)「一人もいないんだな」。 405 00:54:56,833 --> 00:54:59,033 (取材者)でも よくとれましたね あの騒音の中で。 406 00:55:01,938 --> 00:55:05,675 (取材者)聞こえました? かなり聞こえたんですよ。 407 00:55:05,675 --> 00:55:08,375 あの時… 408 00:55:13,483 --> 00:55:15,683 (取材者)大阪弁で? ハハハ 大阪弁で。 409 00:55:22,025 --> 00:55:28,525 翌週 徳岡は三島との約束を果たした。 410 00:55:30,267 --> 00:55:34,504 檄文をノーカットで掲載。 411 00:55:34,504 --> 00:55:41,004 それは 数ある週刊誌の中で 徳岡の記事だけだった。 412 00:55:49,853 --> 00:55:57,653 高度経済成長を謳歌する日本人に 大きな衝撃を与えた 三島由紀夫の自決。 413 00:55:59,996 --> 00:56:06,203 もちろん あの日の行動は 法に照らせば 許されることではありません。 414 00:56:06,203 --> 00:56:09,973 しかし その死は半世紀たった今も・ 415 00:56:09,973 --> 00:56:14,611 強烈な印象を私たちに突きつけてきます。 416 00:56:14,611 --> 00:56:20,011 生前 三島は こんな言葉を残しています。 417 00:56:33,897 --> 00:56:39,597 50年後を生きるあなたは 今 何を思いますか? 418 00:56:42,038 --> 00:56:45,942 あれから半世紀。 419 00:56:45,942 --> 00:56:52,442 事件の現場は 今 歴史の遺産として公開されている。 420 00:56:55,518 --> 00:57:04,918 そして あの場に居合わせた人々は 今も三島の死を考え続けている。 421 00:57:18,375 --> 00:57:22,075 なんか 自分自身の中で やっぱり… 422 00:57:41,164 --> 00:57:44,167 45歳で彼は亡くなってますから。 423 00:57:44,167 --> 00:57:47,537 まあ 20年以上ぐらい 文壇で本を書いてて・ 424 00:57:47,537 --> 00:57:53,937 そういう生活が どういうものかってのも 実感として自分も よく知ってるし… 425 00:58:00,150 --> 00:58:05,255 だから こうやって向かい合うと 結構ね 水平レベルでは・ 426 00:58:05,255 --> 00:58:10,894 同じぐらいの場所に 今 バルコニーありますけど・ 427 00:58:10,894 --> 00:58:13,596 あそこに立ってた肉体っていうのはね・ 428 00:58:13,596 --> 00:58:16,496 今の自分と同じぐらいの年齢 だと思うと…。 429 00:58:20,270 --> 00:58:24,570 なんか あんまりずっと見てると ちょっと 具合が悪くなってくるような感じ。 430 00:58:35,752 --> 00:58:39,252 どうでもいいはずや 翌日死ぬんだもん。