1 00:00:02,648 --> 00:00:05,584 (天璋院)大奥を閉じるのが…・ 2 00:00:05,584 --> 00:00:10,856 私の役割であったと申すか。 3 00:00:10,856 --> 00:00:16,395 <天璋院は 大奥を去り 江戸城を明け渡します。・ 4 00:00:16,395 --> 00:00:20,232 そして 徳川家は およそ400万石から・ 5 00:00:20,232 --> 00:00:23,569 70万石に減俸されました。・ 6 00:00:23,569 --> 00:00:26,472 第十六代当主となった 家達は・ 7 00:00:26,472 --> 00:00:28,741 駿府に お国替えとなり・ 8 00:00:28,741 --> 00:00:33,741 家臣団や その家族と共に 江戸を離れます> 9 00:00:35,414 --> 00:00:40,286 <そして 静寛院も 京都に帰ることになったのです> 10 00:00:40,286 --> 00:00:43,756 次々に 人が去っていくの。 11 00:00:43,756 --> 00:00:48,427 <江戸に残った天璋院は 立ち退きと引っ越しを繰り返しながら・ 12 00:00:48,427 --> 00:00:51,764 家達の帰りを待つこととなりました。・ 13 00:00:51,764 --> 00:00:55,267 天璋院は 徳川家を守り続けるため・ 14 00:00:55,267 --> 00:01:00,706 明治という新しい時代に 一人 立ち向かうのです> 15 00:01:00,706 --> 00:01:14,720 ・~(テーマ音楽) 16 00:01:14,720 --> 00:03:45,070 ・~ 17 00:03:45,070 --> 00:03:50,770 元号が明治となった その年の暮れ。 18 00:03:55,080 --> 00:04:01,353 (唐橋)天璋院様 こちらは 西洋のパルファムにございます。 19 00:04:01,353 --> 00:04:03,288 パルファム? 20 00:04:03,288 --> 00:04:08,027 西洋の香水というものにございます。 21 00:04:08,027 --> 00:04:12,698 こちらを このように押しますと…。 22 00:04:12,698 --> 00:04:14,698 (本寿院)おっ! 23 00:04:17,369 --> 00:04:22,041 ほう… これは よき香りじゃ。 24 00:04:22,041 --> 00:04:27,212 西洋では 香をたきしめる代わりに 使うそうでございます。 25 00:04:27,212 --> 00:04:33,018 (歌橋)まあ 唐橋殿は また珍しきものを 手に入れられましたなあ。 26 00:04:33,018 --> 00:04:35,721 (本寿院)ふ~ん…。 27 00:04:35,721 --> 00:04:38,624 ああっ! 28 00:04:38,624 --> 00:04:43,062 このようなもの 何の腹の足しにもなりはせぬ。 29 00:04:43,062 --> 00:04:49,735 大奥にいた時のように おいしいものを 存分に食したいものじゃのう。 ほれ。 30 00:04:49,735 --> 00:04:53,072 江戸城を出られた 天璋院様は・ 31 00:04:53,072 --> 00:04:59,411 本寿院様 歌橋様らと共に 暮らしておいでになりました。 32 00:04:59,411 --> 00:05:02,181 (女中)失礼いたします。 33 00:05:02,181 --> 00:05:04,216 お客様にございます。 34 00:05:04,216 --> 00:05:06,685 客? 35 00:05:06,685 --> 00:05:11,023 (勝 海舟)シャケにございます。 (本寿院)おお~…。 36 00:05:11,023 --> 00:05:15,694 これはのう… 何よりのお歳暮じゃ。 37 00:05:15,694 --> 00:05:18,597 うまそうじゃのう。 38 00:05:18,597 --> 00:05:21,500 すまぬのう。 いえ。 39 00:05:21,500 --> 00:05:27,039 シャケといえば… 酒じゃのう。 40 00:05:27,039 --> 00:05:32,377 そう仰せかと思いまして こちらに…。 41 00:05:32,377 --> 00:05:38,250 わっ なんと… 気の利くお方じゃのう 勝殿は。 42 00:05:38,250 --> 00:05:43,722 では… ちょいとのう 味見と しゃれこむかの。 43 00:05:43,722 --> 00:05:47,022 かたじけのう存じまする。 44 00:05:52,064 --> 00:05:56,764 勝殿 勝殿…。 45 00:05:59,938 --> 00:06:05,677 相変わらず お元気ですなあ。 それだけが救いじゃ。 46 00:06:05,677 --> 00:06:10,349 その後 お暮らし向きの方は? 47 00:06:10,349 --> 00:06:15,220 見てのとおり なんとかやっておる。 48 00:06:15,220 --> 00:06:19,057 それより気がかりなのは そちたちのこと。 49 00:06:19,057 --> 00:06:21,960 駿府の様子は どうなっておる? 50 00:06:21,960 --> 00:06:26,698 はい。 当初は 食うや食わずでしたが・ 51 00:06:26,698 --> 00:06:31,370 田畑を開き あるいは 商売を始めるなど・ 52 00:06:31,370 --> 00:06:35,707 皆 懸命になって 新しい暮らしを築いております。 53 00:06:35,707 --> 00:06:38,544 そうか。 54 00:06:38,544 --> 00:06:41,380 家達様は? 55 00:06:41,380 --> 00:06:46,852 日々 武芸 学問に打ち込んでおられます。 56 00:06:46,852 --> 00:06:48,921 そうか。 57 00:06:48,921 --> 00:06:57,396 徳川宗家は 駿府70万石にお国替えとなり・ 58 00:06:57,396 --> 00:07:01,166 新しいご当主となられた亀之助様は・ 59 00:07:01,166 --> 00:07:06,338 家達様と 名を改めておいででした。 60 00:07:06,338 --> 00:07:15,681 それにしても… 元号が明治となり 江戸が東京となって・ 61 00:07:15,681 --> 00:07:19,381 帝が江戸城に入られた。 62 00:07:21,019 --> 00:07:29,719 我らが 大奥に住まいした頃が どんどん遠くなるのう。 63 00:07:31,363 --> 00:07:35,033 さようにございますな。 64 00:07:35,033 --> 00:07:47,045 ・~ 65 00:07:47,045 --> 00:07:52,345 今 政はどうなっておるのじゃ? 66 00:07:55,387 --> 00:08:03,128 新政府は 日本国を一新すべく 権力を一手に握ろうとしておりますが・ 67 00:08:03,128 --> 00:08:07,966 思いどおりにはいかぬようで…。 そうか…。 68 00:08:07,966 --> 00:08:15,266 その中心になるのは やはり 摩のようでございます。 69 00:08:18,010 --> 00:08:21,346 摩か…。 70 00:08:21,346 --> 00:08:24,383 その摩では…。 71 00:08:24,383 --> 00:08:31,990 (島津久光)領地を 朝廷に差し出せとは どういうことじゃ? 72 00:08:31,990 --> 00:08:37,362 (小松帯刀)版籍奉還とは 領地を いったん 朝廷にお返しした上で・ 73 00:08:37,362 --> 00:08:42,834 藩主が知藩事として 任命を受けるものです。 