1 00:00:01,830 --> 00:00:05,230 (あさ)びっくりぽんや。 突然 来はるやなんて! 2 00:00:05,230 --> 00:00:10,070 (梨江)バタバタしてるうちに 京を出る日ぃが近づいてしもて。 3 00:00:10,070 --> 00:00:14,910 せやさかい 慌てて ご挨拶に寄せてもろたんえ。 4 00:00:14,910 --> 00:00:19,580 はぁ… いよいよ 行ってしまいはるんだすなぁ。 5 00:00:19,580 --> 00:00:22,480 まずは あんたと話してる場合や ありまへん。 6 00:00:22,480 --> 00:00:25,920 お姑さんに ご挨拶せな。 7 00:00:25,920 --> 00:00:30,260 へ? お母はんが お母様に? 8 00:00:30,260 --> 00:00:34,130 ♬「朝の空を見上げて」 9 00:00:34,130 --> 00:00:38,600 ♬「今日という一日が」 10 00:00:38,600 --> 00:00:43,470 ♬「笑顔でいられるように」 11 00:00:43,470 --> 00:00:48,280 ♬「そっと お願いした」 12 00:00:48,280 --> 00:00:52,610 ♬「時には雨も降って」 13 00:00:52,610 --> 00:00:56,950 ♬「涙も溢れるけど」 14 00:00:56,950 --> 00:01:01,790 ♬「思い通りにならない日は」 15 00:01:01,790 --> 00:01:06,560 ♬「明日 頑張ろう」 16 00:01:06,560 --> 00:01:10,900 ♬「ずっと見てる夢は」 17 00:01:10,900 --> 00:01:15,400 ♬「私が もう一人いて」 18 00:01:15,400 --> 00:01:19,740 ♬「やりたいこと 好きなように」 19 00:01:19,740 --> 00:01:23,610 ♬「自由にできる夢」 20 00:01:23,610 --> 00:01:27,910 ♬「人生は紙飛行機」 21 00:01:27,910 --> 00:01:33,250 ♬「願い乗せて飛んで行くよ」 22 00:01:33,250 --> 00:01:37,920 ♬「風の中を力の限り」 23 00:01:37,920 --> 00:01:44,260 ♬「さあ 心のままに」 24 00:01:44,260 --> 00:01:49,600 2人で話するいうて 何の話 したはんのやろ? 25 00:01:49,600 --> 00:01:56,380 娘が いつも いつも ほんまに申し訳ございません。 26 00:01:56,380 --> 00:01:59,110 (よの)いやいや 何を おっしゃいますやら。 27 00:01:59,110 --> 00:02:03,080 いいえ… 嫁いで10年もたついうのに➡ 28 00:02:03,080 --> 00:02:07,550 いろいろ 嫁として至らんところが あるようで…。 29 00:02:07,550 --> 00:02:11,420 うちこそ 至らん姑で…。 30 00:02:11,420 --> 00:02:15,900 いろいろ教えな思ても あささんは 月の半分は➡ 31 00:02:15,900 --> 00:02:19,570 九州 行ってしまいはるさかい 何も でけへんて➡ 32 00:02:19,570 --> 00:02:23,900 情けないなぁいうて いつも話してますのや。 なぁ? 33 00:02:23,900 --> 00:02:25,940 (かの)へぇ ほんに。 34 00:02:25,940 --> 00:02:31,080 うちが嫁に来た頃は お姑さんが厳しゅうてなぁ。 35 00:02:31,080 --> 00:02:36,250 へぇ うちも同じどす。 「今井の嫁ともあろう者が➡ 36 00:02:36,250 --> 00:02:40,590 何してはりますのや!」なんて 毎日 言われて。 37 00:02:40,590 --> 00:02:46,930 自分は決して ああはならへんいう 心積もりでおましたんやけど➡ 38 00:02:46,930 --> 00:02:53,270 今は もう何て言いますか あの お姑さんの気持ちも➡ 39 00:02:53,270 --> 00:02:59,140 ちょっとは 分かるように なってきたと申しますか。 フフフフフ。 40 00:02:59,140 --> 00:03:01,370 笑われへん。 41 00:03:01,370 --> 00:03:06,880 これ… 大したものやありまへんけど。 42 00:03:06,880 --> 00:03:10,180 ああ 何だすやろ? 43 00:03:12,220 --> 00:03:16,560 わぁ! まあ なんと美しい。 44 00:03:16,560 --> 00:03:21,230 加野屋様に似合う思うて お仕立てしてきたんどす。 