1 00:00:01,780 --> 00:00:07,720 (宜)これはなぁ 私が今 心から憧れてる お方ですねん。 2 00:00:07,720 --> 00:00:10,350 (千代)これて…。 (あさ)うちの千代は➡ 3 00:00:10,350 --> 00:00:13,390 お姉ちゃんみたいな おなごはんに なりたいんやて。 4 00:00:13,390 --> 00:00:15,860 (はつ)え? 子どもって ほんま➡ 5 00:00:15,860 --> 00:00:19,200 思うどおりに いかしまへんな。 ほんまだすな。 6 00:00:19,200 --> 00:00:22,870 [はつと惣兵衛の息子 藍之助は➡ 7 00:00:22,870 --> 00:00:26,540 正式に 加野屋で働く事になりました] 8 00:00:26,540 --> 00:00:31,380 (成澤)女子の教育に 関心は おありですか! 9 00:00:31,380 --> 00:00:38,580 私は 日本で初の女子の大学校を 作ろうと思っとります! 10 00:00:40,550 --> 00:00:44,420 是非とも あなたに その設立に ご賛同頂きたい。 11 00:00:44,420 --> 00:00:48,230 この世に こない すばらしい事 考えてはった人が➡ 12 00:00:48,230 --> 00:00:52,730 いてはったやなんて…。 びっくりぽんや! 13 00:00:52,730 --> 00:00:56,600 ♬「朝の空を見上げて」 14 00:00:56,600 --> 00:01:01,010 ♬「今日という一日が」 15 00:01:01,010 --> 00:01:05,880 ♬「笑顔でいられるように」 16 00:01:05,880 --> 00:01:10,680 ♬「そっと お願いした」 17 00:01:10,680 --> 00:01:15,020 ♬「時には雨も降って」 18 00:01:15,020 --> 00:01:19,360 ♬「涙も溢れるけど」 19 00:01:19,360 --> 00:01:24,230 ♬「思い通りに ならない日は」 20 00:01:24,230 --> 00:01:29,030 ♬「明日 頑張ろう」 21 00:01:29,030 --> 00:01:33,370 ♬「ずっと見てる夢は」 22 00:01:33,370 --> 00:01:37,880 ♬「私が もう一人いて」 23 00:01:37,880 --> 00:01:42,210 ♬「やりたいこと 好きなように」 24 00:01:42,210 --> 00:01:46,080 ♬「自由にできる夢」 25 00:01:46,080 --> 00:01:50,390 ♬「人生は紙飛行機」 26 00:01:50,390 --> 00:01:55,730 ♬「願い乗せて飛んで行くよ」 27 00:01:55,730 --> 00:02:00,330 ♬「風の中を力の限り」 28 00:02:00,330 --> 00:02:04,670 ♬「さあ 心のままに」 29 00:02:04,670 --> 00:02:09,540 ♬「365日」 30 00:02:09,540 --> 00:02:12,180 ♬「飛んで行け!」 31 00:02:12,180 --> 00:02:14,680 ♬「飛んでみよう!」 32 00:02:14,680 --> 00:02:17,010 ♬「飛んで行け!」 33 00:02:17,010 --> 00:02:21,210 ♬「飛んでみよう!」 34 00:02:28,190 --> 00:02:30,530 今日は どないだす? 35 00:02:30,530 --> 00:02:33,430 (サカエ)今日も おいでやございません。 36 00:02:33,430 --> 00:02:36,430 そうだすか…。 37 00:02:38,200 --> 00:02:41,540 [その成澤の書いた草稿の中には➡ 38 00:02:41,540 --> 00:02:45,410 女子を人として 婦人として 国民として➡ 39 00:02:45,410 --> 00:02:49,410 教育する必要性が 書かれていました。➡ 40 00:02:49,410 --> 00:02:53,550 女子も高等教育を受ける事で 生きがいを得て➡ 41 00:02:53,550 --> 00:02:58,890 さまざまな場で 社会に役立つ 人間になる可能性がある事。