74 00:08:42,834 --> 00:08:48,640 我らの立場は どうなるのじゃ? 75 00:08:48,640 --> 00:08:54,579 帝の直参になる… とでも申せば よろしいでしょうか。 76 00:08:54,579 --> 00:08:57,049 なるほど。 77 00:08:57,049 --> 00:09:07,049 まず 私自らが 小松家の領地 吉利と 鹿児島の屋敷を返上いたします。 78 00:09:08,660 --> 00:09:12,960 手本を示すというわけか。 79 00:09:17,669 --> 00:09:24,443 小松家代々の祖先に対し…・ 80 00:09:24,443 --> 00:09:28,680 申し訳ないとは思わぬのか? 81 00:09:28,680 --> 00:09:36,021 過去にとらわれていては 新しい日本国はつくれませぬ。 82 00:09:36,021 --> 00:09:43,362 西洋の猿まねをしているだけのようにも 見えるがなあ。 83 00:09:43,362 --> 00:09:46,264 違います! 84 00:09:46,264 --> 00:09:51,964 これから我が国は 大きく変わります! 85 00:09:53,705 --> 00:09:57,376 率先して 版籍奉還を行えば・ 86 00:09:57,376 --> 00:10:03,248 摩の先見の明を 天下に知らしめることにもなりましょう。 87 00:10:03,248 --> 00:10:08,548 何とぞ お願い申し上げます! 88 00:10:15,394 --> 00:10:18,063 よかろう。 89 00:10:18,063 --> 00:10:21,763 思うとおりに やってみるがよい。 90 00:10:23,735 --> 00:10:26,638 ありがとう存じます。 91 00:10:26,638 --> 00:10:42,754 ・~ 92 00:10:42,754 --> 00:10:50,429 くちばしの黄色い者たちが えらいことを始めたものだ。 93 00:10:50,429 --> 00:10:56,101 それも 西郷や大久保など・ 94 00:10:56,101 --> 00:11:01,101 軽輩風情が 幅を利かせておると 申すではないか。 95 00:11:02,908 --> 00:11:10,048 本日は急ぎますので これにて 御免つかまつります。 96 00:11:10,048 --> 00:11:14,920 話をお聞きいただき まことに ありがとうございました。 97 00:11:14,920 --> 00:11:45,951 ・~ 98 00:11:45,951 --> 00:11:48,753 兄上…・ 99 00:11:48,753 --> 00:11:56,753 兄上が 夢みておられた 新しい日本とは…。 100 00:12:01,700 --> 00:12:05,700 (久光) こうしたものだったのでしょうか…。 101 00:12:07,372 --> 00:12:13,245 この後 摩は 版籍奉還を実行に移し・ 102 00:12:13,245 --> 00:12:19,384 日本は 近代国家へと 生まれ変わろうとしておりました。 103 00:12:19,384 --> 00:12:23,255 しかし…。 104 00:12:23,255 --> 00:12:26,858 (大久保利通) 我らは 突き進むべきでございます。 105 00:12:26,858 --> 00:12:30,729 まだまだ 財政は安定しておりません。 106 00:12:30,729 --> 00:12:33,398 (岩倉具視)改革を急ぎすぎているのでは? 107 00:12:33,398 --> 00:12:37,068 今 あきらめては 元の木阿弥。 108 00:12:37,068 --> 00:12:40,939 新政府からは 西郷様が離れられ・ 109 00:12:40,939 --> 00:12:47,412 大久保様たちによる 急激な改革は 多難を極めておりました。 110 00:12:47,412 --> 00:12:51,249 西郷が 摩に帰っておる? 111 00:12:51,249 --> 00:12:56,421 それで 大久保殿も苦労されてるようです。 112 00:12:56,421 --> 00:12:58,356 なぜじゃ? 113 00:12:58,356 --> 00:13:01,693 なぜ 西郷は摩に? 114 00:13:01,693 --> 00:13:07,693 (勝)いろいろと 思うところがあるようで…。 115 00:13:16,241 --> 00:13:19,244 帯刀殿…。 116 00:13:19,244 --> 00:13:24,916 小松殿は 何をしておられるのじゃ? 117 00:13:24,916 --> 00:13:27,919 ご病気だそうにございます。・ 118 00:13:27,919 --> 00:13:32,724 何でも 大阪で療養中とか。 119 00:13:32,724 --> 00:13:35,393 大阪…。 120 00:13:35,393 --> 00:13:39,064 小松殿が おられぬことで・ 121 00:13:39,064 --> 00:13:44,736 政府の混乱は 更に 深まっているようですな。 122 00:13:44,736 --> 00:13:52,410 帯刀殿が ご病気…。 123 00:13:52,410 --> 00:13:57,749 帯刀様は 新政府の激務の中 体調を崩され・ 124 00:13:57,749 --> 00:14:04,449 大阪の医学校で 西洋医学の治療を受けておられました。 125 00:14:09,828 --> 00:14:16,601 先生 いつになったら 動けるようになるのでしょうか? 126 00:14:16,601 --> 00:14:23,375 やらねばならないことは まだまだ あるのです。 127 00:14:23,375 --> 00:14:30,075 (アントニウス・ボードウィン)焦ってはいけません。 ゆっくり治していきましょう。 128 00:14:31,716 --> 00:14:34,416 (お琴)そうですよ。 129 00:14:38,390 --> 00:14:42,260 日本が 大変な時だというのに…。 130 00:14:42,260 --> 00:15:01,513 ・~ 131 00:15:01,513 --> 00:15:04,549 勝から 文などはないか? 132 00:15:04,549 --> 00:15:08,549 駿府で お忙しくしておいでなのでしょう。 133 00:15:13,024 --> 00:15:15,360 (女中)申し上げます。 134 00:15:15,360 --> 00:15:18,263 天璋院様に お客様でございます。 135 00:15:18,263 --> 00:15:20,231 勝か? 136 00:15:20,231 --> 00:15:24,035 それが… 摩から おいでになったと。 137 00:15:24,035 --> 00:15:26,735 摩から? 138 00:15:43,054 --> 00:15:46,558 (お幸)於一…。 139 00:15:46,558 --> 00:15:49,358 母上…。 140 00:15:51,062 --> 00:15:57,936 いえ… 天璋院様 これは とんだご無礼をいたしました。 141 00:15:57,936 --> 00:16:10,415 ・~ 142 00:16:10,415 --> 00:16:13,915 於一でよいのです。 143 00:16:15,687 --> 00:16:25,387 私は 母上の娘の於一のままでございます。 144 00:16:30,702 --> 00:16:34,372 母上! 145 00:16:34,372 --> 00:16:37,372 於一! 146 00:16:39,711 --> 00:16:45,711 よくぞ… よくぞ 遠路はるばる…。 147 00:16:48,386 --> 00:16:55,686 あなたに どうしても 一目会いたくて。 148 00:16:57,395 --> 00:17:00,665 うれしゅうございます。 