1 00:00:01,950 --> 00:00:04,890 (あさ)何で 旦那様とサトシさんが…。 2 00:00:04,890 --> 00:00:09,190 (うめ)嫌やわ あの横にいてはるの 八っちゃんだすわ。 3 00:00:09,190 --> 00:00:13,030 八っちゃん? 千代を頼みます。 4 00:00:13,030 --> 00:00:16,370 うちは もう少し ここで 様子 見ていきますさかい。 5 00:00:16,370 --> 00:00:19,070 (うめ)承知致しました。 6 00:00:21,240 --> 00:00:25,710 (新次郎)やっぱり お前やったんやな。 7 00:00:25,710 --> 00:00:30,710 久しぶりやなぁ 新次郎坊ちゃん。 8 00:00:35,050 --> 00:00:40,860 聞きたい事が3つありますんや。 9 00:00:40,860 --> 00:00:46,400 お母さんは お元気だすのか? 10 00:00:46,400 --> 00:00:52,570 とっくに死んだわ。 大阪離れて すぐや。 11 00:00:52,570 --> 00:00:59,740 そうか。 お父ちゃんも ようやっと見つけ出した時には➡ 12 00:00:59,740 --> 00:01:04,180 もう死んでた。 それから ず~っと➡ 13 00:01:04,180 --> 00:01:08,020 貧乏神に追いかけられて 流浪の暮らしや。 14 00:01:08,020 --> 00:01:11,020 (くしゃみ) は… しもた。 15 00:01:13,890 --> 00:01:16,690 あさか? 16 00:01:16,690 --> 00:01:20,560 あさ! すんまへん…。 17 00:01:20,560 --> 00:01:24,570 ♬「朝の空を見上げて」 18 00:01:24,570 --> 00:01:29,040 ♬「今日という一日が」 19 00:01:29,040 --> 00:01:33,910 ♬「笑顔でいられるように」 20 00:01:33,910 --> 00:01:38,720 ♬「そっと お願いした」 21 00:01:38,720 --> 00:01:43,050 ♬「時には雨も降って」 22 00:01:43,050 --> 00:01:47,390 ♬「涙も溢れるけど」 23 00:01:47,390 --> 00:01:52,260 ♬「思い通りにならない日は」 24 00:01:52,260 --> 00:01:57,070 ♬「明日 頑張ろう」 25 00:01:57,070 --> 00:02:01,340 ♬「ずっと見てる夢は」 26 00:02:01,340 --> 00:02:05,840 ♬「私が もう一人いて」 27 00:02:05,840 --> 00:02:10,180 ♬「やりたいこと 好きなように」 28 00:02:10,180 --> 00:02:14,050 ♬「自由にできる夢」 29 00:02:14,050 --> 00:02:18,350 ♬「人生は紙飛行機」 30 00:02:18,350 --> 00:02:23,690 ♬「願い乗せて飛んで行くよ」 31 00:02:23,690 --> 00:02:28,360 ♬「風の中を力の限り」 32 00:02:28,360 --> 00:02:33,360 ♬「さあ 心のままに」 33 00:02:37,040 --> 00:02:42,710 やっぱり こっちのうどんは だしが ええなぁ。 34 00:02:42,710 --> 00:02:46,010 せやろ。 35 00:02:48,590 --> 00:02:53,590 早 食べなはれ。 へぇ…。 36 00:02:57,060 --> 00:03:03,060 も一つの お前の聞きたい事 当てたろか? 37 00:03:05,340 --> 00:03:10,670 炭坑に 爆薬 仕掛けたんは わいや。 38 00:03:10,670 --> 00:03:15,010 何で そないな事しましたんや? 決まってるやろが。 39 00:03:15,010 --> 00:03:19,680 加野屋に あの山から 手ぇ引かせよ思たからや。 40 00:03:19,680 --> 00:03:25,560 大阪の金の亡者の金貸しが わざわざ 九州の炭坑にまで➡ 41 00:03:25,560 --> 00:03:29,690 手ぇ出しくさって。 