1 00:00:36,511 --> 00:00:42,784 (吉三郎)気がつけば お七の事ばかり 考えている。 2 00:00:42,784 --> 00:00:45,337 (お七)吉三様~! 3 00:00:45,337 --> 00:00:50,342 (覚念)祝言を 師走に? (喜兵衛)お七の婿でございます。 4 00:00:50,342 --> 00:00:54,529 勘蔵さんは 私が嫁で いいんでしょうか? 5 00:00:54,529 --> 00:00:59,735 お前は 八百源の婿には なれるが 3代目には なれぬと…。 6 00:00:59,735 --> 00:01:03,739 (お房)お露? (源之丞)お露には菊丸といって➡ 7 00:01:03,739 --> 00:01:05,741 当年 6歳の子がおる。 8 00:01:05,741 --> 00:01:09,444 もう許せない。 とっちめて追い出してやる。 9 00:01:09,444 --> 00:01:14,366 何さ 養子のくせして! おっか様。 10 00:01:14,366 --> 00:01:24,366 ♬~ 11 00:01:30,482 --> 00:01:33,982 おっか様。 12 00:01:41,993 --> 00:01:45,197 お帰りですよ。 13 00:01:45,197 --> 00:01:49,601 閉めて。 えっ? 14 00:01:49,601 --> 00:01:52,404 寝込んだままだと言っとくれ。 15 00:01:52,404 --> 00:01:55,804 おっか様。 16 00:01:58,610 --> 00:02:01,113 起きて下さい。 17 00:02:01,113 --> 00:02:04,313 おっか様。 18 00:02:20,165 --> 00:02:23,465 (せきばらい) 19 00:02:25,270 --> 00:02:29,670 まあ… 座りなさい。 20 00:02:33,462 --> 00:02:35,462 おっか様。 21 00:03:10,448 --> 00:03:16,538 すまん… お前には つらい思いを させてしまった。 22 00:03:16,538 --> 00:03:21,276 私は何にも 聞いてませんよ。 これから 話す。 23 00:03:21,276 --> 00:03:24,896 もう だまされません! だましては いない。 24 00:03:24,896 --> 00:03:28,717 隠し子が いたじゃありませんか。 25 00:03:28,717 --> 00:03:32,204 お露と別れたあとに 生まれたんだ。 26 00:03:32,204 --> 00:03:35,724 あの女と手を切ったのは 8年前ですよ。 27 00:03:35,724 --> 00:03:39,594 子供は まだ6つだっていうじゃ ありませんか。 28 00:03:39,594 --> 00:03:42,497 えっと…。 29 00:03:42,497 --> 00:03:45,650 ごまかさないで! 30 00:03:45,650 --> 00:03:50,405 ひょっとして わしの子では ないのかもしれんな。 31 00:03:50,405 --> 00:03:54,409 よくもまあ そんな嘘を…。 だから ひょっとしてだ…。 32 00:03:54,409 --> 00:03:58,847 ひとの子のために 何で お前様が ゆすられなければ ならないの? 33 00:03:58,847 --> 00:04:01,983 どうして二百両もの大金を 払おうとしたんですか? 34 00:04:01,983 --> 00:04:04,870 まあ 人助けとでも いうかな…。 35 00:04:04,870 --> 00:04:07,439 お露の狂言じゃないんですか? 36 00:04:07,439 --> 00:04:09,441 人さらいと組んで 八百源を狙った。 37 00:04:09,441 --> 00:04:14,541 人を ゆするほど 知恵が回らないわ。 38 00:04:17,799 --> 00:04:21,803 じゃあ はっきり言って下さい。 39 00:04:21,803 --> 00:04:27,703 お前様の子に 間違いは ありませんね? 40 00:04:29,778 --> 00:04:33,782 間違いない! …と思う。 41 00:04:33,782 --> 00:04:38,270 お前様が生ませたんですね。 だから何度も言わせるな。 42 00:04:38,270 --> 00:04:40,272 ちょっと待って下さい。 43 00:04:40,272 --> 00:04:45,293 それでは その子は私の弟ですね? 違いますよ。 44 00:04:45,293 --> 00:04:47,412 だって 血が つながってるんでしょ? 45 00:04:47,412 --> 00:04:49,414 つながってませんよ。 46 00:04:49,414 --> 00:04:52,767 おとっ様が 自分が生ませたって 今 おっしゃってましたよ。 47 00:04:52,767 --> 00:04:57,472 そっちは つながってても お前は おとっ様の子じゃありません。 48 00:04:57,472 --> 00:04:59,541 えっ? 何が 言いたいんだ? 49 00:04:59,541 --> 00:05:04,646 産んだ子供の父親が誰かって事は 母親にしか分かりませんからね。 50 00:05:04,646 --> 00:05:06,731 バカな事 言うな! 51 00:05:06,731 --> 00:05:09,668 目鼻立ちも 爪の形も わしに そっくりじゃないか。 52 00:05:09,668 --> 00:05:12,537 他人の そら似じゃ ないんですか? 53 00:05:12,537 --> 00:05:16,937 おっか様…。 54 00:05:20,845 --> 00:05:23,945 わしが悪かった。 55 00:05:25,834 --> 00:05:30,005 悪かったじゃ すみませんよ! 声が でかい。 声が…。 