1 00:00:03,695 --> 00:00:11,904 (徳川家定)わしのような力のない 体の弱い男の妻となったこと・ 2 00:00:11,904 --> 00:00:14,704 後悔はないか? 3 00:00:17,709 --> 00:00:20,646 (篤姫)ございません。 4 00:00:20,646 --> 00:00:23,916 (家定)幕府もハリスも将軍も・ 5 00:00:23,916 --> 00:00:27,453 そのようなもの 何もない世界に行きたいのう。・ 6 00:00:27,453 --> 00:00:33,792 そうすれば そちと 一日中 面白い話ができるのに。 7 00:00:33,792 --> 00:00:39,792 きっと… きっと話が尽きませぬ。 8 00:00:42,134 --> 00:00:47,940 (滝山) 将軍 家定公 薨去あそばされました。 9 00:00:47,940 --> 00:00:51,140 何を言っておるのだ? 10 00:00:58,150 --> 00:01:01,753 私を上様のところへ 連れていくのじゃ! 11 00:01:01,753 --> 00:01:15,767 ・~(テーマ音楽) 12 00:01:15,767 --> 00:03:45,767 ・~ 13 00:03:50,455 --> 00:03:54,626 (滝山)公方様のご薨去を 天下にふれるのは・ 14 00:03:54,626 --> 00:03:57,929 8月8日にございます。・ 15 00:03:57,929 --> 00:04:04,429 おつらいでしょうが それまでは 誰にも知られてはなりませぬ。 16 00:04:06,071 --> 00:04:09,741 (滝山)御台様。 17 00:04:09,741 --> 00:04:12,411 (幾島)滝山殿。・ 18 00:04:12,411 --> 00:04:18,750 今の御台様は 問いかけにお答えするどころか・ 19 00:04:18,750 --> 00:04:28,050 誰かとお話しになる ご気力すらございません。 20 00:04:34,299 --> 00:04:38,437 (志賀)滝山様。 御台様は? 21 00:04:38,437 --> 00:04:42,307 それが お風邪を お召しになったようで・ 22 00:04:42,307 --> 00:04:45,210 しばらくは 大事をとるとのことに ございました。 23 00:04:45,210 --> 00:04:50,782 (歌橋)まあ あの お元気な御台様が。 24 00:04:50,782 --> 00:04:54,119 (本寿院)まさに 鬼のかくらんじゃな。・ 25 00:04:54,119 --> 00:04:57,789 時に滝山。 はい。 26 00:04:57,789 --> 00:05:02,561 公方様のご容態について 医者は その後 何か? 27 00:05:02,561 --> 00:05:09,434 はい。 ご病気の方は だいぶ よくなられたようなのですが・ 28 00:05:09,434 --> 00:05:13,205 何より ご政務に 追われておいでのようで。 29 00:05:13,205 --> 00:05:18,744 (本寿院)それで また 病が ぶり返しでもしたら…。 30 00:05:18,744 --> 00:05:25,744 そうじゃ 公方様のために もう一度 祈ってまいろう。 31 00:05:48,106 --> 00:05:54,613 のう 幾島。 はい。 32 00:05:54,613 --> 00:05:58,784 考えてみれば…・ 33 00:05:58,784 --> 00:06:06,224 私が… 上様のお命を 奪ったようなものじゃな。 34 00:06:06,224 --> 00:06:08,727 何を仰せです! 35 00:06:08,727 --> 00:06:16,401 ハリスとの会見を 無理にお勧めしたのも私。 36 00:06:16,401 --> 00:06:23,575 次の公方様を巡る争いに 上様を巻き込んだのも・ 37 00:06:23,575 --> 00:06:28,079 皆 どれもこれも 私であった。 38 00:06:28,079 --> 00:06:31,079 上様を…。 39 00:06:36,421 --> 00:06:49,421 一番… 一番大切なお方を あやめたようなものじゃ…。 40 00:06:56,274 --> 00:07:02,080 そのころ 西郷様は 斉彬様 ご上洛の準備のため・ 41 00:07:02,080 --> 00:07:08,920 京都においでになり そこで 斉彬様の死を知ったのでした。 42 00:07:08,920 --> 00:07:13,225 (西郷吉之助)長々 お世話になりもした。 43 00:07:13,225 --> 00:07:17,395 明日 摩に帰ろうち思うておりもす。 44 00:07:17,395 --> 00:07:22,567 西郷さん。 はっ。 45 00:07:22,567 --> 00:07:28,367 あんた 死のう思うてはんのと 違いますか? 46 00:07:31,276 --> 00:07:34,279 そげな…。 47 00:07:34,279 --> 00:07:42,579 斉彬さんが そこに おいでやすの 見えしませんか? 