1 00:00:35,755 --> 00:00:39,358 (お七)思いが かなって 幸せでした。 2 00:00:39,358 --> 00:00:42,828 (お房)おとっ様の腹づもりは 祝言は なるべく早く➡ 3 00:00:42,828 --> 00:00:44,814 この秋までには 挙げたいって。 4 00:00:44,814 --> 00:00:47,414 待って下さい。 5 00:00:49,051 --> 00:00:51,520 そんなに 七が お嫌いですか? 6 00:00:51,520 --> 00:00:54,757 この アバズレが。 助けて~! 7 00:00:54,757 --> 00:00:58,357 (吉三郎)お七 お七 おい お七! 8 00:01:07,236 --> 00:01:24,136 ♬~ 9 00:01:25,788 --> 00:01:28,991 ご心配 おかけしました。 10 00:01:28,991 --> 00:01:30,991 (お房)誰に やられたんだい? 11 00:01:32,845 --> 00:01:34,864 ごめんなさい。 12 00:01:34,864 --> 00:01:38,334 (喜兵衛)誰に やられたかと 聞いてるんだ。 13 00:01:38,334 --> 00:01:42,734 ゴザを持った 女たちです。 女? 14 00:01:45,891 --> 00:01:49,044 何で 襲われたんじゃ? 15 00:01:49,044 --> 00:01:53,015 縄張りを荒らしたの 何のと…。 16 00:01:53,015 --> 00:01:55,067 場所は どこだ? 17 00:01:55,067 --> 00:01:57,067 正直に言いなさい。 18 00:01:58,721 --> 00:02:03,609 地蔵堂の近くの林です…。 19 00:02:03,609 --> 00:02:05,995 何で そんな所に…。 20 00:02:05,995 --> 00:02:08,998 連れは いなかったのか? いません。 21 00:02:08,998 --> 00:02:12,902 嘘を つくんじゃない! ホントです。 22 00:02:12,902 --> 00:02:18,924 勘蔵が 木戸門から戻ってくるのを ちゃんと見ていた。 23 00:02:18,924 --> 00:02:23,929 送ってきたのは 大乗寺の寺小姓だろ。 24 00:02:23,929 --> 00:02:26,699 勘蔵さんが そう言ったのですか? 25 00:02:26,699 --> 00:02:30,736 いいから答えろ。 吉の字と 一緒だったんだな? 26 00:02:30,736 --> 00:02:36,192 聞いて下さい。 私の急場を たまたま通りかかった吉三様が➡ 27 00:02:36,192 --> 00:02:39,128 助けてくれたんです。 たまたま 通りかかった? 28 00:02:39,128 --> 00:02:42,515 そんな はずは ない。 あいびきでもないのに➡ 29 00:02:42,515 --> 00:02:46,418 そんな うら寂しい地蔵堂まで 誰が わざわざ行くもんか! 30 00:02:46,418 --> 00:02:48,454 私は 会いたいと思いました。 31 00:02:48,454 --> 00:02:52,758 でも 吉三様は 私が待ってる事は 知りませんでした。 32 00:02:52,758 --> 00:02:54,760 同じ事じゃないか。 いいえ 違います。 33 00:02:54,760 --> 00:02:56,762 吉三郎さんを かばってるのかい? 34 00:02:56,762 --> 00:02:59,315 いえ ホントの事を 言ってるだけです! 35 00:02:59,315 --> 00:03:02,785 この はすっぱが! 36 00:03:02,785 --> 00:03:06,989 お前はな 八百源の 跡取り娘なんだぞ。 37 00:03:06,989 --> 00:03:13,389 勘蔵と所帯を持って 店を 切り盛りしなきゃ ならんのだ。 38 00:03:15,381 --> 00:03:17,833 その話は 待って下さい。 39 00:03:17,833 --> 00:03:20,486 何だと? 40 00:03:20,486 --> 00:03:29,011 私の この胸の中は 吉三様で いっぱいです。 41 00:03:29,011 --> 00:03:35,401 吉三様の事を思うと 手足が震えてきます。 42 00:03:35,401 --> 00:03:39,688 (お房)だから それはね…。 分かっています! 43 00:03:39,688 --> 00:03:45,688 一時の気の病と言われれば そうだと思います…。 44 00:03:48,864 --> 00:03:55,154 でも 今… 無理やり引き裂かれたら…➡ 45 00:03:55,154 --> 00:03:58,857 きっと… 私は死んでしまいます。 46 00:03:58,857 --> 00:04:02,428 バカな事 お言いでないよ! お前は 親を脅すつもりか? 47 00:04:02,428 --> 00:04:09,835 いいえ! 心から 申し訳なく思っています。 48 00:04:09,835 --> 00:04:15,435 でも… 自分では どうしようも ないんです…。 49 00:04:22,197 --> 00:04:25,097 堪忍して下さい。 50 00:04:36,328 --> 00:04:43,619 ならば 正気に戻るまで 土蔵に閉じ込めるしかない。 51 00:04:43,619 --> 00:04:45,688 お前様。 52 00:04:45,688 --> 00:04:50,059 そろそろ目を覚ましたら どうだ? 53 00:04:50,059 --> 00:04:55,748 吉三郎の素性は教えたはずだ。 54 00:04:55,748 --> 00:04:59,318 その話は 嘘です。 嘘? 55 00:04:59,318 --> 00:05:01,337 吉三郎が そう言ったのか? 56 00:05:01,337 --> 00:05:06,225 いいえ 吉三様とは 何も話していません。 57 00:05:06,225 --> 00:05:08,227 自分で調べました。 