1 00:00:03,310 --> 00:00:07,050 (あさ) お金の動きが鈍なってますなぁ。 2 00:00:07,050 --> 00:00:09,950 (平十郎)へぇ。 戦争景気が➡ 3 00:00:09,950 --> 00:00:13,390 終わってきたんやないかと 思います。 銀行いうのは➡ 4 00:00:13,390 --> 00:00:19,060 経済の変動に敏感ですから。 へぇ…。 そうだすか。 5 00:00:19,060 --> 00:00:22,930 はぁ…。 今 炭坑の出費もあるさかい➡ 6 00:00:22,930 --> 00:00:26,730 加野屋の事業は 大半を銀行で賄わなあかんのに➡ 7 00:00:26,730 --> 00:00:30,400 こないなってくると困りますなぁ。 8 00:00:30,400 --> 00:00:33,310 (榮三郎)雁助。 9 00:00:33,310 --> 00:00:38,910 わて 怒ってますのやで。 銀行が出来た日➡ 10 00:00:38,910 --> 00:00:45,090 雁助 何にも言わんと いてへんようになった事。 11 00:00:45,090 --> 00:00:49,760 小さい頃から ほんまに 世話なってなぁ。 12 00:00:49,760 --> 00:00:55,630 (亀助)わてもだす。 わてなんか 炭坑 行ってたさかい➡ 13 00:00:55,630 --> 00:01:00,400 ほんま 何の挨拶も でけへんままだす…。 14 00:01:00,400 --> 00:01:06,710 はぁ こないしてたら まるで 生きてはるみたいや。 15 00:01:06,710 --> 00:01:09,380 (うめ)生きてはります。 16 00:01:09,380 --> 00:01:13,380 あ… 堪忍だす。 17 00:01:15,720 --> 00:01:20,050 せやけど 見とくなはれ この顔。➡ 18 00:01:20,050 --> 00:01:25,930 今にも起き上がって 「何してますのや!」言うて➡ 19 00:01:25,930 --> 00:01:29,730 しゃべりだしそうで…。 20 00:01:29,730 --> 00:01:32,630 (泣き声) 21 00:01:32,630 --> 00:01:37,070 亀助! 泣いたら あかん。 男のくせに…。 22 00:01:37,070 --> 00:01:40,940 (榮三郎と亀助の泣き声) 23 00:01:40,940 --> 00:01:44,950 (新次郎)2人とも ちょっと落ち着きなはれ。 24 00:01:44,950 --> 00:01:49,080 何や 雁助の顔 見たら 子どもみたいになってしもて。 25 00:01:49,080 --> 00:01:51,420 さあ ほれ。 26 00:01:51,420 --> 00:01:54,090 (亀助)雁助さ~ん。 27 00:01:54,090 --> 00:02:16,410 ♬~ 28 00:02:16,410 --> 00:02:20,550 ♬「朝の空を見上げて」 29 00:02:20,550 --> 00:02:24,890 ♬「今日という一日が」 30 00:02:24,890 --> 00:02:29,760 ♬「笑顔でいられるように」 31 00:02:29,760 --> 00:02:34,560 ♬「そっと お願いした」 32 00:02:34,560 --> 00:02:38,900 ♬「時には雨も降って」 33 00:02:38,900 --> 00:02:43,240 ♬「涙も溢れるけど」 34 00:02:43,240 --> 00:02:48,110 ♬「思い通りにならない日は」 35 00:02:48,110 --> 00:02:52,910 ♬「明日 頑張ろう」 36 00:02:52,910 --> 00:02:57,250 ♬「ずっと見てる夢は」 37 00:02:57,250 --> 00:03:01,690 ♬「私が もう一人いて」 38 00:03:01,690 --> 00:03:06,030 ♬「やりたいこと 好きなように」 39 00:03:06,030 --> 00:03:09,900 ♬「自由にできる夢」 40 00:03:09,900 --> 00:03:14,200 ♬「人生は紙飛行機」 41 00:03:14,200 --> 00:03:19,540 ♬「願い乗せて飛んで行くよ」 42 00:03:19,540 --> 00:03:24,210 ♬「風の中を力の限り」 43 00:03:24,210 --> 00:03:29,710 ♬「さあ 心のままに」 44 00:03:31,390 --> 00:03:35,890 (竹男)うちのマッチ工場は お父さん一人の信用で➡ 45 00:03:35,890 --> 00:03:38,560 成り立ってたようなもんなんです。 46 00:03:38,560 --> 00:03:40,900 そうだすか。 47 00:03:40,900 --> 00:03:46,200 はぁ…。 それで 借入金の額は どれぐらいで? 48 00:03:49,400 --> 00:03:51,740 2,000円です。 49 00:03:51,740 --> 00:03:57,610 [2,000円とは 今で言う 800万円ほどの価値になります] 50 00:03:57,610 --> 00:04:02,020 しかも お父さんが倒れたのを きっかけに➡ 51 00:04:02,020 --> 00:04:04,920 資金も回らへんようになって…。