1 00:00:03,597 --> 00:00:06,333 <鎌倉時代より600年以上の歴史を持つ➡ 2 00:00:06,333 --> 00:00:08,669 名門 島津家。➡ 3 00:00:08,669 --> 00:00:15,009 加賀100万石といわれた前田家に次いで 日本第2の大大名でした。➡ 4 00:00:15,009 --> 00:00:19,680 その分家である今和泉家に 於一は生まれました> 5 00:00:19,680 --> 00:00:22,683 (島津斉彬) 於一を この斉彬の養女としたい。 6 00:00:22,683 --> 00:00:27,021 (島津忠剛)此度の島津本家 養女の件 まさに 天にも昇る気持ちである。 7 00:00:27,021 --> 00:00:30,524 <しかし それは 今和泉家の人々にとって➡ 8 00:00:30,524 --> 00:00:34,028 於一が遠い存在になることを 意味していました> 9 00:00:34,028 --> 00:00:35,963 (菊本)お迷いなのは 分かりますが…➡ 10 00:00:35,963 --> 00:00:39,833 女の道は 一本道にございます。➡ 11 00:00:39,833 --> 00:00:42,736 引き返すは… 恥にございますよ。 12 00:00:42,736 --> 00:00:47,041 (於一)何じゃ? (菊本)ご立派になられて…。➡ 13 00:00:47,041 --> 00:00:52,212 これで 私は いつでも下がらせていただけまする。 14 00:00:52,212 --> 00:00:54,848 (しの)菊本様が…。 菊本がどうした? 15 00:00:54,848 --> 00:00:56,917 (しの)ご自害なさりました。 16 00:00:56,917 --> 00:01:01,622 菊本! 菊本! 菊本! 17 00:01:01,622 --> 00:01:15,669 ♬~(テーマ音楽) 18 00:01:15,669 --> 00:03:43,969 ♬~ 19 00:03:52,359 --> 00:03:55,359 ≪(みね)失礼いたします。 20 00:04:00,100 --> 00:04:03,900 (みね)お殿様が お呼びにございます。 21 00:04:10,644 --> 00:04:13,644 (みね)失礼いたします。 22 00:04:16,316 --> 00:04:19,219 父上 菊本は何故? 23 00:04:19,219 --> 00:04:21,188 (忠剛)よいか 於一。 24 00:04:21,188 --> 00:04:23,991 菊本のことは 今宵限り 口にするでないぞ。 25 00:04:23,991 --> 00:04:25,926 え? 26 00:04:25,926 --> 00:04:29,329 あの者の持ち物は すべて処分した。 27 00:04:29,329 --> 00:04:33,667 遺骸も 裏の不浄門から 身内の者に下げ渡した。 28 00:04:33,667 --> 00:04:35,602 弔いもせずにですか!? 29 00:04:35,602 --> 00:04:40,007 弔い? 屋敷を血で汚したのじゃぞ! 30 00:04:40,007 --> 00:04:43,877 罪人同様の所業じゃ。 31 00:04:43,877 --> 00:04:46,680 そなたの縁組みを控えておる この時に➡ 32 00:04:46,680 --> 00:04:50,350 かような不届き者がおったとは 情けない。 33 00:04:50,350 --> 00:04:55,189 とにかく 菊本のことは 即刻忘れるのじゃ! よいな! 34 00:04:55,189 --> 00:04:58,225 しかし 父上…。 (忠剛)以上じゃ。 下がって休め。 35 00:04:58,225 --> 00:05:01,962 父上! 下がれと言ったら下がれ! 36 00:05:01,962 --> 00:05:28,655 ♬~ 37 00:05:28,655 --> 00:05:31,355 (しの)奥方様。 38 00:05:36,530 --> 00:05:40,000 母上…。 39 00:05:40,000 --> 00:05:43,670 (お幸)今宵は 眠れぬと思うてな。 40 00:05:43,670 --> 00:05:51,011 なぜですか 母上。 菊本は なぜ あのようなことを。 41 00:05:51,011 --> 00:05:55,349 菊本は 書き置きを残していました。➡ 42 00:05:55,349 --> 00:06:01,021 父上と私と そなたに宛てたものです。➡ 43 00:06:01,021 --> 00:06:06,627 身勝手な己の所業を ひたすら詫びておりました。➡ 44 00:06:06,627 --> 00:06:11,131 私宛の遺書には こうありました。➡ 45 00:06:11,131 --> 00:06:14,968 「自分の如き身分低き者が➡ 46 00:06:14,968 --> 00:06:20,841 姫様の乳母として お仕えしてまいったことこそ 畏れ多し。➡ 47 00:06:20,841 --> 00:06:28,315 よって自害し 我が名が 家中より 削られることを望んでいる」と。 48 00:06:28,315 --> 00:06:31,351 そんな…。 49 00:06:31,351 --> 00:06:33,987 分かりますか? 