1 00:00:03,152 --> 00:00:07,022 (於一) 某は 島津一之介と申す者。 2 00:00:07,022 --> 00:00:10,893 <南国 摩で 自由奔放に育った 於一> 3 00:00:10,893 --> 00:00:12,828 (肝付尚五郎)於一殿に 縁談? 4 00:00:12,828 --> 00:00:17,766 <17歳となり 当時の結婚適齢期を迎えていました> 5 00:00:17,766 --> 00:00:21,069 相手が嫌だから行きたくありませんと。 6 00:00:21,069 --> 00:00:24,106 女子に それが許されるのですか? 7 00:00:24,106 --> 00:00:30,579 私は 日本一の男の妻になりたい。 そう思います。 8 00:00:30,579 --> 00:00:32,514 (島津斉彬)面を上げよ。 9 00:00:32,514 --> 00:00:38,086 <しかし 藩主 斉彬と出会ったことで 於一の人生は 思わぬ方へ> 10 00:00:38,086 --> 00:00:41,123 実は そちの娘のことで頼みがあってのう。 11 00:00:41,123 --> 00:00:45,594 於一を この斉彬の養女としたい。 12 00:00:45,594 --> 00:00:48,263 <島津本家の養女となれば➡ 13 00:00:48,263 --> 00:00:51,266 於一の嫁ぎ先は 摩一国から➡ 14 00:00:51,266 --> 00:00:56,605 全国の大名家にも 広がることになります。➡ 15 00:00:56,605 --> 00:01:00,943 於一は まさに 人生の岐路に立っていたのです> 16 00:01:00,943 --> 00:01:14,890 ♬~(テーマ音楽) 17 00:01:14,890 --> 00:03:45,374 ♬~ 18 00:03:45,374 --> 00:03:50,579 (菊本)え~っ! お殿様の… 養女に! 19 00:03:50,579 --> 00:03:55,083 (島津忠剛) ああ。 じきじきに お話があった。 20 00:03:55,083 --> 00:04:02,824 謹んで お受けしてきたゆえ 以後は そのつもりで 心がけるように。➡ 21 00:04:02,824 --> 00:04:05,193 於一 聞いておるのか? 22 00:04:05,193 --> 00:04:08,697 あ… あの…。 23 00:04:08,697 --> 00:04:10,632 (忠剛)何じゃ? 24 00:04:10,632 --> 00:04:13,035 なぜ 私が? 25 00:04:13,035 --> 00:04:18,206 そなたを 大層 気に入ったと。 フフフ… こう仰せじゃった。 26 00:04:18,206 --> 00:04:22,544 なんという誉れ。 なんという…。 27 00:04:22,544 --> 00:04:28,350 それなのじゃ。 同じ年頃の娘なら ほかにも何人かおるのに。 28 00:04:28,350 --> 00:04:33,722 重富島津家の哲姫をはじめとしてな。 (お幸)忠教様の娘御の。 29 00:04:33,722 --> 00:04:40,595 (忠剛)そうよ。 なのに ほかの誰でもなく そなたを望まれたのじゃ。 30 00:04:40,595 --> 00:04:45,434 はあ…。 ああ… はあ! 31 00:04:45,434 --> 00:04:49,905 なんと誇らしきことでありましょう。 32 00:04:49,905 --> 00:04:57,579 これまで 姫様にお仕えしてきたかいが ございました。 33 00:04:57,579 --> 00:05:02,851 お殿様の… 養女…。 34 00:05:02,851 --> 00:05:07,722 驚きで言葉も出ぬか? どうなのです? あなたの気持ちは。 35 00:05:07,722 --> 00:05:12,561 どうと言われましても… あまりにも急で。 36 00:05:12,561 --> 00:05:14,563 (忠剛)どうもこうも ないではないか! 37 00:05:14,563 --> 00:05:17,399 島津77万石の姫になるのじゃ。➡ 38 00:05:17,399 --> 00:05:20,399 これほど喜ばしいことはないではないか。 39 00:05:22,204 --> 00:05:27,042 菊本は 今日ほど うれしかったことはありませぬ。 40 00:05:27,042 --> 00:05:32,547 全くに まあ… 思うてもいない すばらしきことになったもの。 41 00:05:32,547 --> 00:05:35,350 それほどに名誉なことなのか? 42 00:05:35,350 --> 00:05:39,888 何を仰せでございますか。 もちろんでございますとも! 43 00:05:39,888 --> 00:05:45,760 ああ… 先行き もう 何も 案ずることはありませぬ。 44 00:05:45,760 --> 00:05:49,598 いずれは よき縁組みにも 恵まれましょう。 45 00:05:49,598 --> 00:05:56,905 とてつもない大大名のところに 嫁ぐことに なるやもしれませぬぞ。 46 00:05:56,905 --> 00:06:02,177 どうも まだ 己のこととは思えぬのじゃ。 47 00:06:02,177 --> 00:06:05,013 しっかりしてくださいませ。 48 00:06:05,013 --> 00:06:08,850 これからは ご本家の姫様に ふさわしい➡ 49 00:06:08,850 --> 00:06:11,753 凜とした心構えでいていただかないと。 50 00:06:11,753 --> 00:06:15,190 でも 養女ともなれば➡ 51 00:06:15,190 --> 00:06:18,693 父上 母上とも めったに 会えなくなるのであろう? 52 00:06:18,693 --> 00:06:21,329 何を仰せです。 53 00:06:21,329 --> 00:06:25,534 この誉れに比べれば どれほどのことがございましょう。 54 00:06:25,534 --> 00:06:31,039 そもそも 女子とは 生まれた家では死ねぬもの。 55 00:06:31,039 --> 00:06:33,875 そいは そうじゃが…。 56 00:06:33,875 --> 00:06:39,575 とにかく もう遅うございます。 早く おやすみくださいませ。 57 00:06:49,424 --> 00:06:52,227 しかし よく分からぬのう。 58 00:06:52,227 --> 00:06:54,162 何がでございますか? 59 00:06:54,162 --> 00:06:59,901 お殿様は 何故 私を気に入られたのであろうか? 