1 00:00:01,502 --> 00:00:05,439 (宮崎) 手作りの 招き猫 100個? (春子) みんなで 頑張ろう! 2 00:00:05,506 --> 00:00:08,442 (大田原) 剛太郎君は ご在宅では? 3 00:00:08,509 --> 00:00:10,444 (大田原) 取り戻したいものが あるんですが。 4 00:00:10,511 --> 00:00:12,446 (剛太郎) 私も 大田原さんに お会いして→ 5 00:00:12,513 --> 00:00:14,448 直接 その お話を お聞きしたい。 6 00:00:14,515 --> 00:00:21,455 (大造) まきは 今 幸せか? (まき) はい。 とっても 幸せです。 7 00:00:21,522 --> 00:00:25,459 (照) 大田原さまが おみえです。 (大造) お通ししてください。 8 00:00:25,526 --> 00:00:27,528 (照) どうぞ。 9 00:00:36,537 --> 00:00:41,475 (大田原) 剛太郎君。 お会いしたかった。 10 00:00:41,542 --> 00:00:44,545 (剛太郎) 私も お会いできて 光栄です。 11 00:00:46,547 --> 00:00:51,485 (大田原) 剛太郎君。 顔。 12 00:00:51,552 --> 00:00:54,488 (剛太郎) 私の顔が どうかしたんですか? 13 00:00:54,555 --> 00:00:57,491 違う。 違います。 14 00:01:01,495 --> 00:01:06,434 (剛太郎) 私の顔が どう 違うんですか? >> あっ。 違う。 15 00:01:06,500 --> 00:01:09,437 顔が どうこうしたと いうことではなくて→ 16 00:01:09,503 --> 00:01:14,508 何か 白いものが ついてるなと。 (剛太郎) えっ? 17 00:01:16,510 --> 00:01:21,449 (大造) あっ。 ホ… ホントだ。 白いもの。 粘土が ついてる。 18 00:01:21,515 --> 00:01:25,453 (剛太郎) ああ。 さっき まきさんと すみれの→ 19 00:01:25,519 --> 00:01:28,456 顔の泥を拭いた ハンカチで 顔を拭いたからですね。 20 00:01:28,522 --> 00:01:31,459 大田原さん。 失礼しました。 (大田原) いやいや。 こちらこそ。→ 21 00:01:31,525 --> 00:01:35,463 ああ。 初対面なのに 失礼なこと言って 申し訳ない。 22 00:01:35,529 --> 00:01:38,466 あらためて 初めまして。 大田原です。 23 00:01:38,532 --> 00:01:41,469 妻が 大変 お世話になりました。 24 00:01:41,535 --> 00:01:47,475 (大造) フフッ。 剛太郎君。 粘土 つけてるとは おかしい…。→ 25 00:01:47,541 --> 00:01:52,480 失礼。 失礼 失礼。 ハハハ。 26 00:01:52,546 --> 00:01:55,483 (剛太郎) あらためまして 枝川 剛太郎です。 27 00:01:55,549 --> 00:01:57,418 大田原さんには→ 28 00:01:57,485 --> 00:02:00,421 藤塚 剛太郎として お世話になったようですね。 29 00:02:00,488 --> 00:02:04,492 どうぞ お掛けください。 >> あっ。 じゃあ 失礼して。 30 00:02:06,494 --> 00:02:08,429 (剛太郎) まきさん。 (まき) はい。 31 00:02:08,496 --> 00:02:11,432 (すみれ) 失礼します。 32 00:02:11,499 --> 00:02:17,438 (大田原) いや。 妻の 洋子が 大変 お世話になりました。 33 00:02:17,505 --> 00:02:20,441 (剛太郎) ところで 妻の まきから 聞いたんですが→ 34 00:02:20,508 --> 00:02:23,444 私から 取り戻したいものとは 何でしょうか? 35 00:02:23,511 --> 00:02:27,448 そうでしたね。 いや。 実は→ 36 00:02:27,515 --> 00:02:31,452 妻の 洋子は ことし 亡くなりました。 37 00:02:31,519 --> 00:02:33,454 (剛太郎) ああ。 38 00:02:33,521 --> 00:02:38,459 私たちの家は アメリカ 西海岸の ロサンゼルスに あるんですが→ 39 00:02:38,526 --> 00:02:43,464 私は 仕事の都合上 東海岸の ビジネス街の ホテルで→ 40 00:02:43,531 --> 00:02:45,466 一人暮らしを しておりましたが→ 41 00:02:45,533 --> 00:02:48,469 たまに 西海岸の家に 帰っても→ 42 00:02:48,536 --> 00:02:53,474 妻は 日本文化の普及とやらで 忙しくしていて→ 43 00:02:53,541 --> 00:02:58,412 いつも 擦れ違いの生活でした。 (剛太郎) そうでしたか。 44 00:02:58,479 --> 00:03:07,421 そんな 擦れ違いの生活でも 妻に 先立たれると つらくてね。 45 00:03:07,488 --> 00:03:14,428 寂しくてね。 どうしようもなくてね。 46 00:03:14,495 --> 00:03:19,433 気が付いてみると 妻との 楽しかった 思い出は→ 47 00:03:19,500 --> 00:03:24,438 何一つ 浮かんでこない。 がく然としました。→ 48 00:03:24,505 --> 00:03:30,444 数少ない 私の 記憶の中の うれしそうな 妻の表情。→ 49 00:03:30,511 --> 00:03:36,450 それは いつも あなたのことを 話してるときでした。→ 50 00:03:36,517 --> 00:03:40,454 枝川流の娘さんに あなたを 紹介して→ 51 00:03:40,521 --> 00:03:44,458 縁談が成立したと 話していたときの 妻は→ 52 00:03:44,525 --> 00:03:49,463 ホントに うれしそうでした。 53 00:03:49,530 --> 00:03:52,466 私は 剛太郎君に→ 54 00:03:52,533 --> 00:03:57,471 妻との 楽しかった 思い出を お聞きしたい。 55 00:04:03,477 --> 00:04:06,413 あなたから 取り戻したいと 言ったのは→ 56 00:04:06,480 --> 00:04:13,487 生きてたころの 妻の 楽しげな表情や 姿なんです。 57 00:04:15,489 --> 00:04:20,427 (剛太郎) 申し訳ありませんが それは できません。 58 00:04:20,494 --> 00:04:22,429 どうしてですか? 59 00:04:22,496 --> 00:04:28,435 (剛太郎) 私は 日本に来て 事故に遭い 記憶を 失ってしまったんです。 60 00:04:28,502 --> 00:04:32,506 >> 記憶を 失った? (剛太郎) はい。 61 00:05:02,469 --> 00:05:05,806 {\an8}(大田原) いやぁ。 剛太郎君も 日本に来て 事故に遭い→ 62 00:05:05,839 --> 00:05:07,641 {\an8}記憶喪失に なるとは→ 63 00:05:08,108 --> 00:05:10,844 {\an8}とんだ 災難でしたね。 (剛太郎) はい。 64 00:05:11,412 --> 00:05:13,347 {\an8}(まき) あのう。 剛太郎さん。 (剛太郎) はい。 65 00:05:13,414 --> 00:05:17,351 {\an8}(まき) 今 何時ですか? (剛太郎) 10時になりますね。 66 00:05:17,418 --> 00:05:20,354 {\an8}(まき) すみれさん。 そろそろ お休みなさい。 67 00:05:20,421 --> 00:05:22,423 {\an8}(すみれ) はい。 68 00:05:24,425 --> 00:05:27,361 {\an8}(すみれ) 皆さま。 すみれは 先に 休ませていただきます。→ 69 00:05:27,428 --> 00:05:29,363 {\an8}ごきげんよう。 70 00:05:29,430 --> 00:05:31,432 {\an8}(大造) おやすみなさい。 (剛太郎) おやすみ。 71 00:05:34,435 --> 00:05:36,370 {\an8}(大田原) いやぁ。 ホントに しつけの 行き届いた→ 72 00:05:36,437 --> 00:05:39,440 {\an8}素晴らしい娘さんだ。 73 00:05:41,442 --> 00:05:43,377 {\an8}さてと。 じゃあ 私も→ 74 00:05:43,444 --> 00:05:45,379 {\an8}そろそろ おいとまを することに いたします。 75 00:05:45,446 --> 00:05:47,381 {\an8}(大造) ああ。 剛太郎君。 (剛太郎) はい。 76 00:05:47,448 --> 00:05:49,383 {\an8}(大造) 照に 車の用意を。 (大田原) ああ。 ご心配なく。→ 77 00:05:49,450 --> 00:05:51,385 {\an8}車 近くに 待たせてありますから。→ 78 00:05:51,452 --> 00:05:54,388 {\an8}それより 剛太郎君。 (剛太郎) はい。 79 00:05:54,455 --> 00:05:56,390 {\an8}(大田原) アメリカでの 記憶を たどりたくなったときには→ 80 00:05:56,457 --> 00:05:59,326 {\an8}すぐに 連絡を下さいよ。 