1 00:00:01,635 --> 00:00:06,574 (まき) 私 家元 就任を ご辞退 申し上げたいと 思います。 2 00:00:06,640 --> 00:00:10,578 (照) 宮崎工房の 遠藤という 女の人と 出会ってから→ 3 00:00:10,644 --> 00:00:14,648 そのようなことを 言い始めたのは 事実です。 4 00:00:47,648 --> 00:00:51,585 {\an8}(大造) お邪魔いたします。 枝川です。 5 00:00:51,652 --> 00:00:53,587 {\an8}(里子) 枝川流の 家元さん。 6 00:00:53,654 --> 00:00:56,590 {\an8}(大造) 先日は わざわざ お越しいただいたのに→ 7 00:00:56,657 --> 00:00:59,527 {\an8}失礼なことを 申しまして すいませんでした。 8 00:00:59,593 --> 00:01:01,529 {\an8}(里子) どうされたんですか? 9 00:01:01,595 --> 00:01:04,532 {\an8}(大造) 少し お話を お聞きしたくて。→ 10 00:01:04,598 --> 00:01:06,534 {\an8}よろしいですか? (里子) 私にですか? 11 00:01:06,600 --> 00:01:09,537 {\an8}(大造) はい。 (里子) 宮崎先生。→ 12 00:01:09,603 --> 00:01:12,540 {\an8}こちら 枝川流の家元の 枝川さんです。 13 00:01:12,606 --> 00:01:15,543 {\an8}(宮崎) ああ。 先日は ご注文 いただいたのに→ 14 00:01:15,609 --> 00:01:17,545 {\an8}お断りしてしまって 申し訳ありませんでした。 15 00:01:17,611 --> 00:01:20,548 {\an8}(大造) 理由は お聞きしております。 16 00:01:20,614 --> 00:01:24,552 {\an8}(里子) この子が 娘の春子です。 (春子) 遠藤 春子です。 17 00:01:24,618 --> 00:01:27,555 {\an8}(大造) あっ。 あら。 鼻の頭に 粘土が ついてますよ。 18 00:01:27,621 --> 00:01:31,559 {\an8}(春子) えっ? えっ? (大造) ハハハ。 19 00:01:31,625 --> 00:01:33,561 {\an8}(春子) ありがとうございます。 (大造) ああ。 いや。 20 00:01:33,627 --> 00:01:35,563 {\an8}(里子) 家元と お話ししてきて いいですか? 21 00:01:35,629 --> 00:01:38,566 {\an8}(宮崎) どうぞ。 奥の部屋 使ってください。 22 00:01:38,632 --> 00:01:40,568 {\an8}(里子) どうぞ。→ 23 00:01:40,634 --> 00:01:45,573 {\an8}あのう。 お話って 何ですか? 24 00:01:45,639 --> 00:01:49,577 {\an8}(大造) 実は 娘の まきが 突然→ 25 00:01:49,643 --> 00:01:55,583 {\an8}十八代目の 家元 就任を 辞退したいと 言いだしたのです。 26 00:01:55,649 --> 00:01:57,518 {\an8}(里子) 何か あったんですか? 27 00:01:57,585 --> 00:01:59,520 (大造) それが 原因が 分からないのです。 28 00:01:59,587 --> 00:02:05,526 ただ 人前で お茶を たてるのが 怖くなったとだけで。 29 00:02:05,593 --> 00:02:09,530 (里子) それで 私に 何を お聞きになりたいんですか? 30 00:02:09,597 --> 00:02:15,536 先日 枝川会館の理事長室に おいでいただいたときに→ 31 00:02:15,603 --> 00:02:21,542 まきと どんな お話を されたのかを お聞きしたくて。 32 00:02:21,609 --> 00:02:25,546 もしかしたら まきが 家元 就任を→ 33 00:02:25,613 --> 00:02:28,549 辞退したいと 言いだした 手掛かりが→ 34 00:02:28,616 --> 00:02:31,552 つかめるかもしれないと 思ったものですから。 35 00:02:31,619 --> 00:02:33,554 (里子) そうですか。 36 00:02:33,621 --> 00:02:39,560 そのときは 確か 宮崎先生が スランプなので→ 37 00:02:39,627 --> 00:02:43,564 お茶わんの制作が できない理由を 説明させていただきました。 38 00:02:43,631 --> 00:02:45,566 もしかしたら まきも→ 39 00:02:45,633 --> 00:02:50,571 一種の スランプに 陥っているのかもしれない。 40 00:02:50,638 --> 00:02:52,573 遠藤さん。 