48 00:07:44,756 --> 00:07:47,425 えらい怒ってはりまっせ。 49 00:07:47,425 --> 00:07:55,125 「あとのことは西郷に託そう思ったのに なんちゅうことを考えておるのや」と。 50 00:07:57,102 --> 00:08:00,005 生きなはれ 西郷さん。 51 00:08:00,005 --> 00:08:06,378 生きて お殿さんのご遺志を 全うしなはれ! 52 00:08:06,378 --> 00:08:13,678 それが 斉彬さんが 何より望んでおいでのことや。 53 00:08:15,720 --> 00:08:18,420 殿…。 54 00:08:23,595 --> 00:08:27,895 ここに 置きなはれ。 55 00:08:29,734 --> 00:08:33,405 あんたの命や。 56 00:08:33,405 --> 00:08:38,743 斉彬さんに代わって 受け取りまひょ。 57 00:08:38,743 --> 00:09:05,704 ・~ 58 00:09:05,704 --> 00:09:08,704 これで よろしい。 59 00:09:14,379 --> 00:09:17,079 これで よろしい。 60 00:09:22,253 --> 00:09:29,728 さすがに ええ家来をお持ちやな。 摩のお殿さんは。 61 00:09:29,728 --> 00:09:40,071 ・~ 62 00:09:40,071 --> 00:09:45,944 早速やけど 近衛さんより お頼みがおす。 63 00:09:45,944 --> 00:09:49,414 何なりと 仰せつけください。 64 00:09:49,414 --> 00:09:55,887 斉彬さんは 今の幕府を変えたい いう思いを お持ちでした。 65 00:09:55,887 --> 00:10:02,687 それを形にするための お文どす。 66 00:10:05,096 --> 00:10:13,605 西郷さん これを 水戸のご老公に 届けてほしいのです。 67 00:10:13,605 --> 00:10:15,640 水戸様に? 68 00:10:15,640 --> 00:10:22,781 これは かしこくも 帝のお考えであらしゃいます。 69 00:10:22,781 --> 00:10:24,781 はは~っ! 70 00:10:26,451 --> 00:10:32,791 一方 斉彬様のご葬儀も 無事に終わった摩では…。 71 00:10:32,791 --> 00:10:37,629 ご葬儀での働き まことに大儀であった。 72 00:10:37,629 --> 00:10:42,300 (小松帯刀)亡き殿の御ためと思い 無我夢中で務めただけにございます。 73 00:10:42,300 --> 00:10:45,203 その気根あったればこそ・ 74 00:10:45,203 --> 00:10:48,473 あれだけの采配が振るえたのであろう。 75 00:10:48,473 --> 00:10:52,811 兄上も喜んでおいでに違いない。 76 00:10:52,811 --> 00:10:56,111 畏れ入り奉ります。 77 00:11:08,760 --> 00:11:12,097 どこの国の酒なのですか? 78 00:11:12,097 --> 00:11:16,434 フランスと… 仰せであった。 79 00:11:16,434 --> 00:11:20,305 摩から出ることなく過ごしてきた わしと違い・ 80 00:11:20,305 --> 00:11:25,110 兄上は 世界中のことに 通じておられたからな。 81 00:11:25,110 --> 00:11:33,451 わしは 江戸も京も知らぬ 田舎者じゃ。 82 00:11:33,451 --> 00:11:43,128 その上で そなたに頼みたい。 はい。 83 00:11:43,128 --> 00:11:47,999 わしのそば近く 仕えてはくれぬか。 84 00:11:47,999 --> 00:11:50,635 私が… でございますか? 85 00:11:50,635 --> 00:11:54,472 兄上は そなたを高く買っておった。 86 00:11:54,472 --> 00:11:58,772 決して 人を裏切らぬ人間であるとな。 87 00:12:00,345 --> 00:12:04,082 甘いだけなのです。 88 00:12:04,082 --> 00:12:08,887 非情に徹することができぬと 友に いさめられたこともございます。 89 00:12:08,887 --> 00:12:14,387 さような者こそ わしには 何より貴重なのだ! 90 00:12:16,628 --> 00:12:21,766 何か 志すところが おありなのでしょうか? 91 00:12:21,766 --> 00:12:24,435 ある。 92 00:12:24,435 --> 00:12:30,108 わしは 道半ばでついえた 兄上のご遺志を・ 93 00:12:30,108 --> 00:12:33,778 継ぎたいと考えておるのだ。 ということは…。 94 00:12:33,778 --> 00:12:40,652 これから何年かかろうと 兵を率い 京へ上る。 95 00:12:40,652 --> 00:12:47,325 そこから江戸を目指し 旧弊な幕府を改革してみせる。 