1 00:00:03,046 --> 00:00:05,716 <摩藩 77万石➡ 2 00:00:05,716 --> 00:00:11,855 そのピラミッドの頂点に立つ 藩主 斉彬の島津本家。➡ 3 00:00:11,855 --> 00:00:16,059 それに連なる 重富島津家。➡ 4 00:00:16,059 --> 00:00:19,863 於一の生まれた 今和泉島津家。➡ 5 00:00:19,863 --> 00:00:25,402 さらに 加治木 垂水を合わせて ご一門四家。➡ 6 00:00:25,402 --> 00:00:28,739 その下に 肝付家 小松家など➡ 7 00:00:28,739 --> 00:00:32,609 数千石以上の領地を持つ 一所持ち。➡ 8 00:00:32,609 --> 00:00:36,079 そして 十数万の家臣がいるという➡ 9 00:00:36,079 --> 00:00:38,749 階級社会で成り立っていました。➡ 10 00:00:38,749 --> 00:00:44,421 上級武士にとって 結婚や養子縁組みは 政略的手段として用いられ➡ 11 00:00:44,421 --> 00:00:47,090 本人の自由はありませんでした。➡ 12 00:00:47,090 --> 00:00:50,427 於一も例外ではなかったのです> 13 00:00:50,427 --> 00:00:52,362 (島津忠教)見初めただと? 14 00:00:52,362 --> 00:00:54,297 (島津斉彬)もう一度 会いたいものだな。 15 00:00:54,297 --> 00:00:57,768 姫じゃ 今和泉の。 16 00:00:57,768 --> 00:01:00,671 <於一の運命の人は…> 17 00:01:00,671 --> 00:01:14,718 ♬~(テーマ音楽) 18 00:01:14,718 --> 00:03:44,718 ♬~ 19 00:03:46,403 --> 00:03:50,740 於一様のもとへ 斉彬様から➡ 20 00:03:50,740 --> 00:03:55,078 思いもかけぬ贈り物が届けられました。 21 00:03:55,078 --> 00:04:11,027 ♬~ 22 00:04:11,027 --> 00:04:15,832 (於一)わ~ 「日本外史」だ! (島津忠剛)史書のか? 23 00:04:15,832 --> 00:04:19,035 はい。 頼 山陽先生のものでございます。 24 00:04:19,035 --> 00:04:21,705 しかし なぜ 殿が? 25 00:04:21,705 --> 00:04:25,375 先日 お目通りした折 史書を好むと申し上げたのです。 26 00:04:25,375 --> 00:04:28,375 それゆえと思います。 27 00:04:30,247 --> 00:04:34,050 父上。 ん? 何じゃ。 28 00:04:34,050 --> 00:04:37,087 これからは おっしゃらないでくださいませね。 29 00:04:37,087 --> 00:04:40,824 「女だてらに史書など読むな」などと。 30 00:04:40,824 --> 00:04:44,394 何しろ お殿様が お認めくだされたのですから。 31 00:04:44,394 --> 00:04:47,394 (お幸)於一! 32 00:04:55,038 --> 00:04:59,876 (お幸)それにしても 殿様じきじきの下され物とは。 33 00:04:59,876 --> 00:05:03,346 殿は 於一が気に入ったご様子での。 34 00:05:03,346 --> 00:05:07,217 「そなたの娘は 面白い娘じゃ」と しきりに 仰せじゃった。 35 00:05:07,217 --> 00:05:10,220 ハハハハハ…。 そうですか。 36 00:05:10,220 --> 00:05:13,023 (ため息) 37 00:05:13,023 --> 00:05:16,359 その翌日のこと。 38 00:05:16,359 --> 00:05:19,029 縁談? (菊本)そうです。 39 00:05:19,029 --> 00:05:24,200 ご本も結構ですが 姫様は これから嫁がれる身➡ 40 00:05:24,200 --> 00:05:26,836 そげなものを お読みになる暇があったら…。 41 00:05:26,836 --> 00:05:30,707 そげなもの? なんという罰当たりな! 42 00:05:30,707 --> 00:05:34,377 はは~。 はは~。 43 00:05:34,377 --> 00:05:39,215 でも 女子は 女子らしゅう 嫁御になるための…。 44 00:05:39,215 --> 00:05:42,719 嫁になど行く気はない。 45 00:05:42,719 --> 00:05:45,622 行く気がない!? 46 00:05:45,622 --> 00:05:49,059 行く気がないとは どういうことでございますか? 47 00:05:49,059 --> 00:05:52,729 だから 今すぐにはという意味じゃ。 48 00:05:52,729 --> 00:05:56,566 姫様は もう17にございますよ。 49 00:05:56,566 --> 00:06:02,672 短きものは 花の命と女子の盛り。 50 00:06:02,672 --> 00:06:07,544 菊本 ほんの17年ぞ。 は? 51 00:06:07,544 --> 00:06:12,816 今 源平合戦のくだりを読んでおるが 700年も昔のことじゃ。 52 00:06:12,816 --> 00:06:17,687 ほんに 17年など まばたきするほどの間のことよの。 53 00:06:17,687 --> 00:06:22,187 姫様! 今は 縁談のお話にございまする。 54 00:06:24,027 --> 00:06:28,027 縁談のう…。 55 00:06:31,368 --> 00:06:36,039 私の育て方が間違っておりました。 56 00:06:36,039 --> 00:06:38,375 ああ この年で…➡ 57 00:06:38,375 --> 00:06:42,545 このようなお言葉を 聞かねばならぬとは…。 58 00:06:42,545 --> 00:06:47,745 だから 行かぬと 言うておるのではなくて…。 59 00:06:49,319 --> 00:06:54,557 ああ そうじゃ ならば 相手を連れてまいれ。 60 00:06:54,557 --> 00:06:58,728 は? 菊本は 「嫁に行け行け」と言うばかり。 61 00:06:58,728 --> 00:07:01,331 相手がおるわけではないではないか。 62 00:07:01,331 --> 00:07:04,667 それは…。 相手を連れてきたら➡ 63 00:07:04,667 --> 00:07:08,367 その話 聞こう。 以上じゃ。 64 00:07:10,006 --> 00:07:11,941 (お幸)縁談の相手? 65 00:07:11,941 --> 00:07:14,511 はい。 どこぞに➡ 66 00:07:14,511 --> 00:07:19,182 姫様に ぴったりの殿御は おいでになられぬのでしょうか。 67 00:07:19,182 --> 00:07:23,686 つい この間まで 2つの派に分かれて争っていたのです。 68 00:07:23,686 --> 00:07:29,025 それが 新しいお殿様をお迎えして やっと平穏が戻ってきた。 