1 00:00:34,968 --> 00:00:38,968 (半鐘の音) 2 00:00:41,408 --> 00:00:44,108 (吉三郎)お七の事を 忘れようと思っていた。 3 00:00:46,380 --> 00:00:48,380 だが…。 4 00:00:51,201 --> 00:00:53,754 そんなに 七がお嫌いですか? 5 00:00:53,754 --> 00:00:55,854 お七 お七! 6 00:00:58,642 --> 00:01:03,647 (お房)お前は勘蔵と 一緒になるんだから。 7 00:01:03,647 --> 00:01:06,316 それは もう決まってるんだからね。 8 00:01:06,316 --> 00:01:09,036 吉三様! お七。 9 00:01:09,036 --> 00:01:14,574 私にとっては かけがえのない恋です。 10 00:01:14,574 --> 00:01:18,712 私は お七を幸せにする事は できない。 11 00:01:18,712 --> 00:01:21,515 勘当して下さい。 (喜兵衛)勘当? 12 00:01:21,515 --> 00:01:24,151 尼寺に入ります。 バカもん! 13 00:01:24,151 --> 00:01:27,921 尼寺に入れるために 育てた訳じゃない! 14 00:01:27,921 --> 00:01:30,807 ごめんなさい。 ごめんなさい! 15 00:01:30,807 --> 00:01:47,707 ♬~ 16 00:01:53,397 --> 00:01:56,900 よし ピッタリ合った。 17 00:01:56,900 --> 00:01:58,900 (幸助)あの…。 どうした? 18 00:02:00,871 --> 00:02:04,941 申し上げにくう ございますが…。 19 00:02:04,941 --> 00:02:09,713 何だ? 置物のカエルみたいに しゃっちょこばって。 20 00:02:09,713 --> 00:02:13,867 実は勘蔵の事で…。 勘蔵? 21 00:02:13,867 --> 00:02:19,956 お暇を頂きたいと お暇? かように申しております。 22 00:02:19,956 --> 00:02:23,343 身を引かせて頂きたいと。 誰が? 23 00:02:23,343 --> 00:02:25,343 勘蔵でございます。 24 00:02:29,149 --> 00:02:31,735 体でも悪いのか? 25 00:02:31,735 --> 00:02:34,638 いえ。 何か不満があるのか? 26 00:02:34,638 --> 00:02:37,524 いえ めっそうもない。 ハッキリ言わんか。 27 00:02:37,524 --> 00:02:39,624 へい。 「へい」じゃ分からん! 28 00:02:42,512 --> 00:02:50,120 どうやら勘蔵は お七様との祝言を 苦にしております。 29 00:02:50,120 --> 00:02:52,520 ここへ呼びなさい。 へい。 30 00:03:06,603 --> 00:03:10,841 何を案じておるんだ? 31 00:03:10,841 --> 00:03:14,144 お前は八百源の3代目だ。 32 00:03:14,144 --> 00:03:18,115 わが家の のれんを継ぐのに 何か文句あるのか? 33 00:03:18,115 --> 00:03:22,035 いいえ 文句などございません。 身に余る幸せと。 34 00:03:22,035 --> 00:03:27,057 ならば なぜ 八百源を辞めると 言った? 35 00:03:27,057 --> 00:03:32,379 たわむれか? それとも嫌がらせか? 36 00:03:32,379 --> 00:03:36,566 とんでもない。 たわむれでも 嫌がらせでも ございません。 37 00:03:36,566 --> 00:03:40,737 当初は 喜びに胸が震え 夢かと ほほを つねるほどでしたが➡ 38 00:03:40,737 --> 00:03:44,174 やがて 日がたつにつれ 不安になりました。 39 00:03:44,174 --> 00:03:47,911 手前ごときに 八百源の3代目が 務まるかどうかと。 40 00:03:47,911 --> 00:03:51,214 務まるかどうかは わしが決める事だ。 41 00:03:51,214 --> 00:03:54,851 小僧の頃から 実直な働きぶりを見て➡ 42 00:03:54,851 --> 00:03:57,871 跡継ぎは お前しかおらんと 見込んだのだ。 43 00:03:57,871 --> 00:04:01,374 そうだな 幸助。 おっしゃるとおりでございます。 44 00:04:01,374 --> 00:04:05,645 お前に辞められたら わしの立場は どうなる? 45 00:04:05,645 --> 00:04:08,748 お七との祝言は師走だぞ。 46 00:04:08,748 --> 00:04:13,148 仲人も決まったのに 今更 ご破算にできると思うか? 47 00:04:18,275 --> 00:04:23,013 ひょっとして お七の事を 気に めっそうもない。 入らんのか? 48 00:04:23,013 --> 00:04:28,935 お嬢様は 幼い頃から賢くて たいそう お美しくて➡ 49 00:04:28,935 --> 00:04:31,304 手前ごときには もったいない お方でございます。 50 00:04:31,304 --> 00:04:35,442 ちと強情で はすっぱだがな。 51 00:04:35,442 --> 00:04:39,742 あれも所帯を持って 子供でも 産めば だんだん落ち着く。 52 00:04:45,769 --> 00:04:49,769 お七に 何か言われたのか? いえ。 53 00:04:53,443 --> 00:04:57,447 正直に申し上げた方がいいぞ。 