1 00:00:02,534 --> 00:00:05,937 (小松帯刀) この国を どう変えようとお考えなのか。 2 00:00:05,937 --> 00:00:08,840 (島津斉彬)古い幕府を壊したいのじゃ。 3 00:00:08,840 --> 00:00:10,809 幕府を…? 4 00:00:10,809 --> 00:00:15,947 <将軍の跡継ぎを巡る 一橋派と紀州派の争い。・ 5 00:00:15,947 --> 00:00:20,747 その背景には 政治の主導権を巡る せめぎ合いがありました> 6 00:00:22,454 --> 00:00:27,325 <一橋派は 主に 旧来の幕府中心の政治を改め・ 7 00:00:27,325 --> 00:00:32,631 実力ある諸侯が互いに連携する 新しい政治を求めていました。・ 8 00:00:32,631 --> 00:00:35,967 これに対し紀州派は 前例を守り・ 9 00:00:35,967 --> 00:00:38,770 徳川家による支配体制を 強化することで・ 10 00:00:38,770 --> 00:00:41,640 困難に立ち向かおうと していたのです> 11 00:00:41,640 --> 00:00:44,542 (本寿院)摩めが…!・ 12 00:00:44,542 --> 00:00:48,513 ついに 本性を見せおったな。 13 00:00:48,513 --> 00:00:53,652 (幾島)もう 逃げることも 隠れることも できませぬ。 14 00:00:53,652 --> 00:01:00,458 <両者の争いは いよいよ 大詰めを迎えようとしていました> 15 00:01:00,458 --> 00:01:14,606 ・~(テーマ音楽) 16 00:01:14,606 --> 00:03:44,606 ・~ 17 00:03:48,293 --> 00:03:50,628 (幾島)どちらにもつかぬですと!? 18 00:03:50,628 --> 00:03:54,499 (篤姫)そうじゃ。 己の気持ちが しかと定まらぬうえは・ 19 00:03:54,499 --> 00:03:56,968 慶喜殿を推すこともできぬ。 20 00:03:56,968 --> 00:04:03,241 では 摩のお父上には 何と仰せになるおつもりでございますか。 21 00:04:03,241 --> 00:04:05,176 文を書く。 22 00:04:05,176 --> 00:04:09,914 そのようなことで 済むことではございませぬ! 23 00:04:09,914 --> 00:04:12,250 (中臈)あの…・ 24 00:04:12,250 --> 00:04:16,550 た… 滝山様が お見えにございます。 25 00:04:20,925 --> 00:04:22,861 嘆願書? 26 00:04:22,861 --> 00:04:25,263 (滝山)近々 大奥の総意として・ 27 00:04:25,263 --> 00:04:28,933 この嘆願書を表に差し上げようと 存じまする。 28 00:04:28,933 --> 00:04:33,438 よって 大奥の主たる御台様にも ご署名 賜りたく・ 29 00:04:33,438 --> 00:04:36,941 参上つかまつりました。 30 00:04:36,941 --> 00:04:40,641 して その趣は? 31 00:04:43,815 --> 00:04:49,287 「彦根の井伊掃部頭様を大老に」と 願い出まする。 32 00:04:49,287 --> 00:04:52,757 なんと! 井伊殿を 大老に。 33 00:04:52,757 --> 00:04:59,130 待たれよ。 井伊様といえば 水戸のご老公の敵のようなお方。 34 00:04:59,130 --> 00:05:02,700 水戸様を 大奥から遠ざけようというのが・ 35 00:05:02,700 --> 00:05:05,403 滝山殿の真意なのではありませぬか? 36 00:05:05,403 --> 00:05:08,072 それは なくもありませんが…。 37 00:05:08,072 --> 00:05:11,409 よくもまあ いけしゃあしゃあと。 38 00:05:11,409 --> 00:05:16,209 御台様のお立場を どうお考えなのか とくと お聞かせ願いたい! 39 00:05:17,916 --> 00:05:21,786 では 申します。 井伊様は 早くから・ 40 00:05:21,786 --> 00:05:24,422 今の公方様に最も近いお血筋の・ 41 00:05:24,422 --> 00:05:27,458 紀州慶福様を立てるのが常道と 仰せです。 42 00:05:27,458 --> 00:05:33,097 一方 一橋派は 年長の慶喜様を将軍にと 望まれているご様子ですが・ 43 00:05:33,097 --> 00:05:36,000 お二方の年の開きは わずかに9つ。 44 00:05:36,000 --> 00:05:39,270 あと4~5年もすれば さしたる差ではなくなります。 45 00:05:39,270 --> 00:05:44,742 噂によれば 井伊様は ご老公を 政から退けようとし・ 46 00:05:44,742 --> 00:05:49,447 さらには 水戸嫌いの大奥を 味方につけんとするお企みとか。 47 00:05:49,447 --> 00:05:53,751 滝山殿など あっさりと 手なずけられた クチなのでは ございますまいか。 48 00:05:53,751 --> 00:05:59,123 お控えなされ! 幾島殿は 御台様付きの御年寄。 49 00:05:59,123 --> 00:06:03,895 公方様付きの この滝山の下につく ご身分であること お忘れか! 50 00:06:03,895 --> 00:06:06,231 やめよ。 私は・ 51 00:06:06,231 --> 00:06:09,133 御台様のお世話をしておれば それでよく・ 52 00:06:09,133 --> 00:06:11,402 大奥のことに 口は出せぬと言われるか! 53 00:06:11,402 --> 00:06:15,907 少なくとも 大奥を取り締まるのは 私に任せられたお役目にございます。 54 00:06:15,907 --> 00:06:17,942 何を偉そうに! 55 00:06:17,942 --> 00:06:21,412 両名とも控えよ! 56 00:06:21,412 --> 00:06:26,084 これは 失礼つかまつりました。 