149 00:17:00,665 --> 00:17:11,009 ・~ 150 00:17:11,009 --> 00:17:16,881 (島津忠敬)天璋院様 私も おるのでございますが…。 151 00:17:16,881 --> 00:17:27,358 ・~ 152 00:17:27,358 --> 00:17:33,658 兄上 お久しぶりにございます。 153 00:17:40,371 --> 00:17:43,842 しのも来てくれたのか。 154 00:17:43,842 --> 00:17:47,642 (しの)お懐かしゅう存じます。 155 00:17:52,050 --> 00:17:58,823 そなたのような粗忽者が 江戸城 大奥を統べていたとは・ 156 00:17:58,823 --> 00:18:01,659 わしには とても信じられんわ。 157 00:18:01,659 --> 00:18:04,996 私もです。 158 00:18:04,996 --> 00:18:18,009 ・~ 159 00:18:18,009 --> 00:18:24,883 そなたに 酒をついでもらうのは 15~16年ぶりになるかのう? 160 00:18:24,883 --> 00:18:33,358 確か 私が 摩のお城に上がる前の 夜のことにございましたね。 161 00:18:33,358 --> 00:18:36,694 おい つげ! はいはい。 162 00:18:36,694 --> 00:18:39,030 何だ? その言いぐさは。 163 00:18:39,030 --> 00:18:41,366 於一の酌では うまくない。 164 00:18:41,366 --> 00:18:44,269 (お幸)旦那様は? (島津忠剛)ん? 165 00:18:44,269 --> 00:18:50,708 父上にも もう一度 お会いしとうございました。 166 00:18:50,708 --> 00:19:00,051 わしも そなたの父で 何というか… 愉快であった。 167 00:19:00,051 --> 00:19:02,751 はい。 168 00:19:09,661 --> 00:19:15,533 あなたも よく頑張りましたね。 169 00:19:15,533 --> 00:19:19,337 私にございますか? 170 00:19:19,337 --> 00:19:29,013 徳川宗家が 今あるのは あなたが力を尽くしたゆえと聞きました。 171 00:19:29,013 --> 00:19:33,184 私は 母上に教わりました。 172 00:19:33,184 --> 00:19:36,688 己の役割を果たすこと。 173 00:19:36,688 --> 00:19:40,024 一方聞いて沙汰しないこと。 174 00:19:40,024 --> 00:19:46,364 そして 考えても答えが出なければ・ 175 00:19:46,364 --> 00:19:50,664 感じるままにせよということを。 176 00:19:53,137 --> 00:19:57,542 その教えを 守ってきたからこそ・ 177 00:19:57,542 --> 00:20:04,315 折々に よき道が開けたのだと思うています。 178 00:20:04,315 --> 00:20:09,721 そんなあなたの母であることを…・ 179 00:20:09,721 --> 00:20:13,421 私は 誇りに思います。 180 00:20:15,059 --> 00:20:17,962 母上…。 181 00:20:17,962 --> 00:20:28,606 ・~ 182 00:20:28,606 --> 00:20:36,347 お幸様は 後に 摩の今和泉家で 安らかに 息を引き取られます。 183 00:20:36,347 --> 00:20:42,086 60年の満ち足りた人生でございました。 184 00:20:42,086 --> 00:20:56,601 ・~ 185 00:20:56,601 --> 00:20:59,637 母上様は・ 186 00:20:59,637 --> 00:21:06,711 天璋院様に摩へ帰ってほしいと 願っていらしたのやも しれませぬなあ。 187 00:21:06,711 --> 00:21:15,011 それを言わぬのが 摩おごじょの誇りなのじゃ。 188 00:21:16,721 --> 00:21:19,921 なるほど。 189 00:21:30,268 --> 00:21:36,407 旧弊を改め 有能な者たちに働いてもらうには・ 190 00:21:36,407 --> 00:21:40,278 やはり 廃藩置県を断行せねばなりません。 191 00:21:40,278 --> 00:21:47,585 それには 261藩の藩主たちに 座を退いてもらわねばならん。 192 00:21:47,585 --> 00:21:51,456 我々だけで それが できますかな? 193 00:21:51,456 --> 00:21:55,093 やはり ここは 人望あつく・ 194 00:21:55,093 --> 00:21:59,897 力のある人物に 出てきてもらわねばならないでしょう。 195 00:21:59,897 --> 00:22:02,697 それは…。 196 00:22:05,203 --> 00:22:10,003 西郷… ですか。 197 00:22:21,052 --> 00:22:26,352 そろそろ おやすみになった方が ええのん違いますか? 198 00:22:27,925 --> 00:22:35,399 西郷さんと大久保さんに 伝えなければならない。 199 00:22:35,399 --> 00:22:39,237 2人が力を合わせなければ・ 200 00:22:39,237 --> 00:22:43,037 新政府が うまくいくはずはないのだ。 201 00:22:47,411 --> 00:22:50,748 (せきこみ) 202 00:22:50,748 --> 00:22:53,748 大丈夫ですか 帯刀さん! 203 00:22:56,621 --> 00:22:59,757 帯刀さん…。 204 00:22:59,757 --> 00:23:02,360 大丈夫だ。 205 00:23:02,360 --> 00:23:06,030 (せきこみ) 206 00:23:06,030 --> 00:23:10,368 誰か! 先生! 誰か…! 207 00:23:10,368 --> 00:23:35,393 ・~ 208 00:23:35,393 --> 00:23:39,063 尚五郎さんを 守りますように。 209 00:23:39,063 --> 00:23:43,763 於一殿を お守りしますように。 210 00:23:50,408 --> 00:23:59,417 尚五郎さんの病が 早くよくなりますように…。 211 00:23:59,417 --> 00:24:14,417 ・~ 212 00:24:26,377 --> 00:24:29,677 (ノックと戸が開く音) 213 00:24:37,989 --> 00:24:40,925 近…。 214 00:24:40,925 --> 00:24:47,064 (お近)摩で待っておられず 来てしまいました。 215 00:24:47,064 --> 00:24:50,735 しかし 一体…。 216 00:24:50,735 --> 00:24:55,239 うちが お文を差し上げたんどす。 217 00:24:55,239 --> 00:24:57,174 文を? 218 00:24:57,174 --> 00:25:03,374 お琴さんは あなた様のご様子を 知らせてくれていたのです。 219 00:25:04,916 --> 00:25:10,616 そうなのか…。 はい。 220 00:25:13,024 --> 00:25:16,694 居心地が悪いかもしれませんが・ 221 00:25:16,694 --> 00:25:22,694 しばらくは お琴さんと2人で 看病させていただきます。 222 00:25:24,368 --> 00:25:27,368 奥様…。 223 00:25:31,042 --> 00:25:48,392 ・~ 224 00:25:48,392 --> 00:25:51,392 2人とも…。 