➡ 42 00:02:58,890 --> 00:03:01,660 女子も一芸一能を持ち➡ 43 00:03:01,660 --> 00:03:06,000 独立自活の力量を持つ必要性が ある事。➡ 44 00:03:06,000 --> 00:03:10,870 また 女子の能力を研究し 生かす場を考え➡ 45 00:03:10,870 --> 00:03:17,340 100年先 200年先を見越して 女子教育の方針を定めるべき➡ 46 00:03:17,340 --> 00:03:22,510 という具体的なプランが 示されていたのでした] 47 00:03:22,510 --> 00:03:24,810 う~ん…。 48 00:03:26,850 --> 00:03:31,190 (新次郎)お… あさや。 そないなとこで 何してますのや? 49 00:03:31,190 --> 00:03:34,030 何だすのや あれは…。 50 00:03:34,030 --> 00:03:37,060 ふ~ん。 今日も捜しに行ったんやな? 51 00:03:37,060 --> 00:03:39,830 (藍之助)はい。 寮の授業が終わったら すぐに。 52 00:03:39,830 --> 00:03:42,730 けどやで 何で 毎日 そない必死になって➡ 53 00:03:42,730 --> 00:03:46,370 捜さな あきまへんのや。 …で どないな男なんだす? 54 00:03:46,370 --> 00:03:51,210 その成澤いうのは。 (よの)若い貧乏な書生風の➡ 55 00:03:51,210 --> 00:03:53,880 男はんやったで。 若い? うん。 56 00:03:53,880 --> 00:03:56,780 (うめ)何でも 以前は 女学校の先生やったそうで。 57 00:03:56,780 --> 00:03:59,220 女学校の先生? (かの)しかも ようよう見たら➡ 58 00:03:59,220 --> 00:04:03,650 なかなかの男前さんで。 男前… はぁ~ そらそら。 59 00:04:03,650 --> 00:04:06,690 そやけど 家に ずっと いてはんて心配だすなぁ。 60 00:04:06,690 --> 00:04:10,430 ほんに ほんに。 ちゃんと ごはん 食べてはりますのやろか? 61 00:04:10,430 --> 00:04:13,360 へぇ。 また どこぞの道端で ふらっと➡ 62 00:04:13,360 --> 00:04:16,830 倒れてはんのやないか言うて おあさ様も そない心配して。 63 00:04:16,830 --> 00:04:19,870 何で うちのおなごはん みんなで 心配せなあかんのだす。 64 00:04:19,870 --> 00:04:22,340 男は おなごより 丈夫に出来てるのやさかい➡ 65 00:04:22,340 --> 00:04:24,840 そないなもん 道でも どこでも 寝かしといたら よろし。 66 00:04:24,840 --> 00:04:27,880 まあ! そない あんた言うてますけど➡ 67 00:04:27,880 --> 00:04:30,720 あんさんは 道で寝られますのか? 68 00:04:30,720 --> 00:04:33,550 いいや。 わては 決して寝られしまへん。 69 00:04:33,550 --> 00:04:37,190 あさおばさん 昔 山の中で寝た 言うてはりました。 70 00:04:37,190 --> 00:04:40,860 あれま! どっちが丈夫に 出来てますのやら。 71 00:04:40,860 --> 00:04:44,200 そら きっと 若い頃のお話で。 ハハハ。 うちなぁ➡ 72 00:04:44,200 --> 00:04:47,530 あささんの武勇伝 聞き過ぎて もう ちょっとやそっとの事で➡ 73 00:04:47,530 --> 00:04:50,200 びっくりせぇへんように なってますわ。 ハハハハ! 74 00:04:50,200 --> 00:04:54,870 ただいま。 はぁ… 今日も成澤先生 見つかりまへなんだわ。 75 00:04:54,870 --> 00:04:58,210 やぁ 旦那様まで みんな おそろいで。 76 00:04:58,210 --> 00:05:02,480 ようよう帰ってきましたがな。 「おそろいで」やあれへんがな! 77 00:05:02,480 --> 00:05:05,980 おあさ様 食べはりますか? へぇ お願いします。 