1 00:00:10,410 --> 00:00:14,114 (嵩)あ… ど… どう? (のぶ)う~ん。 2 00:00:14,114 --> 00:00:20,888 紅茶の味は変わらんけんど これで飲むと 何だか元気になる。 3 00:00:20,888 --> 00:00:25,626 嵩さんの言葉は 人を元気にするがじゃない? 4 00:00:25,626 --> 00:00:29,796 そ… そう言ってくれて うれしいよ。 5 00:00:29,796 --> 00:00:34,301 「かなしみ よろこび ほほえみ なみだ」。 6 00:00:34,301 --> 00:00:38,805 あ… のぶちゃん あの… 声に出して読むのは ちょっと…。 7 00:00:38,805 --> 00:00:41,441 フフフフッ。 恥ずかしい。「ピエロよ➡ 8 00:00:41,441 --> 00:00:44,978 おまえ しあわせなのか」。 ちょっと… のぶちゃん。フフッ。 9 00:00:44,978 --> 00:00:49,650 ♬「涙に用なんてないっていうのに」 10 00:00:49,650 --> 00:00:53,320 ♬「やたらと縁がある人生」 11 00:00:53,320 --> 00:00:58,525 ♬「かさばっていく過去と視界ゼロの未来」 12 00:00:58,525 --> 00:01:02,963 ♬「狭間で揺られ立ち眩んでいるけど」 13 00:01:02,963 --> 00:01:07,801 ♬「人生訓と経験談と 占星術または統計学による」 14 00:01:07,801 --> 00:01:09,736 ♬「教則その他、参考文献」 15 00:01:09,736 --> 00:01:12,139 ♬「溢れ返るこの人間社会で」 16 00:01:12,139 --> 00:01:14,808 ♬「道理も通る隙間もないような日々だが」 17 00:01:14,808 --> 00:01:18,278 ♬「今日も超絶G難度人生を」 18 00:01:18,278 --> 00:01:24,084 ♬「生きていこう いざ」 19 00:01:24,084 --> 00:01:29,022 ♬「いつか来たる命の終わりへと」 20 00:01:29,022 --> 00:01:33,760 ♬「近づいてくはずの明日が」 21 00:01:33,760 --> 00:01:40,500 ♬「輝いてさえ見えるこの摩訶不思議で」 22 00:01:40,500 --> 00:01:43,403 ♬「愛しき魔法の鍵を」 23 00:01:43,403 --> 00:01:48,008 ♬「君が握ってて なぜにどうして?」 24 00:01:48,008 --> 00:01:52,312 ♬「馬鹿げてるとか 思ったりもするけど」 25 00:01:52,312 --> 00:01:59,319 ♬「君に託した 神様とやらの采配 万歳」 26 00:02:01,588 --> 00:02:05,258 (健太郎)うちんトイレにも 柳井君の皿ば 飾っとぉとよ。 27 00:02:05,258 --> 00:02:09,129 フッ。 トイレに飾ってもらうために 詩を書いてるわけじゃないんだけど。 28 00:02:09,129 --> 00:02:14,601 (健太郎)フフッ ばってん 八木さんは すごか人やねえ。 29 00:02:14,601 --> 00:02:19,473 見直したばい。 売れるもんば 見抜く才能があるっちゃないと? 30 00:02:19,473 --> 00:02:22,275 うん… いや でも あの人➡ 31 00:02:22,275 --> 00:02:26,146 金もうけとか あんまり興味なさそうなんだけどなあ。 32 00:02:26,146 --> 00:02:28,348 ふ~ん。 33 00:02:30,951 --> 00:02:33,754 あ…。 うん。 34 00:02:42,295 --> 00:02:45,132 うん? 35 00:02:45,132 --> 00:02:48,635 なん? 仕事ばしようと? 36 00:02:48,635 --> 00:02:51,672 いや 今 のぶちゃんが思い浮かんで➡ 37 00:02:51,672 --> 00:02:54,508 面白い詩が浮かんだんだ。 38 00:02:54,508 --> 00:03:01,915 今 目の前におるとは のぶちゃんやなくて 健ちゃんばい。 39 00:03:01,915 --> 00:03:05,585 まぶたの裏に いつもいるの。 40 00:03:05,585 --> 00:03:09,456 のろけてからくさ。 41 00:03:09,456 --> 00:03:12,092 まぶたん裏 見せてみんしゃい。 42 00:03:12,092 --> 00:03:17,097 カレーば すり込んじゃぁけん。 やめてよ やめて。 43 00:03:19,833 --> 00:03:23,103 (粕谷)追加注文 来ました。 