事故の一つでも起こしたら➡ 42 00:03:29,690 --> 00:03:34,030 すぐ 怖なって 手ぇ引くやろ思たからや。 43 00:03:34,030 --> 00:03:37,370 お前らにとっては 炭坑なんて➡ 44 00:03:37,370 --> 00:03:42,710 所詮 両替屋やってる ついでやろが! そやのに➡ 45 00:03:42,710 --> 00:03:49,380 石炭は 日本の支えやら きれい事ぬかしやがって…➡ 46 00:03:49,380 --> 00:03:53,550 へどが出たわ! そんな…。 47 00:03:53,550 --> 00:03:57,750 うちは ほんまに あの山を…! あさ。 48 00:04:01,290 --> 00:04:04,830 ほんなら➡ 49 00:04:04,830 --> 00:04:11,030 最後の聞きたい事 よろしか? 50 00:04:13,000 --> 00:04:18,340 これから どないしたい? 51 00:04:18,340 --> 00:04:25,040 何かしたい思たから 大阪まで来ましたんやろ? 52 00:04:26,680 --> 00:04:31,350 うちの店に 火ぃでもつけたろ 思いましたんか? 53 00:04:31,350 --> 00:04:34,260 思たわ。 54 00:04:34,260 --> 00:04:38,230 大番頭が警察に言うたら わいは この先➡ 55 00:04:38,230 --> 00:04:43,070 もう どこの山でも働かれへん。 ハッ。 破れかぶれや! 56 00:04:43,070 --> 00:04:50,370 最後に 加野屋もろとも 吹き飛ばしてしもたろかってな。 57 00:04:50,370 --> 00:04:56,050 せやけど… そら やめたわ。 58 00:04:56,050 --> 00:05:01,320 お前の親父さん もう死ぬみたいやしなぁ。 59 00:05:01,320 --> 00:05:04,350 わいが そないな事せんでも 加野屋は親父さん死んだら➡ 60 00:05:04,350 --> 00:05:08,150 潰れるて 町で聞いたさかい。 61 00:05:10,330 --> 00:05:14,200 そうか…。 62 00:05:14,200 --> 00:05:17,830 そら…➡ 63 00:05:17,830 --> 00:05:22,010 堪忍な。 64 00:05:22,010 --> 00:05:32,020 ♬~ 65 00:05:32,020 --> 00:05:38,790 お前が そない ひねくれた考えに なってしもたんは➡ 66 00:05:38,790 --> 00:05:43,630 わてのせえや。 67 00:05:43,630 --> 00:05:48,030 わてが あの時➡ 68 00:05:48,030 --> 00:05:52,700 お前 助けられへんかったさかいや。 69 00:05:52,700 --> 00:05:56,040 今やったら…。 70 00:05:56,040 --> 00:06:01,310 いや… わては 今でも頼んないけど➡ 71 00:06:01,310 --> 00:06:06,980 それでも今やったら もうちょっと 何かできるかも分かれへん。 72 00:06:06,980 --> 00:06:11,320 せや。 寝泊まりするとこは? ん? 73 00:06:11,320 --> 00:06:15,660 これから どないして 生きてくつもりだす? 74 00:06:15,660 --> 00:06:20,000 お金… ありますのんか? 75 00:06:20,000 --> 00:06:22,300 お前…。 76 00:06:24,870 --> 00:06:32,170 いいや 旦那様 それは あきまへん。 77 00:06:35,550 --> 00:06:42,020 店 恨んではんのやったら なんぼでも恨んどくなはれ。 78 00:06:42,020 --> 00:06:47,690 うちのやる事に意見するのも 悪態つきはんのも かましまへん。 79 00:06:47,690 --> 00:06:53,200 そやけど… なんぼ 何かを恨んだとしても➡ 80 00:06:53,200 --> 00:07:00,470 憎んだとしても… 事故を起こす事➡ 81 00:07:00,470 --> 00:07:05,970 それだけは したら あかんかったんと違いますのか? 