1 00:00:05,022 --> 00:00:07,592 (天璋院)やむなく この城を…・ 2 00:00:07,592 --> 00:00:10,628 城を去ることと相なった。 3 00:00:10,628 --> 00:00:12,763 (ざわめき) 4 00:00:12,763 --> 00:00:18,236 <勝と西郷の会談によって 江戸総攻めは 直前に中止> 5 00:00:18,236 --> 00:00:22,106 (西郷吉之助) 江戸総攻めは 取りやめもす! 6 00:00:22,106 --> 00:00:25,776 <その条件の一つが…> 7 00:00:25,776 --> 00:00:28,112 <求められた期限は ひとつき足らず。・ 8 00:00:28,112 --> 00:00:31,782 その間に 1, 000人ともいわれる大奥の女性が・ 9 00:00:31,782 --> 00:00:33,718 城を去ることになったのです> 10 00:00:33,718 --> 00:00:36,654 (本寿院)ここにいる女子たちは 一体 どうなるのじゃ!? 11 00:00:36,654 --> 00:00:39,524 私が 一身をもって取り計らう! 12 00:00:39,524 --> 00:00:44,495 <天璋院は 200年余りの歴史を持つ 大奥を閉じるという・ 13 00:00:44,495 --> 00:00:47,331 最後の大仕事に取り組みます> 14 00:00:47,331 --> 00:00:53,070 (幾島)大御台様としてのお務め 立派に果たされますよう…。 15 00:00:53,070 --> 00:00:57,475 (徳川家定)わしが いつも見ておるからの。 16 00:00:57,475 --> 00:01:03,080 <大奥の運命は 天璋院に委ねられたのです> 17 00:01:03,080 --> 00:01:17,094 ・~(テーマ音楽) 18 00:01:17,094 --> 00:03:47,445 ・~ 19 00:03:47,445 --> 00:03:54,785 お城明け渡しの日が近づき 天璋院様は…。 20 00:03:54,785 --> 00:04:00,085 そうか。 皆 行き先が決まったか。 21 00:04:02,126 --> 00:04:05,996 (かよ)天璋院様のおそばに お仕えできましたこと・ 22 00:04:05,996 --> 00:04:08,733 一生の誉れでございます。 23 00:04:08,733 --> 00:04:11,202 (くわ)懐かしく思い返されるのは・ 24 00:04:11,202 --> 00:04:16,741 初めて 天璋院様のおぐしを とかせていただいたことでございます。・ 25 00:04:16,741 --> 00:04:21,078 あの時は とんでもない姫様が 来られたものと・ 26 00:04:21,078 --> 00:04:24,078 驚いたものでございます。 27 00:04:25,950 --> 00:04:28,819 ご苦労であった。 28 00:04:28,819 --> 00:04:33,424 (3人)お暇申し上げます。 29 00:04:33,424 --> 00:04:46,003 ・~ 30 00:04:46,003 --> 00:04:49,774 ほかの者たちは どうしておるのじゃ? 31 00:04:49,774 --> 00:04:53,611 (滝山)はい。 女中たちの ほぼすべて・ 32 00:04:53,611 --> 00:04:57,448 落ち着く先が決まりましてございます。 33 00:04:57,448 --> 00:05:02,748 それは よかった。 はい。 34 00:05:11,562 --> 00:05:15,900 片づけなども おおよそ終わった。 35 00:05:15,900 --> 00:05:20,738 あとは 城を出る日を待つばかりじゃな。 36 00:05:20,738 --> 00:05:23,774 それが 本寿院様が…。 37 00:05:23,774 --> 00:05:28,479 (歌橋)本寿院様 荷物は少なめにと いわれておりますが…。 38 00:05:28,479 --> 00:05:33,217 そうじゃ! 納戸の箪笥も運ばせよう。 39 00:05:33,217 --> 00:05:35,217 箪笥!? 40 00:05:36,921 --> 00:05:41,421 いかにも 母上様らしいのう。 41 00:05:44,094 --> 00:05:51,094 一方 表方では 武装解除が進んでおりました。 42 00:05:53,103 --> 00:05:55,940 (勝 麟太郎)一つ残らず 倉に収めよ。・ 43 00:05:55,940 --> 00:05:59,610 鉄砲一丁 槍一本でも漏れておれば・ 44 00:05:59,610 --> 00:06:02,446 長に つけこまれる。 