1 00:00:02,432 --> 00:00:07,170 <十三代将軍 徳川家定の 世継ぎの座を巡って・ 2 00:00:07,170 --> 00:00:09,839 派閥争いが起こっていました。・ 3 00:00:09,839 --> 00:00:12,508 井伊直弼率いる紀州派と・ 4 00:00:12,508 --> 00:00:16,379 老中 阿部を中心とする一橋派。・ 5 00:00:16,379 --> 00:00:20,183 幕政参加への野心に燃える斉彬は・ 6 00:00:20,183 --> 00:00:22,518 志を同じくする 阿部と共に・ 7 00:00:22,518 --> 00:00:25,421 一橋慶喜を推していました> 8 00:00:25,421 --> 00:00:29,859 (島津斉彬) 大奥に入るにあたっての務めは・ 9 00:00:29,859 --> 00:00:32,528 お世継ぎは 慶喜様と…・ 10 00:00:32,528 --> 00:00:34,864 家定公を説き伏せることじゃ。 11 00:00:34,864 --> 00:00:40,736 (篤姫)そのお役目 必ずや 果たしてごらんに入れまする。 12 00:00:40,736 --> 00:00:45,508 <しかし 大奥では 家定の生母 本寿院を筆頭に・ 13 00:00:45,508 --> 00:00:48,808 紀州派が大勢を占めていました> 14 00:00:50,880 --> 00:00:53,783 <まさに 四面楚歌の篤姫。・ 15 00:00:53,783 --> 00:01:00,490 阿部は 篤姫にとって 江戸城内における 唯一の頼みの綱だったのです> 16 00:01:00,490 --> 00:01:14,504 ・~(テーマ音楽) 17 00:01:14,504 --> 00:03:44,504 ・~ 18 00:03:55,531 --> 00:03:58,831 (徳川家定)それ~い! 19 00:04:02,138 --> 00:04:05,474 (幾島)お楽しそうにございますねえ。 20 00:04:05,474 --> 00:04:11,347 あれは 仮の姿じゃ。 私には 分かる。 21 00:04:11,347 --> 00:04:15,818 (笑い声) 22 00:04:15,818 --> 00:04:19,155 (家定)それ~い! 23 00:04:19,155 --> 00:04:21,991 お志賀が 言うたのじゃ。 24 00:04:21,991 --> 00:04:26,629 (志賀)とにかく 私は 公方様をお慕い申し上げております。 25 00:04:26,629 --> 00:04:28,698 できるだけ おそばにいて・ 26 00:04:28,698 --> 00:04:33,169 できるかぎり長く お世話したいと念じております。 27 00:04:33,169 --> 00:04:37,506 うつけであろうと お子ができようと できまいと・ 28 00:04:37,506 --> 00:04:42,378 私の願いは ただ それだけなのです。 29 00:04:42,378 --> 00:04:45,848 そのようなことを…。 30 00:04:45,848 --> 00:04:52,021 お志賀に比べると 家定様の あれやこれやを 気にしている自分は・ 31 00:04:52,021 --> 00:04:57,193 小さいのか 間違っているのかと 何度も 己に問うてみた。 32 00:04:57,193 --> 00:05:02,031 でも やはり 真実を知りたい気持ちは変わらぬ。 33 00:05:02,031 --> 00:05:05,468 それは何故? 34 00:05:05,468 --> 00:05:07,970 夫婦だからじゃ。 35 00:05:07,970 --> 00:05:10,606 夫婦…。 36 00:05:10,606 --> 00:05:17,106 近頃 よく父と母の姿を思い出す。 37 00:05:21,150 --> 00:05:23,486 あのようになりたい。 38 00:05:23,486 --> 00:05:29,358 あれこそが まことの夫婦ではないかと思えてな。 39 00:05:29,358 --> 00:05:33,496 だからこそ 知りたいのじゃ どうしても。 40 00:05:33,496 --> 00:05:37,496 家定様の本当のお姿を。 41 00:05:39,835 --> 00:05:43,706 御台様のお気持ち 分かります。 42 00:05:43,706 --> 00:05:47,343 それに お志賀は側室。 43 00:05:47,343 --> 00:05:51,180 御台様とは 立場も違いまする。 44 00:05:51,180 --> 00:05:55,518 それなのじゃ。 私は それを忘れておった。 45 00:05:55,518 --> 00:05:59,021 しかし 御台様 今は 何よりもまず…。 46 00:05:59,021 --> 00:06:03,521 一橋慶喜公か? はい。 47 00:06:08,464 --> 00:06:14,464 上様は あれほどに お元気だというのに…。 48 00:06:17,807 --> 00:06:20,142 それとこれとは 別です。 49 00:06:20,142 --> 00:06:23,813 どうか ご自分のお立場を お忘れなきように。 50 00:06:23,813 --> 00:06:25,748 分かっておる。 51 00:06:25,748 --> 00:06:31,487 近々 島津のお父君が 慶喜様と会われます。・ 52 00:06:31,487 --> 00:06:37,487 さすれば このお話にも 一段と勢いがつきましょう。 53 00:06:41,497 --> 00:06:46,368 ゆるりと話すのは これが初めてと存じまするが。 54 00:06:46,368 --> 00:06:50,506 (一橋慶喜)お噂は いろいろと耳に入ってまいりますが。 55 00:06:50,506 --> 00:06:52,441 某の噂が? 56 00:06:52,441 --> 00:06:57,141 どのようなものか 恐ろしゅうござりまするな。 57 00:07:00,182 --> 00:07:03,085 単刀直入に お尋ねする。 58 00:07:03,085 --> 00:07:09,458 あなた様は 今の幕府について どう思われましょうか? 59 00:07:09,458 --> 00:07:14,129 (慶喜)外には アメリカをはじめとする 諸外国が迫り・ 60 00:07:14,129 --> 00:07:20,469 内には 譜代大名衆と外様大名衆との 不和がございまする。 61 00:07:20,469 --> 00:07:27,243 某の見るところ この先 幕府は 抜き差しならぬことになるかと。 62 00:07:27,243 --> 00:07:29,478 (阿部正弘)これは 手厳しい。 