1 00:00:03,082 --> 00:00:05,985 (島津斉彬)遠からず アメリカの軍艦は 江戸に現れましょう。 2 00:00:05,985 --> 00:00:08,888 (徳川斉昭) 異国船など 打ち払えば よいではないか。 3 00:00:08,888 --> 00:00:14,694 今 戦をすれば 力において劣る こちらが敗れるは必定。 4 00:00:14,694 --> 00:00:19,832 <このころ 欧米列強は 新たな市場を求める競争の果てに➡ 5 00:00:19,832 --> 00:00:25,505 ついに 日本にまで やって来ていたのです> 6 00:00:25,505 --> 00:00:28,841 (小松清猷)来年 再びやって来る…。 7 00:00:28,841 --> 00:00:32,512 <黒船が 間近にまで来るという かつてない事態に➡ 8 00:00:32,512 --> 00:00:36,382 幕府は 早急な対策を迫られていました> 9 00:00:36,382 --> 00:00:41,521 時がない。 すべて急がねば。 10 00:00:41,521 --> 00:00:44,023 <江戸が混乱するさなか➡ 11 00:00:44,023 --> 00:00:48,528 斉彬は 於一を 急ぎ 立派な姫に育て上げるため➡ 12 00:00:48,528 --> 00:00:52,698 京都から 最強の教育係を送り込みます。➡ 13 00:00:52,698 --> 00:00:55,334 その名は 幾島。➡ 14 00:00:55,334 --> 00:00:58,538 黒船騒動がもたらした 運命の出会い。➡ 15 00:00:58,538 --> 00:01:01,140 斉彬の真意や いかに> 16 00:01:01,140 --> 00:01:15,154 ♬~(テーマ音楽) 17 00:01:15,154 --> 00:03:45,137 ♬~ 18 00:03:45,137 --> 00:03:50,843 嘉永6年6月 摩のお城では➡ 19 00:03:50,843 --> 00:03:57,617 於一様お付きの新しい老女 幾島様を 京の都から迎えて➡ 20 00:03:57,617 --> 00:04:04,123 本家の姫としての修業が 本格的に始まっておりました。 21 00:04:04,123 --> 00:04:13,423 (幾島)姫様 まずは 言葉が いかに大切なものかを お話しいたします。 22 00:04:15,134 --> 00:04:17,834 居ずまいを正して! 23 00:04:19,472 --> 00:04:25,645 上に立つ方は 低い声での つぶやきや独り言は➡ 24 00:04:25,645 --> 00:04:28,147 固く いさめられております。 25 00:04:28,147 --> 00:04:32,818 (於一)なぜじゃ。 (幾島)はっきりと! 26 00:04:32,818 --> 00:04:35,154 なぜじゃ! 27 00:04:35,154 --> 00:04:40,293 家来衆は 「え?」と 聞き返すことが許されませぬ。 28 00:04:40,293 --> 00:04:43,496 故に あいまいなご発声をすれば➡ 29 00:04:43,496 --> 00:04:47,366 意味が分からず 困り果てるばかりなのでございます。 30 00:04:47,366 --> 00:04:50,670 声が大きいのじゃ。 (幾島)それにございます! 31 00:04:50,670 --> 00:04:53,172 つぶやきは なりませぬと 申している先から➡ 32 00:04:53,172 --> 00:04:56,172 なんということにございましょう! 33 00:04:57,843 --> 00:05:02,682 続けよ。 (幾島)はっきりと! 34 00:05:02,682 --> 00:05:05,451 続けよ! 35 00:05:05,451 --> 00:05:09,121 かしこまりました。 36 00:05:09,121 --> 00:05:15,995 さて 姫様のお言いつけは 決して取り消せませぬ。➡ 37 00:05:15,995 --> 00:05:20,833 いったん口になさいましたことは 必ずなされなければ➡ 38 00:05:20,833 --> 00:05:26,138 家来どもの信頼を たちまちに失いまする。➡ 39 00:05:26,138 --> 00:05:28,808 居ずまい! 40 00:05:28,808 --> 00:05:35,147 また いつ いかなる時でも お供の者が そばに付き添いまする。 41 00:05:35,147 --> 00:05:38,818 分かっておる。 42 00:05:38,818 --> 00:05:42,154 分かっておる! 43 00:05:42,154 --> 00:05:46,992 私も 影が形に添うごとく➡ 44 00:05:46,992 --> 00:05:53,192 姫様の おそばにあって お世話をいたす所存にございます。 