69 00:07:29,025 --> 00:07:32,896 これから そうした話も ぼちぼち来るでしょう。 70 00:07:32,896 --> 00:07:36,900 ぼちぼちでは 姫様は お年を召すばかり。 71 00:07:36,900 --> 00:07:40,036 奥様方も のんびりなさりすぎでございます。 72 00:07:40,036 --> 00:07:45,708 分かった 心得ておこう。 お願いいたします。 73 00:07:45,708 --> 00:07:49,212 (菊本)あっ お帰りなさいませ。 (お幸)これは 旦那様。 74 00:07:49,212 --> 00:07:52,048 お迎えにも出ずに失礼いたしました。 75 00:07:52,048 --> 00:07:53,983 (忠剛)大変じゃ! 76 00:07:53,983 --> 00:07:57,720 於一に 縁談が来た。 77 00:07:57,720 --> 00:07:59,656 お… お相手は? 78 00:07:59,656 --> 00:08:02,992 重富島津家の右近殿だ。 79 00:08:02,992 --> 00:08:06,329 (お幸)ああ あの若君ですか。 80 00:08:06,329 --> 00:08:11,000 なかなかの好男子と見ましたが。 そうなのでございますか? 81 00:08:11,000 --> 00:08:14,337 忠教殿のお子であるぞ! 82 00:08:14,337 --> 00:08:18,174 忠教様の…。 そういうことなのじゃ。 83 00:08:18,174 --> 00:08:21,010 それが どうかなさったのですか? 84 00:08:21,010 --> 00:08:26,516 忠教殿は ご隠居 斉興様と お由羅の方とのお子ぞ! 85 00:08:26,516 --> 00:08:30,687 我らから見れば 敵方の大将がごときお方なのじゃ! 86 00:08:30,687 --> 00:08:33,590 つい先ほど お城にて…。 87 00:08:33,590 --> 00:08:36,192 お家が 2つに割れ➡ 88 00:08:36,192 --> 00:08:40,029 互いに いがみ合っておった時➡ 89 00:08:40,029 --> 00:08:45,835 私は 何も知らされず 学問三昧の日々を 送っており申した。 90 00:08:45,835 --> 00:08:49,038 恥ずかしきことにござる。 91 00:08:49,038 --> 00:08:51,841 さようにござりましたか。 92 00:08:51,841 --> 00:08:58,214 されど 聞こえるものは 聞こえてまいります。 93 00:08:58,214 --> 00:09:03,653 忠剛殿が 兄上にお味方しておいでのことも。 94 00:09:03,653 --> 00:09:06,489 いやいや そんな。 (笑い声) 95 00:09:06,489 --> 00:09:08,992 まあ 気にすることではない。 96 00:09:08,992 --> 00:09:15,865 我が 重富島津家からの縁談など 迷惑千万というところにござりましょう。 97 00:09:15,865 --> 00:09:18,334 いやいや 決して そのような…。 98 00:09:18,334 --> 00:09:23,806 お心にかけていただき ありがたきことに存じまする。 99 00:09:23,806 --> 00:09:29,179 そんな中 一つ考えたことがござってな。 100 00:09:29,179 --> 00:09:32,215 考えたこと…。 101 00:09:32,215 --> 00:09:37,887 この縁談を 分裂せし二派をつなぐ➡ 102 00:09:37,887 --> 00:09:42,358 懸け橋にできるのではないか ということでござる。 103 00:09:42,358 --> 00:09:45,261 懸け橋…。 104 00:09:45,261 --> 00:09:52,835 家中を 一つにまとめるは 兄上の悲願でもあることですしな。 105 00:09:52,835 --> 00:10:00,577 あの… このお話 斉彬様は すでにご存じで? 106 00:10:00,577 --> 00:10:05,715 そこまで 先走っておりませぬ。 107 00:10:05,715 --> 00:10:14,057 まずは 姫君のお父上たる 忠剛殿と話をせねばと。 108 00:10:14,057 --> 00:10:18,057 ありがとうございます。 ああ…。 109 00:10:24,400 --> 00:10:27,737 …とまあ そういうことなのじゃ。 110 00:10:27,737 --> 00:10:33,243 あの そういうことなら それほど悪い縁談ではないと…。 111 00:10:33,243 --> 00:10:37,080 ばかを申すではない! ははっ。 112 00:10:37,080 --> 00:10:42,752 表向きは 平穏に見えても にらみ合いは続いておる。 113 00:10:42,752 --> 00:10:44,687 隠居されたとはいえ➡ 114 00:10:44,687 --> 00:10:48,424 江戸におられる斉興様の力は まだまだ大きく➡ 115 00:10:48,424 --> 00:10:52,095 お由羅殿も ピンピンしておいでじゃ。 116 00:10:52,095 --> 00:10:57,267 この縁談が成れば 味方内からは 寝返ったと そしられ➡ 117 00:10:57,267 --> 00:11:00,303 相手方からは 取り入ったと さげすまれるだけじゃ。 118 00:11:00,303 --> 00:11:03,039 なんという…。 119 00:11:03,039 --> 00:11:06,909 よいか? 此度のことは 誰にも言うでないぞ。 120 00:11:06,909 --> 00:11:09,379 むろん 於一にもじゃ。 はい。 121 00:11:09,379 --> 00:11:14,717 ああ… でも せっかく縁談が参ったと思えば…。 122 00:11:14,717 --> 00:11:17,387 (すすり泣き) 123 00:11:17,387 --> 00:11:21,257 泣くでない。 泣きたいのは わしの方じゃ。 124 00:11:21,257 --> 00:11:26,863 おっ そうじゃ。 よいことを思いついたぞ。 125 00:11:26,863 --> 00:11:31,567 いっそ 殿の側室にしていただいたら どうじゃのう? 126 00:11:31,567 --> 00:11:34,604 なんという心ない。 127 00:11:34,604 --> 00:11:38,074 あの子には たとえ 石高は低くとも➡ 128 00:11:38,074 --> 00:11:41,110 正室として 嫁がせてやりとうございます。 129 00:11:41,110 --> 00:11:46,310 困った… 困ったな…。 130 00:11:48,251 --> 00:11:51,587 (肝付尚五郎)えっ! 於一殿に 縁談? 131 00:11:51,587 --> 00:11:55,258 (島津忠敬)相手が 忠教様のお子の 右近殿でな。 132 00:11:55,258 --> 00:11:58,594 忠教様の!? うん。 133 00:11:58,594 --> 00:12:02,565 そうよ。 