78 00:05:05,980 --> 00:05:10,320 は? 怒ってはりますのか? そらなぁ その…。 79 00:05:10,320 --> 00:05:12,990 あんたがやな 若うて男前で➡ 80 00:05:12,990 --> 00:05:15,830 おなごの扱いに慣れた男はん 捜し歩いてるいうたら➡ 81 00:05:15,830 --> 00:05:18,160 わて やきもきせえで おられますかいな。 82 00:05:18,160 --> 00:05:20,830 うちが この原稿に どない深う感じ入ってたか➡ 83 00:05:20,830 --> 00:05:24,170 旦那様 知ってはりますやろに。 84 00:05:24,170 --> 00:05:30,510 うち 久しぶりに胸をズドンと 打たれたような気ぃしたんだす。 85 00:05:30,510 --> 00:05:32,840 ほう! 胸をズド~ンと? 86 00:05:32,840 --> 00:05:37,720 へぇ ほんまのとこ言うたら うち 小さい頃から➡ 87 00:05:37,720 --> 00:05:40,720 おなごも男はんと おんなじように 学んでええはずやて➡ 88 00:05:40,720 --> 00:05:45,560 ずっと思てました。 はぁ そないな小さい頃から。 89 00:05:45,560 --> 00:05:51,530 そうだしたなぁ。 せやさかい こないだの成澤先生のお話は…。 90 00:05:51,530 --> 00:05:54,430 [ 回想 ] 私は 日本で初の➡ 91 00:05:54,430 --> 00:05:58,040 女子の大学校を作ろうと 思っとります! 92 00:05:58,040 --> 00:06:03,010 その刹那 なんて すごい事 考えるお方や思て…。 93 00:06:03,010 --> 00:06:07,710 そやけど そない夢みたいな考えは➡ 94 00:06:07,710 --> 00:06:11,480 なんぼ 信念持って考えてたかて かなうはずあれへん。 95 00:06:11,480 --> 00:06:15,320 えらい 現実味のあれへん話やて すぐに思い直しました。 96 00:06:15,320 --> 00:06:18,360 理想は すばらしい。 そやけど➡ 97 00:06:18,360 --> 00:06:21,490 あんさんに できる事とは 思われしまへん! 98 00:06:21,490 --> 00:06:24,830 ああ! あなたほどの人でも 分からないのか! 99 00:06:24,830 --> 00:06:29,700 それに 言う事も しぐさも 何や だて男みたいに➡ 100 00:06:29,700 --> 00:06:33,170 派手で おおぎょうやさかい この原稿も➡ 101 00:06:33,170 --> 00:06:36,210 「僕は こない えらい事 考えてます。➡ 102 00:06:36,210 --> 00:06:38,840 あなたみたいな おなごの味方です。➡ 103 00:06:38,840 --> 00:06:41,750 せやさかい ちょっとでええさかい お金 出して下さい」いうような➡ 104 00:06:41,750 --> 00:06:46,520 近頃 よう銀行に来る類いの 嘆願書や趣意書やて思てたんだす。 105 00:06:46,520 --> 00:06:49,350 うん。 そんなん よう来ますのんか? 106 00:06:49,350 --> 00:06:52,690 はい。 ほんま多いて 支配人も困ってはります。 107 00:06:52,690 --> 00:06:57,860 うん…。 そやけどやで おなごに大学校なんて➡ 108 00:06:57,860 --> 00:07:01,300 そないなホラ よう思いつき ついたもんだすな。 109 00:07:01,300 --> 00:07:05,470 ほんに ほんに。 ほんま 突拍子もない話だすなぁ。 110 00:07:05,470 --> 00:07:09,810 せやけど この原稿は➡ 111 00:07:09,810 --> 00:07:13,680 うちの想像とは まるで違てたんだす! 112 00:07:13,680 --> 00:07:18,820 これ読んで うち 分かってしもたんだす。 113 00:07:18,820 --> 00:07:22,690 きっと 近いうちに➡ 114 00:07:22,690 --> 00:07:25,690 日本には おなごの大学校が出来ます。 