45 00:06:02,446 --> 00:06:07,051 そして このお方は…。 46 00:06:07,051 --> 00:06:14,558 そうですか。 清水家のお屋敷に移られる。 47 00:06:14,558 --> 00:06:18,062 (静寛院)大奥を去るのが・ 48 00:06:18,062 --> 00:06:24,401 これほどまでに寂しいとは 思うてもいませんでした。 49 00:06:24,401 --> 00:06:31,075 本当に… そうですね。 50 00:06:31,075 --> 00:06:33,978 身の回りが落ち着きましたら・ 51 00:06:33,978 --> 00:06:38,582 徳川宗家が 再び 江戸城へ入れますよう・ 52 00:06:38,582 --> 00:06:42,920 改めて 朝廷に嘆願いたします。 53 00:06:42,920 --> 00:06:46,423 そこまでしていただけるとは…。 54 00:06:46,423 --> 00:06:54,423 私は やろうと決めたことを 信念を持って やるまでにございます。 55 00:06:56,600 --> 00:07:06,100 それこそが 母上様から 学んだことに ほかなりませぬゆえ。 56 00:07:11,048 --> 00:07:14,919 そちらは どうするつもりじゃ? 57 00:07:14,919 --> 00:07:19,757 どうするとは? これからのことじゃ。 58 00:07:19,757 --> 00:07:24,595 (唐橋)私は 天璋院様に ついていきとう存じます。 59 00:07:24,595 --> 00:07:26,597 (常磐)私もにございます。 60 00:07:26,597 --> 00:07:29,433 常磐はならぬ。 えっ? 61 00:07:29,433 --> 00:07:31,902 そなたは まだ若い。 62 00:07:31,902 --> 00:07:36,740 城を出て 親元にでも戻れば よき縁にも恵まれよう。 63 00:07:36,740 --> 00:07:39,410 そんな…。 64 00:07:39,410 --> 00:07:45,282 天璋院様 私には そのような 出会いはないと仰せなのですか? 65 00:07:45,282 --> 00:07:51,088 もちろん そちとて よき縁が得られるなら そうしてもらいたい。 66 00:07:51,088 --> 00:07:57,595 私は それぞれが家族を持つことを 願うておるのじゃ。 67 00:07:57,595 --> 00:08:01,098 家族を持てと仰せなのは・ 68 00:08:01,098 --> 00:08:04,702 滝山様についても 同じなのですか? 69 00:08:04,702 --> 00:08:07,605 は? もちろんじゃ。 70 00:08:07,605 --> 00:08:14,178 私は そちには 是非とも 夫と子供を持つ喜びを知ってもらいたい。 71 00:08:14,178 --> 00:08:17,715 今更 そのような…。 (唐橋)それより 何より・ 72 00:08:17,715 --> 00:08:23,387 滝山様に釣り合う殿方が おいでにならぬのでは ございませぬか? 73 00:08:23,387 --> 00:08:28,892 唐橋 そちは とうとう 最後まで変わらなかったな。 74 00:08:28,892 --> 00:08:30,828 はい? 75 00:08:30,828 --> 00:08:33,731 いつも ひと言 多いのじゃ! 76 00:08:33,731 --> 00:08:36,567 (唐橋)申し訳ございません! 77 00:08:36,567 --> 00:08:40,070 (常磐)重野様は いかがされるのですか? 78 00:08:40,070 --> 00:08:44,770 (重野)もちろん 私も 天璋院様のもとへ。 79 00:08:46,410 --> 00:08:51,915 とにもかくにも この城で共に過ごすのも あとわずか。 80 00:08:51,915 --> 00:08:55,415 心して暮らしてまいろうぞ。 81 00:09:01,625 --> 00:09:11,325 そして いよいよ 天璋院様が 江戸城を去られる日が 訪れたのでした。 82 00:09:16,240 --> 00:09:20,540 ここを通ってきたのじゃな。 83 00:09:23,180 --> 00:09:27,980 ここが… 江戸城 大奥か…。 84 00:09:31,722 --> 00:09:39,396 重野 しばし 一人にしてくれぬか? 85 00:09:39,396 --> 00:09:42,066 はい。 86 00:09:42,066 --> 00:10:02,086 ・~ 87 00:10:02,086 --> 00:10:04,421 己 何やつ! 88 00:10:04,421 --> 00:10:07,758 シ~! 