63 00:07:29,478 --> 00:07:32,147 思うままを 申したにすぎませぬ。 64 00:07:32,147 --> 00:07:37,486 なればこそ 英明の聞こえ高い一橋様に・ 65 00:07:37,486 --> 00:07:42,786 是非とも 次代将軍に なっていただきたいと存じまする。 66 00:07:48,831 --> 00:07:55,831 某に 火中のくりを拾えと仰せですか。 67 00:07:57,506 --> 00:08:02,111 ただし こちらの阿部殿を筆頭に・ 68 00:08:02,111 --> 00:08:08,984 越前の慶永殿 宇和島の伊達宗城殿 水戸のお父上様・ 69 00:08:08,984 --> 00:08:15,457 不肖 斉彬などが 火よけの盾となること お約束いたしまする。 70 00:08:15,457 --> 00:08:21,330 その父が 口を挟むことも 某 快く思っておりませぬ。 71 00:08:21,330 --> 00:08:28,804 御三家たる水戸徳川家は 本来 そのような役にあらざるゆえ。 72 00:08:28,804 --> 00:08:33,142 我ら 外様もですなあ。 73 00:08:33,142 --> 00:08:38,814 これは 某の持論なのですが…。 74 00:08:38,814 --> 00:08:42,685 伺いましょう。 75 00:08:42,685 --> 00:08:47,985 天下を取るほど 骨の折れることはございませぬ。 76 00:08:49,825 --> 00:08:53,495 仮に 天下を取ってしくじるよりも・ 77 00:08:53,495 --> 00:08:58,834 取らずにいる方が ず~っとよろしいかと存じまする。 78 00:08:58,834 --> 00:09:05,641 某には この一橋家でさえ 過ぎたものにございまするゆえ。 79 00:09:05,641 --> 00:09:08,941 これはまた ご謙遜を。 80 00:09:11,113 --> 00:09:16,813 ただ事実を申しておりまする。 81 00:09:24,460 --> 00:09:28,297 なかなか とらえ難い お人でございまするな。 82 00:09:28,297 --> 00:09:31,497 (阿部)父君のこともありましょう。 83 00:09:34,470 --> 00:09:38,340 斉昭様のお味方からは 大層好かれ・ 84 00:09:38,340 --> 00:09:42,344 そうでない者たちからは 疎んじられておいでです。 85 00:09:42,344 --> 00:09:44,480 (せきこみ) 86 00:09:44,480 --> 00:09:49,151 大奥で嫌われておるのが よい例ということですな。 87 00:09:49,151 --> 00:09:52,187 天下の政をなす力は・ 88 00:09:52,187 --> 00:09:56,387 十分に備えておいでかと お見受けいたしまするが…。 89 00:09:58,494 --> 00:10:02,831 西郷。 そちは どう見た? 90 00:10:02,831 --> 00:10:09,605 (西郷吉之助)はっ。 評判どおりの 利発な方でございましょうが…。 91 00:10:09,605 --> 00:10:14,443 思うところを申せ。 は…。 92 00:10:14,443 --> 00:10:19,848 何ちゅうか… 頼りなく感じもした。 そのくせ…・ 93 00:10:19,848 --> 00:10:25,521 むやみな自信ばかりが 透けて見えるとでも申しましょうか…。 94 00:10:25,521 --> 00:10:28,190 こいは 言い過ぎもした。 95 00:10:28,190 --> 00:10:32,061 確かに いささか 慢心気味にも見える。 96 00:10:32,061 --> 00:10:36,365 もう少し慎み深いご仁であれば よいのやもしれぬ。 97 00:10:36,365 --> 00:10:43,138 されど 今は とにかく 一橋殿に かけるしかありませぬ。 98 00:10:43,138 --> 00:10:48,077 ほかに ふさわしい人物も おらぬことですしな。 99 00:10:48,077 --> 00:10:54,750 (せきこみ) 100 00:10:54,750 --> 00:11:01,156 斉彬様と西郷様が 摩に到着されたのは・ 101 00:11:01,156 --> 00:11:05,456 暑い盛りの日のことでございました。 102 00:11:12,768 --> 00:11:16,171 (小松尚五郎)西郷さん。 お久しぶりでごわす。 103 00:11:16,171 --> 00:11:19,208 (大久保正助)真っ先に 小松様のお屋敷に 連れてきもした。 104 00:11:19,208 --> 00:11:21,844 (有馬新七) いや~ おいどんたちまで一緒に…。 105 00:11:21,844 --> 00:11:24,346 (有村俊斎)ずうずうしく…。 (大山綱良)お邪魔しても よかでしょうか。 106 00:11:24,346 --> 00:11:26,281 遠慮は 無用です。 107 00:11:26,281 --> 00:11:28,851 ああ… こいは 奥方様。 お邪魔しておりもす。 108 00:11:28,851 --> 00:11:32,721 (お近)いらっしゃいませ。 西郷さん お帰りなさいませ。 109 00:11:32,721 --> 00:11:37,192 ご丁寧に痛み入りもす。 110 00:11:37,192 --> 00:11:41,864 いや~ よか夫婦ぶりでございもすな。 111 00:11:41,864 --> 00:11:44,900 (笑い声) さあ どうぞ。 112 00:11:44,900 --> 00:11:50,400 こいなら たっぷりありもす。 なあ? どうぞ。 113 00:11:58,213 --> 00:12:00,913 あの~…。 114 00:12:02,484 --> 00:12:06,155 西郷さんが 江戸から帰ったら…・ 115 00:12:06,155 --> 00:12:09,825 一番に聞きたいことがあったのです。 116 00:12:09,825 --> 00:12:12,125 何でしょう? 117 00:12:16,698 --> 00:12:20,398 一つは 公方様のことです。 118 00:12:24,840 --> 00:12:28,540 うつけとの噂が 流れているそうですが…。 119 00:12:30,512 --> 00:12:39,188 ハハハハハ… いや~ お城の中のことは おいどんたち 下々の者には…。 120 00:12:39,188 --> 00:12:42,188 そうした話を 耳にされたことも? 