58 00:05:08,227 --> 00:05:11,764 何を調べたんだ? 59 00:05:11,764 --> 00:05:16,564 由井正雪の謀反が発覚して 死罪になったのは 慶安4年です。 60 00:05:18,537 --> 00:05:22,524 30年も前ですから 吉三様は まだ生まれていません。 61 00:05:22,524 --> 00:05:24,860 お房…。 えっ? 62 00:05:24,860 --> 00:05:27,763 この話は お前が 聞いてきたんだろ? 63 00:05:27,763 --> 00:05:29,748 あ…。 64 00:05:29,748 --> 00:05:34,770 ひょっとして せがれではなくて 孫だったかしら? 65 00:05:34,770 --> 00:05:37,890 いいかげんな事 言わないで下さい。 66 00:05:37,890 --> 00:05:41,794 根も葉もない噂で 人様の陰口を言うなんて…。 67 00:05:41,794 --> 00:05:45,631 何だ 親に向かって! 68 00:05:45,631 --> 00:05:49,001 取り消して下さい。 開き直るんじゃない! 69 00:05:49,001 --> 00:05:54,006 お前は 親心が 分からないのかい? 70 00:05:54,006 --> 00:05:56,492 ≪(留)旦那様。 うん? 71 00:05:56,492 --> 00:05:59,261 町役の甚兵衛様が お見えです。 72 00:05:59,261 --> 00:06:03,061 おお そうか。 73 00:06:07,820 --> 00:06:11,520 ゆうべの事は 誰にも言ってはならんぞ。 74 00:06:24,570 --> 00:06:28,891 (覚念)やっかいな事に なりましたな。 75 00:06:28,891 --> 00:06:32,361 吉三と相性が良いのは 知っておりましたが➡ 76 00:06:32,361 --> 00:06:36,965 まさか そこまでとは…。 気が つきませんでした。 77 00:06:36,965 --> 00:06:42,454 誠に お恥ずかしい話ですが 他に相談する お方もなく…。 78 00:06:42,454 --> 00:06:46,558 分かりました。 吉三には 厳しく 申しつけておきます。 79 00:06:46,558 --> 00:06:50,295 今後 お七と会う事は 一切 まかりならんと…。 80 00:06:50,295 --> 00:06:55,684 お言葉ですが それだけでは 手ぬるうございます。 81 00:06:55,684 --> 00:06:59,021 お七の片思いは とても尋常とはいえず➡ 82 00:06:59,021 --> 00:07:03,792 夜な夜な出かけては 待ち伏せを したり 後をつけたり…。 83 00:07:03,792 --> 00:07:09,214 吉三様に会えないなら 死んだ方が マシだ と泣きじゃくる始末で…。 84 00:07:09,214 --> 00:07:14,253 ただ事では ありませんな。 85 00:07:14,253 --> 00:07:18,357 何とか お知恵を お借りできませんでしょうか? 86 00:07:18,357 --> 00:07:25,197 あ~ あいにくですが あいびきを差し止める お経は➡ 87 00:07:25,197 --> 00:07:28,817 ちと 心当たりが…。 いや そうではなく…。 88 00:07:28,817 --> 00:07:32,221 例えば 吉三郎さんを しかるべき所に➡ 89 00:07:32,221 --> 00:07:38,327 つまり よそ様にお預け頂くとか。 よそに預ける? 90 00:07:38,327 --> 00:07:43,766 誠に勝手な申し分ですが 恋は 一時の病と申します。 91 00:07:43,766 --> 00:07:46,266 う~ん…。 92 00:07:50,589 --> 00:07:54,610 費用は手前どもが 用立てます。 93 00:07:54,610 --> 00:07:57,546 吉三郎様にも それなりの お手当を…。 94 00:07:57,546 --> 00:08:01,116 喜兵衛さん! それは 筋違いですよ。 95 00:08:01,116 --> 00:08:04,753 吉三には 何の罪も無いんだ。 申し訳ございません。 96 00:08:04,753 --> 00:08:10,292 親として もっと 工夫したら いかがですかな? 97 00:08:10,292 --> 00:08:13,462 見張りをつけるなり 足止めするなり…➡ 98 00:08:13,462 --> 00:08:18,917 いっそ 座敷牢に閉じ込めるなり。 それも考えましたが➡ 99 00:08:18,917 --> 00:08:22,955 世を はかなんで 首でも つったら 大ごとになりますので…。 100 00:08:22,955 --> 00:08:26,325 首をつる? まさか とは思いますが…。 101 00:08:26,325 --> 00:08:29,862 そうやって 甘やかすから いかんのですよ! 102 00:08:29,862 --> 00:08:34,066 ご無礼致しました。 つい 藁をも つかむ思いで…。 103 00:08:34,066 --> 00:08:38,170 私は 藁ですか? いえいえ。 104 00:08:38,170 --> 00:08:41,870 お越しを お待ちしております! ありがとうございました。 105 00:09:05,397 --> 00:09:09,868 朝げは 済んだのかい? 106 00:09:09,868 --> 00:09:16,458 堪忍して。 何も のどを通らないの。 107 00:09:16,458 --> 00:09:20,913 食べなきゃ 体 壊すよ。 108 00:09:20,913 --> 00:09:23,282 もう どうなっても いいの。 109 00:09:23,282 --> 00:09:28,820 そうは いかないだろう。 110 00:09:28,820 --> 00:09:34,226 私って 親不孝ですね。 111 00:09:34,226 --> 00:09:40,326 親不孝というより 少しは 周りの事も考えたら どうなの? 112 00:09:43,402 --> 00:09:51,126 勘蔵はね おとっ様から養子縁組の 話を打ち明けられて➡ 113 00:09:51,126 --> 00:09:56,064 うれし涙を流したんだよ。 