1 00:00:35,374 --> 00:00:40,413 (覚念)大円寺の出火は 付け火じゃそうな。 2 00:00:40,413 --> 00:00:42,515 大変です 火付けが捕まりました。 3 00:00:42,515 --> 00:00:44,517 (喜兵衛) 吉三郎では ないだろうな。 4 00:00:44,517 --> 00:00:47,269 それです 吉三郎です。 5 00:00:47,269 --> 00:01:00,299 ♬~ 6 00:01:00,299 --> 00:01:03,652 (中倉)しからば尋ねる。 7 00:01:03,652 --> 00:01:06,889 身分と姓は? 8 00:01:06,889 --> 00:01:12,578 (吉三郎)儒学者 木下順庵の門弟 吉三郎でございます。 9 00:01:12,578 --> 00:01:15,748 (中倉)年は? 19でございます。 10 00:01:15,748 --> 00:01:17,817 (中倉)住まいは? 11 00:01:17,817 --> 00:01:20,219 駒込の大乗寺でございますが➡ 12 00:01:20,219 --> 00:01:23,389 池之端の勉学寮に 寄寓しておりました。 13 00:01:23,389 --> 00:01:28,394 (赤川)親元は? 恐れながら存じかねます。 14 00:01:28,394 --> 00:01:34,049 幼少の頃より 何? 寺に預けられましたので…。 15 00:01:34,049 --> 00:01:37,653 (赤川)捨て子か。 16 00:01:37,653 --> 00:01:40,873 それも存じかねます。 17 00:01:40,873 --> 00:01:43,609 吉三郎…。 18 00:01:43,609 --> 00:01:47,246 その方が 奉行所に 取り押さえられた訳を➡ 19 00:01:47,246 --> 00:01:50,049 心得ていようのう。 20 00:01:50,049 --> 00:01:53,853 大円寺 火付けの お疑いを かけられたものと存じます。 21 00:01:53,853 --> 00:01:57,453 身に覚えは あるのか? 全く ございません。 22 00:02:00,376 --> 00:02:04,980 そちは 出火のみぎり 大円寺の近くにおったな? 23 00:02:04,980 --> 00:02:09,135 大乗寺から 池之端に戻る途中 そばを通りました。 24 00:02:09,135 --> 00:02:12,421 1人でか? 1人でございます。 25 00:02:12,421 --> 00:02:16,021 相違あるまいな? 相違 ございません! 26 00:02:18,677 --> 00:02:24,083 大円寺の本堂の裏手に 観音堂が あるのを 知っているな? 27 00:02:24,083 --> 00:02:26,535 存じております。 28 00:02:26,535 --> 00:02:30,435 そちは その観音堂に 身を潜めておったな。 29 00:02:37,780 --> 00:02:40,833 (赤川)どうした? 30 00:02:40,833 --> 00:02:44,737 風が強いので 少し 休んだ覚えはございます。 31 00:02:44,737 --> 00:02:47,840 休むふりをして 火付けの 隙を狙うておったな? 32 00:02:47,840 --> 00:02:49,842 いえ その儀は 毛頭…。 ありていに申せ! 33 00:02:49,842 --> 00:02:52,178 申し上げております! 34 00:02:52,178 --> 00:02:56,081 あの時は にわかに境内が 騒がしくなり➡ 35 00:02:56,081 --> 00:02:58,901 外へ出てみると 本堂が燃え上がっておりました。 36 00:02:58,901 --> 00:03:01,337 風に あおられ 火の粉が飛んで➡ 37 00:03:01,337 --> 00:03:03,522 とにもかくにも必死に 逃げましてございます。 38 00:03:03,522 --> 00:03:12,815 (中倉)吉三郎。 その方の申し分は お裁きの白州で改めて聞く。 39 00:03:12,815 --> 00:03:17,286 だが これだけは 心得ておけ。 40 00:03:17,286 --> 00:03:21,173 「火付けの張本人は 大乗寺の 寺小姓に間違いない」と➡ 41 00:03:21,173 --> 00:03:25,177 訴状が出ておるのだ。 訴状? 42 00:03:25,177 --> 00:03:28,831 しかも 「吉三郎」と名指しでな。 43 00:03:28,831 --> 00:03:32,631 誰が そのような事を…。 今は 言えぬ。 44 00:03:35,204 --> 00:03:37,804 引っ立て。 (役人)はっ! 45 00:03:48,117 --> 00:03:52,571 (喜兵衛)心配するな。 これは 何かの間違いだ。 46 00:03:52,571 --> 00:03:55,524 牢屋に入れられたんですよ。 47 00:03:55,524 --> 00:03:59,311 (喜兵衛) そのうち ご放免となろう。 48 00:03:59,311 --> 00:04:02,147 無実の証しを立てられるのは 私だけです! 49 00:04:02,147 --> 00:04:05,050 (お房)お前まで 捕まったら どうするの? 50 00:04:05,050 --> 00:04:09,939 お奉行所が お前の言いぐさなんか お信じになると思うのかい? 51 00:04:09,939 --> 00:04:12,091 だって 一緒に いたんだから…。 52 00:04:12,091 --> 00:04:15,344 お上は それほど甘くないんだよ! 53 00:04:15,344 --> 00:04:20,099 下手に かばいだてしたら お前まで道連れにされちまうよ。 54 00:04:20,099 --> 00:04:23,736 吉三様は 無実です! それは 分かってるけど…。 55 00:04:23,736 --> 00:04:26,021 私は どうなっても構いません! 56 00:04:26,021 --> 00:04:28,374 おとっ様の立場は どうするの? 57 00:04:28,374 --> 00:04:32,474 八百源は どうするの? 静かにせんか。 58 00:04:34,980 --> 00:04:39,218 吉三郎には 味方がおる。 