お願いです。 41 00:02:52,640 --> 00:02:56,577 まきと 会って まきの話を 聞いてやってもらえませんか? 42 00:02:56,644 --> 00:02:59,513 (里子) でも…。 >> まきは→ 43 00:02:59,580 --> 00:03:02,516 このまま 家元に 就任してしまったら→ 44 00:03:02,583 --> 00:03:06,520 茶道そのものが 嫌いになって しまいそうだとまで→ 45 00:03:06,587 --> 00:03:08,522 言っているんです。 (里子) そうですか。 46 00:03:08,589 --> 00:03:13,527 茶道家としては その重圧を 乗り越えてこそと→ 47 00:03:13,594 --> 00:03:16,530 突き放すべきとは 思うんですが→ 48 00:03:16,597 --> 00:03:22,536 父親としては 娘を そこまで 追い詰めたくは ありません。 49 00:03:22,603 --> 00:03:25,539 (里子) それでは 就任パーティーは 中止に? 50 00:03:25,606 --> 00:03:30,544 延期と いうことにしました。 でも 本音を言えば→ 51 00:03:30,611 --> 00:03:32,546 パーティーは そのまま 行いたい。 52 00:03:32,613 --> 00:03:35,549 悩みどころです。 53 00:03:35,616 --> 00:03:39,553 (里子) ホントに まきさんの お話を 聞くだけで いいんですね? 54 00:03:39,620 --> 00:03:42,556 >> お願いできますか? (里子) 私が お役に立てるか→ 55 00:03:42,623 --> 00:03:45,559 分かりませんが 後ほど お伺いいたします。 56 00:03:45,626 --> 00:03:48,562 (大造) ああ。 それで あのう。→ 57 00:03:48,629 --> 00:03:51,565 これが 拙宅の住所です。→ 58 00:03:51,632 --> 00:03:54,568 まきは 今日は 一日中 家に おります。→ 59 00:03:54,635 --> 00:03:56,570 それでは。 60 00:03:56,637 --> 00:03:59,506 (剛太郎) というわけで 万が一 延期することも あると→ 61 00:03:59,573 --> 00:04:04,511 お含みおきください。 はい。 失礼します。 62 00:04:04,578 --> 00:04:06,513 \(ドアの開く音) 63 00:04:06,580 --> 00:04:08,515 (大造) 宮崎工房の人に 会って→ 64 00:04:08,582 --> 00:04:11,518 まきの話を 聞いてくれるよう 頼んできたよ。 65 00:04:11,585 --> 00:04:14,521 (剛太郎) 宮崎工房の人にですか? (大造) うん。 昨日→ 66 00:04:14,588 --> 00:04:17,524 照と 話していて→ 67 00:04:17,591 --> 00:04:21,528 急に まきが 家元 就任を 辞退した理由が→ 68 00:04:21,595 --> 00:04:23,530 分かるかもしれないと 思ったんだ。 69 00:04:23,597 --> 00:04:26,533 (剛太郎) そうですか。 >> あっ。 それより 連絡の方は? 70 00:04:26,600 --> 00:04:30,537 (剛太郎) 主要な方々には 準備の都合で 就任パーティーが→ 71 00:04:30,604 --> 00:04:32,539 遅れるかもしれないと 一報しておきました。 72 00:04:32,606 --> 00:04:35,542 ああ。 ご苦労さん。 それで 反応は? 73 00:04:35,609 --> 00:04:39,546 (剛太郎) 皆さん 準備の都合と 聞いて 了解してくれました。 74 00:04:39,613 --> 00:04:44,551 しかし いつまでも 準備の都合に しておくわけにも いかんだろう。 75 00:04:44,618 --> 00:04:48,555 まきの心が 変わらなければ→ 76 00:04:48,622 --> 00:04:51,558 恥を忍んで 事実を 話さなければならんからな。 77 00:04:51,625 --> 00:04:53,560 (剛太郎) 家元。 >> うん? 78 00:04:53,627 --> 00:04:55,562 (剛太郎) 葉山流の方は 話を つけておきました。 79 00:04:55,629 --> 00:04:59,500 >> 仕事が 早いな。 (剛太郎) 就任パーティー 延期の件で→ 80 00:04:59,566 --> 00:05:02,503 騒ぎ立てるようなことが あったら 私が持っている 書類を→ 81 00:05:02,569 --> 00:05:04,505 しかるべきところに 提出すると 言ってやりました。 82 00:05:04,571 --> 00:05:07,574 そうか。 