114 00:09:56,064 --> 00:10:02,254 「夢のような お話です。 天にも昇る心地です」。 115 00:10:02,254 --> 00:10:06,558 そう 言ったんだよ。 116 00:10:06,558 --> 00:10:14,733 忘れたのかい? 勘蔵は小僧の時に お前の子守をしたんだよ。 117 00:10:14,733 --> 00:10:19,788 熱を出した時は 付きっきりで 一晩中 看病して➡ 118 00:10:19,788 --> 00:10:26,595 こうやって うちわで あおいでさ。 119 00:10:26,595 --> 00:10:34,219 どんなに お前を かわいがった事か…。 120 00:10:34,219 --> 00:10:39,391 勘蔵さんには ちゃんと おわびをするつもりです。 121 00:10:39,391 --> 00:10:44,963 余計な事は言わなくていいんだよ。 122 00:10:44,963 --> 00:10:51,753 お前は 勘蔵と 一緒になるんだから。 123 00:10:51,753 --> 00:10:54,089 それは もう 決まってるんだからね。 124 00:10:54,089 --> 00:11:07,552 ♬~ 125 00:11:07,552 --> 00:11:22,300 (祈とう) 126 00:11:22,300 --> 00:11:24,286 何なんだ これは? 127 00:11:24,286 --> 00:11:27,155 魔よけですって。 魔よけ? 128 00:11:27,155 --> 00:11:32,494 お嬢様に ついた狐を いぶり出すのよ。 129 00:11:32,494 --> 00:11:47,225 (祈とう) 130 00:11:47,225 --> 00:12:00,022 ♬~ 131 00:12:00,022 --> 00:12:02,424 逃げろ 逃げろ 早く! 急げ! 132 00:12:02,424 --> 00:12:06,328 急げ! うわ~ 来た! 133 00:12:06,328 --> 00:12:09,514 来た~! 来るぞ! 134 00:12:09,514 --> 00:12:13,385 逃げろ~! 来た~! 135 00:12:13,385 --> 00:12:19,825 (モト)こら~! どうして 言う事 聞かないの? 136 00:12:19,825 --> 00:12:23,495 あいにく うちの人は 寄り合いがございまして…。 137 00:12:23,495 --> 00:12:26,681 いやいや 女将さんで いい。 138 00:12:26,681 --> 00:12:29,985 恐れ入ります。 139 00:12:29,985 --> 00:12:33,722 お七の様子は その後 どうですかな? 140 00:12:33,722 --> 00:12:37,826 それが… 相変わらずでして…。 141 00:12:37,826 --> 00:12:39,811 いけませんなあ…。 142 00:12:39,811 --> 00:12:43,648 占い師を頼んで おまじないを してもらったり➡ 143 00:12:43,648 --> 00:12:46,818 修験者に魔よけの祈とうを 頼んだりと➡ 144 00:12:46,818 --> 00:12:51,840 いろいろ手を尽くしては おりますが…。 145 00:12:51,840 --> 00:12:55,627 実は わしも あれから ずっと気になっておりましてな。 146 00:12:55,627 --> 00:13:01,416 やっぱり 喜兵衛さんが 言うたとおり➡ 147 00:13:01,416 --> 00:13:07,656 吉三を よそに預けた方が 良いのではないかと…。 148 00:13:07,656 --> 00:13:10,408 ありがとう存じます。 149 00:13:10,408 --> 00:13:16,331 いやいや お七のためというより 吉三の身を守るためじゃ。 150 00:13:16,331 --> 00:13:23,054 今や 木下順庵門下でも 注目の俊才と見られる吉三が➡ 151 00:13:23,054 --> 00:13:25,557 道を踏み外すのは もったいない。 152 00:13:25,557 --> 00:13:29,828 ごもっともに ございます。 そこでじゃ 幸いな事に➡ 153 00:13:29,828 --> 00:13:36,251 吉三を預かっても良いと 名乗り出た御仁がござる。 154 00:13:36,251 --> 00:13:38,487 どなたですか? 155 00:13:38,487 --> 00:13:45,794 松尾芭蕉というてな今をときめく 俳諧師じゃ。 俳諧師? 156 00:13:45,794 --> 00:13:48,814 これが 順庵先生と じっこんでな。 157 00:13:48,814 --> 00:13:51,399 吉三なら 預かっても良いと…。 158 00:13:51,399 --> 00:13:54,536 お住まいは? 159 00:13:54,536 --> 00:13:57,622 深川じゃ。 深川…。 160 00:13:57,622 --> 00:14:02,994 大川の向こうじゃから お七も足が届くまい。 161 00:14:02,994 --> 00:14:07,866 どうぞ よろしく お願い致します。 162 00:14:07,866 --> 00:14:12,154 松尾芭蕉? 有名な俳諧師だそうですよ。 163 00:14:12,154 --> 00:14:15,290 知らんな。 深川の芭蕉庵には➡ 164 00:14:15,290 --> 00:14:20,312 御直参から町人まで たくさんの お弟子さんが通っているそうです。 165 00:14:20,312 --> 00:14:23,648 深川の? ええ。 166 00:14:23,648 --> 00:14:26,585 吉三郎は 俳諧師になるのか? 167 00:14:26,585 --> 00:14:29,955 いえ そうではなくて 身の回りのお世話をするそうです。 168 00:14:29,955 --> 00:14:33,955 ふ~ん。 