59 00:04:39,218 --> 00:04:43,555 一人は親代わりの住職だ。 60 00:04:43,555 --> 00:04:49,378 カンカンなって 町奉行所にどなり込み 寺社奉行にも訴え書きを出した。 61 00:04:49,378 --> 00:04:52,815 ご公儀には いろいろと つてもある。 62 00:04:52,815 --> 00:04:58,404 もう一人の後ろ盾は ご公儀 お抱えの儒学者 木下順庵先生だ。 63 00:04:58,404 --> 00:05:02,474 門弟から 咎人が出たとあっては 黙ってはいられまい。 64 00:05:02,474 --> 00:05:07,579 何しろ 順庵先生は 上様に 朱子学を講じる大学者だ。 65 00:05:07,579 --> 00:05:14,219 いざとなれば 必ず動いてくれる。 66 00:05:14,219 --> 00:05:18,607 私は どうすれば…。 67 00:05:18,607 --> 00:05:22,845 今は 何もせんで ええ。 68 00:05:22,845 --> 00:05:27,716 おとなしくしていなさい。 69 00:05:27,716 --> 00:05:38,143 ♬~ 70 00:05:38,143 --> 00:05:42,231 う~ん これだけでは 難しいな。 (中倉)はっ。 71 00:05:42,231 --> 00:05:47,986 まず 訴状を出した者の 正体が分からん。 72 00:05:47,986 --> 00:05:50,806 ただいま 探索中にございます。 73 00:05:50,806 --> 00:05:56,011 次に 何のための付け火か つじつまが 合わん。 74 00:05:56,011 --> 00:05:59,281 それも調べております。 75 00:05:59,281 --> 00:06:06,188 3つ目は この男が 木下順庵の門弟である事じゃ。 76 00:06:06,188 --> 00:06:10,142 うかうかと 裁きにかけて もしも無実であったなら➡ 77 00:06:10,142 --> 00:06:13,529 大ごとじゃぞ。 78 00:06:13,529 --> 00:06:17,132 今度は こっちが 火の粉を かぶる事になる。 79 00:06:17,132 --> 00:06:19,218 (赤川) 無実という事は ございません。 80 00:06:19,218 --> 00:06:23,972 なぜ分かる? 必ず白状させます。 81 00:06:23,972 --> 00:06:33,582 確かに 本人が白状すれば それに越した事はない。 82 00:06:33,582 --> 00:07:01,860 ♬~ 83 00:07:01,860 --> 00:07:03,846 (登城太鼓) 84 00:07:03,846 --> 00:07:06,615 (堀田)火付けの咎人は 誰でもよい! 85 00:07:06,615 --> 00:07:11,620 「焦眉の急」はじゃ。 再度に及ぶ 大火に なすすべもなく➡ 86 00:07:11,620 --> 00:07:15,507 ただ 手をこまねいてる役人どもに 喝を入れ➡ 87 00:07:15,507 --> 00:07:19,407 ご政道の威光を回復する事にある。 88 00:07:21,046 --> 00:07:24,716 柳沢。 はっ。 89 00:07:24,716 --> 00:07:30,272 上様には 「謀反人の仕業じゃ」と 申し上げよ。 はっ。 90 00:07:30,272 --> 00:07:36,011 犬の数より 人の出入りに 気をつけねばならぬと。 91 00:07:36,011 --> 00:07:38,347 (稲葉)恐れながら…。 何じゃい。 92 00:07:38,347 --> 00:07:41,817 奉行所の調べでは 今のところ 謀反の兆しは…。 93 00:07:41,817 --> 00:07:46,672 ある事にするんじゃ! 94 00:07:46,672 --> 00:07:49,725 関ヶ原の合戦から80余年。 95 00:07:49,725 --> 00:07:55,914 ご政道は太平の ぬるま湯に ドップリと漬かり たがが緩んでおる。 96 00:07:55,914 --> 00:08:01,937 重臣たちは 賄賂に慣れきり 旗本も御家人も 酒色に溺れ➡ 97 00:08:01,937 --> 00:08:08,177 町人は こざかしく立ち回って 風紀も道徳も乱れっぱなしじゃ。 98 00:08:08,177 --> 00:08:13,615 このままでは 容易ならざる 仕儀に立ち至る。 99 00:08:13,615 --> 00:08:17,803 さればこそ 謀反の恐れを 天下に吹聴し➡ 100 00:08:17,803 --> 00:08:22,207 綱紀の粛正を図らねばならぬ。 承りました。 101 00:08:22,207 --> 00:08:27,679 奉行所は 本腰を入れて 謀反人の探索にかかれ。 102 00:08:27,679 --> 00:08:31,934 江戸八百八町 50万の人別改めを 初手からやり直し➡ 103 00:08:31,934 --> 00:08:36,705 素性 因縁 つて つながりを つぶさに洗い出す事じゃ。 104 00:08:36,705 --> 00:08:38,707 心得ました。 105 00:08:38,707 --> 00:08:40,909 侍といわず 町人といわず➡ 106 00:08:40,909 --> 00:08:47,182 いかがわしい者も いかがわしく ない者も 漏れなくじゃぞ。 107 00:08:47,182 --> 00:08:54,356 神社仏閣 諸大名の屋敷にも構わず 役人を差し向けよ。 ははあ! 108 00:08:54,356 --> 00:08:59,912 東照大権現様は かく仰せであった。 109 00:08:59,912 --> 00:09:05,901 「民は 由らしむべし 知らしむべからず」。 110 00:09:05,901 --> 00:09:08,820 これが治世の根本じゃ。 111 00:09:08,820 --> 00:09:13,075 ご当家の威光を再び天下に 見せつけ➡ 112 00:09:13,075 --> 00:09:16,645 万人を震え上がらせるのじゃ! 113 00:09:16,645 --> 00:09:21,083 よいな! (一同)ははっ。 114 00:09:21,083 --> 00:09:25,520 (鐘の音) 115 00:09:25,520 --> 00:09:31,577 氏 素性とは…。 (青田)吉三郎の素性じゃ。 116 00:09:31,577 --> 00:09:34,112 それは 存じませぬ。 117 00:09:34,112 --> 00:09:38,684 ご住職は 身元の請け人では ないか 親代わりではないか。 118 00:09:38,684 --> 00:09:42,754 子供時分に おなごとして 預かりましたので。 119 00:09:42,754 --> 00:09:48,343 誰から預かった? さあ それは…。 120 00:09:48,343 --> 00:09:52,781 昔の事ですから…。 とぼけるな! 121 00:09:52,781 --> 00:09:58,904 素性も知らずに 吉三郎の無実を 訴えたのか? 122 00:09:58,904 --> 00:10:02,774 吉三郎は 学問一筋の男です。 123 00:10:02,774 --> 00:10:06,812 誰よりも 全うで 清らかで 付け火など するはずがない! 124 00:10:06,812 --> 00:10:08,880 ならば 素性ぐらい 明かしてもよかろう。 125 00:10:08,880 --> 00:10:10,882 知らんもんは 知らん。 126 00:10:10,882 --> 00:10:13,885 (赤川)この生臭坊主が。 聞き捨てなりませぬな! 127 00:10:13,885 --> 00:10:17,289 素性改めは ご大老様の お達しなるぞ! 128 00:10:17,289 --> 00:10:20,208 学者だろうが 何だろうが お上に 盾つく者は➡ 129 00:10:20,208 --> 00:10:24,112 全て謀反人とみなす! 130 00:10:24,112 --> 00:10:27,812 謀反人? 131 00:10:32,838 --> 00:10:35,838 お帰りなさいませ。 お帰りなさいませ。 132 00:10:39,745 --> 00:10:44,149 風向きが おかしくなった。 風向き? 133 00:10:44,149 --> 00:10:49,171 ご大老の堀田様が お奉行所に 厳命を下したそうだ。 134 00:10:49,171 --> 00:10:51,723 厳命とは? 135 00:10:51,723 --> 00:10:55,911 「火付けの裏には 謀反の疑い これあり。➡ 136 00:10:55,911 --> 00:10:59,364 ご公儀の面目にかけても 一網打尽にすべし」と。 137 00:10:59,364 --> 00:11:02,000 へえ~。 138 00:11:02,000 --> 00:11:06,772 お奉行所の役人が 朝から江戸中を駆け回っておる。 139 00:11:06,772 --> 00:11:12,110 堀田様は 確か 春日の局様の ご養子でしたね? 140 00:11:12,110 --> 00:11:16,631 そうだ しかも 将軍家 跡目争いでは➡ 141 00:11:16,631 --> 00:11:19,685 綱吉公の後見を務めた。 142 00:11:19,685 --> 00:11:25,557 今や 権勢 並ぶ者なき大立て者だ。 へえ~。 143 00:11:25,557 --> 00:11:31,157 上様も 桂昌院様も ご大老には 頭が上がらぬ。 144 00:11:34,616 --> 00:11:39,654 お七は どうした? 土蔵で 菊坊と遊んでますよ。 145 00:11:39,654 --> 00:11:41,807 土蔵か…。 146 00:11:41,807 --> 00:11:46,178 お前様が行く事は ないでしょ。 えっ? 147 00:11:46,178 --> 00:11:49,931 行きたいんですか? 148 00:11:49,931 --> 00:11:52,131 いや…。 149 00:12:01,109 --> 00:12:08,266 ≪(拍子木) ≪♬「火の用心」 150 00:12:08,266 --> 00:12:14,289 (お露)見上げた人ですね。 151 00:12:14,289 --> 00:12:19,289 吉三さん 男の中の男ですよ。 152 00:12:22,781 --> 00:12:29,171 だって そうでしょ? どんな 仕打ちを受けても➡ 153 00:12:29,171 --> 00:12:35,343 お七ちゃんの事は 一切 口にしないんだから。 154 00:12:35,343 --> 00:12:41,243 私には それが たまらないんです。 155 00:12:43,919 --> 00:12:50,876 吉三様の無実を知っているのは 私だけ…。 156 00:12:50,876 --> 00:12:56,381 お奉行所に出向いて 「吉三様は 火事が おきた時➡ 157 00:12:56,381 --> 00:13:03,638 私に会っていました。 一緒に逃げました」。 158 00:13:03,638 --> 00:13:10,138 そう言えば 疑いは晴れるのに…。 159 00:13:13,231 --> 00:13:20,105 でも それは 吉三さんが 望まないと思う。 160 00:13:20,105 --> 00:13:22,824 どうしてですか? 161 00:13:22,824 --> 00:13:27,746 吉三さんは お七ちゃんを 守りたいのよ。 162 00:13:27,746 --> 00:13:31,616 道連れにしたくないのよ。 163 00:13:31,616 --> 00:13:34,336 道連れ? 164 00:13:34,336 --> 00:13:42,377 2人の仲が 世間に知れたら 傷つくのは お七ちゃんでしょ? 165 00:13:42,377 --> 00:13:48,300 勘蔵さんとの祝言が 御破算になるかもしれないでしょ。 166 00:13:48,300 --> 00:13:55,006 だからって もしも… 吉三様が ぬれぎぬを着せられて➡ 167 00:13:55,006 --> 00:13:59,006 死罪になったら…。 168 00:14:02,147 --> 00:14:09,147 吉三さんは それも 覚悟してるかもしれない。 169 00:14:10,939 --> 00:14:14,209 えっ? 170 00:14:14,209 --> 00:14:22,509 吉三さんが 口を割らないのは あんたに 恋してるからよ。 171 00:14:25,503 --> 00:14:34,903 本当の恋だから その人のためなら死ねる…。 172 00:14:41,553 --> 00:14:47,309 信じられないでしょうけど 吉原の遊女も恋をするの。 