115 00:07:25,690 --> 00:07:28,160 へ? 116 00:07:28,160 --> 00:07:31,060 ここに書いてる事が ほんまになったら➡ 117 00:07:31,060 --> 00:07:34,500 きっと 出来ます。 あの先生は➡ 118 00:07:34,500 --> 00:07:38,370 決して だてや酔狂で おなごの事 考えてはんのやあれへん。 119 00:07:38,370 --> 00:07:44,170 本気なんだす! あ… 嫌や。 思い出しただけで…。 120 00:07:44,170 --> 00:07:48,350 あれま! 何だすか 話しながら泣いたりして。 121 00:07:48,350 --> 00:07:53,520 そやけど 男はんで こないに おなごの…。 122 00:07:53,520 --> 00:07:56,420 これからの おなごの事 考えてくれてはった お方が➡ 123 00:07:56,420 --> 00:07:59,390 いてはったやなんて…。 124 00:07:59,390 --> 00:08:03,130 あささん。 あんた 本当に…➡ 125 00:08:03,130 --> 00:08:06,460 ほんまに学びたかったんやなぁ そないにまで。 126 00:08:06,460 --> 00:08:12,140 そら 千代にも勉強してほしい 思うはずだすわなぁ。 うん。 127 00:08:12,140 --> 00:08:16,470 泣いてる場合やあれへん。 改めて また近いうちに➡ 128 00:08:16,470 --> 00:08:20,140 ゆっくり 話 聞かなあかんし。 そやけど 明日から➡ 129 00:08:20,140 --> 00:08:27,340 また炭坑 行かなあかんし…。 あっ とりあえずは 頂きます! 130 00:08:36,160 --> 00:08:39,060 何や 思い出しますなぁ。 131 00:08:39,060 --> 00:08:41,330 ん? 132 00:08:41,330 --> 00:08:44,230 あさが若い頃 ここで夢中になって➡ 133 00:08:44,230 --> 00:08:47,670 お商売の本 読みあさってた頃の事だす。 134 00:08:47,670 --> 00:08:51,340 ああ 懐かしおますなぁ。 135 00:08:51,340 --> 00:08:55,510 せやろ? はぁ~あ。 136 00:08:55,510 --> 00:08:58,020 あさが あないにまで言うねやったら➡ 137 00:08:58,020 --> 00:09:00,780 わても いっぺん これ 読んでみな あきまへんな。 138 00:09:00,780 --> 00:09:04,460 あら! まだ お読みになって まへなんだんだすか? 139 00:09:04,460 --> 00:09:08,330 そら 始終 あさが持ち歩いてたら わて 読まれしまへんがな。 140 00:09:08,330 --> 00:09:13,460 そないだしたなぁ。 失礼致しました。 141 00:09:13,460 --> 00:09:18,300 旦那様は どない思いはります? ん? 142 00:09:18,300 --> 00:09:23,140 おなごの大学校の事だすか? へぇ。 143 00:09:23,140 --> 00:09:29,480 そらなぁ えらい目新しい 目の覚めるような話や思います。 144 00:09:29,480 --> 00:09:35,150 学びたい者が 望むまま 学べるいうのは ええ事だす。 145 00:09:35,150 --> 00:09:39,020 男でも おなごでも そら 変われへんこっちゃさかいな。 146 00:09:39,020 --> 00:09:43,030 やっぱり そうだすわなぁ。 そないいうたら➡ 147 00:09:43,030 --> 00:09:45,800 昔 東京で会うた けったいな お方も…。 148 00:09:45,800 --> 00:09:48,330 [ 回想 ] (福沢)男が 大いに学んで➡ 149 00:09:48,330 --> 00:09:51,370 世のために 役に立ちたいと 願うならば➡ 150 00:09:51,370 --> 00:09:55,840 女もまた 大いに学問をして 世のためになりたいと思う。 