56 00:05:30,005 --> 00:05:35,777 いいですか? お前様は 私を 裏切っただけじゃなく➡ 57 00:05:35,777 --> 00:05:39,664 八百源の看板に 大きな傷をつけたんですよ。 58 00:05:39,664 --> 00:05:42,550 世間に恥をさらして 男を下げたんですよ。 59 00:05:42,550 --> 00:05:45,704 男を下げたとは 思っておらん。 60 00:05:45,704 --> 00:05:50,041 何ですって? 妾を持つ事は男の 甲斐性だ。 61 00:05:50,041 --> 00:05:52,043 おとっ様…。 62 00:05:52,043 --> 00:05:55,847 東照大権現様も 20人の ご側室がいた。 63 00:05:55,847 --> 00:05:58,733 今の公方様も ご側室の お子だ。 64 00:05:58,733 --> 00:06:02,504 それが何だって言うんですか? 何が? 65 00:06:02,504 --> 00:06:05,473 あきれて 物が言えないわ。 66 00:06:05,473 --> 00:06:08,043 お前様は 将軍様ですか? 67 00:06:08,043 --> 00:06:12,847 えっ? 八百屋のあるじじゃ ないんですか? 68 00:06:12,847 --> 00:06:15,667 分かってるよ。 69 00:06:15,667 --> 00:06:21,006 しかも 養子のくせに。 何だと。 70 00:06:21,006 --> 00:06:24,225 あのな お前の おやじ殿に 頼まれたんだぞ。 71 00:06:24,225 --> 00:06:27,062 両手をついて 「是非 お願いします」と…。 72 00:06:27,062 --> 00:06:29,080 そりゃ とんだ 見込み違いでしたね。 73 00:06:29,080 --> 00:06:31,066 見込み違い? 74 00:06:31,066 --> 00:06:34,602 先代が亡くなったとたんに 人が変わって遊蕩三昧。 75 00:06:34,602 --> 00:06:36,604 男の つきあいだよ。 76 00:06:36,604 --> 00:06:38,606 八百源の当主が そんなケチなまね できるか。 77 00:06:38,606 --> 00:06:43,278 しかも隠し子を作って 世間に大恥を さらして…。 78 00:06:43,278 --> 00:06:47,615 だから それは 謝ったじゃないか。 79 00:06:47,615 --> 00:06:49,701 今も手当を やってるんでしょ? やってない。 80 00:06:49,701 --> 00:06:51,736 ほらまた 嘘をつく。 嘘じゃない。 81 00:06:51,736 --> 00:06:58,026 やめて下さい。 先代は お墓の中で 嘆いてますよ。 82 00:06:58,026 --> 00:07:02,630 とんでもない奴を 婿にしたって…。 何だと? 83 00:07:02,630 --> 00:07:05,734 そのうち きっと化けて出ますよ! 84 00:07:05,734 --> 00:07:08,787 ああ 化けて出てきたら わしは 言ってやるよ。 85 00:07:08,787 --> 00:07:11,306 八百源の売り上げは 5割 増やしましたと。 86 00:07:11,306 --> 00:07:13,608 増やした分だけ 使ってなさるじゃありませんか! 87 00:07:13,608 --> 00:07:16,594 店を大きくするためだ! 88 00:07:16,594 --> 00:07:19,197 よく言えたもんだわ! 89 00:07:19,197 --> 00:07:24,069 もう… うたぐり深い女だな。 90 00:07:24,069 --> 00:07:29,023 お前様の魂胆は 見え透いてますよ。 91 00:07:29,023 --> 00:07:31,142 何だと? 92 00:07:31,142 --> 00:07:34,846 ホントは お露の子供を引き取って 跡取りにしたいんでしょ。 93 00:07:34,846 --> 00:07:36,831 まだ6歳ですよ。 94 00:07:36,831 --> 00:07:39,317 だから 勘蔵を中継ぎにして 4代目にしたいんだよ。 95 00:07:39,317 --> 00:07:41,302 そんな事は 考えてない。 96 00:07:41,302 --> 00:07:43,738 お前様が 考えてなくても お露が考えてますよ! 97 00:07:43,738 --> 00:07:46,791 黙れ! 黙れとは 何ですか! 98 00:07:46,791 --> 00:07:50,595 お前には つくづく愛想が尽きた。 もう離縁するから出てけ! 99 00:07:50,595 --> 00:07:53,064 おとっ様。 出ていくのは お前様でしょ! 100 00:07:53,064 --> 00:07:55,333 2人とも やめて下さい。 今 何て言った。 101 00:07:55,333 --> 00:07:59,204 私は家付きの娘ですよ! お前様は養子でしょ! 102 00:07:59,204 --> 00:08:03,475 ああ だったら出ていってやるよ! ええ そうして下さいな! 103 00:08:03,475 --> 00:08:07,662 いっそ お露と所帯を持って 親子 3人で暮らしたら どうですか! 104 00:08:07,662 --> 00:08:11,766 とろろ屋の主人になって 毎日 とろろ すってたら➡ 105 00:08:11,766 --> 00:08:14,469 どうなんですか! ああ やかましい! 106 00:08:14,469 --> 00:08:17,806 何て事 するんですか! 107 00:08:17,806 --> 00:08:22,977 もう お前には うんざりだ! こっちこそですよ! 108 00:08:22,977 --> 00:08:25,296 ああ! 109 00:08:25,296 --> 00:08:27,296 おとっ様! 110 00:08:28,967 --> 00:08:32,337 おとっ様! 111 00:08:32,337 --> 00:08:34,939 冗談じゃない ホントに! 112 00:08:34,939 --> 00:08:38,939 俺を 何だと思ってんだ! ホントに ああ~! 