225 00:25:53,731 --> 00:25:56,731 すまぬ。 226 00:26:00,404 --> 00:26:06,010 頭を下げたはりますえ。 227 00:26:06,010 --> 00:26:09,680 気持ちがよいですねえ。 228 00:26:09,680 --> 00:26:31,702 ・~ 229 00:26:31,702 --> 00:26:41,712 しかし 帯刀様の容体が悪化したのは それから間もなくのこと。 230 00:26:41,712 --> 00:26:44,412 近…。 231 00:26:50,388 --> 00:26:54,258 お前に 頼みがある。 232 00:26:54,258 --> 00:26:57,558 安千代を…。 233 00:27:00,097 --> 00:27:03,597 小松家の当主としたい。 234 00:27:05,336 --> 00:27:09,206 分かっております。 235 00:27:09,206 --> 00:27:17,506 お前の手で… 摩の地で…。 236 00:27:19,350 --> 00:27:22,650 育ててほしいのだ。 237 00:27:30,694 --> 00:27:34,694 お琴も納得してくれている。 238 00:27:37,368 --> 00:27:40,404 分かりました。 239 00:27:40,404 --> 00:27:47,604 私がしっかりと 育て上げてみせます。 240 00:27:49,380 --> 00:27:53,250 お前には 感謝するばかりだ…。 241 00:27:53,250 --> 00:27:57,254 そのような…。 242 00:27:57,254 --> 00:28:01,959 夫婦ではありませぬか。 243 00:28:01,959 --> 00:28:05,329 そうだな。 244 00:28:05,329 --> 00:28:10,329 夫婦だな。 はい。 245 00:28:26,617 --> 00:28:32,022 楽しい人生を送ることができた。・ 246 00:28:32,022 --> 00:28:36,694 さまざまな人に会い・ 247 00:28:36,694 --> 00:28:41,394 さまざまなことを成し遂げられた。 248 00:28:47,338 --> 00:28:51,638 すばらしい日々だった…。 249 00:28:53,711 --> 00:28:58,382 お別れのようなこと おっしゃらないでください。 250 00:28:58,382 --> 00:29:14,331 ・~ 251 00:29:14,331 --> 00:29:17,331 別れなのだ。 252 00:29:24,675 --> 00:29:28,375 後を頼むぞ。 253 00:29:31,348 --> 00:29:34,251 近…。 254 00:29:34,251 --> 00:29:45,896 ・~ 255 00:29:45,896 --> 00:29:48,896 あなた…。 256 00:29:52,036 --> 00:29:54,371 尚五郎さん…。 257 00:29:54,371 --> 00:29:57,841 (お琴)帯刀さんのお好きなお肉を 買うてきましたえ。・ 258 00:29:57,841 --> 00:29:59,910 これで精を…。 259 00:29:59,910 --> 00:30:22,733 ・~ 260 00:30:22,733 --> 00:30:30,733 小松帯刀様 享年36にございました。 261 00:31:00,437 --> 00:31:04,308 急なお目通りを お許しくださいもんせ。 262 00:31:04,308 --> 00:31:07,845 大久保殿。 263 00:31:07,845 --> 00:31:12,683 ご立派になられて…。 264 00:31:12,683 --> 00:31:17,855 天璋院様に お知らせしなくては ならないことがあり・ 265 00:31:17,855 --> 00:31:20,758 参上いたしました次第でございもす。 266 00:31:20,758 --> 00:31:27,258 新政府の大久保殿が 私に 何の御用でしょう? 267 00:31:29,400 --> 00:31:36,073 本日は 摩の大久保正助として 参りもした。 268 00:31:36,073 --> 00:31:39,373 摩の…? 269 00:31:43,414 --> 00:31:46,750 まさか…。 270 00:31:46,750 --> 00:31:49,750 小松様が…。 271 00:31:51,422 --> 00:31:55,122 亡くなられましてございもす。 272 00:31:58,295 --> 00:32:05,295 7月20日 36歳のお若さでございもした。 273 00:32:07,371 --> 00:32:15,245 小松様は 最後の最後まで…・ 274 00:32:15,245 --> 00:32:20,245 日本国の未来を案じておられもした。 275 00:32:25,389 --> 00:32:35,065 私は 小松様のご遺志を 継ぐつもりでございもす。 276 00:32:35,065 --> 00:32:37,968 遺志…。 277 00:32:37,968 --> 00:33:23,046 ・~ 278 00:33:23,046 --> 00:33:25,382 ということは 私たち・ 279 00:33:25,382 --> 00:33:29,253 生まれる前から 大変な結びつきがあった ということですね。 280 00:33:29,253 --> 00:33:33,257 いや~… 結びつきと言われましても…。 281 00:33:33,257 --> 00:33:57,314 ・~ 282 00:33:57,314 --> 00:34:00,083 尚五郎さん…。 283 00:34:00,083 --> 00:34:03,053 (帯刀)人は いなくなるのではなく…・ 284 00:34:03,053 --> 00:34:05,823 また会う時の楽しみのために・ 285 00:34:05,823 --> 00:34:11,023 ひととき… 離れ離れになるだけのことです。 286 00:34:18,702 --> 00:34:26,043 次に会う時まで 元気でいます。 287 00:34:26,043 --> 00:34:33,917 そうですね 次に会う時まで。 288 00:34:33,917 --> 00:35:02,617 ・~ 289 00:35:21,231 --> 00:35:24,231 (大久保)邪魔しもんでな。 290 00:35:42,586 --> 00:35:47,724 鹿児島は まっこて遠かなあ。 291 00:35:47,724 --> 00:35:55,024 (西郷隆盛)遠かとは江戸… 東京の方じゃ。 292 00:36:11,348 --> 00:36:16,019 (帯刀)西郷さんと大久保さんに 伝えなければならない。 293 00:36:16,019 --> 00:36:18,689 2人が力を合わせなければ・ 294 00:36:18,689 --> 00:36:22,025 新政府が うまくいくはずはないのだ。 295 00:36:22,025 --> 00:36:37,574 ・~ 296 00:36:37,574 --> 00:36:45,048 明治4年。 西郷様は 中央政界に復帰。 297 00:36:45,048 --> 00:36:51,221 藩をなくし 府や県を置く 廃藩置県という荒療治を・ 298 00:36:51,221 --> 00:36:58,421 西郷様と大久保様は 手を組んで実現へと導いたのでした。 299 00:37:00,397 --> 00:37:09,673 そして 家達様は 廃藩置県によって 静岡の知藩事を免ぜられ・ 300 00:37:09,673 --> 00:37:13,973 東京に お戻りになられました。 301 00:37:17,547 --> 00:37:20,183 (徳川家達) ただいま戻りましてございます。 