声を立てるでない かくれんぼをしておるのじゃ。 89 00:10:07,758 --> 00:10:12,096 かくれんぼ!? 「シ~!」と言うたではないか。 90 00:10:12,096 --> 00:10:31,115 ・~ 91 00:10:31,115 --> 00:10:35,986 [ 回想 ] 上様は 日本一の男にございます。 92 00:10:35,986 --> 00:10:37,988 (家定)日本一…。 93 00:10:37,988 --> 00:10:46,988 そのようなお方の妻になれたことを 私は 誇りに思います。 94 00:10:49,500 --> 00:10:54,638 よく見ると そちは 面白い顔をしておるのう。 95 00:10:54,638 --> 00:10:57,674 ひどい。 96 00:10:57,674 --> 00:11:13,423 ・~ 97 00:11:13,423 --> 00:11:20,097 そちのいる所 そこが すなわち 徳川の城なのじゃ。 98 00:11:20,097 --> 00:11:23,397 上様…。 99 00:11:26,770 --> 00:11:29,770 私は…。 100 00:11:31,441 --> 00:11:37,114 上様との思い出を胸に・ 101 00:11:37,114 --> 00:11:45,114 この大奥を… 去ることにいたします。 102 00:11:53,130 --> 00:12:01,430 申し上げます。 お駕籠の支度が整いましてございます。 103 00:12:24,094 --> 00:12:30,968 天璋院様 少しよろしゅうございましょうか。 104 00:12:30,968 --> 00:12:33,268 何じゃ? 105 00:12:37,241 --> 00:12:45,115 今後について 思いが定まりましたゆえ。 聞こう。 106 00:12:45,115 --> 00:12:51,455 私は 大奥と共に消えとう存じます。 消える? 107 00:12:51,455 --> 00:13:01,155 私は 16の年より大奥に上がり ずっと ここで生きてまいりました。 108 00:13:02,799 --> 00:13:08,799 大奥が終わる時は 私も終わる時。 109 00:13:10,407 --> 00:13:18,081 どこかで 静かに 余生を送りたいと存じまする。 110 00:13:18,081 --> 00:13:23,754 余生だなどと… ほかの生き方はないのか? 111 00:13:23,754 --> 00:13:27,925 天璋院様の その まっすぐなご気性・ 112 00:13:27,925 --> 00:13:33,125 滝山 生涯 忘れることはございませぬ。 113 00:13:34,698 --> 00:13:42,105 そなたの強い意志も 変わることはなさそうじゃな。 114 00:13:42,105 --> 00:13:44,405 はい。 115 00:13:45,976 --> 00:13:49,980 (中臈)失礼いたします。 何事じゃ? 116 00:13:49,980 --> 00:13:54,117 あの 本寿院様が…。 117 00:13:54,117 --> 00:13:57,117 母上様が? 118 00:14:05,729 --> 00:14:12,202 母上様 これより 一橋邸に参りますが。 119 00:14:12,202 --> 00:14:19,943 本寿院様 一橋のお屋敷で ゆっくりと お生けになれば…。 120 00:14:19,943 --> 00:14:28,943 今ここで生けねば 意味がないのじゃ。 121 00:14:37,094 --> 00:14:42,432 ごゆるりと お生けください。 お待ちしますゆえ。 122 00:14:42,432 --> 00:14:46,132 そなたの指図は受けぬ! 123 00:14:52,442 --> 00:14:58,248 母上様 もっとお生けください。 お好きなだけ…。 124 00:14:58,248 --> 00:15:05,748 そなたの指図は… え? 125 00:15:35,419 --> 00:16:17,027 ・~ 126 00:16:17,027 --> 00:16:20,730 天璋院様。 127 00:16:20,730 --> 00:16:25,030 滝山。 はい。 128 00:16:33,743 --> 00:16:41,618 まことの気持ちを申せば 私は無念でならぬ。 129 00:16:41,618 --> 00:16:50,618 私の代で この城を明け渡さねばならぬなどと…。 130 00:16:53,763 --> 00:17:01,238 畏れながら 天璋院様なればこそ・ 131 00:17:01,238 --> 00:17:09,713 此度のこと 乗り切ることができたのだと 私は思っております。 132 00:17:09,713 --> 00:17:15,413 私… なればこそ? 