54 00:04:57,447 --> 00:05:01,847 遠慮せんでもよい。 わしと お前は親子になるんだ。 55 00:05:06,206 --> 00:05:11,011 勘蔵は お七様に 嫌われているのではないかと…。 56 00:05:11,011 --> 00:05:13,346 そんな事はない。 57 00:05:13,346 --> 00:05:16,700 (幸助)他に 思い人がおるのでは ないかと…。 58 00:05:16,700 --> 00:05:19,700 (喜兵衛)寺小姓の事か? (幸助)はい。 59 00:05:21,721 --> 00:05:26,476 吉三郎なら 住職に談判して 追い出してもらった。 60 00:05:26,476 --> 00:05:30,647 二度と お七に会う事はない。 61 00:05:30,647 --> 00:05:33,333 (幸助)でも…。 番頭さん! 62 00:05:33,333 --> 00:05:35,933 これだけは申し上げた方がいいぞ。 何だ? 63 00:05:38,171 --> 00:05:42,809 お七様は みごもっておいででは ないかと…。 64 00:05:42,809 --> 00:05:46,646 何だと? (幸助)下女たちのうわさでは つわりではないかと…。 65 00:05:46,646 --> 00:05:50,267 (幸助)おなかも少し…。 たわけた事を言うな! 66 00:05:50,267 --> 00:05:52,586 お七は まだ生娘だ! 67 00:05:52,586 --> 00:05:57,540 ええ 申し上げにくうございますが 物置小屋の前に かんざしが…。 68 00:05:57,540 --> 00:06:04,440 幸助! お前は部屋に戻っていい。 あとは 勘蔵と話をする。 69 00:06:14,574 --> 00:07:25,712 ♬~ 70 00:07:25,712 --> 00:07:29,716 (喜兵衛)お七が 寺小姓に 熱を上げたのは確かだがな➡ 71 00:07:29,716 --> 00:07:33,970 あれは たあいもない娘心で すぐ冷める。 72 00:07:33,970 --> 00:07:37,841 役者に入れ上げる おなご衆と 大して変わらぬ。 73 00:07:37,841 --> 00:07:40,110 女将さんにも そう言われました。 74 00:07:40,110 --> 00:07:42,946 まあ お前とは幼なじみだからな➡ 75 00:07:42,946 --> 00:07:46,249 急に夫婦と言われても 腑に落ちんのだろう。 76 00:07:46,249 --> 00:07:51,237 まあ こらえてくれ。 はい。 77 00:07:51,237 --> 00:07:56,409 お前も へりくだるのは やめて これからは「お七様」ではなく➡ 78 00:07:56,409 --> 00:08:01,097 「お七」と呼び捨てにしなさい。 79 00:08:01,097 --> 00:08:07,654 客にも奉公人も 八百源の跡取りで ある事を思い知らせてやるんだ。 80 00:08:07,654 --> 00:08:12,542 明日からは お前が番頭だ。 81 00:08:12,542 --> 00:08:16,479 でんと ここへ座れ。 82 00:08:16,479 --> 00:08:19,579 いいから早く。 へい。 83 00:08:37,217 --> 00:08:42,072 これからは寄り合いでも どこでも お前を連れていく。 84 00:08:42,072 --> 00:08:46,572 供ではないのだから へい。 ペコペコしてはならん。 85 00:08:50,213 --> 00:08:55,585 あの… つかぬ事を お伺い致しますが…。 86 00:08:55,585 --> 00:08:59,205 何だ? 実は…。 87 00:08:59,205 --> 00:09:03,743 ある人から妙な事を言われました。 妙な事? 88 00:09:03,743 --> 00:09:11,317 へい。 お前は 八百源の婿には なれるが 3代目にはなれぬと。 89 00:09:11,317 --> 00:09:14,270 誰が そんな事を? 口入れ屋の居候と申しますか➡ 90 00:09:14,270 --> 00:09:17,507 侍崩れの用心棒が。 くだらん事を言うやつだ。 91 00:09:17,507 --> 00:09:19,807 何で お前が3代目になれんのだ? 92 00:09:23,046 --> 00:09:34,046 八百源の主人には 当年6つになる 隠し子がおると。 93 00:09:39,946 --> 00:09:42,982 お許し下さい。 余計な事を申しました。 94 00:09:42,982 --> 00:09:45,768 勘蔵。 へい。 95 00:09:45,768 --> 00:09:49,868 その話 誰かに しゃべったか? いいえ 誰にも。 96 00:09:54,944 --> 00:09:59,144 根も葉もない ざれ言だ。 へい。 忘れてしまえ。 97 00:10:09,576 --> 00:10:14,113 たとえ 隠し子があったとしても➡ 98 00:10:14,113 --> 00:10:18,868 それに それが 男の子であったとしても➡ 99 00:10:18,868 --> 00:10:25,391 娘婿に店を継がせるのが 大店のならわしだ。 100 00:10:25,391 --> 00:10:29,591 安心しなさい。 ありがとう存じます。 101 00:10:58,007 --> 00:11:03,730 おっかさんはね これを着て 祝言を挙げたんですよ。 102 00:11:03,730 --> 00:11:07,567 ちょっと羽織ってみたら? 103 00:11:07,567 --> 00:11:11,467 お前様だって見たいだろう。 ああ。 104 00:11:23,049 --> 00:11:25,535 よく似合う事。 105 00:11:25,535 --> 00:11:27,804 (留)さすがでございます。 