1 00:00:35,016 --> 00:00:37,285 (お七)お願いがあります。 2 00:00:37,285 --> 00:00:41,085 私を大人に…。 3 00:00:44,692 --> 00:00:47,192 ≪(物音) 4 00:00:51,649 --> 00:00:54,118 (吉三郎)火が回る。 逃げるぞ。 はい。 5 00:00:54,118 --> 00:01:16,607 ♬~ 6 00:01:16,607 --> 00:01:18,607 こっちは駄目だ。 火が回ってきた。 7 00:01:24,115 --> 00:01:27,151 ここを下りよう。 さあ。 8 00:01:27,151 --> 00:01:29,251 下りるんだ。 9 00:01:34,509 --> 00:01:36,509 早く。 10 00:01:39,547 --> 00:01:41,547 死ぬぞ! 11 00:01:46,871 --> 00:01:48,871 さあ。 はい。 12 00:01:55,580 --> 00:01:57,580 火事だ 火事だ! 13 00:01:59,417 --> 00:02:02,720 (幸助)えらい火事だな。 (仙吉)大丈夫でしょうか。 14 00:02:02,720 --> 00:02:08,509 うちは大丈夫だい。 去年と違って 北風だからな。 へい。 15 00:02:08,509 --> 00:02:11,879 火事泥棒に気をつけろ! へい。 16 00:02:11,879 --> 00:02:15,783 (喜兵衛)風が収まらないな。 (お房)ますます強くなって。 17 00:02:15,783 --> 00:02:19,253 この分じゃ 江戸中 焼け野原になる。 18 00:02:19,253 --> 00:02:22,540 お正月だっていうのに。 19 00:02:22,540 --> 00:02:25,376 縁起が悪いなあ。 20 00:02:25,376 --> 00:02:28,045 悪い事続きです。 21 00:02:28,045 --> 00:02:30,114 (留)あの…。 22 00:02:30,114 --> 00:02:33,384 お嬢様 やっぱり いらっしゃいませんが。 23 00:02:33,384 --> 00:02:36,287 よく捜したのかい? はい。 24 00:02:36,287 --> 00:02:40,858 それから 勘蔵さんも。 25 00:02:40,858 --> 00:02:43,158 火事見物かな。 26 00:02:50,151 --> 00:03:05,166 ♬~ 27 00:03:05,166 --> 00:03:08,920 勘蔵は? さあ。 28 00:03:08,920 --> 00:03:13,841 みんな 落ち着け。 八百源が 焼ける心配は なさそうだ。 29 00:03:13,841 --> 00:03:18,646 だが 江戸中で多くの人が 家を焼かれ 寒空の下にさらされ➡ 30 00:03:18,646 --> 00:03:23,351 飢えと寒さに苦しむだろう。 これを ほっとく訳にはいくまい。 31 00:03:23,351 --> 00:03:26,470 とはいえ 火消しの手伝いは 無理だし➡ 32 00:03:26,470 --> 00:03:28,623 風向きを変える事もできん。 33 00:03:28,623 --> 00:03:32,293 ならば わしらに できる事は 何だ? うん? 34 00:03:32,293 --> 00:03:34,645 人助けでございますね。 そうだ。 35 00:03:34,645 --> 00:03:38,916 去年と同様に 今から総掛かりで 炊き出しをやる。 36 00:03:38,916 --> 00:03:41,218 炊き出し? うん。 37 00:03:41,218 --> 00:03:43,371 ありったけの米や麦や芋で➡ 38 00:03:43,371 --> 00:03:45,957 あったかい雑炊を ふんだんに こしらえて ふるまう。 39 00:03:45,957 --> 00:03:47,942 分かったな! へい。 40 00:03:47,942 --> 00:03:53,397 これが八百源の心意気だ。 日頃の恩返しだ。 へい。 41 00:03:53,397 --> 00:03:57,802 正月の祝い酒も 鏡餅も ごちそうも ありったけだ。 42 00:03:57,802 --> 00:04:00,202 いいな? へい。 43 00:04:02,490 --> 00:04:08,045 勘蔵 どこへ行ってた? へい 火事の様子を…。 44 00:04:08,045 --> 00:04:10,381 どうだった? へい。 45 00:04:10,381 --> 00:04:13,351 火の手は 本郷一帯から 南へ南へと燃え広がり➡ 46 00:04:13,351 --> 00:04:17,688 筋違門も浅草御門も 浅草御門…。 焼け落ちたそうです。 47 00:04:17,688 --> 00:04:21,108 この勢いじゃ やがて 日本橋まで届くでしょう。 48 00:04:21,108 --> 00:04:23,277 (幸助)大ごとだな。 49 00:04:23,277 --> 00:04:27,181 火元は どうやら大円寺のようで。 50 00:04:27,181 --> 00:04:30,081 大円寺? うわさですが…。 51 00:04:34,422 --> 00:04:38,209 お七は? え? 52 00:04:38,209 --> 00:04:40,444 一緒じゃなかったのか? 53 00:04:40,444 --> 00:04:43,344 いえ 手前は1人で。 54 00:04:45,182 --> 00:04:50,621 (幸助)さあ 総掛かりだ。 へい。 55 00:04:50,621 --> 00:04:59,521 ♬~ 56 00:05:09,674 --> 00:05:12,474 ちゃんと着替えて出たようね。 57 00:05:17,515 --> 00:05:25,289 家出じゃないだろうな。 勘蔵との 祝言が嫌で どさくさ紛れに。 58 00:05:25,289 --> 00:05:28,109 まさか。 59 00:05:28,109 --> 00:05:31,011 ≪(留)旦那様。 60 00:05:31,011 --> 00:05:33,914 ≪旦那様! こっちだ。 61 00:05:33,914 --> 00:05:37,314 ≪お嬢様が お帰りです。 62 00:05:43,691 --> 00:05:49,580 それが 泥まみれで 手足も擦り傷だらけで。 63 00:05:49,580 --> 00:05:52,817 どこにいるの? ただいま湯殿に。 64 00:05:52,817 --> 00:05:55,317 留 お七の着替えを。 65 00:06:03,494 --> 00:06:05,594 ≪お七。 