60 00:06:59,901 --> 00:07:03,171 そいは…。 61 00:07:03,171 --> 00:07:07,676 そのような… あの 気に入っていただけたのですから➡ 62 00:07:07,676 --> 00:07:10,011 訳など よいではありませぬか。 63 00:07:10,011 --> 00:07:15,511 もう遅うございます。 早く おやすみくださいませ。 64 00:07:23,858 --> 00:07:47,716 ♬~ 65 00:07:47,716 --> 00:07:51,553 (ため息) 66 00:07:51,553 --> 00:07:56,224 菊本 いかがした? 67 00:07:56,224 --> 00:08:01,062 今宵は 星が 美しゅうございます。 68 00:08:01,062 --> 00:08:03,665 今日は 曇りぞ。 69 00:08:03,665 --> 00:08:07,502 さようでございましたか。 70 00:08:07,502 --> 00:08:10,005 どうかしたのか? 71 00:08:10,005 --> 00:08:17,512 このような うれしい夜に 何がございましょう。 72 00:08:17,512 --> 00:08:22,183 とにかく 早く おやすみくださいませ。 73 00:08:22,183 --> 00:08:36,197 ♬~ 74 00:08:36,197 --> 00:08:39,897 ハハ… どうしたのじゃ。 75 00:08:41,870 --> 00:08:50,545 今宵は 何とのう 姫様のお顔を 見ておりたい気分でございまして。 76 00:08:50,545 --> 00:08:52,881 眠れぬではないか。 77 00:08:52,881 --> 00:08:55,550 お許しくださいませ。 78 00:08:55,550 --> 00:08:58,353 そうじゃ。 79 00:08:58,353 --> 00:09:02,657 一緒にやすむか。 床を並べて。 80 00:09:02,657 --> 00:09:04,592 そのような…。 81 00:09:04,592 --> 00:09:10,092 よいではないか 昔のように。 そうしよう。 82 00:09:13,368 --> 00:09:16,171 眠れぬ。 83 00:09:16,171 --> 00:09:20,041 今宵は 目がさえて眠れぬわ。 84 00:09:20,041 --> 00:09:27,515 殿… 大変なのは これからなのですよ。 85 00:09:27,515 --> 00:09:30,185 そうじゃな。 86 00:09:30,185 --> 00:09:33,185 落ち着かねばな。 87 00:09:35,523 --> 00:09:37,459 あ~っ! 88 00:09:37,459 --> 00:09:39,694 大変なことを忘れておった! 89 00:09:39,694 --> 00:09:41,730 いかがされたのです? 90 00:09:41,730 --> 00:09:46,034 肝付のせがれじゃ。 尚五郎のことを すっかり忘れておった! 91 00:09:46,034 --> 00:09:49,070 尚五郎殿? 殿様と話をしたら➡ 92 00:09:49,070 --> 00:09:51,840 事の子細を伝えると 約束しておったのじゃ! 93 00:09:51,840 --> 00:09:55,210 [ 回想 ] 於一様を…➡ 94 00:09:55,210 --> 00:09:57,145 妻に頂きたいのです! 95 00:09:57,145 --> 00:09:59,714 縁談の件 きっぱりと断ってまいろう。 96 00:09:59,714 --> 00:10:05,520 ああ… これは まずいぞ…。 これは 困ったことになった。 97 00:10:05,520 --> 00:10:07,455 今から 行ってくるかの。 98 00:10:07,455 --> 00:10:10,425 え? 今 何時だとお思いですか? どのみち 眠れぬわ。 99 00:10:10,425 --> 00:10:12,894 今から着替えて 朝を待つ。 100 00:10:12,894 --> 00:10:14,829 殿…。 ああ そなたは やすんでおれ。 101 00:10:14,829 --> 00:10:18,529 起こして悪かったな。 あっ! あっ! 102 00:10:20,235 --> 00:10:24,105 相すまぬ。 このとおりじゃ。 103 00:10:24,105 --> 00:10:27,108 (肝付兼善)於一様を ご養女にと。 104 00:10:27,108 --> 00:10:29,377 そういうことなのじゃ。 105 00:10:29,377 --> 00:10:35,083 それはまた…。 とにかく あまりに ありがたき御意ゆえ➡ 106 00:10:35,083 --> 00:10:39,587 わしは そなたのことも忘れて その場で お受けしてしもうた。 107 00:10:39,587 --> 00:10:44,259 尚五郎殿 すまぬ。 ああ… このとおりじゃ。 108 00:10:44,259 --> 00:10:46,761 忠剛様 そげな もったいなか。 109 00:10:46,761 --> 00:10:50,098 それに どうにもしようのなかことでは ありませぬか。 110 00:10:50,098 --> 00:10:54,969 しかし 意を決して申し出てくれた 尚五郎殿の心中を思うと…。 111 00:10:54,969 --> 00:10:59,774 殿様の おぼし召しとあらば 誰を責めるわけにもまいりますまい。 112 00:10:59,774 --> 00:11:02,210 のう尚五郎。 113 00:11:02,210 --> 00:11:07,048 姫様のためには むしろ喜んで差し上げるべきじゃ。 114 00:11:07,048 --> 00:11:09,083 そうは思わんか? 115 00:11:09,083 --> 00:11:12,353 こら しっかりせんか。 116 00:11:12,353 --> 00:11:14,553 あ… 尚五郎殿。 117 00:11:16,224 --> 00:11:22,363 忠剛様 もう一つの お願いの方は? もう一つ? 118 00:11:22,363 --> 00:11:25,900 於一様には おっしゃらずに いただきたいという…。 119 00:11:25,900 --> 00:11:31,072 ああ… いや まだ何も言ってはおらぬ。 120 00:11:31,072 --> 00:11:34,108 ならば このまま内々に願えませぬか? 121 00:11:34,108 --> 00:11:37,808 於一様の重荷とはなっていけませぬゆえ。 122 00:11:44,919 --> 00:11:47,822 私への お気遣いは無用にございます。 