133 00:17:17,053 --> 00:17:22,859 大奥を統べるのが ほかのどなただったとしても・ 134 00:17:22,859 --> 00:17:26,730 こうは運びませんでしたでしょう。 135 00:17:26,730 --> 00:17:37,073 大奥を閉じるのが… 私の役割であったと申すか。 136 00:17:37,073 --> 00:17:39,773 はい。 137 00:17:41,945 --> 00:17:48,945 あなた様は 選ばれしお方だったと存じます。 138 00:17:50,620 --> 00:17:55,926 自らの運命を知った大奥が・ 139 00:17:55,926 --> 00:18:04,634 あなた様を ここへ呼び寄せたに相違ありません。 140 00:18:04,634 --> 00:18:11,634 大奥が… 私を呼んだ? 141 00:18:13,343 --> 00:18:19,049 そのようなお方に 最後までお仕えでき・ 142 00:18:19,049 --> 00:18:35,065 私は これまでの大奥年寄の誰よりも… 幸せにございました。 143 00:18:35,065 --> 00:19:01,191 ・~ 144 00:19:01,191 --> 00:19:11,701 滝山… 息災でな。 145 00:19:11,701 --> 00:19:21,378 天璋院様こそ 幾久しくお元気で。 146 00:19:21,378 --> 00:20:36,078 ・~ 147 00:20:57,807 --> 00:21:00,507 (大山綱良)こいは…。 148 00:21:03,413 --> 00:21:15,425 ・~ 149 00:21:15,425 --> 00:21:19,725 まっこて美しか…。 150 00:21:23,933 --> 00:21:29,733 (海江田信義)こいが… 大奥。 151 00:21:35,445 --> 00:21:38,114 そのころ…。 152 00:21:38,114 --> 00:21:46,256 (唐橋)やはり 我慢できませぬ。 ここが 天璋院様のお部屋とは。 153 00:21:46,256 --> 00:21:50,460 今や そのような ぜいたくが言えた身分ではない。 154 00:21:50,460 --> 00:21:56,800 それにしても 天璋院様が このような狭きお部屋に…。 155 00:21:56,800 --> 00:21:59,469 ・(歌橋)本寿院様! 156 00:21:59,469 --> 00:22:02,505 荷物を入れただけで 部屋が いっぱいじゃ。 157 00:22:02,505 --> 00:22:04,908 ですから お荷物は少なめにと。 158 00:22:04,908 --> 00:22:08,411 ここは もとはといえば 慶喜の住まいであろう。 159 00:22:08,411 --> 00:22:11,748 このような所は さっさと出ていきたいものじゃ。 160 00:22:11,748 --> 00:22:14,217 こことて 仮の住まい。 161 00:22:14,217 --> 00:22:17,754 いずれは どこかに移ることになりましょう。 162 00:22:17,754 --> 00:22:23,426 私は 江戸城に戻りたいのじゃ。 ほかの場所であれば ここを動かぬぞ! 163 00:22:23,426 --> 00:22:28,765 (歌橋)本寿院様! 本寿院様! 164 00:22:28,765 --> 00:22:33,436 あの元気を見習おうぞ。 165 00:22:33,436 --> 00:22:37,307 それから ひとつきほど後。 166 00:22:37,307 --> 00:22:41,311 朝廷から お達しがありました。 167 00:22:41,311 --> 00:22:47,984 徳川宗家は駿府に移され 禄高は70万石。 168 00:22:47,984 --> 00:22:51,454 70万石…。 169 00:22:51,454 --> 00:22:58,127 まずは 私が 亀之助様について 駿府に参ります。 170 00:22:58,127 --> 00:23:02,799 家中一同の暮らしが立つべく・ 171 00:23:02,799 --> 00:23:06,402 尽力いたしますので…。 172 00:23:06,402 --> 00:23:12,075 70万石とは あまりに少ない。 173 00:23:12,075 --> 00:23:21,751 2万を超える家臣と その身内を いかにして養えというのじゃ。 174 00:23:21,751 --> 00:23:26,422 (小松帯刀)徳川宗家の禄が わずか70万石とは・ 175 00:23:26,422 --> 00:23:28,358 一体 どういうことですか。 