50 00:06:33,987 --> 00:06:40,761 菊本は 死をもって己を消し去ったのです。 51 00:06:40,761 --> 00:06:47,000 そなたが 島津本家の養女にと 請われた時から➡ 52 00:06:47,000 --> 00:06:50,700 覚悟を定めていたようです。 53 00:06:53,674 --> 00:06:58,011 私宛の書き置きは? 54 00:06:58,011 --> 00:07:04,711 父上が 「火の中に投じよ」と 命じられました。 55 00:07:07,287 --> 00:07:10,324 父上を恨んではなりませんよ。 56 00:07:10,324 --> 00:07:16,524 そなたが これ以上 動ぜぬようにと 案じられてのことなのです。 57 00:07:24,471 --> 00:07:31,971 これは そなたが お城へたつ日に 渡そうと思っていたのですが…。 58 00:07:33,647 --> 00:07:41,947 菩提寺の住職を通じて 摩一といわれる 仏師に作らせたものです。 59 00:07:43,790 --> 00:07:46,290 さあ…。 60 00:07:50,564 --> 00:07:54,564 つらい時は 手を合わせなさい。 61 00:07:57,804 --> 00:08:06,604 菊本の成仏も この菩薩様なら かなえてくださいましょう。 62 00:08:15,222 --> 00:08:18,522 菊本…。 63 00:08:30,637 --> 00:08:36,309 (肝付尚五郎)於一殿… 於一殿。 64 00:08:36,309 --> 00:08:38,979 はい。 65 00:08:38,979 --> 00:08:41,979 あなたの番ですが。 66 00:08:57,664 --> 00:09:05,739 菊本殿 忠義のために 命を捨てたそうですね。 67 00:09:05,739 --> 00:09:08,939 忠義だなんて…。 68 00:09:10,577 --> 00:09:15,282 生きていてくれた方が どれほどうれしいか。 69 00:09:15,282 --> 00:09:20,982 私が赤子の時から ずっと仕えていてくれたのです。 70 00:09:22,622 --> 00:09:28,922 この身の一部を もぎ取られたような心持ちです。 71 00:09:31,965 --> 00:09:36,136 みんながみんな 忘れろと言うのです。 72 00:09:36,136 --> 00:09:39,936 そんなこと できるわけがないのに。 73 00:09:41,942 --> 00:09:44,644 忘れるべきでしょうね。 74 00:09:44,644 --> 00:09:49,316 菊本は 私のために 命を落としたのですよ! 75 00:09:49,316 --> 00:09:52,152 だからこそではありませんか。 76 00:09:52,152 --> 00:09:55,489 菊本殿の心中を思えば あなたが すべきことは…。 77 00:09:55,489 --> 00:09:59,289 もちろん 分かっております。 分かるなら そうすべきではありませんか! 78 00:10:00,994 --> 00:10:07,334 あなたは あなたのことを思う者の 気持ちが分かっていない。 79 00:10:07,334 --> 00:10:12,005 覚悟を分かっていない。 分かっています! 80 00:10:12,005 --> 00:10:17,511 菊本殿は あなたを思い あなたのために身を引いて死んだ。 81 00:10:17,511 --> 00:10:21,014 そのことを… その思いを 胸にたたき込んで➡ 82 00:10:21,014 --> 00:10:23,817 一日も早く… 忘れることです! 83 00:10:23,817 --> 00:10:29,617 そして 前を向いて生きていくことだ! 84 00:10:32,192 --> 00:10:38,392 あなたが すべきことは それしかありません。 85 00:10:54,047 --> 00:10:58,919 尚五郎さんでも…➡ 86 00:10:58,919 --> 00:11:02,919 怒ることがあるのですね。 87 00:11:06,326 --> 00:11:12,999 また一つ… 尚五郎さんから教わりました。 88 00:11:12,999 --> 00:11:18,672 折々に励ましてくださったり 救ってくれたり➡ 89 00:11:18,672 --> 00:11:21,972 力づけてくださったり…。 90 00:11:25,178 --> 00:11:28,214 感謝しています。 91 00:11:28,214 --> 00:12:05,852 ♬~ 92 00:12:05,852 --> 00:12:09,322 菊本 そなた…。 93 00:12:09,322 --> 00:12:17,998 姫様 この後 姫様の行く先は 菊本が お守りいたします。 94 00:12:17,998 --> 00:12:23,336 重い体を脱ぎ捨て 魂のみとなった今は➡ 95 00:12:23,336 --> 00:12:28,036 いずこへなりと 飛んでまいりまするゆえ。 96 00:12:30,677 --> 00:12:33,013 菊本…。 