1 00:00:34,976 --> 00:00:39,247 (甲斐庄)申しつくるは… 死罪。 2 00:00:39,247 --> 00:00:45,103 江戸市中を引き回しのうえ 火あぶりの刑に処す。 3 00:00:45,103 --> 00:00:53,678 仕置きは3月29日 品川鈴ヶ森の 刑場にて行う。 4 00:00:53,678 --> 00:01:00,068 (お七)もとより 覚悟致しております。 5 00:01:00,068 --> 00:01:37,405 ♬~ 6 00:01:37,405 --> 00:01:39,405 (青田)お七。 7 00:01:51,036 --> 00:01:55,636 明後日 お前の二親が ここへ来る。 8 00:01:58,009 --> 00:02:00,509 お前に会いにくるのだ。 9 00:02:05,483 --> 00:02:07,783 今生の別れになる。 10 00:02:10,155 --> 00:02:13,955 何か差し入れてほしいものは ないか? 11 00:02:15,777 --> 00:02:18,480 ございません。 12 00:02:18,480 --> 00:02:24,480 そう言わずに 親の気持ちも くんでやったら どうだ? 13 00:02:27,455 --> 00:02:29,455 はい。 14 00:02:33,044 --> 00:02:36,744 (鐘の音) 15 00:02:41,870 --> 00:02:43,970 ≪失礼します。 16 00:02:46,374 --> 00:02:50,274 住職は間もなく戻ります。 今 少々お待ちを。 17 00:02:56,384 --> 00:03:01,823 ぶしつけですが お七さんの ご両親ですな? 18 00:03:01,823 --> 00:03:04,309 (お房)はい。 19 00:03:04,309 --> 00:03:08,113 (喜兵衛)あなたは? 申し遅れました。 20 00:03:08,113 --> 00:03:14,519 こちらで ご厄介になっておる 俳諧師で松尾芭蕉と申します。 21 00:03:14,519 --> 00:03:16,971 相すいません。 主人は足が…。 22 00:03:16,971 --> 00:03:19,871 ああ そのまま そのまま。 23 00:03:25,346 --> 00:03:29,484 何かと ご心痛でしょうな。 24 00:03:29,484 --> 00:03:31,953 はい。 25 00:03:31,953 --> 00:03:38,553 しかし 私は お七さんに 感服しております。 26 00:03:41,379 --> 00:03:45,650 恋する人のために 自ら命を投げ出す。 27 00:03:45,650 --> 00:03:49,854 これほど美しい行いは 他にない。 28 00:03:49,854 --> 00:03:55,443 色恋や男女の情を 汚れたもの 恥ずべきものと さげすむのは➡ 29 00:03:55,443 --> 00:03:58,680 大きな間違いです。 30 00:03:58,680 --> 00:04:07,939 この世に生まれたものは 獣も鳥も 魚も蝶々も虫けらも➡ 31 00:04:07,939 --> 00:04:11,059 全て恋をします。 32 00:04:11,059 --> 00:04:19,350 およそ 生きとし生けるものは 花も草木も恋をするのです。 33 00:04:19,350 --> 00:04:23,988 恋をしなければ 命の引き継ぎが断たれてしまう。 34 00:04:23,988 --> 00:04:26,908 そうでしょう? 35 00:04:26,908 --> 00:04:29,978 はい。 36 00:04:29,978 --> 00:04:39,003 忠義のために死ぬるのは正しくて 恋のために死ぬるのは罪悪だと➡ 37 00:04:39,003 --> 00:04:43,007 一体 誰が決められますか? 38 00:04:43,007 --> 00:04:52,233 人 一人の心の中は 空よりも広く 海よりも深い。 39 00:04:52,233 --> 00:04:55,019 何が正しくて 何が間違っているかは➡ 40 00:04:55,019 --> 00:04:57,019 誰にも分かりません。 41 00:04:59,240 --> 00:05:02,240 だから 私は句を作る。 42 00:05:05,446 --> 00:05:10,635 お七さんは 「恋をしたから大人だ」 と言った。 43 00:05:10,635 --> 00:05:16,024 長生きよりも とわに生きる道を選んだ。 44 00:05:16,024 --> 00:05:21,224 そうやって命を引き継いだ。 45 00:05:23,665 --> 00:05:29,265 そう思えば いくらか 気持ちが和らぎませんかな。 46 00:05:34,609 --> 00:05:36,609 では。 