お力に なります。 81 00:05:59,393 --> 00:06:01,328 {\an8}(剛太郎) そのときは よろしく お願いいたします。 82 00:06:01,395 --> 00:06:06,333 {\an8}(大造) 奥さまの 思い出話が できずに 残念でございました。 83 00:06:06,400 --> 00:06:11,338 {\an8}(大田原) 剛太郎君には ぜひとも 記憶を 取り戻してもらって→ 84 00:06:11,405 --> 00:06:14,341 {\an8}そのときに ゆっくりと お話を 聞かせてもらいます。 85 00:06:14,408 --> 00:06:17,344 (剛太郎) お話しが できるよう 努めます。 86 00:06:17,411 --> 00:06:20,347 (大田原) それでは 失礼します。 87 00:06:20,414 --> 00:06:24,418 (剛太郎) では お車のところまで ご一緒いたします。 88 00:06:34,428 --> 00:06:37,364 {\an8}(宮崎) あと 60個。 残りは あしたにしましょうか。 89 00:06:37,431 --> 00:06:41,368 {\an8}(里子) そうですね。 \(戸の開く音) 90 00:06:41,435 --> 00:06:44,371 (まき) 遅くまで お疲れさまです。 (里子) まきさん。 91 00:06:44,438 --> 00:06:47,374 (里子) どうされたんですか? こんな時間に。 92 00:06:47,441 --> 00:06:49,376 (まき) きっと 里子さんたちは→ 93 00:06:49,443 --> 00:06:52,379 仕事をしているって 思ったから 来たんです。 94 00:06:52,446 --> 00:06:57,384 (里子) ありがとうございます。 あっ。 すいません。 95 00:07:02,389 --> 00:07:04,324 \(ノック) (大造) おお。→ 96 00:07:04,391 --> 00:07:07,327 今から 出掛けるのかね? (剛太郎) いえ。 あしたの 準備です。 97 00:07:07,394 --> 00:07:10,330 (大造) あっ。 それじゃ ちょっと 一緒に 飲まないか? 98 00:07:10,397 --> 00:07:13,400 (剛太郎) あっ。 頂きます。 (大造) うん。 99 00:07:20,407 --> 00:07:24,344 (大造) くれぐれも 無理をしないように してくれよ。 100 00:07:24,411 --> 00:07:26,346 (大造) 体 第一で 頼むよ。 101 00:07:26,413 --> 00:07:28,348 (剛太郎) ありがとうございます。 (大造) うん。 102 00:07:28,415 --> 00:07:32,352 (剛太郎) それでは 枝川家と 枝川流のために。 103 00:07:32,419 --> 00:07:35,422 (大造) ああ。 乾杯。 (剛太郎) 乾杯。 104 00:07:39,426 --> 00:07:44,364 (剛太郎) しかし 大田原さんと お会いして 久しぶりに 思い出しました。 105 00:07:44,431 --> 00:07:46,366 (大造) 何をだね? 106 00:07:46,433 --> 00:07:48,368 (剛太郎) 10年前の 記憶を 失ったときの 自分は→ 107 00:07:48,435 --> 00:07:51,371 どんな自分だったんだろうって。 108 00:07:51,438 --> 00:07:53,373 大田原さんの お話を お聞きしても→ 109 00:07:53,440 --> 00:07:57,311 まったく 自分とは関係ない 人間の話を されているようで→ 110 00:07:57,377 --> 00:08:00,314 むしろ わくわくしました。 111 00:08:00,380 --> 00:08:04,318 いや。 そんなものかも しれないね。 112 00:08:04,384 --> 00:08:07,321 (剛太郎) もし 記憶を 取り戻したら→ 113 00:08:07,387 --> 00:08:10,324 真っ先に ご恩のある 家元に ご報告させていただきます。 114 00:08:10,390 --> 00:08:13,327 そうか。 楽しみにしているよ。 115 00:08:13,393 --> 00:08:16,330 (剛太郎) あしたから 留守にします。 まきさんと すみれのこと→ 116 00:08:16,396 --> 00:08:20,334 よろしく お願いします。 >> ああ。 117 00:08:20,400 --> 00:08:24,404 安心して 行ってきたまえ。 (剛太郎) はい。 118 00:08:24,404 --> 00:08:39,419 ♪~ 119 00:08:39,419 --> 00:08:42,356 (里子) 今日 まきさんと すみれさんと 作業してみて→ 120 00:08:42,422 --> 00:08:47,361 春子の 知らなかった 一面を 知ることが できました。 