44 00:03:23,103 --> 00:03:26,106 (八木)全部店頭に並べよう。 (粕谷)ああ。 45 00:03:27,941 --> 00:03:30,777 急に面倒な仕事を頼んで 悪いな。 46 00:03:30,777 --> 00:03:35,415 (蘭子)いえ 郵便局や会社の経理部に いたこともあるので➡ 47 00:03:35,415 --> 00:03:40,220 事務仕事 慣れてますから。 助かるよ。 48 00:03:42,289 --> 00:03:45,959 あの嵩さんの陶器は どれくらい売れたんですか? 49 00:03:45,959 --> 00:03:50,297 さあな。 うちの商品じゃないから 分からん。 50 00:03:50,297 --> 00:03:54,134 え? 八木さん 関わってないんですか? 51 00:03:54,134 --> 00:03:58,438 ああ。 売り上げのほとんどは 製造した工房のものだ。 52 00:03:58,438 --> 00:04:03,243 ああ… どうりで…。 53 00:04:03,243 --> 00:04:08,081 朝田君は この詩集 わざと置いてったんだろ。 54 00:04:08,081 --> 00:04:11,585 違います。 うっかりです。 55 00:04:13,887 --> 00:04:16,790 (アキラ)八木さん 子供たちが会いたいっていうから➡ 56 00:04:16,790 --> 00:04:18,792 連れてきちゃいました。 (子供たち)こんにちは! 57 00:04:18,792 --> 00:04:22,629 (八木)おお よく来たな。新しいカード 直接 八木さんに渡したいそうです。 58 00:04:22,629 --> 00:04:26,399 おじさん はい! 私はチューリップのカードを作ったの! 59 00:04:26,399 --> 00:04:28,335 僕も! 私は お花! 60 00:04:28,335 --> 00:04:31,271 (八木)すごいな。 ちょうどよかった。 61 00:04:31,271 --> 00:04:34,774 僕が孤児院にいた頃 八木さんが来てくれて➡ 62 00:04:34,774 --> 00:04:38,612 一人一人 ああやって プレゼント渡してくれたんです。 63 00:04:38,612 --> 00:04:40,547 そう。 64 00:04:40,547 --> 00:04:43,784 いくか? いよっ! (子供たち)いや~! キャ~! 65 00:04:43,784 --> 00:04:47,621 お皿 気を付けろよ。 (八木)もう一回いくか 今日は。➡ 66 00:04:47,621 --> 00:04:52,125 よし! (子供たち)わあ~! アハハハ。 67 00:04:52,125 --> 00:04:56,963 (食材を切る音) 68 00:04:56,963 --> 00:05:03,236 ☎ 69 00:05:03,236 --> 00:05:05,172 はい 柳井です。 70 00:05:05,172 --> 00:05:07,741 あ 八木さん。 今 代わりますね。 71 00:05:07,741 --> 00:05:11,912 ☎(八木)ああ 執筆中なら 伝言を頼むよ。 はい。 72 00:05:11,912 --> 00:05:17,717 詩が書けたら 義妹さんに渡してくれ。 明日 ここに届けてもらうから。 73 00:05:17,717 --> 00:05:23,623 それから もっともっと詩を書けと そこにいる詩人に伝えてくれ。 74 00:05:23,623 --> 00:05:25,759 あの 八木さん➡ 75 00:05:25,759 --> 00:05:29,930 うちの人は漫画家ですから もっともっとと言われても➡ 76 00:05:29,930 --> 00:05:33,266 そんなに次から次へと詩は書けません。 77 00:05:33,266 --> 00:05:36,269 いいんだよ のぶちゃん。 代わって。 78 00:05:39,606 --> 00:05:43,410 もしもし 電話代わりました。 79 00:05:43,410 --> 00:05:50,116 はい。 もっともっと詩を書きます。 80 00:05:50,116 --> 00:05:52,953 はい。 81 00:05:52,953 --> 00:05:56,289 (受話器を置く音) 嵩さん 無理せんといて。 82 00:05:56,289 --> 00:05:59,292 大丈夫。 83 00:05:59,292 --> 00:06:04,097 漫画を描くみたいに 言葉が どんどん浮かぶんだ。 84 00:06:06,933 --> 00:06:13,139 これまで出会った人たちが 僕の詩の源なんだよ。 85 00:06:15,242 --> 00:06:20,113 寛伯父さん 千代子伯母さん。 86 00:06:20,113 --> 00:06:22,749 ヤムさん。 87 00:06:22,749 --> 00:06:25,585 千尋。 