97 00:12:33,013 --> 00:12:39,886 ♬~ 98 00:12:39,886 --> 00:12:43,023 菊本…。 99 00:12:43,023 --> 00:13:13,653 ♬~ 100 00:13:13,653 --> 00:13:15,953 菊本…。 101 00:13:18,324 --> 00:13:20,660 明けて 嘉永5年。 102 00:13:20,660 --> 00:13:25,165 長崎出島のオランダ商館長 クルチウスより➡ 103 00:13:25,165 --> 00:13:28,201 驚くべき知らせがもたらされました。 104 00:13:28,201 --> 00:13:30,670 (目付)アメリカの軍艦が!? 105 00:13:30,670 --> 00:13:36,342 (阿部正弘)この長崎よりの書状に しかと記されておる。 106 00:13:36,342 --> 00:13:42,682 「ペルリなる大将に率いられた アメリカの軍艦が 通商を願い➡ 107 00:13:42,682 --> 00:13:45,982 日本へ向かっておる」と。 108 00:13:52,025 --> 00:13:55,528 (深谷盛房)通商を願うにしては 穏やかではありませぬな。 109 00:13:55,528 --> 00:13:59,199 軍艦を差し向けるなど。 まさに。 110 00:13:59,199 --> 00:14:03,069 こちらを脅すつもりとしか思えませぬ。 111 00:14:03,069 --> 00:14:07,774 この件は極秘にて 口外無用。 112 00:14:07,774 --> 00:14:09,709 (一同)はっ! 113 00:14:09,709 --> 00:14:12,612 一方 摩では…。 114 00:14:12,612 --> 00:14:14,547 砲台にございますか? 115 00:14:14,547 --> 00:14:20,320 さよう。 錦江湾の入り口を固めたいのだ。 116 00:14:20,320 --> 00:14:27,994 今和泉の領内に 格好な場所はあろうか。 はあ…。 117 00:14:27,994 --> 00:14:34,868 ならば岩本村の ここ 観音崎など いかがかと。 118 00:14:34,868 --> 00:14:38,338 湾を一望にできる所にございます。 119 00:14:38,338 --> 00:14:42,208 なるほど… 采配は 忠剛殿に一任する。 120 00:14:42,208 --> 00:14:44,811 速やかに 普請に取りかかってほしい。 121 00:14:44,811 --> 00:14:47,514 相分かりましてございます。 よろしく頼む。 122 00:14:47,514 --> 00:14:50,016 ははっ。 123 00:14:50,016 --> 00:14:54,354 今頃 江戸は 大騒ぎであろうからのう…。 124 00:14:54,354 --> 00:14:59,025 (忠剛)江戸に何か? ん… ああ いや。 125 00:14:59,025 --> 00:15:01,995 時に 姫は息災であろうな。 126 00:15:01,995 --> 00:15:06,766 はい。 屋敷にて 殿のお沙汰を お待ちしております。 127 00:15:06,766 --> 00:15:11,137 気をもんでおろうが 今は 砲台はじめ 精錬所など➡ 128 00:15:11,137 --> 00:15:14,174 さまざまな普請事が多く 落ち着かぬ。 129 00:15:14,174 --> 00:15:18,778 夏までには 姫を城に入れたいと思うている。 130 00:15:18,778 --> 00:15:21,147 夏にございますか。 131 00:15:21,147 --> 00:15:24,784 姫にも 無沙汰を詫びたいものじゃが。 132 00:15:24,784 --> 00:15:31,157 めっそうもないことでございます。 ただ ただ お待ち申し上げておりまする。 133 00:15:31,157 --> 00:15:34,194 わしは 急ぎ 江戸に向かわねばならぬ。 134 00:15:34,194 --> 00:15:39,494 砲台の件 くれぐれも頼んだぞ。 ははっ。 135 00:15:42,335 --> 00:15:50,210 8月の末に 摩をたたれた斉彬様を 江戸で待っていたのは➡ 136 00:15:50,210 --> 00:15:53,513 水戸の徳川斉昭様。 137 00:15:53,513 --> 00:15:55,815 御三家のお方ゆえ➡ 138 00:15:55,815 --> 00:16:00,019 幕府の政治には 直接 関わっては いらっしゃいませんでした。 139 00:16:00,019 --> 00:16:08,294 …が その強硬な攘夷論は 大きな影響力を持っておりました。 140 00:16:08,294 --> 00:16:12,165 (徳川斉昭)日本の土を 夷狄に汚させるなど➡ 141 00:16:12,165 --> 00:16:15,969 あってはならぬ愚行じゃ。 142 00:16:15,969 --> 00:16:20,139 で 溜りの間の者どもは 何と申しておるのだ。 143 00:16:20,139 --> 00:16:22,642 評定は一向に進まず➡ 144 00:16:22,642 --> 00:16:26,646 それゆえ 斉昭様に ご相談いたした次第にござります。 