123 00:11:47,822 --> 00:11:50,592 某も 摩の武士。 124 00:11:50,592 --> 00:11:55,263 於一様のことは 今日を境に きっぱり忘れることにいたします。 125 00:11:55,263 --> 00:11:59,100 よう言うた! それでこそ男じゃ。 わしの せがれじゃ! 126 00:11:59,100 --> 00:12:03,705 相すまぬ。 大丈夫です。 私は 大丈夫ですから。 127 00:12:03,705 --> 00:12:05,640 ハハ… ハハハ…。 128 00:12:05,640 --> 00:12:13,140 やあ~! やあ~! やあ~! 129 00:12:18,887 --> 00:12:25,226 此度の島津本家 養女の件 まさに 天にも昇る気持ちである。 130 00:12:25,226 --> 00:12:29,230 今宵は 皆と共に 寿ぎたい。➡ 131 00:12:29,230 --> 00:12:32,901 心おきなく祝い 宴を楽しんでくれ。 132 00:12:32,901 --> 00:12:34,836 今宵は 無礼講である! 133 00:12:34,836 --> 00:12:37,772 (一同)はは~! 134 00:12:37,772 --> 00:12:50,919 ♬~ 135 00:12:50,919 --> 00:12:56,090 (栗川孫六) 姫様 どげなお気持ちでごわすか? 136 00:12:56,090 --> 00:13:00,261 どげなと言われても 心が乱れておる。 137 00:13:00,261 --> 00:13:02,196 無理もありますまい。 138 00:13:02,196 --> 00:13:06,868 日本第二の 大大名の姫となられるのですからなあ。 139 00:13:06,868 --> 00:13:09,771 そういうことではなくて…。 (詫摩治通)姫様。➡ 140 00:13:09,771 --> 00:13:12,340 おめでとうございもす。 141 00:13:12,340 --> 00:13:16,878 私も あやかりとうございもす。 これ… これ。 142 00:13:16,878 --> 00:13:28,489 ♬~ 143 00:13:28,489 --> 00:13:33,895 ああ こんなところに いたのですか。 144 00:13:33,895 --> 00:13:40,768 母上…。 何だか 恐ろしいのです。 145 00:13:40,768 --> 00:13:43,571 恐ろしい? 146 00:13:43,571 --> 00:13:47,571 自分が 自分ではないような気がして。 147 00:13:49,243 --> 00:13:53,915 意外ですねえ。 意外? 148 00:13:53,915 --> 00:13:59,615 あなたは 喜ぶのではないかと思いました。 149 00:14:01,189 --> 00:14:08,062 確かに 新しい大きい世界を 見てみたいとは思います。 150 00:14:08,062 --> 00:14:11,199 思いますが…。 151 00:14:11,199 --> 00:14:13,134 思うが? 152 00:14:13,134 --> 00:14:16,537 (足音) 153 00:14:16,537 --> 00:14:19,040 (しの)あの 奥方様。 154 00:14:19,040 --> 00:14:20,975 いかがした? 155 00:14:20,975 --> 00:14:24,775 菊本様のご様子が…。 菊本が? 156 00:14:28,549 --> 00:14:32,549 最前から ずっと ああして おいでなのです。 157 00:14:38,559 --> 00:14:43,431 どうしたのじゃ 具合でも悪いのか? 申し訳ございません。 158 00:14:43,431 --> 00:14:48,903 年も年ですゆえ 少し疲れが出たのでございましょう。 159 00:14:48,903 --> 00:14:51,572 酒は 足りておるか? 160 00:14:51,572 --> 00:14:53,908 ほうじゃ なた豆が あったではないか。➡ 161 00:14:53,908 --> 00:14:56,608 お出ししては どうじゃ? 162 00:15:04,185 --> 00:15:09,057 このころ 摩では 異国船の侵入に備え➡ 163 00:15:09,057 --> 00:15:13,528 砲台の整備に力を入れていました。 164 00:15:13,528 --> 00:15:29,077 ♬~ 165 00:15:29,077 --> 00:15:32,077 尚五郎さん! 166 00:15:42,557 --> 00:15:46,427 ここと あこに あと10の砲台を築きます。 167 00:15:46,427 --> 00:15:48,896 そんなにいるのですか? 168 00:15:48,896 --> 00:15:53,067 前に プレジデントのことを お話ししましたが➡ 169 00:15:53,067 --> 00:15:55,970 それについて 気がかりなことがありまして。 170 00:15:55,970 --> 00:15:57,939 気がかり? 171 00:15:57,939 --> 00:16:01,175 アメリカは 隣国のメキシコとの戦に勝って➡ 172 00:16:01,175 --> 00:16:04,078 領地を広げました。 173 00:16:04,078 --> 00:16:08,516 次は 必ずや 日本に軍艦を差し向けるでしょう。 174 00:16:08,516 --> 00:16:11,552 軍艦を… 何故です? 175 00:16:11,552 --> 00:16:17,191 ほかの国に先んじて 航路を押さえ 我が国と交易を始めたいのです。 176 00:16:17,191 --> 00:16:23,865 それには 武力で脅すのが 一番やというのが 西洋人の考え方。 177 00:16:23,865 --> 00:16:27,201 そこまでして 交易をする意味があるのですか? 178 00:16:27,201 --> 00:16:31,539 日本のような小さい国と。 179 00:16:31,539 --> 00:16:36,410 世界で 最も栄えている町は どこやと思いますか? 180 00:16:36,410 --> 00:16:38,880 さあ…。 181 00:16:38,880 --> 00:16:43,551 イギリスのロンドン 清国の北京。 182 00:16:43,551 --> 00:16:47,221 そして 日本の江戸。 183 00:16:47,221 --> 00:16:49,157 そうなのですか? 184 00:16:49,157 --> 00:16:55,897 これからは 多くの国が争うて 日本を目指すでしょう。 