それで父上は やりたくないのだ。 134 00:12:02,565 --> 00:12:06,703 ああ… それは そうですよね。 そりゃ そうだ うん。 135 00:12:06,703 --> 00:12:09,372 お茶をくれるか。 (女中)はい。 136 00:12:09,372 --> 00:12:13,372 ただ 気がかりが一つ。 137 00:12:16,045 --> 00:12:19,716 2つの派の懸け橋に? 138 00:12:19,716 --> 00:12:23,386 もしや 殿様のお声掛かり ということも考えられる。 139 00:12:23,386 --> 00:12:27,724 そしたら この縁談は決まりだな。 140 00:12:27,724 --> 00:12:31,394 しかし この縁談を避ける手が 2つだけある。 141 00:12:31,394 --> 00:12:33,329 何ですか? 142 00:12:33,329 --> 00:12:38,167 一つは 殿様の側室に差し出す。 え~。 143 00:12:38,167 --> 00:12:41,871 父上が言っておったのだ。 すぐに母上が止めたがな。 144 00:12:41,871 --> 00:12:44,741 もう一つは? え? 145 00:12:44,741 --> 00:12:46,743 ですから 縁談を避ける もう一つの手です。 146 00:12:46,743 --> 00:12:50,079 どうしたのだ? えらく こだわるではないか。 147 00:12:50,079 --> 00:12:52,582 いや つまり 後学のためと申しますか➡ 148 00:12:52,582 --> 00:12:55,885 縁談のことが話題になる年頃に 我らも さしかかったのかと。 149 00:12:55,885 --> 00:13:01,023 もう一つは すこぶる簡単そうで 実に難しい。 150 00:13:01,023 --> 00:13:02,959 はい。 151 00:13:02,959 --> 00:13:06,896 別の相手が現れることだ。 別の相手? 152 00:13:06,896 --> 00:13:11,701 於一を 嫁にもらいたいなどと 言いだす男が現れる。 153 00:13:11,701 --> 00:13:13,703 そして それが➡ 154 00:13:13,703 --> 00:13:18,574 殿様の目に かなう者ならば また話は変わろうな。 155 00:13:18,574 --> 00:13:21,711 別の男…? 156 00:13:21,711 --> 00:13:26,582 まあ 無理だろうな。 何せ うちの妹は ほれ あれだから。 157 00:13:26,582 --> 00:13:30,052 ハハハハ では ここでな。 158 00:13:30,052 --> 00:13:32,722 あの 本日は…。 159 00:13:32,722 --> 00:13:38,594 ああ 妹と囲碁の日であったか。 はい。 160 00:13:38,594 --> 00:13:44,333 この話 於一も知らんことだからな そのあたり よろしく。 161 00:13:44,333 --> 00:13:47,033 はあ…。 162 00:14:12,695 --> 00:14:15,598 そこで いいんですか? 163 00:14:15,598 --> 00:14:17,567 それが よくないのです。 164 00:14:17,567 --> 00:14:21,204 そういうこと言われて 心が揺らぐようでは勝てません。 165 00:14:21,204 --> 00:14:24,240 相手を のんでかからねば。 166 00:14:24,240 --> 00:14:30,940 のんで… ですか? のんで です。 167 00:14:36,385 --> 00:14:39,055 いいんですね? 168 00:14:39,055 --> 00:14:40,990 いいです。 169 00:14:40,990 --> 00:14:43,290 では。 170 00:14:49,398 --> 00:14:55,738 あの 於一殿は…➡ 171 00:14:55,738 --> 00:14:58,574 縁談などが来たら どうなさる…。➡ 172 00:14:58,574 --> 00:15:00,510 すいません。 173 00:15:00,510 --> 00:15:03,346 それと碁と 何の関わりがあるのですか? 174 00:15:03,346 --> 00:15:05,281 別に意味は…。 175 00:15:05,281 --> 00:15:08,184 あ… 心を乱す戦法です。 176 00:15:08,184 --> 00:15:10,219 心を乱す? 177 00:15:10,219 --> 00:15:14,919 意外なことを尋ねて 相手の勢いを崩していくという手です。 178 00:15:16,893 --> 00:15:19,695 なら どうぞ。 えっ? 179 00:15:19,695 --> 00:15:21,697 その お尋ねとやらです。 180 00:15:21,697 --> 00:15:24,367 ですから もしも➡ 181 00:15:24,367 --> 00:15:27,270 縁談が舞い込むようなことがあったら どうなさいますか? 182 00:15:27,270 --> 00:15:29,705 それについては 申すことはございません。 183 00:15:29,705 --> 00:15:32,041 その気がないということですか? そういうことです。 184 00:15:32,041 --> 00:15:36,913 いや… お年頃から言うと そろそろ そういう話もねえ。 185 00:15:36,913 --> 00:15:40,716 その時になったら考えます。 186 00:15:40,716 --> 00:15:43,416 そうですか…。 187 00:15:51,727 --> 00:15:57,400 このころ 摩は 一人の若者を迎え入れました。 188 00:15:57,400 --> 00:16:04,674 アメリカで 西洋の造船や測量 航海術を学んできた この若者に➡ 189 00:16:04,674 --> 00:16:09,674 斉彬様は じきじきに お会いになりました。 190 00:16:11,347 --> 00:16:15,685 (小松清猷)万次郎か。 (ジョン万次郎)はっ。 191 00:16:15,685 --> 00:16:19,985 面を上げよ。 直答を許す。 192 00:16:24,694 --> 00:16:28,030 琉球に帰り着いてから 7か月。 193 00:16:28,030 --> 00:16:34,370 来る日も来る日も 取り調べを受けたようだな。 194 00:16:34,370 --> 00:16:38,070 (万次郎)罪人同様の扱いにございました。 195 00:16:43,045 --> 00:16:49,719 それは 一つには わしのせいじゃな。 はい? 196 00:16:49,719 --> 00:16:56,392 わしも 海防掛を務める忠教も 異国の実情を知らぬ。 197 00:16:56,392 --> 00:16:58,728 しかし知りたい。 198 00:16:58,728 --> 00:17:06,002 そのため少しでも詳しく話を聞けと 琉球の奉行に申し伝えた。 199 00:17:06,002 --> 00:17:08,504 そうでしたか…。 