145 00:16:26,646 --> 00:16:30,316 あのような者どもに 何が分かる。 146 00:16:30,316 --> 00:16:33,219 されど 軍艦が来てからでは遅い。 147 00:16:33,219 --> 00:16:39,325 何か 手を打たねば。 斉彬殿は どう思われる? 148 00:16:39,325 --> 00:16:44,497 やって来るとなれば 錨を下ろすのは おそらく品川沖。 149 00:16:44,497 --> 00:16:47,000 海辺の守りを 急ぎ固めねば。 150 00:16:47,000 --> 00:16:52,872 それと 軍艦を造らねばなりません。 そうじゃ 軍艦じゃ。 151 00:16:52,872 --> 00:16:54,874 軍艦…。 152 00:16:54,874 --> 00:16:58,177 何を のほほんとしておるのじゃ 阿部殿。 153 00:16:58,177 --> 00:17:03,149 摩は琉球を有し 異国船の来航を身をもって知っておる。 154 00:17:03,149 --> 00:17:09,822 日本国にはない 蒸気仕掛けの軍艦までが 押し寄せてくるのです。 155 00:17:09,822 --> 00:17:13,459 これまで大船の建造を禁じてきたが➡ 156 00:17:13,459 --> 00:17:16,763 今こそ 斉彬殿の 力を借りる時ではないか。 157 00:17:16,763 --> 00:17:18,698 (2人)ははっ。 158 00:17:18,698 --> 00:17:29,309 ♬~ 159 00:17:29,309 --> 00:17:32,979 (小松清猷) では 軍艦を造れるのでございますか? 160 00:17:32,979 --> 00:17:39,152 水戸斉昭様のお墨付きを頂いたも 同然だからな。 161 00:17:39,152 --> 00:17:42,655 もしや 阿部殿と示し合わせて? 162 00:17:42,655 --> 00:17:46,326 ハハハハハハ…。 163 00:17:46,326 --> 00:17:50,496 これからの日本国の命運は ひとえに海にかかっておる。 164 00:17:50,496 --> 00:17:58,004 となれば 国政を導くのは 我ら摩に与えられし役目である。 165 00:17:58,004 --> 00:18:00,907 ははっ。 166 00:18:00,907 --> 00:18:05,812 それと 今和泉家に使者をつかわせ。 167 00:18:05,812 --> 00:18:09,949 姫の城入りを早めることにしたとな。 168 00:18:09,949 --> 00:18:11,949 ははっ…。 169 00:18:13,619 --> 00:18:16,956 鏡台は どこでしたけ? (しの)そちらに。 170 00:18:16,956 --> 00:18:19,859 しの殿 この櫛匣はどちらに? 171 00:18:19,859 --> 00:18:23,463 それは あちらの間へ。 はい。 172 00:18:23,463 --> 00:18:27,967 姫様のお城入りにつきましては➡ 173 00:18:27,967 --> 00:18:35,641 供の者も 姫様つきの老女ほか 全て 当方にて選びましたゆえ➡ 174 00:18:35,641 --> 00:18:38,644 お連れにならずとも結構にござる。 175 00:18:38,644 --> 00:18:44,150 (栗川)委細 承りましてございます。 うん。 176 00:18:44,150 --> 00:18:48,350 そんな…。 (お幸)お待ちくだされ。 177 00:18:50,656 --> 00:18:56,462 それは あまりに むごい なされ方ではありませぬか? は? 178 00:18:56,462 --> 00:18:58,998 ご本家に入るのです。 179 00:18:58,998 --> 00:19:04,270 女子にとって どれほど心細いことか。 180 00:19:04,270 --> 00:19:08,608 お城のしかるべき方に お伝えくだされ。 181 00:19:08,608 --> 00:19:16,115 侍女は伴わせます。 一人だけでも お許しいただきたいと。 182 00:19:16,115 --> 00:19:18,451 はあ…。 183 00:19:18,451 --> 00:19:23,651 お役目 ご苦労さまにございます。 184 00:19:28,161 --> 00:19:32,298 母上は お強いのですね。 185 00:19:32,298 --> 00:19:36,636 何を言っているのですか これしきのことで。 186 00:19:36,636 --> 00:19:39,138 お城に上がれば➡ 187 00:19:39,138 --> 00:19:43,976 そなたは これ以上のことを やらなければならないのですよ。 188 00:19:43,976 --> 00:19:45,976 はい。 189 00:19:48,648 --> 00:19:52,318 しっかりしなされ。 190 00:19:52,318 --> 00:19:54,318 はい。 191 00:19:55,988 --> 00:20:00,288 ≪(忠剛)今 戻った! 父上様じゃ。 192 00:20:02,762 --> 00:20:05,498 於一。 