169 00:14:37,295 --> 00:14:41,416 ご住職に 重々お礼を 申し上げて下さいね。 170 00:14:41,416 --> 00:14:46,338 分かっておる。 これで当分 枕を高くして眠れるな。 171 00:14:46,338 --> 00:14:49,324 (笑い) 172 00:14:49,324 --> 00:14:55,564 (太鼓の音) 173 00:14:55,564 --> 00:15:10,528 ♬「ここは どこぞと 船頭衆に問えば」 174 00:15:10,528 --> 00:15:17,836 ♬「ここは 梅若隅田川」 175 00:15:17,836 --> 00:15:24,342 ♬~ 176 00:15:24,342 --> 00:15:29,564 はい さあさあ。 177 00:15:29,564 --> 00:15:31,650 いらっしゃいまし。 178 00:15:31,650 --> 00:15:33,885 お前様。 何だ 大丈夫だよ。 179 00:15:33,885 --> 00:15:39,624 まだ 酔っ払ってない。 違いますよ ちょいと ちょいと。 180 00:15:39,624 --> 00:15:44,529 どうした? お七が お墓参りに 行きたいって。 181 00:15:44,529 --> 00:15:46,514 墓参り? 182 00:15:46,514 --> 00:15:49,985 子供たちと 約束したんですって。 183 00:15:49,985 --> 00:15:54,956 まあ いいだろう。 吉の字も いないんだし。 184 00:15:54,956 --> 00:16:00,428 そうね お祭りですし たまには気晴らしを しないとね。 185 00:16:00,428 --> 00:16:02,480 念のために 平太をつけてやりなさい。 186 00:16:02,480 --> 00:16:04,733 分かりました。 187 00:16:04,733 --> 00:16:06,718 あっ どうも。 188 00:16:06,718 --> 00:16:29,991 ♬~ 189 00:16:29,991 --> 00:16:35,096 お姉ちゃん。 お姉ちゃん。 190 00:16:35,096 --> 00:16:38,616 どうしたの? みんなの顔を見にきたのよ。 191 00:16:38,616 --> 00:16:40,618 うれしい。 192 00:16:40,618 --> 00:16:43,305 ちゃんと手習いは してるの? してるよ。 193 00:16:43,305 --> 00:16:48,126 頑張ってるのね。 じゃあ はい これ お土産。 194 00:16:48,126 --> 00:16:50,111 何? 195 00:16:50,111 --> 00:16:53,064 何だと思う? 当ててごらん。 196 00:16:53,064 --> 00:16:55,550 トウモロコシ。 いいえ。 197 00:16:55,550 --> 00:16:58,386 お人形。 いいえ。 198 00:16:58,386 --> 00:17:03,458 草だんご。 違います。 199 00:17:03,458 --> 00:17:05,458 シャボン玉。 200 00:17:07,395 --> 00:17:10,995 うわ~。 201 00:17:14,135 --> 00:17:17,435 きれい。 あ~ きれい。 202 00:17:19,457 --> 00:17:24,629 よく 聞いて。 落ち着いて この先に ちょっとつけて…。 203 00:17:24,629 --> 00:17:26,731 そ~っと 吹くの。 204 00:17:26,731 --> 00:17:29,831 はい じゃ みんなも やってみて。 はい! 205 00:17:35,123 --> 00:17:38,393 あ きれい。 すごい すごい。 206 00:17:38,393 --> 00:17:41,162 吉三さんにも 見せたいね。 うん。 207 00:17:41,162 --> 00:17:43,148 だって居ないんでしょ? 208 00:17:43,148 --> 00:17:45,148 居るよ。 209 00:17:52,657 --> 00:17:54,659 吉三様は どこに? 210 00:17:54,659 --> 00:17:56,811 裏の物置小屋。 211 00:17:56,811 --> 00:18:00,711 いつから? ゆうべ 帰ってきた。 212 00:18:05,503 --> 00:18:07,689 平太。 ヘイ! 213 00:18:07,689 --> 00:18:10,325 シャボン玉 もっと買ってきて。 214 00:18:10,325 --> 00:18:13,925 はあ? いいから 早く。 ヘイ! 215 00:18:21,352 --> 00:19:21,379 ♬~ 216 00:19:21,379 --> 00:19:25,717 ごめんください 七です。 217 00:19:25,717 --> 00:20:41,817 ♬~ 218 00:20:43,528 --> 00:20:45,513 うわ~ きれい。 219 00:20:45,513 --> 00:20:47,732 お~い! 220 00:20:47,732 --> 00:20:51,519 お七様は? 知~らない。 221 00:20:51,519 --> 00:20:56,919 行こう。 おい。 ちょっと。 222 00:21:10,088 --> 00:21:15,510 (雷鳴と雨音) 223 00:21:15,510 --> 00:21:31,025 ♬~ 224 00:21:31,025 --> 00:21:34,162 吉三様! お七。 225 00:21:34,162 --> 00:21:36,147 どうした? 226 00:21:36,147 --> 00:21:38,900 吉三様こそ どうして ここに いらっしゃるんですか? 227 00:21:38,900 --> 00:21:42,103 ゆうべ 帰ってきた。 228 00:21:42,103 --> 00:21:46,557 どうりで…。 うん? 229 00:21:46,557 --> 00:21:50,957 胸騒ぎが…。 胸騒ぎ? 230 00:21:54,115 --> 00:21:57,715 思いは通じるんですね。 