45 00:03:21,230 --> 00:03:24,260 まあ! なぁ かの 見て。 46 00:03:24,260 --> 00:03:28,400 加野屋様 どうぞ これからも➡ 47 00:03:28,400 --> 00:03:33,900 娘を よろしゅうお願い致します。 ああ もちろんだす! 48 00:03:35,580 --> 00:03:38,280 (梨江)おおきに。 49 00:03:45,250 --> 00:03:48,290 はぁ…。 50 00:03:48,290 --> 00:03:53,430 そないに いつも いつも 家を空けてたやなんて…。 51 00:03:53,430 --> 00:03:58,930 ほんまやったら 離縁されても おかしない事どすえ。 52 00:03:58,930 --> 00:04:02,200 へぇ。 すんまへん。 53 00:04:02,200 --> 00:04:07,540 東京に行きはる最後の最後まで 心配させてしもて。 54 00:04:07,540 --> 00:04:12,210 あさ。 あんた 覚えてる? 55 00:04:12,210 --> 00:04:17,050 あんたが小さい時に うちが➡ 56 00:04:17,050 --> 00:04:21,920 おなごは 何も知らんでええ みたいに言うた事。 57 00:04:21,920 --> 00:04:27,690 [ 回想 ] お商売の事も 世間の事も おなごは 何も心配せんと➡ 58 00:04:27,690 --> 00:04:31,230 ただ お嫁に行ったらええんです。 59 00:04:31,230 --> 00:04:35,900 うちは ほんまに そう思うてた。 60 00:04:35,900 --> 00:04:40,770 そやけど その うちの考えは➡ 61 00:04:40,770 --> 00:04:45,910 間違うてたのかもしれへん。 62 00:04:45,910 --> 00:04:51,790 その証拠に はつのお家は あないなってしもたいうのに➡ 63 00:04:51,790 --> 00:04:55,260 ご商売に首を突っ込んだ あんたは➡ 64 00:04:55,260 --> 00:04:59,590 こうして 今でも お家を守ってる。 65 00:04:59,590 --> 00:05:06,870 はつは 何も悪ない。 悪いのは うちなんや。 66 00:05:06,870 --> 00:05:10,540 そうだすやろか? 67 00:05:10,540 --> 00:05:15,880 うちも 間違うてるて思うんだす。 68 00:05:15,880 --> 00:05:23,220 そうかて なんぼ お家のためにて 頑張っても 何やかんや言うて➡ 69 00:05:23,220 --> 00:05:27,890 殿方は 家にいてる おなごはんが 好きなんだすやろ? 70 00:05:27,890 --> 00:05:31,220 (笑い声) 71 00:05:31,220 --> 00:05:37,900 驚いた! あんたが 今更 そないな事 思うてたやなんて。 72 00:05:37,900 --> 00:05:41,570 嫌や 笑わんといとくれやす。 73 00:05:41,570 --> 00:05:47,240 おなごとしての自信が あれへんのだす。 (笑い声) 74 00:05:47,240 --> 00:05:52,580 自信 持ちなさい。 これからの おなごは➡ 75 00:05:52,580 --> 00:05:56,450 あんたのように生きた方が ええのかもしれへんえ。 76 00:05:56,450 --> 00:05:58,920 え? 77 00:05:58,920 --> 00:06:04,720 あさのように 胸を張って 堂々と…。 まあ➡ 78 00:06:04,720 --> 00:06:11,200 せやけど あんたの場合は ちと やり過ぎや思いますけどな。 79 00:06:11,200 --> 00:06:17,540 おなごの しなやかさを 忘れたら あきまへんえ。 80 00:06:17,540 --> 00:06:22,410 へぇ 分かりました。 81 00:06:22,410 --> 00:06:25,710 おおきに お母はん。 82 00:06:28,180 --> 00:06:30,880 そや。 83 00:06:33,090 --> 00:06:36,560 これを…➡ 84 00:06:36,560 --> 00:06:42,560 あんたから はつに渡してくれへんか。 85 00:06:49,570 --> 00:06:52,240 これは…? 86 00:06:52,240 --> 00:06:57,910 和歌山にある 今井の土地の証文や。 87 00:06:57,910 --> 00:07:00,810 土地の? 88 00:07:00,810 --> 00:07:05,520 ここはもう 長い事 誰も使うてへん。 89 00:07:05,520 --> 00:07:09,190 今井が東京へ行ったら なおさらや。 