302 00:37:20,183 --> 00:37:23,687 おつとめ ご苦労でした。 303 00:37:23,687 --> 00:37:31,561 天璋院様 今後とも 諸事 よろしくお導きくださいませ。 304 00:37:31,561 --> 00:37:37,861 今日からは 私を 母だと思ってくださいね。 305 00:37:41,038 --> 00:37:46,710 母ではなく おばあさんでした。 306 00:37:46,710 --> 00:37:52,382 ほんとは ひいおばあさん。 ほんに。 (笑い声) 307 00:37:52,382 --> 00:37:56,720 (泣き声) 308 00:37:56,720 --> 00:37:59,623 これで とうとう 徳川家は・ 309 00:37:59,623 --> 00:38:03,994 駿河の国も失うてしもうたということか。 310 00:38:03,994 --> 00:38:07,330 よいではないですか 母上様。 311 00:38:07,330 --> 00:38:16,339 これからは 家達様と 家族共に暮らすことができるのですから。 312 00:38:16,339 --> 00:38:20,010 この狭い家でのう。 313 00:38:20,010 --> 00:38:24,681 共にのう…。 314 00:38:24,681 --> 00:38:27,681 (歌橋)本寿院様。 315 00:38:36,293 --> 00:38:43,066 天璋院様は 家達様に 武士としての修練のみならず・ 316 00:38:43,066 --> 00:38:49,266 新しい時代に ふさわしい教育を 施されました。 317 00:38:53,710 --> 00:38:55,645 (女中)失礼いたします。 318 00:38:55,645 --> 00:38:58,548 勝様が お見えにございます。 319 00:38:58,548 --> 00:39:00,484 勝が…。 320 00:39:00,484 --> 00:39:11,995 ・~ 321 00:39:11,995 --> 00:39:20,670 天璋院様 新政府は 士農工商という身分制度を撤廃し・ 322 00:39:20,670 --> 00:39:24,174 四民平等を行き渡らせるために・ 323 00:39:24,174 --> 00:39:30,680 職業選択や 土地売買の自由などを取り入れました。 324 00:39:30,680 --> 00:39:36,486 西洋に負けない 風通しのいい国を こしらえようとしているんですが・ 325 00:39:36,486 --> 00:39:40,190 難しいことも多いようです。 326 00:39:40,190 --> 00:39:44,027 無理からぬことじゃ。 327 00:39:44,027 --> 00:39:49,699 (勝)苦労しているのが 西郷殿だと申します。 328 00:39:49,699 --> 00:39:52,035 西郷が…? 329 00:39:52,035 --> 00:39:58,708 大久保殿や木戸殿 岩倉殿などは 今 海外を回っており・ 330 00:39:58,708 --> 00:40:02,579 留守を任された形ですから。 331 00:40:02,579 --> 00:40:08,579 そうですか。 西郷が…。 332 00:40:11,721 --> 00:40:16,021 そして その2年後…。 333 00:40:26,269 --> 00:40:29,569 (西郷)失礼つかまつりもす。 334 00:40:35,412 --> 00:40:38,081 もそっと近う。 335 00:40:38,081 --> 00:40:42,381 いや おいは ここで。 336 00:40:43,954 --> 00:40:52,429 本日は 天璋院様に お別れのご挨拶に参りもした。 337 00:40:52,429 --> 00:40:56,299 別れ? 338 00:40:56,299 --> 00:40:59,202 はい。 339 00:40:59,202 --> 00:41:02,706 おいは 摩に帰りもす。 340 00:41:02,706 --> 00:41:08,044 摩に… それはまた 何故ですか? 341 00:41:08,044 --> 00:41:13,044 やはり 政治は おいには 向いちょいもはん。 342 00:41:14,718 --> 00:41:18,418 何か あったのですか? 343 00:41:22,392 --> 00:41:32,068 おいがおると 大久保が 思いどおりに政治をやれんようでごわす。 344 00:41:32,068 --> 00:41:39,576 ほかの者たちと おいが 事あるごとに 衝突してしまうもんですから。 345 00:41:39,576 --> 00:41:42,412 なぜ 衝突など? 346 00:41:42,412 --> 00:41:47,083 おいは 古か男でございもす。 347 00:41:47,083 --> 00:41:52,889 古かもんを そげん やすやすとは 捨てられんとでごわす。 348 00:41:52,889 --> 00:41:58,762 大久保とも 意見が食い違うようになりもした。 349 00:41:58,762 --> 00:42:05,568 お二人は 兄弟のように 親しいと思うておりましたが…。 350 00:42:05,568 --> 00:42:09,568 昔のようには まいりもはん。 351 00:42:13,710 --> 00:42:18,581 小松様がいてくださればと…・ 352 00:42:18,581 --> 00:42:22,385 どれだけ考えたか分かりもはん。・ 353 00:42:22,385 --> 00:42:26,723 あのお方は ご自分を脇に置いて・ 354 00:42:26,723 --> 00:42:35,398 ほかの者を思いやる 清廉潔白なお心を お持ちでございもした。 355 00:42:35,398 --> 00:42:40,398 まことに そのとおりですね。 356 00:42:42,072 --> 00:42:49,072 天璋院様のご恩は 生涯 忘れもはん。 357 00:42:51,414 --> 00:42:55,885 江戸攻めを 思いとどまらせてくださったとは・ 358 00:42:55,885 --> 00:42:59,385 天璋院様でございもした。 359 00:43:05,362 --> 00:43:14,362 今でも おいの主君は 斉彬様 お一人でごわす。 360 00:43:16,373 --> 00:43:25,715 そのように思うてくれて 父上様も 喜んでおることでしょう。 361 00:43:25,715 --> 00:43:33,715 これが 天璋院様と西郷様の 永久の別れとなりました。 362 00:43:35,725 --> 00:43:41,398 去る人あれば 再び会う人も。 363 00:43:41,398 --> 00:43:44,734 (静寛院)お久しぶりでございます。・ 364 00:43:44,734 --> 00:43:50,240 昨日 京より東京に 戻りましてございます。 365 00:43:50,240 --> 00:43:55,412 よくお帰りになりました。 366 00:43:55,412 --> 00:44:02,112 また お会いすることが かない うれしゅう存じます。 367 00:44:09,359 --> 00:44:15,165 母上様 家達さんのことですが…。 368 00:44:15,165 --> 00:44:17,534 はい。 369 00:44:17,534 --> 00:44:24,040 本来ならば 徳川宗家のご当主たる 家達さんのご教育は・ 370 00:44:24,040 --> 00:44:26,943 私が引き受けるのが筋。 371 00:44:26,943 --> 00:44:35,218 それを 母上様に任せきりにしてしまい なんとも申し訳がたちません。 372 00:44:35,218 --> 00:44:39,018 ご心配には及びませぬ。 373 00:44:41,391 --> 00:44:49,091 家達様のご成長を見守るのが 何よりの喜びなのです。 