57 00:06:26,084 --> 00:06:28,920 嘆願書のことじゃが。 58 00:06:28,920 --> 00:06:30,855 はい。 59 00:06:30,855 --> 00:06:35,426 事は重大ゆえ 直ちには返答しかねる。 60 00:06:35,426 --> 00:06:37,929 しばし待つがよい。 61 00:06:37,929 --> 00:06:40,598 御台様! ならば・ 62 00:06:40,598 --> 00:06:44,469 それまで 御台様に お預かりいただきたく存じます。 63 00:06:44,469 --> 00:06:49,607 御台様は もはや 徳川将軍家のお方でございます。・ 64 00:06:49,607 --> 00:06:56,281 徳川家の大奥一千人の主として 十分に お考えくださいまするよう。 65 00:06:56,281 --> 00:07:01,981 滝山 心から お願い申し上げまする。 66 00:07:09,827 --> 00:07:14,065 滝山殿も 我らが 慶喜様を推していると知りながら・ 67 00:07:14,065 --> 00:07:16,701 なんという やり口。 御台様 これでも? 68 00:07:16,701 --> 00:07:19,404 どちらにも つかぬ。 ならば なぜ・ 69 00:07:19,404 --> 00:07:23,074 その場で はねつけて しまわれなかったのでございますか!? 70 00:07:23,074 --> 00:07:28,880 滝山は 14の頃から 大奥の務めに身をささげてきた者じゃ。 71 00:07:28,880 --> 00:07:32,180 お家の大事と考えたうえでのことに 違いない。 72 00:07:33,785 --> 00:07:38,556 とにかく 嘆願書は 握りつぶしていただきとうございます。 73 00:07:38,556 --> 00:07:44,262 それだけは 幾島 衷心よりお願い申し上げまする! 74 00:07:44,262 --> 00:07:53,262 ・~ 75 00:07:56,607 --> 00:07:59,277 (徳川家定)井伊を大老にですと? 76 00:07:59,277 --> 00:08:03,881 大奥からの嘆願書を 老中らに突きつけるつもりでございます。 77 00:08:03,881 --> 00:08:06,551 しかし 何故 このような時に? 78 00:08:06,551 --> 00:08:12,056 摩から 慶喜殿を 将軍に推挙する 建白書が差し出されたと・ 79 00:08:12,056 --> 00:08:13,991 聞き及んでおります。 80 00:08:13,991 --> 00:08:20,291 万が一にも 慶喜なんぞが お世継ぎと決まりましたら 私は…。 81 00:08:22,567 --> 00:08:26,267 自害する覚悟でおります。 82 00:08:35,580 --> 00:08:39,250 母上 世継ぎの件は 自分で決めまする。 83 00:08:39,250 --> 00:08:41,185 されど…。 それは・ 84 00:08:41,185 --> 00:08:46,485 私の務めにて ご心配には及びませぬ。 85 00:08:50,862 --> 00:08:54,265 いかがされました? 86 00:08:54,265 --> 00:09:02,073 いえ… 公方様は お変わりになったと思いまして。 87 00:09:02,073 --> 00:09:07,545 だとしたら 母上のおかげにござります。 88 00:09:07,545 --> 00:09:10,245 私の? 89 00:09:13,418 --> 00:09:16,220 母上が 摩から・ 90 00:09:16,220 --> 00:09:21,893 元気な嫁をもろうてきてくださったからに ござります。 91 00:09:21,893 --> 00:09:32,904 ・~ 92 00:09:32,904 --> 00:09:35,204 そちの番ぞ。 93 00:09:37,775 --> 00:09:40,475 申し訳ございません。 94 00:09:43,915 --> 00:09:47,251 嘆願書のことは聞いた。 95 00:09:47,251 --> 00:09:50,154 母上のことなど気にすることはないぞ。 96 00:09:50,154 --> 00:09:53,591 そちの好きなようにやればよい。 そうはいきませぬ。 97 00:09:53,591 --> 00:09:55,526 なぜじゃ。 98 00:09:55,526 --> 00:10:00,097 本寿院様は あなた様を お産みあそばされたお方にございます。 99 00:10:00,097 --> 00:10:06,604 そのような大切なお方のお気持ちを むげにはできません。 100 00:10:06,604 --> 00:10:11,476 慶喜 慶福 どちらも推さないのではなかったのか? 101 00:10:11,476 --> 00:10:15,947 もちろん推すつもりはありませんが…。 102 00:10:15,947 --> 00:10:22,119 あれじゃな 中立の立場をとるなど 御台にはできまいな。 103 00:10:22,119 --> 00:10:25,623 それは 何故にございますか? 104 00:10:25,623 --> 00:10:30,962 そちが 熱き心を持った女子ゆえじゃ。 105 00:10:30,962 --> 00:10:33,464 熱き心? 106 00:10:33,464 --> 00:10:38,664 それが 摩人の心意気なのやもしれぬの。 107 00:10:40,238 --> 00:10:43,238 摩の…。 108 00:10:44,976 --> 00:10:50,648 今宵は 気分がすぐれぬゆえ 表に戻る。 109 00:10:50,648 --> 00:11:12,948 ・~ 110 00:11:14,605 --> 00:11:16,941 (小姓)公方様! 111 00:11:16,941 --> 00:11:19,641 大丈夫じゃ…。 112 00:11:22,613 --> 00:11:25,516 一方 摩では…。 113 00:11:25,516 --> 00:11:31,289 (大山綱良)朝廷が 幕府の通商条約締結を お認めにならんかったそうじゃ。 114 00:11:31,289 --> 00:11:33,224 (有村雄助)そいは まっことな!? 115 00:11:33,224 --> 00:11:36,627 (伊地知正治)当然じゃ。 