96 00:12:47,325 --> 00:12:50,795 本気で お考えなのでございますか? 97 00:12:50,795 --> 00:12:53,464 本気じゃ! 98 00:12:53,464 --> 00:13:06,744 ・~ 99 00:13:06,744 --> 00:13:09,414 よろしく頼む。 100 00:13:09,414 --> 00:13:12,714 もったいなきお言葉にございます。 101 00:13:16,754 --> 00:13:22,093 ただ 問題がひとつ。 問題? 102 00:13:22,093 --> 00:13:26,431 我が父上じゃ…。 103 00:13:26,431 --> 00:13:30,101 (由羅)摩にですか? ああ 帰る。 104 00:13:30,101 --> 00:13:33,972 まあ… 何故でございます? 105 00:13:33,972 --> 00:13:37,842 摩のことは 忠教様に任せておけばよいでは…。 106 00:13:37,842 --> 00:13:40,278 任せておけるか! 107 00:13:40,278 --> 00:13:44,449 今や幕府の実権は 大老の井伊直弼が握り・ 108 00:13:44,449 --> 00:13:48,620 次の将軍は 紀州の慶福様に決まった。 109 00:13:48,620 --> 00:13:54,492 これまで一橋を推してきた我が摩が 苦境に陥るは必定。 110 00:13:54,492 --> 00:13:57,795 わしが出ていかねば どうにもならぬわい! 111 00:13:57,795 --> 00:14:00,465 されど 忠教様が…。 112 00:14:00,465 --> 00:14:03,735 わしが 摩を救うてみせるわい! 113 00:14:03,735 --> 00:14:06,638 アハハハハハ! 114 00:14:06,638 --> 00:14:08,638 (ため息) 115 00:14:10,408 --> 00:14:15,079 (奈良原喜八郎)要するに 忠義様が 摩のご当主になられたとて・ 116 00:14:15,079 --> 00:14:18,116 お力は 忠教様が握って おいでじゃっちゅうことじゃ。 117 00:14:18,116 --> 00:14:21,252 (大山綱良)そうじゃ。 そいじゃって・ 118 00:14:21,252 --> 00:14:24,155 結局は お由羅の子が 力を持ったっちゅうことじゃ。 119 00:14:24,155 --> 00:14:26,424 なあ 小松様。 120 00:14:26,424 --> 00:14:28,359 はあ まあ…。 121 00:14:28,359 --> 00:14:30,895 (有村雄助)面白うなかとなあ。 (西郷信吾)面白うなか! 122 00:14:30,895 --> 00:14:35,266 (有村俊斎)忠教様ばかりではなか。 斉興様が帰っておいでになれば・ 123 00:14:35,266 --> 00:14:39,766 こん先 どげんなることか 分かったもんじゃなかでな。 124 00:14:46,444 --> 00:14:51,115 (大久保正助) そうですか 忠教様のおそばに。 125 00:14:51,115 --> 00:14:57,989 はい。 でも よかったのかどうか…。 126 00:14:57,989 --> 00:15:01,292 よかったでは ございもはんか。 え? 127 00:15:01,292 --> 00:15:07,792 喜ばしかことです。 少なくとも おいは そげん思いもす。 128 00:15:09,400 --> 00:15:11,736 意外ですか? 129 00:15:11,736 --> 00:15:16,607 まあ 少しばかり。 130 00:15:16,607 --> 00:15:23,348 力を持つ人間の強さを おいは 嫌っちゅうほど知っちょいもす。 131 00:15:23,348 --> 00:15:32,348 そん強さに振り回されたせいもあり 以前は そいを 心底嫌っておりもした。 132 00:15:33,992 --> 00:15:39,292 そいどん 今は違いもす。 133 00:15:41,099 --> 00:15:44,099 どう違うのです? 134 00:15:48,439 --> 00:15:55,313 今は そいを使っていくべきだと 思っておりもす。 135 00:15:55,313 --> 00:16:02,613 自らの目的を定め そんために利用すべきであろうと。 136 00:16:05,390 --> 00:16:11,062 どうか ご奮闘ください。 あなた様が ご出世なされば・ 137 00:16:11,062 --> 00:16:17,362 おいどんたちも いつの日か きっと 働き所を得られもんそ。 138 00:16:21,406 --> 00:16:26,706 その言葉 胸に刻みます。 139 00:16:34,419 --> 00:16:39,119 幾島…。 はい。 140 00:16:41,092 --> 00:16:48,966 上様のこと 母上様たちには 何と申しておるのじゃ? 141 00:16:48,966 --> 00:16:56,441 政務がお忙しく 息つく暇もなしと…。 