113 00:08:45,834 --> 00:08:47,834 おっか様。 114 00:08:50,205 --> 00:08:56,311 ホントに 出ていきましたよ。 115 00:08:56,311 --> 00:09:01,332 おとっ様を 追い出すなんて…。 116 00:09:01,332 --> 00:09:05,870 出ていくって言ったのは 向こうだからね。 117 00:09:05,870 --> 00:09:11,709 おっか様が あんまり 言うからじゃないですか。 118 00:09:11,709 --> 00:09:17,832 当たり前じゃないか。 お前だって 聞いていたろ? 119 00:09:17,832 --> 00:09:25,807 私を離縁するだなんて。 あの身の程知らずが。 120 00:09:25,807 --> 00:09:31,207 おっか様 ホントに別れるの? 121 00:09:42,106 --> 00:09:44,676 おっか様。 122 00:09:44,676 --> 00:09:49,347 一人にさして。 そうは いきません。 123 00:09:49,347 --> 00:09:52,847 具合が悪いんだよ。 124 00:09:56,437 --> 00:09:59,574 ご迷惑を おかけしました。 125 00:09:59,574 --> 00:10:03,711 無事に一件落着で 何より。 126 00:10:03,711 --> 00:10:09,133 落着はしましたが とんだ 恥を さらしてしまいました。 127 00:10:09,133 --> 00:10:12,437 あんまり 気にしなさんな。 128 00:10:12,437 --> 00:10:16,140 お妾さんだの 隠し子だのと。 129 00:10:16,140 --> 00:10:23,481 どこにでも ある話ですよ。 みんな すぐに忘れます。 130 00:10:23,481 --> 00:10:27,552 それが…。 131 00:10:27,552 --> 00:10:33,641 実は 家内が 大荒れでして…。 おやおや。 132 00:10:33,641 --> 00:10:37,929 八百源の看板を汚したと ギャーギャー わめき散らして…。 133 00:10:37,929 --> 00:10:41,899 もう 出ていけの 縁を切るのと 手が つけられません。 134 00:10:41,899 --> 00:10:45,637 すると 女将さんは 知らなかったんですか? 135 00:10:45,637 --> 00:10:52,493 はい 子供の事は…。 はあ~ そりゃ 大変だ。 136 00:10:52,493 --> 00:10:55,380 家内の あんな顔を見たのは 初めてです。 137 00:10:55,380 --> 00:10:59,901 まるで 鬼のようでした。 138 00:10:59,901 --> 00:11:05,273 「外面如菩薩 内心如夜叉」。 139 00:11:05,273 --> 00:11:08,926 女人の本性は 外面は菩薩のようでも➡ 140 00:11:08,926 --> 00:11:13,948 心の内には夜叉が住んでおる。 141 00:11:13,948 --> 00:11:16,901 女将さんに謝ったら どうですか? 142 00:11:16,901 --> 00:11:20,405 謝りましたが 許してもらえませんでした。 143 00:11:20,405 --> 00:11:24,942 大げんかのあげく 追い出されました。 144 00:11:24,942 --> 00:11:27,795 ホホホ… ご難続きですな。 145 00:11:27,795 --> 00:11:31,983 つきましては ご住職に お願い事がございます。 146 00:11:31,983 --> 00:11:35,403 けんかの仲裁ですかね? いやいや…。 147 00:11:35,403 --> 00:11:38,506 はなはだ勝手では ございますが➡ 148 00:11:38,506 --> 00:11:43,544 しばらく 大乗寺に 泊めて頂く事は…。 149 00:11:43,544 --> 00:11:49,200 いや… それは ちと困ります。 150 00:11:49,200 --> 00:11:53,471 ご迷惑でしょうか? あとで女将さんに恨まれますよ。 151 00:11:53,471 --> 00:11:55,740 いやいや そこを 何とか…。 152 00:11:55,740 --> 00:11:59,844 頭を下げて お宅に戻ったら いかがですか? 153 00:11:59,844 --> 00:12:03,381 いやいや それは できません。 154 00:12:03,381 --> 00:12:10,471 ほとぼりが冷めるまで 何とか お願いします。 155 00:12:10,471 --> 00:12:14,142 湯島の とろろ飯屋? 156 00:12:14,142 --> 00:12:17,645 一緒に行ってほしいの。 157 00:12:17,645 --> 00:12:20,114 旦那様は そこに? 158 00:12:20,114 --> 00:12:25,169 分かりませんけど 母が ヤキモキしていますので…。 159 00:12:25,169 --> 00:12:28,456 分かりました お供します。 160 00:12:28,456 --> 00:12:31,756 お願いします。 161 00:12:45,039 --> 00:12:49,339 (お露)ありがとうございました。 162 00:12:57,068 --> 00:13:00,471 (菊丸)何してんの? 163 00:13:00,471 --> 00:13:04,171 えっ? ねえ ちょっと見てて。 164 00:13:08,846 --> 00:13:14,936 エヤ エヤ エヤ…。 165 00:13:14,936 --> 00:13:19,173 上手でしょ? ホントに 上手ね。 