231 00:22:00,254 --> 00:22:03,675 私も会いたかった。 232 00:22:03,675 --> 00:22:07,675 (雷鳴) 233 00:22:20,692 --> 00:22:23,492 これを…。 234 00:22:30,818 --> 00:22:34,618 ありがとうございます。 235 00:22:47,802 --> 00:22:51,989 夢じゃ ないんですね。 236 00:22:51,989 --> 00:22:57,089 いや… 夢かもしれん。 237 00:23:04,535 --> 00:23:06,535 私は…。 238 00:23:13,895 --> 00:23:17,965 お七の事を忘れようと思っていた。 239 00:23:17,965 --> 00:23:21,936 もう会わぬと…。 240 00:23:21,936 --> 00:23:23,936 だが…。 241 00:23:28,760 --> 00:23:31,160 忘れようとすれば するほど…。 242 00:23:34,665 --> 00:23:39,365 お七の面影が とりついて離れない。 243 00:23:44,058 --> 00:23:48,196 まぶたを閉じれば お七が居る。 244 00:23:48,196 --> 00:23:52,633 書物の中にも お七が居る。 245 00:23:52,633 --> 00:23:56,533 学問も手につかない…。 246 00:24:01,025 --> 00:24:06,697 気がつけば お七の事ばかり 考えている。 247 00:24:06,697 --> 00:24:22,997 ♬~ 248 00:24:22,997 --> 00:24:25,397 ごめんなさい…。 249 00:24:27,068 --> 00:24:31,088 お七のせいでは ない。 250 00:24:31,088 --> 00:24:34,388 私の修行が足りないのだ。 251 00:24:36,594 --> 00:24:41,098 大乗寺には 二度と戻らぬつもりだったが➡ 252 00:24:41,098 --> 00:24:43,798 つい足が向いてしまった。 253 00:24:46,154 --> 00:24:48,554 何度も引き返そうとしたが…。 254 00:24:51,159 --> 00:24:54,259 自分の弱さに負けてしまった…。 255 00:24:58,499 --> 00:25:04,699 今は どこに いらっしゃるのですか? 256 00:25:07,959 --> 00:25:11,059 それは聞かないでくれ。 257 00:25:35,453 --> 00:25:41,492 吉三様…。 うん…。 258 00:25:41,492 --> 00:25:54,922 ♬~ 259 00:25:54,922 --> 00:25:56,922 私は…。 260 00:26:01,379 --> 00:26:03,564 どこにも お嫁に行けぬよう…。 261 00:26:03,564 --> 00:26:06,964 バカな事 言うな! 後生です! 262 00:26:10,688 --> 00:26:12,688 お七…。 263 00:26:14,375 --> 00:26:20,765 私は お七を幸せにする事は できない。 264 00:26:20,765 --> 00:26:23,165 分かっています…。 265 00:26:29,490 --> 00:26:35,646 お七には 嫁がねばならぬ 相手がいる。 266 00:26:35,646 --> 00:26:37,665 親が決めた相手です。 267 00:26:37,665 --> 00:26:40,765 親に背いてはならぬ! 268 00:26:49,594 --> 00:26:56,994 私にとっては かけがえのない恋です。 269 00:27:02,290 --> 00:27:12,990 一時だけでも 吉三様の 心の片隅に置いて下さい。 270 00:27:18,923 --> 00:27:22,159 お七…。 271 00:27:22,159 --> 00:27:28,766 この先 どうなっても構いません。 272 00:27:28,766 --> 00:27:34,766 全ての夢が はかなく消えても…。 273 00:27:37,725 --> 00:27:40,425 思い残す事は ありません…。 274 00:27:42,096 --> 00:27:44,649 (雷鳴) 275 00:27:44,649 --> 00:28:11,149 ♬~ 276 00:28:22,086 --> 00:28:24,088 ただいま 戻りました。 277 00:28:24,088 --> 00:28:26,190 (幸助)遅かったじゃないか。 278 00:28:26,190 --> 00:28:29,794 あの… お七様は? 何だと? 279 00:28:29,794 --> 00:28:31,796 まだ帰ってませんよ。 えっ? 280 00:28:31,796 --> 00:28:34,365 お前が お供してたんじゃねえか。 281 00:28:34,365 --> 00:28:37,718 それが… 大乗寺で お姿を見失いまして…。 282 00:28:37,718 --> 00:28:39,787 見失った? 283 00:28:39,787 --> 00:28:43,057 シャボン玉を買いにいったすきに いなくなってしまって…。 284 00:28:43,057 --> 00:28:45,593 え… ほうぼう 捜したんですが…。 285 00:28:45,593 --> 00:28:47,962 この マヌケ野郎! もう一度 捜してこい! 286 00:28:47,962 --> 00:28:51,198 あっしが 参りやす。 仙吉 お前も行け! ヘイ! 287 00:28:51,198 --> 00:28:53,198 頼んだよ。 ヘイ! 288 00:28:55,569 --> 00:28:57,621 しっかり捜してくるんだぞ! 289 00:28:57,621 --> 00:29:00,524 あの… 旦那様は…? 290 00:29:00,524 --> 00:29:04,061 酔っ払って寝ちまったよ。 291 00:29:04,061 --> 00:29:06,061 あの…。 