142 00:16:56,441 --> 00:16:59,777 そうか…。 143 00:16:59,777 --> 00:17:03,777 あの… 何か? 144 00:17:07,385 --> 00:17:17,728 公方様が ご薨去あそばしたことを 母上様たちに お話ししたいのじゃ。 145 00:17:17,728 --> 00:17:25,069 何を仰せです。 発喪の日までは 決して 気取られるなと・ 146 00:17:25,069 --> 00:17:28,573 滝山殿も あれほど念を押されて。 147 00:17:28,573 --> 00:17:33,077 大事なる方が亡くなっているというのに・ 148 00:17:33,077 --> 00:17:41,419 伝えてもらえぬというのは 本当につらい 悲しいことじゃ。 149 00:17:41,419 --> 00:17:45,890 将軍 家定公 薨去あそばされました。 150 00:17:45,890 --> 00:17:47,959 いつのことじゃ? 151 00:17:47,959 --> 00:17:52,763 (久世広周)7月6日でございます。 152 00:17:52,763 --> 00:17:55,566 ひとつき近くも前ではないか! 153 00:17:55,566 --> 00:18:00,104 妻たる私に なぜ これまで何も伝えぬ! 154 00:18:00,104 --> 00:18:09,714 母上様や お志賀に あのような思いをさせとうないのじゃ。 155 00:18:09,714 --> 00:18:13,718 断じて なりませぬ。 156 00:18:13,718 --> 00:18:18,389 もはや 上様は おられぬ。 157 00:18:18,389 --> 00:18:29,089 私は もっと早う… 少しでも早う知りたかった。 158 00:18:30,968 --> 00:18:33,938 ・(初瀬)失礼いたします。 159 00:18:33,938 --> 00:18:37,408 何じゃ? 160 00:18:37,408 --> 00:18:41,708 (初瀬)お志賀様が お見えにございますが。 161 00:18:49,020 --> 00:18:51,756 ボーロか…。 162 00:18:51,756 --> 00:18:57,628 私が作りました。 お口に合いますかどうか。 163 00:18:57,628 --> 00:19:07,538 ・~ 164 00:19:07,538 --> 00:19:11,042 おいしい。 165 00:19:11,042 --> 00:19:14,912 う~ん 極楽の味じゃ。 166 00:19:14,912 --> 00:19:18,916 極楽の味じゃ…。 167 00:19:18,916 --> 00:19:27,616 御台様… 畏れながら ひとつ伺いたきことがございます。 168 00:19:29,727 --> 00:19:33,427 上様のことか? 169 00:19:35,066 --> 00:19:37,366 はい。 170 00:19:39,937 --> 00:19:45,937 もしや 公方様は…。 171 00:19:51,082 --> 00:19:55,082 そなたの思うておるとおりじゃ。 172 00:20:03,261 --> 00:20:06,061 では…。 173 00:20:07,765 --> 00:20:12,065 既に この世の方ではない。 174 00:20:16,774 --> 00:20:27,418 すまぬ。 知らされてはいたが 口外せぬという約束だったのじゃ。 175 00:20:27,418 --> 00:20:31,322 私は 案じておりました。 176 00:20:31,322 --> 00:20:37,461 お体の弱い公方様が あれほど頻繁に表に出られて・ 177 00:20:37,461 --> 00:20:40,131 どんなにつらかったことかと。・ 178 00:20:40,131 --> 00:20:43,034 なのに なぜ…・ 179 00:20:43,034 --> 00:20:50,474 なぜ公方様のお体のご様子に 気づいてはくださらなかったのですか! 180 00:20:50,474 --> 00:20:59,174 度々のお渡りがありながら なぜ分かって差し上げなかったのですか! 181 00:21:01,752 --> 00:21:05,052 すまぬ…。 182 00:21:12,396 --> 00:21:19,303 畏れながら… お恨み申し上げます。 183 00:21:19,303 --> 00:21:41,125 ・~ 184 00:21:41,125 --> 00:21:43,794 御台様…。 185 00:21:43,794 --> 00:21:55,094 責められても 恨まれても… しかたがないのじゃ。 186 00:21:56,807 --> 00:21:59,807 御台様…。 187 00:22:06,617 --> 00:22:10,317 次は 本寿院様じゃ。 188 00:22:15,092 --> 00:22:17,792 御台様! 189 00:22:19,764 --> 00:22:24,635 公方様が 亡くなったですと? 190 00:22:24,635 --> 00:22:31,635 ハハハハハハ… 急に何を言われるのかと思えば。 