166 00:13:19,173 --> 00:13:22,960 坊や いくつ? 6つ。 167 00:13:22,960 --> 00:13:27,165 そう 立派な竹馬ね。 168 00:13:27,165 --> 00:13:31,765 菊丸 何 してんの? 169 00:13:34,138 --> 00:13:38,609 知らない人と 口をきいちゃ いけないって 言ったでしょ。 170 00:13:38,609 --> 00:13:41,262 ごめんなさいね。 171 00:13:41,262 --> 00:13:44,365 もし。 172 00:13:44,365 --> 00:13:48,703 こちらの女将さんですね? はい あなたは? 173 00:13:48,703 --> 00:13:53,074 八百源の番頭でございます。 174 00:13:53,074 --> 00:13:55,076 何か? 175 00:13:55,076 --> 00:14:00,581 少々 お伺いしたい事が…。 176 00:14:00,581 --> 00:14:04,519 私は 喜兵衛の娘です。 177 00:14:04,519 --> 00:14:10,908 えっ… お七ちゃん? 178 00:14:10,908 --> 00:14:15,208 まあ 大きくなったこと。 179 00:14:17,849 --> 00:14:22,970 屋根船で会った時は まだ ヨチヨチ歩きだったのに。 180 00:14:22,970 --> 00:14:28,576 屋根船? 覚えてないでしょうね。 大川の舟遊びですよ。 181 00:14:28,576 --> 00:14:31,345 はあ…。 182 00:14:31,345 --> 00:14:35,445 とにかく お入りなさい どうぞ。 183 00:14:37,535 --> 00:14:39,535 どうぞ。 184 00:14:43,674 --> 00:14:51,199 このたびは とんだ騒動で ご迷惑かけました。 185 00:14:51,199 --> 00:14:56,099 お七ちゃんも いろいろ聞いて ビックリしたでしょ? 186 00:14:58,272 --> 00:15:03,861 旦那様は 何て言いました? 187 00:15:03,861 --> 00:15:10,835 世間に恥を さらしたと…。 そうでしょうね。 188 00:15:10,835 --> 00:15:14,205 女将さんは 怒ったでしょ? 189 00:15:14,205 --> 00:15:20,528 怒りました。 大げんかになって 父を追い出しました。 190 00:15:20,528 --> 00:15:23,648 で 旦那様は どこへ? 191 00:15:23,648 --> 00:15:26,150 ここじゃ ないんですか? とんでもない。 192 00:15:26,150 --> 00:15:28,850 私は あれから 一遍も 会っていませんよ。 193 00:15:31,505 --> 00:15:34,358 そうですか。 ここしかないと思って➡ 194 00:15:34,358 --> 00:15:38,229 お迎えに上がったんですが…。 お門違いで すみませんね。 195 00:15:38,229 --> 00:15:41,566 八百源の当主が とろろ飯屋に 隠れたとあっちゃ➡ 196 00:15:41,566 --> 00:15:45,036 ますます笑われますよ。 197 00:15:45,036 --> 00:15:47,936 それぐらいの事は わきまえてます。 198 00:15:50,441 --> 00:15:55,763 あの… 失礼ですが 月々の手当は いかほどですか? 199 00:15:55,763 --> 00:16:00,801 私どもは 間もなく祝言を挙げて 八百源を引き継ぐ事になります。 200 00:16:00,801 --> 00:16:03,604 (お露)はい…。 201 00:16:03,604 --> 00:16:06,607 万が一の事がありましても ご無礼のないように➡ 202 00:16:06,607 --> 00:16:10,144 手当を 続けていきたいと存じますので。 203 00:16:10,144 --> 00:16:12,463 万が一とは? 204 00:16:12,463 --> 00:16:17,501 例えば 旦那様のお帰りが 長引いた場合とか…。 205 00:16:17,501 --> 00:16:21,339 夫婦別れという事? そんな事には なりません。 206 00:16:21,339 --> 00:16:24,942 おとっ様は 必ず帰ってきます。 お七様…。 207 00:16:24,942 --> 00:16:29,430 もし そんな事になったら 一切 手当は要りません。 208 00:16:29,430 --> 00:16:33,167 この店だけで 何とか やっていけますから。 209 00:16:33,167 --> 00:16:36,637 菊丸坊やは どうなりますか? 菊丸? 210 00:16:36,637 --> 00:16:38,639 念のために申しますが➡ 211 00:16:38,639 --> 00:16:41,575 血を ひいてるから引き取れ と言われても困ります。 212 00:16:41,575 --> 00:16:45,930 まず 女将さんが お許しにならないでしょう。 213 00:16:45,930 --> 00:16:49,150 そんな事は 考えていません。 214 00:16:49,150 --> 00:16:51,650 菊丸は 私の子です。 215 00:16:54,572 --> 00:16:59,243 おっか様 誰? 216 00:16:59,243 --> 00:17:02,546 こんにちは お姉ちゃんよ。 217 00:17:02,546 --> 00:17:05,866 お姉ちゃん? 218 00:17:05,866 --> 00:17:09,970 ご挨拶は? 菊丸です。 219 00:17:09,970 --> 00:17:14,508 菊丸ちゃん 竹馬 上手ね。 うん。 220 00:17:14,508 --> 00:17:17,962 旦那様は 5月の節句の日に➡ 221 00:17:17,962 --> 00:17:22,133 こいのぼりと竹馬を 持ってきてくださいました。 