176 00:23:28,358 --> 00:23:32,095 (大久保一蔵)今 徳川に 力を与えるわけには いかんとでごわす。 177 00:23:32,095 --> 00:23:35,095 それが厳しい処分の理由ですか。 178 00:23:36,766 --> 00:23:41,638 (岩倉具視) 徳川は 歴史の波間に消え去るのみです。 179 00:23:41,638 --> 00:23:46,943 私は いずれ 摩藩の土地と領民を・ 180 00:23:46,943 --> 00:23:52,749 帝にお返しするよう 久光様に進言しようと思っております。 181 00:23:52,749 --> 00:23:56,619 版籍奉還いうことですのんか。 182 00:23:56,619 --> 00:24:01,457 さよう。 版籍奉還です。 183 00:24:01,457 --> 00:24:04,060 徳川家の領地を取り上げるだけでは・ 184 00:24:04,060 --> 00:24:10,934 筋が通りません。 恨み つらみも残りましょう。 185 00:24:10,934 --> 00:24:15,405 我らが 己の領地を 朝廷に差し出してこそ・ 186 00:24:15,405 --> 00:24:22,078 新しい日本国の政が 定まると思うのです。 187 00:24:22,078 --> 00:24:26,950 そいは ある意味 正論でございもんど。 188 00:24:26,950 --> 00:24:34,657 私は 少しずつでも前に進み 必ず成し遂げるつもりです。 189 00:24:34,657 --> 00:24:38,428 一方 江戸では…。 190 00:24:38,428 --> 00:24:43,766 京へ お戻りになる…? 191 00:24:43,766 --> 00:24:49,105 家茂さんと過ごしたお城に いられへんのやったら・ 192 00:24:49,105 --> 00:24:52,976 江戸にいる意味もござりませぬ。 193 00:24:52,976 --> 00:25:01,276 お気持ち… 分かるような気がいたします。 194 00:25:04,053 --> 00:25:11,728 家茂様のことを思い出しますね。 195 00:25:11,728 --> 00:25:16,399 心のお優しい方でした。 196 00:25:16,399 --> 00:25:28,411 ・~ 197 00:25:28,411 --> 00:25:33,750 次々に 人が去っていくの。 198 00:25:33,750 --> 00:25:39,222 それも ございましょうが このお食事にございます。 199 00:25:39,222 --> 00:25:41,758 質素にすぎまする! 200 00:25:41,758 --> 00:25:45,628 大御台様であそばした天璋院様が このような…。 201 00:25:45,628 --> 00:25:52,769 我らは言うなれば 居候と同じじゃ。 202 00:25:52,769 --> 00:26:05,048 天璋院様 徳川宗家の禄高が 70万石に削られたというのは…。 203 00:26:05,048 --> 00:26:08,051 本当じゃ。 204 00:26:08,051 --> 00:26:10,720 もしかしたら このままでは・ 205 00:26:10,720 --> 00:26:14,057 徳川家は 立ち行かなくなるのでは ないのでしょうか!? 206 00:26:14,057 --> 00:26:18,061 案ずるには及ばぬ。 されど… されど 70万石とは…。 207 00:26:18,061 --> 00:26:23,566 静まれ! 気が散って 味が分からぬではないか。 208 00:26:23,566 --> 00:26:26,066 (唐橋)申し訳ございません。 209 00:26:29,739 --> 00:26:35,411 ここを出てゆきたい? はい。 210 00:26:35,411 --> 00:26:38,748 なぜじゃ? 211 00:26:38,748 --> 00:26:45,048 私も 自分の家族を持ちたいと 思ったのでございます。 212 00:27:01,971 --> 00:27:07,710 そちは うそが下手じゃの。 213 00:27:07,710 --> 00:27:10,179 うそ…? 214 00:27:10,179 --> 00:27:15,885 せめて 自分の食べる分だけでも 減らそうと考えたのか? 215 00:27:15,885 --> 00:27:21,691 ほかにも 数人の女中を連れて 出ようと思っております。 216 00:27:21,691 --> 00:27:24,594 親戚に 田畑を持つ者があり・ 217 00:27:24,594 --> 00:27:28,898 何人かでしたら そこで なんとかなるのです。 218 00:27:28,898 --> 00:27:32,735 それほどまでに…。 