➡ 52 00:04:04,920 --> 00:04:09,690 ほっといたら すぐに4,000 5,000の額になるかも分かれへん。 53 00:04:09,690 --> 00:04:12,360 そないに…。 54 00:04:12,360 --> 00:04:18,030 もう やっていかれしません…。 (ツゲ)あんた。 55 00:04:18,030 --> 00:04:22,370 愚痴こぼしてんと 工場行かな。 56 00:04:22,370 --> 00:04:25,070 せやったな。 57 00:04:26,710 --> 00:04:29,610 すんません。 失礼します。 58 00:04:29,610 --> 00:04:39,720 ♬~ 59 00:04:39,720 --> 00:04:45,390 その お金返せ言うてる相手は 雁助が倒れてしもたんやったら➡ 60 00:04:45,390 --> 00:04:49,060 工場は もう どないにもなれへん 思てますのやろな。 61 00:04:49,060 --> 00:04:51,730 そうだすなぁ…。 62 00:04:51,730 --> 00:04:54,030 (戸が開く音) 63 00:05:02,010 --> 00:05:04,910 (うめ)あの…。 うめ。 64 00:05:04,910 --> 00:05:08,880 悪いけど こっち 残っててくれへんか? 65 00:05:08,880 --> 00:05:11,520 え… うちがだすか? 66 00:05:11,520 --> 00:05:15,390 わてらは もう帰らなあきまへん。 それに あさと へぇさんに➡ 67 00:05:15,390 --> 00:05:19,190 今 聞いた話の相談もせなあかん。 そやけど…。 68 00:05:19,190 --> 00:05:24,870 いや うめが そないしてくれたら わても えらい助かります。 69 00:05:24,870 --> 00:05:29,200 近くに宿とりますさかい もし…➡ 70 00:05:29,200 --> 00:05:33,070 もし 雁助に何かあったら すぐ 電報打ってほしいのや。 71 00:05:33,070 --> 00:05:36,770 頼みます うめさん。 72 00:05:41,720 --> 00:05:44,420 分かりました…。 73 00:05:48,060 --> 00:05:52,390 そうだすか。 まだ気ぃ失うたままだすのか。 74 00:05:52,390 --> 00:05:56,060 岩みたいいうか 石仏 横たえたみたいに➡ 75 00:05:56,060 --> 00:05:58,730 動きまへんのや。 (よの)はぁ…。 76 00:05:58,730 --> 00:06:04,340 あの頑丈やった雁助がなぁ そないな事に…。 ああ おおきに。 77 00:06:04,340 --> 00:06:08,210 しかし さすがに 4,000円 5,000円という お金は➡ 78 00:06:08,210 --> 00:06:12,080 誰に頼まれたとしても ポンと貸せる額やありません。 79 00:06:12,080 --> 00:06:16,050 それは分かってる! そやけど ほっとく訳にはいかへんやろ!? 80 00:06:16,050 --> 00:06:20,690 雁助は… 雁助は 大事な身内やで! 榮三郎。 81 00:06:20,690 --> 00:06:23,590 あ… すんまへん。 82 00:06:23,590 --> 00:06:27,360 よりによって 雁助が何で…。 83 00:06:27,360 --> 00:06:31,230 う~ん…。 一つ 運の悪い事故が起きただけで➡ 84 00:06:31,230 --> 00:06:38,030 こない 何もかも 崩れてしまうやなんてなぁ。 85 00:06:40,910 --> 00:06:43,540 あ… 榮三郎さん。 86 00:06:43,540 --> 00:06:46,880 お姉さん。 まだ お仕事だすのか? 87 00:06:46,880 --> 00:06:51,220 へぇ。 うちも 雁助さんのとこ行きたいさかい➡ 88 00:06:51,220 --> 00:06:54,890 できる仕事から片づけてるんだす。 89 00:06:54,890 --> 00:06:57,220 そうだすか。 90 00:06:57,220 --> 00:07:02,660 それに 自分が倒れた時の事も 思い出してしもて。 91 00:07:02,660 --> 00:07:08,000 わても ちょっと 思い出してしまいましたわ。 92 00:07:08,000 --> 00:07:12,670 あ… ほら 御一新で お父ちゃんが倒れた時だす。 93 00:07:12,670 --> 00:07:16,340 あの時 わて まだ小そうて➡ 94 00:07:16,340 --> 00:07:21,220 ああ… ひょっとしたら このまま加野屋は➡ 95 00:07:21,220 --> 00:07:25,690 潰れてしまうのや あらへんのかなぁて…。➡ 96 00:07:25,690 --> 00:07:30,360 せやけど 雁助や お姉さんのおかげで➡ 97 00:07:30,360 --> 00:07:34,230 どないかなりました。 