1 00:00:34,823 --> 00:00:37,559 (半鐘の音) 2 00:00:37,559 --> 00:00:40,895 (喜兵衛)お七 お前も大乗寺へ 行け。 位牌と一緒にな。 3 00:00:40,895 --> 00:00:42,931 (お七)はい。 4 00:00:42,931 --> 00:00:49,387 先の事を考えると 胸がふさがれて 息苦しくなって…。 5 00:00:49,387 --> 00:00:52,657 涙が出そうになります。 6 00:00:52,657 --> 00:00:59,347 吉三様は 何とも思わないのですか? 7 00:00:59,347 --> 00:01:02,016 七は どうでもいいのですか? 8 00:01:02,016 --> 00:01:18,716 ♬~ 9 00:01:20,985 --> 00:01:23,455 (吉三郎)なかなか いいぞ。 10 00:01:23,455 --> 00:01:27,659 フキは ちょっと薄いな。 墨を まっすぐ立てて すりなさい。 11 00:01:27,659 --> 00:01:30,795 あかぎれで。 12 00:01:30,795 --> 00:01:33,114 あ~ 痛そうだな。 13 00:01:33,114 --> 00:01:35,633 みんなで雪だるまを 作りましたので。 14 00:01:35,633 --> 00:01:37,619 そうか 雪だるまか。 15 00:01:37,619 --> 00:01:40,355 (金坊)袈裟をつけたら 和尚さん そっくり。 16 00:01:40,355 --> 00:01:42,841 めっ! 17 00:01:42,841 --> 00:01:46,161 よし じゃ 「いろはにほへと」の 次は? 18 00:01:46,161 --> 00:01:49,361 「ちりぬるをわか」。 そう 書きなさい。 はい! 19 00:01:55,787 --> 00:02:00,687 さあ どうする? 右か左か? 20 00:02:03,745 --> 00:02:05,797 (松公)えい! それは「さ」だ。 21 00:02:05,797 --> 00:02:09,350 「さりぬるを」になるぞ。 バカ。 22 00:02:09,350 --> 00:02:12,187 こうだよ。 (松公)下手くそ。 23 00:02:12,187 --> 00:02:15,087 何だよ 下手くそ。 何だよ。 やめなさい! 24 00:02:22,931 --> 00:02:25,531 繕いものを お持ちしました。 25 00:02:30,021 --> 00:02:32,423 足袋を。 26 00:02:32,423 --> 00:02:34,423 すまない。 27 00:02:36,794 --> 00:02:38,894 ここは冷えます。 28 00:02:41,232 --> 00:02:43,232 冬だからな。 29 00:02:49,190 --> 00:02:51,890 火桶をお持ちしましょうか? 30 00:02:54,629 --> 00:02:56,729 構わないでくれ。 31 00:03:05,256 --> 00:03:07,256 やがて春が来る。 32 00:03:09,611 --> 00:03:11,811 来てほしくありません。 33 00:03:16,684 --> 00:03:19,984 春が嫌いになりました。 34 00:03:23,107 --> 00:03:26,561 どうして? 35 00:03:26,561 --> 00:03:29,261 お寺を出なければなりません。 36 00:03:31,666 --> 00:03:35,353 1年も住めば 情が移るか。 37 00:03:35,353 --> 00:03:38,053 しかし 仮の宿ではないか。 38 00:03:39,907 --> 00:03:42,307 仮の宿といっても…。 39 00:03:45,930 --> 00:03:51,819 そういえば昨日 お弔いのお供で 追分片町を通った。 40 00:03:51,819 --> 00:03:56,591 八百源は棟上げが済んで 屋根をこしらえていた。 41 00:03:56,591 --> 00:03:58,691 豪勢な瓦ぶきだ。 42 00:04:00,878 --> 00:04:03,378 家には帰りたくありません。 43 00:04:05,183 --> 00:04:07,652 聞き分けのない子だな。 44 00:04:07,652 --> 00:04:09,752 子供ではありません。 45 00:04:12,824 --> 00:04:16,494 子供たちに会いたければ いつでも来なさい。 46 00:04:16,494 --> 00:04:20,594 ここは お寺だ。 誰でも参詣できる。 47 00:04:23,551 --> 00:04:26,151 参詣… ですか。 48 00:04:32,343 --> 00:04:35,780 お七の父上は 武士だったそうだな? 49 00:04:35,780 --> 00:04:40,752 はい。 加賀前田様の勘定方でした。 50 00:04:40,752 --> 00:04:43,388 どうして八百屋に? 51 00:04:43,388 --> 00:04:49,188 もう武士の時代ではないと 見切りをつけたそうです。 52 00:04:52,630 --> 00:05:00,888 太平の時だからな。 合戦が なければ 侍は無用の長物だ。 53 00:05:00,888 --> 00:05:05,259 ご公儀は大名家の取り潰しに 血道を上げ➡ 54 00:05:05,259 --> 00:05:09,859 大名家は大名家で 人減らしに苦心している。 55 00:05:11,616 --> 00:05:20,041 侍は武術を軽んじ 絹物を羽織って 細身の大小 落とし差し。 56 00:05:20,041 --> 00:05:22,641 堕落しきって 見る影もない。 57 00:05:25,763 --> 00:05:30,718 吉三様は どうなのですか? 58 00:05:30,718 --> 00:05:34,222 私は学問で身を立てるつもりだ。 59 00:05:34,222 --> 00:05:37,022 あきんどは嫌ですか? 60 00:05:39,243 --> 00:05:41,643 その才覚がないから。 