はい。 193 00:20:05,498 --> 00:20:10,169 菊本のことで まだ 父上を恨んでいるのですか? 194 00:20:10,169 --> 00:20:12,805 そのようなことはありません。 195 00:20:12,805 --> 00:20:17,009 ならば 父上と できるだけ話をなさい。 196 00:20:17,009 --> 00:20:21,347 共に過ごせる時は わずかなのですから。 197 00:20:21,347 --> 00:20:24,250 はい。 198 00:20:24,250 --> 00:20:28,521 いかがですか? 観音崎の砲台の普請は。 199 00:20:28,521 --> 00:20:31,557 うん 形になってきた。 春には できあがりそうじゃ。 200 00:20:31,557 --> 00:20:34,327 何よりですね。 201 00:20:34,327 --> 00:20:38,327 於一はどうしておる? 父上! 202 00:20:40,032 --> 00:20:44,904 お役目 ご苦労さまにございました。 うむ。 203 00:20:44,904 --> 00:20:52,378 父上に 見ていただきたいものが あるのですが。 204 00:20:52,378 --> 00:20:54,678 何じゃ。 205 00:21:08,661 --> 00:21:13,499 お城に上がる日に着る 打ち掛けにございます。 206 00:21:13,499 --> 00:21:18,671 おお… お~ そうか。 207 00:21:18,671 --> 00:21:20,673 父上。 何じゃ? 208 00:21:20,673 --> 00:21:24,544 砲台の話などを聞かせてください。 209 00:21:24,544 --> 00:21:29,544 今日は 疲れておるでな いずれまた…。 210 00:21:32,818 --> 00:21:47,200 ♬~ 211 00:21:47,200 --> 00:21:52,038 いよいよとなると お寂しいのでしょう。 212 00:21:52,038 --> 00:21:56,709 よいか 斉彬様の養女なのだぞ。 213 00:21:56,709 --> 00:22:02,982 ありがたいと思いこそすれ 寂しい? ははっ 寂しい? 214 00:22:02,982 --> 00:22:09,155 ハハハ…。 ご本心を明かされませ。 215 00:22:09,155 --> 00:22:16,329 寂しくなどないわ。 嫁に出すと思えば同じことじゃ。 216 00:22:16,329 --> 00:22:22,201 お殿様のご養女ともなれば 立場が変わりまする。 217 00:22:22,201 --> 00:22:24,670 分かっておる。 ならば➡ 218 00:22:24,670 --> 00:22:28,541 於一と話をしてやってくださいませ。 219 00:22:28,541 --> 00:22:35,014 うん… まあ それは 明日にでも。 220 00:22:35,014 --> 00:22:38,014 殿。 うん? 221 00:22:40,686 --> 00:22:44,357 えいえい 面倒じゃのう。 222 00:22:44,357 --> 00:22:46,292 於一 おるか? 223 00:22:46,292 --> 00:22:50,029 父上! しの 父上にお茶を。 224 00:22:50,029 --> 00:22:53,329 はい。 いやいや いやいや 茶など いらん。 225 00:22:58,537 --> 00:23:03,309 で 支度などは 進んでおるのか? 226 00:23:03,309 --> 00:23:07,309 父上。 ん? 何じゃ? 227 00:23:11,984 --> 00:23:15,788 これを。 何じゃ? こりゃ。 228 00:23:15,788 --> 00:23:18,991 私の一番好きな書物にございます。 229 00:23:18,991 --> 00:23:22,328 その…➡ 230 00:23:22,328 --> 00:23:26,666 形見の品にと思いまして。 231 00:23:26,666 --> 00:23:29,001 これを私と思って➡ 232 00:23:29,001 --> 00:23:33,806 おそばに置いてくだされば うれしゅうございます。 233 00:23:33,806 --> 00:23:35,741 あ! しもた! 234 00:23:35,741 --> 00:23:39,178 ああ 栗川らに 砲弾の追加を命じるのを忘れとった。 235 00:23:39,178 --> 00:23:42,815 わしも 年を取ったかのう。 いかん いかん。 236 00:23:42,815 --> 00:23:46,686 とりあえず これは預かっておく。 しもうた しもうた! 237 00:23:46,686 --> 00:24:01,634 ♬~ 238 00:24:01,634 --> 00:24:05,504 それからの日々は すべるように過ぎ➡ 239 00:24:05,504 --> 00:24:11,777 於一様が お城に上がる日は たちまち迫ってまいりました。 240 00:24:11,777 --> 00:24:15,314 そして その前夜…。 241 00:24:15,314 --> 00:24:19,614 とうとう明日になりましたね。 