90 00:07:09,190 --> 00:07:12,530 それやったら はつや ご一家の皆さんが➡ 91 00:07:12,530 --> 00:07:16,400 新しい人生始めるのに 使うてほしい思て。 92 00:07:16,400 --> 00:07:19,400 そやけど…。 うちが渡しても➡ 93 00:07:19,400 --> 00:07:23,040 はつは 決して受け取らへん。 94 00:07:23,040 --> 00:07:29,540 そやから あんたに ええ時に渡してほしいんや。 95 00:07:31,540 --> 00:07:36,880 これは うちと お父はんからの➡ 96 00:07:36,880 --> 00:07:40,880 最後の贈り物なんや。 97 00:07:48,900 --> 00:07:54,770 (うめ)もう お帰りやて さみしおますなぁ。 せやなぁ。 98 00:07:54,770 --> 00:07:57,570 うめ。 99 00:07:57,570 --> 00:08:04,840 あの あさを よう守ってくれて おおきに。 100 00:08:04,840 --> 00:08:11,720 あんたが いてくれるおかげで どんだけ力になってるか。 101 00:08:11,720 --> 00:08:16,020 これからも よろしゅう頼むえ。 102 00:08:16,020 --> 00:08:20,190 へぇ。 おあさ様も ああ見えてはりますけど➡ 103 00:08:20,190 --> 00:08:22,860 女子衆や丁稚から よう慕われて➡ 104 00:08:22,860 --> 00:08:26,200 ええ奥様のところも おありになりますんだす。 105 00:08:26,200 --> 00:08:29,540 それやったら よかったわ。 106 00:08:29,540 --> 00:08:33,870 さすがに もう相撲は 取ってへんやろなぁ? 107 00:08:33,870 --> 00:08:36,780 へぇ もちろんだす。 108 00:08:36,780 --> 00:08:39,780 [ 回想 ] う~ん… えいやっ! 109 00:08:41,750 --> 00:08:44,220 (亀助)まあ ええか。 110 00:08:44,220 --> 00:08:46,550 ≪(新次郎)お母さん! 111 00:08:46,550 --> 00:08:52,060 やぁ 来てはったんだすか。 新次郎さん。 112 00:08:52,060 --> 00:08:56,400 これと これと…➡ 113 00:08:56,400 --> 00:08:59,230 これも かわいらしいなぁ。 114 00:08:59,230 --> 00:09:02,000 母に こないぎょうさん お土産 頂いては…。 115 00:09:02,000 --> 00:09:05,840 次 いつ会えるか 分からへんいうのに。➡ 116 00:09:05,840 --> 00:09:08,510 なぁ これもええな?➡ 117 00:09:08,510 --> 00:09:11,180 フフフフフ。 これも入れとこ。 118 00:09:11,180 --> 00:09:13,480 ≪(はつ)ごめんやす。 119 00:09:15,850 --> 00:09:19,520 あさ。 お漬物が やっと出来たさかい。 120 00:09:19,520 --> 00:09:23,520 お姉ちゃん あのな…。 121 00:09:26,290 --> 00:09:32,100 新次郎さんには ほんまに あさが ご迷惑をおかけして…。 122 00:09:32,100 --> 00:09:36,870 いや お母さん。 あさが あない働いてくれてるのは➡ 123 00:09:36,870 --> 00:09:40,210 わてのせえだすのや。 え? 124 00:09:40,210 --> 00:09:44,540 わてが ふがいない分 全部 あさに やってもろて。 125 00:09:44,540 --> 00:09:48,410 こないなんで ええのか思う事も ありますんやけどな。 126 00:09:48,410 --> 00:09:53,890 何や あさの顔 見てたら 「ま ええか」て思いますのや。 127 00:09:53,890 --> 00:09:58,220 そないいうたら ほんまどすなぁ。 128 00:09:58,220 --> 00:10:02,060 京都で いやいや お裁縫していた時より➡ 129 00:10:02,060 --> 00:10:07,570 今の方が よっぽど ええ顔してましたわ。 なぁ? 130 00:10:07,570 --> 00:10:11,240 へぇ ほんまだすなぁ。 131 00:10:11,240 --> 00:10:14,140 新次郎さん。 132 00:10:14,140 --> 00:10:21,880 どうぞ これからも あの子の手綱 しっかり 握っといとおくれやす。 