異国に強いられた交易なんど・ 116 00:11:36,627 --> 00:11:38,563 日本国の恥じゃ。・ 117 00:11:38,563 --> 00:11:41,299 今頃 幕府の中は 大変な騒ぎになっちょっじゃろ。 118 00:11:41,299 --> 00:11:43,334 堀田老中も 頼りにならんでな。 119 00:11:43,334 --> 00:11:45,636 (有村俊斎)いよいよ斉彬様が・ 120 00:11:45,636 --> 00:11:48,472 幕府の改革に乗り出す時が 来たっちことじゃ。 121 00:11:48,472 --> 00:11:51,976 (有村次左衛門) 何ちうか 血が たぎってきもした! 122 00:11:51,976 --> 00:11:55,780 (大久保正助)朝廷が 幕府の言うことを お聞きにならんちいうことは・ 123 00:11:55,780 --> 00:11:57,715 かつてなかったことじゃ。 124 00:11:57,715 --> 00:12:00,318 日本国は 大変なことになるかもしれん。 125 00:12:00,318 --> 00:12:02,920 (西郷信吾)こげなことしちゃおられんど! (一同)そうじゃ そうじゃ! 126 00:12:02,920 --> 00:12:07,258 江戸に行きたか! 摩が 気張らんにゃ! 127 00:12:07,258 --> 00:12:12,558 斉彬様が どげんされるか 楽しみでごわんどな。 128 00:12:17,969 --> 00:12:22,807 実は 殿が幕府に出した 建白書の内容を知り・ 129 00:12:22,807 --> 00:12:27,278 殿に無礼な物言いをしてしまいました。 130 00:12:27,278 --> 00:12:31,449 あれでは その… 御台様が追い詰められて しまわれるのでは ないでしょうか? 131 00:12:31,449 --> 00:12:36,320 私は これまで 殿を信じ 殿のために生きてまいりました。 132 00:12:36,320 --> 00:12:38,322 けれど 今…。 133 00:12:38,322 --> 00:12:41,626 その思いが ぐらついております。 134 00:12:41,626 --> 00:12:44,528 思い出すと 身がすくみます。 135 00:12:44,528 --> 00:12:49,967 いや 小松様のお気持ちは分かりもす。 そうですか。 136 00:12:49,967 --> 00:12:51,902 じゃっどん おいには・ 137 00:12:51,902 --> 00:12:56,307 殿様のお気持ちの方が よう分かりもす。 え? 138 00:12:56,307 --> 00:13:00,711 人には 非情に徹せんにゃならん時が あるちいうことでごわす。 139 00:13:00,711 --> 00:13:02,647 誰かを窮地に追いやっても? 140 00:13:02,647 --> 00:13:07,847 そいもこいも 天下のためなら しかたなかことでございもうそう。 141 00:13:11,255 --> 00:13:18,129 殿! 先日は まことに… まことに申し訳ございませんでした。 142 00:13:18,129 --> 00:13:21,429 面を上げよ。 143 00:13:23,267 --> 00:13:28,939 そちは 思うたことを言うたまでのこと そうではないのか。 144 00:13:28,939 --> 00:13:34,812 それは そうなのですが…。 あっ! 失礼をばいたしました。 145 00:13:34,812 --> 00:13:39,950 だが そちの言うことも もっとも。 146 00:13:39,950 --> 00:13:44,755 これまで お篤一人に 重荷を負わせてきたことも事実じゃ。 147 00:13:44,755 --> 00:13:49,555 そこで 別のやり方を考えた。 148 00:13:51,295 --> 00:13:55,966 我らは 越前の慶永殿を 大老に推挙しようと。 149 00:13:55,966 --> 00:14:00,137 慶永様を 大老に…。 150 00:14:00,137 --> 00:14:06,243 大奥に 彦根の井伊殿を大老に という動きがあるらしい。 151 00:14:06,243 --> 00:14:09,914 穏健で 誠実の聞こえ高く・ 152 00:14:09,914 --> 00:14:16,787 親藩随一のお家柄の慶永殿なら 互角に競い合うことできよう。 153 00:14:16,787 --> 00:14:20,787 すまぬが これを頼む。 154 00:14:23,461 --> 00:14:28,933 畏れながら こちらは? 155 00:14:28,933 --> 00:14:32,603 お篤にあてたものじゃ。 156 00:14:32,603 --> 00:14:35,603 御台様に…。 157 00:14:38,476 --> 00:14:44,749 わしの思いの丈を込めて したためたものじゃ。 158 00:14:44,749 --> 00:14:48,285 左様でございますか。 159 00:14:48,285 --> 00:14:52,156 これが 最後の手紙になるやもしれぬ。 160 00:14:52,156 --> 00:14:55,459 そんな気がしてのう…。 161 00:14:55,459 --> 00:14:58,259 殿…。 162 00:15:06,103 --> 00:15:09,573 そのころ 大奥では…。 163 00:15:09,573 --> 00:15:13,273 この嘆願書だが…。 164 00:15:15,913 --> 00:15:19,784 古来 そのような例はないゆえ・ 165 00:15:19,784 --> 00:15:23,654 御台所たる私が名を連ねることはできぬ。 166 00:15:23,654 --> 00:15:30,154 左様にございますか。 相分かりましてございます。 167 00:15:31,929 --> 00:15:40,629 ただし この話は聞かなかったことにする。 168 00:15:42,573 --> 00:15:47,945 そちが いま一度よく考え あくまでも正しいと信ずるなら・ 169 00:15:47,945 --> 00:15:52,116 おのが心に従って進めるように。 170 00:15:52,116 --> 00:15:54,752 ということは…。 