242 00:24:21,987 --> 00:24:27,660 でも 同じ摩ですから 何も案じては おりませぬ。 243 00:24:27,660 --> 00:24:32,360 (島津忠冬)そうは言うがめったなことでは 会えぬようになるのだぞ。 244 00:24:36,669 --> 00:24:39,572 うれしいでしょう! 兄上は。 245 00:24:39,572 --> 00:24:41,540 (島津忠敬)うれしゅうなどないわ。 246 00:24:41,540 --> 00:24:46,011 お前なんぞに 頭を下げることになるとはな。 247 00:24:46,011 --> 00:24:50,311 おい つげ! 248 00:24:58,190 --> 00:25:00,126 はいはい。 249 00:25:00,126 --> 00:25:02,926 何だ? その言いぐさは。 250 00:25:05,998 --> 00:25:10,798 おいしゅうございますか? 兄上。 251 00:25:15,307 --> 00:25:21,107 もう いらん! 於一の酌では うまくない。 252 00:25:22,782 --> 00:25:26,986 (お幸)旦那様は? ん? 253 00:25:26,986 --> 00:25:29,488 何か お話はないのですか? 254 00:25:29,488 --> 00:25:36,996 話… ああ 話は…。 255 00:25:36,996 --> 00:25:40,666 ≪(家臣)殿 お客様が お見えですが。 256 00:25:40,666 --> 00:25:44,966 うん。 ハハ… 客じゃと。 257 00:25:47,006 --> 00:25:49,809 この度は おめでとうございます。 258 00:25:49,809 --> 00:25:53,345 これは 肝付家からの 祝いの品にございます。 259 00:25:53,345 --> 00:25:55,381 どうぞ お納めくださいませ。 260 00:25:55,381 --> 00:25:59,218 ご丁寧に 痛み入る。 261 00:25:59,218 --> 00:26:03,022 父上 母上に くれぐれも よろしゅう お伝えくだされ。 262 00:26:03,022 --> 00:26:06,992 はい。 あの… 申し訳ありません。 263 00:26:06,992 --> 00:26:11,630 お身内だけでのお祝いとは つゆ知らず…。 すぐに 退散つかまつります。 264 00:26:11,630 --> 00:26:14,467 よいではないか ゆるりとして まいられよ。 265 00:26:14,467 --> 00:26:17,503 のう。 はい。 どうぞ どうぞ。 266 00:26:17,503 --> 00:26:19,772 おう そうじゃ そうじゃ。 遠慮なさらずに。 267 00:26:19,772 --> 00:26:23,476 いや しかし…。 尚五郎殿。 はい。 268 00:26:23,476 --> 00:26:26,676 おそらくは これが 最後となろう。 269 00:26:29,148 --> 00:26:32,648 打っていかれては いかがじゃ。 270 00:26:41,660 --> 00:26:45,498 あ~ 参りました~。 271 00:26:45,498 --> 00:26:49,335 中盤までは 互角でしたよ。 272 00:26:49,335 --> 00:26:55,007 私は 詰めが甘いのです。 よ~く分かっています。 273 00:26:55,007 --> 00:27:41,520 ♬~ 274 00:27:41,520 --> 00:27:48,994 これまで相手をつとめてくださって 本当に ありがとうございました。 275 00:27:48,994 --> 00:27:51,994 いえ こちらこそ。 276 00:27:59,638 --> 00:28:01,938 あの…。 277 00:28:08,480 --> 00:28:10,749 お近さんに…。 278 00:28:10,749 --> 00:28:12,685 お近さんに? 279 00:28:12,685 --> 00:28:19,291 はい。 これを 渡していただきたいのです。 280 00:28:19,291 --> 00:28:21,591 はい。 281 00:28:27,967 --> 00:28:32,137 尚五郎さんには 書物がよいですね。 282 00:28:32,137 --> 00:28:37,009 頂けるなら 欲しいものがあります。 283 00:28:37,009 --> 00:28:40,209 お守りを 頂きたいのです。 284 00:28:43,148 --> 00:28:46,185 これですか? ええ。 285 00:28:46,185 --> 00:28:50,022 代わりに これを差し上げます。 286 00:28:50,022 --> 00:28:53,792 …などと 無理なお願いですね。 287 00:28:53,792 --> 00:28:59,598 それ… いいです とても。 え? 288 00:28:59,598 --> 00:29:03,469 異国では かけがえのない友と別れる時➡ 289 00:29:03,469 --> 00:29:08,307 その証しとして 大事な品を取り替えるのだとか。 