374 00:44:53,002 --> 00:44:56,002 (家達)御免くださりませ。 375 00:45:02,345 --> 00:45:07,645 お初に お目にかかりまする。 家達にございます。 376 00:45:13,056 --> 00:45:18,695 これからの徳川宗家を よろしく頼みます。 377 00:45:18,695 --> 00:45:21,030 はい。 378 00:45:21,030 --> 00:45:26,703 家達様は 今 イギリスに留学するため・ 379 00:45:26,703 --> 00:45:29,706 英語を勉強しておいでなのですよ。 380 00:45:29,706 --> 00:45:34,906 まあ それは頼もしい。 381 00:45:42,051 --> 00:45:48,925 程なくして お二人は そろって お出かけになられました。 382 00:45:48,925 --> 00:46:21,691 ・~ 383 00:46:21,691 --> 00:46:25,361 さっ 参りましょう。 384 00:46:25,361 --> 00:46:35,371 ・~ 385 00:46:35,371 --> 00:46:39,842 今日のお芝居は いかがでございました? 386 00:46:39,842 --> 00:46:43,046 大変 面白うございました。 387 00:46:43,046 --> 00:46:45,715 (勝)それは よかった! 388 00:46:45,715 --> 00:46:49,385 左団次は 大変な人気でございます。 389 00:46:49,385 --> 00:46:52,685 また 見に行きとうございますねえ。 390 00:47:04,334 --> 00:47:06,269 私が。 391 00:47:06,269 --> 00:47:10,139 いえ 私が。 いえ 私が。 392 00:47:10,139 --> 00:47:13,042 では こういたしましょう。 393 00:47:13,042 --> 00:47:15,842 しゃもじ もう一本。 394 00:47:20,883 --> 00:47:46,075 ・~ 395 00:47:46,075 --> 00:47:53,216 家茂さんは 初めてお会いした時から・ 396 00:47:53,216 --> 00:47:59,389 江戸で生きていけるかもしれないと 思わせてくださった お方でした。 397 00:47:59,389 --> 00:48:03,389 そうだったのですか。 398 00:48:08,665 --> 00:48:14,470 私は 母上様と家茂さんの 仲むつまじさに・ 399 00:48:14,470 --> 00:48:18,270 やきもちをやいておりました。 400 00:48:20,009 --> 00:48:26,883 なさぬ仲とはいえ お二人は いつも お互いの心の内を・ 401 00:48:26,883 --> 00:48:31,020 分かり合っておられるご様子でしたから。 402 00:48:31,020 --> 00:48:36,192 私にとって 家茂様は・ 403 00:48:36,192 --> 00:48:44,901 家定様を失った悲しみから 私を お救いくださった方だったのです。 404 00:48:44,901 --> 00:48:47,704 (徳川家茂)これからは 母上様を・ 405 00:48:47,704 --> 00:48:51,040 ほかに代わるものなき 家族として お慕いし・ 406 00:48:51,040 --> 00:48:53,943 お守りしていきたいと考えております。 407 00:48:53,943 --> 00:48:56,713 家族…。 408 00:48:56,713 --> 00:49:09,292 ・~ 409 00:49:09,292 --> 00:49:15,198 この家は手狭で 宮様をお迎えすることはできません。 410 00:49:15,198 --> 00:49:18,968 されど もし よろしければ・ 411 00:49:18,968 --> 00:49:23,339 これからも 私たちと おつきあいいただけますか? 412 00:49:23,339 --> 00:49:29,145 もちろんです。 こちらから お願いいたします。 413 00:49:29,145 --> 00:49:33,049 しかし この後 静寛院様は・ 414 00:49:33,049 --> 00:49:39,549 32歳という若さで お亡くなりになるのでございました。 415 00:49:44,627 --> 00:49:52,927 そして このころ 新政府は 海外へと目を向け始めていました。 416 00:49:55,271 --> 00:49:58,271 (勝)天璋院様。 417 00:50:09,719 --> 00:50:15,858 大久保殿は 今 清国との戦争を回避すべく・ 418 00:50:15,858 --> 00:50:19,061 自ら かの地に出向いておられます。 419 00:50:19,061 --> 00:50:23,399 戦は避けられそうなのですか? 420 00:50:23,399 --> 00:50:28,271 大久保殿なら なんとかするでしょう。 421 00:50:28,271 --> 00:50:34,410 独断に過ぎると 批判する者もあるようですが・ 422 00:50:34,410 --> 00:50:40,583 今や お一人で 日本国を背負っておられるようなもの。 423 00:50:40,583 --> 00:50:45,087 しんの強い お人じゃからのう。 424 00:50:45,087 --> 00:50:49,892 富国強兵 殖産興業。・ 425 00:50:49,892 --> 00:50:54,430 西洋諸国に負けぬ 強い国をつくるというのは・ 426 00:50:54,430 --> 00:50:58,730 斉彬様の願いでもございましたな。 427 00:51:00,303 --> 00:51:08,603 そのご遺志を 大久保殿は 継いでいるのか…。 428 00:51:10,379 --> 00:51:14,550 そして 徳川家では・ 429 00:51:14,550 --> 00:51:19,422 家達様が 近衛家の泰子様とご婚約なされ・ 430 00:51:19,422 --> 00:51:23,922 更に ご家族が増えることとなりました。 431 00:51:30,032 --> 00:51:34,332 (太助)では 参ります。 笑顔で…。 432 00:51:37,740 --> 00:51:43,040 若奥様 もう少し 柔らかいお顔で。 433 00:51:47,416 --> 00:51:50,319 ペルリ赤鬼 どんな顔?・ 434 00:51:50,319 --> 00:51:53,319 あっ こんな顔 こんな顔 こんな顔~。 435 00:51:55,091 --> 00:51:57,391 (千吉)今です 兄貴! 436 00:51:58,961 --> 00:52:00,897 (シャッター音) 437 00:52:00,897 --> 00:52:05,535 天璋院様… こちらへ。 438 00:52:05,535 --> 00:52:08,571 何じゃ? 439 00:52:08,571 --> 00:52:19,871 ・~ 440 00:52:25,388 --> 00:52:29,725 滝山ではないか! 441 00:52:29,725 --> 00:52:34,597 重野 皆も…。 442 00:52:34,597 --> 00:52:43,573 (滝山)本日は 徳川宗家十六代 家達様 めでたくご婚約の由承り・ 443 00:52:43,573 --> 00:52:51,773 何としても お祝いを申し上げたく 一同 はせ参じましてございます。 444 00:52:54,283 --> 00:52:58,754 これまで どこにおったのじゃ? 445 00:52:58,754 --> 00:53:02,692 消息も分からず心配しておったのだぞ。 446 00:53:02,692 --> 00:53:07,463 お城を出たあと 実家に身を寄せましたが・ 447 00:53:07,463 --> 00:53:13,402 私も 一家を構えたく思い 養子を迎えました。