121 00:12:43,859 --> 00:12:47,196 よからぬ噂は いろいろ ありますし・ 122 00:12:47,196 --> 00:12:52,534 とかく 尾ひれがつきやすかもんですから 一概には…。 123 00:12:52,534 --> 00:12:56,234 答えにくいことなのですね。 124 00:13:01,810 --> 00:13:07,810 確かなことは分かりかねますゆえ 申し訳ありもはん。 125 00:13:09,685 --> 00:13:11,820 ならば もう一つ。 126 00:13:11,820 --> 00:13:14,489 (正助)次の公方様のことです。・ 127 00:13:14,489 --> 00:13:19,161 一橋慶喜様を 立てようとする動きがあるとか? 128 00:13:19,161 --> 00:13:25,033 しかも 一橋様を強く推す諸侯の一人が お殿様だとも聞きました。 129 00:13:25,033 --> 00:13:32,174 その上 篤姫様までが 巻き込まれておいでだと。 130 00:13:32,174 --> 00:13:36,845 (正助)今の公方様に嫁がれたとも そんためだと。 131 00:13:36,845 --> 00:13:39,845 それは まことなのでしょうか? 132 00:13:42,184 --> 00:13:48,184 ハハハハ… そげな話を 一体 どこで…。 133 00:13:53,795 --> 00:13:56,732 とにかく 政に関することは・ 134 00:13:56,732 --> 00:14:01,670 一切 他言無用ち 殿に言われておるのです。 135 00:14:01,670 --> 00:14:03,970 すんもはん。 136 00:14:08,343 --> 00:14:12,481 お話のところ すみません。 どうした? 137 00:14:12,481 --> 00:14:18,181 お殿様のお使者が参られて すぐに登城せよとのことでございます。 138 00:14:30,499 --> 00:14:33,835 そちと会うのは 1年半ぶりになるか。 139 00:14:33,835 --> 00:14:38,507 はっ 江戸で お目にかかって以来にございます。 140 00:14:38,507 --> 00:14:40,842 元気そうで 何よりじゃ。 141 00:14:40,842 --> 00:14:46,715 そちの家の方はどうじゃ。 夫婦仲よくやっておるか? 142 00:14:46,715 --> 00:14:51,853 おかげさまをもちまして すべて平穏無事にございます。 143 00:14:51,853 --> 00:14:54,523 それも祝着である。 144 00:14:54,523 --> 00:14:57,823 気になって おったからのう。 145 00:15:03,131 --> 00:15:08,303 気になっていることは… 私にもございます。 146 00:15:08,303 --> 00:15:12,808 ほう 言うてみよ。 147 00:15:12,808 --> 00:15:17,508 ご無礼とは承知の上で お尋ねいたします。 148 00:15:19,147 --> 00:15:21,147 篤姫様…。 149 00:15:22,818 --> 00:15:26,154 御台様のことにございますが…。 150 00:15:26,154 --> 00:15:28,454 うむ。 151 00:15:30,025 --> 00:15:32,725 今の公方様は…。 152 00:15:34,830 --> 00:15:38,166 うつけとの噂を 小耳に挟みました。 153 00:15:38,166 --> 00:15:43,505 また お殿様は 一橋慶喜公を 次の将軍にと お考えの由。 154 00:15:43,505 --> 00:15:48,805 御台様は そのために大奥に入られたとも。 155 00:15:51,847 --> 00:15:58,147 うつけだとご承知の上で 姫様を 御台様とされたのでしょうか? 156 00:16:03,792 --> 00:16:08,130 公方様は うつけではない。 157 00:16:08,130 --> 00:16:10,799 それは…。 158 00:16:10,799 --> 00:16:14,136 篤子が そう言うておるそうじゃ。 159 00:16:14,136 --> 00:16:19,436 その言葉以上に 確かなものがあろうか。 160 00:16:21,810 --> 00:16:26,681 公方様については とかくの噂がある。 161 00:16:26,681 --> 00:16:33,155 篤子の前に嫁いだ 2人のご正室に 子ができなんだのも・ 162 00:16:33,155 --> 00:16:37,025 公方様のお体のせいではないか という者もおる。 163 00:16:37,025 --> 00:16:44,325 しかし 篤子は 自分で子を産んでみせると 言い切っておると言う。 164 00:16:46,168 --> 00:16:50,839 あれは ぴしりと 一本筋の通った女子じゃ。 165 00:16:50,839 --> 00:16:53,742 そちならば分かるであろう。 166 00:16:53,742 --> 00:16:56,178 はい。 167 00:16:56,178 --> 00:17:10,692 ・~ 168 00:17:10,692 --> 00:17:13,662 その篤姫様は…。 169 00:17:13,662 --> 00:17:20,802 (阿部)せんだって 父君を 一橋様にお引き合わせしたのですが…。 170 00:17:20,802 --> 00:17:22,737 そうであったな。 171 00:17:22,737 --> 00:17:27,476 いかがでございましたか? 慶喜様は? 172 00:17:27,476 --> 00:17:31,346 聡明にして 英邁。 173 00:17:31,346 --> 00:17:35,817 目から鼻に抜けるがごとき 人物にございます。 174 00:17:35,817 --> 00:17:37,752 (幾島)そうですか。 175 00:17:37,752 --> 00:17:42,691 摩の父も そう申しておりましたか? はい。 176 00:17:42,691 --> 00:17:44,826 お世継ぎは やはり・ 177 00:17:44,826 --> 00:17:50,699 一橋様をおいて ほかには おられぬとのことにございました。 178 00:17:50,699 --> 00:17:53,699 そうですか。 179 00:17:57,405 --> 00:18:04,312 我が父の見立てなら 信じぬわけにはまいるまい。 180 00:18:04,312 --> 00:18:09,150 公方様のことでは 疑いかけたこともあったが…。 181 00:18:09,150 --> 00:18:11,286 御台様。 