45 00:06:01,507 --> 00:06:05,378 はあ… たまらぬ。 46 00:06:05,378 --> 00:06:08,948 あれほど よくしゃべり 口うるさい女子は 見たことがない。 47 00:06:08,948 --> 00:06:14,253 また 声が大きい! 頭の中が じんじんしておる。 48 00:06:14,253 --> 00:06:17,957 (しの)けれど 何事も 姫様のためなのでしょうから…。 49 00:06:17,957 --> 00:06:22,828 耐えよと言うのか? おつらいのは分かりますが…。 50 00:06:22,828 --> 00:06:28,968 それだけではない。 私は あの者が好かぬ! 51 00:06:28,968 --> 00:06:32,471 人には 合う 合わないというものがある。 52 00:06:32,471 --> 00:06:38,644 それを初めて思い知らされた。 私は 幾島とは合わぬのじゃ! 53 00:06:38,644 --> 00:06:42,444 (しの)姫様…。 うん? 54 00:06:48,154 --> 00:06:54,854 お帰りが遅いので 心配して参上つかまつりました。 55 00:06:57,830 --> 00:07:00,866 なにも このような所まで。 56 00:07:00,866 --> 00:07:06,439 申し上げたではありませぬか。 影が形に添うごとく➡ 57 00:07:06,439 --> 00:07:10,943 姫様の おそばにあって お世話させていただくと。 58 00:07:10,943 --> 00:07:18,143 この幾島 口にしたことは 守り抜いてみせまする。 59 00:07:19,652 --> 00:07:23,656 (幾島)姫様。 何じゃ。 60 00:07:23,656 --> 00:07:26,125 はばかりながら➡ 61 00:07:26,125 --> 00:07:32,825 姫様をお育てになったご老女は 何という方にございましょうか。 62 00:07:35,801 --> 00:07:42,101 [ 回想 ] (お幸)菊本は 死をもって 己を消し去ったのです。 63 00:07:44,477 --> 00:07:49,982 そいは 子細あって答えられぬ。 64 00:07:49,982 --> 00:07:54,487 ならば その方は どちらのご出身でおいででしょう。 65 00:07:54,487 --> 00:07:57,823 何故 さように しつこう聞く。 66 00:07:57,823 --> 00:08:04,930 おそれながら 姫様のお言葉には 地下の摩なまりがございます。➡ 67 00:08:04,930 --> 00:08:10,736 それは 姫様のお守り役から 伝わったものに 相違ないと。 68 00:08:10,736 --> 00:08:13,239 摩なまりのどこが悪い! 69 00:08:13,239 --> 00:08:18,444 いずれ他国にお輿入れ ましてや 江戸においでともなれば➡ 70 00:08:18,444 --> 00:08:23,249 なまりがあっては ご家来衆に押しがききませぬ。➡ 71 00:08:23,249 --> 00:08:29,788 ほかの大名家とのおつきあいにも 障りとなりまする。 72 00:08:29,788 --> 00:08:33,125 ならば 嫁には行かぬ 江戸にも出ぬ。 73 00:08:33,125 --> 00:08:35,060 それでよいであろう! 74 00:08:35,060 --> 00:08:38,464 (幾島)姫様! 75 00:08:38,464 --> 00:08:45,137 幸い 姫様のなまりは わずかなものにございます。 76 00:08:45,137 --> 00:08:51,477 おそれながら これからは この幾島の言葉をまねて➡ 77 00:08:51,477 --> 00:08:57,777 摩言葉は 一日も早く お忘れになられますように。 78 00:08:59,351 --> 00:09:03,051 (幾島)早速 始めましょう。 79 00:09:05,024 --> 00:09:10,429 (幾島)お殿様の ご意思にござりますよ。 80 00:09:10,429 --> 00:09:23,442 ♬~ 81 00:09:23,442 --> 00:09:29,315 では… 西国は。 82 00:09:29,315 --> 00:09:31,617 西国は。 83 00:09:31,617 --> 00:09:33,552 摩より。 84 00:09:33,552 --> 00:09:35,487 摩より。 85 00:09:35,487 --> 00:09:38,257 まかり越しましてござりまする。 86 00:09:38,257 --> 00:09:42,461 まかり越しまし… あっ。 (幾島)どうなさりました? 87 00:09:42,461 --> 00:09:45,798 舌をかんだのじゃ。 88 00:09:45,798 --> 00:09:48,634 では 続けます。 89 00:09:48,634 --> 00:09:53,434 西国は 摩より まかり越しましてござりまする。 90 00:09:55,140 --> 00:09:59,478 西国は 摩より まかり越しまし 越し…➡ 91 00:09:59,478 --> 00:10:02,815 でござりまする…。 92 00:10:02,815 --> 00:10:08,487 そして 修業の日々は続き…。 93 00:10:08,487 --> 00:10:13,826 西国は 摩より まかり越しましてござりまする。 94 00:10:13,826 --> 00:10:16,729 随分と お上手になられましたな。 95 00:10:16,729 --> 00:10:19,999 (小声で) あれだけやらされれば うまくもなるわ。 96 00:10:19,999 --> 00:10:23,499 (幾島)聞こえませぬが。 何でもない! 97 00:10:27,172 --> 00:10:33,512 では 次は 江戸の習わしについて お話しいたしましょう。 98 00:10:33,512 --> 00:10:35,848 江戸では…。 少し休まぬか? 99 00:10:35,848 --> 00:10:38,317 朝からずっとで疲れたわ。 100 00:10:38,317 --> 00:10:41,020 さようにございますか。 101 00:10:41,020 --> 00:10:45,524 では 少し体でも動かしますか。 102 00:10:45,524 --> 00:10:47,860 体? 103 00:10:47,860 --> 00:10:51,730 きえ~っ! 104 00:10:51,730 --> 00:10:53,730 えいっ! 105 00:10:55,734 --> 00:10:58,504 何故 薙刀なのじゃ? 106 00:10:58,504 --> 00:11:01,407 えいっ! 107 00:11:01,407 --> 00:11:05,811 武家の女子の 嫁入り道具にございますれば。 108 00:11:05,811 --> 00:11:19,825 ♬~ 109 00:11:19,825 --> 00:11:22,825 では 姫様 どうぞ! 110 00:11:24,496 --> 00:11:26,432 こうか? 111 00:11:26,432 --> 00:11:32,671 もう少し腰を入れて 右腕を上に。 はい 払う! 112 00:11:32,671 --> 00:11:34,606 きえ~っ! 113 00:11:34,606 --> 00:11:38,477 気合いがなっておりませんな。 114 00:11:38,477 --> 00:11:46,185 ここ 臍下丹田に気を集めて。 きえ~っ! 115 00:11:46,185 --> 00:11:48,520 きえ~っ! 116 00:11:48,520 --> 00:11:51,190 きえ~っ! 117 00:11:51,190 --> 00:11:54,490 (2人)きえ~っ! 118 00:11:57,529 --> 00:11:59,865 きえ~っ! 119 00:11:59,865 --> 00:12:02,634 その翌日のこと…。 120 00:12:02,634 --> 00:12:04,970 幾島がおらぬ!? 121 00:12:04,970 --> 00:12:09,770 (広川)はい。 お殿様 お国入りの御用向きで。 122 00:12:11,477 --> 00:12:18,477 そうか… 幾島がおらぬのか。 123 00:12:20,152 --> 00:12:23,155 幾島のことじゃが あの者は➡ 124 00:12:23,155 --> 00:12:27,659 お殿様の亡き姉上 郁姫様付きの老女であったと申したな。 125 00:12:27,659 --> 00:12:33,999 はい。 郁姫様が 右大臣 近衛忠熙様に嫁がれる際➡ 126 00:12:33,999 --> 00:12:39,505 お供をして そのまま京にお上りになった と聞いております。 127 00:12:39,505 --> 00:12:46,678 郁姫様亡きあとも 忠熙様たっての願いで 京にとどまられたとか。 128 00:12:46,678 --> 00:12:51,016 その京へ 追い返すわけには まいらぬのかの。 129 00:12:51,016 --> 00:12:53,318 (広川)姫様…。 130 00:12:53,318 --> 00:12:56,522 ほかの誰かと替えてはもらえぬか。 131 00:12:56,522 --> 00:12:59,558 広川 そなたでもよいぞ。 132 00:12:59,558 --> 00:13:02,327 それは なりませぬ。 