・ 448 00:53:13,402 --> 00:53:15,705 養子夫婦でございます。 449 00:53:15,705 --> 00:53:19,375 初めまして。 450 00:53:19,375 --> 00:53:24,847 母上は 昔は とても怖かったのですよ。 451 00:53:24,847 --> 00:53:27,216 怖いのは 今も同じでございます。 452 00:53:27,216 --> 00:53:29,151 そなた 何を申すか! 453 00:53:29,151 --> 00:53:33,723 ほうほう 確かに怖いわ。 454 00:53:33,723 --> 00:53:37,727 (笑い声) 455 00:53:37,727 --> 00:53:43,399 ほほう これは 滝山ではないか。 456 00:53:43,399 --> 00:53:45,334 お久しぶりにございます。 457 00:53:45,334 --> 00:53:48,634 滝山じゃ 滝山じゃ。 458 00:53:54,744 --> 00:54:00,683 重野は 元気にしておったか? (重野)はい。 459 00:54:00,683 --> 00:54:07,323 そちを まだ 摩に連れていけずにおるのう。 460 00:54:07,323 --> 00:54:12,023 いつまでも 気長に待ちまする。 461 00:54:14,230 --> 00:54:16,999 連れ合いは…? 462 00:54:16,999 --> 00:54:22,371 まだ独り身にございます。 そうか。 463 00:54:22,371 --> 00:54:28,044 時々は 顔を見せに来てくれぬか? 464 00:54:28,044 --> 00:54:34,044 喜んで。 そのようにさせていただきます。 465 00:54:38,054 --> 00:54:40,956 天璋院様。 466 00:54:40,956 --> 00:54:44,927 そちら 息災であったか? 467 00:54:44,927 --> 00:54:47,730 (ふく)はい。 468 00:54:47,730 --> 00:54:51,567 (くわ)お会いできて うれしゅうございます。 469 00:54:51,567 --> 00:54:54,403 (かよ)ご無沙汰いたしました。 470 00:54:54,403 --> 00:54:57,703 (常磐)遅れまして相すみません。 471 00:55:03,212 --> 00:55:07,950 (常磐)天璋院様 お久しゅうございました。 472 00:55:07,950 --> 00:55:13,889 そちは… 常磐か? はい。 473 00:55:13,889 --> 00:55:20,563 娘と息子にございます。 そうか。 474 00:55:20,563 --> 00:55:23,365 (滝山)天璋院様。 475 00:55:23,365 --> 00:55:32,074 我ら皆 天璋院様のおかげで 今は 幸せに暮らしておりまする。 476 00:55:32,074 --> 00:55:36,378 私のおかげなどではない。 477 00:55:36,378 --> 00:55:43,078 でも それを聞いて まことに うれしいぞ。 478 00:55:49,725 --> 00:55:54,063 (太吉)では 私どもは これにて。 479 00:55:54,063 --> 00:55:56,732 そうじゃ! 480 00:55:56,732 --> 00:56:07,176 ・~ 481 00:56:07,176 --> 00:56:09,211 では 参ります。 482 00:56:09,211 --> 00:56:11,514 次は どの手で 笑ってもらいまひょ。 483 00:56:11,514 --> 00:56:14,817 その必要はねえよ。 へっ? 484 00:56:14,817 --> 00:56:21,023 見ろよ。 皆さん いいお顔をしてらっしゃるじゃねえか。 485 00:56:21,023 --> 00:56:31,700 ・~ 486 00:56:31,700 --> 00:56:37,840 今日は 最良の日じゃ。 487 00:56:37,840 --> 00:56:40,640 (シャッター音) 488 00:56:44,380 --> 00:56:50,052 しかし 明治10年 鹿児島では・ 489 00:56:50,052 --> 00:56:57,927 西郷様が 新政府の方針に不満を抱く 摩藩士たちのために挙兵。 490 00:56:57,927 --> 00:57:04,227 世に言う 西南戦争で 命を落とされたのでございます。 491 00:57:08,537 --> 00:57:12,007 こいでよか。 492 00:57:12,007 --> 00:57:15,678 西郷様の死によって・ 493 00:57:15,678 --> 00:57:19,548 武士の時代は ここに幕を降ろし・ 494 00:57:19,548 --> 00:57:26,021 そして 翌年の明治11年5月14日。 495 00:57:26,021 --> 00:57:31,360 大久保様が 政策に不満を持つ者たちの手によって・ 496 00:57:31,360 --> 00:57:36,031 その命を奪われてしまいました。 497 00:57:36,031 --> 00:57:40,031 やり残したことばかりじゃ…。 498 00:57:43,372 --> 00:57:47,372 そげな もんじゃろかいのう…。 499 00:57:49,245 --> 00:57:52,245 吉之助さあ…。 500 00:58:02,324 --> 00:58:05,624 家定様…。 501 00:58:08,197 --> 00:58:11,197 もう これ以上…。 502 00:58:13,669 --> 00:58:18,669 大切な人を見送りたくはありませぬ。 503 00:58:26,015 --> 00:58:29,885 (唐橋)失礼いたします。 504 00:58:29,885 --> 00:58:33,885 摩より これが。 505 00:58:36,659 --> 00:58:40,359 摩から…。 506 00:58:48,704 --> 00:58:52,041 お近さん…。 507 00:58:52,041 --> 00:58:58,714 お近様は 清直と名を改められた 安千代様と・ 508 00:58:58,714 --> 00:59:02,414 穏やかな日々を送っておられました。 509 00:59:03,986 --> 00:59:07,489 (お近)「摩では 此度の戦で・ 510 00:59:07,489 --> 00:59:12,161 西郷様をはじめ 多くの方々が亡くなりました。・ 511 00:59:12,161 --> 00:59:16,332 その上 大久保様までが…。・ 512 00:59:16,332 --> 00:59:22,204 天璋院様には さぞや お心を痛めて おいでのことと お察しいたします。・ 513 00:59:22,204 --> 00:59:29,511 そんな折 帯刀が残してくれたものを ふと思い出しました。・ 514 00:59:29,511 --> 00:59:34,183 この香木は かつて 夫が江戸に向かう時・ 515 00:59:34,183 --> 00:59:37,219 お守り代わりにと渡したものです。・ 516 00:59:37,219 --> 00:59:41,690 これを 天璋院様に お受け取りいただきたく・ 517 00:59:41,690 --> 00:59:43,692 お送りいたします。・ 518 00:59:43,692 --> 00:59:52,201 香木は 数百年の時を経ても その香りを失いません。・ 519 00:59:52,201 --> 00:59:59,375 遠い国に生まれた若木が 時を経て 我が国に運ばれ・ 520 00:59:59,375 --> 01:00:02,411 縁あって 私のもとで香り・ 521 01:00:02,411 --> 01:00:10,386 そして 今また あなた様のもとで 香ろうとしております。