182 00:18:11,286 --> 00:18:15,790 畏れながら… 疑うとは? 183 00:18:15,790 --> 00:18:20,128 もうよいのじゃ。 わだかまりは解けた。 184 00:18:20,128 --> 00:18:23,128 さようでございますか。 185 00:18:25,000 --> 00:18:29,137 しかしのう 阿部殿。 186 00:18:29,137 --> 00:18:34,809 私は 子をなすことも あきらめては おらぬのです。 187 00:18:34,809 --> 00:18:39,809 男子を授かれば まごうかたなき お世継ぎじゃ。 188 00:18:42,150 --> 00:18:47,489 慶喜殿は 要らなくなる。 189 00:18:47,489 --> 00:19:00,068 ・~ 190 00:19:00,068 --> 00:19:08,109 それにしても 大奥は皆 そろいもそろって 水戸嫌い。・ 191 00:19:08,109 --> 00:19:15,450 阿部様のお力が 私どもにとっては 何よりの頼りにございますれば。 192 00:19:15,450 --> 00:19:18,353 私に それほどの力がありますやら。 193 00:19:18,353 --> 00:19:24,125 何を仰せです。 大奥でのあなた様の人気は・ 194 00:19:24,125 --> 00:19:27,162 それはもう 大したものにございますれば。 195 00:19:27,162 --> 00:19:31,800 そうだとしたら それは私が…。 196 00:19:31,800 --> 00:19:40,141 何も考えぬ 何も言わぬ老中だからでございましょう。 197 00:19:40,141 --> 00:19:44,012 これは 御台様の前で 失礼つかまつりました。 198 00:19:44,012 --> 00:19:47,482 かまわぬ 大切なことじゃ。 199 00:19:47,482 --> 00:19:51,482 よければ 話してはもらえませぬか? 200 00:19:53,154 --> 00:19:59,928 拙者は これまで… なるべく多くの者たちの声に・ 201 00:19:59,928 --> 00:20:03,798 耳を傾けるようにしてまいりました。 202 00:20:03,798 --> 00:20:07,502 よきことと存ずるが。 203 00:20:07,502 --> 00:20:09,437 ただ…。 204 00:20:09,437 --> 00:20:11,373 ただ? 205 00:20:11,373 --> 00:20:17,512 いかに多くの者が 自分のことのみを考えているか・ 206 00:20:17,512 --> 00:20:21,812 ここにきて ようやく分かってまいりました。 207 00:20:24,386 --> 00:20:29,858 14年も老中職をやりながら…。 208 00:20:29,858 --> 00:20:33,558 まことに愚かな話です。 209 00:20:38,867 --> 00:20:46,207 お父君のように 本気で 国を 憂いておいでの方は ごくわずか。 210 00:20:46,207 --> 00:20:54,507 勝手なことばかりを言う者たちの声を 聞くのも いささか 疲れ申した。 211 00:20:56,217 --> 00:21:00,488 あげくは 先のように・ 212 00:21:00,488 --> 00:21:05,160 自分からは何も言わない。 213 00:21:05,160 --> 00:21:09,497 何も考えていない老中だと・ 214 00:21:09,497 --> 00:21:12,400 陰で言われ…。 215 00:21:12,400 --> 00:21:17,839 言えば よいではありませぬか。 は? 216 00:21:17,839 --> 00:21:22,711 阿部殿の意見や考えを 臆せず ためらわず・ 217 00:21:22,711 --> 00:21:26,347 堂々と 口にすればよいではありませぬか。 218 00:21:26,347 --> 00:21:29,184 それは…。 219 00:21:29,184 --> 00:21:33,855 迷うた時は 何も考えず ただ感じよと・ 220 00:21:33,855 --> 00:21:36,758 摩の母に言われたことがありまする。 221 00:21:36,758 --> 00:21:42,363 己の気持ちに耳を澄まし 気持ちのままに動き・ 222 00:21:42,363 --> 00:21:45,867 あるいは 話せということではないでしょうか? 223 00:21:45,867 --> 00:21:50,167 気持ちのままに 話し 動く…。 224 00:21:52,373 --> 00:21:56,878 そのようにできたら…。 できまする。 225 00:21:56,878 --> 00:21:58,878 は。 226 00:22:00,482 --> 00:22:05,353 前に阿部殿が言うたように 武家の棟梁は 上様です。 227 00:22:05,353 --> 00:22:10,825 難しきことは 山とあろうが 上様を支えて差し上げるのは・ 228 00:22:10,825 --> 00:22:15,997 この私と 阿部殿のほかには おらぬと思うておる。 229 00:22:15,997 --> 00:22:19,033 言うべきは言い やるべきは やって・ 230 00:22:19,033 --> 00:22:23,033 上様と この国を もり立てていきましょうぞ。 231 00:22:28,710 --> 00:22:31,479 はは~っ! 232 00:22:31,479 --> 00:22:44,779 ・~ 233 00:22:57,739 --> 00:23:01,039 上様 お願いがございます。 234 00:23:02,811 --> 00:23:05,146 何じゃ? 235 00:23:05,146 --> 00:23:10,146 今宵 お渡りを願いたいのですが。 236 00:23:11,820 --> 00:23:14,820 (本寿院)もう慣れたわ。 237 00:23:17,692 --> 00:23:23,164 今宵は 駄目じゃ。 お志賀のところへ行く。 238 00:23:23,164 --> 00:23:36,164 ・~ 239 00:23:38,713 --> 00:23:41,182 それと同じ頃・ 240 00:23:41,182 --> 00:23:48,182 ハリスの強い要求により 下田条約が締結されました。 241 00:23:55,663 --> 00:23:59,367 (徳川斉昭) 誰が そのような約定を許したのじゃ。 