173 00:14:47,309 --> 00:14:50,412 親の借金やら 浮世のしがらみやらで➡ 174 00:14:50,412 --> 00:14:56,101 売り飛ばされて 夜ごと 汚される身だけれど➡ 175 00:14:56,101 --> 00:15:03,608 心の中では たった一人の 思い人に操を立てて➡ 176 00:15:03,608 --> 00:15:09,308 つくしぬくのよ。 歯を くいしばってね。 177 00:15:12,751 --> 00:15:18,406 でも 遊女の恋は 成就する事は めったにない。 178 00:15:18,406 --> 00:15:23,906 病気になって 身を投げたり 首を くくったり…。 179 00:15:28,283 --> 00:15:30,683 ごめんなさい 変な話で…。 180 00:15:32,804 --> 00:15:36,441 もしも…。 181 00:15:36,441 --> 00:15:40,612 えっ? 182 00:15:40,612 --> 00:15:48,937 もしも 吉三様が 死罪になったら…。 183 00:15:48,937 --> 00:15:51,237 私も死にます。 184 00:15:53,775 --> 00:15:56,144 駄目よ そんな事。 185 00:15:56,144 --> 00:16:00,844 それじゃあ 吉三さんの 真心が無駄になるじゃないの。 186 00:16:03,318 --> 00:16:05,918 私も恋をしています。 187 00:16:09,374 --> 00:16:11,459 ご両親は どうなるの? 188 00:16:11,459 --> 00:16:14,245 お七ちゃんを 大事に育ててくれた➡ 189 00:16:14,245 --> 00:16:17,745 ととさん かかさんを 悲しませて いいの? 190 00:16:21,019 --> 00:16:25,790 跡継ぎには 菊坊がいます。 191 00:16:25,790 --> 00:16:49,948 ♬~ 192 00:16:49,948 --> 00:16:53,101 吉三郎の父親は 元伊達家 目付役➡ 193 00:16:53,101 --> 00:16:56,154 坪田次郎左衛門と判明致しました。 194 00:16:56,154 --> 00:16:58,540 伊達家? はい。 195 00:16:58,540 --> 00:17:02,210 次郎左衛門は 13年前 伊達家中の騒動にて➡ 196 00:17:02,210 --> 00:17:05,046 逆臣 原田甲斐に加担し➡ 197 00:17:05,046 --> 00:17:10,101 謀反の咎によって 切腹を命じられました。 ほう。 198 00:17:10,101 --> 00:17:16,057 家門は断絶 一族郎党は 所払いに 相成り候由。 199 00:17:16,057 --> 00:17:19,377 大乗寺の住職が そう申したのか? 200 00:17:19,377 --> 00:17:21,379 確かに申しました。 201 00:17:21,379 --> 00:17:23,381 いささか 手こずりましたが…。 202 00:17:23,381 --> 00:17:28,386 すると 吉三郎は 謀反人の 忘れ形見だな? 203 00:17:28,386 --> 00:17:32,640 さようでございます。 そは 重畳。 204 00:17:32,640 --> 00:17:37,440 うあ~! あ~! ああ…。 205 00:17:40,682 --> 00:17:46,071 (赤川)さあ 申せ。 知らぬはずは あるまい。 206 00:17:46,071 --> 00:17:48,239 全く存じません。 207 00:17:48,239 --> 00:17:50,241 ならば教えてやる。 208 00:17:50,241 --> 00:17:54,312 お前の親は 伊達騒動を起こした 謀反人の一味じゃ。 209 00:17:54,312 --> 00:17:57,182 伊達騒動? 白ばっくれるな。 210 00:17:57,182 --> 00:18:01,086 お前は 処刑された親の恨みを 晴らすべく 事に及んだんだな? 211 00:18:01,086 --> 00:18:03,071 何の事でしょう? 212 00:18:03,071 --> 00:18:05,874 大円寺に火を付けたではないか! 火は付けておりません。 213 00:18:05,874 --> 00:18:08,943 お前でなければ 誰が 火を付けたのじゃ! 214 00:18:08,943 --> 00:18:11,343 存じません。 申せ! 215 00:18:14,983 --> 00:18:17,683 水を飲ましてやれ。 (牢番)へい! 216 00:18:24,442 --> 00:18:27,412 お前に火付けを命じたのは誰だ? 217 00:18:27,412 --> 00:18:30,712 謀反の張本人は誰だ? 218 00:18:32,383 --> 00:18:37,388 そうか 天井から つるされたいんだな? 219 00:18:37,388 --> 00:18:40,642 それとも 石を抱きたいか! 220 00:18:40,642 --> 00:18:42,911 全くの ぬれぎぬでございます。 221 00:18:42,911 --> 00:18:45,911 水! はい! 222 00:18:51,636 --> 00:18:55,640 えい! えい! 223 00:18:55,640 --> 00:18:58,309 神妙に白状せい! 224 00:18:58,309 --> 00:19:00,378 えい! えい! 225 00:19:00,378 --> 00:19:18,680 ♬~ 226 00:19:18,680 --> 00:19:21,799 おう 寒椿か。 227 00:19:21,799 --> 00:19:24,569 しかも こんな夜分に…。 228 00:19:24,569 --> 00:19:27,922 お露が 持ってきてくれたもんだから。 229 00:19:27,922 --> 00:19:32,927 椿は 花が1つずつ コロンと落ちる。 230 00:19:32,927 --> 00:19:35,527 打ち首のようにな。 231 00:19:37,932 --> 00:19:41,686 お前様は もう お武家様じゃ ありませんよ。 232 00:19:41,686 --> 00:19:44,756 それは まあ そうだが。 