121 00:08:47,427 --> 00:08:50,364 (まき) どんなところですか? 122 00:08:50,430 --> 00:08:53,367 (里子) 意外と 人に 優しくって 怖がりなんだなって 思ったんです。 123 00:08:53,433 --> 00:08:59,306 (まき) 春子ちゃん。 本当に 私に 優しくしてくれました。 124 00:08:59,373 --> 00:09:02,309 怖がりなところは→ 125 00:09:02,376 --> 00:09:05,312 お母さんの 里子さんじゃないと 分からないけど。 126 00:09:05,379 --> 00:09:09,316 (里子) 目が見えない まきさんに 優しくしてねって 言ったら→ 127 00:09:09,383 --> 00:09:11,318 必死になって そうしてた。 128 00:09:11,385 --> 00:09:13,320 (まき) 私も すみれさんの→ 129 00:09:13,387 --> 00:09:16,323 知らなかった 一面を 発見しました。 130 00:09:16,390 --> 00:09:21,328 (里子) どんなことですか? (まき) 意外と 気が強いところ。 131 00:09:22,362 --> 00:09:27,301 (里子) それは お母さんの まきさんを 守ろうとしてるんだと 思います。 132 00:09:27,367 --> 00:09:30,370 私には そう 見えました。 (まき) そうね。 133 00:09:31,571 --> 00:09:36,510 すみれさんは いつも 私を 守ろうと してくれているわ。 134 00:09:36,576 --> 00:09:40,514 (里子) まきさん。 変な話を してもいい? 135 00:09:40,580 --> 00:09:44,518 (まき) 今日は 何でも話して。 136 00:09:44,585 --> 00:09:48,522 (里子) 私 最近 ずっと→ 137 00:09:48,588 --> 00:09:53,527 不安に 思ってたことが あったんです。 138 00:09:53,593 --> 00:09:56,530 (まき) よかったら 聞かせてくださらない? 139 00:09:56,596 --> 00:10:01,535 (里子) 最初は それが 何なのか 分からずにいて→ 140 00:10:01,601 --> 00:10:06,540 今の生活が どんどん どんどん 怖くなっていったんです。 141 00:10:06,606 --> 00:10:10,544 (まき) 怖く? (里子) そんなとき→ 142 00:10:10,610 --> 00:10:13,547 昔 お世話になった 旅館の 大女将から→ 143 00:10:13,613 --> 00:10:16,550 こんなことを 言われたの。 144 00:10:16,616 --> 00:10:20,554 (志乃)《人が 不安や 恐怖を 感じるのは→ 145 00:10:20,620 --> 00:10:23,557 ほの正体が 分からんからです》 146 00:10:23,623 --> 00:10:26,560 (志乃)《ほやから ほの正体を 突き止めて→ 147 00:10:26,626 --> 00:10:29,563 ほれと 真正面から 向き合えば→ 148 00:10:29,629 --> 00:10:34,568 不安や 恐怖は 和らぐことが あります》 149 00:10:34,634 --> 00:10:40,574 (里子) その正体を 突き詰めて 本気で 向かい合うことに したんです。 150 00:10:40,640 --> 00:10:42,576 (まき) それで? (里子) 問題が→ 151 00:10:42,642 --> 00:10:48,582 解決したわけでは ないんですけど 少なくとも 不安や 恐怖から→ 152 00:10:48,648 --> 00:10:51,585 逃げずに 立ち向かおうって 思えるように なったんです。 153 00:10:51,652 --> 00:10:55,655 (まき) 不安や 恐怖に 立ち向かう。 154 00:10:57,591 --> 00:11:01,528 里子さん。 この前 私に→ 155 00:11:01,595 --> 00:11:05,532 強い人だって おっしゃってくださったけど…。 156 00:11:05,599 --> 00:11:09,536 里子さん。 あなたも 強い人。 157 00:11:09,603 --> 00:11:12,539 (里子) 私は 強くなんか ありません。 158 00:11:12,606 --> 00:11:18,545 でも 大切な 春子を 守るためには→ 159 00:11:18,612 --> 00:11:21,548 私が 不安や 恐怖から 逃げていては→ 160 00:11:21,615 --> 00:11:23,550 前に進めないって 思ったの。 