88 00:06:25,585 --> 00:06:29,889 あと… 死んだ父さんも…。 89 00:06:31,758 --> 00:06:37,464 みんなの顔を思い浮かべると 言葉が どんどん浮かぶんだ。 90 00:06:39,099 --> 00:06:43,603 あふれてくるんだよ どんどん どんどん。 91 00:06:50,277 --> 00:06:54,948 もちろん のぶちゃんのことも。 92 00:06:54,948 --> 00:06:57,450 嵩さん…。 93 00:07:01,221 --> 00:07:03,223 はあっ。 94 00:07:10,563 --> 00:07:18,872 「なつかしい今日よ サヨーナラ…」。 95 00:07:22,909 --> 00:07:25,378 (蘭子)義兄から預かってきました。 96 00:07:25,378 --> 00:07:27,447 ご苦労さん。 97 00:07:27,447 --> 00:07:46,132 ♬~ 98 00:07:53,940 --> 00:07:57,277 粕谷 アキラ。 99 00:07:57,277 --> 00:08:00,113 出版部門を作るぞ。 100 00:08:00,113 --> 00:08:05,418 我が社最初の作品は やないたかしの詩集だ。 101 00:08:06,920 --> 00:08:11,725 八木 この会社を潰すつもりか? 102 00:08:11,725 --> 00:08:16,596 戦争を経験した俺たちの会社の 目標は何だ? 103 00:08:16,596 --> 00:08:19,599 人を幸せにすることだろう。 104 00:08:19,599 --> 00:08:21,735 そのためには まず➡ 105 00:08:21,735 --> 00:08:24,637 優しさや思いやりの気持ちを広げたい。 106 00:08:24,637 --> 00:08:28,141 あいつの詩には その力がある。 107 00:08:30,243 --> 00:08:32,245 (アキラ)やりましょうよ。 108 00:08:32,245 --> 00:08:35,382 僕は 八木さんや のぶさんのおかげで 本が大好きになったんです。 109 00:08:35,382 --> 00:08:40,186 いつか本を作る仕事がしたいって ずっと思ってたんです。 110 00:08:42,155 --> 00:08:46,926 皿もマグカップも売れてるし 失敗はしないか。 111 00:08:46,926 --> 00:08:52,799 粕谷 印刷屋回って 交渉してくれるか? 112 00:08:52,799 --> 00:08:58,805 (粕谷)アキラ 行こう。 (アキラ)はい! よっしゃ…。 113 00:09:04,344 --> 00:09:06,346 行ってきます! 114 00:09:19,225 --> 00:09:23,563 終わりました。 ありがとう。いえ。 115 00:09:23,563 --> 00:09:26,599 義兄の作品が売れるのは 私もうれしいので。 116 00:09:26,599 --> 00:09:30,737 またいつでも声かけてください。 うん。 117 00:09:30,737 --> 00:09:34,441 じゃ 私はこれで。 ご苦労さま。 118 00:09:47,587 --> 00:09:50,490 子供たちにプレゼントを渡す時➡ 119 00:09:50,490 --> 00:09:53,393 いつも あんなふうに 抱き締めてあげるんですか? 120 00:09:53,393 --> 00:09:56,262 ん? 121 00:09:56,262 --> 00:09:59,165 ああ…。 122 00:09:59,165 --> 00:10:05,605 この世の中で 子供たちが生きていくのに必要なのは➡ 123 00:10:05,605 --> 00:10:10,110 まずは 栄養のある食べ物 住まい。 124 00:10:10,110 --> 00:10:15,281 そして 音楽に 物語に➡ 125 00:10:15,281 --> 00:10:17,951 詩。 126 00:10:17,951 --> 00:10:19,986 精神の栄養ですね。 127 00:10:19,986 --> 00:10:25,825 つらいことがあっても それがあれば乗り越えられます。 128 00:10:25,825 --> 00:10:29,429 もう一つ必要なのは…。 129 00:10:29,429 --> 00:10:32,131 もう一つ? 130 00:10:32,131 --> 00:10:35,802 人の体温だ。 131 00:10:35,802 --> 00:10:43,109 あの子たちは 親から無条件に与えられる ぬくもりを知らない。 132 00:10:46,145 --> 00:10:52,018 八木さんは これまで 何百人という子供たちを➡ 133 00:10:52,018 --> 00:10:54,854 抱き締めてきたんですね。 