292 00:29:11,585 --> 00:29:13,988 どうしたんだい? 293 00:29:13,988 --> 00:29:17,792 大乗寺に あの寺小姓が 戻っているようです。 294 00:29:17,792 --> 00:29:21,796 何だって? お七様を捜しに 裏の林に行ったら…。 295 00:29:21,796 --> 00:29:24,148 出会ったのか? いえ 出会ってはいませんが…。 296 00:29:24,148 --> 00:29:27,151 じれったいヤツだな さっさと しゃべらんか! 297 00:29:27,151 --> 00:29:34,091 林の中に 物置小屋があって その近くに これが落ちてました。 298 00:29:34,091 --> 00:29:36,391 かんざし じゃないか…。 299 00:29:40,831 --> 00:29:43,901 お七のだよ…。 300 00:29:43,901 --> 00:29:46,887 どういう事? それを拾って…。 301 00:29:46,887 --> 00:29:48,889 それから どうした? 302 00:29:48,889 --> 00:29:52,189 急いで帰ってきました。 どうして? 303 00:29:54,061 --> 00:29:56,761 雷が 怖くて…。 バカ! 304 00:30:00,034 --> 00:30:02,153 ≪女将さん。 ああ? 305 00:30:02,153 --> 00:30:06,624 お嬢様が お帰りになりました。 306 00:30:06,624 --> 00:30:09,293 そう…。 307 00:30:09,293 --> 00:30:48,132 ♬~ 308 00:30:48,132 --> 00:30:50,985 吉三郎さんが 戻ってきたそうですな。 309 00:30:50,985 --> 00:30:53,587 私も ビックリしました。 310 00:30:53,587 --> 00:30:56,774 ゆうべは 娘と会うてます。 そうらしいですな。 311 00:30:56,774 --> 00:30:58,792 そうらしいでは 困ります。 312 00:30:58,792 --> 00:31:01,562 2人は 示し合わせて あいびきを したんですよ。 313 00:31:01,562 --> 00:31:04,882 この大乗寺で! う… うん…。 314 00:31:04,882 --> 00:31:07,782 これを見て下さい。 315 00:31:10,621 --> 00:31:14,925 お七と はぐれた供の者が 物置小屋の前で拾うたんです。 316 00:31:14,925 --> 00:31:16,911 ほお。 317 00:31:16,911 --> 00:31:19,997 2人が 小屋の中に おった事は 間違いありません。 318 00:31:19,997 --> 00:31:21,999 雨宿り しおったんじゃろ。 319 00:31:21,999 --> 00:31:23,984 雨宿りでは 済まんでしょう。 320 00:31:23,984 --> 00:31:26,954 相ぼれの 若い男女が 一つ 屋根の下に閉じ込められた。 321 00:31:26,954 --> 00:31:30,658 なるようになるのが当然です。 それは あんたの邪推じゃ! 322 00:31:30,658 --> 00:31:34,478 邪推? 吉三は そんな男ではありません。 323 00:31:34,478 --> 00:31:38,349 あれは 今どき珍しい カタブツです。 324 00:31:38,349 --> 00:31:44,238 身を清め 心を清めて ひたすら 学問に没頭しております。 325 00:31:44,238 --> 00:31:46,891 では 吉三郎さんに 会わせて下さい。 326 00:31:46,891 --> 00:31:48,893 もうここには おりません。 芭蕉庵ですか? 327 00:31:48,893 --> 00:31:51,262 芭蕉庵にも おりません。 どこ 行ったんですか? 328 00:31:51,262 --> 00:31:57,468 それは 言えません。 どうして かばうんですか? 329 00:31:57,468 --> 00:31:59,453 あ~ いろいろ事情が ありましてな。 330 00:31:59,453 --> 00:32:01,472 どんな事情で? 331 00:32:01,472 --> 00:32:04,858 拙僧からは 言えません。 332 00:32:04,858 --> 00:32:11,158 分かりました。 それでは芭蕉庵に 出向いて尋ねてきます。 333 00:32:17,721 --> 00:32:21,759 お待ちなさい! 334 00:32:21,759 --> 00:32:25,262 あんたも 疑い深い お人じゃな。 335 00:32:25,262 --> 00:32:29,216 娘を守るためです。 336 00:32:29,216 --> 00:32:33,320 実を言いますとな 吉三は 芭蕉庵から逃げてきたんじゃ。 337 00:32:33,320 --> 00:32:35,823 逃げてきた? 338 00:32:35,823 --> 00:32:43,547 松尾芭蕉は 吉三が たいそう気に入りましてな。 339 00:32:43,547 --> 00:32:48,652 だんだんと 色目を 使うようになって…。 何と…。 340 00:32:48,652 --> 00:32:53,240 さすがの 吉三も 我慢できずに 夜逃げしてきたんじゃ。 341 00:32:53,240 --> 00:32:57,378 いやはや どうして そんな所に 預けたんですか? 342 00:32:57,378 --> 00:33:02,466 いざこざの もとは あんたの娘ですよ。 343 00:33:02,466 --> 00:33:07,421 吉三も わしも とばっちりを 受けてるだけなんじゃ。 344 00:33:07,421 --> 00:33:11,592 そうでしょう? それは まあ そうですが…。 345 00:33:11,592 --> 00:33:13,861 他人のせいにする前に➡ 346 00:33:13,861 --> 00:33:17,164 まず親としての務めを果たしたら いかがですかな? 347 00:33:17,164 --> 00:33:19,166 親としての務め? 