200 00:17:08,504 --> 00:17:15,011 これからは 海防 すなわち 海辺の守りが 何より大事になる。 201 00:17:15,011 --> 00:17:18,047 そう思うて こんなものを作らせた。 202 00:17:18,047 --> 00:17:22,685 思うところを 聞かせてもらいたいのじゃ。 203 00:17:22,685 --> 00:17:34,296 ♬~ 204 00:17:34,296 --> 00:17:38,534 これやったら使い物になりません。 205 00:17:38,534 --> 00:17:41,203 何!? 206 00:17:41,203 --> 00:17:44,040 子細を申してみよ。 207 00:17:44,040 --> 00:17:48,544 こちらに参る途中 摩の大砲を見ました。 208 00:17:48,544 --> 00:17:52,381 すべて 青銅で こしらえてありました。➡ 209 00:17:52,381 --> 00:17:58,721 今や イギリス アメリカの大砲は すべて鉄で造られております。 210 00:17:58,721 --> 00:18:05,494 鉄の大砲は 青銅に比べて 倍以上も弾を飛ばす力がありますきに。 211 00:18:05,494 --> 00:18:11,801 これやったら 遠くの海より じかに城下を狙われてしまいます。 212 00:18:11,801 --> 00:18:18,601 まずは 西洋の船と大砲について 知るべきでございましょう。 213 00:18:23,813 --> 00:18:28,651 さて 気になる このお方といえば…。 214 00:18:28,651 --> 00:18:30,951 (ため息) 215 00:18:39,295 --> 00:18:42,531 (西郷吉之助)おお これは肝付さあ。 216 00:18:42,531 --> 00:18:44,834 西郷さんも お見えだったのですか。 217 00:18:44,834 --> 00:18:47,369 (大久保正助)お見えも何も。 おい! 218 00:18:47,369 --> 00:18:50,039 よかではなかですか。 219 00:18:50,039 --> 00:18:54,710 実は 吉之助さあに 嫁御が来ることになったそうなのです。 220 00:18:54,710 --> 00:18:57,046 ああ それは おめでとうございます。 221 00:18:57,046 --> 00:18:59,949 いや お恥ずかしいかぎりで。 222 00:18:59,949 --> 00:19:04,320 そうですか… 嫁御が…。 223 00:19:04,320 --> 00:19:09,620 どうなさいました? ああ まあ…。 224 00:19:12,995 --> 00:19:15,664 姫様に ご縁談!? 225 00:19:15,664 --> 00:19:19,535 それは また…。 しかし せめてもの救いは➡ 226 00:19:19,535 --> 00:19:23,339 於一殿のお父上が その縁組みを 望んでおられぬということです。 227 00:19:23,339 --> 00:19:26,675 お相手は 斉興様の ご一派に連なる方にて。 228 00:19:26,675 --> 00:19:30,679 ああ ならば 不承知も 道理でございますな。 229 00:19:30,679 --> 00:19:35,351 じゃっどん やはり ほれておられたんですな。 230 00:19:35,351 --> 00:19:38,254 何がですか? 姫様にですよ。 231 00:19:38,254 --> 00:19:42,691 いや それは その 何というか…➡ 232 00:19:42,691 --> 00:19:48,497 やっぱり そうなのでしょうか? それは そうでしょう。 233 00:19:48,497 --> 00:19:53,202 そうですよね。 困ったなあ もう…。 234 00:19:53,202 --> 00:19:55,237 じゃっどん となると…。 235 00:19:55,237 --> 00:19:57,840 そこなのです! どうしたらよいものかと。 236 00:19:57,840 --> 00:20:00,376 それに 於一殿は ご一門のお家柄。 237 00:20:00,376 --> 00:20:05,676 私の身分では 嫁にもらうのは難しいのです。 238 00:20:07,249 --> 00:20:12,087 ならば あきらめるしかありませんな。 え? 239 00:20:12,087 --> 00:20:15,391 そのような 煮えきらん お気持ちでは 難しかでしょう。 240 00:20:15,391 --> 00:20:17,326 はあ…。 241 00:20:17,326 --> 00:20:22,264 あなた様は 上下の隔てなく 我々と おつきあいくださった。 242 00:20:22,264 --> 00:20:26,964 そのような お言葉 聞きとうありませんでしたな。 243 00:20:31,941 --> 00:20:39,882 そうでした。 身分の差はあっても 決して 無理というものはないと思います。 244 00:20:39,882 --> 00:20:42,585 ならば 行った方がよかです。 245 00:20:42,585 --> 00:20:45,421 行って お気持ちを明かされるのです。 246 00:20:45,421 --> 00:20:51,721 気持ちを? はっきり 嫁にもらいたかと。 247 00:20:55,431 --> 00:21:01,036 何を赤くなってらっしゃるんですか? いや ただ…。 ただ? 248 00:21:01,036 --> 00:21:04,840 何と申しますか… それに そのためには まず いろいろと➡ 249 00:21:04,840 --> 00:21:06,775 整えなくてはならぬこともあって…。 250 00:21:06,775 --> 00:21:09,378 肝付さあ! はい。 251 00:21:09,378 --> 00:21:12,281 (西郷)殿様まで関わっておいでの ご縁談であれば➡ 252 00:21:12,281 --> 00:21:17,052 ひっくり返すには 少々の覚悟では どうにもなりませんぞ。 253 00:21:17,052 --> 00:21:22,558 言うではありませんか 「人事を尽くして 天命を待つ」と。 254 00:21:22,558 --> 00:21:26,395 どげんでしょう? 吉之助さあの言うとおり➡ 255 00:21:26,395 --> 00:21:29,064 まずは 人事を尽くしてごらんになったら。 256 00:21:29,064 --> 00:21:34,570 それは…。 願い出るのです 縁組みを。 願い出る…。 257 00:21:34,570 --> 00:21:39,074 吉之助さあの祝言が決まった 今日 ここに見えたのも 何かの縁。 258 00:21:39,074 --> 00:21:41,410 そんとおりじゃな。 うん。 259 00:21:41,410 --> 00:21:44,710 分かりました。 やってみます! 260 00:21:46,749 --> 00:21:49,418 おお! (笑い声) 261 00:21:49,418 --> 00:21:51,718 びっくりした! 262 00:22:00,429 --> 00:22:04,700 ああ 駄目だ… 駄目だ…。 