222 00:17:22,133 --> 00:17:24,969 竹馬 もらったんだよ。 223 00:17:24,969 --> 00:17:29,674 良かったね 菊丸ちゃん。 224 00:17:29,674 --> 00:17:32,176 ♬~ 225 00:17:32,176 --> 00:17:35,429 どうして あんな事 言ったの? はっ? 226 00:17:35,429 --> 00:17:39,433 仕送りが どうのとか 菊坊が どうのとか…。 227 00:17:39,433 --> 00:17:43,170 あなたが決める事じゃ ないでしょ。 228 00:17:43,170 --> 00:17:48,726 すいません つい出過ぎた事を 言いました。 229 00:17:48,726 --> 00:17:52,563 でも 言いたい事は 言っておきませんと➡ 230 00:17:52,563 --> 00:17:54,965 先々 何を言い出すか…。 231 00:17:54,965 --> 00:17:59,987 菊坊は 私の弟ですよ。 分かっています。 232 00:17:59,987 --> 00:18:04,642 引き取ったっていいじゃないの。 先の事も 考えて下さい。 233 00:18:04,642 --> 00:18:09,647 私たちにも 子供ができるんですよ。 234 00:18:09,647 --> 00:18:12,047 できるか どうか分かりません。 235 00:18:14,135 --> 00:18:16,837 お七様。 236 00:18:16,837 --> 00:18:21,337 まずは 父を捜さないと…。 祝言どころじゃありません。 237 00:18:28,382 --> 00:18:31,035 お前 だまされてるんじゃない? 238 00:18:31,035 --> 00:18:35,990 ホントは 奥に隠れてたんじゃ ないのかい。 そんな…。 239 00:18:35,990 --> 00:18:39,376 元は 吉原の女だよ。 240 00:18:39,376 --> 00:18:44,131 マヌケな男を 手練手管で 手玉に取るくらい慣れてんだよ。 241 00:18:44,131 --> 00:18:46,751 でも 案外 サッパリした人で➡ 242 00:18:46,751 --> 00:18:50,805 勘蔵さんが ズケズケ言っても 落ち着いて受け答えしてました。 243 00:18:50,805 --> 00:18:54,305 だから ずうずうしいんだよ。 244 00:18:59,413 --> 00:19:03,384 子供は いたかい? いました。 245 00:19:03,384 --> 00:19:07,171 あの人の子に間違いないかい? 私に そっくり。 246 00:19:07,171 --> 00:19:10,871 ああ 嫌だ 嫌だ。 247 00:19:21,769 --> 00:19:25,906 やっかいな事になったね。 248 00:19:25,906 --> 00:19:32,106 あの女の所にも いないとなると 一体 どこへ行ったんだろうね? 249 00:19:33,848 --> 00:19:37,151 おっか様。 何? 250 00:19:37,151 --> 00:19:41,505 実は 戻ってきて ほしいんじゃないの? 251 00:19:41,505 --> 00:19:44,108 そうじゃないよ。 252 00:19:44,108 --> 00:19:46,410 このまま ほうっておいたら➡ 253 00:19:46,410 --> 00:19:48,546 どこで何をしでかすか 分からないだろう。 254 00:19:48,546 --> 00:19:52,766 野たれ死にでもしたら 恥の上塗りだよ。 255 00:19:52,766 --> 00:19:57,166 じゃあ 戻ってきたら 優しくしてあげて。 256 00:20:00,741 --> 00:20:04,041 過ぎた事は 許してあげて。 257 00:20:05,830 --> 00:20:11,068 そうそう 枕が なくなってるんだよ。 枕? 258 00:20:11,068 --> 00:20:16,006 あの人の枕だよ。 いくら捜しても 見つからないんだよ。 259 00:20:16,006 --> 00:20:19,260 持ち出したのかしら? 260 00:20:19,260 --> 00:20:26,734 もしも そうなら 戻ってこないかもしれないね。 261 00:20:26,734 --> 00:20:30,534 あれが無いと 眠れない人だから。 262 00:20:32,239 --> 00:20:37,161 何? 行方が 分からん? ほうぼう捜してはおりますが…。 263 00:20:37,161 --> 00:20:42,016 あ~ 尋常ではないな。 264 00:20:42,016 --> 00:20:47,021 子供は見つかったと思うたら 今度は親か…。 265 00:20:47,021 --> 00:20:51,375 一度 こちらへ お伺いしたとは お聞きしましたが…。 266 00:20:51,375 --> 00:20:54,461 寺に泊めてくれと言うから それは ならんと➡ 267 00:20:54,461 --> 00:20:56,964 なだめて 帰したんじゃ。 268 00:20:56,964 --> 00:21:01,835 父は 枕を持っていたでしょうか? 枕? 269 00:21:01,835 --> 00:21:06,407 寝所から なくなっていますので 母が心配して…。 270 00:21:06,407 --> 00:21:11,095 さあ 覚えはないが…。 271 00:21:11,095 --> 00:21:16,116 枕を持って家出するとは 変わった お人じゃのう。 272 00:21:16,116 --> 00:21:20,337 何か お耳に入りましたら お知らせ下さいませ。 273 00:21:20,337 --> 00:21:23,140 分かりました。 274 00:21:23,140 --> 00:21:29,330 あんたも 祝言が近いのに ご苦労じゃのう。 