61 00:05:46,367 --> 00:05:48,619 ご苦労さん。 62 00:05:48,619 --> 00:05:50,619 あの…。 うん? 63 00:05:52,890 --> 00:05:57,090 教えて頂きたいのです。 何だ? 64 00:05:59,247 --> 00:06:01,447 これは どういう意味でしょうか? 65 00:06:03,835 --> 00:06:07,535 気になったので 書き留めておいたのですが。 66 00:06:14,712 --> 00:06:18,783 はい。 はやりの浄瑠璃だな。 67 00:06:18,783 --> 00:06:22,353 これは恋心を表している。 68 00:06:22,353 --> 00:06:24,789 やはり…。 69 00:06:24,789 --> 00:06:29,544 鈴虫や コオロギは 切々と鳴いて 恋を訴えるが➡ 70 00:06:29,544 --> 00:06:34,198 黙って身を焦がす 蛍の方が 風情があるという事だ。 71 00:06:34,198 --> 00:06:36,918 黙っていては分かりません。 72 00:06:36,918 --> 00:06:41,418 蛍は光るではないか。 なるほど。 73 00:06:43,224 --> 00:06:45,724 「いわで蛍の身を焦がす」。 74 00:06:50,214 --> 00:06:56,214 吉三様は 身を焦がした事は ありますか? 75 00:07:00,625 --> 00:07:02,625 なくもない。 76 00:07:06,714 --> 00:07:09,133 何だ その顔は? 77 00:07:09,133 --> 00:07:11,233 いえ。 78 00:07:13,688 --> 00:07:17,588 それは いつですか? お相手は どんな方ですか? 79 00:07:19,894 --> 00:07:21,894 言わぬが花だ。 80 00:07:24,315 --> 00:07:29,654 当世の浄瑠璃は 粋で情緒たっぷりだが➡ 81 00:07:29,654 --> 00:07:34,108 惜しむらくは深みがない。 雅に欠ける。 82 00:07:34,108 --> 00:07:37,495 雅? そうだ。 83 00:07:37,495 --> 00:07:40,748 万葉集を読んだ事があるか? いいえ。 84 00:07:40,748 --> 00:07:43,801 古今和歌集は? いいえ。 85 00:07:43,801 --> 00:07:46,401 ここにあるから読んでみなさい。 86 00:07:48,523 --> 00:07:54,123 いにしえ人は 恋歌をたくさん 残したが 何よりも雅を尊んだ。 87 00:07:57,915 --> 00:08:09,760 ♬~ 88 00:08:09,760 --> 00:08:11,946 (寝言で)母ちゃん…。 89 00:08:11,946 --> 00:08:41,446 ♬~ 90 00:09:10,037 --> 00:09:14,008 「しのぶれど 色に出にけり わが恋は➡ 91 00:09:14,008 --> 00:09:16,908 ものや思ふと ひとの問ふまで」。 92 00:09:23,267 --> 00:09:25,252 うちわ。 わかくさ。 93 00:09:25,252 --> 00:09:27,588 さしこ。 こたつ。 94 00:09:27,588 --> 00:09:30,091 つるべ。 べんとう。 95 00:09:30,091 --> 00:09:32,526 うし。 しらみ。 96 00:09:32,526 --> 00:09:35,179 みそ。 そばかす。 97 00:09:35,179 --> 00:09:37,815 すみれ。 れんげ。 98 00:09:37,815 --> 00:09:39,817 げた。 たんぼ。 99 00:09:39,817 --> 00:09:44,922 ぼうふら。 ら… ら…。 100 00:09:44,922 --> 00:09:47,224 お七。 はい。 101 00:09:47,224 --> 00:09:50,695 ちょっと 用がある。 はい ただいま。 102 00:09:50,695 --> 00:09:56,884 ら… ら…。 103 00:09:56,884 --> 00:09:58,884 らっきょう。 104 00:10:10,014 --> 00:10:13,884 これは何だ? 恋歌です。 105 00:10:13,884 --> 00:10:16,120 それは分かっている。 106 00:10:16,120 --> 00:10:20,920 いにしえの心が伝わって 胸が熱くなりました。 107 00:10:24,095 --> 00:10:26,947 私が言っているのは 結びの文言だ。 108 00:10:26,947 --> 00:10:30,851 「吉三様 参る 志ち」とは どういう事か? 109 00:10:30,851 --> 00:10:33,751 恋文ですので。 恋文? 110 00:10:35,923 --> 00:10:40,277 どう書こうか迷いました。 人の目についたら どうする。 111 00:10:40,277 --> 00:10:43,214 ここは御仏のおわす お寺だぞ。 112 00:10:43,214 --> 00:10:47,018 仏様は恋をしませぬか? 113 00:10:47,018 --> 00:10:51,889 それは分からぬが 他に 書きようが あるだろうが。 114 00:10:51,889 --> 00:10:54,925 「他に」って? 115 00:10:54,925 --> 00:10:59,225 例えば 「源 義経様」とか。 116 00:11:03,684 --> 00:11:07,088 「石川五右衛門様」とか。 石川五右衛門? 117 00:11:07,088 --> 00:11:10,224 差し障りがなければ 誰でも良いという事だ。 118 00:11:10,224 --> 00:11:13,127 この世の中には 男は いくらでも いるだろう。 119 00:11:13,127 --> 00:11:16,330 私には1人しか いません。 120 00:11:16,330 --> 00:11:18,382 お七。 121 00:11:18,382 --> 00:11:22,853 どうして「吉三様」と書いては いけないのですか? 