82 00:07:09,180 --> 00:07:13,820 落盤事故が どないに危険か そんなん うちより➡ 83 00:07:13,820 --> 00:07:17,320 サトシさんの方が よう分かったはるはずだす! 84 00:07:17,320 --> 00:07:21,990 たまたま みんな助かっただけで 死人が ぎょうさん出たかて➡ 85 00:07:21,990 --> 00:07:25,330 おかしなかったんだっせ! 86 00:07:25,330 --> 00:07:31,200 親分さんかて まだ 足 引きずったはります。 87 00:07:31,200 --> 00:07:37,670 坑夫のみんなかて 今もまだ 山で働く事がでけへんよって➡ 88 00:07:37,670 --> 00:07:43,010 食いぶちも のうて 先も見えず 途方に暮れてはります。 89 00:07:43,010 --> 00:07:46,680 加野屋が 蓄え全部 出したかて➡ 90 00:07:46,680 --> 00:07:52,020 到底 みんなを助ける事なんか でけしまへん! 91 00:07:52,020 --> 00:07:56,690 そんだけ あんさんが起こしはった➡ 92 00:07:56,690 --> 00:07:59,360 事故いうのは 大きい事やったんだす! 93 00:07:59,360 --> 00:08:03,230 取り返しのつかへん事 やったんだす! 94 00:08:03,230 --> 00:08:05,640 加野屋に 手ぇ引かせるためだけやったら➡ 95 00:08:05,640 --> 00:08:07,970 いっそ うちを 包丁で刺してくれはった方が➡ 96 00:08:07,970 --> 00:08:12,480 どれだけ ましやったか! 何ちゅう事 言いますねん。 97 00:08:12,480 --> 00:08:14,980 それに…➡ 98 00:08:14,980 --> 00:08:20,650 サトシさんは 立派な 納屋頭さんやったやおまへんか。 99 00:08:20,650 --> 00:08:24,990 あんさん信じてくれてはる 親分さんや➡ 100 00:08:24,990 --> 00:08:27,660 慕うてくれてはる 坑夫のみんなが➡ 101 00:08:27,660 --> 00:08:34,000 あない ようけいたはるいうのに… こないな事して➡ 102 00:08:34,000 --> 00:08:37,870 あげく 山から逃げ出して! あの山の皆さんに➡ 103 00:08:37,870 --> 00:08:40,500 申し訳あれへんて 思いはれへんのだすか!? 104 00:08:40,500 --> 00:08:42,800 あさ! 105 00:08:47,180 --> 00:08:52,680 罪… 償うとくなはれ。 106 00:08:52,680 --> 00:08:57,020 あさ… もう やめてくれ。 107 00:08:57,020 --> 00:09:01,860 すんまへん 旦那様。 そやけど もう うちは➡ 108 00:09:01,860 --> 00:09:08,860 炭坑のみんなや お家 守らなあかん立場なんだす。 109 00:09:10,570 --> 00:09:14,500 偽善者では あかん。 110 00:09:14,500 --> 00:09:20,980 優しい事だけ言うてる訳には いかしまへんのや。 111 00:09:20,980 --> 00:09:24,650 あんたも やっぱり…➡ 112 00:09:24,650 --> 00:09:27,950 人でなしやな。 113 00:09:29,520 --> 00:09:36,820 いや それでええんや。 加野屋の旦那さんと おんなじや。 114 00:09:40,000 --> 00:09:44,500 わいのお父ちゃん言うてた。 のれん分けする時に➡ 115 00:09:44,500 --> 00:09:49,370 旦那さんから 「何があっても➡ 116 00:09:49,370 --> 00:09:53,180 決して 金の貸し借りだけは でけへん。➡ 117 00:09:53,180 --> 00:09:57,350 それが しきたりや」 言われたてなぁ。 118 00:09:57,350 --> 00:10:04,020 せやけど わいは お父ちゃんと お母ちゃんが苦しむの➡ 119 00:10:04,020 --> 00:10:13,030 見てられへんかって… そんで お前にムチャ言うた。 