185 00:16:55,897 --> 00:17:01,702 西の端に位置する摩は 軍備を固めねばなりません。 186 00:17:01,702 --> 00:17:04,505 異国と戦になるのですか? 187 00:17:04,505 --> 00:17:07,175 戦わぬために 武器がいるのです。 188 00:17:07,175 --> 00:17:10,845 相手をひるませ 武器を使わせぬためです。 189 00:17:10,845 --> 00:17:13,181 なるほど。 190 00:17:13,181 --> 00:17:17,481 今のは お殿様のお言葉ですが。 191 00:17:21,055 --> 00:17:25,193 斉彬様… か。 192 00:17:25,193 --> 00:17:28,193 どうかしたがですか? 193 00:17:31,065 --> 00:17:35,765 好きだった人を奪われました。 194 00:17:37,772 --> 00:17:40,772 奪い返したら ええ。 195 00:17:44,212 --> 00:17:48,883 それができる相手なら よいのですが…。 196 00:17:48,883 --> 00:17:51,583 (お近)万次郎様! 197 00:17:54,222 --> 00:17:57,124 (お近)尚五郎さんも いらしてたんですね。 198 00:17:57,124 --> 00:17:59,424 ああ はい。 199 00:18:03,030 --> 00:18:06,500 そんなことがあったのですか。 200 00:18:06,500 --> 00:18:11,839 あの このことは くれぐれも 内緒にしてください。 201 00:18:11,839 --> 00:18:15,139 ああ… 私は おしゃべりだ。 202 00:18:18,179 --> 00:18:24,051 でも 尚五郎様は 於一様が お好きだったんですね。 203 00:18:24,051 --> 00:18:30,191 知りませんでした。 え… ああ はあ まあ…。 204 00:18:30,191 --> 00:18:34,061 於一様は あなたの気持ちを 知っているのですか? 205 00:18:34,061 --> 00:18:36,697 いえ 伝えていません。 206 00:18:36,697 --> 00:18:39,200 このまま言わんつもりですか? 207 00:18:39,200 --> 00:18:44,038 もちろんです! なぜ? なぜ? 208 00:18:44,038 --> 00:18:47,074 伝えて どうするつもりですか? 209 00:18:47,074 --> 00:18:50,211 重荷になるだけではありませんか。 210 00:18:50,211 --> 00:18:55,549 ほんなら あなたの気持ちは どうなるのですか?➡ 211 00:18:55,549 --> 00:18:59,549 あなたの胸の痛みは? 苦しみは? 212 00:19:01,355 --> 00:19:05,826 それでも… 言えません。 213 00:19:05,826 --> 00:19:11,499 於一殿を 苦しめることはできない。 214 00:19:11,499 --> 00:19:17,371 なんぼ アメリカに長うても 私も 日本の男です。 215 00:19:17,371 --> 00:19:21,842 けんど 私なら伝えます。➡ 216 00:19:21,842 --> 00:19:28,182 私の心は自由。 気持ちは自由。 217 00:19:28,182 --> 00:19:31,018 それが かなわんかったら➡ 218 00:19:31,018 --> 00:19:33,054 私が いなくなってしまうような 気がします。 219 00:19:33,054 --> 00:19:35,189 いなくなる? 220 00:19:35,189 --> 00:19:39,527 思いだけは 伝えるべきではないのですか? 221 00:19:39,527 --> 00:19:49,203 ♬~ 222 00:19:49,203 --> 00:19:51,872 (ため息) 223 00:19:51,872 --> 00:19:53,808 (島津忠敬)おお 尚五郎。 224 00:19:53,808 --> 00:19:57,211 あっ。 (忠敬)何を うろうろしておるのだ。 225 00:19:57,211 --> 00:19:59,213 いや つまり その…。 226 00:19:59,213 --> 00:20:02,083 そうか 今日は 妹と囲碁の日であったな。 227 00:20:02,083 --> 00:20:07,355 そうなんですが ひょっとして お忙しいかななどとも思いまして…。 228 00:20:07,355 --> 00:20:12,155 何を うだうだ言うとるのだ。 ほら 入れ。 入れ。 229 00:20:24,772 --> 00:20:28,776 殿様のご養女となられる件 伺いました。 230 00:20:28,776 --> 00:20:32,613 まことによき お話ですね。 おめでとうございます。 231 00:20:32,613 --> 00:20:36,384 本当に そう思われますか? えっ? 232 00:20:36,384 --> 00:20:40,254 実は 迷っています。 233 00:20:40,254 --> 00:20:42,189 迷う? 234 00:20:42,189 --> 00:20:45,926 迷うなど 許されぬこととは分かっています。 235 00:20:45,926 --> 00:20:51,599 でも 養女ともなれば お城に上がらねばなりません。 236 00:20:51,599 --> 00:20:53,934 それは そうですね。 237 00:20:53,934 --> 00:20:59,106 そうなれば 親兄弟とも会えなくなります。 238 00:20:59,106 --> 00:21:03,077 あの… それが理由で? 239 00:21:03,077 --> 00:21:05,546 お笑いください。 240 00:21:05,546 --> 00:21:13,846 でも 私にとって 生まれた家を去ることは 本当につらいことなのです。 241 00:21:15,556 --> 00:21:19,894 あなたとも 会えなくなるし…。 242 00:21:19,894 --> 00:21:21,829 そんな 私など…。 243 00:21:21,829 --> 00:21:24,231 それと もう一つ。 244 00:21:24,231 --> 00:21:28,569 なぜ 私は養女に望まれたかが 分からないのです。 245 00:21:28,569 --> 00:21:30,905 殿様のお目に かなったからではないですか? 246 00:21:30,905 --> 00:21:36,243 ですから どこをお気に召したのか 何のために 養女にしたいのか。 