219 00:27:32,735 --> 00:27:36,205 実を申しますれば・ 220 00:27:36,205 --> 00:27:43,946 天璋院様が 苦しまれているお姿を 目にするのが つらいのです。 221 00:27:43,946 --> 00:27:50,219 己をさしおき ほかの者たちのことを 案じてこられた お方が・ 222 00:27:50,219 --> 00:27:53,422 かような目に遭っておいでです。 223 00:27:53,422 --> 00:28:00,296 それを見ているのが 悔しく つろうございます。 224 00:28:00,296 --> 00:28:10,373 ・~ 225 00:28:10,373 --> 00:28:18,673 そちには これまで 何度 助けられてきたことか…。 226 00:28:21,017 --> 00:28:24,921 礼を申すぞ。 227 00:28:24,921 --> 00:28:28,921 とんでもないことにございます。 228 00:28:30,693 --> 00:28:36,599 これまで お仕えできましたことに お礼を申さねばならぬのは・ 229 00:28:36,599 --> 00:28:40,299 私の方にございます。 230 00:28:45,274 --> 00:28:51,574 そちも… 去るか…。 231 00:28:53,416 --> 00:28:59,288 天璋院様に 一つ お願いがございます。 232 00:28:59,288 --> 00:29:04,988 何じゃ? 何でも申してみよ。 233 00:29:06,696 --> 00:29:16,706 いつか 摩の桜島を見せてやりたいと 仰せくださいました。 234 00:29:16,706 --> 00:29:18,741 行こう。 235 00:29:18,741 --> 00:29:25,715 互いに落ち着いたら 共に 見に行こう。 236 00:29:25,715 --> 00:29:32,054 はい。 その日を 待ちわびておりまする。 237 00:29:32,054 --> 00:29:50,406 ・~ 238 00:29:50,406 --> 00:29:55,211 このところ お元気がありませんね…。 239 00:29:55,211 --> 00:30:01,751 お城との別れは 人との別れでもある。・ 240 00:30:01,751 --> 00:30:12,094 滝山様と別れられ 今また 静寛院様 重野様と立て続けじゃ。 241 00:30:12,094 --> 00:30:14,430 (女中)申し上げます。・ 242 00:30:14,430 --> 00:30:17,767 天璋院様に お客様が お見えにございます。 243 00:30:17,767 --> 00:30:20,670 客? 誰じゃ。 244 00:30:20,670 --> 00:30:25,508 (女中)小松帯刀様と仰せです。 245 00:30:25,508 --> 00:30:29,008 今 何と申した? 246 00:30:45,461 --> 00:30:48,161 帯刀殿! 247 00:30:49,966 --> 00:30:53,803 よくぞ… よくぞ来てくださいました。 248 00:30:53,803 --> 00:30:55,803 ははっ。 249 00:30:59,141 --> 00:31:01,477 帯刀殿…? 250 00:31:01,477 --> 00:31:07,283 そうですか おみ足が…。 251 00:31:07,283 --> 00:31:13,756 今は どこへ行くにも これが欠かせませぬ。 252 00:31:13,756 --> 00:31:18,056 ゆっくり養生なさればよいのに。 253 00:31:22,098 --> 00:31:27,236 天璋院様には 心より お詫びを申し上げます。 254 00:31:27,236 --> 00:31:29,171 どうしたのです? 255 00:31:29,171 --> 00:31:33,776 我らが このような暮らしを 天璋院様に強いているのです。 256 00:31:33,776 --> 00:31:37,446 何とぞ お許しくださいませ。 257 00:31:37,446 --> 00:31:41,317 お直りください。 258 00:31:41,317 --> 00:31:48,017 幾島を 江戸によこしてくれたこと 本当に助かりました。 259 00:31:49,792 --> 00:31:53,963 お暮らしに ご不便はございませぬか? 260 00:31:53,963 --> 00:31:58,634 帯刀殿 その話し方 やめていただけませんか。 261 00:31:58,634 --> 00:32:04,907 いや しかし… 天璋院様も 「帯刀殿」と。 262 00:32:04,907 --> 00:32:07,107 あ…。 263 00:32:12,648 --> 00:32:17,420 (唐橋)失礼いたします。