106 00:11:27,804 --> 00:11:31,304 お七 着心地は どうだい? 107 00:11:34,110 --> 00:11:37,830 洗い張りに出せば 仕立て下ろし同然だねえ。 108 00:11:37,830 --> 00:11:41,930 それはもう 虫食いも カビも ございませんので。 109 00:11:43,653 --> 00:11:46,539 お前さん。 110 00:11:46,539 --> 00:11:50,310 ちょいと お前さん。 うん? ああ。 111 00:11:50,310 --> 00:11:55,164 私たちの祝言を思い出しますね。 112 00:11:55,164 --> 00:12:03,606 2人とも若くて その時の着物を お七が また着てくれるんですよ。 113 00:12:03,606 --> 00:12:09,706 着物は 年をとらんからな。 まあ 憎たらしい事を言って。 114 00:12:17,854 --> 00:12:20,254 お七。 はい。 115 00:12:26,245 --> 00:12:30,800 勘蔵は今日から 番頭見習いに出世した。 116 00:12:30,800 --> 00:12:34,270 祝いの言葉の一つも かけてやったら どうだ。 117 00:12:34,270 --> 00:12:38,858 そうですよ。 ふだん ほとんど 口をきかないんだから➡ 118 00:12:38,858 --> 00:12:41,678 こういう時ぐらい 顔を立てておあげ。 119 00:12:41,678 --> 00:12:44,781 (留)さっき のぞいてみて ビックリしました。 120 00:12:44,781 --> 00:12:49,419 帳場に座っていると 風采も 押し出しも見違えるほどで。 121 00:12:49,419 --> 00:12:51,888 そういうもんなんだよ。 122 00:12:51,888 --> 00:12:56,893 ああ それから あさっての 墓参りは勘蔵も連れていく。 123 00:12:56,893 --> 00:13:01,147 はい。 ご先祖様に お披露目する。 124 00:13:01,147 --> 00:13:05,084 (喜兵衛)八百源の婿養子は この男でございますと。 125 00:13:05,084 --> 00:13:08,104 (お房)それは いいですね。 126 00:13:08,104 --> 00:13:28,107 ♬~ 127 00:13:28,107 --> 00:13:32,245 さあ 報告は済んだ。 お前たちの番だ。 128 00:13:32,245 --> 00:13:34,981 へい。 どうぞ お七様。 129 00:13:34,981 --> 00:13:39,369 「様」ではない。 「お七」だ。 130 00:13:39,369 --> 00:13:41,904 へい。 131 00:13:41,904 --> 00:13:45,074 どうぞ… お七…。 132 00:13:45,074 --> 00:13:50,874 さあ 2人並んで 夫婦の誓いを へい。 立てるんですよ。 133 00:14:04,410 --> 00:14:06,910 (喜兵衛)どうだ? お告げはあったか? 134 00:14:08,781 --> 00:14:13,786 はあ? 何だ。 わしには聞こえたぞ。 135 00:14:13,786 --> 00:14:17,286 「末永く仲ようせえ」と。 136 00:14:20,610 --> 00:14:22,810 ほら お七。 137 00:14:26,432 --> 00:14:28,451 よろしくお願いします。 138 00:14:28,451 --> 00:14:31,888 こちらこそ お願い致します。 139 00:14:31,888 --> 00:14:38,788 よし これで縁は固まった。 もう逃げられんぞ。 140 00:14:54,410 --> 00:14:59,916 おねえちゃん! おねえちゃん! 141 00:14:59,916 --> 00:15:02,816 どうぞ お先に。 へい。 142 00:15:06,005 --> 00:15:08,941 お弔い? ううん お墓参り。 143 00:15:08,941 --> 00:15:11,944 きれいな おべべ。 ありがとう。 144 00:15:11,944 --> 00:15:14,847 お土産は? 持ってきたよ。 145 00:15:14,847 --> 00:15:16,849 わ~い! 146 00:15:16,849 --> 00:15:19,919 でも 夜にならないと…。 どうして? 147 00:15:19,919 --> 00:15:22,605 線香花火だから。 じゃ 夜 一緒にやろうよ。 148 00:15:22,605 --> 00:15:26,809 うん やろう。 やろう やろう。 149 00:15:26,809 --> 00:15:30,913 おねえちゃん! 150 00:15:30,913 --> 00:15:33,113 あら。 おねえちゃん! 151 00:15:36,235 --> 00:15:39,235 おねえちゃん! ツルちゃん! 152 00:15:41,390 --> 00:15:44,590 帰ってきたの。 おねえちゃんも帰ってきて。 153 00:15:52,001 --> 00:15:56,272 ほう 祝言を師走に。 154 00:15:56,272 --> 00:16:01,444 ご住職のご助言どおり 一日も早い方が良いと。 155 00:16:01,444 --> 00:16:04,981 それはそれは。 156 00:16:04,981 --> 00:16:08,484 お七の婿でございます。 157 00:16:08,484 --> 00:16:12,321 勘蔵と申します。 未熟者ではございますが➡ 158 00:16:12,321 --> 00:16:15,842 なにぶん よろしく お引き回しのほどを。 