233 00:19:44,756 --> 00:19:52,130 お七は 椿が好きなんですよ。 ああ そうか そうか。 234 00:19:52,130 --> 00:19:55,300 花は かわいそう…。 235 00:19:55,300 --> 00:19:58,219 どうしたの? 236 00:19:58,219 --> 00:20:02,719 勝手に切られたり 折られたり…。 237 00:20:07,812 --> 00:20:12,050 きっと 心の中で泣いています。 238 00:20:12,050 --> 00:20:14,050 泣いている? 239 00:20:17,505 --> 00:20:24,412 生け花じゃ 牢屋に 入れられたようなものだから…。 240 00:20:24,412 --> 00:20:26,531 何が 言いたいんだ? 241 00:20:26,531 --> 00:20:29,384 生け花じゃ 嫌なのかい? 242 00:20:29,384 --> 00:20:35,873 そうじゃないけど…。 243 00:20:35,873 --> 00:20:39,944 首が… ポロンと…。 244 00:20:39,944 --> 00:20:41,944 おやめったら。 245 00:20:44,382 --> 00:20:49,787 お前 少し 気鬱になってるんじゃ ないのかい? 246 00:20:49,787 --> 00:20:55,287 ずっと 家に こもってるから 無理もないけど…。 247 00:20:57,345 --> 00:21:00,148 お房。 はい。 248 00:21:00,148 --> 00:21:04,969 護国寺は どうだ? 護国寺? 249 00:21:04,969 --> 00:21:07,722 ちょうど 梅が満開だそうだ。 250 00:21:07,722 --> 00:21:13,311 天気が良ければ 明日にでも お七を連れてってやりなさい。 251 00:21:13,311 --> 00:21:17,582 たまには 気晴らしをせんとな。 252 00:21:17,582 --> 00:21:23,955 (お房)じゃ 何を 着ていこうかしらね? 253 00:21:23,955 --> 00:21:46,044 ♬~ 254 00:21:46,044 --> 00:21:50,815 ≪(お房) お七 そろそろ 出かけますよ。 255 00:21:50,815 --> 00:21:53,215 はい。 256 00:22:04,946 --> 00:22:09,283 お七! お七様! 257 00:22:09,283 --> 00:22:13,104 お七! お七様! 258 00:22:13,104 --> 00:22:15,890 お七! 259 00:22:15,890 --> 00:22:19,043 お七様! お七! 260 00:22:19,043 --> 00:22:22,043 どうも ありがとうございました。 261 00:22:24,065 --> 00:22:26,117 お帰りなさい。 ああ…。 262 00:22:26,117 --> 00:22:30,017 お七は 戻ってるかい? いえ。 えっ…。 263 00:22:33,391 --> 00:22:35,810 ≪お帰りなさいませ。 ≪お帰りなさいませ。 264 00:22:35,810 --> 00:22:38,112 どうしたんだ? はぐれちまったんですよ。 265 00:22:38,112 --> 00:22:41,749 はぐれた? 何しろ人手が多すぎて。 266 00:22:41,749 --> 00:22:43,751 この トンチキ野郎! 267 00:22:43,751 --> 00:22:46,051 痛え。 268 00:22:47,839 --> 00:22:50,291 (青田)失礼致します。 269 00:22:50,291 --> 00:22:53,111 何じゃ。 270 00:22:53,111 --> 00:22:56,080 ただいま ご門前に大円寺付け火の 子細について➡ 271 00:22:56,080 --> 00:22:58,266 言上したいと申す女が 参った由にございます。 272 00:22:58,266 --> 00:23:00,852 女? はあ。 273 00:23:00,852 --> 00:23:05,606 駒込追分片町にて八百屋を営む 喜兵衛の娘にござります。 274 00:23:05,606 --> 00:23:08,943 「八百源」の娘か? さようでございます。 275 00:23:08,943 --> 00:23:11,543 聞いてやれ。 はっ。 276 00:23:28,079 --> 00:23:31,549 お七というたな? はい。 277 00:23:31,549 --> 00:23:37,505 何 用じゃ。 278 00:23:37,505 --> 00:23:43,177 大円寺に火を付けたのは 吉三様では ありません。 279 00:23:43,177 --> 00:23:49,700 大みそかの夜 吉三様は 私と一緒でした。 280 00:23:49,700 --> 00:23:51,800 何じゃと? 281 00:23:54,372 --> 00:23:58,142 本堂の裏で待ち合わせをして お話をしている時に➡ 282 00:23:58,142 --> 00:24:00,442 火が出たのでございます。 283 00:24:03,631 --> 00:24:06,818 風が強うて 火の粉が 飛んできたので➡ 284 00:24:06,818 --> 00:24:09,687 2人で 必死に逃げました。 285 00:24:09,687 --> 00:24:13,441 ですから 吉三様は 無実でございます。 286 00:24:13,441 --> 00:24:18,312 待て 待て ここは南町奉行所だぞ。 287 00:24:18,312 --> 00:24:22,850 虚言は許されぬぞ。 虚言ではございません。 288 00:24:22,850 --> 00:24:25,250 吉三とは どういう知り合いか? 289 00:24:28,005 --> 00:24:30,005 申せ。 290 00:24:33,544 --> 00:24:38,549 おととしの火事で お店や家が 焼けましたので➡ 291 00:24:38,549 --> 00:24:42,236 一家で大乗寺に お世話になりました。 292 00:24:42,236 --> 00:24:45,973 存じておる。 293 00:24:45,973 --> 00:24:48,376 それで深い仲になったのか? 