242 00:23:59,367 --> 00:24:03,338 堀田備中守か!? (せきこみ) 243 00:24:03,338 --> 00:24:07,475 (阿部)イギリスとフランスは 広東に艦隊を送り・ 244 00:24:07,475 --> 00:24:11,346 清国を相手に 新たな戦を始めておりまする。 245 00:24:11,346 --> 00:24:13,348 それがどうした。 246 00:24:13,348 --> 00:24:17,819 その戦が終わりしだい 我が国に攻め込み・ 247 00:24:17,819 --> 00:24:21,689 武力でもって 通商を強いるとの噂でござりまする。 248 00:24:21,689 --> 00:24:24,158 (松平慶永)今 日本を守るには・ 249 00:24:24,158 --> 00:24:27,829 まずは アメリカと平和裏に 条約を結ぶしかないと。 250 00:24:27,829 --> 00:24:29,764 そんな ばかな話があるか! 251 00:24:29,764 --> 00:24:35,570 堀田に切腹を命じ ハリスとやらの首を はねてしまえばよいのじゃ。 252 00:24:35,570 --> 00:24:39,173 ああ… そのハリスですが・ 253 00:24:39,173 --> 00:24:42,210 またも しつこく江戸に来ることを 求めているとか。 254 00:24:42,210 --> 00:24:46,047 己… どこまでも つけあがりおって! 255 00:24:46,047 --> 00:24:49,817 伊勢守 それもこれも そちら老中が…。 水戸様。 256 00:24:49,817 --> 00:24:53,721 何じゃ。 事は 風雲急を告げておりまする。 257 00:24:53,721 --> 00:24:59,193 我が国の通商 開国は 諸国の求めるところ。 258 00:24:59,193 --> 00:25:03,164 もはや 避け難いかと存じまする。 259 00:25:03,164 --> 00:25:07,802 ほかに 手はないと申すか。 260 00:25:07,802 --> 00:25:11,139 一つだけ…。 261 00:25:11,139 --> 00:25:17,812 諸外国と… 勝てる見込みのない戦をし・ 262 00:25:17,812 --> 00:25:22,317 我が国を 彼らのしもべとさせるか。 263 00:25:22,317 --> 00:25:26,117 我が国が勝てぬなど…。 勝てませぬ! 264 00:25:28,823 --> 00:25:32,694 今こそ 時勢が 大きく変わる時にございます。 265 00:25:32,694 --> 00:25:37,498 我らが 一丸となって 事に当たること。 266 00:25:37,498 --> 00:25:43,371 さすれば 不本意な条件での開国だけは・ 267 00:25:43,371 --> 00:25:46,174 回避できるかとも存じまするが。 268 00:25:46,174 --> 00:25:54,515 伊勢守殿が そこまで言うなら まあ わしも 話を聞かぬではないが。 269 00:25:54,515 --> 00:25:57,815 ありがとうございまする。 270 00:25:59,854 --> 00:26:06,154 よろしくお願い申し上げまする。 271 00:26:10,798 --> 00:26:17,798 ところが それから20日もたたない 6月17日。 272 00:26:21,442 --> 00:26:23,378 下がってよいぞ。 273 00:26:23,378 --> 00:26:25,678 はっ。 274 00:26:34,822 --> 00:26:39,494 阿部が… 死んだ…。 275 00:26:39,494 --> 00:26:45,166 思い半ばでの突然の死でございました。 276 00:26:45,166 --> 00:26:48,836 この大事なる時に何ということだ。 277 00:26:48,836 --> 00:26:52,173 (慶永)無理もない。 老中になって 14年。 278 00:26:52,173 --> 00:26:57,512 激務に次ぐ激務を こなしてこられたのですから。 279 00:26:57,512 --> 00:27:00,014 悲しんでばかりもおられぬ。 280 00:27:00,014 --> 00:27:03,284 ここは 性根をすえねば。 281 00:27:03,284 --> 00:27:06,788 我らが まず諮るべきは 堀田殿に・ 282 00:27:06,788 --> 00:27:10,658 慶喜公擁立の件を 建議すべきことかと。 283 00:27:10,658 --> 00:27:13,127 しかし 堀田では 心もとない。 284 00:27:13,127 --> 00:27:18,466 ハリスの件を含め 絶えず様子を探らねばならぬ。 285 00:27:18,466 --> 00:27:21,969 恐ろしいことになって まいりましたなあ。 286 00:27:21,969 --> 00:27:25,807 あの者が動きだすのでは…。 287 00:27:25,807 --> 00:27:28,507 あの者? 288 00:27:35,817 --> 00:27:41,155 そうか 伊勢守が身まかったか。 289 00:27:41,155 --> 00:27:44,058 (長野主馬) 我らに風が吹いてまいりましたなあ。 290 00:27:44,058 --> 00:27:48,029 (宇津木六之丞)ここは ひとつ 紀州の慶福殿を 強く推しましょうぞ。 291 00:27:48,029 --> 00:27:51,799 焦ることはない。 292 00:27:51,799 --> 00:27:59,173 阿部が消えた今 一橋を推す者たちは 支えを失ったも同然。・ 293 00:27:59,173 --> 00:28:04,579 幸い 島津殿も 摩に戻っておいでじゃ。 294 00:28:04,579 --> 00:28:06,514 されど…。 295 00:28:06,514 --> 00:28:10,384 わしも 程なく 江戸へ行く。 296 00:28:10,384 --> 00:28:17,592 次の将軍は あくまで 今の公方様に決めていただく。 297 00:28:17,592 --> 00:28:20,461 それが 筋というものゆえな。 298 00:28:20,461 --> 00:28:24,132 公方様は 承知されましょうか? 299 00:28:24,132 --> 00:28:31,132 何があろうと 承知していただくしかあるまい。 300 00:28:33,474 --> 00:28:37,345 その知らせは 大奥にも…。 301 00:28:37,345 --> 00:28:39,814 (滝山)阿部老中が…。 302 00:28:39,814 --> 00:28:41,814 (中臈)はい。 303 00:28:43,484 --> 00:28:46,821 嵐が来るぞ。 