122 00:11:22,853 --> 00:11:25,956 きっと後悔する。 123 00:11:25,956 --> 00:11:28,309 後悔? 124 00:11:28,309 --> 00:11:31,779 お七は そういう年頃なのだ。 125 00:11:31,779 --> 00:11:35,816 男も女も 大人になりかけると 妙に 心がうずく。 126 00:11:35,816 --> 00:11:38,652 恋に憧れて そわそわする。 127 00:11:38,652 --> 00:11:43,491 思い詰めて 気持ちが高ぶったり 逆に沈み込んだりする。 128 00:11:43,491 --> 00:11:47,795 だが それは一時の物狂いだ。 恋の病だ。 129 00:11:47,795 --> 00:11:50,931 時が過ぎれば 自然と熱が冷める。 130 00:11:50,931 --> 00:11:53,531 さっぱりとして 落ち着きを取り戻す。 131 00:11:55,886 --> 00:11:57,886 そうでしょうか。 132 00:12:02,693 --> 00:12:06,580 とにかく これは返しておく。 嫌です。 133 00:12:06,580 --> 00:12:09,984 嫌なら しかたがない。 私が 焼き捨てるが それでも良いか? 134 00:12:09,984 --> 00:12:11,984 待って下さい。 135 00:12:15,156 --> 00:12:19,026 そんなに七が お嫌いですか? 136 00:12:19,026 --> 00:12:23,848 嫌いではない。 いとおしい。 137 00:12:23,848 --> 00:12:26,348 ずっと妹のように思ってきた。 138 00:12:28,619 --> 00:12:31,622 妹? 139 00:12:31,622 --> 00:12:37,211 お七 私と お前が結ばれる事は 万に一つも ありえない。 140 00:12:37,211 --> 00:12:41,849 なぜですか? お前は大店の一人娘だ。 141 00:12:41,849 --> 00:12:44,218 婿をとって 八百源を継がねばならぬ。 142 00:12:44,218 --> 00:12:47,655 いいえ それは…。 まあ 聞きなさい。 143 00:12:47,655 --> 00:12:51,255 私は私で 生涯 妻をめとる事はない。 144 00:12:52,827 --> 00:12:56,327 え? 私の思い人は学問だ。 145 00:13:00,501 --> 00:13:03,401 もしかして…。 うん? 146 00:13:06,724 --> 00:13:10,124 おなごは お嫌いですか? そうではない。 147 00:13:12,313 --> 00:13:15,950 私は お七に惹かれていた。 148 00:13:15,950 --> 00:13:18,786 だが 学問は奧が深い。 149 00:13:18,786 --> 00:13:23,186 雑念を振り払って精進しなければ 全てが崩れ去る。 150 00:13:25,926 --> 00:13:30,998 私は… 雑念ですか? 151 00:13:30,998 --> 00:13:35,653 いや 言い方が悪かった。 152 00:13:35,653 --> 00:13:40,090 雑念でも構いません。 153 00:13:40,090 --> 00:13:43,894 結ばれなくても構いません。 154 00:13:43,894 --> 00:13:50,694 私は ただ… 吉三様の おそばに いたいだけ。 155 00:13:54,655 --> 00:14:56,250 ♬~ 156 00:14:56,250 --> 00:15:00,020 (喜兵衛)やっと 人並みの暮らしが できます。 157 00:15:00,020 --> 00:15:02,589 (覚念)おめでたい事で。 158 00:15:02,589 --> 00:15:07,161 所替えをせずに済んだのは ご住職のお口添えあっての事➡ 159 00:15:07,161 --> 00:15:10,761 厚くお礼を申し上げます。 いやいや。 160 00:15:12,683 --> 00:15:18,605 ぶしつけながら ほんのお印に これを。 161 00:15:18,605 --> 00:15:21,558 要らん 要らん。 あんたとは親戚じゃ。 162 00:15:21,558 --> 00:15:26,964 どうか お納め下さい。 娘も お世話になりましたので。 163 00:15:26,964 --> 00:15:31,001 ああ お七は よう働いてくれた。 164 00:15:31,001 --> 00:15:34,888 これは お布施でございます。 165 00:15:34,888 --> 00:15:39,276 あ… お布施。 どうぞ。 166 00:15:39,276 --> 00:15:42,913 お布施なら 断る訳には いかんのう。 167 00:15:42,913 --> 00:15:49,213 御仏に代わって お預かり しましょう。 南無阿弥陀仏。 168 00:15:51,922 --> 00:15:55,392 では これにて。 169 00:15:55,392 --> 00:15:58,762 良かったな お七。 お世話になりました。 170 00:15:58,762 --> 00:16:02,883 たまには顔を見せなさい。 はい。 171 00:16:02,883 --> 00:16:05,736 子供たちが寂しがる。 172 00:16:05,736 --> 00:16:08,489 あの…。 うん? 173 00:16:08,489 --> 00:16:11,358 吉三様は お出かけでしょうか? 174 00:16:11,358 --> 00:16:15,195 池之端の勉学寮じゃ。 勉学寮。 175 00:16:15,195 --> 00:16:20,651 ああ 夕べから泊まり込みで 木下順庵先生の講義を受けておる。 176 00:16:20,651 --> 00:16:22,903 朱子学の? 177 00:16:22,903 --> 00:16:26,490 そうじゃ。 今年から将軍家の お抱えになった。 