159 00:16:15,842 --> 00:16:19,642 おめでとうございます。 ありがとうございます。 160 00:16:22,248 --> 00:16:26,285 これで 一安心ですな。 おかげさまで。 161 00:16:26,285 --> 00:16:30,907 勘蔵は働き者で しかも 我慢強い男でございます。 162 00:16:30,907 --> 00:16:34,877 お七のわがままで つらい思いをしたはずですが➡ 163 00:16:34,877 --> 00:16:37,563 ひと言も 愚痴をこぼさず…。 お前様。 164 00:16:37,563 --> 00:16:42,318 構わん。 ご住職はな 何もかも ご存じなのだ。 165 00:16:42,318 --> 00:16:45,705 吉の字の事も。 ああ お七。 166 00:16:45,705 --> 00:16:49,205 はい。 もう観念したか? 167 00:16:51,577 --> 00:16:54,677 親の恩を忘れてはならんぞ。 168 00:17:10,246 --> 00:17:13,516 うん? おねえちゃん。 私の大きいでしょ。 169 00:17:13,516 --> 00:17:16,168 本当 きれいね。 170 00:17:16,168 --> 00:17:21,868 私のは何か ちっちゃい。 でも長続きしてるよ。 171 00:17:26,212 --> 00:17:28,712 ねえ 何あれ? 172 00:17:34,837 --> 00:17:38,808 何かしら? 何だろう。 173 00:17:38,808 --> 00:17:41,108 幽霊だ! わ~! 174 00:17:42,845 --> 00:17:45,345 ちょっと みんな! 175 00:18:00,446 --> 00:18:06,335 ♬~ 176 00:18:06,335 --> 00:18:08,354 吉三様。 177 00:18:08,354 --> 00:18:13,776 ♬~ 178 00:18:13,776 --> 00:18:15,776 お待ち下さい! 179 00:18:18,798 --> 00:18:21,851 吉三様! 180 00:18:21,851 --> 00:18:33,446 ♬~ 181 00:18:33,446 --> 00:18:35,546 吉三様 こちらへ。 182 00:18:41,704 --> 00:18:45,504 お戻り下さい! 吉三様! 183 00:18:51,430 --> 00:18:53,749 吉三様! 184 00:18:53,749 --> 00:19:29,249 ♬~ 185 00:19:36,142 --> 00:19:38,442 ほらほら ちょっと貸してごらん。 186 00:19:42,898 --> 00:19:46,698 はさみは こうやって。 187 00:19:53,375 --> 00:19:57,375 もう少し 優しくしてやったら どうなんだい。 188 00:20:00,232 --> 00:20:03,803 そう思っては いるんだけど。 189 00:20:03,803 --> 00:20:06,603 周りが ハラハラしてるよ。 190 00:20:11,410 --> 00:20:18,884 あのね 好きな人と一緒になれる 女は めったに いないんだよ。 191 00:20:18,884 --> 00:20:24,473 一緒になれたとしても うまくいくとは限らないしね。 192 00:20:24,473 --> 00:20:27,676 分かってます。 193 00:20:27,676 --> 00:20:33,616 勘蔵と 神社に お参りもしたんだろ? 194 00:20:33,616 --> 00:20:37,316 しました。 どんな話をしたんだい? 195 00:20:40,122 --> 00:20:44,443 別に 何も。 じれったいねえ。 196 00:20:44,443 --> 00:20:46,443 2人して だんまりかい。 197 00:20:49,782 --> 00:20:52,601 おみくじを引いたら「吉」だったの。 198 00:20:52,601 --> 00:20:54,787 そりゃ良かったじゃないか。 199 00:20:54,787 --> 00:20:58,707 でも「吉」というのは…。 200 00:20:58,707 --> 00:21:02,207 あっ 吉三郎の「吉」って事? 201 00:21:05,464 --> 00:21:10,069 それから気まずくなって。 バカな事を お言いでないよ。 202 00:21:10,069 --> 00:21:14,073 どうして いちいち結びつけるの。 203 00:21:14,073 --> 00:21:16,073 どうしてかしら。 204 00:21:19,111 --> 00:21:24,183 まだ つきものが 落ちてないんだね。 205 00:21:24,183 --> 00:21:29,683 さっさと忘れておしまい。 祝言まで あと三月ないんだよ。 206 00:21:32,491 --> 00:21:39,481 忘れようとしても夢に出てくるの。 207 00:21:39,481 --> 00:21:43,481 まあ 執念深い男だこと。 208 00:21:45,421 --> 00:21:48,707 夢の中ですから。 209 00:21:48,707 --> 00:21:52,895 枕を替えてみたら? え? 210 00:21:52,895 --> 00:21:56,195 石の枕は 夢を見ないっていうよ。 211 00:21:59,869 --> 00:22:02,588 そうしてみたらいい。 212 00:22:02,588 --> 00:22:06,088 ≪(不思議な声) 213 00:22:12,715 --> 00:22:19,805 ♬「うらぶねに」 214 00:22:19,805 --> 00:22:23,209 どうだ? へい。 215 00:22:23,209 --> 00:22:28,781 ♬「たかさごや」 216 00:22:28,781 --> 00:22:33,219 おい! 