47 00:05:57,398 --> 00:06:01,798 (お露)吉弥結びの帯って これでしょうか? 48 00:06:03,821 --> 00:06:05,821 間違いないわ。 49 00:06:08,443 --> 00:06:14,649 大乗寺で時々 これを吉弥結びにして➡ 50 00:06:14,649 --> 00:06:19,470 「吉三さんに 結び方を教えてあげた」って➡ 51 00:06:19,470 --> 00:06:23,470 うれしそうに してましたっけね。 52 00:06:28,563 --> 00:06:34,263 そうか。 そういう事だったのか。 53 00:06:36,871 --> 00:06:43,671 これを身につけて あの子は…。 54 00:06:51,686 --> 00:06:56,708 そう言えば お七ちゃんは➡ 55 00:06:56,708 --> 00:07:03,008 「生まれ変わる時は 蝶々に なりたい」と言っていました。 56 00:07:04,816 --> 00:07:45,339 ♬~ 57 00:07:45,339 --> 00:07:54,599 (鍵を開ける音) 58 00:07:54,599 --> 00:08:00,588 (青田)差し入れものは 入念に 中身を調べた上 当人に引き渡す。 59 00:08:00,588 --> 00:08:02,788 (喜兵衛)お願いします。 60 00:08:05,026 --> 00:08:08,863 その先に お七がいる。 61 00:08:08,863 --> 00:08:11,563 話してよいぞ。 はい。 62 00:08:28,783 --> 00:08:30,783 (お房)お七。 63 00:08:37,141 --> 00:08:39,777 お七! 64 00:08:39,777 --> 00:08:44,477 おとっ様 おっか様。 65 00:08:46,167 --> 00:08:48,167 お七。 66 00:08:52,757 --> 00:08:55,676 お七。 67 00:08:55,676 --> 00:09:03,076 お前は 命を絶たれるんだよ。 68 00:09:05,887 --> 00:09:07,887 怖くはないの? 69 00:09:13,444 --> 00:09:21,369 怖くないといえば うそになりますが➡ 70 00:09:21,369 --> 00:09:24,469 気持ちだけは すっきりしています。 71 00:09:27,909 --> 00:09:31,279 そうは言っても…。 72 00:09:31,279 --> 00:09:37,679 死ぬのは… 生きていた証しです。 73 00:09:41,289 --> 00:09:50,489 私は お二人のおかげで 悔いのない生き方をしました。 74 00:09:52,867 --> 00:09:55,567 思い残す事は ありません。 75 00:09:58,372 --> 00:10:04,772 お前は それで良くても 私たちは どうすればいいの? 76 00:10:06,480 --> 00:10:15,256 お前に先に行かれて 私たちは どうやって生きていったらいいの。 77 00:10:15,256 --> 00:10:20,344 おっか様 ごめんなさい。 78 00:10:20,344 --> 00:10:23,044 本当に ごめんなさい。 79 00:10:30,004 --> 00:10:32,104 おとっ様。 80 00:10:36,477 --> 00:10:40,848 菊坊は どうしていますか? 81 00:10:40,848 --> 00:10:43,668 達者だ。 82 00:10:43,668 --> 00:10:49,168 毎日 手習いして そろばんの稽古をしておる。 83 00:10:51,008 --> 00:10:57,008 どうか 私の分まで愛してやって。 84 00:11:04,438 --> 00:11:09,638 菊坊の中にも 私はいますから。 85 00:11:16,884 --> 00:11:18,984 それから…。 86 00:11:21,806 --> 00:11:23,806 勘蔵さんは? 87 00:11:26,777 --> 00:11:30,615 何も聞いていないのかい? 88 00:11:30,615 --> 00:11:32,683 え? 89 00:11:32,683 --> 00:11:34,683 (せきばらい) 90 00:11:38,472 --> 00:11:43,272 勘蔵は 店を辞めて出ていった。 91 00:11:46,047 --> 00:11:50,134 いたたまれなくなったんだろう。 92 00:11:50,134 --> 00:11:53,834 それっきり 行方が分からん。 93 00:12:01,679 --> 00:12:03,948 これまでじゃ。 94 00:12:03,948 --> 00:12:06,901 お七! 95 00:12:06,901 --> 00:12:10,237 おとっ様 おっか様。 