178 00:16:26,490 --> 00:16:30,027 順庵先生なら よう存じ上げております。 179 00:16:30,027 --> 00:16:34,314 元は加賀前田家の儒学者でした。 180 00:16:34,314 --> 00:16:37,814 そうか そうか。 奇縁ですな。 181 00:16:43,390 --> 00:16:45,390 勘蔵。 へい。 182 00:16:47,561 --> 00:16:52,616 荷物は? へい 荷車に全部。 183 00:16:52,616 --> 00:16:58,722 お~い 仙吉 平太! 184 00:16:58,722 --> 00:17:01,022 出発だ。 へい。 185 00:17:02,726 --> 00:17:05,279 みんな さようならね。 186 00:17:05,279 --> 00:17:08,279 おねえちゃん これ。 187 00:17:11,135 --> 00:17:13,135 まあ。 188 00:17:19,643 --> 00:17:22,579 みんなで折ったんだ。 189 00:17:22,579 --> 00:17:24,665 おせんべいです。 190 00:17:24,665 --> 00:17:28,852 おせんべつ。 ありがとう。 191 00:17:28,852 --> 00:17:31,789 あっ お七。 はい。 192 00:17:31,789 --> 00:17:36,760 子供たちの面倒は おモトさんが 見てくれる事になった。 193 00:17:36,760 --> 00:17:39,746 近所の大工の女房殿じゃ。 194 00:17:39,746 --> 00:17:43,317 よろしくお願いします。 はいはい。 195 00:17:43,317 --> 00:17:46,117 では行くか。 196 00:18:01,919 --> 00:18:06,219 おねえちゃん! また来てね。 197 00:18:11,211 --> 00:18:13,611 おねえちゃん…。 198 00:18:22,523 --> 00:18:28,645 (子供たちの泣き声) 199 00:18:28,645 --> 00:19:02,980 ♬~ 200 00:19:02,980 --> 00:19:05,080 (とめ)お嬢様! 201 00:19:11,221 --> 00:19:16,894 見て下さい。 梅の花が 今年も咲きましたよ。 202 00:19:16,894 --> 00:19:20,547 あら。 203 00:19:20,547 --> 00:19:22,816 旦那様のご自慢です。 204 00:19:22,816 --> 00:19:26,186 「あの火事に耐え抜いたんだから 大した根性だ。➡ 205 00:19:26,186 --> 00:19:29,957 八百源の宝だ」って おっしゃって。 206 00:19:29,957 --> 00:19:33,557 きっと恋をしてたのね。 え? 207 00:19:35,295 --> 00:19:39,099 身を焦がしてでも 咲きたかったんだと思う。 208 00:19:39,099 --> 00:19:43,220 はあ そうなんですか。 209 00:19:43,220 --> 00:19:45,422 ≪(喜兵衛)とめ! はい。 210 00:19:45,422 --> 00:19:49,222 たんすや長持ちを どこ置くんだ? はい ただいま! 211 00:19:51,728 --> 00:20:04,691 ♬~ 212 00:20:04,691 --> 00:20:07,291 八百源 本日開店! 213 00:20:10,597 --> 00:20:15,285 中にあるよ。 214 00:20:15,285 --> 00:20:19,990 どうぞ どうぞ。 215 00:20:19,990 --> 00:20:22,626 やっと ここまで来ました。 216 00:20:22,626 --> 00:20:24,626 いらっしゃいませ。 217 00:20:27,648 --> 00:20:31,948 ありがとうございます。 218 00:20:37,190 --> 00:20:41,528 いやあ 大盤振る舞いに 江戸中はおろか 近郷近在から➡ 219 00:20:41,528 --> 00:20:45,028 お得意様が どっと ええ。 押し寄せてきたな。 220 00:20:51,288 --> 00:20:54,091 お七。 はい。 221 00:20:54,091 --> 00:20:56,693 お前には苦労かけたな。 222 00:20:56,693 --> 00:20:59,379 苦労とは思いません。 223 00:20:59,379 --> 00:21:04,251 大乗寺では たくさんの事を うん。 学びました。 224 00:21:04,251 --> 00:21:08,655 親元を離れて 他人の飯を食う というのは悪い事ではない。 225 00:21:08,655 --> 00:21:12,426 我慢強くなるし 店の客への気配りやら➡ 226 00:21:12,426 --> 00:21:17,798 奉公人への思いやりやら いろいろ役に立つ。 227 00:21:17,798 --> 00:21:20,250 おかげさまで。 228 00:21:20,250 --> 00:21:24,454 だいぶ 顔つきが 変わりましたよ。 顔つき? 229 00:21:24,454 --> 00:21:29,459 この辺りが引き締まって 何だか 大人びて。 230 00:21:29,459 --> 00:21:31,928 そうかしら。 231 00:21:31,928 --> 00:21:38,218 そういえば そうだな。 お七は評判の若女将になる。 232 00:21:38,218 --> 00:21:41,254 物言いが ハッキリしてるし わしに似て 器量がいい。 233 00:21:41,254 --> 00:21:45,625 お前様 お七に あの話を して下さいな。 234 00:21:45,625 --> 00:21:48,729 あの話? ほら 呉服屋さんの。 235 00:21:48,729 --> 00:21:55,318 あ~ あれは駄目だ。 ぐうたらで 遊び人で めっぽう金使いが荒い。 236 00:21:55,318 --> 00:22:00,524 そんなやつを うっかり婿にしたら 八百源の身代が潰されてしまう。 