294 00:24:48,376 --> 00:24:53,848 いいえ。 私は お慕いして おりましたが➡ 295 00:24:53,848 --> 00:24:56,684 相手にされませんでした。 296 00:24:56,684 --> 00:24:59,937 お前は いくつか? 297 00:24:59,937 --> 00:25:02,573 16でございます。 298 00:25:02,573 --> 00:25:06,373 おととしの あの時は 14だな? 299 00:25:10,081 --> 00:25:12,066 はい…。 300 00:25:12,066 --> 00:25:14,166 まだ 子供ではないか。 301 00:25:16,988 --> 00:25:19,288 親には黙ってきたのか? 302 00:25:21,993 --> 00:25:24,345 はい…。 303 00:25:24,345 --> 00:25:28,849 それでは話にならん。 親を呼んで 事情を聞く。 304 00:25:28,849 --> 00:25:32,803 それは 困ります。 なぜ 困る? 305 00:25:32,803 --> 00:25:36,440 父は 何も知りません。 306 00:25:36,440 --> 00:25:41,412 そういえば… 火事場に 頭巾が落ちてたな。 307 00:25:41,412 --> 00:25:45,012 それは 私の頭巾でございます。 308 00:25:52,023 --> 00:25:55,109 書かんでよい。 はっ? 309 00:25:55,109 --> 00:25:58,209 大した事ではない。 310 00:26:22,687 --> 00:26:26,287 (牢番)おい 起きろ! 311 00:26:36,117 --> 00:26:38,336 ああ…。 312 00:26:38,336 --> 00:26:41,636 (赤川)この女を知ってるか? 313 00:26:45,776 --> 00:26:51,999 知らぬはずは あるまい。 八百源の娘じゃ。 314 00:26:51,999 --> 00:26:56,599 前へ出て よ~く見ろ。 315 00:27:25,316 --> 00:27:27,416 あ… 吉三様。 316 00:27:29,036 --> 00:27:33,636 私です 七でございます。 317 00:27:35,876 --> 00:27:40,748 ああ…。 お七か。 318 00:27:40,748 --> 00:27:46,387 この女はな 出火のみぎり お前と 一緒にいたと ほざいておるが➡ 319 00:27:46,387 --> 00:27:50,675 どうじゃ 間違いないか? 320 00:27:50,675 --> 00:27:56,647 めっそうもない。 手前は 1人でございました。 321 00:27:56,647 --> 00:27:59,550 吉三様! 静かにせ! 322 00:27:59,550 --> 00:28:06,757 (赤川)しからば この女が 嘘をついていると言うのだな。 323 00:28:06,757 --> 00:28:11,078 勘違いでございましょう。 324 00:28:11,078 --> 00:28:13,814 吉三様…。 325 00:28:13,814 --> 00:28:16,617 (赤川)お前は 1人で 大円寺に行ったのだな? 326 00:28:16,617 --> 00:28:20,154 連れは いなかったのだな? はい。 327 00:28:20,154 --> 00:28:23,107 相違あるまいな? 328 00:28:23,107 --> 00:28:26,944 相違ございません。 329 00:28:26,944 --> 00:28:32,144 お願いです 本当の事を 言って下さい。 330 00:28:39,273 --> 00:28:44,211 吉三様。 (赤川)もうよい! 嘘つきめが! 331 00:28:44,211 --> 00:28:47,314 吉三様。 332 00:28:47,314 --> 00:28:50,514 吉三様! 333 00:28:52,136 --> 00:29:07,051 吉三様! 334 00:29:07,051 --> 00:29:11,951 (すすり泣き) 335 00:29:13,607 --> 00:29:34,607 ♬~ 336 00:29:41,635 --> 00:29:46,690 どちらかが 嘘をついておるな。 あの女は 気が ふれております。 337 00:29:46,690 --> 00:29:51,345 いや 吉三郎は お七を かばっているのかもしれぬ。 338 00:29:51,345 --> 00:29:53,347 何のために? 339 00:29:53,347 --> 00:29:55,616 巻き添えにしたくないのであろう。 340 00:29:55,616 --> 00:29:59,687 (赤川)自分を殺してまでか? そこまでは分からんが。 341 00:29:59,687 --> 00:30:02,406 だとしたら あほうじゃな あの男は。 342 00:30:02,406 --> 00:30:04,542 人は さまざまじゃ。 343 00:30:04,542 --> 00:30:07,511 信念を貫くために 命を捨てる者もいよう。 344 00:30:07,511 --> 00:30:09,513 (赤川)信念? 345 00:30:09,513 --> 00:30:11,799 武士は主君のために 死ぬるのが 本分ではないか。 346 00:30:11,799 --> 00:30:15,569 吉三郎は 武士ではない。 武士の子じゃ。 これは したり。 347 00:30:15,569 --> 00:30:19,106 忠義と色恋沙汰を 同じ扱いと 致すのは心得がたし。 348 00:30:19,106 --> 00:30:22,806 同じとは 申しておらぬ! ええ もうよいわ! 349 00:30:25,012 --> 00:30:28,599 ご大老の ご意向は謀反人の 一味徒党を➡ 350 00:30:28,599 --> 00:30:37,107 1人残らず捕縛し ご政道の根本を 盤石たらしめる事にあり。 はっ。 351 00:30:37,107 --> 00:30:40,211 色恋沙汰など 奉行所にとっては どうでもよいわ。 352 00:30:40,211 --> 00:30:42,213 むしろ目障りじゃ。 353 00:30:42,213 --> 00:30:45,513 (赤川)仰せの儀 ごもっとも至極。 354 00:30:47,151 --> 00:30:50,651 ≪失礼致します。 