191 00:22:35,780 --> 00:22:39,780 まことにございます。 192 00:22:48,125 --> 00:22:50,461 ばかなことを…。 193 00:22:50,461 --> 00:22:54,461 私には 特に 知らせがあったのです。 194 00:22:56,133 --> 00:23:00,304 亡くなったとして 何故だと…。 195 00:23:00,304 --> 00:23:04,104 ご持病の脚気による衝心のためと。 196 00:23:05,743 --> 00:23:10,614 そなたは なきがらを拝したのか? 197 00:23:10,614 --> 00:23:16,614 いえ 棺だけでございます。 198 00:23:18,322 --> 00:23:26,430 本寿院様 江戸市中では 朱が 品薄になっていると申しております。 199 00:23:26,430 --> 00:23:32,430 まさか そのお棺に詰めたためでは…。 200 00:23:40,978 --> 00:23:44,678 そなたが…。 201 00:23:47,451 --> 00:23:52,122 脚気衝心などと偽って…・ 202 00:23:52,122 --> 00:23:56,822 そなたが毒殺したのであろう! 203 00:24:03,400 --> 00:24:07,271 (幾島)おやめください! 邪魔するでない! 204 00:24:07,271 --> 00:24:15,012 言うてみよ! 慶喜が 次の将軍に ならなかったゆえの逆恨みか! 205 00:24:15,012 --> 00:24:22,753 虫も殺さぬような顔をして 公方様は殺せたか! 206 00:24:22,753 --> 00:24:25,453 離せ! 207 00:24:27,091 --> 00:24:29,426 本寿院様! おやめください! 208 00:24:29,426 --> 00:24:31,426 止めるでない! 209 00:24:33,097 --> 00:24:44,441 私は… 父の死も 上様の死も 知らされなかったのです。 210 00:24:44,441 --> 00:24:48,279 その時の悔しさを思うと…・ 211 00:24:48,279 --> 00:24:52,479 お伝えせずには いられませんでした。 212 00:24:54,451 --> 00:25:00,624 夫でさえ これほどに つらく 悲しいものだから・ 213 00:25:00,624 --> 00:25:05,824 我が子であれば いかばかりかと。 214 00:25:08,065 --> 00:25:11,735 黙れ…。 215 00:25:11,735 --> 00:25:16,073 黙れ 黙れ 黙れ…。 216 00:25:16,073 --> 00:25:28,085 ・~ 217 00:25:28,085 --> 00:25:31,385 まことです…。 218 00:25:40,097 --> 00:25:43,968 まことのことにございます。 219 00:25:43,968 --> 00:26:02,052 ・~ 220 00:26:02,052 --> 00:26:09,052 家定… なぜじゃ。 221 00:26:10,728 --> 00:26:15,599 なぜ 母より先に逝く。 222 00:26:15,599 --> 00:26:22,339 なぜ この母を置いて 先に逝くのじゃ。 223 00:26:22,339 --> 00:26:51,769 ・~ 224 00:26:51,769 --> 00:27:04,069 このままでは 御台様の… 身も心も 壊れてしまいまする。 225 00:27:07,718 --> 00:27:11,055 よいのじゃ。 226 00:27:11,055 --> 00:27:25,602 ・~ 227 00:27:25,602 --> 00:27:29,073 上様…。 228 00:27:29,073 --> 00:27:42,073 ・~ 229 00:27:44,421 --> 00:27:48,592 同じ頃 京都では 水戸藩の者が・ 230 00:27:48,592 --> 00:27:52,763 朝廷より ひそかに 呼び出されておりました。 231 00:27:52,763 --> 00:28:00,104 そして 帝からのお達し 勅諚が 水戸藩に下されました。 232 00:28:00,104 --> 00:28:06,710 幕府の頭越しに 朝廷から 大名へ 直接 勅諚が下されるのは・ 233 00:28:06,710 --> 00:28:10,010 前代未聞のことでした。 234 00:28:11,582 --> 00:28:16,420 水戸藩に 内密に下されたはずの勅諚は・ 235 00:28:16,420 --> 00:28:19,857 大老 井伊様の知るところとなり・ 236 00:28:19,857 --> 00:28:24,695 安政の大獄の引き金となっていくのです。 237 00:28:24,695 --> 00:28:28,232 (太田資始)一橋派が動きましたな。 238 00:28:28,232 --> 00:28:34,104 (間部詮勝)この密勅に関わった者は 皆 厳しく罰せねばなりませぬ。 