237 00:22:00,524 --> 00:22:04,324 じゃ 断るんですか? まあ。 もう断った。 238 00:22:06,329 --> 00:22:09,516 いいか お七。 はい。 239 00:22:09,516 --> 00:22:15,021 女の一生は良くも悪くも はい。 亭主次第だ。 240 00:22:15,021 --> 00:22:17,908 変なのと くっついたら 一生を棒に振るし➡ 241 00:22:17,908 --> 00:22:21,878 運が良けりゃ とてつもない 玉の輿にも乗れる。 242 00:22:21,878 --> 00:22:27,033 玉の輿といっても… 八百源の娘ですから…。 243 00:22:27,033 --> 00:22:30,020 何? 八百屋の娘じゃ 不満だってのかい? 244 00:22:30,020 --> 00:22:35,792 そうではなくて 身分相応って事です。 245 00:22:35,792 --> 00:22:42,682 あのな お七 今の世の中で一番 偉いお方は 誰だか知ってるか? 246 00:22:42,682 --> 00:22:47,053 五代将軍 綱吉様でしょう? いや 違う。 247 00:22:47,053 --> 00:22:49,055 はあ? 248 00:22:49,055 --> 00:22:55,128 将軍様といえども 決して 頭が 上がらないのは 桂昌院様じゃ。 249 00:22:55,128 --> 00:22:58,298 それは御母上様ですから。 250 00:22:58,298 --> 00:23:03,487 御母上といえども 桂昌院様は 家光公の ご正室ではない。 251 00:23:03,487 --> 00:23:07,858 大奥で お手がついて 綱吉公を お産みになったが➡ 252 00:23:07,858 --> 00:23:13,480 元を正せば 八百屋の娘だ。 そうでしたね。 253 00:23:13,480 --> 00:23:17,250 分かるな? 大きな声では言えんが➡ 254 00:23:17,250 --> 00:23:21,822 江戸で一番 偉いお方は 八百屋の娘だ。 255 00:23:21,822 --> 00:23:26,676 物は言いようですね。 夢は大きい方がいい。 256 00:23:26,676 --> 00:23:33,850 まさか お前様 お七を大奥に? ハハハ… そこまでは考えておらん。 257 00:23:33,850 --> 00:23:36,153 (お房)はあ。 258 00:23:36,153 --> 00:23:42,559 あ~ 少し祝い酒が過ぎたな。 わしは寝るぞ。 259 00:23:42,559 --> 00:23:46,897 おやおや 随分 お早い事で。 いや~ 疲れた 疲れた。 260 00:23:46,897 --> 00:23:49,197 おやすみなさい。 261 00:23:56,456 --> 00:24:00,811 私も少し くたびれた。 262 00:24:00,811 --> 00:24:04,711 もみましょうか? ああ そうしておくれ。 263 00:24:08,919 --> 00:24:14,019 ああは言ってもね あの人の腹は もう決まってるんだよ。 264 00:24:16,126 --> 00:24:18,712 何の話? 265 00:24:18,712 --> 00:24:24,201 お前のお婿さんの事ですよ。 へえ。 266 00:24:24,201 --> 00:24:30,257 あれこれ考えてるうちに 家柄や 格式に こだわってちゃ➡ 267 00:24:30,257 --> 00:24:34,157 駄目だって事に 気がついたんだねえ。 268 00:24:35,812 --> 00:24:43,412 八百源の要となって しっかり のれんを守っていくのは誰かって。 269 00:24:47,891 --> 00:24:49,991 どうしたんだい? 270 00:24:52,095 --> 00:24:56,295 誰なの? 分からないかい? 271 00:24:59,402 --> 00:25:03,757 勘蔵さん? そう。 272 00:25:03,757 --> 00:25:06,457 他に誰がいるのさ。 273 00:25:10,347 --> 00:25:17,147 だから おとっ様は 縁談話を 片っ端から断ってるんだよ。 274 00:25:20,240 --> 00:25:23,460 おっか様は どうなの? 275 00:25:23,460 --> 00:25:27,260 何? 勘蔵さん。 276 00:25:31,885 --> 00:25:35,322 小作人の口減らしで うちに来た時には➡ 277 00:25:35,322 --> 00:25:38,692 やせっぽちの 鼻垂れ小僧だったのが➡ 278 00:25:38,692 --> 00:25:44,481 脇目も振らずに働いて 今じゃ 八百源の手代だからねえ。 279 00:25:44,481 --> 00:25:49,552 仕入れ先の評判はいいし お客さんにも好かれてるし。 280 00:25:49,552 --> 00:25:55,659 おとっ様に「八百源を継がせるのは 勘蔵しかいない」って言われると➡ 281 00:25:55,659 --> 00:26:01,915 「なるほど そうか」ってねえ。 282 00:26:01,915 --> 00:26:04,915 だったら お店を 継がせればいいじゃない。 283 00:26:07,621 --> 00:26:09,623 え? 284 00:26:09,623 --> 00:26:15,845 勘蔵さんに お嫁さんをもらって めおと養子にしたら? 285 00:26:15,845 --> 00:26:18,748 めおと養子? 286 00:26:18,748 --> 00:26:21,635 私に異存はありません。 バカな事を お言いでないよ! 287 00:26:21,635 --> 00:26:25,188 でも 八百源のためなら…。 お黙り! 288 00:26:25,188 --> 00:26:31,888 おとっ様だって 私だって お前の ためを思って言ってるんだよ。 289 00:26:35,298 --> 00:26:40,898 お前は 勘蔵の事が嫌いかい? 子飼いの奉公人じゃ嫌なのかい? 290 00:26:43,256 --> 00:26:49,946 好きとか嫌いとかじゃないの。 