弔いではないぞ。 祝言だぞ。 217 00:22:33,219 --> 00:22:38,119 へい。 一座が にぎわうように 張りのある声を出さんか。 218 00:22:41,060 --> 00:22:44,246 ♬「たかさごや」 219 00:22:44,246 --> 00:22:46,646 バカもん! 駄目だ。 220 00:22:57,009 --> 00:23:01,609 忘れようとしても忘れられない。 221 00:23:04,550 --> 00:23:08,450 夜な夜な夢に出てくる。 222 00:23:10,306 --> 00:23:17,106 会えねば会えぬほど恋しさが募る。 223 00:23:20,382 --> 00:23:27,172 冷たくされれば されるほど 追いかけとうなる。 224 00:23:27,172 --> 00:23:29,325 (お房)恋わずらいでしょうか? 225 00:23:29,325 --> 00:23:33,545 いや 女人の性じゃ。 226 00:23:33,545 --> 00:23:36,148 (お房)女人の性…。 227 00:23:36,148 --> 00:23:44,073 ただし いつまでも長引くのは 前世のたたりじゃ! 228 00:23:44,073 --> 00:23:47,409 (お房)前世のたたり? 229 00:23:47,409 --> 00:23:50,879 ご先祖に心当たりは ございませぬか? 230 00:23:50,879 --> 00:23:56,652 駆け落ちとか心中とか。 さあ…。 231 00:23:56,652 --> 00:24:00,656 添い遂げられなかった恨みが 怨霊になって➡ 232 00:24:00,656 --> 00:24:04,156 子孫に とりつくのです。 233 00:24:07,162 --> 00:24:11,062 駆け落ちの夢なら…。 それですよ それ! 234 00:24:22,311 --> 00:24:24,646 何だ これは? 235 00:24:24,646 --> 00:24:27,616 (お房)おまじないですよ。 236 00:24:27,616 --> 00:24:30,185 おまじない? 237 00:24:30,185 --> 00:24:33,639 トウラガシが悪い夢を 追い払ってくれるって。 238 00:24:33,639 --> 00:24:36,475 まだ そんな事を言ってるのか。 239 00:24:36,475 --> 00:24:38,475 座りなさい。 240 00:24:46,885 --> 00:24:52,241 祝言は もうすぐだぞ。 余計な事を考えるより 勘蔵と➡ 241 00:24:52,241 --> 00:24:55,844 三三九度の おさらいでもしたら どうだ? 242 00:24:55,844 --> 00:24:58,781 はい。 243 00:24:58,781 --> 00:25:00,849 いやに神妙だな。 244 00:25:00,849 --> 00:25:05,554 でも 気がかりな事があって。 245 00:25:05,554 --> 00:25:09,854 ほらきた。 気がかりって何が? 246 00:25:13,345 --> 00:25:19,545 勘蔵さんは 私が嫁で いいんでしょうか? 247 00:25:23,072 --> 00:25:32,347 気まぐれで 自分勝手で 他の男を追いかけるような➡ 248 00:25:32,347 --> 00:25:36,847 そんな女と一緒になって 幸せでしょうか? 249 00:25:39,388 --> 00:25:42,141 幸せに決まってるじゃないか。 250 00:25:42,141 --> 00:25:45,744 勘蔵は 八百源の のれんを 継ぐんだよ。 主人になるんだよ。 251 00:25:45,744 --> 00:25:48,647 でも それは…。 あのな お七。 252 00:25:48,647 --> 00:25:52,117 男は誰でも立身出世を夢見るんだ。 253 00:25:52,117 --> 00:25:55,037 困難に耐え抜いて ひとかどの人物になれば➡ 254 00:25:55,037 --> 00:25:59,575 大勢の奉公人を率いて 一族郎党を養い➡ 255 00:25:59,575 --> 00:26:06,315 世の人々に一目置かれる。 これぞ 男の生きがいだ。 256 00:26:06,315 --> 00:26:11,770 しかも当世は あきんどの天下だ。 分かるか? 257 00:26:11,770 --> 00:26:15,841 出世さえすれば 幸せは いくらでも くっついてくる。 258 00:26:15,841 --> 00:26:20,512 嫌でも追いかけてくる。 勘蔵も頑張ってますよ。 259 00:26:20,512 --> 00:26:25,912 そうだ。 見どころが あるからこそ 婿養子にしたんだ。 260 00:26:31,156 --> 00:26:34,476 歯を食いしばって 泥にまみれて➡ 261 00:26:34,476 --> 00:26:38,780 それでも めげずに 修羅場を いくつも乗り越えてきた。 262 00:26:38,780 --> 00:26:42,835 ひと山 当てれば 栄耀栄華は欲しいままじゃ。 263 00:26:42,835 --> 00:26:47,139 吉原を一晩 買い切って 女郎衆を 総揚げするのも夢じゃない。 264 00:26:47,139 --> 00:26:49,539 お前様! うん? 265 00:26:52,161 --> 00:26:55,280 旦那様。 どうした? 266 00:26:55,280 --> 00:27:00,202 御奉行所のお役人が お目にかかりたいそうです。 267 00:27:00,202 --> 00:27:03,105 御奉行所? 何かあったのか? 268 00:27:03,105 --> 00:27:05,205 (留)さあ。 