66 00:06:09,216 --> 00:06:12,019 お七! 67 00:06:12,019 --> 00:06:16,257 ≪明けまして おめでとうございます。 68 00:06:16,257 --> 00:06:18,943 「明けましておめでとう」 じゃないだろ。 69 00:06:18,943 --> 00:06:21,695 どこ行ってたの? 70 00:06:21,695 --> 00:06:23,995 お元日早々 何ですか。 71 00:06:26,350 --> 00:06:28,886 ≪でも火事が…。 72 00:06:28,886 --> 00:06:32,306 おとっ様は カンカンだよ。 73 00:06:32,306 --> 00:06:34,906 ≪ちょっと待って。 74 00:07:09,593 --> 00:07:12,513 いつも言ってるじゃないか。 75 00:07:12,513 --> 00:07:16,413 大事な時に 家を離れては ならんと。 76 00:07:19,787 --> 00:07:26,026 ゆうべは 風の音で よく眠れなくて。 77 00:07:26,026 --> 00:07:28,126 それで出かけたって言うのかい。 78 00:07:30,614 --> 00:07:34,351 半鐘が鳴り出したので 大変だと思って。 79 00:07:34,351 --> 00:07:38,651 子供じゃあるまいし。 どこで けがをしたの? 80 00:07:41,141 --> 00:07:45,479 それが… よく分からなくて。 81 00:07:45,479 --> 00:07:48,549 分からないって事 あるか。 82 00:07:48,549 --> 00:07:53,521 暗い夜道に 見物人が たくさん いて➡ 83 00:07:53,521 --> 00:08:00,160 ぶつかったり 突き飛ばされたり➡ 84 00:08:00,160 --> 00:08:04,648 そのうち転んで 足をくじいてしまって…。 85 00:08:04,648 --> 00:08:06,684 お前は無鉄砲なんだ。 86 00:08:06,684 --> 00:08:10,184 帰ろうと思っても 方角が分からなくなって。 87 00:08:12,806 --> 00:08:15,643 迷子になってしまって。 88 00:08:15,643 --> 00:08:19,847 ホントに…。 動けなくなって。 89 00:08:19,847 --> 00:08:24,118 嫁入り前の娘が 親に断りもなく➡ 90 00:08:24,118 --> 00:08:27,318 夜中に うろうろしていいと 思ってるのか? あ? 91 00:08:29,607 --> 00:08:31,625 ごめんなさい。 92 00:08:31,625 --> 00:08:34,011 人が聞いたら あきれ返るぞ。 93 00:08:34,011 --> 00:08:37,481 火事場ってのはな みんな 気が立ってるんだ。 94 00:08:37,481 --> 00:08:42,503 ことのほか 危ないんだ。 泥棒だって スリだっている。 95 00:08:42,503 --> 00:08:46,874 八百源の娘が 寄ってたかって 身ぐるみ はがされたら➡ 96 00:08:46,874 --> 00:08:48,926 どうするんだ? え? 97 00:08:48,926 --> 00:08:51,526 眠ってますよ。 え? 98 00:08:57,217 --> 00:09:08,612 ♬~ 99 00:09:08,612 --> 00:09:11,749 ご大老様 お越しにござります。 100 00:09:11,749 --> 00:09:40,294 ♬~ 101 00:09:40,294 --> 00:09:44,498 一同 早朝より大儀。 102 00:09:44,498 --> 00:09:46,984 ははっ。 103 00:09:46,984 --> 00:09:50,120 上様のお加減は? 104 00:09:50,120 --> 00:09:52,920 恐れながら いささか芳しからず。 105 00:09:55,042 --> 00:10:00,414 さもあらん。 ご心痛のほどは いかばかりか。 106 00:10:00,414 --> 00:10:03,784 (柳沢)ただいま 中奥にて 医師の手当を。 107 00:10:03,784 --> 00:10:07,988 して 火事の始末は? いまだに燃え続けております。 108 00:10:07,988 --> 00:10:11,859 それは分かっておるわ。 109 00:10:11,859 --> 00:10:14,859 はっ ごめん。 申せ。 110 00:10:17,748 --> 00:10:23,387 本郷 浅草を焼き 下谷に及んだ 火事は やや下火となりましたが➡ 111 00:10:23,387 --> 00:10:28,459 飛び火した一筋が 日本橋から 本所 深川に及び➡ 112 00:10:28,459 --> 00:10:31,345 盛んに燃え続けております。 113 00:10:31,345 --> 00:10:34,415 (掘田)ゆゆしき仕儀じゃのう。 114 00:10:34,415 --> 00:10:38,886 (甲斐庄)ただいまのところ 消失した家屋敷は おびただしく➡ 115 00:10:38,886 --> 00:10:42,523 焼け死んだ者 負傷した者は 数知れず。 116 00:10:42,523 --> 00:10:44,742 (堀田)護国寺は大丈夫か? 117 00:10:44,742 --> 00:10:47,745 (甲斐庄)危うく 難を逃れた もようにござります。 118 00:10:47,745 --> 00:10:49,763 (堀田)桂昌院様は? 119 00:10:49,763 --> 00:10:52,683 (甲斐庄)ただちに城内に お移りあそばしました。 120 00:10:52,683 --> 00:10:57,404 ただいまは奥向きにて つつがなく お過ごしとの御事。 121 00:10:57,404 --> 00:11:00,974 (堀田)何か仰せであったか? (柳沢)は? 122 00:11:00,974 --> 00:11:03,761 桂昌院様じゃ。 123 00:11:03,761 --> 00:11:06,980 (柳沢)いえ 上様のご不例を ご案じではございますが…。 124 00:11:06,980 --> 00:11:12,119 (稲葉)聞くところによれば イヌを死なせてはならぬと。 125 00:11:12,119 --> 00:11:15,289 稲葉様。 おぬしが さっき 言うたではないか。 126 00:11:15,289 --> 00:11:17,274 イヌとは誰じゃ? 127 00:11:17,274 --> 00:11:20,260 犬畜生の犬にござります。 128 00:11:20,260 --> 00:11:26,550 はっ 人の命よりも犬が大事とは 心得かねる。 