239 00:28:34,104 --> 00:28:40,410 (井伊直弼)この勅諚が許せぬのは 朝廷が 条約の調印を難じ・ 240 00:28:40,410 --> 00:28:45,749 つまりは 幕府の政を 批判しておることじゃ。 241 00:28:45,749 --> 00:28:49,086 まずは 朝廷の周辺から洗い出せ。 242 00:28:49,086 --> 00:28:53,957 公家 武家を問わず この密勅に関わりし者・ 243 00:28:53,957 --> 00:29:00,097 疑わしき者は すべて捕らえ 厳しく詮議するのじゃ。 244 00:29:00,097 --> 00:29:03,000 (太田 間部)はっ。 245 00:29:03,000 --> 00:29:10,374 一方 家定様の死も公となり ご葬儀が執り行われ・ 246 00:29:10,374 --> 00:29:16,074 ご遺骸は 上野の寛永寺に葬られました。 247 00:29:20,551 --> 00:29:24,054 御台様。 248 00:29:24,054 --> 00:29:27,090 何じゃ。 249 00:29:27,090 --> 00:29:33,063 御台様ご落飾の儀を 執り行わねばなりませぬ。 250 00:29:33,063 --> 00:29:35,399 ご落飾…。 251 00:29:35,399 --> 00:29:38,302 おぐしを おろされる…。 252 00:29:38,302 --> 00:29:42,272 御台様は まだ24で おわしますのに…。・ 253 00:29:42,272 --> 00:29:46,410 寂しゅうございます。 254 00:29:46,410 --> 00:29:50,747 寂しがることではない。 255 00:29:50,747 --> 00:30:01,047 これで心おきなく 上様の菩提を 弔えようというものじゃ…。 256 00:30:07,764 --> 00:30:12,436 ただいまより ご落飾の日まで・ 257 00:30:12,436 --> 00:30:18,736 御台様の身の回りのこと 私が お引き受けいたしました。 258 00:30:21,445 --> 00:30:25,745 その方らは 下がってよいぞ。 259 00:30:41,765 --> 00:30:51,141 自ら私の身の回りの世話をするとは どのような風の吹き回しじゃ? 260 00:30:51,141 --> 00:30:57,481 隙あらば かみついて 差し上げるつもりでございます。 261 00:30:57,481 --> 00:31:01,351 まだ文句をつけるところがあると申すか。 262 00:31:01,351 --> 00:31:04,087 山のごとく。 263 00:31:04,087 --> 00:31:09,893 されど 言うことを聞いてくださらない 御台様のおかげで・ 264 00:31:09,893 --> 00:31:16,093 幾島は 随分と 辛抱強くなりました。 265 00:31:20,437 --> 00:31:27,311 久しぶりに 御台様の笑ったお顔を見られました。 266 00:31:27,311 --> 00:31:38,822 ・~ 267 00:31:38,822 --> 00:31:45,462 相も変わらず 豊かなおぐしにございますね。 268 00:31:45,462 --> 00:31:48,799 そうか…。 269 00:31:48,799 --> 00:31:57,140 御台様 この髪をお切りになる日… ご落飾の日は・ 270 00:31:57,140 --> 00:32:04,748 新たに生まれ変わる日と お考えくださいませ。 271 00:32:04,748 --> 00:32:13,757 思えば これまで 幾たび 生まれ変わってきたことか…。 272 00:32:13,757 --> 00:32:17,427 本当に…。 273 00:32:17,427 --> 00:32:24,727 人の何倍も 生きてこられたようにございますね。 274 00:32:28,071 --> 00:32:31,371 幾島…。 275 00:32:32,976 --> 00:32:41,676 そなたは… そなたは そばにいてくれるな? 276 00:32:46,123 --> 00:32:49,123 どうした? 277 00:32:50,794 --> 00:32:58,135 いえ。 ただ 今ひととき・ 278 00:32:58,135 --> 00:33:05,742 御台様のおぐしを すく喜びを 感じたいだけにございます。 279 00:33:05,742 --> 00:33:18,088 ・~ 280 00:33:18,088 --> 00:33:27,097 数日後 篤姫様 ご落飾の儀が 執り行われたのでございます。 281 00:33:27,097 --> 00:33:42,646 ・~ 282 00:33:42,646 --> 00:33:58,061 (読経) 283 00:33:58,061 --> 00:34:07,761 ・~ 284 00:34:14,611 --> 00:34:23,611 御台様には 本日より 天璋院様とおなりあそばしました。 285 00:34:36,433 --> 00:34:39,733 天璋院…。 286 00:34:44,307 --> 00:34:48,778 上様が 温恭院様。 