290 00:29:08,307 --> 00:29:11,507 友の証し…。 291 00:29:14,947 --> 00:29:21,820 尚五郎さんを 守りますように。 292 00:29:21,820 --> 00:29:26,820 於一殿を お守りしますように。 293 00:29:31,296 --> 00:29:48,647 ♬~ 294 00:29:48,647 --> 00:29:54,520 お元気でいらしてくださいね。 295 00:29:54,520 --> 00:29:57,656 あなたも…。 296 00:29:57,656 --> 00:30:44,703 ♬~ 297 00:30:44,703 --> 00:30:50,375 父上。 少し話ができませんか? 298 00:30:50,375 --> 00:31:27,675 (いびき) 299 00:31:33,685 --> 00:31:37,022 おやすみになっておいででした。 300 00:31:37,022 --> 00:31:41,894 どうせ 狸寝入りでしょう。 え? 301 00:31:41,894 --> 00:31:49,034 どうなのですか? もう迷いはないのですか? 302 00:31:49,034 --> 00:31:51,334 はい。 303 00:31:53,906 --> 00:31:56,606 いえ…。 304 00:31:59,044 --> 00:32:04,650 そなたに まだ夢のことを 話していませんでしたね。 305 00:32:04,650 --> 00:32:06,585 夢? 306 00:32:06,585 --> 00:32:13,585 そなたが まだ おなかにいた時分 不思議なことがあったのです。 307 00:32:18,163 --> 00:32:23,669 その娘を… 江戸へ連れてまいる。 308 00:32:23,669 --> 00:32:28,540 それは 私が江戸へ行く ということですか? 309 00:32:28,540 --> 00:32:31,810 それは 分かりませぬ。 310 00:32:31,810 --> 00:32:38,016 ただ そなたには ただならぬ何かを感じておりました。 311 00:32:38,016 --> 00:32:45,691 この家に… いいえ 摩にも収まりきれぬ何かです。 312 00:32:45,691 --> 00:32:49,991 私には よく分かりませんが…。 313 00:32:51,563 --> 00:32:56,201 そういえば 昔 父上が おっしゃっていました。 314 00:32:56,201 --> 00:33:00,539 於一は クロガネモチのような女子だと。 315 00:33:00,539 --> 00:33:04,142 クロガネモチの木のことですか? そう。 316 00:33:04,142 --> 00:33:06,478 根を強く強く張り➡ 317 00:33:06,478 --> 00:33:12,150 その根で 岩でも石垣でも 突き破ってしまうような 強い木です。 318 00:33:12,150 --> 00:33:17,950 クロガネモチの木… 私が…。 319 00:33:25,998 --> 00:33:29,334 前にも話しましたが➡ 320 00:33:29,334 --> 00:33:35,674 そなたは これから 多くの家来たちの 上に立たねばなりませぬ。 321 00:33:35,674 --> 00:33:37,609 はい。 322 00:33:37,609 --> 00:33:44,816 昔から 「一方聞いて沙汰するな」 という言葉があります。 323 00:33:44,816 --> 00:33:51,690 どんな人の声にも まんべんなく虚心に耳を傾け➡ 324 00:33:51,690 --> 00:33:59,831 その人その人の身になって よくよく考えるのです。 325 00:33:59,831 --> 00:34:06,972 それでも 思い迷うたら…。 迷うたら? 326 00:34:06,972 --> 00:34:10,309 考えるのを やめなされ。 327 00:34:10,309 --> 00:34:12,978 考えるのをやめる? 328 00:34:12,978 --> 00:34:19,318 考えるのではなく感じるのです。 感じる…。 329 00:34:19,318 --> 00:34:25,490 自分を信じて 感じるがままに任せるのです。 330 00:34:25,490 --> 00:34:33,999 自分を信じて 感じるがままに任せる。 そうです。 331 00:34:33,999 --> 00:34:36,999 分かりました。 332 00:34:38,870 --> 00:34:48,347 そなたの母でいられるのも… 今宵限りじゃな。 333 00:34:48,347 --> 00:34:51,347 母上…。 334 00:35:14,973 --> 00:35:20,846 わしが そなたの上座につくのも これまでじゃ。 335 00:35:20,846 --> 00:35:28,546 島津77万石の姫となれば わしとは 格が違うでの。 336 00:35:30,322 --> 00:35:34,793 そのこと 心しておくように。 337 00:35:34,793 --> 00:35:38,993 心得ました。 うん…。 338 00:35:50,675 --> 00:35:53,011 父上…。 