あ… いいや。 98 00:07:34,230 --> 00:07:37,130 あの時 うちが動けたのかて➡ 99 00:07:37,130 --> 00:07:41,070 お父様が いてくれはったさかいだす。 100 00:07:41,070 --> 00:07:46,710 経営する者が 達者で働けるいうのは➡ 101 00:07:46,710 --> 00:07:52,010 ほんま 大事な事だすなぁ。 へぇ。 102 00:08:00,050 --> 00:08:03,320 ほな うち ぼちぼち宿に。 103 00:08:03,320 --> 00:08:08,660 (ツネ)厚かましい お願い してしまいましたなぁ…。 104 00:08:08,660 --> 00:08:13,330 昔 奉公してた おうちに お金 貸してくれやなんて➡ 105 00:08:13,330 --> 00:08:16,240 皆さん あきれてはんのと 違いますやろか? 106 00:08:16,240 --> 00:08:19,010 いいや そないな事は。 107 00:08:19,010 --> 00:08:22,880 この人かて もし どっか分かってて➡ 108 00:08:22,880 --> 00:08:27,710 声が聞こえてたら えらい 怒ったはるいう気します。 109 00:08:27,710 --> 00:08:31,910 「加野屋に迷惑かけよって!」 言うてなぁ。 110 00:08:34,020 --> 00:08:38,690 大阪にいてた時かて うちや娘は ほったらかしで➡ 111 00:08:38,690 --> 00:08:43,390 お店の事ば~っかり 大事にしてる人でしたさかい。 112 00:08:45,030 --> 00:08:47,330 そうだすか。 113 00:08:48,900 --> 00:08:52,370 あ~ 嫌や…。 114 00:08:52,370 --> 00:08:56,710 やっぱり 何や 怒ってるみたいな顔してますわ。 115 00:08:56,710 --> 00:09:00,380 そうだすか? いや そないな事…。 116 00:09:00,380 --> 00:09:03,650 (ツネ)眉間に こう シワ寄せて…。 117 00:09:03,650 --> 00:09:08,320 いいや そないな事あらしまへん。 118 00:09:08,320 --> 00:09:10,990 もし 声が聞こえてたら➡ 119 00:09:10,990 --> 00:09:14,660 一家の皆さんや お仕事の事が心配で➡ 120 00:09:14,660 --> 00:09:18,330 今にも起き出したいと 思てはるんだすわ。➡ 121 00:09:18,330 --> 00:09:21,840 そういう お顔だす。 (ツネ)どこがです? 122 00:09:21,840 --> 00:09:24,870 この人いうたら かわいらしいとこ➡ 123 00:09:24,870 --> 00:09:27,640 一つもないような人で ございましたのに。 124 00:09:27,640 --> 00:09:33,350 うち帰っても商いの話ばっかりで そのくせ うちが ちょっとでも➡ 125 00:09:33,350 --> 00:09:37,220 娘のあせも出来たいう話でも しようもんやったら➡ 126 00:09:37,220 --> 00:09:42,360 しょうむないいう顔して「そんなん お前が怠けてたさかいだす。➡ 127 00:09:42,360 --> 00:09:45,260 粉でも はたいとけ!」言うて。 128 00:09:45,260 --> 00:09:49,530 そうだすか。 外から見てたんでは➡ 129 00:09:49,530 --> 00:09:55,230 決して分からへん事も ありますのやなぁ。 130 00:09:57,040 --> 00:10:00,910 山田様へのご融資の件は へぇさんと話 しといとくなはれ。 131 00:10:00,910 --> 00:10:03,710 へぇ。 あっ それと…➡ 132 00:10:03,710 --> 00:10:08,010 やっぱり 炭坑行く前に 神戸行ってきます。 133 00:10:10,380 --> 00:10:14,550 (ツゲ)留守 任すやなんて ほんま すんません。 134 00:10:14,550 --> 00:10:18,060 いいや。 こないな事 何ともあらしまへん。➡ 135 00:10:18,060 --> 00:10:20,730 どうか お構いなく。 136 00:10:20,730 --> 00:10:25,070 お仕事の事は よう分からしまへんのやけど➡ 137 00:10:25,070 --> 00:10:28,740 うまい事いきますように。 138 00:10:28,740 --> 00:10:33,040 おおきに。 ほんなら。 139 00:10:45,290 --> 00:10:48,290 (ため息) 140 00:11:02,040 --> 00:11:05,040 大奥様からだす。 141 00:11:11,380 --> 00:11:17,250 大番頭さん 昨日は 遅い時刻まで➡ 142 00:11:17,250 --> 00:11:23,390 た~んと おしゃべりしてしもて 堪忍だっせ。 