考えた事もなかったので。 291 00:26:49,946 --> 00:26:52,746 だったら よく考えるんだね。 292 00:26:54,818 --> 00:26:59,389 おとっ様の腹づもりは 祝言は なるべく早く➡ 293 00:26:59,389 --> 00:27:01,789 この秋までには挙げたいって。 294 00:27:04,861 --> 00:27:07,380 祝言…。 295 00:27:07,380 --> 00:27:10,380 お前に悪い虫のつかないうちにね。 296 00:27:13,887 --> 00:27:18,558 いいかい。 めおとってのはね➡ 297 00:27:18,558 --> 00:27:22,696 一緒にいるうちに だんだん 情がわいてくるもんなんだ。 298 00:27:22,696 --> 00:27:26,700 ほれた はれたで一緒になった 夫婦は 日がたつうちに➡ 299 00:27:26,700 --> 00:27:33,223 互いのアラが見えてきて 大概 嫌気が差すもんなんだ。 300 00:27:33,223 --> 00:27:35,723 そういうもんなんだよ。 301 00:27:42,682 --> 00:27:54,394 ♬~ 302 00:27:54,394 --> 00:27:57,230 おねえちゃん! 303 00:27:57,230 --> 00:28:00,230 おねえちゃん! おねえちゃん! 304 00:28:10,093 --> 00:28:13,113 帰ってきたの? お墓参りよ。 305 00:28:13,113 --> 00:28:16,149 な~んだ。 スズちゃんは? 306 00:28:16,149 --> 00:28:20,620 もらわれていったの。 誰に? 307 00:28:20,620 --> 00:28:23,890 知らない人。 そう。 308 00:28:23,890 --> 00:28:25,890 遊ぼうよ。 309 00:28:28,128 --> 00:28:31,498 また今度ね。 310 00:28:31,498 --> 00:28:33,598 つまんねえの。 311 00:28:36,052 --> 00:28:39,355 吉三様は? 池之端。 312 00:28:39,355 --> 00:28:42,525 勉学寮? うん。 313 00:28:42,525 --> 00:28:45,962 そう。 会いたいの? 314 00:28:45,962 --> 00:28:49,682 え? 夕方には帰ってくるよ。 315 00:28:49,682 --> 00:28:54,187 夕方? 吉三様も会いたいって。 316 00:28:54,187 --> 00:28:57,457 まあ おませ。 317 00:28:57,457 --> 00:29:08,818 ♬~ 318 00:29:08,818 --> 00:29:10,818 吉三様! 319 00:29:15,892 --> 00:29:17,892 お七。 320 00:29:26,319 --> 00:29:30,940 お会いしとうございました。 何だ 改まって。 321 00:29:30,940 --> 00:29:35,240 勉学寮へ お出かけと聞いて きっと ここをお通りになると…。 322 00:29:37,363 --> 00:29:39,782 待ち伏せか。 323 00:29:39,782 --> 00:29:42,082 私は 勘がいいんです。 324 00:29:48,558 --> 00:29:53,446 家まで送ろう。 途中 寂しい所もある。 325 00:29:53,446 --> 00:29:56,846 落ち着いたか? いえ。 326 00:29:59,185 --> 00:30:02,288 毎日 何をしている? 327 00:30:02,288 --> 00:30:09,312 お店の手伝いとか お掃除とか おさんどんとか。 328 00:30:09,312 --> 00:30:12,812 良かったな。 親子 水入らずで。 329 00:30:15,785 --> 00:30:17,787 はい。 330 00:30:17,787 --> 00:30:22,025 勉学寮の蔵には 1万4,000冊もの書物がある。 331 00:30:22,025 --> 00:30:26,629 1万4,000冊! まさしく宝の山だ。 332 00:30:26,629 --> 00:30:32,085 全てを読破するには 30年 いや 50年はかかる。 333 00:30:32,085 --> 00:30:34,187 50年…。 334 00:30:34,187 --> 00:30:37,991 しかも 月に3度は 順庵先生の ご講義を受けられる。 335 00:30:37,991 --> 00:30:41,494 これほどの幸せは 他にはない。 336 00:30:41,494 --> 00:30:46,294 次は いつになりますか? うん? 337 00:30:48,985 --> 00:30:52,822 順庵先生の ご講義です。 338 00:30:52,822 --> 00:30:55,525 また待ち伏せか。 339 00:30:55,525 --> 00:30:57,977 ご迷惑でしょうか? 340 00:30:57,977 --> 00:31:01,877 迷惑ではないが 親に 怪しまれるのではないか? 341 00:31:05,285 --> 00:31:08,187 人は1人では生きていけぬ。 342 00:31:08,187 --> 00:31:13,887 恩を受けた人には はい。 恩を返さねばならぬ。 343 00:31:16,329 --> 00:31:22,952 私には 恩人が2人いる。 1人は 大乗寺のご住職。 344 00:31:22,952 --> 00:31:29,259 覚念和尚は みなしごの私を 親代わりになって育てて下さった。 345 00:31:29,259 --> 00:31:36,282 しかも 仏門にありながら 私が 儒学を学ぶのを許して下さった。 346 00:31:36,282 --> 00:31:40,920 もう1人の恩人は 木下順庵先生だ。 347 00:31:40,920 --> 00:31:45,558 儒学の神髄を 隅から隅まで 丁寧に 手ほどきして下さる。 348 00:31:45,558 --> 00:31:51,458 おかげで私は 学問一筋に生きる 志を立てる事ができた。 