96 00:12:10,237 --> 00:12:13,908 (喜兵衛)お七。 97 00:12:13,908 --> 00:12:17,311 ありがとうございました。 お七。 98 00:12:17,311 --> 00:12:49,844 ♬~ 99 00:12:49,844 --> 00:12:51,946 回想 (吉三郎)吉弥結び? 100 00:12:51,946 --> 00:12:56,317 これは「吉弥結び」といって 当世の はやりです。 101 00:12:56,317 --> 00:13:16,220 ♬~ 102 00:13:16,220 --> 00:13:24,912 ♬「会いたさ見たさに 怖さを忘れ 八百屋のお七は 火をつけた」 103 00:13:24,912 --> 00:13:30,918 ♬「吉様いずこ 吉様いずこ 哀れ お七は捕らえられ」 104 00:13:30,918 --> 00:13:39,310 ♬「無情なお仕置き 鈴ヶ森 恋に身を焼く ホトトギス」 105 00:13:39,310 --> 00:13:46,667 ♬「聞くも涙の物語」 106 00:13:46,667 --> 00:13:52,807 武士は忠義じゃ 女は恋じゃ。 恋に罪など あるものか。 107 00:13:52,807 --> 00:13:58,946 好いて好かれて ほれ合うて お七 悲しや いとおしや。 108 00:13:58,946 --> 00:14:01,015 (柳沢)桂昌院様の ご懸念は➡ 109 00:14:01,015 --> 00:14:04,552 方々から疑念の声が 聞こえてくる事にござります。 110 00:14:04,552 --> 00:14:07,905 ハハハ いかなる疑念じゃ? 111 00:14:07,905 --> 00:14:12,209 恐れながら「無実ではないか」 「ぬれぎぬでは ないか」と。 112 00:14:12,209 --> 00:14:14,609 だから どうしろというのだ? 113 00:14:17,615 --> 00:14:20,768 恐れながら いったん 仕置きを差し止め➡ 114 00:14:20,768 --> 00:14:22,787 調べ直しては いかがかと。 115 00:14:22,787 --> 00:14:26,590 たわけを申すな! せめて 仕置きの日延べを。 116 00:14:26,590 --> 00:14:28,576 稲葉! はっ。 117 00:14:28,576 --> 00:14:33,297 「どうしても」と申すなら お前が身代わりに腹を切れ。 118 00:14:33,297 --> 00:14:36,450 鈴ヶ森でな。 119 00:14:36,450 --> 00:14:40,237 柳沢。 はっ。 120 00:14:40,237 --> 00:14:44,037 桂昌院様には かように申し上げるがよい。 121 00:14:49,413 --> 00:14:52,132 「綸言 汗のごとし」? 122 00:14:52,132 --> 00:15:00,407 上様のお口から いったん出た 言の葉は 断じて曲げられぬ。 123 00:15:00,407 --> 00:15:07,648 お気に召さずんば この堀田正俊が腹を切る。 124 00:15:07,648 --> 00:15:10,284 めっそうもない。 125 00:15:10,284 --> 00:15:13,771 (覚念)檀家衆の おかみさん方や 若い娘たちが➡ 126 00:15:13,771 --> 00:15:17,408 ひそひそ話をしているのを 聞くと➡ 127 00:15:17,408 --> 00:15:23,214 お七の潔さに 胸を打たれておるようじゃ。 128 00:15:23,214 --> 00:15:27,952 火付けの罪は ともかく あそこまで人を思い➡ 129 00:15:27,952 --> 00:15:35,776 恋のために命を捨てられるとは 女として羨ましいかぎりじゃと。 130 00:15:35,776 --> 00:15:41,176 でも お七は 火あぶりに なるんですよ。 131 00:15:43,801 --> 00:15:48,138 戯作者連中も お七の一途な恋を➡ 132 00:15:48,138 --> 00:15:52,643 芝居にしたいと 乗り気じゃそうじゃ。 133 00:15:52,643 --> 00:15:56,143 何の慰めにも なりませんな。 134 00:16:02,186 --> 00:16:16,150 ♬~ 135 00:16:16,150 --> 00:16:18,502 晴れてしまったな。 136 00:16:18,502 --> 00:16:59,376 ♬~ 137 00:16:59,376 --> 00:17:02,076 (牢番)お七 立ちませい。 138 00:17:05,666 --> 00:17:08,018 はい。 139 00:17:08,018 --> 00:17:35,212 ♬~ 140 00:17:35,212 --> 00:17:40,112 (お露)余計な事かもしれませんが お見送りは…。 