287 00:34:48,778 --> 00:34:56,119 何やら おそばに 近づけたような気がするのう。 288 00:34:56,119 --> 00:34:59,789 御台様…。 289 00:34:59,789 --> 00:35:04,394 そして このお方も…。 290 00:35:04,394 --> 00:35:10,567 (豊倹院) 私は この後 桜田のご用屋敷へ参ります。 291 00:35:10,567 --> 00:35:17,073 そこで 回向一筋 念仏三昧の日々を送るつもりでおります。 292 00:35:17,073 --> 00:35:22,773 大奥が また さみしゅうなるの。 293 00:35:24,414 --> 00:35:28,084 御台様…。 294 00:35:28,084 --> 00:35:32,784 今日までは 御台様と お呼びしても よろしゅうございましょうか。 295 00:35:34,424 --> 00:35:37,327 かまわぬ。 296 00:35:37,327 --> 00:35:41,765 本日は 御台様に・ 297 00:35:41,765 --> 00:35:45,435 最後に申し上げたきことがございまして 参りました。 298 00:35:45,435 --> 00:35:54,135 その前に… せんだっては そちを怒らせてしもうた。 299 00:35:55,779 --> 00:35:59,079 すまぬことであった。 300 00:36:00,650 --> 00:36:04,221 申し訳ないのは 私の方にございます。 301 00:36:04,221 --> 00:36:07,724 御台様のお心も分からず・ 302 00:36:07,724 --> 00:36:11,228 好き勝手なことを申しました。 303 00:36:11,228 --> 00:36:13,730 お許しくださいませ。 304 00:36:13,730 --> 00:36:16,730 許すなど…。 305 00:36:22,072 --> 00:36:30,772 すべて… お志賀殿の言うたとおりじゃ。 306 00:36:32,415 --> 00:36:36,115 なぜ お泣きになるのですか? 307 00:36:38,755 --> 00:36:48,755 御台様は 公方様に 愛されたではありませぬか。 308 00:36:50,767 --> 00:36:53,103 愛された…。 309 00:36:53,103 --> 00:36:59,276 公方様は 私の所においでの時は・ 310 00:36:59,276 --> 00:37:05,776 いつも 童のようなお姿を 見せてくださいました。 311 00:37:07,384 --> 00:37:13,723 でも… 決して愛してはくださらなかった。 312 00:37:13,723 --> 00:37:17,423 御台様に対するようには。 313 00:37:19,062 --> 00:37:22,732 お志賀殿…。 314 00:37:22,732 --> 00:37:26,069 公方様に愛されておられながら・ 315 00:37:26,069 --> 00:37:29,769 いつまでも悲しみに暮れておられる。 316 00:37:31,741 --> 00:37:35,578 愛されずに終わった女から見れば・ 317 00:37:35,578 --> 00:37:38,415 それは ぜいたくにございます。 318 00:37:38,415 --> 00:37:41,715 ぜいたく…。 319 00:37:47,090 --> 00:37:53,963 最後の最後まで 失礼なことを申し上げました。 320 00:37:53,963 --> 00:37:57,263 どうぞお許しくださいませ。 321 00:38:01,104 --> 00:38:09,713 そして 末永くご息災で…。 322 00:38:09,713 --> 00:38:32,936 ・~ 323 00:38:32,936 --> 00:38:36,740 ぜいたく…。 324 00:38:36,740 --> 00:38:48,351 ・~ 325 00:38:48,351 --> 00:38:52,088 (豊倹院)なぜ お泣きになるのですか?・ 326 00:38:52,088 --> 00:38:59,763 御台様は 公方様に 愛されたではありませぬか。 327 00:38:59,763 --> 00:39:04,367 わしはなあ 御台 初めて思うたのじゃ。 328 00:39:04,367 --> 00:39:07,404 徳川将軍家を残したいと。 329 00:39:07,404 --> 00:39:12,709 残せば そちや その子孫を守ってやることができる。 330 00:39:12,709 --> 00:39:15,378 わしの家族をな。・ 331 00:39:15,378 --> 00:39:19,215 次の将軍が いまだ幼き慶福であれば・ 332 00:39:19,215 --> 00:39:23,715 その後見役として そちの力を使えるであろう。 333 00:39:25,722 --> 00:39:31,861 慶福を補佐して 表の政を助けてやってほしいのじゃ。 334 00:39:31,861 --> 00:39:36,361 女子の身である私がですか。 335 00:39:38,401 --> 00:39:45,401 ぜいたくをしている時ではないのじゃな。 