133 00:10:21,880 --> 00:10:25,250 いやいや… お母さん そない頭 下げてもろても➡ 134 00:10:25,250 --> 00:10:29,120 わて 何もしてしまへんのだす。 135 00:10:29,120 --> 00:10:31,760 お母はん! 136 00:10:31,760 --> 00:10:34,260 はつ。 137 00:10:35,930 --> 00:10:40,230 これは 受け取られしまへん。 138 00:10:42,270 --> 00:10:48,940 家を失うたのは 山王寺屋が自ら招いた災いだす。 139 00:10:48,940 --> 00:10:52,280 潰れて お家が のうなってしもても➡ 140 00:10:52,280 --> 00:10:57,620 山王寺屋は もう意地でも 今井屋から施しを受ける訳には…。 141 00:10:57,620 --> 00:11:02,920 施しやなんて そんなつもりや…! お願いだす。 142 00:11:05,890 --> 00:11:09,590 持って帰っとくなはれ。 143 00:11:14,900 --> 00:11:18,770 あ… バンクや。 144 00:11:18,770 --> 00:11:21,410 は? バンク? 145 00:11:21,410 --> 00:11:25,240 そうだす。 銀行だす。 146 00:11:25,240 --> 00:11:30,420 お姉ちゃん。 お父はんが作りはる 銀行いうのはな➡ 147 00:11:30,420 --> 00:11:38,290 志のある人を応援するために お金 貸してくれはるとこなんだす。 148 00:11:38,290 --> 00:11:44,600 今 お姉ちゃんと惣兵衛さんは お子たちも増えて➡ 149 00:11:44,600 --> 00:11:48,940 精いっぱい お仕事 頑張ってはる。 150 00:11:48,940 --> 00:11:54,440 その志のある お姉ちゃんを 信用して 応援して➡ 151 00:11:54,440 --> 00:12:01,940 助けてくれる… それが 銀行いうもんなんだす。 152 00:12:04,550 --> 00:12:09,890 そやさかい これは もらうのやあれへん。 153 00:12:09,890 --> 00:12:13,890 貸してもろたら ええんだす。 154 00:12:16,560 --> 00:12:20,230 ほんで これ 貸してもろた分➡ 155 00:12:20,230 --> 00:12:25,100 お姉ちゃんたちが その信用に応えて 頑張って➡ 156 00:12:25,100 --> 00:12:31,580 そないして いつか何倍にでもして 返したら よろしいのや。 157 00:12:31,580 --> 00:12:34,410 そんな事 できる訳…。 158 00:12:34,410 --> 00:12:38,580 いえ。 そうしなさい。 159 00:12:38,580 --> 00:12:45,580 あんたも言うてたやないの 「青物には 不思議な力がある」て。 160 00:12:48,260 --> 00:12:53,600 あんたらは まだ若い。 これから いくらかて➡ 161 00:12:53,600 --> 00:12:59,300 地に足つけて 新しい人生 歩む事ができるんえ。 162 00:13:01,410 --> 00:13:07,550 うちも お父はんもな あんたに それ 貸して➡ 163 00:13:07,550 --> 00:13:14,890 あんたら親子が これから どう生きるのか見届けたいんや。 164 00:13:14,890 --> 00:13:17,790 お母はん。 165 00:13:17,790 --> 00:13:21,760 お願いや はつ。 166 00:13:21,760 --> 00:13:27,470 母の 最後のお願いどす。 167 00:13:27,470 --> 00:13:40,910 ♬~ 168 00:13:40,910 --> 00:13:43,910 分かりました。 169 00:13:53,490 --> 00:13:58,190 遠慮のう お借りします。 170 00:14:06,870 --> 00:14:09,780 おおきに。 171 00:14:09,780 --> 00:14:13,750 ほんま おおきに! お母はん。 172 00:14:13,750 --> 00:14:30,100 ♬~ 173 00:14:30,100 --> 00:14:34,570 <そして 数か月後> 174 00:14:34,570 --> 00:14:37,570 失礼致します お父様。 175 00:14:40,910 --> 00:14:44,580 ご相談したい事があるんだす。 176 00:14:44,580 --> 00:14:48,410 (正吉)そろそろ来る頃やと 思うてましたんや。 177 00:14:48,410 --> 00:14:50,610 え?