133 00:13:02,327 --> 00:13:07,327 お殿様 おん自らが お選びになったのですから。 134 00:13:09,802 --> 00:13:15,140 いかがです。 久しぶりに 史書など ひもとかれては。 135 00:13:15,140 --> 00:13:18,477 それは よい。 136 00:13:18,477 --> 00:13:25,818 今日は 久しぶりに のんびりできそうじゃ。 137 00:13:25,818 --> 00:13:30,689 (幾島)まあまあ…。 あ…。 138 00:13:30,689 --> 00:13:35,689 あまり 見映えする お姿では ありませんね。 139 00:13:37,429 --> 00:13:42,367 見れば ごゆるりとされたご様子。 140 00:13:42,367 --> 00:13:46,367 書のお稽古でもいたしましょうか。 141 00:13:49,508 --> 00:13:52,311 それから 数日がたち➡ 142 00:13:52,311 --> 00:13:58,511 いよいよ 斉彬様が 摩に お帰りとなりました。 143 00:14:00,052 --> 00:14:03,789 幾島殿 此度のこと 礼を言う。 144 00:14:03,789 --> 00:14:06,124 諸事助かっておる。 145 00:14:06,124 --> 00:14:13,799 私は ご当家に仕える身。 これからは 幾島とお呼びくださいませ。 146 00:14:13,799 --> 00:14:18,499 ならば 幾島。 姫の様子はどうじゃ? 147 00:14:20,138 --> 00:14:24,810 正直に申し上げますれば…。 うむ。 148 00:14:24,810 --> 00:14:31,510 あれほどの じゃじゃ馬は 初めてにござります。 149 00:14:35,454 --> 00:14:38,357 苦労を かけておるようじゃな。 150 00:14:38,357 --> 00:14:42,057 苦労と申しましょうか…。 ≪(広川)姫様! 151 00:14:43,829 --> 00:14:51,503 ≪(足音) (ため息) 152 00:14:51,503 --> 00:14:54,539 お殿様 お帰りなさいませ! 153 00:14:54,539 --> 00:14:57,376 お城の中を 走ってはなりませぬ。 154 00:14:57,376 --> 00:15:01,113 よいよい。 近う寄れ。 155 00:15:01,113 --> 00:15:03,113 はい。 156 00:15:14,660 --> 00:15:19,464 江戸での長きお勤め ご苦労に存じまする。 157 00:15:19,464 --> 00:15:23,335 うむ。 息災であったか? 158 00:15:23,335 --> 00:15:29,141 はい! 先生もお帰りなさいませ。 159 00:15:29,141 --> 00:15:31,076 (清猷)先生は おやめくださりませ。 160 00:15:31,076 --> 00:15:35,280 今は お家に仕える者の一人にすぎませぬ。 161 00:15:35,280 --> 00:15:41,153 わしも お殿様はよせ。 今後は 父と呼ぶがよい。 162 00:15:41,153 --> 00:15:43,488 恥ずかしゅうございます。 163 00:15:43,488 --> 00:15:49,161 何を言う わしとそなたは 父と娘ではないか。 164 00:15:49,161 --> 00:15:55,500 では… 父上様…。 165 00:15:55,500 --> 00:15:58,303 そなたの名前を決めたぞ。 166 00:15:58,303 --> 00:16:02,103 名前を? うむ。 167 00:16:21,259 --> 00:16:23,328 篤子じゃ。 168 00:16:23,328 --> 00:16:26,098 あつこ…。 169 00:16:26,098 --> 00:16:32,804 第十一代将軍 家斉様の御台所であられた 我が大伯母 茂姫様。 170 00:16:32,804 --> 00:16:35,707 茂姫様は お輿入れなさる前に➡ 171 00:16:35,707 --> 00:16:37,676 この字を用いられ➡ 172 00:16:37,676 --> 00:16:39,678 篤姫と称された。 173 00:16:39,678 --> 00:16:42,481 それにあやかった名前じゃ。 174 00:16:42,481 --> 00:16:49,821 そなたは これより 皆から 篤姫と呼ばれることになろう。 175 00:16:49,821 --> 00:16:52,821 篤姫…。 176 00:16:56,495 --> 00:16:59,831 篤子よ。 