263 00:22:04,700 --> 00:22:07,000 (鳴き声) 264 00:22:19,548 --> 00:22:23,385 おう どうした。 265 00:22:23,385 --> 00:22:30,259 あの… 何と申しますか 先生のご尊顔を拝したくなりまして…。 266 00:22:30,259 --> 00:22:32,728 さては 何かあったか。 267 00:22:32,728 --> 00:22:38,600 そ… その… 何かと申しますか…。 268 00:22:38,600 --> 00:22:42,738 あっ! あっ! 269 00:22:42,738 --> 00:22:45,074 やっぱり 尚五郎さんだ。 270 00:22:45,074 --> 00:22:47,876 ここで 何をなさっているのですか? 271 00:22:47,876 --> 00:22:52,581 それより来てください。 面白い人に会えますよ! 272 00:22:52,581 --> 00:22:55,381 面白い人? 273 00:22:57,086 --> 00:22:59,588 (尚五郎)ぷれじでんと? 274 00:22:59,588 --> 00:23:03,359 アメリカで 一番偉い人です。 275 00:23:03,359 --> 00:23:08,530 4年に1回 国の民の入れ札で選ばれるのですが➡ 276 00:23:08,530 --> 00:23:13,035 誰でも じかに会え 手紙を書くこともできます。 277 00:23:13,035 --> 00:23:14,970 (一同)へえ~…。 278 00:23:14,970 --> 00:23:18,707 その プレジデントと 立ち話をしたこともあったそうじゃ。 279 00:23:18,707 --> 00:23:23,545 はい。 徳川の公方様とは 大変な違いですね。 280 00:23:23,545 --> 00:23:28,417 武士や 町人といった 身分の隔ては のうて➡ 281 00:23:28,417 --> 00:23:32,721 みんな 平等な仕組みの世の中なのです。 282 00:23:32,721 --> 00:23:37,059 国ができて まだ 70年しか たっていないそうですよ。 283 00:23:37,059 --> 00:23:42,231 ほう…。 最初は 数が少なかったこともあって➡ 284 00:23:42,231 --> 00:23:44,733 女子は 大層 大事にされます。 285 00:23:44,733 --> 00:23:47,636 どんなふうに? たとえば➡ 286 00:23:47,636 --> 00:23:51,407 建物の出入りは 女子が先と決まっています。 287 00:23:51,407 --> 00:23:53,342 (一同)へえ~。 288 00:23:53,342 --> 00:24:00,082 縁組みも 家が決めるがではのうて 女子の気持ちが尊重されます。 289 00:24:00,082 --> 00:24:04,520 (お近)好きな相手と 一緒になれるということですか? 290 00:24:04,520 --> 00:24:06,720 (万次郎)そうです。 291 00:24:20,536 --> 00:24:23,038 びっくりしましたね。 292 00:24:23,038 --> 00:24:28,210 はい。 何もかもが びっくりです。 293 00:24:28,210 --> 00:24:33,715 好きな相手と一緒になれるというのにも びっくりしました。 294 00:24:33,715 --> 00:24:39,054 でも 日本とアメリカじゃ 違いすぎますね。 295 00:24:39,054 --> 00:24:42,391 どうなさったのですか? え? 296 00:24:42,391 --> 00:24:46,691 新しい考えが好きな 於一殿らしくもない。 297 00:24:48,263 --> 00:24:51,733 そうですね…。 298 00:24:51,733 --> 00:24:54,636 あの…。 私に…。 299 00:24:54,636 --> 00:24:58,874 私に 縁談が来たそうです。 えっ…。 300 00:24:58,874 --> 00:25:01,510 しかも 我が家からいえば➡ 301 00:25:01,510 --> 00:25:04,012 敵にあたる方だそうです。 302 00:25:04,012 --> 00:25:06,915 そのようですね。 えっ? 303 00:25:06,915 --> 00:25:11,353 ああ いや… 忠敬殿からお聞きしておりました。 304 00:25:11,353 --> 00:25:13,288 兄上から? 305 00:25:13,288 --> 00:25:16,525 なんでも ご両親のお話を 立ち聞きしたとか…。 306 00:25:16,525 --> 00:25:18,560 立ち聞き!? 許せない! 307 00:25:18,560 --> 00:25:20,829 立ち聞きなら あなたも得意ではないですか。 308 00:25:20,829 --> 00:25:24,199 あれは かよわき女子の武器です! 309 00:25:24,199 --> 00:25:28,370 男の人が使うのは 卑怯です! か… かよわきですか…。 310 00:25:28,370 --> 00:25:32,708 ああ しかし 於一殿こそ なぜ ご存じなのです? 311 00:25:32,708 --> 00:25:35,377 ご本人には ないしょだと 聞いたんですが…。 312 00:25:35,377 --> 00:25:38,280 母上が 教えてくれたのです。 313 00:25:38,280 --> 00:25:42,151 当人である私が知らずにいるのは おかしいからと。 314 00:25:42,151 --> 00:25:45,854 そうなのですか…。 315 00:25:45,854 --> 00:25:51,054 それで どうなさるおつもりですか? 316 00:25:54,596 --> 00:25:57,065 どうもこうも…。 317 00:25:57,065 --> 00:26:02,504 もし お殿様のお言いつけなら 行くしかないではありませんか。 318 00:26:02,504 --> 00:26:06,175 しかし まだ そうと決まったわけでは ないのでしょ? 319 00:26:06,175 --> 00:26:11,375 それは… それは そうですが。 320 00:26:13,348 --> 00:26:18,687 あの そのことで…。 尚五郎さんに… お願いがあるのですが。 321 00:26:18,687 --> 00:26:21,590 え… 何ですか? 322 00:26:21,590 --> 00:26:26,361 会ってみたいのです。 その縁談の お相手の方に。 323 00:26:26,361 --> 00:26:28,297 はあ? 324 00:26:28,297 --> 00:26:31,700 ありえないことだとは分かっています。 325 00:26:31,700 --> 00:26:35,037 縁組みが決まったら 女子は黙って従う。 326 00:26:35,037 --> 00:26:39,708 前もって相手に会いたいなどと 考えるものではないと。 327 00:26:39,708 --> 00:26:44,580 でも… でも どうしても知りたいのです。 