はい? 304 00:28:46,821 --> 00:28:53,161 お城と この国を揺るがすほどの…・ 305 00:28:53,161 --> 00:28:56,161 嵐じゃ。 306 00:29:00,434 --> 00:29:03,434 阿部殿が!? 307 00:29:06,307 --> 00:29:12,780 しかも 日本が このような大事の時に…。 308 00:29:12,780 --> 00:29:15,116 何という…。 309 00:29:15,116 --> 00:29:18,452 (幾島)御台様 こうしてはおられませぬよ。 310 00:29:18,452 --> 00:29:23,124 何がじゃ? 前にも 申したではありませぬか。 311 00:29:23,124 --> 00:29:28,824 阿部様なしでは 我らは 何もできぬと。 312 00:29:31,465 --> 00:29:33,801 まだ間に合いまする。 313 00:29:33,801 --> 00:29:39,674 どうぞ 此度こそ 公方様に 次なる将軍のお話を。 314 00:29:39,674 --> 00:29:46,480 ここで 公方様にお約束をいただかねば 我らに道はなくなるのです。 315 00:29:46,480 --> 00:29:51,352 父君にも 顔向けができませぬぞ。 316 00:29:51,352 --> 00:29:53,821 幾島。 317 00:29:53,821 --> 00:29:55,756 はい。 318 00:29:55,756 --> 00:30:00,494 阿部殿に会うたのは たった2度だけじゃ。 319 00:30:00,494 --> 00:30:03,397 はい。 320 00:30:03,397 --> 00:30:11,138 しかし 物腰が柔らかで 好ましい お人柄であった。 321 00:30:11,138 --> 00:30:15,843 はあ… それは。 322 00:30:15,843 --> 00:30:19,180 そのようなお人が 亡くなったというのに・ 323 00:30:19,180 --> 00:30:24,480 ただ悲しんでいるわけには いかぬのじゃな。 324 00:30:31,759 --> 00:30:35,459 その翌朝。 325 00:30:42,403 --> 00:30:44,872 上様。 326 00:30:44,872 --> 00:30:47,208 何じゃ? 327 00:30:47,208 --> 00:30:50,678 阿部殿が亡くなりました。 328 00:30:50,678 --> 00:30:53,547 そうじゃのう。 329 00:30:53,547 --> 00:30:58,419 上様と 阿部殿の思い出話などを しとうございます。 330 00:30:58,419 --> 00:31:01,719 お渡り願えませんでしょうか? 331 00:31:06,494 --> 00:31:09,397 阿部の話などしてみよ。 332 00:31:09,397 --> 00:31:12,697 化けて出るぞう。 333 00:31:20,841 --> 00:31:24,178 江戸は 大変な騒ぎになっておる。 334 00:31:24,178 --> 00:31:29,050 幕府の大黒柱が 急に亡くなったのだから無理もない。 335 00:31:29,050 --> 00:31:31,519 ハリスのこともある。 336 00:31:31,519 --> 00:31:35,389 新たな人材の登用も 急務であろう。 337 00:31:35,389 --> 00:31:41,529 だが 何より気になるのは… お篤のことじゃ。 338 00:31:41,529 --> 00:31:43,464 はい。 339 00:31:43,464 --> 00:31:48,402 我らは 車輪の一方を失った。 340 00:31:48,402 --> 00:31:54,542 今や お世継ぎの件で 頼るべきは…・ 341 00:31:54,542 --> 00:31:58,212 お篤しかおらぬ。 342 00:31:58,212 --> 00:32:20,468 ・~ 343 00:32:20,468 --> 00:32:27,168 何よりもまず 私は…。 344 00:32:28,843 --> 00:32:32,543 妻になりたいのです。 345 00:32:34,715 --> 00:32:38,015 妻として…。 346 00:32:39,854 --> 00:32:43,854 夫と向き合いたいのです。 347 00:32:46,527 --> 00:32:48,827 それは…。 348 00:32:51,866 --> 00:32:55,736 許されぬことなのでしょうか? 349 00:32:55,736 --> 00:33:00,474 [ 回想 ] (お幸)思い迷うたら…。 考えるのをやめなされ。・ 350 00:33:00,474 --> 00:33:04,812 考えるのではなく感じるのです。・ 351 00:33:04,812 --> 00:33:11,152 自分を信じて 感じるがままに任せるのです。 352 00:33:11,152 --> 00:33:31,172 ・~ 353 00:33:31,172 --> 00:33:36,472 御台様。 どうかなさいましたか? 354 00:33:43,184 --> 00:33:46,520 幾島。 はい。 355 00:33:46,520 --> 00:33:48,856 私は間違っておった。 356 00:33:48,856 --> 00:33:50,791 は? 357 00:33:50,791 --> 00:33:56,197 一橋慶喜殿の件 上様にお話しする。 358 00:33:56,197 --> 00:33:58,532 うれしゅうございます。 359 00:33:58,532 --> 00:34:02,403 やっと その気に なってくださったのですね。 360 00:34:02,403 --> 00:34:04,338 ああ。 361 00:34:04,338 --> 00:34:07,141 でも なぜ急に? 362 00:34:07,141 --> 00:34:09,076 (侍女)失礼いたします。 363 00:34:09,076 --> 00:34:15,015 公方様は 今宵 奥泊まりとのことにございます。 364 00:34:15,015 --> 00:34:21,155 何という間のよさ! これは きっと 御台様のお気持ちが・ 365 00:34:21,155 --> 00:34:24,058 公方様に通じたに違いありませぬ。 366 00:34:24,058 --> 00:34:28,829 初瀬殿。 (初瀬)はい。 367 00:34:28,829 --> 00:34:33,501 公方様がお渡りになる。 抜かりなく お支度を。 368 00:34:33,501 --> 00:34:35,436 承知いたしました。 