348 00:33:19,166 --> 00:33:23,620 悪い事は 言わん。 さっさと 身を固めさせなさい。 349 00:33:23,620 --> 00:33:26,820 あんたが決めた相手が おるんじゃろう。 350 00:33:37,668 --> 00:33:44,968 おとっ様が イライラするのはね お前が かわいいからですよ。 351 00:33:49,913 --> 00:33:54,301 幸せになってもらいたい。 352 00:33:54,301 --> 00:33:58,872 だから ガミガミ言うんですよ。 353 00:33:58,872 --> 00:34:01,372 分かっています。 354 00:34:08,732 --> 00:34:14,822 分かっているなら もっと 素直になったら どうなんだい? 355 00:34:14,822 --> 00:34:18,425 隠し事は いけないよ。 356 00:34:18,425 --> 00:34:20,928 何でも打ち明けて相談すれば➡ 357 00:34:20,928 --> 00:34:24,528 おとっ様は 安心して 力になってくれますよ。 358 00:34:30,988 --> 00:34:34,458 言ってごらん。 359 00:34:34,458 --> 00:34:38,829 お七は 一体 どうしたいんだい? 360 00:34:38,829 --> 00:34:42,766 それが 分からないの…。 361 00:34:42,766 --> 00:34:47,266 どうして分からないんだろうね…。 362 00:34:51,792 --> 00:34:58,248 あのね 思い詰めるのは みんな同じ。 363 00:34:58,248 --> 00:35:01,248 私だって 娘の頃は そうでしたよ。 364 00:35:03,237 --> 00:35:10,461 市川團十郎が 好きで 好きで…。 市村座に通い詰めて…。 365 00:35:10,461 --> 00:35:15,361 日が暮れると 何だか悲しくなって 涙が止まらないの。 366 00:35:17,334 --> 00:35:25,759 おとっ様の 婿養子が決まった時は もう 嫌で嫌で…。 367 00:35:25,759 --> 00:35:32,359 いっそ 家を出ようかと 何度 思った事か…。 368 00:35:34,468 --> 00:35:43,060 でもね 恋心は いつか 消えていく。 369 00:35:43,060 --> 00:35:46,760 羽根がはえて どっかへ 飛んでいくんだね。 370 00:35:49,950 --> 00:35:53,750 ≪(留)旦那様の お帰りです。 はい。 371 00:35:56,356 --> 00:36:01,456 今の話 あの人に内緒だよ。 372 00:36:16,043 --> 00:36:19,196 どうでした? 373 00:36:19,196 --> 00:36:22,866 あの クソ坊主が…。 クソ坊主? 374 00:36:22,866 --> 00:36:28,522 娘の不行状は 親の育て方が 悪いだと。 そんな事…。 375 00:36:28,522 --> 00:36:33,560 それから こう言うんだ。 吉三は カタブツで 志が高い。 376 00:36:33,560 --> 00:36:37,181 色目で すり寄る女に 手をつけるような男では ないと。 377 00:36:37,181 --> 00:36:39,600 何て事を…。 378 00:36:39,600 --> 00:36:43,704 もしも嘘だったら あの目ん玉に トウガラシを すり込んでやる。 379 00:36:43,704 --> 00:36:48,304 でも 仏様の前で おっしゃったんでしょ? 380 00:37:00,804 --> 00:37:03,824 お房。 はい。 381 00:37:03,824 --> 00:37:08,829 暦を調べて 良い日取りを 選ぶんだ。 良い日取り? 382 00:37:08,829 --> 00:37:15,886 腹を決めたぞ。 大急ぎで お七と勘蔵を夫婦にするんだ。 383 00:37:15,886 --> 00:37:17,888 大急ぎって…。 384 00:37:17,888 --> 00:37:20,290 何が何でも 今年のうちに 祝言を挙げる。 385 00:37:20,290 --> 00:37:22,693 今年中には 無理ですよ。 なぜだ? 386 00:37:22,693 --> 00:37:25,612 花嫁衣装やら 何やら 支度が間に合いません。 387 00:37:25,612 --> 00:37:29,149 つべこべ 言うな。 お前の衣装が あるではないか! 388 00:37:29,149 --> 00:37:33,420 お七の迷いを断ち切るためには 一日も早く祝言を挙げるにかぎる。 389 00:37:33,420 --> 00:37:35,589 あの子が 納得するでしょうか? 390 00:37:35,589 --> 00:37:38,258 婿を決めるのは 当家の あるじじゃ。 391 00:37:38,258 --> 00:37:40,260 「急いては事を し損じる」って…。 392 00:37:40,260 --> 00:37:42,646 他には 打つ手が無いのだ。 393 00:37:42,646 --> 00:37:45,632 ではせめて 優しく 言ってやって下さい。 394 00:37:45,632 --> 00:37:49,232 あ~ もう! 指図は やめんか! 395 00:37:53,724 --> 00:37:59,179 そう 硬くなるな。 難しい話をする訳じゃない。 396 00:37:59,179 --> 00:38:05,869 早速だが 中庭に大工を入れて 離れを建て増しする。 397 00:38:05,869 --> 00:38:11,992 離れ? 若夫婦の新居だ。 分かるな? 398 00:38:11,992 --> 00:38:16,792 祝言は師走の半ばだ。 399 00:38:22,002 --> 00:38:28,992 慌ただしいが お前のためを 考えての事だ。 400 00:38:28,992 --> 00:38:31,895 おとっ様…。 まあ 聞きなさい。 401 00:38:31,895 --> 00:38:35,582 お前は 近ごろ 一段と美しくなった。 