269 00:27:17,669 --> 00:27:20,272 これは これは。 どうぞ お上がりを。 270 00:27:20,272 --> 00:27:24,676 (源之丞)いや ここで良い。 さようでございますか。 271 00:27:24,676 --> 00:27:28,213 毎度 お世話になっております。 272 00:27:28,213 --> 00:27:32,484 取り急ぎ おぬしに 尋ねたい事があるんじゃ。 273 00:27:32,484 --> 00:27:34,603 何でございましょうか? 274 00:27:34,603 --> 00:27:40,292 湯島のとろろ飯屋「ひさご」を 存じていようのう? 275 00:27:40,292 --> 00:27:42,511 はて。 276 00:27:42,511 --> 00:27:48,700 女将のお露は 八百源の妾と 聞いたが 間違いないか? 277 00:27:48,700 --> 00:27:54,139 誰が そのような事を? お露本人じゃ。 278 00:27:54,139 --> 00:27:56,939 間違いないかと尋ねておる。 279 00:28:00,279 --> 00:28:02,779 とっくに別れておりますが。 280 00:28:06,084 --> 00:28:11,023 お露には菊丸といって 当年6歳の子がおる。 281 00:28:11,023 --> 00:28:15,223 その子が おととい 何者かに え? かどわかされた。 282 00:28:18,163 --> 00:28:23,569 誠でございますか? 父親は おぬしじゃな? 283 00:28:23,569 --> 00:28:27,869 (佐助)八百源さん 隠し立ては ために なりませんぜ。 284 00:28:34,079 --> 00:28:37,916 はい。 手前の子でございます。 285 00:28:37,916 --> 00:28:41,987 まさか 当家に かくまっては おるまいの? 286 00:28:41,987 --> 00:28:44,373 誰をですか? おぬしの せがれじゃ。 287 00:28:44,373 --> 00:28:47,673 いや めっそうもない。 私は何も存じませぬ。 288 00:28:56,068 --> 00:29:01,974 相分かった。 詳しい事は大番屋で尋ねる。 289 00:29:01,974 --> 00:29:04,276 大番屋? 290 00:29:04,276 --> 00:29:07,245 あっしも お供致しやす。 291 00:29:07,245 --> 00:29:12,645 おい 十手をひけらかすな。 内々の探索じゃ。 へい。 292 00:29:28,266 --> 00:29:35,240 (中倉)お前が妾に産ませた子だな。 はい。 293 00:29:35,240 --> 00:29:39,244 それを知っているのは誰だ? 294 00:29:39,244 --> 00:29:42,180 身内は誰も知りません。 295 00:29:42,180 --> 00:29:47,552 ほう。 隠し子という事か。 296 00:29:47,552 --> 00:29:50,088 どうか ご内密に。 297 00:29:50,088 --> 00:29:54,710 悪党どもは そこが つけめなんじゃ。 298 00:29:54,710 --> 00:30:00,282 お前が 表沙汰にはすまいと 見越して身代金をゆする魂胆じゃ。 299 00:30:00,282 --> 00:30:02,582 身代金? 300 00:30:04,720 --> 00:30:10,308 脅迫状には二百両と記されておる。 二百両? 301 00:30:10,308 --> 00:30:19,608 「5日以内に用意すべし。 奉行所に 届け出れば 子供の命はない」。 302 00:30:25,874 --> 00:30:30,912 お露は恐ろしさに たまりかねて 番屋に届け出た。 303 00:30:30,912 --> 00:30:34,812 さて 何とする? 304 00:30:38,387 --> 00:30:43,575 恐れながら 表沙汰には 致しとうござりませぬ。 305 00:30:43,575 --> 00:30:46,945 身代金を渡すのか? 306 00:30:46,945 --> 00:30:49,548 子供の命には代えられません。 307 00:30:49,548 --> 00:30:52,751 それでは ご公儀の面目が立たぬ。 308 00:30:52,751 --> 00:30:55,253 中倉様。 309 00:30:55,253 --> 00:30:59,007 まあ 安心せい。 310 00:30:59,007 --> 00:31:04,513 お前の申し分も分からぬではない。 311 00:31:04,513 --> 00:31:08,683 不埒者を捕らえる手だては 2つある。 312 00:31:08,683 --> 00:31:13,188 一つは 身代金の受け渡し場に 捕り手を潜ませ➡ 313 00:31:13,188 --> 00:31:17,342 力ずくで縄をかける寸法じゃ。 314 00:31:17,342 --> 00:31:22,080 しかし その手は 子供を 盾に取られる恐れがある。 315 00:31:22,080 --> 00:31:24,180 下手をすれば殺される。 316 00:31:27,552 --> 00:31:30,522 もう一つは? 317 00:31:30,522 --> 00:31:35,377 賊の正体を 先に突き止めるしかない。 318 00:31:35,377 --> 00:31:39,614 市中に隠密を放って 怪しいやつを あぶり出すのだ。 319 00:31:39,614 --> 00:31:42,100 是非 それを。 320 00:31:42,100 --> 00:31:46,204 しからば 身の回りに 思い当たる人物があれば➡ 321 00:31:46,204 --> 00:31:48,604 この場で ことごとく 明らかにせよ。 