355 00:30:53,674 --> 00:30:55,693 恐れながら申し上げます。 356 00:30:55,693 --> 00:30:57,778 八百源の主人が まかり越しました。 357 00:30:57,778 --> 00:31:01,148 うむ 源之丞。 ははっ。 358 00:31:01,148 --> 00:31:05,319 「乱心した娘を さっさと 引き取れ」と かように申せ。 359 00:31:05,319 --> 00:31:09,857 はあ? 「家に閉じ込めておけ」とな。 360 00:31:09,857 --> 00:31:11,857 かしこまりました。 361 00:31:18,148 --> 00:31:22,453 誠に 申し訳ございません。 おわび 申し上げます。 362 00:31:22,453 --> 00:31:25,372 (青田)何を わびるのだ? はい。 363 00:31:25,372 --> 00:31:29,577 お奉行所からの お知らせでは 娘が こちらに駆け込んだと…。 364 00:31:29,577 --> 00:31:31,579 何のために 駆け込んだ? 365 00:31:31,579 --> 00:31:34,548 え… それは 存じませぬが…。 366 00:31:34,548 --> 00:31:37,701 何か 世間を騒がせるような…。 367 00:31:37,701 --> 00:31:41,972 お七はな 大円寺出火のおり すぐ近くで➡ 368 00:31:41,972 --> 00:31:48,145 吉三郎と2人で会うておったと かように申し立てたのだ。 えっ? 369 00:31:48,145 --> 00:31:51,498 「従って 吉三郎は 無実でございます」と。 370 00:31:51,498 --> 00:31:54,335 いえ… そんな 大それた事…。 371 00:31:54,335 --> 00:32:00,257 ところが 吉三郎は お七の面前で これを打ち消した。 え? 372 00:32:00,257 --> 00:32:05,157 「この女とは 会うておらぬ。 一人合点の作り話じゃ」と。 373 00:32:07,181 --> 00:32:12,186 分かるか? お七は乱心したのじゃ。 374 00:32:12,186 --> 00:32:15,873 恋わずらいが こうじて 気がふれた。 375 00:32:15,873 --> 00:32:18,709 よう 分かります。 お七は世間知らずで➡ 376 00:32:18,709 --> 00:32:21,111 あさはかで 向こう見ずで…。 377 00:32:21,111 --> 00:32:24,081 この不始末は 親の咎であろうな! 378 00:32:24,081 --> 00:32:27,481 誠に 申し訳なく…。 379 00:32:29,086 --> 00:32:33,286 (膝を打つ音) 入れ! 380 00:32:40,414 --> 00:32:42,766 お七…。 381 00:32:42,766 --> 00:32:46,166 (青田)お七 これへ。 382 00:32:59,967 --> 00:33:02,252 お前…。 383 00:33:02,252 --> 00:33:05,852 途方もない事を してくれたな。 384 00:33:10,344 --> 00:33:15,349 お七。 はい…。 385 00:33:15,349 --> 00:33:19,286 お前は 気がふれたのだ。 386 00:33:19,286 --> 00:33:22,186 そういう事に しておく。 387 00:33:24,908 --> 00:33:28,112 お奉行様の お計らいじゃ。 388 00:33:28,112 --> 00:33:33,312 年端も行かぬゆえ こたびに限って お構いなしとする。 389 00:33:39,873 --> 00:33:41,873 引き取ってよい。 390 00:33:44,978 --> 00:33:47,278 あ… はい! 391 00:33:49,016 --> 00:33:53,187 お七 良かったな。 392 00:33:53,187 --> 00:33:57,291 おとっ様 勘蔵さん…。 393 00:33:57,291 --> 00:34:01,562 (青田)お前が 勘蔵か? へい! 394 00:34:01,562 --> 00:34:07,017 八百源の婿に入る男じゃな? さようでございます。 395 00:34:07,017 --> 00:34:12,806 お七は 突拍子もない荒馬じゃ。 しっかり 捕まえとかんと➡ 396 00:34:12,806 --> 00:34:15,876 どっちへ向かって走り出すか 分からんぞ。 397 00:34:15,876 --> 00:34:17,878 へい…。 398 00:34:17,878 --> 00:34:20,013 (青田の笑い声) 399 00:34:20,013 --> 00:35:04,842 ♬~ 400 00:35:04,842 --> 00:35:07,342 おはようございます。 おはようございます。 401 00:35:09,746 --> 00:35:13,546 勘蔵。 へい。 402 00:35:20,557 --> 00:35:23,957 お七が 土蔵で待っている。 403 00:35:26,146 --> 00:35:30,050 わびたいんじゃ。 へい。 404 00:35:30,050 --> 00:35:53,907 ♬~ 405 00:35:53,907 --> 00:35:56,176 ≪勘蔵でございます。 406 00:35:56,176 --> 00:36:25,939 ♬~ 407 00:36:25,939 --> 00:36:32,039 勘蔵さんには たくさん 嫌な思いをさせました。 408 00:36:34,114 --> 00:36:39,553 とっくに愛想が つきていると思います。 409 00:36:39,553 --> 00:36:46,927 今さら こんな事を言えた義理では ないんですけど➡ 410 00:36:46,927 --> 00:36:50,564 本当に ごめんなさい! 411 00:36:50,564 --> 00:36:53,164 心から おわびします。 412 00:36:56,253 --> 00:37:04,011 私は… 決して勘蔵さんが 嫌いじゃありません。 413 00:37:04,011 --> 00:37:09,032 おんぶしてもらったり 手を つないでもらったり➡ 414 00:37:09,032 --> 00:37:14,832 いつも追っかけて甘えて 頼りにして…。 