・ 522 01:00:10,386 --> 01:00:15,557 人の志も これに似て 長い時を経て・ 523 01:00:15,557 --> 01:00:21,363 いつか思いがけぬ人へと 伝わるのでございましょう。・ 524 01:00:21,363 --> 01:00:28,070 私は この後も 我が子に 父である帯刀のこと・ 525 01:00:28,070 --> 01:00:34,410 兄 清猷のこと 西郷様 大久保様・ 526 01:00:34,410 --> 01:00:39,081 龍馬様 天璋院様・ 527 01:00:39,081 --> 01:00:42,885 そして 日本国のために生きた・ 528 01:00:42,885 --> 01:00:48,757 多くの人たちの志を 伝えていこうと存じます。・ 529 01:00:48,757 --> 01:00:52,428 たとえ 人は亡くなろうとも・ 530 01:00:52,428 --> 01:00:56,765 その志は 消えはしないと思うのです」。 531 01:00:56,765 --> 01:01:07,042 ・~ 532 01:01:07,042 --> 01:01:13,042 そして 5年の時が流れ去り…。 533 01:01:16,051 --> 01:01:19,051 失礼いたします。 534 01:01:24,393 --> 01:01:27,729 それは? 535 01:01:27,729 --> 01:01:33,402 家達と泰子が 子を授かっての。 536 01:01:33,402 --> 01:01:39,274 それは それは おめでとうございます。 537 01:01:39,274 --> 01:01:45,414 それにしても お若いおばあ様にございますな。 538 01:01:45,414 --> 01:01:48,714 おばあさんではない。 539 01:01:50,285 --> 01:01:52,888 ひいおばあさんじゃ。 540 01:01:52,888 --> 01:01:57,092 若すぎるひいばあ様ですな。 541 01:01:57,092 --> 01:02:01,363 そちは 相変わらずじゃのう。 542 01:02:01,363 --> 01:02:07,063 アハハハハ…。 543 01:02:11,039 --> 01:02:15,377 続いてゆきますなあ。 544 01:02:15,377 --> 01:02:18,714 何がじゃ? 545 01:02:18,714 --> 01:02:23,385 徳川の家族にございます。 546 01:02:23,385 --> 01:02:28,085 それが 何より うれしいことじゃ。 547 01:02:31,727 --> 01:02:41,236 私は 亡き家定様のお心を 子々孫々に伝えることこそ・ 548 01:02:41,236 --> 01:02:48,744 我が道と思い定め 今日まで歩んでまいった。 549 01:02:48,744 --> 01:02:54,082 そして 人の幸せとは・ 550 01:02:54,082 --> 01:03:03,358 地位や名誉 まして 財産などではなく…・ 551 01:03:03,358 --> 01:03:07,229 気の置けぬ友や・ 552 01:03:07,229 --> 01:03:16,529 家族と共に過ごす穏やかな日々の中にこそ あるのだと思うておる。 553 01:03:22,711 --> 01:03:26,048 どうした? 554 01:03:26,048 --> 01:03:28,048 えっ…。 555 01:03:30,385 --> 01:03:40,095 ただ 天璋院様と話していると 生きることに 勇気がわきまする。 556 01:03:40,095 --> 01:03:47,736 この世とは むなしいこと つまらぬことなど・ 557 01:03:47,736 --> 01:03:51,406 一つとして ないのだと。 558 01:03:51,406 --> 01:03:54,406 それは そうじゃ。 559 01:03:56,278 --> 01:04:08,278 誰もが 天命… 果たすべき何かを持って この世に生まれてくるのだからな。 560 01:04:10,692 --> 01:04:15,030 果たすべき何か…。 561 01:04:15,030 --> 01:04:18,700 そうじゃ。 562 01:04:18,700 --> 01:04:22,200 天命じゃ。 563 01:04:28,043 --> 01:04:31,043 そして…。 564 01:05:14,189 --> 01:05:24,700 ・~ 565 01:05:24,700 --> 01:05:33,000 天璋院様が その天命を全うし この世を去られたのは… 566 01:05:37,045 --> 01:05:42,045 享年49でございました。 567 01:05:43,919 --> 01:05:50,592 幕末から明治へと この国が大きく その姿を変える時・ 568 01:05:50,592 --> 01:05:57,432 己の信じた一本道を ひたすらに歩み続けた 一人の女性・ 569 01:05:57,432 --> 01:06:03,505 篤姫様の物語は ここに幕を閉じます。 570 01:06:03,505 --> 01:06:08,677 そして その魂が向かった先は…。 571 01:06:08,677 --> 01:07:34,696 ・~ 572 01:07:34,696 --> 01:07:36,631 (菊本)姫様! 573 01:07:36,631 --> 01:07:40,035 では 私は これにて。 えっ? 574 01:07:40,035 --> 01:08:00,335 ・~ 575 01:08:01,990 --> 01:08:05,794 <明治3年 1870年。・ 576 01:08:05,794 --> 01:08:12,334 36歳という若さで この世を去った 小松帯刀。・ 577 01:08:12,334 --> 01:08:16,171 ふるさとにある 帯刀の墓の隣には・ 578 01:08:16,171 --> 01:08:21,343 妻 お近の墓が並び立っています。・ 579 01:08:21,343 --> 01:08:28,683 その近くには 帯刀の側室 お琴も眠っています。・ 580 01:08:28,683 --> 01:08:32,554 小松家ゆかりの 清浄寺。・ 581 01:08:32,554 --> 01:08:35,357 本堂に安置された仏像は・ 582 01:08:35,357 --> 01:08:40,057 お近が 大切にしていたものと 伝えられています> 583 01:08:42,230 --> 01:08:46,067 <帯刀が亡くなって 13年後。・ 584 01:08:46,067 --> 01:08:52,867 明治16年 1883年。 篤姫も この世を去ります> 585 01:08:54,709 --> 01:08:59,381 <葬儀には 1万人もの人々が 沿道に集まり・ 586 01:08:59,381 --> 01:09:03,652 葬列を見送ったといいます。・ 587 01:09:03,652 --> 01:09:08,652 徳川家の菩提寺の一つ 寛永寺> 588 01:09:10,325 --> 01:09:17,025 <49年の波乱に満ちた人生を終えた 篤姫の墓があります> 589 01:09:19,334 --> 01:09:25,034 <傍らには 好物と伝わる ビワの木が植えられています> 590 01:09:28,009 --> 01:09:34,683 <そして 隣には 夫 家定が眠っています> 591 01:09:34,683 --> 01:09:39,187 <幼い当主 家達の養育に力を注ぎ・ 592 01:09:39,187 --> 01:09:44,359 徳川家の未来を見つめ続けた篤姫。・ 593 01:09:44,359 --> 01:09:49,030 そこには 新しい時代を前向きに生きた・ 594 01:09:49,030 --> 01:09:52,730 一人の女性の姿がありました>