247 00:21:36,243 --> 00:21:39,146 それは… そうですね。 248 00:21:39,146 --> 00:21:41,582 そうでしょ? 249 00:21:41,582 --> 00:21:44,251 皆は皆 喜ぶばかりで➡ 250 00:21:44,251 --> 00:21:48,951 誰も私の疑問に 答えてくれる者が いないのです。 251 00:21:56,831 --> 00:22:02,536 ふくれ菓子にございます。 おそれいります。 252 00:22:02,536 --> 00:22:05,206 菊本。 はい。 253 00:22:05,206 --> 00:22:09,543 何じゃ? それは。 は? 254 00:22:09,543 --> 00:22:12,446 ああっ。 255 00:22:12,446 --> 00:22:18,746 これは… とんだことを…。 すぐに お持ちいたします。 256 00:22:23,557 --> 00:22:27,895 どうなされたのですか? 257 00:22:27,895 --> 00:22:33,234 どうも 近頃 様子がおかしいのです。 258 00:22:33,234 --> 00:22:35,169 尋ねてみたら どうでしょう。 259 00:22:35,169 --> 00:22:38,372 菊本にですか? 先ほどの話です。 260 00:22:38,372 --> 00:22:41,075 お殿様に じきじきに お尋ねになってはいかがですか? 261 00:22:41,075 --> 00:22:43,577 養女の件を。 お殿様に!? 262 00:22:43,577 --> 00:22:45,513 養女にとまで おっしゃっているのです。 263 00:22:45,513 --> 00:22:49,250 会ってくださらないはずはないと 思いますが。 264 00:22:49,250 --> 00:22:54,088 そうか…。 そうかもしれませんね。 265 00:22:54,088 --> 00:22:56,288 そうですよ。 266 00:23:01,529 --> 00:23:04,529 どうしましたか? 267 00:23:07,201 --> 00:23:11,201 参りました。 えっ? 268 00:23:13,073 --> 00:23:17,845 あっ 勝ってる。 269 00:23:17,845 --> 00:23:20,748 腕を上げられましたね。 270 00:23:20,748 --> 00:23:23,751 本当に参りました。 271 00:23:23,751 --> 00:23:26,220 いえ そんな…。 272 00:23:26,220 --> 00:23:41,235 ♬~ 273 00:23:41,235 --> 00:23:43,904 お殿様に お会いしたいだと? 274 00:23:43,904 --> 00:23:48,375 はい。 私を お選びいただいた訳を お尋ねしたいのです。 275 00:23:48,375 --> 00:23:50,911 何を 寝ぼけたことを言っておるのじゃ。 276 00:23:50,911 --> 00:23:56,083 そんな勝手は許されぬ! そもそも ご本家との縁組みぞ。 277 00:23:56,083 --> 00:23:58,018 何の文句があるというのじゃ。 278 00:23:58,018 --> 00:24:02,189 文句ではありません。 今のままだと すっきりしないのです。 279 00:24:02,189 --> 00:24:04,525 もったいないことを言うのう。 280 00:24:04,525 --> 00:24:06,560 俺が代わりに行きたいぐらいだ というのに。 281 00:24:06,560 --> 00:24:08,696 そなたは 黙っておれ! はい。 282 00:24:08,696 --> 00:24:12,199 於一 そのようなこと 二度と口にするでない! 283 00:24:12,199 --> 00:24:15,869 しかし 父上! よいな! 284 00:24:15,869 --> 00:24:21,208 でも 於一の気持ちも 分かる気がいたします。 285 00:24:21,208 --> 00:24:23,877 母上。 そなたまで何を! 286 00:24:23,877 --> 00:24:27,548 よいではないですか。 お願いするだけしてみれば。 287 00:24:27,548 --> 00:24:31,719 殿が お許しになるわけがない。 (お幸)そうでしょうか? 288 00:24:31,719 --> 00:24:37,219 いずれは 父と娘になる間柄なのですよ。 289 00:24:38,892 --> 00:24:43,592 父と娘…。 290 00:24:49,236 --> 00:24:54,936 父上 どうぞ お願いします。 291 00:25:02,516 --> 00:25:06,186 (尚五郎)そうですか。 お許しが出たのですか。 292 00:25:06,186 --> 00:25:09,857 はい。 明日 お城に上がることになりました。 293 00:25:09,857 --> 00:25:12,326 それは よかった。 294 00:25:12,326 --> 00:25:15,529 尚五郎さんの おかげです。 295 00:25:15,529 --> 00:25:17,529 しの。 296 00:25:20,200 --> 00:25:23,103 心ばかりのお礼です。 297 00:25:23,103 --> 00:25:26,403 ありがとうございました。 はあ。 298 00:25:28,075 --> 00:25:30,210 酒ですか? 299 00:25:30,210 --> 00:25:33,881 はい。 上方のものだそうです。 ちょうどよかった。 300 00:25:33,881 --> 00:25:38,552 これから 西郷さんの祝言に出かけるので みんなで頂きます。 301 00:25:38,552 --> 00:25:41,221 西郷さん ご祝言でしたか。 302 00:25:41,221 --> 00:25:44,058 くれぐれも おめでとうございますと お伝えください。 303 00:25:44,058 --> 00:25:46,894 はい。 304 00:25:46,894 --> 00:25:56,236 (はやしたてる声) 305 00:25:56,236 --> 00:26:00,107 (拍手と歓声) 306 00:26:00,107 --> 00:26:02,843 (有馬新七)飲めよ 飲め。 307 00:26:02,843 --> 00:26:11,518 ♬~ 308 00:26:11,518 --> 00:26:14,188 あっ そうじゃ。 309 00:26:14,188 --> 00:26:17,858 大久保さんから預かってきた 祝いの品じゃ。 