349 00:31:57,954 --> 00:32:02,025 では ここで。 350 00:32:02,025 --> 00:32:04,025 良いのか? 351 00:32:05,778 --> 00:32:07,878 人目がありますので。 352 00:32:10,583 --> 00:32:13,586 1人で しゃべりすぎてしまった。 353 00:32:13,586 --> 00:32:16,286 楽しゅうございました。 354 00:32:19,225 --> 00:32:24,025 思いが かなって 幸せでした。 355 00:32:27,483 --> 00:32:30,783 私も うれしかった。 356 00:32:35,525 --> 00:32:38,728 行きなさい。 どうぞ お先に。 357 00:32:38,728 --> 00:32:42,765 私が見送る。 358 00:32:42,765 --> 00:32:46,965 後ろ姿を見られたくないのです。 359 00:32:51,057 --> 00:32:53,159 そうか。 360 00:32:53,159 --> 00:33:31,359 ♬~ 361 00:33:58,591 --> 00:34:00,760 (勘蔵)おかえんなさい。 362 00:34:00,760 --> 00:34:02,812 ただいま。 363 00:34:02,812 --> 00:34:05,112 旦那様が お待ちかねです。 364 00:34:16,426 --> 00:34:19,328 どこへ行ってた? 365 00:34:19,328 --> 00:34:23,132 ごめんなさい。 366 00:34:23,132 --> 00:34:28,988 筆を買いに行った帰りに 知り合いに バッタリ会って➡ 367 00:34:28,988 --> 00:34:32,625 つい 長話をしてしまって。 368 00:34:32,625 --> 00:34:36,462 知り合いとは誰だ? 369 00:34:36,462 --> 00:34:40,362 おとっ様の知らない人です。 男か? 女か? 370 00:34:42,985 --> 00:34:46,556 女です! 371 00:34:46,556 --> 00:34:51,244 年頃の娘が 供もつけず 夜歩きするのは みっともない。 372 00:34:51,244 --> 00:34:53,896 そういうのを蓮っ葉と言うんじゃ。 373 00:34:53,896 --> 00:34:57,266 人に あれこれ言われたら どうする? 374 00:34:57,266 --> 00:35:01,137 後ろ指をさされたら どうする? 375 00:35:01,137 --> 00:35:05,691 お前はな 八百源の 跡取り娘なんだぞ。 376 00:35:05,691 --> 00:35:08,091 分かっています。 分かってない! 377 00:35:10,263 --> 00:35:12,763 アチチ! 378 00:35:16,452 --> 00:35:23,125 おとっ様はね お前に大事な話を するつもりだったんだよ。 379 00:35:23,125 --> 00:35:26,279 何の話か分かるだろ? 380 00:35:26,279 --> 00:35:30,216 お前様! 今夜は もういい。 381 00:35:30,216 --> 00:35:32,952 どうして? はあ? 縁起が悪い。 382 00:35:32,952 --> 00:35:36,822 雁首が ポロッと落ちた。 何を言ってるんですか。 383 00:35:36,822 --> 00:35:39,075 もう先延ばしは できませんよ。 384 00:35:39,075 --> 00:35:41,594 祝言が秋なら 仲人さんも頼まないと。 385 00:35:41,594 --> 00:35:46,215 その前に 確かめておきたい事が ある。 386 00:35:46,215 --> 00:35:50,052 お七。 はい。 387 00:35:50,052 --> 00:35:55,892 お前はな 大乗寺で過ごした 1年の間に がらっと変わった。 388 00:35:55,892 --> 00:35:59,161 良くも悪くもだ。 389 00:35:59,161 --> 00:36:03,816 箱入り娘が 世間の風に触れて 急に大人になったんじゃ。 390 00:36:03,816 --> 00:36:07,353 いわば さなぎが 蝶になったんじゃ。 391 00:36:07,353 --> 00:36:10,206 蝶々は ヒラヒラ舞って 花の蜜を求める。 392 00:36:10,206 --> 00:36:14,076 だが 心は まだ子供だから 花を見分ける力がない。 393 00:36:14,076 --> 00:36:18,648 恋でもないのに 恋だと思い込んで 浅はかにも熱を上げる。 394 00:36:18,648 --> 00:36:24,487 一時の気の病に うつつを抜かす。 これが一番 危ない。 395 00:36:24,487 --> 00:36:28,691 話が それてますよ。 え? 396 00:36:28,691 --> 00:36:33,362 おとっ様は 吉三郎さんの話を してるんだよ。 397 00:36:33,362 --> 00:36:37,400 そうだ。 親の目は ごませんぞ。 398 00:36:37,400 --> 00:36:42,555 あの人は様子がいいから 若い娘が ポ~ッとなるのは分かります。 399 00:36:42,555 --> 00:36:45,925 一つ屋根の下に1年もいれば 情が移る事もあるでしょう。 400 00:36:45,925 --> 00:36:52,248 でもね 八百源の婿には できませんよ。 401 00:36:52,248 --> 00:36:54,248 分かってるね? 402 00:36:56,319 --> 00:37:00,319 分かっています。 (喜兵衛)分かってるのに なぜ? 403 00:37:03,459 --> 00:37:07,459 それが分かりません。 何が分からんのだ。 404 00:37:09,849 --> 00:37:18,457 正直に言うと 吉三様は 今も 私の胸に住み着いています。 