328 00:26:44,580 --> 00:26:46,848 どういう方なのか。 329 00:26:46,848 --> 00:26:50,219 私自身の覚悟のためにも。 330 00:26:50,219 --> 00:26:55,724 覚悟…。 覚悟… です。 331 00:26:55,724 --> 00:26:58,393 気持ちは分かりますが…。 332 00:26:58,393 --> 00:27:04,166 今日 その方は 演武館の道場におられるそうです。 333 00:27:04,166 --> 00:27:08,003 は? 遠くから チラッと見るだけでもよいのです。 334 00:27:08,003 --> 00:27:11,873 おつきあい願えませんか? 私がですか? 335 00:27:11,873 --> 00:27:14,509 女子が1人で行くのも おかしいでしょう。 336 00:27:14,509 --> 00:27:16,445 いや 2人で行くのも おかしいと思いますけど。 337 00:27:16,445 --> 00:27:19,645 とにかく お願いします。 338 00:27:32,060 --> 00:27:38,033 どの方なんでしょう? さあ…。 339 00:27:38,033 --> 00:27:41,536 (藩士)右近様 腕を上げられましたね。 340 00:27:41,536 --> 00:27:43,572 (島津右近)いえ まだまだでございます。 341 00:27:43,572 --> 00:27:46,872 あの人なんだ…。 342 00:27:50,712 --> 00:28:00,989 ♬~ 343 00:28:00,989 --> 00:28:04,493 いかがでしたか? 右近様は。 344 00:28:04,493 --> 00:28:09,798 よさそうな方でした。 少し安心しました。 345 00:28:09,798 --> 00:28:14,002 於一殿らしくないな。 え? 346 00:28:14,002 --> 00:28:16,338 そんな了見で よいのですか? 347 00:28:16,338 --> 00:28:19,241 一目見て安心すれば 嫁に行けるのですか? 348 00:28:19,241 --> 00:28:23,211 誰も そのようなことを…。 そうではありませんか。 349 00:28:23,211 --> 00:28:25,347 何を怒っていらっしゃるのですか? 350 00:28:25,347 --> 00:28:28,047 怒ってなどおりませんよ。 351 00:28:29,685 --> 00:28:34,022 では お聞きしますが そんなわがままが言えるのですか? 352 00:28:34,022 --> 00:28:38,827 アメリカならともかく 相手が嫌だから行きたくありませんと。 353 00:28:38,827 --> 00:28:41,697 女子に それが許されるのですか? 354 00:28:41,697 --> 00:28:44,366 それは…。 355 00:28:44,366 --> 00:28:48,203 今日は 無理を申しまして 申し訳ございませんでした。 356 00:28:48,203 --> 00:28:50,703 では ここで。 357 00:28:52,374 --> 00:28:55,074 於一殿! 358 00:28:56,712 --> 00:29:04,986 於一殿は その… どのような男が お好きなのですか? 359 00:29:04,986 --> 00:29:09,286 どのような男と ご一緒になりたいのですか? 360 00:29:13,995 --> 00:29:26,341 ♬~ 361 00:29:26,341 --> 00:29:29,177 日本一の男です。 362 00:29:29,177 --> 00:29:31,113 日本一の男? 363 00:29:31,113 --> 00:29:34,683 はい。 それは 私にとってでよいのです。 364 00:29:34,683 --> 00:29:39,821 私は 日本一の男の妻になりたい。 365 00:29:39,821 --> 00:29:42,321 そう思います。 366 00:29:44,025 --> 00:29:47,696 日本一の男…。 367 00:29:47,696 --> 00:29:58,039 ♬~ 368 00:29:58,039 --> 00:30:01,910 日本一の男…。 369 00:30:01,910 --> 00:30:13,910 ♬~ 370 00:30:31,406 --> 00:30:35,744 母上 少し よろしいでしょうか。 371 00:30:35,744 --> 00:30:38,744 どうしました? 372 00:30:45,754 --> 00:30:52,627 私 今日 右近様を見てまいりました。 物陰から。 373 00:30:52,627 --> 00:30:55,096 まあ…。 374 00:30:55,096 --> 00:31:02,704 優しそうな よさそうな方でした。 そうですか。 375 00:31:02,704 --> 00:31:06,208 母上 この縁談ですが➡ 376 00:31:06,208 --> 00:31:11,708 お殿様のお言いつけなら 断ることはできないのですよね? 377 00:31:14,716 --> 00:31:19,588 私 今日 ある人に申しました。 378 00:31:19,588 --> 00:31:24,392 「私は 日本一の男の人と 一緒になりたい」と。 379 00:31:24,392 --> 00:31:28,063 日本一の…。 はい。 380 00:31:28,063 --> 00:31:34,063 私にとっての日本一です。 よく分かりますよ。 381 00:31:35,737 --> 00:31:42,737 母上にとって 父上は 日本一の男ですか? 382 00:31:45,080 --> 00:31:53,421 ええ 日本一です。 そうですか。 383 00:31:53,421 --> 00:31:58,293 でも 最初から そうだったわけでは ありませんよ。 384 00:31:58,293 --> 00:32:02,030 だんだんに 心が寄っていき➡ 385 00:32:02,030 --> 00:32:06,201 今では かけがえのないお方と なったのです。 386 00:32:06,201 --> 00:32:08,236 分かります。 387 00:32:08,236 --> 00:32:13,936 あなたも そうなるやもしれませんよ 右近様と。 388 00:32:16,378 --> 00:32:22,250 一緒になる以上 精いっぱい その努力はするつもりです。 389 00:32:22,250 --> 00:32:25,086 でも…。 390 00:32:25,086 --> 00:32:32,286 あなたにとっての日本一の男ではないと? 391 00:32:33,929 --> 00:32:38,633 そなたには分かるのですね? 392 00:32:38,633 --> 00:32:40,933 分かります。 393 00:32:42,604 --> 00:32:46,741 そうですか。 394 00:32:46,741 --> 00:32:53,415 母上 私は わがままなのでしょうか? 395 00:32:53,415 --> 00:33:00,288 いいえ。 そなたは正直なのです。 