ご苦労さん。 83 00:05:09,576 --> 00:05:14,515 (里子) 宮崎工房の 遠藤と申します。 84 00:05:14,581 --> 00:05:17,518 \(ドアの開く音) 85 00:05:17,584 --> 00:05:20,521 (照) 家元から 遠藤さまが おみえになることは→ 86 00:05:20,587 --> 00:05:25,526 伺っております。 ご案内します。 どうぞ こちらへ。 87 00:05:25,592 --> 00:05:27,594 (里子) お邪魔します。 88 00:05:42,609 --> 00:05:45,612 (まき) そのままで いらして。 89 00:05:48,615 --> 00:06:17,578 ♪~ 90 00:06:17,578 --> 00:06:20,514 (まき) 目が見えなくても この家の中では→ 91 00:06:20,581 --> 00:06:23,517 何も 不自由なことは ありませんのよ。→ 92 00:06:23,584 --> 00:06:29,523 あまり 驚かないで。 (里子) ああ。 はい。 93 00:06:29,590 --> 00:06:32,526 (まき) 遠藤さんでしたわね。 (里子) はい。 94 00:06:32,593 --> 00:06:35,529 (まき) 遠藤さんは お父さまに 頼まれて→ 95 00:06:35,596 --> 00:06:39,533 私に 家元 就任を もう一度 考え直すように→ 96 00:06:39,600 --> 00:06:41,535 説得にでも いらしたんじゃないんですか? 97 00:06:41,602 --> 00:06:44,538 (里子) 私に そんなつもりは ありませんし→ 98 00:06:44,605 --> 00:06:46,540 まきさんの お父さまからも→ 99 00:06:46,607 --> 00:06:48,542 そんなことは 頼まれてもいません。 100 00:06:48,609 --> 00:06:51,545 (まき) それでは 何をしに いらしたの? 101 00:06:51,612 --> 00:06:54,548 (里子) ですから 話を聞きに。 102 00:06:54,615 --> 00:06:57,484 (まき) よく 分からないわ。 103 00:06:57,551 --> 00:06:59,486 あまり よく 知らない あなたに→ 104 00:06:59,553 --> 00:07:03,490 私の何を お話ししろと おっしゃるんですか? 105 00:07:03,557 --> 00:07:07,494 (里子) それを 私に おっしゃられても。 ただ 枝川さんは→ 106 00:07:07,561 --> 00:07:09,496 私が まきさんと お話しすれば→ 107 00:07:09,563 --> 00:07:12,499 家元 就任を ご辞退された 原因が→ 108 00:07:12,566 --> 00:07:14,501 分かるかもしれないと 思われたんだと 思います。 109 00:07:14,568 --> 00:07:16,503 (まき) やっぱり 家元 就任の件じゃない。 110 00:07:16,570 --> 00:07:20,507 (里子) 私は ただ 茶道の家元としては→ 111 00:07:20,574 --> 00:07:23,510 就任パーティーを 中止したくは ないけれど→ 112 00:07:23,577 --> 00:07:28,515 父親としては まきさんの思いを 必死に 受け入れようとしている。 113 00:07:28,582 --> 00:07:32,519 そんな 父が 娘を思う気持ちに 心を動かされ→ 114 00:07:32,586 --> 00:07:37,524 少しでも お力になれればと思って 伺っただけです。 115 00:07:37,591 --> 00:07:40,527 あっ。 ご迷惑なようでしたら 帰ります。 116 00:07:40,594 --> 00:07:43,530 (まき) ごめんなさいね。 117 00:07:43,597 --> 00:07:46,533 そんなつもりは なかったのに→ 118 00:07:46,600 --> 00:07:50,604 あなたに 言い掛かりを つけたような 言い方をして。 119 00:07:55,609 --> 00:07:57,478 (春子) 先生。 (宮崎) うん? 120 00:07:57,544 --> 00:08:00,480 (春子) この招き猫 爆笑しちゃった。 失敗かな? 121 00:08:00,547 --> 00:08:02,549 (宮崎) どれ? 122 00:08:05,552 --> 00:08:07,487 (宮崎) いいじゃないか。 見てる こっちも→ 123 00:08:07,554 --> 00:08:10,490 思わず 笑いたくなってまうわ。 よし。 これも 絵付けして→ 124 00:08:10,557 --> 00:08:12,559 焼いてみよう。 (春子) やったー。 