171 00:15:54,752 --> 00:15:58,622 そちはそちで好きにするがよい。 172 00:15:58,622 --> 00:16:02,822 ありがたき仰せに存じます。 173 00:16:06,230 --> 00:16:09,230 (幾島)御台様! 174 00:16:10,901 --> 00:16:13,201 閉めよ。 175 00:16:23,914 --> 00:16:30,254 (松平忠固)井伊殿は 大奥で好かれているようでございますな。 176 00:16:30,254 --> 00:16:32,189 (井伊直弼)それが? 177 00:16:32,189 --> 00:16:38,128 井伊殿を大老に推す 大奥よりの嘆願書にございます。 178 00:16:38,128 --> 00:16:42,128 うん そうか。 179 00:16:52,509 --> 00:16:56,280 (橋本左内)殿。 うん。 180 00:16:56,280 --> 00:17:01,552 摩守殿に 大老の件 承知と伝えるよう。 181 00:17:01,552 --> 00:17:03,487 (西郷吉之助)しかとお伝え申し上げもす。 182 00:17:03,487 --> 00:17:07,691 堀田様にも 内密にお願い申し上げておきました。 183 00:17:07,691 --> 00:17:09,627 うん。 184 00:17:09,627 --> 00:17:12,529 その堀田様は 江戸に戻られ…。 185 00:17:12,529 --> 00:17:16,233 (堀田正睦)都にて 条約のお許しを いただけなかった件・ 186 00:17:16,233 --> 00:17:19,904 幾重にも お詫び申し上げ奉りまする。 187 00:17:19,904 --> 00:17:24,775 (家定)堀田も 口ほどにもないのう。 はは~っ。 188 00:17:24,775 --> 00:17:28,412 …と言いたいところじゃが 事が事じゃ。 189 00:17:28,412 --> 00:17:31,916 その方を責めようとは思わぬ。 190 00:17:31,916 --> 00:17:36,086 旅の疲れもあろう。 下がってよいぞ。 はっ。 191 00:17:36,086 --> 00:17:43,961 あの 畏れながら 公方様… 大老の件にございますが…。 192 00:17:43,961 --> 00:17:46,096 もう耳に入ったか。 193 00:17:46,096 --> 00:17:52,603 はっ。 某は 松平慶永様こそが ふさわしいと存じます。 194 00:17:52,603 --> 00:17:56,273 ほう… それは 何故じゃ。 はい。 195 00:17:56,273 --> 00:17:59,944 いや よいわ。 はは~。 196 00:17:59,944 --> 00:18:02,913 慶永殿を 大老に? 197 00:18:02,913 --> 00:18:07,551 御台様 これが 最後の機会となるやもしれませぬ。 198 00:18:07,551 --> 00:18:10,454 井伊様が大老になるようなことあらば・ 199 00:18:10,454 --> 00:18:15,225 慶喜様お世継ぎの道は 全く閉ざされてしまいます。 200 00:18:15,225 --> 00:18:19,563 ここで 御台様 おん自らが 慶永様を推すことで・ 201 00:18:19,563 --> 00:18:22,466 形勢は やっと 五分と五分になりまする。 202 00:18:22,466 --> 00:18:26,437 幾島 何度言うたらよいのじゃ。 私は…。 203 00:18:26,437 --> 00:18:28,737 お願い申し上げまする。 204 00:18:30,574 --> 00:18:39,583 何としても公方様に 慶永様を 強く強く 推してくださいませ。 205 00:18:39,583 --> 00:18:52,096 ・~ 206 00:18:52,096 --> 00:18:55,296 いかがした? 207 00:18:56,934 --> 00:19:01,538 上様に お聞きしたいことがあるのですが。 208 00:19:01,538 --> 00:19:07,238 大老の件であろう。 一目打ったら 答えてもよいぞ。 209 00:19:13,550 --> 00:19:18,250 上様は いかがなさる おつもりに ございますか? 210 00:19:19,890 --> 00:19:22,890 そちなら何とする? 211 00:19:26,563 --> 00:19:31,235 もちろん まずは…。 井伊と慶永 双方と会う。 212 00:19:31,235 --> 00:19:35,105 そうであろう? はい。 213 00:19:35,105 --> 00:19:39,943 どうじゃ わしと共に 会うてはみぬか? 214 00:19:39,943 --> 00:19:41,945 え? 215 00:19:41,945 --> 00:19:47,785 今となっては 信じるに足る者は 誰一人おらぬ。 216 00:19:47,785 --> 00:19:52,523 わしの補佐をしてはくれぬか? 217 00:19:52,523 --> 00:19:58,262 はい。 やってみとうございます。 218 00:19:58,262 --> 00:20:10,841 ・~ 219 00:20:10,841 --> 00:20:14,841 苦しゅうない。 面を上げよ。 220 00:20:18,282 --> 00:20:21,952 (松平慶永)こ… これは なんと 姫様。 221 00:20:21,952 --> 00:20:24,855 いや… 御台所様まで ご一緒とは。 222 00:20:24,855 --> 00:20:29,155 わしらは夫婦。 一心同体ゆえな。 223 00:20:30,961 --> 00:20:33,297 畏れ入りましてございます。 224 00:20:33,297 --> 00:20:38,769 さっそくじゃが 政について そちの考えを申せ。 225 00:20:38,769 --> 00:20:41,269 はっ。 226 00:20:42,973 --> 00:20:48,846 実は 某 列侯会議ともいうべき仕組みを 考えておりまする。 227 00:20:48,846 --> 00:20:50,848 列侯会議とな? 228 00:20:50,848 --> 00:20:54,585 力のある諸侯が 連合して政にあたるやり方にて・ 229 00:20:54,585 --> 00:20:59,156 かの西洋 ドイツ国の習わしを 範とするものにございます。 