141 00:17:41,952 --> 00:17:44,271 お見送り? 142 00:17:44,271 --> 00:17:46,271 せんでよい。 143 00:17:48,509 --> 00:17:52,446 さらしものの娘は見たくない。 144 00:17:52,446 --> 00:17:56,346 お七も見られたくなかろう。 145 00:17:58,285 --> 00:18:03,374 親子の別れは もう済ませた。 146 00:18:03,374 --> 00:18:09,674 でも菊丸は どうしても会いたいと。 147 00:18:21,442 --> 00:18:24,812 事情は分かってるのか? 148 00:18:24,812 --> 00:18:28,532 分かってます。 149 00:18:28,532 --> 00:18:31,051 頼んだぞ。 150 00:18:31,051 --> 00:18:33,103 はい。 151 00:18:33,103 --> 00:18:51,638 ♬~ 152 00:18:51,638 --> 00:18:55,809 まだ子供じゃないの。 かわいい顔して。 153 00:18:55,809 --> 00:19:20,267 ♬~ 154 00:19:20,267 --> 00:19:26,123 おねえちゃん! おねえちゃん! 155 00:19:26,123 --> 00:19:28,342 どけ! 156 00:19:28,342 --> 00:19:30,811 おねえちゃん! 放せ! 157 00:19:30,811 --> 00:19:37,134 おねえちゃんを殺すな! 158 00:19:37,134 --> 00:19:43,056 おねえちゃん! 159 00:19:43,056 --> 00:19:45,442 黙れ 黙れ! 160 00:19:45,442 --> 00:19:49,079 おねえちゃん! おねえちゃんを殺すな! 161 00:19:49,079 --> 00:19:52,879 おねえちゃん 死なないで! おねえちゃん! 162 00:19:56,687 --> 00:19:59,006 何事だ? へい。 163 00:19:59,006 --> 00:20:04,945 店の表に こんなに たくさんの物が届いております。 164 00:20:04,945 --> 00:20:08,715 一体 誰が このような…。 165 00:20:08,715 --> 00:20:14,404 名は書いてありませんが 遠方から届いた物もあります。 166 00:20:14,404 --> 00:20:18,242 これは八丁堀の松屋せんべい。 167 00:20:18,242 --> 00:20:23,447 こっちは 浅草木下のおこしです。 168 00:20:23,447 --> 00:20:26,647 どちらも お七の好物ですね。 169 00:20:29,269 --> 00:20:35,175 お七様の人気は どんどん 上がっているようでございます。 170 00:20:35,175 --> 00:20:38,775 特に若い娘さんが…。 171 00:20:41,215 --> 00:20:44,618 幸助。 へい。 172 00:20:44,618 --> 00:20:47,718 それから おとめ。 はい。 173 00:20:50,073 --> 00:20:52,673 店を辞めるのは 待ってちょうだい。 174 00:20:55,929 --> 00:21:02,236 八百源は必ず立ち直ります。 175 00:21:02,236 --> 00:21:06,240 しばらくは つらい思いも するでしょうが➡ 176 00:21:06,240 --> 00:21:11,879 こうして気を遣って下さる お客様がいるかぎりは➡ 177 00:21:11,879 --> 00:21:17,879 歯を食いしばってでも お返しをしなきゃね。 178 00:21:20,571 --> 00:21:25,571 お七を無駄に死なせてはならんな。 179 00:21:33,834 --> 00:21:37,504 よろしくお願いします。 180 00:21:37,504 --> 00:21:39,504 へい! 181 00:21:57,207 --> 00:21:59,209 お姉ちゃん! 182 00:21:59,209 --> 00:22:01,878 こら! 来るでない! 183 00:22:01,878 --> 00:22:04,298 お姉ちゃん! 184 00:22:04,298 --> 00:22:06,316 菊坊。 185 00:22:06,316 --> 00:22:08,869 何だ このガキ! お姉ちゃん! 186 00:22:08,869 --> 00:22:12,205 お姉ちゃん! 放せ。 187 00:22:12,205 --> 00:22:14,858 お願いします! 188 00:22:14,858 --> 00:22:19,346 この子は 実の弟なんです。 189 00:22:19,346 --> 00:22:21,765 ならぬものは ならん! どうか お目こぼしを。 