129 00:11:26,550 --> 00:11:28,952 いえ 決して。 130 00:11:28,952 --> 00:11:34,825 またしても隆光め。 まことしやかに出しゃばったな。 131 00:11:34,825 --> 00:11:39,980 さよう。 相次ぐ大火は お犬様のたたりじゃと。 132 00:11:39,980 --> 00:11:42,449 お犬様? 133 00:11:42,449 --> 00:11:48,272 怪しげな不届き者が 桂昌院様に あらぬ事を吹き込むんじゃ。 134 00:11:48,272 --> 00:11:53,444 上様に お世継ぎができぬのは 前世に犬を殺したからじゃと。 135 00:11:53,444 --> 00:11:59,216 ほう。 それを真に受けて 上様までが お悩みなんじゃ。 136 00:11:59,216 --> 00:12:03,053 上様は確か 戌年のお生まれですな。 137 00:12:03,053 --> 00:12:08,459 隆光め 今度 会うたら 首の骨をへし折ってやるわ。 138 00:12:08,459 --> 00:12:11,712 何とぞ お手柔らかに。 139 00:12:11,712 --> 00:12:13,714 甲斐庄。 はっ。 140 00:12:13,714 --> 00:12:17,818 大火事や地震のあとに とかく はびこるのが流言飛語じゃ。 141 00:12:17,818 --> 00:12:20,587 たたりじゃの ご託宣じゃのと➡ 142 00:12:20,587 --> 00:12:23,073 まことしやかに 世をたばかる 不届き者は➡ 143 00:12:23,073 --> 00:12:26,510 片っ端から捕らえて 厳罰に処すべし。 144 00:12:26,510 --> 00:12:28,846 しかと心得ました。 145 00:12:28,846 --> 00:12:34,418 そこもとら 万事において 生ぬるいぞ。 146 00:12:34,418 --> 00:12:37,418 もっと しっかりせい。 ははっ。 147 00:12:49,950 --> 00:12:52,085 はい 並んで。 2列になって。 148 00:12:52,085 --> 00:12:54,738 大丈夫ですよ。 早くしろよ。 まだ たくさんありますから。 149 00:12:54,738 --> 00:12:56,838 どうぞ どうぞ。 150 00:13:00,194 --> 00:13:02,179 熱いからね 気をつけて。 151 00:13:02,179 --> 00:13:05,082 はい どうぞ。 いっぱい食べてね。 152 00:13:05,082 --> 00:13:08,082 はい 酒あるぞ。 153 00:13:11,104 --> 00:13:13,957 済んだら空けて下さい。 154 00:13:13,957 --> 00:13:16,457 行くとこが ないの。 155 00:13:20,080 --> 00:13:22,749 うっ! どうしました? 156 00:13:22,749 --> 00:13:27,149 餅が のどに…。 大丈夫ですか? 157 00:13:29,573 --> 00:13:32,509 おい おかわり。 158 00:13:32,509 --> 00:13:35,812 もう3杯目ですよ。 159 00:13:35,812 --> 00:13:38,412 文句あんのかよ。 うん。 160 00:13:40,184 --> 00:13:43,253 (甲斐庄)火は あらかた 収まりました。 161 00:13:43,253 --> 00:13:47,558 本所 深川辺りは 多少 くすぶっては おりますが➡ 162 00:13:47,558 --> 00:13:51,428 また 大風が吹かぬ限りは…。 うん。 163 00:13:51,428 --> 00:13:54,114 これで一安心ですな。 164 00:13:54,114 --> 00:13:58,051 たわけを申すな。 165 00:13:58,051 --> 00:14:01,622 公儀のしどころは これからじゃ。 166 00:14:01,622 --> 00:14:05,225 焼け野原と化した江戸の町を いかに建て直すか➡ 167 00:14:05,225 --> 00:14:08,612 その莫大な費用を どこから ひねり出すか➡ 168 00:14:08,612 --> 00:14:13,317 火除け地を どこに どう増やすか 並大抵ではないぞ。 169 00:14:13,317 --> 00:14:17,287 ごもっとも至極。 何が一安心じゃ。 170 00:14:17,287 --> 00:14:20,374 恐れながら…。 何じゃ? 171 00:14:20,374 --> 00:14:25,879 江戸復興の資金は 諸国大名に 割り当てるほか ござりますまい。 172 00:14:25,879 --> 00:14:29,783 大名は いずれも疲弊しておる。 173 00:14:29,783 --> 00:14:34,471 過酷な人減らしで 江戸は浪人だらけじゃ。 174 00:14:34,471 --> 00:14:39,893 むやみに重荷を課せば 謀反を起こさんとも限らん。 175 00:14:39,893 --> 00:14:42,279 恐れながら…。 176 00:14:42,279 --> 00:14:47,901 このたびの大火には 付け火の疑い これあり。 177 00:14:47,901 --> 00:14:52,155 何? されば当夜 亥の刻過ぎ➡ 178 00:14:52,155 --> 00:14:56,627 大円寺近辺にて 不審な人影を見たと➡ 179 00:14:56,627 --> 00:15:01,048 ひそかに 奉行所に訴え出る者が ござりまして。 180 00:15:01,048 --> 00:15:05,652 ひとまず調べましたるところ 本堂の縁の下に➡ 181 00:15:05,652 --> 00:15:09,556 薪の燃えかすらしきものが 残っておりました。 182 00:15:09,556 --> 00:15:11,675 まことか? はっ。 183 00:15:11,675 --> 00:15:15,879 果たして これが 付け火の痕跡なるや否や➡ 184 00:15:15,879 --> 00:15:20,784 また 怪しい者とやらが 立ち回りたるや否や➡ 185 00:15:20,784 --> 00:15:23,654 引き続き 探索致しております。 186 00:15:23,654 --> 00:15:26,239 して その訴え出た者とは? 187 00:15:26,239 --> 00:15:30,410 恐れながら 無名の投げ文に ござりますれば➡ 188 00:15:30,410 --> 00:15:35,148 何者かは定かならず。 189 00:15:35,148 --> 00:15:38,418 もしも 付け火であれば 天下の一大事じゃ。 