230 00:20:59,156 --> 00:21:01,125 ドイツの…。 231 00:21:01,125 --> 00:21:04,128 徳川将軍家だけでなく・ 232 00:21:04,128 --> 00:21:08,832 諸侯も 日本国の政に加えよ ということじゃな。 233 00:21:08,832 --> 00:21:14,104 畏れながら 仰せのとおりにて。 234 00:21:14,104 --> 00:21:26,604 これは 水戸のご老公のみならず 島津摩守殿も ご賛同でございます。 235 00:21:29,953 --> 00:21:36,653 なるほどのう なかなかの策じゃ。 ははっ。 236 00:21:39,296 --> 00:21:42,966 政は すべて幕府。 237 00:21:42,966 --> 00:21:46,837 すなわち 徳川将軍家に一任されており・ 238 00:21:46,837 --> 00:21:54,311 それを 譜代大名と直参が支え もり立てるのが 本来の姿にて・ 239 00:21:54,311 --> 00:22:02,920 いくら力があろうが 外様風情が口を出すのは 筋が通りませぬ。 240 00:22:02,920 --> 00:22:07,257 そちは あくまで 今の形を貫けと申すか。 241 00:22:07,257 --> 00:22:13,931 徳川家の専制だと批判する者がおるのは 存じておりまする。 242 00:22:13,931 --> 00:22:21,271 しかし 諸侯が 手前勝手に口を出せば どうなりましょう。 243 00:22:21,271 --> 00:22:25,943 井伊掃部守に聞きます。 よいですか? 244 00:22:25,943 --> 00:22:27,878 は? 245 00:22:27,878 --> 00:22:31,615 御台は政に ひとかたならぬ思いを 抱いておってのう。 246 00:22:31,615 --> 00:22:33,550 はあ…。 247 00:22:33,550 --> 00:22:39,756 今 政に求められているのは 何だと思いますか? 248 00:22:39,756 --> 00:22:43,627 強き幕府にござりまする。 249 00:22:43,627 --> 00:22:47,297 強き幕府? はい。 250 00:22:47,297 --> 00:22:51,969 武家の棟梁として諸侯を率い 人心をまとめ・ 251 00:22:51,969 --> 00:22:54,304 異国に対じするためにも・ 252 00:22:54,304 --> 00:22:59,604 徳川将軍家を 守りぬかねばなりませぬ。 253 00:23:01,111 --> 00:23:06,883 徳川将軍家か…。 254 00:23:06,883 --> 00:23:12,256 そちが大老となれば それを成し遂げると申すのじゃな。 255 00:23:12,256 --> 00:23:20,597 この直弼 身命を賭して 務めを果たす覚悟にござりまする。 256 00:23:20,597 --> 00:23:33,176 ・~ 257 00:23:33,176 --> 00:23:40,876 そちは どう思うた? 越前か 彦根か。 258 00:23:43,820 --> 00:23:50,820 私は 中立を保つ身ゆえ どちらとも申せません。 259 00:23:52,529 --> 00:23:57,501 わしは 彦根に決めようと思う。 260 00:23:57,501 --> 00:24:00,337 なぜかと問いたいであろう。 261 00:24:00,337 --> 00:24:05,137 はい。 なぜ 井伊殿なのでしょうか? 262 00:24:07,911 --> 00:24:12,082 徳川将軍家を守りたいがためじゃ。 263 00:24:12,082 --> 00:24:16,253 将軍家を…。 264 00:24:16,253 --> 00:24:23,126 越前の考えに従えば 徳川も大名家の一つにすぎなくなる。 265 00:24:23,126 --> 00:24:31,826 二百数十年かけて培った 将軍家としての誇りも格式も失ってな。 266 00:24:33,603 --> 00:24:40,277 一方 彦根は 将軍家を守り もり立てることを一義とした。 267 00:24:40,277 --> 00:24:46,950 強い幕府をもってしてな。 はい。 268 00:24:46,950 --> 00:24:49,950 それと もう一つ。 269 00:24:51,822 --> 00:24:58,128 わしはなあ 御台 初めて思うたのじゃ。 270 00:24:58,128 --> 00:25:01,998 徳川将軍家を残したいと。 271 00:25:01,998 --> 00:25:08,572 残せば そちや その子孫を守ってやることができる。 272 00:25:08,572 --> 00:25:11,908 わしの家族をな。 273 00:25:11,908 --> 00:25:14,608 家族…。 274 00:25:18,081 --> 00:25:21,118 家族じゃ。 275 00:25:21,118 --> 00:25:35,499 ・~ 276 00:25:35,499 --> 00:25:38,268 なんということ…。 277 00:25:38,268 --> 00:25:41,304 井伊様が 大老になるということは・ 278 00:25:41,304 --> 00:25:44,741 慶福様が 次なる将軍になるということ。 279 00:25:44,741 --> 00:25:47,277 公方様は そのあたりについては? 280 00:25:47,277 --> 00:25:50,614 そのことについては聞いておらぬ。 281 00:25:50,614 --> 00:25:53,517 何をしておいでなのでございますか! 282 00:25:53,517 --> 00:25:57,487 肝心要は そこではございませぬか! 283 00:25:57,487 --> 00:26:00,891 ああ そうでございました。 284 00:26:00,891 --> 00:26:04,561 御台様は どちらにも おつきにならない。 285 00:26:04,561 --> 00:26:09,561 つまりは もはや どうとでもなれと…。 286 00:26:12,235 --> 00:26:22,535 でも これを お読みになれば そのようなことは 仰せになれぬはず。 