161 00:11:23,617 --> 00:11:27,554 (まき) 里子さんが 一番 怖いことって 何ですか? 162 00:11:27,621 --> 00:11:32,559 (里子) 私の 一番 怖いことですか? 163 00:11:32,626 --> 00:11:39,566 娘の 春子を失うことです。 164 00:11:39,633 --> 00:11:48,575 まきさんの 一番 怖いことを お聞きして よろしいですか? 165 00:11:48,642 --> 00:11:57,517 (まき) 夫の 剛太郎さん。 娘の すみれ。 家族を 失うことです。 166 00:11:57,584 --> 00:12:00,520 (里子) 私も まきさんも→ 167 00:12:00,587 --> 00:12:07,527 大切な家族を 失った 過去が あるんですよね。 168 00:12:07,594 --> 00:12:12,532 まきさん。 嫌なことを聞いても いいですか? 169 00:12:12,599 --> 00:12:14,534 (まき) 何ですか? 170 00:12:14,601 --> 00:12:23,543 (里子) お母さまを失った 悲しみは 今は…。 今は 思い出しますか? 171 00:12:23,610 --> 00:12:28,548 (まき) 遠藤さん。 ホントに 嫌な質問です。 172 00:12:28,615 --> 00:12:31,551 (里子) ごめんなさい。 173 00:12:31,618 --> 00:12:38,558 (まき) 私には 目が見えなくなった 現実だけが 残り→ 174 00:12:38,625 --> 00:12:45,565 母を亡くした 悲しみは もう なくしてしまったの。 175 00:12:45,632 --> 00:12:50,570 こんな私って ホントに 親不孝ですわよね。 176 00:12:50,637 --> 00:12:54,574 (里子) ごめんなさい。 まきさん。 177 00:12:54,641 --> 00:13:01,515 私は 夫と娘を 失った 悲しみは 忘れることは できません。 178 00:13:01,581 --> 00:13:06,520 (まき) 春子ちゃんの他に 娘さんが いたのね? 179 00:13:06,586 --> 00:13:11,591 (里子) はい。 赤ん坊のころに 亡くしました。 180 00:13:16,596 --> 00:13:21,535 (まき) 私たち これから 絶対に 幸せにならなくては→ 181 00:13:21,601 --> 00:13:27,541 人生の採算が 合わないって そう 思いませんこと? 182 00:13:27,607 --> 00:13:31,545 (里子) そうですね。 絶対に 幸せになりましょう。 183 00:13:31,611 --> 00:13:33,547 そのためにも まずは→ 184 00:13:33,613 --> 00:13:37,617 この招き猫を 完成させないとですね。 185 00:13:40,620 --> 00:13:43,557 (まき) そうですわね。 186 00:13:43,623 --> 00:13:49,563 里子さん。 私 枝川流の 家元 就任を→ 187 00:13:49,629 --> 00:13:55,569 もう一度 考えてみます。 (里子) そうですか。 188 00:13:55,635 --> 00:13:59,506 でも あまり ご無理 なさらないでください。 189 00:13:59,573 --> 00:14:03,577 (まき) 大丈夫です。 無理は しません。 190 00:14:13,720 --> 00:14:16,656 (里子) 春子。 朝だぞ。 191 00:14:16,723 --> 00:14:22,662 お弁当も できたから 朝ご飯 食べて 工房へ行こう。 192 00:14:22,729 --> 00:14:26,666 (春子) お母さん。 今日は 一段と パワーアップしてるね。 193 00:14:26,733 --> 00:14:29,669 (里子) 招き猫 頑張ろう。 (春子) 頑張ろう!→ 194 00:14:29,736 --> 00:14:31,671 うん。 頑張ろう。 195 00:14:32,906 --> 00:14:35,675 (剛太郎) なるべく早く 仕事を済ませて 日本に帰ってくるので→ 196 00:14:35,742 --> 00:14:37,677 みんな 安心して 待っていてほしい。 197 00:14:37,744 --> 00:14:39,679 (大造) うん。 (すみれ・まき) はい。 198 00:14:39,746 --> 00:14:45,685 (まき) 剛太郎さんが 旅立つ前に 私から ご報告が ございます。 199 00:14:45,752 --> 00:14:47,687 (剛太郎) 何ですか? 200 00:14:47,754 --> 00:14:52,692 (まき) お朝食の席で すみません。 (大造) どうしたんだ? 急に。 201 00:14:52,759 --> 00:14:58,632 (まき) 私 家元への就任を 一度 ご辞退 申し上げていて→ 202 00:14:58,698 --> 00:15:01,635 非常に 勝手だと 思うのですが→ 203 00:15:01,701 --> 00:15:07,707 枝川流 十八代 家元を 継がせていただきたいと思います。 204 00:15:09,709 --> 00:15:15,649 >> まき。 それは 本心か? (まき) はい。 205 00:15:15,715 --> 00:15:18,652 私 見えない恐怖から→ 206 00:15:18,718 --> 00:15:22,656 逃げることばかり 考えておりました。 207 00:15:22,722 --> 00:15:25,659 ですが その正体が 分かったのです。 208 00:15:25,725 --> 00:15:30,664 (大造) それは? (まき) それは 目が見えないのに→ 209 00:15:30,730 --> 00:15:34,668 他人の視線ばかり 気にしていたと いうことです。 210 00:15:34,734 --> 00:15:36,670 その正体が 分かったら→ 211 00:15:36,736 --> 00:15:40,674 何にでも 立ち向かえるような気が してまいりました。 212 00:15:40,740 --> 00:15:44,678 よくぞ その境地に 達した。 213 00:15:44,744 --> 00:15:53,687 私は この場で 十八代 家元は 枝川まきだと 叫びたいくらいだ。 214 00:15:53,753 --> 00:15:56,690 (剛太郎) まきさん。 ホントに いいんですね? 215 00:15:56,756 --> 00:15:59,693 (まき) はい。 (大造) 照。 216 00:16:01,695 --> 00:16:04,631 (照) はい。 何でございましょう? 旦那さま。 217 00:16:04,698 --> 00:16:07,634 (大造) まきの 家元 就任 披露パーティーは→ 218 00:16:07,701 --> 00:16:12,639 予定どおり 執り行う。 その旨 周知徹底させなさい。 219 00:16:12,706 --> 00:16:16,710 (照) はい。 承知いたしました。 220 00:16:19,713 --> 00:16:25,719 よくぞ 決断した。 (まき) はい。 お父さま。 221 00:16:33,727 --> 00:16:36,663 (宮崎) それでは 成型と 乾燥が 終わったので→ 222 00:16:36,730 --> 00:16:40,734 絵付けをして 焼きあげに入りたいと 思います。 223 00:16:49,743 --> 00:16:53,747 (すみれ) こちらですわ。 (まき) はい。 224 00:16:55,749 --> 00:16:57,684 (すみれ) そうです。 225 00:16:57,684 --> 00:17:15,702 ♪~ 226 00:17:15,702 --> 00:17:18,638 (春子) やった! 間に合った。→ 227 00:17:18,705 --> 00:17:21,641 イェーイ! 228 00:17:21,708 --> 00:17:23,643 (すみれ) お母さま。 完成しましたね。 229 00:17:23,710 --> 00:17:26,646 (まき) ええ。 ホントに よかったですわ。 230 00:17:26,713 --> 00:17:28,648 (宮崎) 何か 感動的ですね。 231 00:17:28,715 --> 00:17:31,651 (春子) 宮崎先生が 感動してる場合じゃ ないでしょ? 232 00:17:31,718 --> 00:17:33,653 (宮崎) そっか。 (春子) ねえ? 233 00:17:33,720 --> 00:17:35,655 (すみれ) 納期に 間に合わせていただいて→ 234 00:17:35,722 --> 00:17:37,657 ありがとうございました。 (まき) 皆さま。 235 00:17:37,724 --> 00:17:41,661 本当に ありがとうございました。 236 00:17:41,728 --> 00:17:44,664 今まで 黙っておりましたが→ 237 00:17:44,731 --> 00:17:46,666 私から 皆さまに ご報告が あります。 238 00:17:46,733 --> 00:17:48,668 (宮崎) 何ですか? 239 00:17:48,735 --> 00:17:51,671 (まき) 私 枝川流 十八代目 家元を→ 240 00:17:51,738 --> 00:17:54,674 あらためて お引き受けすることに いたしました。 241 00:17:54,741 --> 00:17:57,677 (里子) まきさん。 (まき) はい。 