396 00:33:00,288 --> 00:33:10,699 ♬~ 397 00:33:10,699 --> 00:33:20,041 [ 心の声 ] 日本一の男… 日本一の男…。 なれるのか? 俺に。 398 00:33:20,041 --> 00:33:54,409 ♬~ 399 00:33:54,409 --> 00:33:58,279 (忠剛)おお… お幸…。 どうなさいました? 400 00:33:58,279 --> 00:34:01,816 ついに来たぞ。 明日 登城するように お召しを受けた。 401 00:34:01,816 --> 00:34:05,353 斉彬様と じきじきのお話になる。 402 00:34:05,353 --> 00:34:07,689 ということは…。 403 00:34:07,689 --> 00:34:16,031 間違いない。 縁談じゃ。 そうですか…。 404 00:34:16,031 --> 00:34:21,331 (しの)お殿様 お客様がお見えです。 客人? 405 00:34:23,705 --> 00:34:29,005 おお これは 尚五郎殿ではないか。 406 00:34:32,714 --> 00:34:36,051 夜分にお邪魔いたしまして 申し訳ございません。 407 00:34:36,051 --> 00:34:42,051 ああ それはよいが わしに用とは 何事じゃ? 408 00:34:47,062 --> 00:34:48,997 於一様を…。 409 00:34:48,997 --> 00:34:50,997 於一を? 410 00:35:02,010 --> 00:35:05,680 於一様を…➡ 411 00:35:05,680 --> 00:35:09,017 妻に頂きたいのです! 412 00:35:09,017 --> 00:35:12,687 於一を妻に… じゃと? 413 00:35:12,687 --> 00:35:18,560 はい。 我が家は 家格が低く しかも 私は 三男です。 414 00:35:18,560 --> 00:35:23,198 でも 於一様と…。 415 00:35:23,198 --> 00:35:25,133 何とぞ お願い申し上げます。 416 00:35:25,133 --> 00:35:28,036 ちょちょ ちょちょ… ちょっと待て! 417 00:35:28,036 --> 00:35:33,908 要するにじゃな そなたは 於一と一緒になりたいと➡ 418 00:35:33,908 --> 00:35:36,544 こう 申しておるのじゃな。 419 00:35:36,544 --> 00:35:39,214 さようにござります。 420 00:35:39,214 --> 00:35:43,384 驚いたな…。 すいません。 421 00:35:43,384 --> 00:35:46,721 この件 そなたの父上は 何と? 422 00:35:46,721 --> 00:35:48,656 婚儀は 家同士のこと。 423 00:35:48,656 --> 00:35:51,593 また 家格の低い我が家から願い出るなど 無礼千万。 424 00:35:51,593 --> 00:35:57,065 後日 改めて 人を介してと申しましたが 矢も盾もたまらず…。 425 00:35:57,065 --> 00:35:59,000 それは また何故? 426 00:35:59,000 --> 00:36:02,504 於一様に 縁談がおありと 聞き及んでおります。 427 00:36:02,504 --> 00:36:08,176 それもあり 勝手ながら 事を急がせていただいた次第です。 428 00:36:08,176 --> 00:36:14,682 ああ なるほど… そういうことか。 429 00:36:14,682 --> 00:36:19,020 於一は そなたにとって そこまでの女子だと申すか。 430 00:36:19,020 --> 00:36:24,893 はい。 ただ 於一様は 仰せになりました。 431 00:36:24,893 --> 00:36:27,529 日本一の男と一緒になりたいと。 432 00:36:27,529 --> 00:36:30,365 日本一の男? それはまた…。 433 00:36:30,365 --> 00:36:33,268 私は 自分に問いました。 434 00:36:33,268 --> 00:36:38,039 於一様にとって 日本一の男になれるかどうかと。 435 00:36:38,039 --> 00:36:40,708 何度も何度も問いましたが➡ 436 00:36:40,708 --> 00:36:46,214 でも どうしても その自信が持てませんでした。 437 00:36:46,214 --> 00:36:52,554 でも やっと ある思いに至ったのです。 ある思い? 438 00:36:52,554 --> 00:36:56,858 大切なのは なれるかではなく 何としてもなってみせるという➡ 439 00:36:56,858 --> 00:36:59,227 強い決意なのだと気づいたのです。 440 00:36:59,227 --> 00:37:04,427 それで やっと ここに来る勇気が持てました。 441 00:37:09,337 --> 00:37:14,809 私は 於一様にとって 日本一の男になりたいと思います。 442 00:37:14,809 --> 00:37:18,012 いえ 必ずなります! 443 00:37:18,012 --> 00:37:21,883 どうか お許しくださりませ。 444 00:37:21,883 --> 00:37:33,361 ♬~ 445 00:37:33,361 --> 00:37:35,697 相分かった! 446 00:37:35,697 --> 00:37:38,032 それだけの覚悟がおありなら➡ 447 00:37:38,032 --> 00:37:41,069 こちらに否やはござらん。 448 00:37:41,069 --> 00:37:47,709 いかに 殿のご内意とはいえ 縁談の件 きっぱりと断ってまいろう。 449 00:37:47,709 --> 00:37:50,378 まことにございますか? 450 00:37:50,378 --> 00:37:55,216 うん。 男と男の約束じゃ。 451 00:37:55,216 --> 00:37:58,553 ありがとうございます。 ありがとうございます! 452 00:37:58,553 --> 00:38:00,989 よろしくお願いいたします! 453 00:38:00,989 --> 00:38:07,662 それと… できますれば➡ 454 00:38:07,662 --> 00:38:09,998 於一様には まだ➡ 455 00:38:09,998 --> 00:38:13,801 ご内密に願いたいのですが。 なぜじゃ? 456 00:38:13,801 --> 00:38:16,337 己の口より じかにお伝えしたいのです。 457 00:38:16,337 --> 00:38:20,675 断られたら どうするつもりじゃ。 決して あきらめません! 458 00:38:20,675 --> 00:38:35,690 ♬~ 459 00:38:35,690 --> 00:38:40,528 尚五郎さん お見えになっていたんですか? 460 00:38:40,528 --> 00:38:47,035 はい。 本日は お父上に御用があり 伺っておりました。 461 00:38:47,035 --> 00:38:53,374 そうですか… ご苦労さまにございました。 