125 00:08:14,962 --> 00:08:19,566 (まき) 私が 目が見えなくなった いきさつを→ 126 00:08:19,900 --> 00:08:23,904 お話ししても いいですか? (里子) はい。 127 00:08:27,107 --> 00:08:32,045 (まき) 私 高校生のころまでは スポーツが好きで→ 128 00:08:32,112 --> 00:08:36,049 いつも 真っ黒に 日焼けしていたの。 129 00:08:36,116 --> 00:08:37,885 その日の 部活帰りも→ 130 00:08:37,918 --> 00:08:41,855 お父さまと お母さまが 車で 迎えに来てくださって→ 131 00:08:41,922 --> 00:08:46,860 海辺の レストランまで お食事に出掛ける 途中だったの。 132 00:08:46,927 --> 00:08:49,863 お父さまは 家元を 継がれたばかりで→ 133 00:08:49,930 --> 00:08:54,868 本当に ご機嫌で 車を 運転なさっていたわ。 134 00:08:54,935 --> 00:09:02,809 あれは 確か トンネルを抜けて 海が見えた カーブだった。 135 00:09:02,876 --> 00:09:10,817 車が スリップしたところで 私の見た世界は 終わったの。 136 00:09:10,884 --> 00:09:15,822 気が付いたときは 病院の ベッドの上。 137 00:09:15,889 --> 00:09:22,829 1カ月ほどして 私の視力が 永遠に 奪われたことと→ 138 00:09:22,896 --> 00:09:26,833 事故のときに お母さまが 亡くなっていた 事実を→ 139 00:09:26,900 --> 00:09:30,837 知らされたのよ。 (里子) そうだったんですか。 140 00:09:30,904 --> 00:09:38,845 (まき) あのとき 私は 17歳。 あれから 18年が 過ぎたのね。 141 00:09:38,912 --> 00:09:43,850 私は 目が見えた 人生よりも→ 142 00:09:43,917 --> 00:09:50,857 目が見えなくなった 人生の方を 多く生きてることになるわね。 143 00:09:50,924 --> 00:09:54,861 目が見えない つらさは 乗り越えたから 大丈夫。 144 00:09:54,928 --> 00:09:58,799 安心して。 145 00:09:58,865 --> 00:10:02,803 私が この お話をしたのは→ 146 00:10:02,869 --> 00:10:07,808 私と お父さまの関係を お伝えしたかったからなの。 147 00:10:07,874 --> 00:10:10,811 (里子) お二人の関係ですか? 148 00:10:10,877 --> 00:10:16,817 (まき) お父さまは 私から 視力と お母さまを 奪ったことを→ 149 00:10:16,883 --> 00:10:19,820 心から 悔やんでいらして→ 150 00:10:19,886 --> 00:10:23,824 いつまでも そのことに 縛られて いらっしゃるの。 151 00:10:23,890 --> 00:10:30,831 でも 私は 10年前に 剛太郎さんと 結婚して→ 152 00:10:30,897 --> 00:10:35,836 すみれという 娘も 授かって 生まれ変わったのよ。 153 00:10:35,902 --> 00:10:40,841 (里子) まきさんは お強いんですね。 (まき) 強くなんかないわ。 154 00:10:40,907 --> 00:10:43,844 強くならなければ ならなかっただけ。 155 00:10:43,910 --> 00:10:45,846 (里子) そんな 強い まきさんが→ 156 00:10:45,912 --> 00:10:49,850 家元 就任を 前にして 辞退するなんて→ 157 00:10:49,916 --> 00:10:53,854 いったい 何があったんですか? 158 00:10:53,920 --> 00:10:58,792 (まき) 誰にも 言わないと 約束してくださいますか? 159 00:10:58,859 --> 00:11:00,794 (里子) はい。 160 00:11:00,861 --> 00:11:05,799 (まき) それは 目が見えないからです。 161 00:11:05,866 --> 00:11:08,802 目が見えない 私が→ 162 00:11:08,869 --> 00:11:12,806 枝川流 3万人の トップに立つことが 怖いんです。 163 00:11:12,873 --> 00:11:15,809 一人の女性 母親としては→ 164 00:11:15,876 --> 00:11:19,813 目が見えない 暮らしを 克服できたとしても→ 165 00:11:19,880 --> 00:11:22,816 茶道家としての 私は→ 166 00:11:22,883 --> 00:11:26,820 目が見えない 恐怖を 克服できずに いるのです。 