310 00:26:17,858 --> 00:26:19,793 (西郷吉之助)大久保どんが。 おう。 311 00:26:19,793 --> 00:26:23,197 内職の合間に作ったもんらしか。 312 00:26:23,197 --> 00:26:35,542 ♬~ 313 00:26:35,542 --> 00:26:38,445 (西郷)こいは ありがたか。 314 00:26:38,445 --> 00:26:41,415 (スガ)よろしくお伝えくださいませ。 (有馬)うん。 315 00:26:41,415 --> 00:26:46,186 (尚五郎)いや~ めでたい! 実に めでたい。 316 00:26:46,186 --> 00:26:51,558 西郷殿 嫁御寮様 おめでとうございます。 317 00:26:51,558 --> 00:26:56,063 (伊地知正治)肝付様 少し飲みすぎでは ございませんか。 318 00:26:56,063 --> 00:26:58,966 よいでは ないですか。 めでたい席なのですから。 319 00:26:58,966 --> 00:27:02,169 ねえ 西郷殿。 ありがとうございます。 320 00:27:02,169 --> 00:27:05,839 (有村雄助)そげん言えば 姫様とは どうなったんですか? 321 00:27:05,839 --> 00:27:07,775 おい… 何すっとか! 322 00:27:07,775 --> 00:27:09,710 (有村俊斎) 何も仰せにならんということは➡ 323 00:27:09,710 --> 00:27:15,516 うまく いかんかったということじゃろが。 そうか。 324 00:27:15,516 --> 00:27:21,188 姫様はねえ 遠くに行ってしまうのです。 325 00:27:21,188 --> 00:27:23,524 他国に嫁入りで? 326 00:27:23,524 --> 00:27:28,395 もっともっと遠くにです。 327 00:27:28,395 --> 00:27:32,533 もっと遠くとは どこじゃ? (有村次左衛門)さあ…。 328 00:27:32,533 --> 00:27:38,205 私の手には届かない 遠くにです。 329 00:27:38,205 --> 00:27:41,542 何か おありになったのですか? 330 00:27:41,542 --> 00:27:45,212 あったも あったも… 大ありです! 331 00:27:45,212 --> 00:27:49,082 ちょえ~! なんてね。 332 00:27:49,082 --> 00:28:05,499 ♬~ 333 00:28:05,499 --> 00:28:08,168 今度は 泣いておられる。 334 00:28:08,168 --> 00:28:17,845 (泣き声) 335 00:28:17,845 --> 00:28:20,747 そのころ お城では…。 336 00:28:20,747 --> 00:28:24,718 辞めたい!? 337 00:28:24,718 --> 00:28:26,854 どういうことじゃ? 338 00:28:26,854 --> 00:28:33,554 重富の領地に参り そちらの仕事に 専念したいのです。 339 00:28:35,195 --> 00:28:38,866 お願いつかまつります。 340 00:28:38,866 --> 00:28:42,202 忠教…。 341 00:28:42,202 --> 00:28:44,902 恨んでおるのか? 342 00:28:47,541 --> 00:28:50,043 恨む…。 343 00:28:50,043 --> 00:28:55,349 此度の養女の件 そなたの娘 於哲を選ばなかったこと。 344 00:28:55,349 --> 00:28:57,284 また 於一を➡ 345 00:28:57,284 --> 00:29:02,484 次男 右近の嫁にと考えていたとのこと 後で聞いた。 346 00:29:04,057 --> 00:29:08,829 そして 海辺の守りについてじゃ。 347 00:29:08,829 --> 00:29:11,732 万次郎の意見を取り上げ➡ 348 00:29:11,732 --> 00:29:17,170 海防掛たる そちの方策を用いようとはしなかった。 349 00:29:17,170 --> 00:29:21,870 それは 私の力のなさ。 350 00:29:23,510 --> 00:29:29,182 万次郎の知識は 驚くべきものあり。 351 00:29:29,182 --> 00:29:34,021 そちらを選ばれたのは 当然にございます。 352 00:29:34,021 --> 00:29:36,690 そう言ってくれるのは ありがたいが。 353 00:29:36,690 --> 00:29:38,690 ただ…。 354 00:29:42,195 --> 00:29:51,338 兄上は 私を どこかで 信じてくださって おらぬのではないかと。 355 00:29:51,338 --> 00:29:54,538 そのような。 しかし…。 356 00:29:56,176 --> 00:30:00,876 それは 私も同様。 357 00:30:02,883 --> 00:30:06,583 かの 騒ぎの折。 358 00:30:08,221 --> 00:30:12,092 ほんの一瞬。 359 00:30:12,092 --> 00:30:17,898 兄に代わって 当主になりたいと➡ 360 00:30:17,898 --> 00:30:22,569 思う気持ちがなかったとは言えませぬ。 361 00:30:22,569 --> 00:30:24,605 忠教…。 362 00:30:24,605 --> 00:30:27,805 そのような弟を…。 363 00:30:31,578 --> 00:30:33,878 いや…。 364 00:30:39,252 --> 00:30:43,552 弟… ゆえ。 365 00:30:46,927 --> 00:30:54,601 信じて使えない 兄上のお気持ちも 分かるような気がいたします。 366 00:30:54,601 --> 00:30:59,601 忠教 それは思い違いじゃ。 367 00:31:06,213 --> 00:31:09,213 意志は 固いのか? 368 00:31:12,886 --> 00:31:15,186 はい。 369 00:31:21,561 --> 00:31:29,436 そして 斉彬様への お目通りの日となりました。 370 00:31:29,436 --> 00:31:33,073 何? 菊本は参らぬのか。 371 00:31:33,073 --> 00:31:36,576 まことに心苦しゅうはございますが➡ 372 00:31:36,576 --> 00:31:40,380 体の加減が すぐれぬのです。 