339 00:35:53,011 --> 00:35:55,011 (忠剛)何じゃ? 340 00:35:56,681 --> 00:36:02,621 一は この家に生まれて➡ 341 00:36:02,621 --> 00:36:06,421 まことに幸せでございました。 342 00:36:08,960 --> 00:36:20,260 わしも そなたの父で 何というか… 愉快であった。 343 00:36:24,509 --> 00:36:26,978 父上。 344 00:36:26,978 --> 00:36:28,978 何じゃ。 345 00:36:30,649 --> 00:36:33,552 私は どこに行っても➡ 346 00:36:33,552 --> 00:36:45,252 父上 母上の娘であったことを誇りに思い 生きてまいります。 347 00:36:49,334 --> 00:36:59,334 今日までのご恩 まことに ありがとうございました。 348 00:37:01,913 --> 00:37:09,287 では… 参るか。 はい。 349 00:37:09,287 --> 00:38:08,113 ♬~ 350 00:38:08,113 --> 00:38:11,149 立ちませい! 351 00:38:11,149 --> 00:38:48,753 ♬~ 352 00:38:48,753 --> 00:38:52,157 行ったか…。 353 00:38:52,157 --> 00:38:54,657 はい…。 354 00:38:59,030 --> 00:39:03,830 いつまで見送ったところで きりがないぞ。 355 00:39:16,481 --> 00:39:18,781 於一…。 356 00:39:21,186 --> 00:39:24,623 於一よ…。 357 00:39:24,623 --> 00:39:58,323 ♬~ 358 00:39:58,323 --> 00:40:01,660 於一…。 359 00:40:01,660 --> 00:41:03,960 ♬~ 360 00:41:08,526 --> 00:41:48,233 ♬~ 361 00:41:48,233 --> 00:41:54,205 折も折 ペルリ提督に率いられた アメリカ艦隊は➡ 362 00:41:54,205 --> 00:41:59,711 刻一刻と琉球に近づいておりました。 363 00:41:59,711 --> 00:42:08,987 ♬~ 364 00:42:08,987 --> 00:42:14,325 [ 回想 ] 女の道は 一本道にございます。 365 00:42:14,325 --> 00:42:18,196 定めに背き 引き返すは…➡ 366 00:42:18,196 --> 00:42:21,896 恥にございますよ。 367 00:42:31,876 --> 00:42:34,646 何が誉れじゃ めでたいじゃ。 368 00:42:34,646 --> 00:42:37,015 恥をかきに来たようなものではないか。 369 00:42:37,015 --> 00:42:40,351 ならぬ しきたりにございます。 姫様 お待ちくださいませ! 370 00:42:40,351 --> 00:42:43,021 今しばらく お待ちいただきとう存じまする。 371 00:42:43,021 --> 00:42:46,524 お主 於一に ほれておったのではないか? そ… そんな…。 372 00:42:46,524 --> 00:42:48,460 私を誰と心得る。 373 00:42:48,460 --> 00:42:51,362 島津斉彬様の 娘なるぞ! 374 00:42:51,362 --> 00:42:56,034 なるほど。 下がれ! 下がれ 下がれ! 皆 下がれ! 375 00:42:56,034 --> 00:42:57,969 皆 私を侮っておる。 376 00:42:57,969 --> 00:43:00,969 分家の出じゃと あざけっておるのじゃ。 377 00:43:03,842 --> 00:43:07,645 <鹿児島県指宿市➡ 378 00:43:07,645 --> 00:43:11,483 砂蒸し温泉の名所として知られる この町は➡ 379 00:43:11,483 --> 00:43:16,983 藩主 島津斉彬も愛し たびたび訪れました> 380 00:43:22,660 --> 00:43:25,997 <また 天然の良港を持ち➡ 381 00:43:25,997 --> 00:43:31,697 古くから中国大陸や 琉球との交易が盛んでした> 382 00:43:37,342 --> 00:43:40,812 <しかし その一方 幕末には➡ 383 00:43:40,812 --> 00:43:45,650 幾度となく 外国船の脅威に さらされることになります。➡ 384 00:43:45,650 --> 00:43:49,554 斉彬は 篤姫の父 忠剛に命じ➡ 385 00:43:49,554 --> 00:43:53,358 指宿の東に浮かぶ 知林ヶ島をはじめ➡ 386 00:43:53,358 --> 00:43:58,358 数か所の砲台を改造し 守りを固めました> 387 00:44:01,232 --> 00:44:07,472 <今和泉島津家の長女 篤姫ゆかりの地 指宿。➡ 388 00:44:07,472 --> 00:44:12,977 ここにも 新しい時代が 訪れようとしていました> 389 00:44:12,977 --> 00:44:26,677 ♬~