190 00:22:21,765 --> 00:22:24,965 早く どかんか。 後生でございます! 191 00:22:28,605 --> 00:22:31,291 会わせてやれ! 192 00:22:31,291 --> 00:22:34,278 お上には血も涙もないのか。 193 00:22:34,278 --> 00:22:36,580 黙れ! 194 00:22:36,580 --> 00:22:43,537 姉と弟じゃぞ。 今生の別れじゃぞ。 195 00:22:43,537 --> 00:22:47,708 ちっとばかり 大目に見てやったら どうだ。 196 00:22:47,708 --> 00:22:50,277 そうだ そうだ。 そうだ! 197 00:22:50,277 --> 00:22:55,077 そうだ! そうだ! そうだ! 198 00:23:05,108 --> 00:23:08,508 さあ。 ありがとうございます。 199 00:23:18,805 --> 00:23:21,808 お姉ちゃん。 200 00:23:21,808 --> 00:23:24,845 菊坊。 201 00:23:24,845 --> 00:23:27,114 お姉ちゃん。 202 00:23:27,114 --> 00:23:47,017 ♬~ 203 00:23:47,017 --> 00:23:50,217 今頃は どの辺りでしょうね。 204 00:23:54,307 --> 00:24:01,865 「人が死ぬのは 生きていた証しだ」って。 205 00:24:01,865 --> 00:24:04,365 そう言いましたね。 206 00:24:08,438 --> 00:24:14,738 お七は 存分に生き抜いたんだと 思います。 207 00:24:17,447 --> 00:24:21,047 「思い残す事は何もない」って。 208 00:24:24,554 --> 00:24:31,244 ただ 火付けの汚名を 着せられたままなのが➡ 209 00:24:31,244 --> 00:24:34,848 何とも哀れで…。 210 00:24:34,848 --> 00:24:44,674 (喜兵衛)あの子が無実なのは 父親のわしと 母親のお前が➡ 211 00:24:44,674 --> 00:24:48,111 一番 よく分かっている事だ。 212 00:24:48,111 --> 00:24:52,883 もちろん 吉三郎もだ。 213 00:24:52,883 --> 00:24:55,483 それで良いではないか。 214 00:24:58,271 --> 00:25:03,371 お七は わしたちの中に 生きている。 215 00:25:05,545 --> 00:25:10,667 思い出せば…。 216 00:25:10,667 --> 00:25:13,437 ここにいる。 217 00:25:13,437 --> 00:26:07,437 ♬~ 218 00:26:21,555 --> 00:26:24,007 おい お七というのは もう着いたのか? 219 00:26:24,007 --> 00:26:27,377 ああ。 さっき あっちの小屋に 運ばれていったよ。 220 00:26:27,377 --> 00:26:29,577 それじゃ 間もなくじゃねえか。 221 00:26:38,455 --> 00:26:40,455 おい。 222 00:26:43,176 --> 00:26:45,176 何用だ? 223 00:26:48,648 --> 00:26:52,886 咎人の末期の水でございます。 末期の水? 224 00:26:52,886 --> 00:26:56,586 はい。 お奉行所の お達しでございます。 225 00:26:59,075 --> 00:27:01,075 ≪よし 分かった。 226 00:27:57,117 --> 00:27:59,217 吉三様。 227 00:28:06,610 --> 00:28:12,210 私は… 夢を見ているのでしょうか? 228 00:28:15,652 --> 00:28:17,752 夢ではない。 229 00:28:21,708 --> 00:28:39,776 ♬~ 230 00:28:39,776 --> 00:28:42,045 吉三様。 231 00:28:42,045 --> 00:28:47,067 ♬~ 232 00:28:47,067 --> 00:28:49,367 吉三様。 233 00:28:52,238 --> 00:28:54,338 お七。 234 00:28:57,444 --> 00:28:59,444 はい。 235 00:29:04,401 --> 00:29:07,101 お前1人では決して行かせぬ。 236 00:29:09,572 --> 00:29:11,772 私も すぐに後を追う。 237 00:29:15,979 --> 00:29:18,279 そう 心に決めた。 238 00:29:21,735 --> 00:29:25,638 吉三様。 