167 00:11:26,887 --> 00:11:31,825 (里子) そのことを 正直に お父さまに お話しになったら いかがですか? 168 00:11:31,892 --> 00:11:34,828 (まき) 何のために 私が 目の見えなくなった 境遇を→ 169 00:11:34,895 --> 00:11:37,831 あなたに お話ししたのか 分からないんですか? 170 00:11:37,898 --> 00:11:41,835 そんなことを お父さまに 正直に お話ししたら お父さまを→ 171 00:11:41,902 --> 00:11:43,837 また 苦しめてしまうことに なってしまう。 172 00:11:43,904 --> 00:11:47,841 私は 自分を 偽ってでも→ 173 00:11:47,908 --> 00:11:49,843 そのことだけは お父さまに 悟られたくないの。 174 00:11:49,910 --> 00:11:51,845 悟られては いけないのよ。 175 00:11:51,912 --> 00:11:53,847 (里子) 何も 自分を偽ってまで…。 176 00:11:53,914 --> 00:11:59,786 (まき) 遠藤さん。 あなた 今まで 生きてきた中で→ 177 00:11:59,853 --> 00:12:04,791 自分を 偽ったことがないと 言い切れるんですか? 178 00:12:04,858 --> 00:12:10,864 一度も 隠し事をしたことがないと 言い切れるんですか? 179 00:12:13,867 --> 00:12:16,803 (里子)《赤ちゃん。 分かったよ》 180 00:12:16,870 --> 00:12:22,809 《私 もう 死ぬなんて 考えない。 2人で 一緒に 生きよう》 181 00:12:22,876 --> 00:12:26,813 《あなたのことは 何があっても 私が守るから》 182 00:12:26,880 --> 00:12:33,820 《だから 今日から あなたを 春子と呼ばせて》 183 00:12:33,887 --> 00:12:38,825 《いいでしょ? 雄介さん》 184 00:12:38,892 --> 00:12:43,830 実は 私も 隠し事をしながら 生きています。 185 00:12:43,897 --> 00:12:47,834 そのことで 悩んでもいます。 186 00:12:47,901 --> 00:12:50,837 でも いつかは→ 187 00:12:50,904 --> 00:12:55,842 正直に 話さなければいけない日が 来ると 覚悟しています。 188 00:12:55,909 --> 00:12:59,779 (まき) 何 訳の分からないことを 突然 言いだすの? 189 00:12:59,846 --> 00:13:03,783 あなた 私のことを バカにしているんでしょう。 190 00:13:03,850 --> 00:13:05,785 あなたになんか 私の 本当の気持ちを→ 191 00:13:05,852 --> 00:13:08,788 話すんじゃなかった。 帰ってちょうだい! 帰ってよ。 192 00:13:08,855 --> 00:13:11,791 (里子) ああ。 勘違いしないでください。 193 00:13:11,858 --> 00:13:13,793 私は まきさんを→ 194 00:13:13,860 --> 00:13:18,798 バカにするつもりなんて ありません。 195 00:13:18,865 --> 00:13:24,804 ただ 私も 秘密を抱えながら 生きていて。 196 00:13:24,871 --> 00:13:27,807 正直に 話したくても→ 197 00:13:27,874 --> 00:13:30,811 相手が 傷ついてしまうことを 考えたら→ 198 00:13:30,877 --> 00:13:32,812 怖くて それが できない。 199 00:13:32,879 --> 00:13:38,818 まきさんの気持ちが 分かったから 正直に 話しただけです。 200 00:13:38,885 --> 00:13:41,821 そのことだけは お伝えしときます。 201 00:13:41,888 --> 00:13:45,892 あっ。 それでは 失礼します。 202 00:13:48,895 --> 00:13:50,897 \(ドアの閉まる音) 203 00:13:50,897 --> 00:14:04,844 ♪~ 204 00:14:04,844 --> 00:14:09,783 (里子)《実は 私も 隠し事をしながら 生きています》 205 00:14:09,849 --> 00:14:12,786 《そのことで 悩んでもいます》 206 00:14:12,852 --> 00:14:15,789 《でも いつかは→ 207 00:14:15,855 --> 00:14:20,860 正直に 話さなければいけない日が 来ると 覚悟しています》 208 00:14:23,863 --> 00:14:27,801 (大造)《枝川流 300年の血脈を 絶やさぬために→ 209 00:14:27,867 --> 00:14:33,807 すみれを まきが産んだ子供として 育ててほしい》 210 00:14:33,873 --> 00:14:37,811 (まき)《お父さま?》 >> 《枝川流の未来と→ 211 00:14:37,878 --> 00:14:40,880 すみれの 幸せのためだ》 212 00:14:42,883 --> 00:14:47,821 《剛太郎君も このことには 賛成してくれている》 213 00:14:47,888 --> 00:14:50,890 《まきも いいな?》 214 00:14:52,892 --> 00:14:55,895 (まき)《はい。 お父さま》 215 00:14:57,831 --> 00:15:01,835 偽りの人生。 216 00:15:03,637 --> 00:15:06,806 (宮崎) えっ? 枝川流の お嬢さまと ケンカだなんて→ 217 00:15:07,107 --> 00:15:09,042 どうして そんなことに なったんですか? 218 00:15:09,109 --> 00:15:12,045 (春子) ホント。 どうして ケンカなんか したの? 219 00:15:12,112 --> 00:15:14,047 (里子) 詳しいことは まきさんと お約束したので→ 220 00:15:14,114 --> 00:15:16,049 お話しできませんが→ 221 00:15:16,583 --> 00:15:19,519 まきさん ご自分が 苦しんでることが あるのに→ 222 00:15:19,586 --> 00:15:24,524 相手の人を 気遣って 言えずに 秘密にしてるそうなんです。 223 00:15:24,591 --> 00:15:28,461 (春子) 話したいことが あるんなら 正直に 話せばいいのに。 224 00:15:28,528 --> 00:15:30,463 (里子) お母さんも そう 思って→ 225 00:15:30,530 --> 00:15:32,465 「正直に お話ししたら どうですか?」って→ 226 00:15:32,532 --> 00:15:35,468 言ったんだけど そのことが原因で ケンカに なってしまって。 227 00:15:35,535 --> 00:15:38,471 (宮崎) まきさんは その人のことを ホントに 思ってるんですね。 228 00:15:38,538 --> 00:15:40,473 (里子) そうだと 思います。 229 00:15:40,540 --> 00:15:42,475 (春子) お母さん。 (里子) 何? 230 00:15:42,542 --> 00:15:45,478 (春子) ケンカしたままは よくないと 思うよ。 231 00:15:45,545 --> 00:15:47,480 あした 私も 一緒に 行ってあげるから→ 232 00:15:47,547 --> 00:15:50,483 まきさんに 謝りに行こう。 (里子) そうね。 そうするわ。 233 00:15:50,550 --> 00:15:54,487 でも 春子は 宮崎先生と 一緒に 待ってて。 234 00:15:54,554 --> 00:15:56,489 >> 何で? (里子) 私も→ 235 00:15:56,556 --> 00:15:59,492 春子が 一緒に いてくれると 心強いけど→ 236 00:15:59,559 --> 00:16:01,494 でも もしかしたら まきさん→ 237 00:16:01,561 --> 00:16:03,496 身構えてしまうかも しれないでしょ? 238 00:16:03,563 --> 00:16:05,498 それも そうだね。 239 00:16:05,565 --> 00:16:07,500 今日は お母さん 一人で 行ったのに→ 240 00:16:07,567 --> 00:16:11,504 あした 私が 一緒に 行ったら 何事かって 思うかもしれないよね。 241 00:16:11,571 --> 00:16:15,508 分かった。 それじゃ お母さん。 あしたは よろしくね。 242 00:16:15,575 --> 00:16:18,511 (里子) これって 春子に 「よろしく」って 頼まれること? 243 00:16:18,578 --> 00:16:21,581 (春子) うん。 そんな感じ。 (里子) えっ? 244 00:16:23,583 --> 00:16:25,518 (大造) おいしいね。 (すみれ) はい。 おじいさま。 245 00:16:25,585 --> 00:16:29,522 (大造) うん。 (まき) そういえば 今日→ 246 00:16:29,589 --> 00:16:32,525 宮崎工房の 遠藤さんという方が おみえになりました。 247 00:16:32,592 --> 00:16:36,529 (大造) おお。 何か 有意義な お話が できたのかね? 248 00:16:36,596 --> 00:16:41,534 (まき) はい。 大変 有意義な お話を させていただきました。 249 00:16:41,601 --> 00:16:43,536 (大造) どんな お話をしたのか→ 250 00:16:43,603 --> 00:16:45,538 よかったら 聞かせてもらえないか? 