190 00:15:38,418 --> 00:15:40,620 何としても不埒者を捕らえ➡ 191 00:15:40,620 --> 00:15:43,206 その素性と魂胆を 突き止めねばならぬ。 192 00:15:43,206 --> 00:15:46,677 ははっ。 よいか。 193 00:15:46,677 --> 00:15:49,980 背後に謀反の企てありとすれば➡ 194 00:15:49,980 --> 00:15:53,950 その元締めを あぶり出さねばならぬぞ。 195 00:15:53,950 --> 00:15:56,236 心得ました。 196 00:15:56,236 --> 00:15:59,236 公儀の面目にかけてな。 ははっ。 197 00:16:04,845 --> 00:16:07,981 どけ! 邪魔だ! どかんか どかんか。 198 00:16:07,981 --> 00:16:12,081 どけ! どかんか。 どけ どけ! 199 00:16:14,154 --> 00:16:16,454 何でございましょう? 前を開けろ どけ どけ。 200 00:16:18,141 --> 00:16:20,444 付け火? 201 00:16:20,444 --> 00:16:24,614 内々に探索中だが その疑いが強まった。 202 00:16:24,614 --> 00:16:26,983 これは驚きました。 203 00:16:26,983 --> 00:16:29,683 それらしい うわさを 耳にした事はないか? 204 00:16:32,456 --> 00:16:36,059 いえ ございません。 205 00:16:36,059 --> 00:16:38,812 八百源は 人の出入りが多い。 206 00:16:38,812 --> 00:16:42,716 客同士の物言いに気をつけ いささかなりとも不審があれば➡ 207 00:16:42,716 --> 00:16:44,768 番所まで知らせよ。 208 00:16:44,768 --> 00:16:47,287 しかと承りました。 209 00:16:47,287 --> 00:16:51,475 素行の悪い ならず者 怪しい振る舞いのあった者➡ 210 00:16:51,475 --> 00:16:55,946 大円寺に恨みを持つ者 ことごとくだ。 211 00:16:55,946 --> 00:16:59,446 かしこまりました。 頼んだぞ。 212 00:17:22,072 --> 00:17:25,542 そろそろ おしまいに しないとね。 213 00:17:25,542 --> 00:17:29,346 施しばかりじゃ こっちが干上がっちまうよ。 214 00:17:29,346 --> 00:17:32,115 おとっ様は 気前がいいから。 215 00:17:32,115 --> 00:17:34,251 見えっ張りなんだよ。 216 00:17:34,251 --> 00:17:36,351 かけて下さい。 217 00:17:44,644 --> 00:17:50,617 お七 大円寺出火の時 お前 どこにいた? 218 00:17:50,617 --> 00:17:54,321 どうやら 付け火らしいから 聞いてるんだ。 219 00:17:54,321 --> 00:17:57,307 (お房)付け火? 220 00:17:57,307 --> 00:18:00,507 誰かが 大円寺に火を付けたんだ。 221 00:18:02,446 --> 00:18:06,546 今 お奉行所の青田源之丞様が 帰ったところだ。 222 00:18:11,788 --> 00:18:13,988 どうぞ。 よかったら どうぞ。 223 00:18:19,613 --> 00:18:21,615 池之端は いずこも火の海で➡ 224 00:18:21,615 --> 00:18:24,117 手の施しようが ございませんでした。 225 00:18:24,117 --> 00:18:26,119 (覚念)聞いておる。 226 00:18:26,119 --> 00:18:29,823 痛恨の極みは 勉学寮が 土蔵まで焼け落ち➡ 227 00:18:29,823 --> 00:18:32,042 1万4,000巻を超える書物が➡ 228 00:18:32,042 --> 00:18:34,711 ことごとく灰になった事で ございます。 229 00:18:34,711 --> 00:18:38,448 1万4,000巻…。 230 00:18:38,448 --> 00:18:41,301 上様は ことのほか ご落胆あそばし➡ 231 00:18:41,301 --> 00:18:45,238 涙をお流しになったと 順庵先生に伺いました。 232 00:18:45,238 --> 00:18:49,576 さもあらん。 つきましてはお願いがございます。 233 00:18:49,576 --> 00:18:51,845 何じゃ? 234 00:18:51,845 --> 00:18:55,048 順庵先生のお屋敷も 焼けてしまいました。 235 00:18:55,048 --> 00:18:59,686 とりあえず ご城内においでですが 長逗留は致しかねますので➡ 236 00:18:59,686 --> 00:19:02,939 何とか大乗寺に 置いて頂けないかと。 237 00:19:02,939 --> 00:19:06,710 ここも見たとおり ごった返しておるが…。 238 00:19:06,710 --> 00:19:10,814 私たち門弟数人が同行して お手伝いを致します。 239 00:19:10,814 --> 00:19:18,855 それは ありがたいが 庫裏には 松尾芭蕉とその門人が5人もおる。 240 00:19:18,855 --> 00:19:22,509 は? 深川の住まいも丸焼けでな。 241 00:19:22,509 --> 00:19:25,862 芭蕉さんは 命からがら 池に飛び込んで➡ 242 00:19:25,862 --> 00:19:29,015 何とか助かったそうじゃ。 243 00:19:29,015 --> 00:19:33,436 そうでしたか。 御仏に仕える身としては➡ 244 00:19:33,436 --> 00:19:38,158 救いを求めにきた衆生を 追い出す訳にはいかん。 245 00:19:38,158 --> 00:19:40,710 ごもっともで ございます。 246 00:19:40,710 --> 00:19:46,233 心苦しいがのう。 他を当たってみます。 247 00:19:46,233 --> 00:19:49,933 あ… 吉三。 はい。 248 00:19:55,225 --> 00:19:59,713 1人で歩き回るのは良くない。 249 00:19:59,713 --> 00:20:08,588 今朝方 お奉行所の役人が来ての いろいろと聞き込みをしていった。 250 00:20:08,588 --> 00:20:13,977 大円寺の出火は付け火じゃそうな。 