143 00:11:23,390 --> 00:11:27,260 せやけど うち こないして あんさんの奥様や➡ 144 00:11:27,260 --> 00:11:32,730 お嬢様と お会いできるなんて 思わしまへなんだ。 145 00:11:32,730 --> 00:11:39,070 生きてたら面白い事も 起きますもんやなぁ。 146 00:11:39,070 --> 00:11:43,940 せやけど あんさんほどのお方が➡ 147 00:11:43,940 --> 00:11:49,720 上から落ちてきたもんで ポ~ンと頭ぶつけるやなんて…。 148 00:11:49,720 --> 00:11:53,090 そないゆうたら うちも近頃➡ 149 00:11:53,090 --> 00:11:55,990 何や うっかりが 増えてきましてなぁ。 150 00:11:55,990 --> 00:12:00,430 この前なんかも 上の方のもん取ろうとして➡ 151 00:12:00,430 --> 00:12:04,130 椅子から落ちたりして。 152 00:12:09,240 --> 00:12:13,010 何でだすやろなぁ…➡ 153 00:12:13,010 --> 00:12:19,710 二度と お顔を見れへんでも かまへんと思てたはずやのに➡ 154 00:12:19,710 --> 00:12:24,010 こないなってしもたら さみしいて…。 155 00:12:26,050 --> 00:12:30,390 お願いだす。 お願いやさかい➡ 156 00:12:30,390 --> 00:12:34,730 もういっぺん 目ぇ覚ましておくれやす。 157 00:12:34,730 --> 00:12:39,030 声 聞かしとくれやす! 158 00:12:47,240 --> 00:12:49,180 (戸が開く音) 159 00:12:49,180 --> 00:12:53,410 うめ! おあさ様! お仕事は? 160 00:12:53,410 --> 00:12:56,320 神戸方面 回るのに合わせて 来ましたのや。 161 00:12:56,320 --> 00:13:00,090 知事さんや師範学校の校長先生に 会うてきて…。 162 00:13:00,090 --> 00:13:03,520 はぁ 雁助さんは どないだす? 163 00:13:03,520 --> 00:13:07,030 変わらしまへん。 ずっと このままだす。 164 00:13:07,030 --> 00:13:09,700 そう…。 165 00:13:09,700 --> 00:13:14,570 うち ちょっと手ぇ握っても よろしおますやろか? へ? 166 00:13:14,570 --> 00:13:17,040 (小声で)あ… ちょっ ちょっと…。 167 00:13:17,040 --> 00:13:20,910 はぁ~。 はっ! 分厚い手ぇだすなぁ。 168 00:13:20,910 --> 00:13:24,210 何してはりますのや。 何してはりますのや ちょっと! 169 00:13:24,210 --> 00:13:26,550 うめは うちの事なんか気にせんと➡ 170 00:13:26,550 --> 00:13:29,050 何か懐かしい事でも 話しかけたげて。 171 00:13:29,050 --> 00:13:31,890 話しかけたげてて… ちょっと やめとくなはれ! 172 00:13:31,890 --> 00:13:34,220 人が入ってきたら 何と思われるか! 173 00:13:34,220 --> 00:13:38,060 デリケシイないのは堪忍だす。 そやけど うち➡ 174 00:13:38,060 --> 00:13:41,390 入院してた病院の先生のとこ 行って 聞いてみましたのや。 175 00:13:41,390 --> 00:13:46,070 「何で うちは生き返る事が できたんだすやろか?」て。 176 00:13:46,070 --> 00:13:50,940 はぁ。 そしたら 旦那様が 寝たままのうちに➡ 177 00:13:50,940 --> 00:13:54,240 よう話しかけてくれてはったて。 178 00:13:54,240 --> 00:13:58,750 千代も うちの手ぇや脚 よう もんでくれてたみたいで。 179 00:13:58,750 --> 00:14:02,620 何も確かな事は 分からしまへんけど➡ 180 00:14:02,620 --> 00:14:08,360 ひょっとしたら そないな事が何か 関わりあるのかも分かれへんて。 181 00:14:08,360 --> 00:14:11,690 そやさかい。 そうだすか。 182 00:14:11,690 --> 00:14:16,030 ほら うめも そっちの手ぇしたげて。 183 00:14:16,030 --> 00:14:18,930 へぇ そない 言わはりますのやったら…。 184 00:14:18,930 --> 00:14:30,380 ♬~ 185 00:14:30,380 --> 00:14:33,710 ほんま 分厚うおますなぁ。 186 00:14:33,710 --> 00:14:38,210 なぁ。 働き者のええ手ぇや。 187 00:14:41,590 --> 00:14:46,730 それにしても… 何でだす? 188 00:14:46,730 --> 00:14:49,400 ん? 189 00:14:49,400 --> 00:14:54,700 [さて うめの思いは…]