251 00:16:45,605 --> 00:16:48,541 (まき) はい。 お父さま。 252 00:16:48,608 --> 00:16:54,547 私の人生は 偽りだと そんな お話を されました。 253 00:16:54,614 --> 00:16:57,550 (大造) まきの人生が 偽りだと? 254 00:16:57,617 --> 00:17:01,554 (まき) 遠藤さんが 直接 そう おっしゃったのではなく→ 255 00:17:01,621 --> 00:17:05,625 私が そう 解釈したと いうことです。 256 00:17:07,627 --> 00:17:09,562 (剛太郎) 遠藤さんは なぜ→ 257 00:17:09,629 --> 00:17:11,564 そのようなことを おっしゃったんでしょう? 258 00:17:11,631 --> 00:17:14,567 (まき) 私には 分かりません。 259 00:17:14,634 --> 00:17:19,572 (大造) 遠藤さんと お話をして 何か 発見は なかったのかね? 260 00:17:19,639 --> 00:17:23,576 (まき) 何一つ ございませんでした。 261 00:17:23,643 --> 00:17:28,581 強いて 申し上げれば 苦痛でございました。 262 00:17:30,583 --> 00:17:35,522 (大造) それは 悪いことをしたな。→ 263 00:17:35,588 --> 00:17:40,527 お前の 心の奥にある 何かを 遠藤さんと 話し することで→ 264 00:17:40,593 --> 00:17:45,532 吐き出すことが できたらいいと 期待したんだが→ 265 00:17:45,598 --> 00:17:48,535 余計な お世話だったようだな。 許してくれ。 まき。 266 00:17:48,601 --> 00:17:52,539 (まき) お父さま。 267 00:17:52,605 --> 00:17:55,542 まきに 心の余裕が 足りないだけです。 268 00:17:55,608 --> 00:17:59,546 ご自分を お責めに ならないでください。 269 00:17:59,612 --> 00:18:05,552 (大造) まきは 本当に 私のことを いたわってくれる。→ 270 00:18:05,618 --> 00:18:08,555 ありがとう。 まき。 271 00:18:08,621 --> 00:18:11,558 (すみれ) 遠藤? 272 00:18:11,624 --> 00:18:14,561 (まき) あの 遠藤さんっていう方→ 273 00:18:14,627 --> 00:18:18,565 私が すみれを 自分で産んだ 子供ではないのに→ 274 00:18:18,631 --> 00:18:22,569 そう 偽って 育てていることを 責めているように 思えたんです。 275 00:18:22,635 --> 00:18:24,571 (剛太郎) 何の事情も 知らない人が→ 276 00:18:24,637 --> 00:18:26,573 そんなこと 言うわけないじゃないですか。 277 00:18:26,639 --> 00:18:29,509 まきさんの 思い過ごしです。 (まき) それじゃ 何で? 278 00:18:29,576 --> 00:18:32,512 お父さまの 頼みとはいえ→ 279 00:18:32,579 --> 00:18:37,517 私の話を あんなに親身になって 聞こうと したんでしょうか? 280 00:18:37,584 --> 00:18:40,520 赤の他人なら そんなことに 首を 突っ込むなんて→ 281 00:18:40,587 --> 00:18:43,523 煩わしくて しないはずです。 282 00:18:43,590 --> 00:18:49,529 (剛太郎) きっと 遠藤さんという人は お人よしで 他人のことを→ 283 00:18:49,596 --> 00:18:52,532 放っておけない人なんじゃ ないでしょうか。 284 00:18:52,599 --> 00:18:56,536 (まき) 今の世の中に そんな人って いると思いますか? 285 00:18:56,603 --> 00:18:59,539 (剛太郎) 私は いてほしいと思います。 286 00:18:59,606 --> 00:19:03,543 自分のためではなく 他人のために 汗水を流せる人が。 287 00:19:03,610 --> 00:19:07,547 (まき) 私も 理想としては そう 思いますが→ 288 00:19:07,614 --> 00:19:09,549 そんな人 いるわけが ありません。 289 00:19:09,616 --> 00:19:11,551 (剛太郎) でも その 遠藤さんっていう人が→ 290 00:19:11,618 --> 00:19:13,553 そういう人なのかも しれないんでしょ? 291 00:19:13,620 --> 00:19:17,557 (まき) 違います。 