251 00:20:13,977 --> 00:20:17,814 え? お奉行所は上も下も総掛かりで➡ 252 00:20:17,814 --> 00:20:19,983 江戸中を嗅ぎ回っておる。 253 00:20:19,983 --> 00:20:23,853 少しでも怪しい者は 根こそぎ しょっぴいて➡ 254 00:20:23,853 --> 00:20:28,275 厳しい取り調べを受けるらしい。 255 00:20:28,275 --> 00:20:30,594 付け火。 256 00:20:30,594 --> 00:20:33,380 お前も気をつけよ。 257 00:20:33,380 --> 00:20:39,586 1人で うろうろすると あらぬ疑いをかけられるぞ。 258 00:20:39,586 --> 00:21:07,186 ♬~ 259 00:21:22,195 --> 00:21:26,516 何ですか? 2人とも怖い顔して。 260 00:21:26,516 --> 00:21:32,088 お七 お前も一緒に聞いとくれ。 261 00:21:32,088 --> 00:21:35,759 おとっ様が とんでもない事 言いだしたんだよ。 262 00:21:35,759 --> 00:21:40,747 あの妾のとろろ屋が 火事で焼け出されたんだって。 263 00:21:40,747 --> 00:21:44,651 それで その親子を 引き取りたいんだって。 264 00:21:44,651 --> 00:21:47,203 引き取るとは言ってない。 言ったじゃありませんか。 265 00:21:47,203 --> 00:21:50,040 しばらく ここに置いてやってくれ と言ってるんだ。 266 00:21:50,040 --> 00:21:52,140 同じ事ですよ。 267 00:21:55,879 --> 00:22:02,085 お七 お前は知ってたのかい? 268 00:22:02,085 --> 00:22:05,655 「ひさご」が焼けた事だけは。 269 00:22:05,655 --> 00:22:08,641 どうして隠してたの? 隠してた訳じゃないけど。 270 00:22:08,641 --> 00:22:12,479 わしが口止めしたんだ。 まあ あきれた。 271 00:22:12,479 --> 00:22:14,948 全く油断も隙も ありゃしない。 272 00:22:14,948 --> 00:22:17,517 お前が騒ぎ立てると みっともないからな。 273 00:22:17,517 --> 00:22:21,604 みっともないのは どっちですか。 だから それは謝ったじゃないか。 274 00:22:21,604 --> 00:22:24,391 謝って済む事ですか。 おっか様。 275 00:22:24,391 --> 00:22:27,927 お前は黙ってなさい。 276 00:22:27,927 --> 00:22:30,980 じゃ 言ってごらんなさい。 277 00:22:30,980 --> 00:22:35,185 この家に 妾の親子を入れて 一緒に住めっていうんですか。 278 00:22:35,185 --> 00:22:38,338 一緒じゃなくていいんだよ。 離れがあるじゃないか。 279 00:22:38,338 --> 00:22:40,557 離れは お七と勘蔵の新居です。 280 00:22:40,557 --> 00:22:43,009 (喜兵衛) だから祝言までで いいんだよ。 281 00:22:43,009 --> 00:22:47,180 (お房)何を言ってるんですか。 私は まっぴら ごめんですよ。 282 00:22:47,180 --> 00:22:50,183 おっか様の気持ちも よく分かるけど。 283 00:22:50,183 --> 00:22:54,087 金輪際 許しません。 火事で焼け出されたのよ。 284 00:22:54,087 --> 00:22:57,290 自業自得だろ。 行く場所がないのよ。 285 00:22:57,290 --> 00:23:01,227 元の稼業に戻りゃいいじゃないか。 吉原でも何でも。 286 00:23:01,227 --> 00:23:04,481 子供は どうするの? 知ったこっちゃないね。 287 00:23:04,481 --> 00:23:08,218 私の弟ですよ。 外に作った子だよ。 288 00:23:08,218 --> 00:23:11,387 人様は大勢を助けてるのに。 289 00:23:11,387 --> 00:23:15,358 しがらみが ないからね。 じゃ 他人と思って。 290 00:23:15,358 --> 00:23:18,358 他人じゃないだろ! じゃあ 身内なの? 291 00:23:20,079 --> 00:23:23,550 うるさいね いちいち! おっか様 お願い。 292 00:23:23,550 --> 00:23:26,786 せめて 土蔵に入れてあげて。 293 00:23:26,786 --> 00:23:29,155 土蔵? 294 00:23:29,155 --> 00:23:31,808 あそこは寒い。 295 00:23:31,808 --> 00:23:34,508 表よりは ましでしょう。 296 00:23:37,881 --> 00:23:43,353 はっ だったら お前様も お入りになったら? 297 00:23:43,353 --> 00:23:47,240 土蔵の中で親子3人 仲よく お暮らしになったら? 298 00:23:47,240 --> 00:23:50,226 何だ その言い方は。 299 00:23:50,226 --> 00:23:52,712 おっか様 ありがとう。 300 00:23:52,712 --> 00:23:57,712 そのかわり 母屋へは一足だって 入れさせませんからね。 301 00:24:05,775 --> 00:24:08,275 よかったね おとっ様。 302 00:24:14,484 --> 00:24:39,542 ♬~ 303 00:24:39,542 --> 00:24:43,012 お嬢様! 304 00:24:43,012 --> 00:24:45,012 菊坊。 305 00:24:51,054 --> 00:24:54,724 (お露)お世話になります。 どうぞ入って下さい。 306 00:24:54,724 --> 00:25:01,347 寒かったでしょう? さあ 中へ。 どうぞ。 307 00:25:01,347 --> 00:25:24,470 ♬~ 308 00:25:24,470 --> 00:25:26,470 おいしい? 309 00:25:28,308 --> 00:25:31,308 たくさん食べてね。 310 00:25:42,488 --> 00:25:47,360 あの… 土蔵のしたくが できました。 311 00:25:47,360 --> 00:25:49,646 こたつの火は? 入っております。 