287 00:26:24,581 --> 00:26:30,454 摩のお殿様からの文にございます。 288 00:26:30,454 --> 00:26:33,154 父上様からの…。 289 00:26:34,925 --> 00:26:39,429 ゆっくりとお読みになり・ 290 00:26:39,429 --> 00:26:45,235 お一人で とくと お考えあそばしませ。 291 00:26:45,235 --> 00:27:32,782 ・~ 292 00:27:32,782 --> 00:27:38,255 お殿様からは 何と? 293 00:27:38,255 --> 00:27:42,125 今は読めぬ。 何故にございますか。 294 00:27:42,125 --> 00:27:47,964 幾島 私は間違えておった。 はっ? 295 00:27:47,964 --> 00:27:50,967 表に参る。 表に!? 296 00:27:50,967 --> 00:27:53,103 上様に お会いするのじゃ。 297 00:27:53,103 --> 00:27:57,607 そんな… 表になど無理にございます。 とにかく参る。 298 00:27:57,607 --> 00:28:01,044 御台様 お待ちくだされ! 299 00:28:01,044 --> 00:28:04,881 御台様 何をなさる おつもりで ございますか!? 300 00:28:04,881 --> 00:28:07,384 御台様! 301 00:28:07,384 --> 00:28:10,887 どうしたのじゃ? (中臈)御台様が 表に行くと仰せになりまして…。 302 00:28:10,887 --> 00:28:14,558 なりませぬ。 御台様! 御台様! 303 00:28:14,558 --> 00:28:17,394 御台様! 御台様! 御台様! 304 00:28:17,394 --> 00:28:19,896 お待ちください! 御台様! 305 00:28:19,896 --> 00:28:25,769 御台様! 御台様! 御台様 お待ちください! 306 00:28:25,769 --> 00:28:30,240 御台様! 御台様! 御台様! 307 00:28:30,240 --> 00:28:42,586 ・~ 308 00:28:42,586 --> 00:28:46,456 御台様! 御台様! 御台様! 御台様! 309 00:28:46,456 --> 00:28:57,734 ・~ 310 00:28:57,734 --> 00:28:59,803 扉を開けよ。 311 00:28:59,803 --> 00:29:02,539 なりませぬ。 御台様! 312 00:29:02,539 --> 00:29:09,879 御台様! 御台様! 御台様! 御台様! 御台様! 313 00:29:09,879 --> 00:29:12,179 そうじゃ! 314 00:29:14,751 --> 00:29:17,554 その御台所の命であるぞ! 315 00:29:17,554 --> 00:29:19,889 (御錠口たち)は~っ。 316 00:29:19,889 --> 00:29:36,239 ・~ 317 00:29:36,239 --> 00:29:38,939 (幾島)御台様! 318 00:29:46,249 --> 00:29:49,549 (小姓)公方様! 何じゃ。 319 00:29:58,828 --> 00:30:01,828 上様…。 320 00:30:04,601 --> 00:30:08,938 よくもまあ ここまで やって来られたものじゃ。 321 00:30:08,938 --> 00:30:11,274 まことに申し訳ございませぬ。 322 00:30:11,274 --> 00:30:14,177 どうしても申し上げたきことが ございまして。 323 00:30:14,177 --> 00:30:18,948 御台様 なりませぬ。 (家定)始末は わしがつける。 324 00:30:18,948 --> 00:30:23,453 聞こう。 そうまでしてしたかった話とやらを。 325 00:30:23,453 --> 00:30:28,124 私は 気がついたのでございます。 気づいた? 326 00:30:28,124 --> 00:30:35,298 自分が これまでは 徳川の人間では なかったことにでございます。 327 00:30:35,298 --> 00:30:39,636 嫁いだ以上は 夫と共に家をもり立てるもの。 328 00:30:39,636 --> 00:30:41,971 それが家族というもの。 329 00:30:41,971 --> 00:30:47,971 なのに 私は これまで勝手なことばかり 申してまいりました。 330 00:30:49,846 --> 00:30:54,317 そのこと まずは お詫び申し上げまする。 331 00:30:54,317 --> 00:30:56,986 お許しくださいませ。 332 00:30:56,986 --> 00:30:59,686 それで? 333 00:31:02,592 --> 00:31:12,268 私 本日より ひたすらに 徳川将軍家の 人間として 生きてまいります。 334 00:31:12,268 --> 00:31:15,605 あの…。 将軍継嗣も 大老も・ 335 00:31:15,605 --> 00:31:20,944 これからは 上様のお心に 添うてまいります。 336 00:31:20,944 --> 00:31:29,644 それが 妻たる者の務めと 心得るゆえにございます。 337 00:31:31,287 --> 00:31:36,287 そうか それが そなたの決意なのじゃな。 338 00:31:37,961 --> 00:31:39,896 はい。 339 00:31:39,896 --> 00:31:43,596 ならば そうしよう。 340 00:31:46,302 --> 00:31:49,602 ありがとう存じまする。 341 00:32:02,786 --> 00:32:08,925 そして 幕府からの使いが 井伊様のお屋敷を訪れたのは・ 342 00:32:08,925 --> 00:32:14,225 安政5年4月22日のこと。 343 00:32:17,934 --> 00:32:21,271 井伊様が大老となった今・ 344 00:32:21,271 --> 00:32:25,441 慶福様が 次なる公方様となるは必定。 345 00:32:25,441 --> 00:32:30,613 さすれば 紀州派の天下となりましょう。 