275 00:21:29,330 --> 00:21:35,603 祝言は 日延べになりました。 日延べ? 276 00:21:35,603 --> 00:21:41,959 父が戻って参りませんと…。 ああ そりゃ そうじゃのう。 277 00:21:41,959 --> 00:21:46,163 八百源の娘の祝言に 父親が不在では➡ 278 00:21:46,163 --> 00:21:48,763 また何を言われるか分からん。 279 00:21:51,535 --> 00:21:54,435 お邪魔を致しました。 280 00:22:06,467 --> 00:22:11,467 ≪お七。 281 00:22:13,907 --> 00:22:18,145 吉三郎の事じゃがのう。 282 00:22:18,145 --> 00:22:22,149 これは 言ってもかまわんと 思うが➡ 283 00:22:22,149 --> 00:22:27,037 縁談が まとまって 身を固める事になった。 284 00:22:27,037 --> 00:22:29,773 縁談? 285 00:22:29,773 --> 00:22:38,773 木下順庵先生の推挙でな さるご直参の婿養子に入るんじゃ。 286 00:22:41,335 --> 00:22:45,873 これで お前さんの恋わずらいも サッパリと区切りがついた。 287 00:22:45,873 --> 00:22:50,544 心おきなく 勘蔵の嫁になりなさい。 288 00:22:50,544 --> 00:22:57,785 まあ どちらの祝言が先になるか 分からんがのう。 289 00:22:57,785 --> 00:23:51,505 ♬~ 290 00:23:51,505 --> 00:23:54,041 [ 回想 ] お前は大店の一人娘だ。 291 00:23:54,041 --> 00:23:57,144 婿をとって八百源を 継がねばならぬ。 292 00:23:57,144 --> 00:24:01,949 私は私で 生涯 妻を めとる事はない。 293 00:24:01,949 --> 00:24:05,803 お七の事を忘れようと思っていた。 294 00:24:05,803 --> 00:24:12,203 だが 気がつけば… お七の事ばかり考えている。 295 00:24:19,933 --> 00:24:22,733 (お房)お七。 296 00:24:26,140 --> 00:24:29,840 帰ってたのかい。 297 00:24:33,614 --> 00:24:39,214 だいぶ 疲れてるね。 目が くぼんでるじゃないか。 298 00:24:42,906 --> 00:24:48,662 あのね 驚いちゃいけないよ。 299 00:24:48,662 --> 00:24:52,662 うちの土蔵に幽霊が いるんだよ。 300 00:24:54,351 --> 00:25:00,574 幽霊? それも あの人の幽霊が…。 301 00:25:00,574 --> 00:25:05,729 まさか。 まあ 聞いとくれよ。 302 00:25:05,729 --> 00:25:10,367 夕時 何となく 庭を見てたらさ➡ 303 00:25:10,367 --> 00:25:14,404 お留が コソコソ 土蔵の方へ 行くんだよ。 304 00:25:14,404 --> 00:25:22,663 こうやって たもとで 何かを隠してさ。 305 00:25:22,663 --> 00:25:30,663 呼び止めて尋ねたら これが 何と にぎりめしと 煮物と お漬物。 306 00:25:32,739 --> 00:25:38,245 どこへ持っていくんだいって 問い詰めても答えない。 307 00:25:38,245 --> 00:25:42,516 とうとう白状させたんだけど…。 308 00:25:42,516 --> 00:25:48,906 これは 旦那様の 召し上がり物ですって。 309 00:25:48,906 --> 00:25:52,409 おとっ様のですか? 310 00:25:52,409 --> 00:25:57,965 まったく人を コケにして。 311 00:25:57,965 --> 00:26:04,771 出てったはずの あの人が 3日も土蔵に隠れてたなんて。 312 00:26:04,771 --> 00:26:09,042 それじゃあ… おとっ様には 会ったんですか? 313 00:26:09,042 --> 00:26:13,247 誰が会うもんかね。 314 00:26:13,247 --> 00:26:18,402 幽霊なんだから かんぬきをかけて 閉じ込めておくよ。 315 00:26:18,402 --> 00:26:21,104 ダメダメ 風邪ひいちゃうじゃないですか。 316 00:26:21,104 --> 00:26:27,628 ほうっておおき。 ひもじくなったら出てくるよ。 317 00:26:27,628 --> 00:26:30,428 そんな…。 318 00:26:37,004 --> 00:26:40,240 おとっ様。 319 00:26:40,240 --> 00:26:44,544 どこに いるんですか? 320 00:26:44,544 --> 00:26:48,444 おとっ様。 321 00:26:50,467 --> 00:26:52,869 おとっ様。 322 00:26:52,869 --> 00:26:57,891 あ~ 寒い! 早く閉めんか! 323 00:26:57,891 --> 00:27:02,262 おとっ様 一緒に 出ましょう。 いや わしは ここにおる。 324 00:27:02,262 --> 00:27:04,281 どうして隠れるんですか? 325 00:27:04,281 --> 00:27:08,252 隠れてはいない。 ここは わしの屋敷内だ。 326 00:27:08,252 --> 00:27:11,571 おかっ様が 案じてますよ。 327 00:27:11,571 --> 00:27:15,642 知ってるのか? さあ 早く。 328 00:27:15,642 --> 00:27:17,942 おとっ様。 329 00:27:21,848 --> 00:27:25,185 あ~ うまい。 