120 00:10:13,030 --> 00:10:18,900 お前が優しいの知ってて ムチャ言うたんや。 121 00:10:18,900 --> 00:10:24,370 今かて… 事故 起こした わいを 助けるやて? 122 00:10:24,370 --> 00:10:30,050 アホか? 人よすぎて 腹立つわ! 123 00:10:30,050 --> 00:10:36,920 わいは この女 大っ嫌いやけどなぁ…。 124 00:10:36,920 --> 00:10:43,620 そんでも 今は こっちゃが道理だって 分かる。 125 00:10:49,730 --> 00:10:52,730 すまんかった。 126 00:10:56,610 --> 00:10:59,610 松造…。 127 00:11:02,310 --> 00:11:06,180 ほれ… 顔 上げてぇな。 128 00:11:06,180 --> 00:11:08,520 いや 上げられへん。 129 00:11:08,520 --> 00:11:14,720 そやけど 最後に一つだけ頼みがある。 130 00:11:18,690 --> 00:11:22,530 (正吉) よう来てくれはりましたなぁ。 131 00:11:22,530 --> 00:11:28,040 合わす顔あれへんのは 分かってます。 132 00:11:28,040 --> 00:11:31,540 せやけど わいは…。 133 00:11:31,540 --> 00:11:34,340 松造はん。 134 00:11:37,350 --> 00:11:44,250 お父ちゃん 助けられんで すまなんだ。 135 00:11:44,250 --> 00:11:49,890 いくら約束やからというてもや➡ 136 00:11:49,890 --> 00:11:56,390 なんぞ ほかに助ける手だてが あったかもしれへんのに…。 137 00:12:00,540 --> 00:12:06,240 私の力不足や。 138 00:12:08,280 --> 00:12:12,280 堪忍してや! 139 00:12:15,350 --> 00:12:19,220 (正吉)あんたのお父さんなぁ➡ 140 00:12:19,220 --> 00:12:25,060 よう働く ええ番頭さんやったんやで。 141 00:12:25,060 --> 00:12:27,930 おい よの。 142 00:12:27,930 --> 00:12:32,770 この… これな。 あんたのお父さんが➡ 143 00:12:32,770 --> 00:12:38,210 帳簿を締めてはった頃の大福帳な。 144 00:12:38,210 --> 00:12:44,710 ほれ ほれ! あ~ きれいな字やなぁ。 145 00:12:44,710 --> 00:12:48,550 あ~ ここ ここ。 ほら こんなとこ。 146 00:12:48,550 --> 00:12:51,890 私が ちょっと書き間違えてたら もう 知らん顔してフッと➡ 147 00:12:51,890 --> 00:12:55,390 直しといてくれはりましたんや。 148 00:12:55,390 --> 00:13:00,890 ほんまに頼りがいのある人やった。 149 00:13:04,670 --> 00:13:07,670 ああ…。 150 00:13:10,010 --> 00:13:13,680 このまんじゅうなぁ➡ 151 00:13:13,680 --> 00:13:17,550 あんたのお父さんが 大好きやった➡ 152 00:13:17,550 --> 00:13:22,350 ふなはし屋の黒糖まんじゅうや。➡ 153 00:13:22,350 --> 00:13:29,230 ほんまに好きやったなぁ。 ちょっと 食べてみて! 154 00:13:29,230 --> 00:13:58,720 ♬~ 155 00:13:58,720 --> 00:14:07,330 こんな形で また会えて こういう事 伝える事ができて➡ 156 00:14:07,330 --> 00:14:12,200 私 ほんまに ありがたい。 うん…。 157 00:14:12,200 --> 00:14:16,010 こうやって再び会うたんも➡ 158 00:14:16,010 --> 00:14:21,680 お父ちゃんの お導きやったかも しれしまへんなぁ。 159 00:14:21,680 --> 00:14:54,980 ♬~