346 00:32:30,613 --> 00:32:35,285 それだけは 何としても抑えてくださりませ! 347 00:32:35,285 --> 00:32:41,624 このとおり お願い申し上げまする! 348 00:32:41,624 --> 00:32:47,130 もうよい。 幾島。 349 00:32:47,130 --> 00:32:51,968 もはや 私の望みは それだけにございます。 350 00:32:51,968 --> 00:32:57,140 そのために 御台様について ここまで まいったのでございます。 351 00:32:57,140 --> 00:33:01,978 今日までに費やした歳月は 都合6年に上ります。 352 00:33:01,978 --> 00:33:08,178 御台様は そのことを お忘れにございましょうか!? 353 00:33:10,587 --> 00:33:21,231 幾島… 私は 徳川の人間じゃ。 354 00:33:21,231 --> 00:33:25,935 上様に従うのみじゃ。 355 00:33:25,935 --> 00:33:28,605 御台様…。 356 00:33:28,605 --> 00:33:39,616 ・~ 357 00:33:39,616 --> 00:33:44,916 許せ… 幾島。 358 00:33:47,957 --> 00:33:57,957 悔しゅうございます。 幾島は 悔しゅうございます! 359 00:33:59,569 --> 00:34:02,472 許せ…。 360 00:34:02,472 --> 00:34:20,256 ・~ 361 00:34:20,256 --> 00:34:22,926 (帯刀)どうなさったのですか? 362 00:34:22,926 --> 00:34:28,926 いや… 急に お篤のことを 思い出してのう。 363 00:34:30,600 --> 00:34:33,269 御台様を…。 364 00:34:33,269 --> 00:34:39,142 このところ 昔のことが しきりに思い出されてならぬ。 365 00:34:39,142 --> 00:34:44,747 そういう時は 先行き短いなどというがな。 366 00:34:44,747 --> 00:34:47,617 何を仰せですか そのようなことを! 367 00:34:47,617 --> 00:34:52,956 あっ… 申し訳ありません! 368 00:34:52,956 --> 00:34:55,625 ハハハハハ…。 369 00:34:55,625 --> 00:35:01,898 わしは よい家臣に恵まれた。 清猷といい そちといい。 370 00:35:01,898 --> 00:35:08,198 まこと それだけで幸せであった。 371 00:35:21,584 --> 00:35:25,455 随分と お疲れのご様子ですが…。 372 00:35:25,455 --> 00:35:28,925 次から次へと やることがあるからのう。 373 00:35:28,925 --> 00:35:31,728 代わりのきかない お体にございます。 374 00:35:31,728 --> 00:35:34,528 おいたわりくださいませ。 375 00:35:41,938 --> 00:35:47,938 次の将軍を… 世継ぎを決めた。 376 00:35:49,612 --> 00:35:51,948 はい。 377 00:35:51,948 --> 00:35:55,948 紀州の慶福にすることにした。 378 00:35:58,621 --> 00:36:02,225 そうですか。 379 00:36:02,225 --> 00:36:05,561 訳を知りとうはないのか? 380 00:36:05,561 --> 00:36:10,433 私は 上様に従うだけにございますれば。 381 00:36:10,433 --> 00:36:15,238 そのような御台は 面白うないのう。 382 00:36:15,238 --> 00:36:17,173 知りとうございます。 383 00:36:17,173 --> 00:36:20,173 そうこなくては。 384 00:36:23,913 --> 00:36:27,717 でも 慶喜殿を お嫌いだからでは…。 385 00:36:27,717 --> 00:36:32,555 いくら何でも それだけのことで 決めたりはせぬ。 386 00:36:32,555 --> 00:36:36,459 慶福が 若年なるがゆえである。 387 00:36:36,459 --> 00:36:41,597 若いがゆえ… 意味が分かりませぬが。 388 00:36:41,597 --> 00:36:46,102 わしは 今まで 女子が表向きに口を出すなど・ 389 00:36:46,102 --> 00:36:48,938 考えたこともなかった。 390 00:36:48,938 --> 00:36:54,811 だが そちを見て その考えが少しずつ変わってきた。 391 00:36:54,811 --> 00:37:03,453 そちの物事の見方の深さ 広さは まことに目をみはるものがある。 392 00:37:03,453 --> 00:37:08,424 あの…。 次の将軍が いまだ幼き慶福であれば・ 393 00:37:08,424 --> 00:37:13,424 その後見役として そちの力を使えるであろう。 394 00:37:15,898 --> 00:37:22,772 慶福を補佐して 表の政を助けてやってほしいのじゃ。 395 00:37:22,772 --> 00:37:28,911 私が? 女子の身である私がですか? 396 00:37:28,911 --> 00:37:31,414 相手が 慶福よりも年長で・ 397 00:37:31,414 --> 00:37:35,585 その分 ひねくれた慶喜だと そうは ゆくまいが…。 398 00:37:35,585 --> 00:37:41,257 この儀 井伊にも よくよく言い含めておこうと思う。 399 00:37:41,257 --> 00:37:46,557 そのようなことまで お考えくだされたのですね。 400 00:37:49,132 --> 00:37:54,604 でも 少し お気が早すぎるのでは? 401 00:37:54,604 --> 00:38:00,276 今の将軍は あなた様です。 まだまだ先のことにございます。 402 00:38:00,276 --> 00:38:03,276 そうじゃのう…。 403 00:38:07,083 --> 00:38:10,920 そのようなお顔を なさらないでくださいませ。 