151 00:09:55,840 --> 00:10:00,180 これは必定。 男女とは 全く同じものです。 152 00:10:00,180 --> 00:10:03,850 夫や家から 自由に生きるためには➡ 153 00:10:03,850 --> 00:10:09,520 婦人も経済の自立を図るべきです。 しっかりとした財産を持ち➡ 154 00:10:09,520 --> 00:10:14,190 世間に対して己の責任を 重とう持たねばなりません。 155 00:10:14,190 --> 00:10:17,030 …て言うてはったんだす。 156 00:10:17,030 --> 00:10:20,860 その時も えらい目の覚めるような お考えやて➡ 157 00:10:20,860 --> 00:10:25,200 心が震えたんだすけど 現実に戻ってみたら➡ 158 00:10:25,200 --> 00:10:28,540 えらい まだ遠い話に 思えてしもて…。 159 00:10:28,540 --> 00:10:32,880 それが今 ようよう ここに来て ピンと来たんだす。 160 00:10:32,880 --> 00:10:35,910 うちが 心の師と仰ぐ 福沢諭吉先生も➡ 161 00:10:35,910 --> 00:10:39,050 新しい ご本で… ん? 162 00:10:39,050 --> 00:10:43,920 このお顔は どっかで…。 せやけどなぁ あさ。 163 00:10:43,920 --> 00:10:48,760 いつの時代も 世の大半占めるのは 今を守る事に必死で➡ 164 00:10:48,760 --> 00:10:53,560 目新しい事から 目を背けようとしてる連中だす。 165 00:10:53,560 --> 00:10:58,240 「出る杭は打たれる」 いいますやろ? 166 00:10:58,240 --> 00:11:04,040 ぬきんでた事を考える者は 必ず 人から やっかまれて邪魔される。 167 00:11:04,040 --> 00:11:07,510 そやさかい この話 かなえるいうのは➡ 168 00:11:07,510 --> 00:11:11,180 そら えらい難儀な事やろなぁ 思いますわ。 169 00:11:11,180 --> 00:11:14,850 そうだすなぁ。 なんぼ あの若い先生が➡ 170 00:11:14,850 --> 00:11:19,020 目新しい事 考えたはっても 時代に流されてしもたら➡ 171 00:11:19,020 --> 00:11:22,060 あっという間に 埋もれてしまいますさかいなぁ。 172 00:11:22,060 --> 00:11:25,800 そういう事だす。 173 00:11:25,800 --> 00:11:28,530 あの… 旦那様。 174 00:11:28,530 --> 00:11:30,870 ん? 175 00:11:30,870 --> 00:11:34,370 いいや 相談役。 176 00:11:34,370 --> 00:11:38,710 フッ。 何や 改まって。 何の相談だす? 177 00:11:38,710 --> 00:11:43,210 うちが炭坑 行ってる間 この先生➡ 178 00:11:43,210 --> 00:11:45,880 見つけといて もらわれしまへんやろか? はぁ? 179 00:11:45,880 --> 00:11:48,390 アホ言いないな! 何で わてが大事な趣味の…。 180 00:11:48,390 --> 00:11:53,220 いや 大事な商いの時間 使て そないな事せな あきまへんのや。 181 00:11:53,220 --> 00:11:59,220 そうだすか。 やっぱり あきまへんわなぁ。 182 00:12:07,170 --> 00:12:10,840 [そのころ 京都の千代は…] 183 00:12:10,840 --> 00:12:14,180 宜ちゃんは たまには おうち帰らへんの? 184 00:12:14,180 --> 00:12:20,050 うん… 帰れ 言われてんのやけどなぁ。 ん? 185 00:12:20,050 --> 00:12:25,790 胸騒ぎしますねん。 そろそろ 親が「卒業したら➡ 186 00:12:25,790 --> 00:12:29,530 どないする気や?」とか 言いだしそうでなぁ。 187 00:12:29,530 --> 00:12:32,430 ああ そら ほんま面倒くさいわなぁ。 