330 00:27:25,185 --> 00:27:29,589 わしが戻ってきたのはな お七のためだ。 331 00:27:29,589 --> 00:27:33,760 せめて祝言までは ここに おらんとな。 332 00:27:33,760 --> 00:27:36,730 父親抜きでは さまにならん。 333 00:27:36,730 --> 00:27:38,830 お七が かわいそうだ。 334 00:27:41,535 --> 00:27:45,839 祝言が終わったら どうするんですか? 335 00:27:45,839 --> 00:27:48,909 先の事は何も考えておらん。 336 00:27:48,909 --> 00:27:53,914 お正月は どこで? えっ? 337 00:27:53,914 --> 00:28:01,438 まあ それは まあ…。 おっか様しだいだな。 338 00:28:01,438 --> 00:28:08,195 もう どこへも 行かないで。 そうは 言っても わしの一存では。 339 00:28:08,195 --> 00:28:14,668 じゃあ 祝言を やめれば いいんですか? 340 00:28:14,668 --> 00:28:17,821 祝言を挙げるまでは ここに いるんでしょ? 341 00:28:17,821 --> 00:28:20,507 バカな事 言うな。 342 00:28:20,507 --> 00:28:26,207 祝言は来年にしました。 来年? 343 00:28:29,766 --> 00:28:32,436 お前様が 生きているのか 死んでいるのか➡ 344 00:28:32,436 --> 00:28:35,439 分からなかったから…。 ここに いるではないか。 345 00:28:35,439 --> 00:28:38,975 もう間に合いませんよ。 勝手に決めるな。 346 00:28:38,975 --> 00:28:43,313 何ですか 偉そうに。 347 00:28:43,313 --> 00:28:48,318 ゴタゴタを起こしたのは お前様ですよ。 おっか様。 348 00:28:48,318 --> 00:28:57,310 じゃあ 聞くぞ。 わしは ここにいて いいんだな? 349 00:28:57,310 --> 00:28:59,796 当たり前でしょ。 350 00:28:59,796 --> 00:29:04,134 ただし 寝所は 別にしてもらいます。 351 00:29:04,134 --> 00:29:06,503 わしは どこに寝るんだ。 土蔵があるでしょ。 352 00:29:06,503 --> 00:29:11,503 土蔵は寒い。 手足が凍えて 眠れはせん。 353 00:29:14,478 --> 00:29:20,233 幽霊でも寒いのかしらね。 幽霊? 354 00:29:20,233 --> 00:29:24,133 湯が沸いてますよ。 355 00:29:29,042 --> 00:29:31,044 (お留)何でって 旦那様が…。 356 00:29:31,044 --> 00:29:35,148 いくら 口止めされたからって 奉公人同士の仁義があるだろう。 357 00:29:35,148 --> 00:29:38,034 奉公人といっても お店と奥とは 別ですから。 358 00:29:38,034 --> 00:29:42,639 女将さんにも隠してたんだろ? それは 私の一存です。 359 00:29:42,639 --> 00:29:45,575 また 騒動が起きたら 大変だから…。 360 00:29:45,575 --> 00:29:51,631 みんな心配してたんだぞ。 八百源は どうなるのかと。 361 00:29:51,631 --> 00:29:55,435 幸助さんに とやかく言われる 筋合いはありません。 何だと? 362 00:29:55,435 --> 00:29:58,738 大きな声 出さないで下さい。 363 00:29:58,738 --> 00:30:02,442 お客さん 来ましたよ。 いらっしゃいませ。 364 00:30:02,442 --> 00:30:06,342 いい大根でしょ? お正月に いかがですか? 365 00:30:15,972 --> 00:30:19,176 [ 回想 ] 吉三郎の事じゃがのう➡ 366 00:30:19,176 --> 00:30:23,513 縁談が まとまって 身を固める事になった。 367 00:30:23,513 --> 00:30:33,039 木下順庵先生の推挙でな さるご直参の婿養子に入るんじゃ。 368 00:30:33,039 --> 00:31:29,679 ♬~ 369 00:31:29,679 --> 00:31:33,116 お七 どうしたんだ? 370 00:31:33,116 --> 00:31:35,835 申し訳ありません。 371 00:31:35,835 --> 00:31:39,773 お目に かかりたくて…。 372 00:31:39,773 --> 00:31:45,111 許せ これから順庵先生のお供で 城中に参上する。 373 00:31:45,111 --> 00:31:50,684 どうしても お話したい事が…。 話? 374 00:31:50,684 --> 00:31:56,084 吉三郎 間もなく 出立だ。 はい! 375 00:31:58,508 --> 00:32:02,495 大晦日なら 駒込に用がある。 376 00:32:02,495 --> 00:32:05,966 大晦日? 377 00:32:05,966 --> 00:32:13,373 夜分 亥の刻 大円寺の裏で。 378 00:32:13,373 --> 00:32:15,373 大円寺? 379 00:32:43,803 --> 00:32:51,077 (拍子木) ♬「火の用心」 380 00:32:51,077 --> 00:32:57,200 (拍子木) 381 00:32:57,200 --> 00:33:03,106 ♬「火の用心」 382 00:33:03,106 --> 00:34:42,606 ♬~ 383 00:34:44,541 --> 00:34:48,541 手が冷え切っている。 384 00:34:59,339 --> 00:35:03,239 心は もう温まりました。 