239 00:29:25,638 --> 00:29:27,738 なりませぬ! 240 00:29:29,743 --> 00:29:31,743 なぜ止める。 241 00:29:40,320 --> 00:29:42,920 私は死にません。 242 00:29:49,479 --> 00:29:52,279 たとえ この身が消え失せても➡ 243 00:29:55,919 --> 00:30:01,119 七は ずっと あなたの おそばにいます。 244 00:30:07,046 --> 00:30:14,046 ですから… いつまでも生きて下さい。 245 00:30:17,574 --> 00:30:19,574 しかし…。 246 00:30:21,277 --> 00:30:28,077 私は… 吉三様に恋をしました。 247 00:30:36,709 --> 00:30:40,109 この人のためなら 死んでもいいと思いました。 248 00:30:48,371 --> 00:30:51,771 だから一緒に死なれては困ります。 249 00:31:03,453 --> 00:31:08,553 どうか いつまでも 生き長らえて下さい。 250 00:31:13,580 --> 00:31:15,880 私のためにも。 251 00:31:22,272 --> 00:31:24,357 お七。 252 00:31:24,357 --> 00:31:47,180 ♬~ 253 00:31:47,180 --> 00:31:49,180 ≪間もなく刻限じゃ。 254 00:31:51,518 --> 00:31:53,718 はい。 255 00:32:02,278 --> 00:32:05,278 お目にかかれて うれしゅうございました。 256 00:32:09,352 --> 00:32:11,852 心残りは ございません。 257 00:32:23,199 --> 00:32:25,599 水を。 258 00:32:31,708 --> 00:32:34,108 死に水ですね。 259 00:32:38,164 --> 00:32:40,464 三々九度だ。 260 00:32:50,076 --> 00:34:17,330 ♬~ 261 00:34:17,330 --> 00:34:24,130 これで 私たちは めおとに なりました。 262 00:34:31,644 --> 00:34:33,844 では…。 263 00:34:37,750 --> 00:34:40,286 行って参ります。 264 00:34:40,286 --> 00:35:47,070 ♬~ 265 00:35:47,070 --> 00:35:55,270 (カラスの鳴き声) 266 00:37:00,143 --> 00:38:26,612 ♬~ 267 00:38:26,612 --> 00:38:28,631 お七。 268 00:38:28,631 --> 00:39:08,431 ♬~ 269 00:39:18,514 --> 00:39:21,317 堀田様。 270 00:39:21,317 --> 00:39:26,856 ただいま 鈴ヶ森より 早馬が到着致しました。 271 00:39:26,856 --> 00:39:33,846 八百屋お七の仕置き 滞りなく 終えた由にござります。 272 00:39:33,846 --> 00:39:36,046 相分かった。 273 00:39:37,967 --> 00:39:42,705 甲斐庄 弔いは もちろん まかりならぬが➡ 274 00:39:42,705 --> 00:39:46,005 墓も作らせてはならぬ。 よいな。 275 00:39:49,478 --> 00:39:51,678 心得ました。 276 00:40:08,331 --> 00:40:42,832 ♬~ 277 00:40:42,832 --> 00:40:44,850 吉三様。 278 00:40:44,850 --> 00:41:04,170 ♬~ 279 00:41:04,170 --> 00:41:06,172 吉三様! 280 00:41:06,172 --> 00:41:43,072 ♬~ 281 00:41:54,587 --> 00:42:09,702 ♬「月が見えない夜だから 余計 寂しくなるのでしょう」 282 00:42:09,702 --> 00:42:25,251 ♬「声を殺して風が泣いてる 遠く さめざめと…」 283 00:42:25,251 --> 00:42:33,275 ♬「夢なら醒めるのに 確かに そこにいる」 284 00:42:33,275 --> 00:42:41,350 ♬「あなたの すぐそばで ずっと気づかれないで…」 285 00:42:41,350 --> 00:42:49,258 ♬「手鎖されたまま 身動き取れぬまま」 286 00:42:49,258 --> 00:42:57,500 ♬「いくつの朝を待ち 涙 流したでしょう」 287 00:42:57,500 --> 00:43:05,541 ♬「私だけの身勝手な愛」 288 00:43:05,541 --> 00:43:14,341 ♬「私だけの身勝手な愛」