336 00:39:50,747 --> 00:39:54,747 幾島。 はい。 337 00:39:56,419 --> 00:39:59,419 大老に会う。 338 00:40:09,432 --> 00:40:20,076 此度の公方様のご薨去 改めて お悔やみ申し上げまする。 339 00:40:20,076 --> 00:40:23,446 井伊殿に来てもろうたのは ほかでもない・ 340 00:40:23,446 --> 00:40:27,283 今は 温恭院様となられた 上様のご遺志を・ 341 00:40:27,283 --> 00:40:32,155 どのように成し遂げてゆくべきか 話し合うておきたいと思うたからじゃ。 342 00:40:32,155 --> 00:40:37,460 ご遺志と仰せられますると? 343 00:40:37,460 --> 00:40:44,801 私が 紀州慶福殿改め 家茂公の後見役となり・ 344 00:40:44,801 --> 00:40:49,801 政の補佐を行うようにと 言うておられた件じゃ。 345 00:40:52,475 --> 00:40:55,378 いかがした? 346 00:40:55,378 --> 00:41:02,085 ああ いや… ただ さようなことは…。 347 00:41:02,085 --> 00:41:05,421 聞いておらぬと申すか。 348 00:41:05,421 --> 00:41:11,121 はい。 初耳にござりますれば。 349 00:41:18,768 --> 00:41:24,440 そうか そういうことか…。 350 00:41:24,440 --> 00:41:35,151 大奥におわす お方が 政に関わるなど この直弼 聞いたことがござりませぬ。・ 351 00:41:35,151 --> 00:41:38,454 天璋院様におかれましても・ 352 00:41:38,454 --> 00:41:46,129 表向きの雑務は 我ら俗輩にお任せになられ・ 353 00:41:46,129 --> 00:41:51,801 どうぞお心安らかに お過ごしあそばされまする…。 354 00:41:51,801 --> 00:41:54,304 その方が どのように考えようと・ 355 00:41:54,304 --> 00:41:59,809 私は 亡くなられた上様のお気持ちを むげにはせぬ。 356 00:41:59,809 --> 00:42:05,509 いや… できぬ。 357 00:42:07,083 --> 00:42:11,383 その方も そのように心得よ。 358 00:42:12,956 --> 00:42:15,758 以上じゃ。 359 00:42:15,758 --> 00:42:32,108 ・~ 360 00:42:32,108 --> 00:42:34,444 此度の密勅の件・ 361 00:42:34,444 --> 00:42:38,314 朝廷が幕府に仕掛けた戦と 見ておりまする。 362 00:42:38,314 --> 00:42:40,316 戦じゃと!? どういうことじゃ? 363 00:42:40,316 --> 00:42:44,454 摩は 随分と様変わりしたようじゃの。 364 00:42:44,454 --> 00:42:47,490 摩に向かう!? このご恩は 忘れもはん。 365 00:42:47,490 --> 00:42:49,792 吉之助さあ! 許せ…。 366 00:42:49,792 --> 00:42:52,462 まことの敵は 幕府じゃ。 367 00:42:52,462 --> 00:42:54,797 母上様! 大丈夫ですか? 368 00:42:54,797 --> 00:42:56,799 母上様…。 369 00:42:56,799 --> 00:43:01,299 幾島 大奥から下がりとう存じます。 370 00:43:03,072 --> 00:43:09,846 <鹿児島県姶良町は 島津忠教 後の久光が当主を務めた・ 371 00:43:09,846 --> 00:43:12,046 重富島津家の領地でした> 372 00:43:14,083 --> 00:43:20,757 <平松城跡。 ご一門四家の一つ 重富島津家は・ 373 00:43:20,757 --> 00:43:25,457 この お仮屋を中心に 領地を治めていました> 374 00:43:27,096 --> 00:43:30,433 <重富島津家の墓地。・ 375 00:43:30,433 --> 00:43:35,433 歴代の当主や その家族が眠っています> 376 00:43:37,106 --> 00:43:40,777 <難所として知られた白銀坂。・ 377 00:43:40,777 --> 00:43:47,077 鹿児島から熊本や宮崎へ抜ける 大切な街道でした> 378 00:43:49,118 --> 00:43:52,455 <姶良町と接する鹿児島市には・ 379 00:43:52,455 --> 00:43:58,155 晩年の久光が過ごした庭園の一部が 残されています> 380 00:44:06,969 --> 00:44:11,941 <斉彬の死後 久光は 藩の実権を握り・ 381 00:44:11,941 --> 00:44:16,646 歴史の表舞台に登場することになります> 382 00:44:16,646 --> 00:44:26,646 ・~