385 00:35:05,478 --> 00:35:08,798 冬の蛍か…。 386 00:35:08,798 --> 00:35:14,304 「冬の蛍は 黙って身を焦がす」。 387 00:35:14,304 --> 00:35:19,204 覚えてるんですか? うん。 388 00:35:26,716 --> 00:35:30,553 八百源の災難は もろもろ聞いている。 389 00:35:30,553 --> 00:35:32,553 大変だったな。 390 00:35:36,276 --> 00:35:41,676 おかげで少し 大人になりました。 391 00:35:46,269 --> 00:35:53,869 父の ないしょ事 母の怒り 世間の白い目…。 392 00:35:58,631 --> 00:36:03,436 人は誰でも この世に生まれ➡ 393 00:36:03,436 --> 00:36:09,436 この世を去る時まで 悩み事が つきまとうんですね。 394 00:36:11,344 --> 00:36:15,231 それが 人間の業だ。 395 00:36:15,231 --> 00:36:23,706 でも 私に弟がいるって知った時は うれしくなりました。 396 00:36:23,706 --> 00:36:28,706 この世は 悪い事 半分 いい事 半分。 397 00:36:45,011 --> 00:36:48,848 あの…。 うん? 398 00:36:48,848 --> 00:36:57,448 吉三様は ご直参のお婿さんに 入るそうですね? 399 00:37:05,131 --> 00:37:07,831 その話は 立ち消えになった。 400 00:37:13,406 --> 00:37:18,094 私が 断ったのだ。 401 00:37:18,094 --> 00:37:22,894 どうしてですか? 402 00:37:32,141 --> 00:37:38,141 前に話したではないか。 私は 生涯 妻を めとらぬと。 403 00:37:45,204 --> 00:37:53,104 私は お七がいるから その話を断った。 404 00:38:00,603 --> 00:38:07,303 お七の姿が この胸に こびりついて離れない。 405 00:38:13,600 --> 00:38:21,200 お七が いつも私の胸の中にいる。 406 00:38:24,844 --> 00:38:28,014 吉三様。 407 00:38:28,014 --> 00:38:41,511 ♬~ 408 00:38:41,511 --> 00:38:45,211 お七…。 409 00:38:49,502 --> 00:38:52,202 私は…。 410 00:38:55,208 --> 00:38:59,608 もうすぐ祝言を 挙げなければなりません。 411 00:39:09,872 --> 00:39:18,431 仲たがいをした父と母が 何とか元の鞘に納まり➡ 412 00:39:18,431 --> 00:39:28,031 八百源が立ち直るには そうするしかありません。 413 00:39:33,880 --> 00:39:36,132 うん。 414 00:39:36,132 --> 00:40:02,892 ♬~ 415 00:40:02,892 --> 00:40:06,692 お願いがあります。 416 00:40:12,819 --> 00:40:16,419 私を大人に…。 417 00:40:24,864 --> 00:40:28,064 もうすぐ除夜の鐘が鳴ります。 418 00:40:31,938 --> 00:40:39,138 年が明けたら 私は もう16です。 419 00:40:42,715 --> 00:40:45,715 子供ではありません。 420 00:40:56,112 --> 00:41:04,012 (大きな物音) 421 00:41:05,805 --> 00:41:09,605 ちょっと見てくる。 422 00:41:18,468 --> 00:41:21,454 お七 お七 大変だ。 423 00:41:21,454 --> 00:41:25,041 どうしました? 火事だ。 424 00:41:25,041 --> 00:41:31,147 (半鐘の音) 425 00:41:31,147 --> 00:41:35,847 火が回る 逃げるぞ。 はい。 426 00:41:47,947 --> 00:41:51,751 大晦日の夜 お前は どこにいた? 付け火? 427 00:41:51,751 --> 00:41:55,371 吉三郎の事は 口が裂けても もらしてはならぬ。 428 00:41:55,371 --> 00:41:59,592 不埒者を捕らえ その素性と 魂胆を突き止めねばならぬ。 429 00:41:59,592 --> 00:42:01,878 公儀の面目にかけてな。 430 00:42:01,878 --> 00:42:04,580 でも 私たちは…。 何が私たちだ! 431 00:42:04,580 --> 00:42:06,766 この世間知らずが! 432 00:42:06,766 --> 00:42:14,574 ♬「他人に言えない恋だから」 433 00:42:14,574 --> 00:42:22,582 ♬「いっそ 辺りは 闇がいい」 434 00:42:22,582 --> 00:42:29,605 ♬「部屋の灯りを 消しているのは」 435 00:42:29,605 --> 00:42:38,197 ♬「心を読まれたくないから」 436 00:42:38,197 --> 00:42:42,034 ♬「夢なら 醒めるのに」 437 00:42:42,034 --> 00:42:46,138 ♬「確かに そこにいる」 438 00:42:46,138 --> 00:42:54,163 ♬「あなたの すぐそばで ずっと気づかれないで…」 439 00:42:54,163 --> 00:43:02,171 ♬「手鎖されたまま 身動き取れぬまま」 440 00:43:02,171 --> 00:43:10,246 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 441 00:43:10,246 --> 00:43:29,046 ♬「私だけの 身勝手な愛」