312 00:25:49,646 --> 00:25:51,948 ありがとうございます。 313 00:25:51,948 --> 00:25:54,133 それじゃ行こうか 菊坊。 314 00:25:54,133 --> 00:26:36,709 ♬~ 315 00:26:36,709 --> 00:26:38,909 あっ こら! 316 00:26:44,851 --> 00:26:47,754 菊丸! 317 00:26:47,754 --> 00:26:50,054 申し訳ありません! 318 00:26:57,814 --> 00:27:02,752 長屋も ずいぶん探したんですけど どこも いっぱいで。 319 00:27:02,752 --> 00:27:07,140 気にしなくて いいんですよ。 母も そのうち慣れますから。 320 00:27:07,140 --> 00:27:10,710 でも 旦那様が…。 321 00:27:10,710 --> 00:27:13,596 何か言いました? 322 00:27:13,596 --> 00:27:16,749 気兼ねしてるようで。 323 00:27:16,749 --> 00:27:19,452 それは まあ。 324 00:27:19,452 --> 00:27:24,440 といって 菊丸だけ 置いていく訳にもいきませんし。 325 00:27:24,440 --> 00:27:29,012 あの… 旦那様が お呼びです。 はい。 326 00:27:29,012 --> 00:27:31,012 お嬢様の方です。 327 00:27:40,523 --> 00:27:42,623 お奉行所? 328 00:27:50,533 --> 00:27:52,785 七でございます。 329 00:27:52,785 --> 00:27:55,785 入りなさい。 はい。 330 00:28:10,620 --> 00:28:15,320 お奉行所の青田様が お前に 問いたい事があるそうだ。 331 00:28:17,510 --> 00:28:19,810 佐助。 へい。 332 00:28:30,039 --> 00:28:32,539 (青田)その頭巾は お前のものか? 333 00:28:35,428 --> 00:28:37,413 さあ。 334 00:28:37,413 --> 00:28:39,413 (青田)手に取って よく見よ。 335 00:28:55,882 --> 00:28:57,882 (青田)どうだ? 336 00:28:59,886 --> 00:29:02,455 焼け焦げていますので…。 337 00:29:02,455 --> 00:29:07,376 近所の女どもに尋ねたら 八百源の娘の持ち物だと言ったぞ。 338 00:29:07,376 --> 00:29:10,976 似た物は 他にもございましょう? 娘に聞いておる。 339 00:29:17,436 --> 00:29:20,136 私の物かもしれません。 340 00:29:23,459 --> 00:29:28,464 でも 分かりません。 341 00:29:28,464 --> 00:29:32,585 一体 どこから これが? 342 00:29:32,585 --> 00:29:36,622 (青田)大円寺の裏の竹林だ。 343 00:29:36,622 --> 00:29:38,822 竹の枝に引っかかっていた。 344 00:29:42,578 --> 00:29:45,678 お七。 はい。 345 00:29:49,051 --> 00:29:54,073 大みそかの夜 お前は どこにいた? 346 00:29:54,073 --> 00:29:56,409 (喜兵衛)自宅で休んでおりました。 347 00:29:56,409 --> 00:30:00,413 (青田)どこにも出かけなかったか。 出かけてはおりません。 348 00:30:00,413 --> 00:30:02,413 そうだな? 349 00:30:04,350 --> 00:30:06,352 …はい。 350 00:30:06,352 --> 00:30:12,141 もしも お前の頭巾であれば 風に 吹き飛ばされていたのかもしれん。 351 00:30:12,141 --> 00:30:14,677 吹き飛ばされた? ええ。 352 00:30:14,677 --> 00:30:19,148 当夜は 屋根瓦が落ちるほどの 強風でございましたから➡ 353 00:30:19,148 --> 00:30:22,885 いろんな物が 空を飛んでおりました。 354 00:30:22,885 --> 00:30:25,121 (青田)なるほど。 355 00:30:25,121 --> 00:30:29,225 (喜兵衛)そういえば 物干しざおが 全部 落ちてましたな。 356 00:30:29,225 --> 00:30:33,112 あるいは 誰かに 盗まれたのかもしれません。 357 00:30:33,112 --> 00:30:35,112 分かった 分かった。 358 00:30:38,284 --> 00:30:43,384 いずれ 番所に召し出す事も あろうが 今日は これまでだ。 359 00:30:45,424 --> 00:30:48,010 青田様。 安心しろ。 360 00:30:48,010 --> 00:30:51,414 お七を疑っている訳ではない。 361 00:30:51,414 --> 00:30:55,885 探索の定石として あらゆる証拠や手がかりを➡ 362 00:30:55,885 --> 00:30:59,989 一つずつ潰さなきゃならんのだ。 363 00:30:59,989 --> 00:31:02,089 ご苦労さまで ございます。 364 00:31:13,286 --> 00:31:19,976 お前は あの晩 どこへ行っていた? 365 00:31:19,976 --> 00:31:23,679 それは何度も言いました。 366 00:31:23,679 --> 00:31:26,515 うそは許さんぞ。 367 00:31:26,515 --> 00:31:30,515 親にだけは 本当の事を言いなさい。 368 00:31:32,772 --> 00:31:35,408 お七。 369 00:31:35,408 --> 00:31:39,645 私は潔白です。 火付けなんか していません。 370 00:31:39,645 --> 00:31:43,845 当たり前だ。 そんな事を 言ってるんじゃない。 371 00:31:47,119 --> 00:31:54,119 お前は 大円寺で 誰かと会っていたな? 372 00:31:56,979 --> 00:32:02,702 もしも そうなら 痛くもない腹を探られて➡ 373 00:32:02,702 --> 00:32:06,806 人のうわさに なるではないか。 374 00:32:06,806 --> 00:32:09,575 おとっ様。 375 00:32:09,575 --> 00:32:16,182 それが吉三郎なら ただでは済まん。 