369 00:34:35,436 --> 00:34:38,372 頼んだぞ。 370 00:34:38,372 --> 00:34:50,050 (鈴の音) 371 00:34:50,050 --> 00:34:54,522 はあ~ 母上に 泣きつかれてのう。 372 00:34:54,522 --> 00:34:59,222 早う子をつくれ 子をつくれと。 疲れたわ。 373 00:35:00,794 --> 00:35:04,665 畏れながら 上様。 何じゃ。 子はできぬぞ。 374 00:35:04,665 --> 00:35:07,301 聞いていただきたい お話がございます。 375 00:35:07,301 --> 00:35:09,603 ねずみの話なら もうよいぞ。 376 00:35:09,603 --> 00:35:14,403 いいえ 私の話にございます。 377 00:35:20,347 --> 00:35:22,647 何じゃ? 378 00:35:25,085 --> 00:35:31,492 私は… 摩の分家から本家の姫となり・ 379 00:35:31,492 --> 00:35:37,831 公家の娘 そして 御台所となりました。 380 00:35:37,831 --> 00:35:42,169 私は いわば成り上がりにございます。 381 00:35:42,169 --> 00:35:45,072 ほう。 382 00:35:45,072 --> 00:35:48,372 その成り上がりは…。 383 00:35:51,178 --> 00:35:58,178 ある使命を帯びて お城に入りました。 使命? 384 00:36:00,187 --> 00:36:03,457 上様にお願いして・ 385 00:36:03,457 --> 00:36:07,795 一橋慶喜公を お世継ぎと お定めくださるよう・ 386 00:36:07,795 --> 00:36:10,795 との密命にございます。 387 00:36:16,804 --> 00:36:21,141 このこと お話しすること 迷いに迷いました。 388 00:36:21,141 --> 00:36:25,012 されど 上様に うつけのふりを なさっておいでなのではと・ 389 00:36:25,012 --> 00:36:28,482 迫っておきながら 己が 秘密を持ったままでは・ 390 00:36:28,482 --> 00:36:32,482 卑怯ではないか… そう思い お話しいたしました。 391 00:36:34,822 --> 00:36:39,493 しかし そういう事情であれば 阿部が死んだのは 困るのう。 392 00:36:39,493 --> 00:36:42,830 大きな痛手ではないか。 393 00:36:42,830 --> 00:36:46,166 は? 大変じゃぞう。 394 00:36:46,166 --> 00:36:49,837 大奥は 水戸嫌いが ごっそり集まっておるでのう。 395 00:36:49,837 --> 00:36:51,872 それは 存じておりますが…。 396 00:36:51,872 --> 00:36:55,509 しかしのう そなただけでなく わしも困っておるのじゃ。 397 00:36:55,509 --> 00:36:58,846 は? 阿部が死んだことじゃ。 398 00:36:58,846 --> 00:37:03,450 これまで あの者に 任せっきりにしておいたからのう。 399 00:37:03,450 --> 00:37:05,386 はあ…。 400 00:37:05,386 --> 00:37:12,459 いつまでも うつけのままでは おられぬように なってしもうた。 401 00:37:12,459 --> 00:37:18,159 今… 何とおっしゃいました? 402 00:37:19,800 --> 00:37:25,472 阿部は 譜代も外様も関係なく 力のある大名が集まって・ 403 00:37:25,472 --> 00:37:28,809 国を 一つにまとめることを 考えておった。 404 00:37:28,809 --> 00:37:31,845 それならば 将軍など お飾りでよかろう。 405 00:37:31,845 --> 00:37:34,481 ゆえに 任せておいたのじゃ。 406 00:37:34,481 --> 00:37:39,820 なのに 途中で死におったわ。 困った男じゃ。 407 00:37:39,820 --> 00:37:41,755 上様…。 408 00:37:41,755 --> 00:37:43,691 それに そなたの言う密命か? 409 00:37:43,691 --> 00:37:48,829 阿部を見ておったら そんなこと とうに分かっておったわ。 410 00:37:48,829 --> 00:37:53,167 上様は やはり まともな お方だったのですね。 411 00:37:53,167 --> 00:37:56,167 まとものう…。 412 00:37:57,838 --> 00:38:02,109 しかし なぜ 今まで うつけのふりなど…。 413 00:38:02,109 --> 00:38:05,779 その前に わしは 一橋は好かぬぞ。 414 00:38:05,779 --> 00:38:08,115 それは 何故にございますか? 415 00:38:08,115 --> 00:38:10,451 好かぬものは 好かぬ。 それだけじゃ。 416 00:38:10,451 --> 00:38:13,787 では 紀伊の慶福様を? 417 00:38:13,787 --> 00:38:20,127 よいか。 今のままでは 幕府は滅びる。 徳川宗家も消えてなくなるであろう。 418 00:38:20,127 --> 00:38:22,463 将軍家がですか…? 419 00:38:22,463 --> 00:38:28,268 考えてもみよ。 国 閉じたままでいれば 異国からの脅しを受け・ 420 00:38:28,268 --> 00:38:30,804 ついには 砲火を浴びることとなろう。 421 00:38:30,804 --> 00:38:36,977 かといって 強引に国開けば 攘夷派と開国派の間で 合戦となる。 422 00:38:36,977 --> 00:38:41,148 今の幕府には そのどちらをも押さえ込む力はない。 423 00:38:41,148 --> 00:38:44,485 何か… 何か手だては? 424 00:38:44,485 --> 00:38:46,487 阿部が考えておった・ 425 00:38:46,487 --> 00:38:50,824 国挙げての政という策が ないわけでもない。 426 00:38:50,824 --> 00:38:54,495 だが これとて 譜代は 外様と ないまぜにされ・ 427 00:38:54,495 --> 00:38:58,165 徳川宗家も 一大名にすぎなくなる。 428 00:38:58,165 --> 00:39:02,035 将軍家は その役割を終えるであろう。 