322 00:31:51,076 --> 00:31:54,679 はあ 今は心当たりが…。 323 00:31:54,679 --> 00:31:58,979 ありていに申せ。 子供の命が かかっておるのだぞ。 324 00:32:06,174 --> 00:32:09,811 旦那様。 325 00:32:09,811 --> 00:32:13,748 佐渡屋の用心棒なら 事情を存じております。 326 00:32:13,748 --> 00:32:16,701 口入れ屋の佐渡屋か? さようでございます。 327 00:32:16,701 --> 00:32:20,372 用心棒が 何か言うたのか? へい。 328 00:32:20,372 --> 00:32:26,144 八百源の主人には隠し子がおると。 どんな男だ? 329 00:32:26,144 --> 00:32:34,886 へい 元は お侍だそうで 年の頃は 三十がらみ。 額に向こう傷が。 330 00:32:34,886 --> 00:32:39,286 額に向こう傷? 間違いないな? へい。 331 00:32:43,495 --> 00:32:46,795 佐助 お露を。 へい。 332 00:32:54,339 --> 00:32:56,539 (佐助)さあ 入るんだ。 333 00:33:03,014 --> 00:33:05,314 (中倉)ここへ。 334 00:33:19,281 --> 00:33:22,167 申し訳ありません! 335 00:33:22,167 --> 00:33:24,967 とんだ事になったな。 336 00:33:28,273 --> 00:33:36,473 菊丸は 魚釣りに行ったきり どこを捜しても…。 337 00:33:38,934 --> 00:33:45,840 神隠しかと心配しましたが あくる日 恐ろしい書きつけが…。 338 00:33:45,840 --> 00:33:50,040 菊丸は必ず戻ってくる。 339 00:33:55,016 --> 00:33:58,587 喜兵衛。 はい。 340 00:33:58,587 --> 00:34:03,508 大店を構えておれば 何かと もめ事もあろう。 341 00:34:03,508 --> 00:34:07,879 商売敵の妬みや恨みもあるはずだ。 342 00:34:07,879 --> 00:34:13,779 心当たりがあれば包み隠さず申せ。 はい。 343 00:34:17,889 --> 00:34:20,842 佐助。 へい。 344 00:34:20,842 --> 00:34:25,313 お露を湯島まで送っていけ。 へい。 345 00:34:25,313 --> 00:34:29,150 お露 よいか。 346 00:34:29,150 --> 00:34:34,139 いつもどおりに店を開き 商いを続けるのじゃ。 347 00:34:34,139 --> 00:34:38,076 誰にも悟られる事のないように。 348 00:34:38,076 --> 00:34:57,462 ♬~ 349 00:34:57,462 --> 00:35:00,615 旦那様は? お出かけでございます。 350 00:35:00,615 --> 00:35:04,115 どこへ? さあ それが…。 351 00:35:07,122 --> 00:35:10,508 勘蔵もかい? へい そのようで。 352 00:35:10,508 --> 00:35:33,915 ♬~ 353 00:35:33,915 --> 00:35:36,115 お戻りですか? 354 00:35:49,798 --> 00:35:52,867 (お房)どうしたんですか? 355 00:35:52,867 --> 00:35:56,204 さっきから ブツブツ。 356 00:35:56,204 --> 00:35:58,456 何か言ってたか? 357 00:35:58,456 --> 00:36:02,544 二百両。 二度も。 358 00:36:02,544 --> 00:36:07,282 御奉行所で 何か言われたんですか? 359 00:36:07,282 --> 00:36:10,235 いや。 呼び出されたんでしょう? 360 00:36:10,235 --> 00:36:17,409 ああ 大した事ではない。 仕入れ先と いざこざが あってな。 361 00:36:17,409 --> 00:36:22,414 いざこざ? どんな? 362 00:36:22,414 --> 00:36:24,814 今は言えん。 363 00:36:29,120 --> 00:36:31,606 言って下さいな。 364 00:36:31,606 --> 00:36:34,142 口止めされてるんだよ。 365 00:36:34,142 --> 00:36:39,647 私は お前様の女房ですよ。 八百源の女将ですよ。 366 00:36:39,647 --> 00:36:43,747 だから 今は言えん。 もうちょっと待ってくれ。 367 00:36:47,021 --> 00:36:51,721 奥歯に 何か挟まってますね。 368 00:37:07,976 --> 00:37:11,379 おとっ様の様子が おかしいんだよ。 369 00:37:11,379 --> 00:37:13,648 おとっ様の? 370 00:37:13,648 --> 00:37:18,748 寝言 言ったり 歯ぎしりしたり かわやに閉じこもったり。 371 00:37:22,407 --> 00:37:29,764 そう言えば さっき 私の事を 「お露」って呼びました。 372 00:37:29,764 --> 00:37:33,201 お露? 373 00:37:33,201 --> 00:37:37,601 本当に「お露」って そう言ったのかい? 374 00:37:40,408 --> 00:37:43,878 聞き捨てならないね。 375 00:37:43,878 --> 00:37:47,849 お露って誰なの? 吉原の女だよ。 