404 00:38:10,920 --> 00:38:14,720 それでは まるで あなた様が…。 405 00:38:18,227 --> 00:38:20,897 どうされたのです? 406 00:38:20,897 --> 00:38:25,568 そちのその顔を よう見ておきたいのじゃ。 407 00:38:25,568 --> 00:38:28,237 忘れてしまわぬようにのう。 408 00:38:28,237 --> 00:38:35,937 また… そのような不吉なお言葉は 聞きとうございません。 409 00:38:45,588 --> 00:38:49,588 そちに 一つだけ聞いておきたい。 410 00:38:51,260 --> 00:38:53,560 はい。 411 00:38:55,131 --> 00:39:04,207 わしのような力のない 体の弱い男の妻となったこと・ 412 00:39:04,207 --> 00:39:07,507 後悔はないか? 413 00:39:10,079 --> 00:39:13,079 ございません。 414 00:39:15,218 --> 00:39:18,218 まことにか? 415 00:39:31,767 --> 00:39:40,243 上様は 日本一の男にございます。 416 00:39:40,243 --> 00:39:42,912 日本一…。 417 00:39:42,912 --> 00:39:54,924 はい。 公方様だからではなく 私にとっての日本一なのです。 418 00:39:54,924 --> 00:40:03,933 そのようなお方の妻になれたことを 私は 誇りに思います。 419 00:40:03,933 --> 00:40:16,512 ・~ 420 00:40:16,512 --> 00:40:22,285 生まれ変わることができたら 鳥になりたい。 421 00:40:22,285 --> 00:40:27,957 前に そう言うたことがあったな。 はい。 422 00:40:27,957 --> 00:40:35,831 そちは 自分のままがいいと言うた。 申しました。 423 00:40:35,831 --> 00:40:40,970 鳥など御免じゃ。 424 00:40:40,970 --> 00:40:44,640 わしも わしでよかった。 425 00:40:44,640 --> 00:40:47,940 そちに会えたからの。 426 00:40:50,513 --> 00:40:57,653 私が そう申したのも 同じ理由からにございます。 427 00:40:57,653 --> 00:41:08,264 ・~ 428 00:41:08,264 --> 00:41:12,935 幕府もハリスも将軍も・ 429 00:41:12,935 --> 00:41:17,606 そのようなもの 何もない世界に行きたいのう。 430 00:41:17,606 --> 00:41:24,306 そうすれば そちと 一日中 面白い話ができるのに。 431 00:41:25,948 --> 00:41:32,288 きっと… きっと話が尽きませぬ。 432 00:41:32,288 --> 00:41:35,958 五つ並べも もっとできるのう。 433 00:41:35,958 --> 00:41:40,830 もう少しお強くなっていただかねば。 434 00:41:40,830 --> 00:41:51,974 ・~ 435 00:41:51,974 --> 00:41:57,646 よく見ると そちは 面白い顔をしておるのう。 436 00:41:57,646 --> 00:42:00,549 ひどい。 437 00:42:00,549 --> 00:42:13,596 ・~ 438 00:42:13,596 --> 00:42:19,935 この後に 残酷な運命が 待ち受けていることなど・ 439 00:42:19,935 --> 00:42:25,235 まだ知りようのない お二人にございました。 440 00:42:31,280 --> 00:42:33,616 「事によると そちと摩は・ 441 00:42:33,616 --> 00:42:36,452 いずれ 敵味方になる日が 来るやもしれぬ」。 442 00:42:36,452 --> 00:42:38,954 何一つ あきらめてはおらぬ。 443 00:42:38,954 --> 00:42:43,459 天下に 並びなき名君とたたえられた お方が…。 444 00:42:43,459 --> 00:42:45,494 父上が…。 445 00:42:45,494 --> 00:42:47,630 御台よ…。 446 00:42:47,630 --> 00:42:51,634 将軍 家定公 薨去あそばされました。 447 00:42:51,634 --> 00:42:53,769 何を言っておるのだ? 448 00:42:53,769 --> 00:42:55,704 連れていけ。 449 00:42:55,704 --> 00:43:00,204 私を上様のところへ 連れていくのじゃ! 450 00:43:03,245 --> 00:43:06,916 <東京都中央区。・ 451 00:43:06,916 --> 00:43:14,216 佃の漁師たちは 江戸時代 魚を将軍家に献上していました> 452 00:43:16,592 --> 00:43:24,934 <隅田川の対岸にある浜離宮は かつて 将軍家の別邸でした。・ 453 00:43:24,934 --> 00:43:32,274 家定をはじめ 多くの将軍が訪れ 狩りなどを楽しみました。・ 454 00:43:32,274 --> 00:43:37,947 摩藩主 島津斉彬が造った 軍艦 昇平丸を・ 455 00:43:37,947 --> 00:43:43,947 家定は 浜離宮から眺めたと 記録に残されています> 456 00:43:46,288 --> 00:43:48,958 <国防を急いだ幕府は・ 457 00:43:48,958 --> 00:43:53,462 浜離宮の隣 現在の築地市場のあたりに・ 458 00:43:53,462 --> 00:43:57,967 武術の訓練施設を造りました。・ 459 00:43:57,967 --> 00:44:04,573 家定も 度々 視察に訪れたと 伝わります。・ 460 00:44:04,573 --> 00:44:09,245 政治の難局に直面していく家定。・ 461 00:44:09,245 --> 00:44:14,917 篤姫は 妻として支え続けるのです> 462 00:44:14,917 --> 00:44:25,617 ・~