405 00:37:18,457 --> 00:37:22,979 まさか お前 乳繰り… 間違いを 犯しては いまいな? 406 00:37:22,979 --> 00:37:25,915 吉三様は そういう方では ありません。 407 00:37:25,915 --> 00:37:30,686 信じていいんだな? 天地神明に。 408 00:37:30,686 --> 00:37:34,690 はしかが長引いてるんだね。 409 00:37:34,690 --> 00:37:37,994 そうかもしれません。 さっさと忘れなさい。 410 00:37:37,994 --> 00:37:42,031 すぐには無理です! 411 00:37:42,031 --> 00:37:45,431 もうしばらく待って下さい。 しばらくって いつ? 412 00:37:48,387 --> 00:37:52,024 分かりません。 それじゃ困るのよ! 413 00:37:52,024 --> 00:37:57,980 あのな お七 お前は 吉三郎の正体を知らんのだ。 414 00:37:57,980 --> 00:38:00,366 正体? 415 00:38:00,366 --> 00:38:05,788 おっかさんから聞いたと思うが あの男は ご公儀に謀反を企んで➡ 416 00:38:05,788 --> 00:38:08,958 打ち首になった浪人のせがれじゃ。 417 00:38:08,958 --> 00:38:10,943 本当なのでしょうか? 418 00:38:10,943 --> 00:38:14,643 本当も何も 由井正雪の一味じゃ。 419 00:38:16,365 --> 00:38:20,369 由井正雪? 420 00:38:20,369 --> 00:38:24,824 知らんのか? 大名が次々に改易されて➡ 421 00:38:24,824 --> 00:38:29,061 浪人だらけになった世の中を ひっくり返そうとしたんじゃ。 422 00:38:29,061 --> 00:38:33,933 下手に関わると ろくな事にならんぞ。 423 00:38:33,933 --> 00:38:36,633 それこそ 身の破滅ですよ。 424 00:38:39,889 --> 00:38:59,892 ♬~ 425 00:38:59,892 --> 00:39:04,914 (笑い声) 426 00:39:04,914 --> 00:39:06,914 (アキ)ちょっと。 何? 427 00:39:09,251 --> 00:39:11,251 ちょっと 早く! 428 00:39:14,757 --> 00:39:18,728 ちょっと あんた。 何で隠れんの? 429 00:39:18,728 --> 00:39:21,464 出てきなさいよ。 やめて下さい! 430 00:39:21,464 --> 00:39:24,834 ここで何してんのさ? 人を待ってるんです。 431 00:39:24,834 --> 00:39:28,854 しらばっくれんじゃないよ。 カモを待ってんだろ? 432 00:39:28,854 --> 00:39:34,894 カモ? ここは私たちの縄張りなんだよ。 433 00:39:34,894 --> 00:39:39,899 素人のくせに 客を横取りしよう なんて ずうずうしいね。 434 00:39:39,899 --> 00:39:42,284 オラ。 違います。 435 00:39:42,284 --> 00:39:46,322 いいから とっとと ショバ代 払って 消えな! 436 00:39:46,322 --> 00:39:48,324 やめて下さい。 437 00:39:48,324 --> 00:39:52,261 おや 手向かいするのかい? だから 人を待ってるの! 438 00:39:52,261 --> 00:39:54,461 やかましい! 439 00:39:57,983 --> 00:40:00,035 このあばずれが! 440 00:40:00,035 --> 00:40:02,635 助けて! うるさいんだよ! 441 00:40:06,792 --> 00:40:09,195 ざまあ見やがれ! 442 00:40:09,195 --> 00:40:12,381 死んじまったよ。 443 00:40:12,381 --> 00:40:16,081 穴掘って 埋めときな。 しっ 誰か来るぜ。 444 00:40:17,887 --> 00:40:19,887 逃げんのよ。 445 00:40:28,247 --> 00:40:31,650 お七 お七! 446 00:40:31,650 --> 00:40:35,950 お七 しっかりしろ! お七 お七! 447 00:41:48,861 --> 00:41:52,698 この体には 魔性の狐が 住み着いています。 448 00:41:52,698 --> 00:41:55,084 自分で自分が恐ろしいのです。 449 00:41:55,084 --> 00:41:58,387 大乗寺に あの寺小姓が 戻っているようです。 450 00:41:58,387 --> 00:42:02,057 気がつけば お七の事ばかり 考えている。 451 00:42:02,057 --> 00:42:04,526 バカもん! 何するんですか。 452 00:42:04,526 --> 00:42:07,880 この先 どうなっても構いません。 453 00:42:07,880 --> 00:42:15,621 ♬「月が見えない夜だから」 454 00:42:15,621 --> 00:42:23,395 ♬「余計 寂しくなるのでしょう」 455 00:42:23,395 --> 00:42:30,653 ♬「声を殺して 風が泣いてる」 456 00:42:30,653 --> 00:42:39,211 ♬「遠く さめざめと…」 457 00:42:39,211 --> 00:42:47,052 ♬「夢なら醒めるのに 確かに そこにいる」 458 00:42:47,052 --> 00:42:55,127 ♬「あなたのすぐそばで ずっと気づかれないで…」 459 00:42:55,127 --> 00:43:02,952 ♬「手鎖されたまま 身動き取れぬまま」 460 00:43:02,952 --> 00:43:11,126 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 461 00:43:11,126 --> 00:43:29,826 ♬「私だけの身勝手な愛」