462 00:38:53,374 --> 00:38:58,046 では こちらにて失礼いたします。 うむ。 では 明日な。 463 00:38:58,046 --> 00:39:00,046 はい。 464 00:39:04,319 --> 00:39:09,657 ハハハハハ… これは 天の助けじゃ。 465 00:39:09,657 --> 00:39:14,495 決めた相手がおったとなれば それで押し通せるやもしれぬ。 466 00:39:14,495 --> 00:39:16,998 「地獄で仏」とは このことじゃ。 467 00:39:16,998 --> 00:39:22,670 それよりも 私は 尚五郎様のお気持ちに 心を動かされました。 468 00:39:22,670 --> 00:39:26,174 それよ。 なまっちろい若者じゃとばかり 思うておったが➡ 469 00:39:26,174 --> 00:39:29,077 いやいや どうして なかなかの摩男児じゃ。 470 00:39:29,077 --> 00:39:31,045 ええ。 471 00:39:31,045 --> 00:39:35,350 殿方に それほどの思いを 持っていただけるなど➡ 472 00:39:35,350 --> 00:39:41,650 於一は 幸せな娘にございますね。 ああ 違いない。 473 00:39:43,691 --> 00:39:46,194 ただ…。 474 00:39:46,194 --> 00:39:51,532 [ 回想 ] その娘を… 江戸へ連れてまいる。 475 00:39:51,532 --> 00:39:53,732 何じゃ? 476 00:39:55,370 --> 00:39:59,040 あっ いえ…。 さあ。 477 00:39:59,040 --> 00:40:14,222 ♬~ 478 00:40:14,222 --> 00:40:17,725 その翌日…。 479 00:40:17,725 --> 00:40:22,864 本日は 急な出仕 大儀であった。 (忠剛)ははっ。 480 00:40:22,864 --> 00:40:27,064 実は そちの娘のことで頼みがあってのう。 481 00:40:28,669 --> 00:40:32,073 縁談… でございましょうか。 482 00:40:32,073 --> 00:40:36,944 まさに 縁談といえば 縁談。 483 00:40:36,944 --> 00:40:39,947 奥方ともども 精魂込めて➡ 484 00:40:39,947 --> 00:40:43,751 大切に育ててまいったことは 分かっておる。 485 00:40:43,751 --> 00:40:46,421 よくぞ あのように 賢く➡ 486 00:40:46,421 --> 00:40:50,591 しかも 伸びやかに育ったものと 感心しきりじゃ。 487 00:40:50,591 --> 00:40:52,527 そこでじゃが…。 488 00:40:52,527 --> 00:40:56,097 その一件 まことに 申し訳なきことながら➡ 489 00:40:56,097 --> 00:40:59,133 お断り申し上げたく存じまする! 490 00:40:59,133 --> 00:41:03,538 断る? 話も聞かぬうちにか? 491 00:41:03,538 --> 00:41:08,709 いえ お話なら 耳に達しておりまする。 492 00:41:08,709 --> 00:41:15,383 面妖な…。 わしは 誰にも話しておらぬが? 493 00:41:15,383 --> 00:41:18,719 はい? 494 00:41:18,719 --> 00:41:26,461 あの… 重富の右近殿との縁談では? 495 00:41:26,461 --> 00:41:31,261 忠教のせがれだと? そんな話があるのか。 496 00:41:33,067 --> 00:41:38,940 いや それは つまり その…。 497 00:41:38,940 --> 00:41:44,679 そなたの娘に ほれたのは わしじゃ。 はあ? 498 00:41:44,679 --> 00:41:50,618 於一を この斉彬の養女としたい。 499 00:41:50,618 --> 00:41:56,757 島津本家の姫として 養女に もらい受けたいのじゃ。 500 00:41:56,757 --> 00:41:59,457 本家の姫に…。 501 00:42:01,362 --> 00:42:03,698 於一を…。 502 00:42:03,698 --> 00:42:12,707 ♬~ 503 00:42:12,707 --> 00:42:19,380 於一様の運命の歯車は ご本人の与り知らぬところで➡ 504 00:42:19,380 --> 00:42:23,680 ゆっくりと回り始めておりました。 505 00:42:31,092 --> 00:42:33,861 島津77万石の姫になるのじゃ。 506 00:42:33,861 --> 00:42:37,398 今のままだと すっきりしないのです。 やあ~! 507 00:42:37,398 --> 00:42:41,569 好きだった人を奪われました。 奪い返したら ええ。 508 00:42:41,569 --> 00:42:46,407 恨んでおるのか? あなたとも 会えなくなるし…。 509 00:42:46,407 --> 00:42:50,878 女の道は 一本道にございます。 510 00:42:50,878 --> 00:42:54,081 定めに背き 引き返すは…➡ 511 00:42:54,081 --> 00:42:56,017 恥にございますよ。 512 00:42:56,017 --> 00:43:00,317 私を 是非とも 養女にしていただきとうございます。 513 00:43:02,790 --> 00:43:08,029 <高知県土佐清水市。➡ 514 00:43:08,029 --> 00:43:11,899 足摺半島の西に位置する中浜は➡ 515 00:43:11,899 --> 00:43:16,899 ジョン万次郎こと 中浜万次郎の生まれ故郷です> 516 00:43:20,208 --> 00:43:23,844 <幼いころ 父親を亡くした万次郎は➡ 517 00:43:23,844 --> 00:43:29,650 家計を支えるため 早くから働きに出ていました。➡ 518 00:43:29,650 --> 00:43:35,056 万次郎が 漁に出て遭難したのは 14歳の時のこと。➡ 519 00:43:35,056 --> 00:43:37,725 アメリカの捕鯨船に助けられ➡ 520 00:43:37,725 --> 00:43:43,025 10年の歳月を 異国の地で送ることになります> 521 00:43:44,599 --> 00:43:48,869 <大覚寺には 息子が亡くなったと思い込んだ➡ 522 00:43:48,869 --> 00:43:54,369 母親が作った小さな墓が 今も残されています> 523 00:43:56,611 --> 00:44:00,414 <万次郎がもたらした 海外の知識は➡ 524 00:44:00,414 --> 00:44:05,686 その後の日本に 大きな影響を与えました。➡ 525 00:44:05,686 --> 00:44:09,557 新しい時代の波は 後に➡ 526 00:44:09,557 --> 00:44:15,696 万次郎と肝付尚五郎の2人を 再び引き合わせることになるのです> 527 00:44:15,696 --> 00:44:25,696 ♬~