242 00:17:57,744 --> 00:17:59,679 それも 今回の経験が あってのことです。 243 00:17:59,746 --> 00:18:03,683 皆さまには 心より 感謝を 申し上げます。 244 00:18:03,750 --> 00:18:05,685 本当に ありがとうございます。 245 00:18:05,752 --> 00:18:09,689 (里子) おめでとうございます。 246 00:18:09,756 --> 00:18:11,758 (まき) ありがとうございます。 247 00:18:16,062 --> 00:18:20,667 (大造)皆さまには 日ごろより 枝川流を 愛していただき→ 248 00:18:21,401 --> 00:18:25,004 心より 感謝の気持ちを お伝えいたします。 249 00:18:26,573 --> 00:18:33,146 そして 本日 私の後継 第十八代 家元に→ 250 00:18:33,880 --> 00:18:39,819 娘の まきを 枝川 侃如として 据えますことを→ 251 00:18:39,886 --> 00:18:45,825 皆さまに ご報告いたしたく お集まりいただきました。 252 00:18:45,892 --> 00:18:53,900 それでは 枝川 侃如を 紹介させていただきます。 253 00:19:00,440 --> 00:19:03,443 (まき) 枝川 侃如でございます。 254 00:19:06,446 --> 00:19:11,384 (まき) 私は 一度 家元 就任を ご辞退させて いただきました。 255 00:19:11,451 --> 00:19:13,386 その理由は→ 256 00:19:13,453 --> 00:19:18,391 人前で お茶を たてることが 怖くなったからです。 257 00:19:18,458 --> 00:19:23,396 でも その恐怖を 克服し 今日 ここに→ 258 00:19:23,463 --> 00:19:29,402 皆さまに 家元 就任を ご報告させて いただきます。 259 00:19:31,404 --> 00:19:37,343 恐怖の原因は ある方から→ 260 00:19:37,410 --> 00:19:43,349 その正体が 分からないことだと 知らされました。 261 00:19:43,416 --> 00:19:50,356 そして 私は 考え その恐怖の原因を 見つけました。 262 00:19:50,423 --> 00:19:58,364 それは 本当の自分以上に 自分を 大きく見せることです。 263 00:19:58,431 --> 00:20:02,368 私は 目が見えません。 264 00:20:02,435 --> 00:20:06,372 ですから 人から どう 見られているか→ 265 00:20:06,439 --> 00:20:10,376 不安で なりませんでした。 266 00:20:10,443 --> 00:20:15,448 でも 私は その恐怖に 打ち勝ちました。 267 00:20:17,450 --> 00:20:22,388 私は どんなに哀れな 家元だと 言われても→ 268 00:20:22,455 --> 00:20:25,391 それを 乗り越えてまいります。 269 00:20:25,458 --> 00:20:33,333 そして 枝川流を 愛してくださる 皆さまを 決して 失望させない。 270 00:20:33,399 --> 00:20:39,405 そんな家元として 枝川流を 守ってまいります。 271 00:20:43,409 --> 00:20:49,349 (まき) ここで ゆくゆくは 第十九代 家元を継ぐ→ 272 00:20:49,415 --> 00:20:54,354 私の娘 すみれを ご紹介させて いただきます。 273 00:20:54,420 --> 00:20:56,356 (すみれ) えっ? 274 00:20:56,422 --> 00:21:00,426 (まき) すみれ。 ここへ いらっしゃい。 275 00:21:06,432 --> 00:21:09,369 (まき) すみれからも 一言 お話しなさい。 276 00:21:09,435 --> 00:21:12,438 (すみれ) はい。 お母さま。 277 00:21:19,445 --> 00:21:24,384 (すみれ) ただ今 ご紹介いただきました→ 278 00:21:24,450 --> 00:21:27,387 枝川すみれです。 279 00:21:29,389 --> 00:21:33,326 (すみれ) 私も お母さまの跡を 継いで→ 280 00:21:33,393 --> 00:21:40,333 枝川流のために 一生を捧げる 覚悟でございます。→ 281 00:21:40,400 --> 00:21:45,338 精進を 重ねてまいりますので→ 282 00:21:45,405 --> 00:21:50,410 ご指導 よろしく お願い申し上げます。 283 00:21:50,410 --> 00:22:09,429 ♪~