376 00:37:47,849 --> 00:37:52,549 私に隠れて え? あの人が囲ってたんだよ。 377 00:37:54,572 --> 00:37:58,143 それが ばれて 大げんかになって➡ 378 00:37:58,143 --> 00:38:02,080 お金で ようやく 手を切らせたんだけどね。 379 00:38:02,080 --> 00:38:05,283 いつの話? 380 00:38:05,283 --> 00:38:09,654 7年前… いや 8年前だ。 381 00:38:09,654 --> 00:38:13,541 あ~ 思い出しても ムカムカする。 382 00:38:13,541 --> 00:38:16,477 おとっ様が…? 383 00:38:16,477 --> 00:38:21,482 もしかして よりが戻ったんじゃ? 384 00:38:21,482 --> 00:38:23,935 まさか。 385 00:38:23,935 --> 00:38:28,706 そっか。 二百両ってのは…。 386 00:38:28,706 --> 00:38:30,725 二百両? 387 00:38:30,725 --> 00:38:34,025 もう許せない。 おっか様! 388 00:38:35,713 --> 00:38:40,185 白状させてやる。 とっちめて追い出してやる。 389 00:38:40,185 --> 00:38:44,739 そんな…。 何さ 養子のくせして。 390 00:38:44,739 --> 00:38:48,539 お願い。 落ち着いて下さい。 391 00:39:01,489 --> 00:39:03,489 (勘蔵)旦那様。 392 00:39:06,611 --> 00:39:09,547 旦那様! 393 00:39:09,547 --> 00:39:12,047 御奉行所の様子を見て参りました。 394 00:39:19,407 --> 00:39:21,409 何か分かったか? 395 00:39:21,409 --> 00:39:26,164 佐渡屋の用心棒は 先月から 姿をくらましたそうです。 何? 396 00:39:26,164 --> 00:39:29,764 御奉行所は怪しいと見て 行方を探っております。 397 00:39:34,005 --> 00:40:15,880 ♬~ 398 00:40:15,880 --> 00:40:17,882 ふん縛れ! 399 00:40:17,882 --> 00:40:30,078 ♬~ 400 00:40:30,078 --> 00:40:34,178 大丈夫か? もう大丈夫だ。 安心しろ。 401 00:40:36,017 --> 00:40:39,771 驚くなかれ 皆の衆 夜明け前の大捕り物で➡ 402 00:40:39,771 --> 00:40:45,571 討ち取られし悪党は 何と 身代金目当ての人さらいじゃ! 403 00:40:47,829 --> 00:40:52,333 お分かりか 皆の衆 子供を さらって 身代金をゆすったのは➡ 404 00:40:52,333 --> 00:40:57,372 落ちぶれ果てた相州浪人。 ゆすられたのは驚くなかれ➡ 405 00:40:57,372 --> 00:41:00,472 あの八百源じゃ! (太鼓の音) 406 00:41:02,310 --> 00:41:07,382 幸いにして助け出されたものの さらわれた子は当年6歳。 407 00:41:07,382 --> 00:41:11,082 あの八百源の 一人息子という訳じゃ。 408 00:41:13,271 --> 00:41:15,289 何? 409 00:41:15,289 --> 00:41:20,445 そうじゃ そうじゃ。 息子といっても隠し子らしい。 410 00:41:20,445 --> 00:41:24,082 大きな声では言えんが どうやら八百源の旦那が➡ 411 00:41:24,082 --> 00:41:28,119 妾に産ませた子じゃそうな。 (太鼓の音) 412 00:41:28,119 --> 00:41:33,441 さあさあ 驚くなかれ 皆の衆 さらわれた子は当年6歳。 413 00:41:33,441 --> 00:41:37,741 あの八百源の 一人息子という訳じゃ。 414 00:41:39,514 --> 00:41:45,219 吉三郎の事じゃがのう 縁談が まとまって身を固める事になった。 415 00:41:45,219 --> 00:41:49,524 先の事も考えて下さい。 私たちにも子供ができるんですよ。 416 00:41:49,524 --> 00:41:51,542 できるかどうか分かりません。 417 00:41:51,542 --> 00:41:54,679 いっそ お露と所帯を持って 親子3人で暮らしたらどうですか。 418 00:41:54,679 --> 00:41:56,679 もう離縁するから出ていけ! 419 00:42:00,501 --> 00:42:03,054 お願いがあります。 420 00:42:03,054 --> 00:42:07,575 私を おとなに…。 421 00:42:07,575 --> 00:42:15,483 ♬「月が見えない夜だから」 422 00:42:15,483 --> 00:42:23,241 ♬「余計 寂しくなるのでしょう」 423 00:42:23,241 --> 00:42:38,973 ♬「声を殺して風が泣いてる 遠くさめざめと…」 424 00:42:38,973 --> 00:42:47,081 ♬「夢なら醒めるのに 確かに そこにいる」 425 00:42:47,081 --> 00:42:55,156 ♬「あなたのすぐそばで ずっと気づかれないで…」 426 00:42:55,156 --> 00:43:03,080 ♬「手鎖されたまま 身動き取れぬまま」 427 00:43:03,080 --> 00:43:11,272 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 428 00:43:11,272 --> 00:43:29,972 ♬「私だけの身勝手な愛」