134 00:10:54,854 --> 00:10:58,858 そういうことになるかな。 135 00:10:58,858 --> 00:11:01,628 ふう~。 136 00:11:01,628 --> 00:11:06,466 そういう八木さんを…➡ 137 00:11:06,466 --> 00:11:12,172 誰か 抱き締めてくれる人は…。 138 00:11:21,614 --> 00:11:26,419 いや… 俺は…。 139 00:11:26,419 --> 00:11:30,723 すみません 変なこと聞いて。 140 00:11:32,625 --> 00:11:34,627 失礼します。 141 00:11:36,296 --> 00:11:40,300 (ドアの開閉音) 142 00:12:08,928 --> 00:12:14,100 愛することが うれしいんだも~ん。 143 00:12:14,100 --> 00:12:17,403 嵩さん 書き終わったら お風呂屋さん行こう。 144 00:12:17,403 --> 00:12:22,241 うん。 いいですねえ。 フフフ。 145 00:12:22,241 --> 00:12:24,277 準備しよくで。 146 00:12:24,277 --> 00:12:27,413 「ボクは愛する➡ 147 00:12:27,413 --> 00:12:30,316 あなたを キミを」。 148 00:12:30,316 --> 00:12:32,285 お待たせ。 はい。 149 00:12:32,285 --> 00:12:38,625 「土を 水を トンカツを➡ 150 00:12:38,625 --> 00:12:43,830 愛することが うれしいんだもん」。 151 00:12:50,303 --> 00:12:54,641 はあ~ これは…➡ 152 00:12:54,641 --> 00:12:57,644 すばらしい叙情詩で…。 153 00:13:00,246 --> 00:13:03,583 メルヘンだ。 154 00:13:03,583 --> 00:13:07,754 メルヘン… 僕の詩が? 155 00:13:07,754 --> 00:13:12,558 その答えは 読んだ人が見つけてくれる。 156 00:13:15,628 --> 00:13:21,301 柳井 お前の詩集を出そう。➡ 157 00:13:21,301 --> 00:13:25,104 そのために出版部を作った。➡ 158 00:13:25,104 --> 00:13:29,609 詩集のタイトル 考えてくれるか? 159 00:13:32,612 --> 00:13:34,614 はい。 160 00:13:36,282 --> 00:13:38,951 (戸が閉まる音) 八木さん? 161 00:13:38,951 --> 00:13:40,987 あ いらしてたんですか。 162 00:13:40,987 --> 00:13:44,824 (八木) あいつ 今 詩集のタイトルを考えてるよ。 163 00:13:44,824 --> 00:13:46,826 詩集? 164 00:13:46,826 --> 00:13:51,531 (八木)自費出版なんかじゃなく もっと大勢の人に読んでもらうんだ。 165 00:13:51,531 --> 00:13:55,401 出してくださるんですか? ありがとうございます! 166 00:13:55,401 --> 00:13:58,137 あ…。 (戸が開く音) 167 00:13:58,137 --> 00:14:01,107 八木さん! 168 00:14:01,107 --> 00:14:05,745 「愛する歌」というのは どうでしょうか。 169 00:14:05,745 --> 00:14:09,615 「愛する歌」か。 はい。 170 00:14:09,615 --> 00:14:14,921 これらの詩は あまり 世に知られることはないに違いない。 171 00:14:14,921 --> 00:14:22,261 けれども 僕にとっては 愛する歌なんだという意味です。 172 00:14:22,261 --> 00:14:24,564 お恥ずかしい。 173 00:14:27,133 --> 00:14:29,635 決まりだな。 174 00:14:37,744 --> 00:14:40,947 よかったね。 175 00:14:40,947 --> 00:14:45,618 お祝いに 今夜は 嵩さんの好きなトンカツ揚げるき。 176 00:14:45,618 --> 00:14:48,121 え トンカツ。うん。 あ…。 177 00:14:48,121 --> 00:14:50,156 僕は愛する トンカツを…。 178 00:14:50,156 --> 00:14:54,293 フフ…。ハハッ。 食べよ。うん。 179 00:14:54,293 --> 00:14:57,296 (カエルの鳴き声)