402 00:38:35,582 --> 00:38:40,170 道行く人が 思わず振り返るほど 色っぽくなった。 403 00:38:40,170 --> 00:38:43,190 親としては 鼻が高い。 404 00:38:43,190 --> 00:38:46,360 花なら見頃だ。 405 00:38:46,360 --> 00:38:50,864 ところが 花は やがて 枯れる。 406 00:38:50,864 --> 00:38:57,954 おなごも 人が羨むうちに さっさと祝言を挙げた方が いい。 407 00:38:57,954 --> 00:39:02,492 高値で さばいた方がいい。 408 00:39:02,492 --> 00:39:08,548 おっかさんも わしと三々九度の 杯を交わした時は➡ 409 00:39:08,548 --> 00:39:11,401 初々しくて いじらしくて➡ 410 00:39:11,401 --> 00:39:14,621 思わず食ってしまいたいほど 愛らしかった。 411 00:39:14,621 --> 00:39:17,424 嫌ですよ。 フフフ…。 ハハハ…。 412 00:39:17,424 --> 00:39:23,430 今覚えば あの時 食って なくしてしまえば良かったんだ。 413 00:39:23,430 --> 00:39:25,415 何ですか? 414 00:39:25,415 --> 00:39:29,415 いやいや 物の例えだ。 ハハハ…。 415 00:39:31,154 --> 00:39:34,524 おとっ様。 うん? 416 00:39:34,524 --> 00:39:39,024 おっか様。 はい。 417 00:39:40,847 --> 00:39:44,584 私は どこへも お嫁に行けません。 418 00:39:44,584 --> 00:39:47,988 えっ? 何だと? 419 00:39:47,988 --> 00:39:53,410 この体には 魔性の狐が 住み着いています。 420 00:39:53,410 --> 00:39:57,914 心配しなさんな。 勘蔵が 追い出してくれますよ。 421 00:39:57,914 --> 00:39:59,914 いいえ…。 422 00:40:02,602 --> 00:40:09,059 私は もう 傷物です。 423 00:40:09,059 --> 00:40:12,459 吉三郎と何か あったのか? 424 00:40:19,069 --> 00:40:23,490 私は 吉三様に言いました。 425 00:40:23,490 --> 00:40:31,081 「私を… みごもらせて下さい」。 426 00:40:31,081 --> 00:40:33,081 みごもったのか? 427 00:40:36,720 --> 00:40:41,458 吉三様は 何もしてくれませんでした。 428 00:40:41,458 --> 00:40:44,561 生娘のままなんだな? 429 00:40:44,561 --> 00:40:48,682 生娘は 生娘でも はしたない女です! 430 00:40:48,682 --> 00:40:54,988 恥さらしの はすっぱです。 お七…。 431 00:40:54,988 --> 00:40:59,826 どうか私を勘当して下さい。 432 00:40:59,826 --> 00:41:02,112 勘当? 433 00:41:02,112 --> 00:41:06,116 このままでは 何をしでかすか 分かりません。 434 00:41:06,116 --> 00:41:10,053 自分で自分が 恐ろしいのです。 435 00:41:10,053 --> 00:41:13,290 勘当…。 436 00:41:13,290 --> 00:41:16,990 お前は どうするつもりなんだい? 437 00:41:19,963 --> 00:41:23,163 尼寺に入ります。 438 00:41:27,954 --> 00:41:30,824 バカ者! (お房)何するんですか? 439 00:41:30,824 --> 00:41:34,060 尼寺に入れるために 育てた訳じゃない! 440 00:41:34,060 --> 00:41:38,960 お前様。 ごめんなさい! ごめんなさい! 441 00:41:44,588 --> 00:41:46,606 (拍子木) 442 00:41:46,606 --> 00:41:49,860 もう 観念したか? 祝言まで あと三月ないんだよ。 443 00:41:49,860 --> 00:41:53,313 吉三郎なら 二度と お七に会う事は ない。 444 00:41:53,313 --> 00:41:55,332 よろしくお願いします。 445 00:41:55,332 --> 00:41:58,451 八百源の主人には 6つになる 隠し子が おると…。 446 00:41:58,451 --> 00:42:00,453 とっちめて追い出してやる! 447 00:42:00,453 --> 00:42:04,357 忘れようとしても 夢に出てくるの。 448 00:42:04,357 --> 00:42:06,943 吉三様! 449 00:42:06,943 --> 00:42:14,618 ♬「月が見えない 夜だから」 450 00:42:14,618 --> 00:42:22,392 ♬「余計 寂しくなるのでしょう」 451 00:42:22,392 --> 00:42:29,916 ♬「声を殺して 風が泣いてる」 452 00:42:29,916 --> 00:42:38,458 ♬「遠く さめざめと…」 453 00:42:38,458 --> 00:42:43,029 ♬「夢なら 醒めるのに」 454 00:42:43,029 --> 00:42:46,216 ♬「確かに そこにいる」 455 00:42:46,216 --> 00:42:54,424 ♬「あなたの すぐそばで ずっと気づかれないで…」 456 00:42:54,424 --> 00:43:02,082 ♬「手鎖されたまま 身動き 取れぬまま」 457 00:43:02,082 --> 00:43:10,290 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 458 00:43:10,290 --> 00:43:29,090 ♬「私だけの 身勝手な愛」