376 00:32:16,182 --> 00:32:19,885 大ごとになるぞ。 377 00:32:19,885 --> 00:32:23,806 火付けの疑いは晴れてもだ➡ 378 00:32:23,806 --> 00:32:31,280 嫁入り前の娘が 他の男と逢い引き していた事が露見するではないか。 379 00:32:31,280 --> 00:32:35,880 そうなれば 祝言どころではない。 380 00:32:39,121 --> 00:32:45,378 私は お前の味方だ。 お前を守りたい。 381 00:32:45,378 --> 00:32:49,648 そのためには 今のうちから➡ 382 00:32:49,648 --> 00:32:52,948 吉三郎と口裏を 合わせておかんとな。 383 00:33:01,677 --> 00:33:03,877 お前様。 384 00:33:08,451 --> 00:33:11,737 これを見て。 385 00:33:11,737 --> 00:33:15,074 お前様の大事な御曹司様が➡ 386 00:33:15,074 --> 00:33:17,774 とんでもない事を してくれましたよ。 387 00:33:20,679 --> 00:33:25,279 達磨さんの掛け軸に こんなものを 描き込んでくれました。 ほら! 388 00:33:29,505 --> 00:33:32,808 これは南宋の名画。 389 00:33:32,808 --> 00:33:39,708 私の死んだ父上が 家宝にしていたものなのに…。 390 00:33:42,768 --> 00:33:44,768 聞いてるんですか! 391 00:33:48,190 --> 00:33:50,690 まあ 座りなさい。 392 00:33:53,946 --> 00:33:59,702 大円寺の裏手で お七の頭巾が 見つかった。 393 00:33:59,702 --> 00:34:02,221 え? 394 00:34:02,221 --> 00:34:07,226 (鐘の音) 395 00:34:07,226 --> 00:34:09,762 (喜兵衛)つかぬ事をお伺いします。 (覚念)何でしょう? 396 00:34:09,762 --> 00:34:12,615 大みそかに吉三郎が こちらに 立ち寄ったと聞きましたが。 397 00:34:12,615 --> 00:34:15,718 はいはい 年の瀬の挨拶にな。 夜は? 398 00:34:15,718 --> 00:34:19,922 あ~ 子供たちと わいわい 餅つきをして➡ 399 00:34:19,922 --> 00:34:22,057 それを食べて帰りましたな。 400 00:34:22,057 --> 00:34:24,076 帰りに 大円寺の方を 回ってはいませんか? 401 00:34:24,076 --> 00:34:26,676 おや どうして それを? 実は…。 402 00:34:28,314 --> 00:34:33,419 お七が同じ頃 こっそりと ははあ。 出かけておりまして。 403 00:34:33,419 --> 00:34:36,722 やっぱり そうだったのか。 2人は しめし合わせて 会ったのか。 404 00:34:36,722 --> 00:34:39,058 しめし合わせて? ご存じだったんでしょう? 405 00:34:39,058 --> 00:34:42,611 いや 知りません。 吉三郎が大円寺に向かったと➡ 406 00:34:42,611 --> 00:34:46,749 おっしゃったじゃ ありませんか。 その話を聞いたのは昨晩ですよ。 407 00:34:46,749 --> 00:34:51,303 昨晩? また ご番所のお役人が やってきましてな➡ 408 00:34:51,303 --> 00:34:57,259 吉三郎らしい男が 大円寺の中に 入っていくのを見た者がおると。 409 00:34:57,259 --> 00:35:01,881 それで 人相や身なりを 細かく聞いていきました。 410 00:35:01,881 --> 00:35:05,084 見たというのは誰ですか? それは分かりませんが。 411 00:35:05,084 --> 00:35:07,720 火事の前ですか? まあ 前でしょうな。 412 00:35:07,720 --> 00:35:10,122 お七の事は何か? いや 何も。 413 00:35:10,122 --> 00:35:13,008 すると 見られたというのは 吉三郎だけですか? 414 00:35:13,008 --> 00:35:16,545 そのようですな。 して 吉三郎は今どこに? 415 00:35:16,545 --> 00:35:20,749 池之端です。 勉学寮の焼け跡の 始末に かかりっきりで。 416 00:35:20,749 --> 00:35:23,419 ここに戻るのは いつですか? 喜兵衛さん。 417 00:35:23,419 --> 00:35:28,924 一体 何を慌てておるんじゃ。 あの きまじめな吉三郎に限って➡ 418 00:35:28,924 --> 00:35:31,460 やましい事など 何一つ ないはずじゃ。 419 00:35:31,460 --> 00:35:33,646 それは承知しております。 420 00:35:33,646 --> 00:35:38,784 心配しなさんな。 たまたま 大円寺を通っただけじゃ。 421 00:35:38,784 --> 00:35:43,606 お言葉ですが お七の方は お七? そうはいきません。 422 00:35:43,606 --> 00:35:47,743 婚礼前の娘が 他の男に 会っていたんです。 423 00:35:47,743 --> 00:35:53,315 これが表沙汰になれば お七の一生は 一生台なしです。 424 00:35:53,315 --> 00:35:56,702 吉三郎の口を 封じて頂けないでしょうか? 425 00:35:56,702 --> 00:36:00,639 お七に会った事は 誰にも しゃべってはならぬと。 426 00:36:00,639 --> 00:36:04,210 あんたも大変じゃのう。 隠し事が多くて。 427 00:36:04,210 --> 00:36:07,046 ご住職。 ご意向は分かりました。 428 00:36:07,046 --> 00:36:13,302 ご意向じゃなく約束して下さい。 吉三郎の口を封じると。 429 00:36:13,302 --> 00:36:15,688 私に うそをつけと おっしゃるんですか? 430 00:36:15,688 --> 00:36:17,673 黙っておれば よろしゅうござる。 431 00:36:17,673 --> 00:36:21,176 ご本尊様の前で そんな約束は できませんな。 432 00:36:21,176 --> 00:36:24,813 御仏にも ご慈悲というものが はあ? あるでしょうが。 433 00:36:24,813 --> 00:36:28,213 私は檀家の総代ですぞ。 