遠藤さんは お父さまに 言われて…。 292 00:19:17,624 --> 00:19:19,626 (剛太郎) まきさんらしくない。 293 00:19:22,629 --> 00:19:25,565 (剛太郎) むきに ならないでください。 それじゃ まるで→ 294 00:19:25,632 --> 00:19:28,501 遠藤さんっていう人に 嫉妬してるみたいじゃないですか。 295 00:19:28,568 --> 00:19:33,506 私は その方を まきさんの お話でしか 知りません。 296 00:19:33,573 --> 00:19:35,575 (まき) そうですが…。 297 00:19:37,577 --> 00:19:41,514 (剛太郎) 今度 私も まきさんの夫として→ 298 00:19:41,581 --> 00:19:44,517 その 遠藤さんっていう人に 近いうちに お会いして→ 299 00:19:44,584 --> 00:19:49,522 お話を してみたいと思いますが いいですか? 300 00:19:49,589 --> 00:19:53,526 (まき) はい…。 (剛太郎) 何か 心配しているようですが→ 301 00:19:53,593 --> 00:19:55,528 私が その人と 会ったからといって→ 302 00:19:55,595 --> 00:19:57,530 まきさんの敵に なるようなことは ありませんから→ 303 00:19:57,597 --> 00:19:59,532 心配しないでください。 304 00:19:59,599 --> 00:20:02,535 (まき) そんなことは 心配しておりません。 305 00:20:02,602 --> 00:20:04,537 ですが…。 306 00:20:04,604 --> 00:20:08,541 (剛太郎)「ですが」 どうしたんですか? 307 00:20:08,608 --> 00:20:12,545 (まき) 私 遠藤さんと お会いしていて→ 308 00:20:12,612 --> 00:20:15,548 他人ではない 感情を 抱いたのです。 309 00:20:15,615 --> 00:20:19,552 (剛太郎)「他人ではない 感情」? どういうことですか? 310 00:20:19,619 --> 00:20:25,558 (まき) 私 遠藤さんに 他の人には 感じない 何かを感じて→ 311 00:20:25,625 --> 00:20:30,496 思わず 目が見えなくなった 経緯を お話ししたんです。 312 00:20:30,563 --> 00:20:33,499 (剛太郎) それは もしかしたら→ 313 00:20:33,566 --> 00:20:38,504 無二の親友に なれる人と 出会えたのかも しれませんね。 314 00:20:38,571 --> 00:20:41,507 (まき) 無二の親友ですか? 315 00:20:41,574 --> 00:20:45,511 (剛太郎) 今度 お会いになるときは お互いの苦悩を さらけ出して→ 316 00:20:45,578 --> 00:20:49,515 理解し合える。 そんな仲に なれるといいですね。 317 00:20:49,582 --> 00:20:52,585 (まき) 無二の仲。 318 00:20:55,588 --> 00:20:58,591 (まき) そうかもしれませんね。 319 00:21:00,593 --> 00:21:04,597 もう 食べられないよ。 320 00:21:11,604 --> 00:21:15,541 (里子) それじゃ 枝川さんに 謝ってきます。 321 00:21:15,608 --> 00:21:19,545 その間 春子を お願いします。 >> 安心して 行ってきてください。 322 00:21:19,612 --> 00:21:21,547 お母さん。 (里子) 何? 323 00:21:21,614 --> 00:21:23,549 (春子) また ケンカ しないでね。 大丈夫? 324 00:21:23,616 --> 00:21:26,619 (里子) 大丈夫よ。 それじゃ いってきます。 325 00:21:28,554 --> 00:21:32,558 遠藤と 申します。 (照) どうぞ お入りください。 326 00:21:35,561 --> 00:21:39,565 (里子) 私 宮崎工房の 遠藤と 申します。 327 00:21:41,567 --> 00:21:46,506 あなたが お母さまを 苦しめている人なのね? 328 00:21:46,572 --> 00:21:50,510 私 あなたを 許さなくてよ。 329 00:21:50,576 --> 00:21:53,579 それでは。 ごきげんよう。 330 00:21:58,584 --> 00:22:03,523 ⟨これが 実の 母と子の 10年ぶりの再会でした⟩ 331 00:22:03,589 --> 00:22:07,527 ⟨ですが それは あまりにも 悲しい→ 332 00:22:07,593 --> 00:22:09,595 思いやりの 掛け違いだったのです⟩