373 00:31:40,380 --> 00:31:44,180 代わりに しのをやりますので。 374 00:31:46,586 --> 00:31:50,586 ならば しかたがないな…。 375 00:32:02,536 --> 00:32:06,206 では 母上 行ってまいります。 376 00:32:06,206 --> 00:32:09,876 くれぐれも粗相のないように。 377 00:32:09,876 --> 00:32:12,176 はい。 378 00:32:15,749 --> 00:32:21,749 菊本… 行ってくる。 379 00:32:26,727 --> 00:32:29,227 何じゃ? 380 00:32:32,899 --> 00:32:39,599 ご養女の件 お迷いなのは 分かりますが…。 381 00:32:41,241 --> 00:32:47,914 女の道は 一本道にございます。 382 00:32:47,914 --> 00:32:52,786 定めに背き 引き返すは…➡ 383 00:32:52,786 --> 00:32:56,086 恥にございますよ。 384 00:33:00,260 --> 00:33:03,960 行ってらっしゃいませ。 385 00:33:08,068 --> 00:33:11,538 行ってまいる。 386 00:33:11,538 --> 00:33:46,907 ♬~ 387 00:33:46,907 --> 00:33:50,607 ご立派になられて…。 388 00:33:52,245 --> 00:34:00,245 これで 私は いつでも下がらせていただけまする。 389 00:34:01,855 --> 00:34:04,691 何を言うか。 390 00:34:04,691 --> 00:34:10,864 そなたには まだまだ 役に立ってもらわねば 困ります。 391 00:34:10,864 --> 00:34:16,203 ≪奥方様。 今 参る。 392 00:34:16,203 --> 00:34:52,105 ♬~ 393 00:34:52,105 --> 00:34:55,105 そちたちは 外せ。 394 00:35:04,517 --> 00:35:08,388 面を上げよ。 395 00:35:08,388 --> 00:35:11,191 これで 2人きりになった。 396 00:35:11,191 --> 00:35:13,126 何なりと 話すがよい。 397 00:35:13,126 --> 00:35:16,826 さあ 近う寄れ。 398 00:35:30,543 --> 00:35:35,048 此度は 私を養女と おぼし召しくださりましたること➡ 399 00:35:35,048 --> 00:35:37,884 これに過ぎたる喜びは ございませぬ。 400 00:35:37,884 --> 00:35:40,553 厚く御礼 申し上げまする。 401 00:35:40,553 --> 00:35:43,456 わしの一存にて 進めたこと。 402 00:35:43,456 --> 00:35:47,427 姫には さぞかし 戸惑うたことじゃろうのう。 403 00:35:47,427 --> 00:35:52,165 はい。 戸惑いました。 404 00:35:52,165 --> 00:35:54,901 あっ 申し訳ございません! 405 00:35:54,901 --> 00:35:59,239 フフフフ… よいよい。 406 00:35:59,239 --> 00:36:05,512 あの お殿様に どうしても伺いたきことがございます。 407 00:36:05,512 --> 00:36:09,849 「なぜ そなたを養女に望んだか」か? 408 00:36:09,849 --> 00:36:12,185 あの…。 409 00:36:12,185 --> 00:36:17,057 答えは そなたが そういう姫じゃからじゃ。 410 00:36:17,057 --> 00:36:19,926 己の生きる道を 人任せにせず➡ 411 00:36:19,926 --> 00:36:23,797 何事も納得がいくまで とことん突き詰める。 412 00:36:23,797 --> 00:36:27,200 申し訳ございません! 詫びることはない。 413 00:36:27,200 --> 00:36:33,073 面白いと申しておるのじゃ。 はあ…。 414 00:36:33,073 --> 00:36:37,373 わしが 江戸にて 何と呼ばれておるか…。 415 00:36:41,214 --> 00:36:44,551 「腹の底を見せぬ男」じゃ。 416 00:36:44,551 --> 00:36:47,887 腹の底を見せぬ…。 417 00:36:47,887 --> 00:36:50,223 そうじゃ。 418 00:36:50,223 --> 00:36:53,523 友たちからも そう呼ばれておる。 419 00:36:55,095 --> 00:36:58,098 長い間 父との確執に悩み➡ 420 00:36:58,098 --> 00:37:06,798 せんだっても 実の弟が わしのもとから離れていった。 421 00:37:08,708 --> 00:37:12,008 寂しいものよのう。 422 00:37:13,847 --> 00:37:20,186 寂しいといえば これまで6人の子を亡くし➡ 423 00:37:20,186 --> 00:37:26,526 残るは 3歳の虎寿丸 それに 去年生まれたての姫だけじゃ。 424 00:37:26,526 --> 00:37:28,862 存じております。 425 00:37:28,862 --> 00:37:36,562 それもこれも 自分自身の招いたことなのだろう。 426 00:37:45,879 --> 00:37:51,751 どうじゃ そなたにも わしの腹の底が見えぬか? 427 00:37:51,751 --> 00:37:57,891 私には… 何とも分かりませぬ。 428 00:37:57,891 --> 00:38:01,661 それじゃ。 そなたには 二心がない。 429 00:38:01,661 --> 00:38:07,167 二心がないゆえ 心が休まる。 休まり 安らぐ。 430 00:38:07,167 --> 00:38:10,070 過ぎたるお言葉にございます。 431 00:38:10,070 --> 00:38:13,506 そして 訳は もう一つ。 432 00:38:13,506 --> 00:38:18,178 そなたは わしの母に似ておるのじゃ。 433 00:38:18,178 --> 00:38:20,847 お母上様に? 434 00:38:20,847 --> 00:38:24,717 わしが元服して 4年も経ぬうちに亡くなったがのう。 435 00:38:24,717 --> 00:38:31,191 優しく賢く また 少し風変わりな母でもあった。 