・ 264 00:32:17,420 --> 00:32:20,222 遅れまして申し訳ございません。 265 00:32:20,222 --> 00:32:23,092 これは…。 266 00:32:23,092 --> 00:32:38,107 ・~ 267 00:32:38,107 --> 00:32:45,107 ああ… 何から話せばいいのだろうか。 268 00:32:46,782 --> 00:32:52,121 摩の母や兄は? 269 00:32:52,121 --> 00:32:56,792 お元気です。 そうですか。 270 00:32:56,792 --> 00:33:02,792 はい。 それと…。 271 00:33:06,469 --> 00:33:09,205 子供ができました。 272 00:33:09,205 --> 00:33:11,574 本当に? 273 00:33:11,574 --> 00:33:17,446 実は… 近にではないのですが。 274 00:33:17,446 --> 00:33:19,748 まあ…。 275 00:33:19,748 --> 00:33:24,086 その子を引き取って 小松家の跡継ぎにしました。 276 00:33:24,086 --> 00:33:26,021 お近さんは? 277 00:33:26,021 --> 00:33:33,095 認めてくれました。 そうですか…。 278 00:33:33,095 --> 00:33:54,383 ・~ 279 00:33:54,383 --> 00:33:59,121 もう昔のことなので 思い切って申しますが…。 280 00:33:59,121 --> 00:34:06,421 何でしょう? いや… やはり やめます。 281 00:34:17,606 --> 00:34:19,906 やはり申します。 282 00:34:21,744 --> 00:34:31,420 実は 私は あなたを…・ 283 00:34:31,420 --> 00:34:34,420 お慕いしていたのです。 284 00:34:38,294 --> 00:34:42,064 知っていました。 285 00:34:42,064 --> 00:34:44,767 えっ!? 286 00:34:44,767 --> 00:34:49,767 ジョン万次郎さんから聞きました。 287 00:34:53,776 --> 00:34:57,076 驚きました。 288 00:35:02,484 --> 00:35:09,725 では それを承知の上でお聞きします。 はい。 289 00:35:09,725 --> 00:35:13,395 もし…。 290 00:35:13,395 --> 00:35:15,731 もし? 291 00:35:15,731 --> 00:35:23,405 もし 斉彬様からの 養女のお話がなかったら・ 292 00:35:23,405 --> 00:35:28,405 私と 一緒になってくださいましたか? 293 00:35:32,748 --> 00:35:40,422 それを聞いて どうなさるのですか? 294 00:35:40,422 --> 00:35:46,422 私の あのころの気持ちに けりをつけてやりたいのです。 295 00:35:53,969 --> 00:35:59,441 私の答えは…。 296 00:35:59,441 --> 00:36:02,441 お答えは? 297 00:36:08,250 --> 00:36:15,550 亡き夫 家定に相談いたします。 298 00:36:18,927 --> 00:36:21,627 あっ…。 299 00:36:26,402 --> 00:36:30,102 ずるいなあ それは。 300 00:36:38,013 --> 00:36:45,754 お幸せだったのですか? その家定公とのお暮らしは。 301 00:36:45,754 --> 00:36:50,054 この上もなく幸せでした。 302 00:36:51,627 --> 00:37:02,304 心から私を慈しみ… 愛してくれました。 303 00:37:02,304 --> 00:37:06,041 そうでしたか…。 304 00:37:06,041 --> 00:37:09,712 あなたも お近さんと? 305 00:37:09,712 --> 00:37:16,012 はい。 よき妻に恵まれたと思っています。 306 00:37:18,053 --> 00:37:26,395 ならば 私たちは 互いに幸せだったということですね。 307 00:37:26,395 --> 00:37:29,298 そうですね。 308 00:37:29,298 --> 00:37:43,946 ・~ 309 00:37:43,946 --> 00:37:48,083 終わりました。 310 00:37:48,083 --> 00:37:51,783 やられた~。 311 00:37:58,427 --> 00:38:11,874 私にとって あのころの摩での思い出は宝物です。 