434 00:36:35,908 --> 00:36:38,744 口封じ? 念のためだ。 435 00:36:38,744 --> 00:36:43,782 吉三と お前が会っていたと 分かれば 面倒な事になる。 436 00:36:43,782 --> 00:36:47,653 だから お前も黙っていなさい。 いいか。 437 00:36:47,653 --> 00:36:52,441 吉三郎の事は 口が裂けても もらしてはならん。 438 00:36:52,441 --> 00:36:58,280 おとっ様。 少なくとも 火付けの 咎人が捕まるまではだ。 439 00:36:58,280 --> 00:37:02,585 でも 私たちは…。 何が「私たち」だ! 440 00:37:02,585 --> 00:37:06,889 お前には 親心が分からんのか! 441 00:37:06,889 --> 00:37:09,389 この世間知らずが! 442 00:37:27,476 --> 00:37:29,876 待たせてすまん。 いえ。 443 00:37:35,351 --> 00:37:41,451 お七との祝言だが もう少し 先に延ばしたい。 444 00:37:43,275 --> 00:37:48,080 ゴタゴタ続きで 落ち着かんからな。 445 00:37:48,080 --> 00:37:52,951 春先まで待ってはくれんか。 446 00:37:52,951 --> 00:37:59,458 それは お七様が? いやいや お七は何も言ってない。 447 00:37:59,458 --> 00:38:02,544 落ち着かんのは世の中だ。 448 00:38:02,544 --> 00:38:07,182 火事が 付け火と分かって みんなが不安がって➡ 449 00:38:07,182 --> 00:38:10,602 さまざまな うわさが 飛び交ってる。 450 00:38:10,602 --> 00:38:17,276 こんな時に祝言を挙げるのは 得策ではなかろう。 451 00:38:17,276 --> 00:38:26,819 せめて 火付けの咎人が捕まるまで 待ってはくれんか。 452 00:38:26,819 --> 00:38:33,319 へい。 旦那様の お指図どおりに致します。 453 00:38:36,178 --> 00:38:39,478 いつも無理を言って すまんな。 454 00:38:44,286 --> 00:38:47,586 おもみ致しましょうか? ああ 頼む。 455 00:38:56,115 --> 00:39:00,119 あ~ そこそこ。 456 00:39:00,119 --> 00:39:07,119 いや~ 世の中 何が起きるか 分からんな。 痛い痛い。 457 00:39:19,638 --> 00:39:23,409 あの竹馬は 誰にもらったの? 458 00:39:23,409 --> 00:39:26,209 おとっ様 買ってくれた。 459 00:39:30,048 --> 00:39:33,635 やっぱり。 460 00:39:33,635 --> 00:39:35,735 こいのぼりも。 461 00:39:38,757 --> 00:39:40,957 良かったね。 462 00:39:44,446 --> 00:39:47,483 焼けちゃったけど。 463 00:39:47,483 --> 00:39:50,383 また 買っておもらい。 464 00:39:57,276 --> 00:40:00,276 何をしてる? 見れば分かるでしょう。 465 00:40:03,649 --> 00:40:09,849 見て下さいな この耳たぶ。 お前様に そっくり。 466 00:40:14,443 --> 00:40:18,514 すまん。 467 00:40:18,514 --> 00:40:21,914 子供に 罪はありませんからね。 468 00:40:57,319 --> 00:40:59,438 大変です! どうした? 469 00:40:59,438 --> 00:41:03,809 火付けが捕まりました。 何? 本当か。 470 00:41:03,809 --> 00:41:07,246 それが 大乗寺の寺小姓の…。 471 00:41:07,246 --> 00:41:10,616 吉三郎ではないだろうな? それです。 吉三郎です。 472 00:41:10,616 --> 00:41:12,816 そんなバカな! 473 00:41:15,354 --> 00:41:20,375 お七! お前 そんな むちゃな。 474 00:41:20,375 --> 00:41:22,895 お七 どこへ行くんだ? お奉行所へ。 475 00:41:22,895 --> 00:41:24,913 ならん! 行かせて下さい。 476 00:41:24,913 --> 00:41:27,583 お七。 余計な事をするな! 477 00:41:27,583 --> 00:41:30,569 吉三郎は無実だ。 それを知っているのは私だけです。 478 00:41:30,569 --> 00:41:34,840 心配するな。 調べれば分かる事だ。 奉行所の目は節穴ではない。 479 00:41:34,840 --> 00:41:38,440 吉三様が…。 やめて。 480 00:41:48,053 --> 00:41:50,038 火付けの咎人は 誰でもよい。 481 00:41:50,038 --> 00:41:52,057 「吉三郎」と名指しでな。 482 00:41:52,057 --> 00:41:54,042 何とかして助けなきゃって。 483 00:41:54,042 --> 00:41:56,645 あっしの女房は お七様しか いないと。 484 00:41:56,645 --> 00:42:00,816 本当の恋だから その人のためなら死ねる。 485 00:42:00,816 --> 00:42:02,985 お前まで 道連れにされちまうよ。 486 00:42:02,985 --> 00:42:06,788 お願いです。 本当の事を言って下さい。 487 00:42:06,788 --> 00:42:22,738 ♬「他人に言えない恋だから いっそ辺りは闇がいい」 488 00:42:22,738 --> 00:42:38,253 ♬「部屋の灯りを消しているのは 心を読まれたくないから」 489 00:42:38,253 --> 00:42:46,244 ♬「夢なら醒めるのに 確かに そこにいる」 490 00:42:46,244 --> 00:42:54,319 ♬「あなたのすぐそばで ずっと気づかれないで…」 491 00:42:54,319 --> 00:43:02,194 ♬「手鎖されたまま 身動き取れぬまま」 492 00:43:02,194 --> 00:43:10,419 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 493 00:43:10,419 --> 00:43:29,119 ♬「私だけの身勝手な愛」