188 00:12:32,430 --> 00:12:36,200 千代ちゃんは お休みは いっつも 大阪帰りはるなぁ。 189 00:12:36,200 --> 00:12:41,540 うん。 おばあちゃんが いつも 楽しみにしてくれてますさかい。 190 00:12:41,540 --> 00:12:44,040 あさ先生は? あんたのお母ちゃん! 191 00:12:44,040 --> 00:12:46,380 お母ちゃん? そうや。 192 00:12:46,380 --> 00:12:49,710 帰ったら あの先生が 家に いてはるやなんて➡ 193 00:12:49,710 --> 00:12:54,550 何べん聞いても信じられへん。 なぁ いつか遊びに行かして? 194 00:12:54,550 --> 00:12:58,390 ああ 来て来て。 まあ お母ちゃんが いてるかどうかは➡ 195 00:12:58,390 --> 00:13:02,360 分からへんけどなぁ。 あの人 九州の炭坑やら➡ 196 00:13:02,360 --> 00:13:05,830 いつも いろんなとこ 飛び回ってますさかい。 へえ~。 197 00:13:05,830 --> 00:13:09,700 やっぱり そうなんやな。 ちょっと寂しいなぁ。 198 00:13:09,700 --> 00:13:14,000 さみしい事ありますかいな! ず~っと いてへん事の方が➡ 199 00:13:14,000 --> 00:13:16,340 普通やったさかい 急に いてたりすると➡ 200 00:13:16,340 --> 00:13:18,680 かえって 何 話したらええか 分からへんよって➡ 201 00:13:18,680 --> 00:13:22,510 困ってしまうねん。 そないなふうに言うたげたら➡ 202 00:13:22,510 --> 00:13:27,380 あかん。 あさ先生 こないだ 読んだ本でも言うてはったで。 203 00:13:27,380 --> 00:13:30,850 明治の御代になったばっかりの 日本で➡ 204 00:13:30,850 --> 00:13:33,760 おなごが働くのは どない難儀やったかてな。 205 00:13:33,760 --> 00:13:36,730 また 読んだん? お母ちゃんの書いたもん。 206 00:13:36,730 --> 00:13:40,860 その炭坑で昔 落盤事故が起きてしもたのも➡ 207 00:13:40,860 --> 00:13:44,530 自分のせえやて 自分を責めてはりました。 208 00:13:44,530 --> 00:13:48,370 ああ それ うちが生まれた頃の話やわ。 209 00:13:48,370 --> 00:13:51,280 その事故のせえで 家業が傾きかけて➡ 210 00:13:51,280 --> 00:13:55,250 その借金 返し終わって ようよう 銀行が出来たとか何とか。 211 00:13:55,250 --> 00:13:59,720 その事故が起きた頃 炭坑の仕事に 打ち込まれへんかったのは➡ 212 00:13:59,720 --> 00:14:04,150 赤ちゃんができて 大阪に ずっと いてたさかいなんやて。 213 00:14:04,150 --> 00:14:06,820 え…? 214 00:14:06,820 --> 00:14:11,160 きっと 千代ちゃんの事やんな。 215 00:14:11,160 --> 00:14:14,830 それまで九州で働いてたのが➡ 216 00:14:14,830 --> 00:14:17,870 大阪で赤ちゃんの事 気張ってたさかい➡ 217 00:14:17,870 --> 00:14:21,710 その時分だけ 炭坑が手薄になって それが事故に➡ 218 00:14:21,710 --> 00:14:28,380 つながってしもたのかもて 反省してはったわ。 ふ~ん…。 219 00:14:28,380 --> 00:14:32,680 きっと 子ども持って 人並み以上に働くて➡ 220 00:14:32,680 --> 00:14:36,850 ほんまに難儀な事なんやわ。 千代ちゃんも➡ 221 00:14:36,850 --> 00:14:41,190 もっと ありがたく思わな。 222 00:14:41,190 --> 00:14:43,490 はれ? 223 00:14:46,060 --> 00:14:52,360 [宜の言葉に 胸を詰まらせる千代でした]