312 00:38:11,874 --> 00:38:14,543 私にとってもです。 313 00:38:14,543 --> 00:38:18,714 私は知りたい。 もっと もっと広い世界を。 314 00:38:18,714 --> 00:38:21,714 私もです。 315 00:38:31,293 --> 00:38:37,399 また 会いに来てくださいますか。 316 00:38:37,399 --> 00:38:40,436 しばらくは難しいかと…。 317 00:38:40,436 --> 00:38:45,936 近く摩に帰ることになっていますし。 318 00:38:48,744 --> 00:38:51,744 さみしゅうございます。 319 00:38:54,416 --> 00:39:05,416 お城を出て 大事な人が 次々にいなくなっているのです。 320 00:39:15,037 --> 00:39:20,375 人は いなくなるのではなく…・ 321 00:39:20,375 --> 00:39:24,546 また会う時の楽しみのために・ 322 00:39:24,546 --> 00:39:31,346 ひととき… 離れ離れになるだけのことです。 323 00:39:39,394 --> 00:39:51,006 そうですね。 私たちも こうやって また会えたのですから。 324 00:39:51,006 --> 00:40:14,296 ・~ 325 00:40:14,296 --> 00:40:18,433 何ですか? 326 00:40:18,433 --> 00:40:24,106 ちょっとした言葉で すぐ お元気になるところは・ 327 00:40:24,106 --> 00:40:27,976 少しも変わっていないんだなと思って。 328 00:40:27,976 --> 00:40:51,800 ・~ 329 00:40:51,800 --> 00:40:59,141 次に会う時まで 元気でいます。 330 00:40:59,141 --> 00:41:04,746 次に… 会う時まで? 331 00:41:04,746 --> 00:41:24,766 ・~ 332 00:41:24,766 --> 00:41:32,641 そうですね 次に会う時まで。 333 00:41:32,641 --> 00:42:17,753 ・~ 334 00:42:17,753 --> 00:42:25,427 江戸が東京となり 元号が明治と改まる・ 335 00:42:25,427 --> 00:42:30,427 その数か月前の出来事に ございました。 336 00:42:33,168 --> 00:42:38,974 元号が明治となり 江戸が東京となって…・ 337 00:42:38,974 --> 00:42:46,715 我らが 大奥に住まいした頃が どんどん遠くなるのう。 338 00:42:46,715 --> 00:42:49,451 別れなのだ。 339 00:42:49,451 --> 00:42:52,651 (泣き声) 340 00:42:57,125 --> 00:43:02,931 今日は 最良の日じゃ。 341 00:43:02,931 --> 00:43:06,802 <静岡県静岡市。・ 342 00:43:06,802 --> 00:43:12,074 徳川家ゆかりの城下町として 知られています。・ 343 00:43:12,074 --> 00:43:17,946 江戸幕府265年の礎を築いた 徳川家康。・ 344 00:43:17,946 --> 00:43:21,750 この地で生涯を閉じました。・ 345 00:43:21,750 --> 00:43:25,620 明治元年 1868年。・ 346 00:43:25,620 --> 00:43:32,761 徳川慶喜は 水戸から この地に移り 謹慎の日々を過ごしました。・ 347 00:43:32,761 --> 00:43:37,432 それから1年 謹慎の解かれた慶喜は・ 348 00:43:37,432 --> 00:43:43,772 かつて 駿府代官所だった場所で 隠居生活を送ることになります。・ 349 00:43:43,772 --> 00:43:51,113 一方 徳川宗家を継いだ田安亀之助 後の徳川家達も・ 350 00:43:51,113 --> 00:43:55,984 藩主として この地に移り住みました。・ 351 00:43:55,984 --> 00:44:03,692 当時をしのばせる屋敷の門が 今も残されています。・ 352 00:44:03,692 --> 00:44:09,197 家康以降 徳川家の歴史が息づく駿府の町で・ 353 00:44:09,197 --> 00:44:18,406 家達は およそ3年 慶喜は およそ29年の年月を送ったのです> 354 00:44:18,406 --> 00:44:28,106 ・~ 355 00:45:04,052 --> 00:45:06,054 (歓声) (実況)出ます!