415 00:37:18,008 --> 00:37:25,482 でも 今の私には 吉三様しか見えない。 416 00:37:25,482 --> 00:37:30,420 頭の中が 吉三様で いっぱいなの。 417 00:37:30,420 --> 00:37:36,176 ですから 私の事は忘れて下さい。 418 00:37:36,176 --> 00:37:39,576 諦めて下さい。 419 00:37:43,517 --> 00:37:46,317 諦めません。 420 00:37:52,376 --> 00:38:00,076 あっしの女房は お七様しか いないと心に決めています。 421 00:38:07,474 --> 00:38:10,877 おとっ様には ちゃんと言います。 422 00:38:10,877 --> 00:38:15,899 勘蔵さんの身が立つように 暖簾分けをするとか…。 423 00:38:15,899 --> 00:38:17,918 他から お嫁さんをもらうとか…。 424 00:38:17,918 --> 00:38:22,018 お七様。 425 00:38:24,608 --> 00:38:29,629 あっしには お七様しか 見えないんです。 426 00:38:29,629 --> 00:38:31,729 ずっと…。 427 00:38:35,152 --> 00:38:40,507 ♬~ 428 00:38:40,507 --> 00:38:47,030 それでは こうして下さい。 429 00:38:47,030 --> 00:38:52,730 吉三様が 無事に ご放免になるまで待って下さい。 430 00:38:55,272 --> 00:38:57,274 待てません。 431 00:38:57,274 --> 00:39:02,713 でも 今の私には 何も考えられないの。 432 00:39:02,713 --> 00:39:08,985 吉三様が 牢屋の中で 毎日 苦しい思いをしてると思うと➡ 433 00:39:08,985 --> 00:39:14,841 胸が 詰まって じっとしていられなくなるの。 434 00:39:14,841 --> 00:39:20,547 何とか 助けなきゃって…。 何とかして 助けなきゃって。 435 00:39:20,547 --> 00:39:23,683 無罪には なりません。 436 00:39:23,683 --> 00:39:26,236 どうしてですか? 437 00:39:26,236 --> 00:39:28,238 あの人は 火付けなんか してないのよ。 438 00:39:28,238 --> 00:39:30,240 お上は それほど甘くありません。 439 00:39:30,240 --> 00:39:34,678 他に 咎人が見つからない限り 助からないでしょう。 440 00:39:34,678 --> 00:39:37,481 ひどいこと…。 441 00:39:37,481 --> 00:39:42,281 どうか あっしの気持ちも 察して下さい。 442 00:39:45,939 --> 00:39:54,514 お七様 正直に打ち明けますが➡ 443 00:39:54,514 --> 00:39:58,752 あっしは お七さんを 殺そうと思った事があります! 444 00:39:58,752 --> 00:40:01,755 憎いからでは ありません! 445 00:40:01,755 --> 00:40:05,055 いとおしくて たまらなかったからです。 446 00:40:07,878 --> 00:40:10,580 いとおしいお七を 他の男に とられるぐらいなら➡ 447 00:40:10,580 --> 00:40:15,936 ひと思いに殺して 自分も死のう! 448 00:40:15,936 --> 00:40:18,436 でも それは できませんでした。 449 00:40:24,111 --> 00:40:28,548 あの男さえ いなければ。 450 00:40:28,548 --> 00:40:30,534 あの男さえ いなければ…。 451 00:40:30,534 --> 00:40:40,744 ♬~ 452 00:40:40,744 --> 00:40:42,744 お七様。 453 00:40:45,515 --> 00:40:54,015 吉三郎が火付け犯だと お奉行所に 密告したのは誰だと思いますか? 454 00:41:06,219 --> 00:41:08,219 まさか…。 455 00:41:11,141 --> 00:41:18,431 そうです お察しのとおり この あっしです。 456 00:41:18,431 --> 00:41:20,450 勘蔵でございます…。 457 00:41:20,450 --> 00:41:37,750 ♬~ 458 00:41:45,659 --> 00:41:48,245 (息をのむ音) 459 00:41:48,245 --> 00:41:51,248 お奉行所のお役人が大勢。 460 00:41:51,248 --> 00:41:54,651 吉三郎様は 何の関わりもございません。 461 00:41:54,651 --> 00:41:58,221 身代わりって あんた! 火あぶりになるんだよ! 462 00:41:58,221 --> 00:42:03,243 お七は そんな事しない。 その方 大円寺に火を放ったか? 463 00:42:03,243 --> 00:42:07,113 はい 火を付けました。 464 00:42:07,113 --> 00:42:15,005 ♬「他人に言えない 恋だから」 465 00:42:15,005 --> 00:42:22,646 ♬「いっそ辺りは闇がいい」 466 00:42:22,646 --> 00:42:30,120 ♬「部屋の灯りを消しているのは」 467 00:42:30,120 --> 00:42:38,645 ♬「心を読まれたくないから」 468 00:42:38,645 --> 00:42:46,519 ♬「夢なら醒めるのに 確かに そこにいる」 469 00:42:46,519 --> 00:42:54,444 ♬「あなたの すぐそばで ずっと気づかれないで…」 470 00:42:54,444 --> 00:43:02,369 ♬「手鎖されたまま 身動き取れぬまま」 471 00:43:02,369 --> 00:43:10,710 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 472 00:43:10,710 --> 00:43:29,110 ♬「私だけの 身勝手な愛」