429 00:39:02,035 --> 00:39:05,272 つまり 誰が将軍になろうと同じことじゃ。 430 00:39:05,272 --> 00:39:10,444 特に 一橋に この国難が乗り切れるとは とても思えぬ。 431 00:39:10,444 --> 00:39:16,316 よもや 上様は 最後の将軍と おなりあそばす おつもりでは…。 432 00:39:16,316 --> 00:39:20,454 そうなれば なったでよい。 最後であれば 世継ぎも要らぬしな。 433 00:39:20,454 --> 00:39:24,324 それで お子は要らぬと…。 そのようなことは どうでもよいことじゃ。 434 00:39:24,324 --> 00:39:28,796 疲れた。 寝る。 上様。 何じゃ。 435 00:39:28,796 --> 00:39:30,731 上様が まともどころか・ 436 00:39:30,731 --> 00:39:35,031 鋭敏明晰な お方だと分かった上で 申し上げます。 437 00:39:36,670 --> 00:39:40,670 上様は あまりに身勝手と存じます。 438 00:39:42,342 --> 00:39:45,145 身勝手じゃと? はい。 439 00:39:45,145 --> 00:39:48,816 将軍なら 国のため 民のために・ 440 00:39:48,816 --> 00:39:52,116 それなりのことを なさるべきだと思います。 441 00:39:55,689 --> 00:39:59,389 そなたに 何が分かる。 442 00:40:03,363 --> 00:40:09,002 わしは 父上の9番目の子供 三男に生まれた。 443 00:40:09,002 --> 00:40:13,173 兄弟は 26人いたが 皆 早死にした。 444 00:40:13,173 --> 00:40:16,844 唯一残ったのが わしじゃ。 445 00:40:16,844 --> 00:40:21,715 そのわしも これまで 何度も 毒をのまされた。 446 00:40:21,715 --> 00:40:24,585 もはや 体は ぼろぼろじゃ。 447 00:40:24,585 --> 00:40:28,021 夜になると 頭を上げるのがつらい。 448 00:40:28,021 --> 00:40:31,859 わしは もう 長くはないであろう。 上様…。 449 00:40:31,859 --> 00:40:35,729 だったら うつけのまねでも 何でもやって・ 450 00:40:35,729 --> 00:40:39,533 己の運命を笑ってやりたかったのじゃ! 451 00:40:39,533 --> 00:40:43,403 わし一人を この世に残し わしを将軍にしたところで・ 452 00:40:43,403 --> 00:40:46,039 この国は どうにもならぬ! 453 00:40:46,039 --> 00:40:49,839 それを 天に分からせて やりたかったのじゃ! 454 00:41:02,155 --> 00:41:07,155 疲れた… 寝る。 455 00:41:14,501 --> 00:41:20,173 案ずるな そなたの密命のこと 誰にも話したりはせぬ。・ 456 00:41:20,173 --> 00:41:24,873 そなたも わしについて 余計なことは口にするな。 457 00:41:31,184 --> 00:41:35,484 私が お助けいたします。 458 00:41:40,527 --> 00:41:48,402 私は… あなた様の妻にございます。 459 00:41:48,402 --> 00:41:53,674 妻として 上様を支えてまいる所存にございます。 460 00:41:53,674 --> 00:41:56,174 妻がどうした? 461 00:42:01,148 --> 00:42:04,818 わしは 誰も信じぬ。 462 00:42:04,818 --> 00:42:10,490 この世の… 誰一人としてな。 463 00:42:10,490 --> 00:42:30,510 ・~ 464 00:42:30,510 --> 00:42:34,348 大奥も 手ごわい所にございます。 465 00:42:34,348 --> 00:42:38,652 ほとんど すべてが 紀州の慶福様びいきで。 466 00:42:38,652 --> 00:42:41,021 幾島が 一橋を推しているじゃと? 467 00:42:41,021 --> 00:42:42,956 断じて許せぬ! 468 00:42:42,956 --> 00:42:45,525 (悲鳴) ややこしいことになった。 469 00:42:45,525 --> 00:42:47,527 一橋様が敗れるなんど…。 離縁!? 470 00:42:47,527 --> 00:42:49,529 いっそ 私を 離縁してくださいませ! 471 00:42:49,529 --> 00:42:51,865 上に立つ者の心得にあらず。 472 00:42:51,865 --> 00:42:54,768 それは 将軍家のお役目にございます。 473 00:42:54,768 --> 00:42:57,204 上様。 何じゃ。 474 00:42:57,204 --> 00:43:00,204 私の勝ちにございます。 475 00:43:02,042 --> 00:43:05,479 <広島県福山市。・ 476 00:43:05,479 --> 00:43:11,151 老中 阿部正弘の城下町として 知られています。・ 477 00:43:11,151 --> 00:43:16,490 徳川幕府 西国の守りの要 福山城。・ 478 00:43:16,490 --> 00:43:23,363 伏見櫓は 江戸時代の初め 京都の伏見城から移築されたものです。・ 479 00:43:23,363 --> 00:43:29,503 正弘は 27歳の若さで 老中 首座に就任。・ 480 00:43:29,503 --> 00:43:33,840 幕政改革に 手腕を振るいました。・ 481 00:43:33,840 --> 00:43:39,179 正弘が創設した 藩校 誠之館。・ 482 00:43:39,179 --> 00:43:43,179 教育にも力を注いだといいます> 483 00:43:44,851 --> 00:43:49,723 <福山市内の南に位置する 鞆の浦。・ 484 00:43:49,723 --> 00:43:54,194 瀬戸内海航路の港町として栄えた町には・ 485 00:43:54,194 --> 00:43:58,494 江戸時代の建物が 今も残されています> 486 00:44:02,469 --> 00:44:10,143 <幕末動乱の時代 日本の舵取りを任された 阿部正弘。・ 487 00:44:10,143 --> 00:44:15,816 福山に帰国できたのは わずか一度のことだったといいます> 488 00:44:15,816 --> 00:44:25,516 ・~