436 00:38:31,191 --> 00:38:33,126 風変わり? 437 00:38:33,126 --> 00:38:37,864 嫁入り道具に ぎっしり 本の詰まった箱が いくつもあったという。 まあ。 438 00:38:37,864 --> 00:38:42,735 更には 自分のための鎧兜まで 持参したそうだ。 439 00:38:42,735 --> 00:38:46,873 なんと お勇ましい。 そればかりではない。 440 00:38:46,873 --> 00:38:49,542 母は 乳母に わしを任せず➡ 441 00:38:49,542 --> 00:38:53,213 おのが乳で わしを 手ずから育ててくれた。 442 00:38:53,213 --> 00:38:57,550 大名の家にあっては まさしく 異例のことである。 443 00:38:57,550 --> 00:39:02,155 そのようなお方でございましたか。 444 00:39:02,155 --> 00:39:07,961 どうじゃ 姫を選んだ訳 これで ふに落ちたかの? 445 00:39:07,961 --> 00:39:12,665 はい。 私にも すばらしい母がおります。 446 00:39:12,665 --> 00:39:18,838 その母が 大切なことを いろいろと教えてくれます。 447 00:39:18,838 --> 00:39:21,508 そうか。 448 00:39:21,508 --> 00:39:24,844 我が養女になるということは➡ 449 00:39:24,844 --> 00:39:32,844 その母御から そなたを引き離す ということでもあるのじゃな。 450 00:39:39,192 --> 00:39:44,492 お殿様。 ん? 451 00:39:48,535 --> 00:39:55,041 私を 是非とも 養女にしていただきとうございます。 452 00:39:55,041 --> 00:39:59,879 そうか。 決心してくれたか。 453 00:39:59,879 --> 00:40:07,554 ふつつか者ですが 何とぞ よろしゅう願い上げ奉りまする。 454 00:40:07,554 --> 00:40:12,225 この後は 父と娘となる間柄じゃ。 455 00:40:12,225 --> 00:40:16,229 うれしいぞ。 うれしく思うぞ。 456 00:40:16,229 --> 00:40:19,899 ありがたきお言葉にございます。 457 00:40:19,899 --> 00:40:34,447 ♬~ 458 00:40:34,447 --> 00:40:38,585 そうか 決心したか。 459 00:40:38,585 --> 00:40:40,920 はい。 460 00:40:40,920 --> 00:40:46,220 ほかの誰でもない 私の一存にて。 461 00:40:48,795 --> 00:40:58,938 これで そなたは いよいよ ご本家の姫になるのじゃな。 462 00:40:58,938 --> 00:41:21,561 ♬~ 463 00:41:21,561 --> 00:41:25,898 (足音) 464 00:41:25,898 --> 00:41:29,369 大変でございます! 何じゃ 騒々しい。 465 00:41:29,369 --> 00:41:31,904 菊本様が… 菊本様が…。 466 00:41:31,904 --> 00:41:33,840 菊本がどうした? 467 00:41:33,840 --> 00:41:36,540 ご自害なさりました。 468 00:41:39,078 --> 00:41:41,278 於一! 469 00:41:43,249 --> 00:41:45,918 菊本! 470 00:41:45,918 --> 00:41:54,594 ♬~ 471 00:41:54,594 --> 00:41:59,894 見てはならん! しの 早う 於一を 部屋へ連れてけ! 早う。 472 00:42:01,401 --> 00:42:04,404 菊本! 473 00:42:04,404 --> 00:42:07,104 菊本! 474 00:42:09,108 --> 00:42:15,548 菊本! 菊本 嫌じゃ! 475 00:42:15,548 --> 00:42:18,451 菊本! 476 00:42:18,451 --> 00:42:21,421 嫌じゃ! 477 00:42:21,421 --> 00:42:32,565 ♬~ 478 00:42:32,565 --> 00:42:35,468 忘れることです! 菊本のことは 即刻忘れるのじゃ! 479 00:42:35,468 --> 00:42:39,072 父上! 菊本は 書き置きを残していました。 480 00:42:39,072 --> 00:42:41,741 もしや 阿部殿と示し合わせて? 481 00:42:41,741 --> 00:42:44,243 尚五郎さんを 守りますように。 482 00:42:44,243 --> 00:42:46,579 於一殿を お守りしますように。 483 00:42:46,579 --> 00:42:49,248 まことに ありがとうございました。 484 00:42:49,248 --> 00:42:54,120 於一…。 わしも そなたの父で➡ 485 00:42:54,120 --> 00:43:01,120 何というか… 愉快であった。 はい。 486 00:43:03,196 --> 00:43:07,066 <鹿児島市の中心を流れる甲突川。➡ 487 00:43:07,066 --> 00:43:10,069 そのほとりの加治屋町からは➡ 488 00:43:10,069 --> 00:43:15,369 幕末の日本を代表する人物が 数多く誕生しました> 489 00:43:19,212 --> 00:43:23,216 <文政10年 1827年。➡ 490 00:43:23,216 --> 00:43:29,416 西郷隆盛は 下級武士の家に 長男として生まれました> 491 00:43:33,226 --> 00:43:40,226 <西郷の生家から 100メートルほどの所で 大久保利通は育ちました> 492 00:43:42,902 --> 00:43:49,602 <摩藩には 郷中教育と呼ばれる 独自の教育制度がありました> 493 00:43:51,244 --> 00:43:54,080 <城下を 30余りの区域に分け➡ 494 00:43:54,080 --> 00:43:58,251 それぞれ 年上の者が 年下を指導するもので➡ 495 00:43:58,251 --> 00:44:03,551 西郷 大久保も 先輩の教えの中で 育っていきました> 496 00:44:05,057 --> 00:44:08,327 <摩の若き俊英たちは➡ 497 00:44:08,327 --> 00:44:13,166 やがて 日本の新時代を 切り開いていくのです> 498 00:44:13,166 --> 00:44:26,166 ♬~