177 00:16:59,831 --> 00:17:03,802 お篤! あ… はい! 178 00:17:03,802 --> 00:17:06,938 どうじゃ 城には慣れたか? 179 00:17:06,938 --> 00:17:14,138 あっ はい… ああ いえ…。 180 00:17:22,421 --> 00:17:25,624 考えとは どういうことじゃ? 181 00:17:25,624 --> 00:17:27,959 大変 失礼ながら➡ 182 00:17:27,959 --> 00:17:34,266 お殿様が 私を 京よりお呼びになった 真意が分からぬのでございます。 183 00:17:34,266 --> 00:17:37,135 真意? 184 00:17:37,135 --> 00:17:39,471 姫様です。 185 00:17:39,471 --> 00:17:46,144 どこぞに 嫁ぎ先でも 決まっておいでなのでしょうか。 186 00:17:46,144 --> 00:17:53,018 そのようなものはない。 ただ 今のままでは どこへも出せぬでな。 187 00:17:53,018 --> 00:17:56,655 それで そちに来てもらったまでのこと。 188 00:17:56,655 --> 00:17:59,558 これまた失礼ながら➡ 189 00:17:59,558 --> 00:18:06,765 なぜ 姫様を養女になさったのか 分かりかねます。 190 00:18:06,765 --> 00:18:11,603 島津本家の姫君としての気構えもなく➡ 191 00:18:11,603 --> 00:18:16,241 ただ 歴史など 学問に興味を示されるのみ。 192 00:18:16,241 --> 00:18:21,079 それよ 実に面白き姫よのう。 193 00:18:21,079 --> 00:18:23,982 今なら まだ間に合いまする。 194 00:18:23,982 --> 00:18:30,682 のびのびと過ごせる場所に お戻しになるのも一考かと。 195 00:18:33,658 --> 00:18:39,464 そなたの気持ちは よう分かった。 しかしのう 幾島。 196 00:18:39,464 --> 00:18:45,337 そなたは 25年の長きにわたり 我が姉 郁姫に仕え➡ 197 00:18:45,337 --> 00:18:53,011 近衛家の正室としての務めを 支えてくれたではないか。 198 00:18:53,011 --> 00:18:58,817 郁姫様とは違います。 199 00:18:58,817 --> 00:19:06,817 郁姫様は それは立派な 姫様であらせられました。 200 00:19:13,331 --> 00:19:17,102 幾島。 201 00:19:17,102 --> 00:19:23,241 今しばらく お篤の修業に 力を貸してはもらえぬか? 202 00:19:23,241 --> 00:19:27,445 後悔はさせぬ。 それだけは約束する。 203 00:19:27,445 --> 00:19:32,250 やはり 嫁ぎ先が 決まっておいでなのでは? 204 00:19:32,250 --> 00:19:37,750 今は… 何とも言えぬ。 205 00:19:43,461 --> 00:19:51,970 分かりました。 この幾島 一心に努めまする。 206 00:19:51,970 --> 00:19:57,142 よう言うてくれた。 礼を言うぞ。 207 00:19:57,142 --> 00:20:02,142 荷は 大層 重うございますが。 208 00:20:05,850 --> 00:20:13,692 一方 これより少し前 江戸では 大変なことが起きておりました。 209 00:20:13,692 --> 00:20:20,165 黒船への対応に苦慮していた 第十二代将軍 家慶様が➡ 210 00:20:20,165 --> 00:20:24,836 6月22日に急死。 211 00:20:24,836 --> 00:20:31,136 アメリカ艦隊が江戸を去ってから 10日後のことでした。 212 00:20:33,845 --> 00:20:36,514 (徳川家祥)ネジを巻いたらどうじゃ? 213 00:20:36,514 --> 00:20:40,385 (医師)ネジでございますか? 214 00:20:40,385 --> 00:20:45,190 ネジを巻けば 父上は からくり人形のごとく➡ 215 00:20:45,190 --> 00:20:51,062 動きだされるやもしれぬ。 さすれば 天下は安泰じゃ。 216 00:20:51,062 --> 00:20:56,062 わしも 将軍職など継がずにすむものを。 217 00:21:00,205 --> 00:21:03,108 のう 阿部…。 218 00:21:03,108 --> 00:21:05,408 (阿部正弘)は…。 219 00:21:14,486 --> 00:21:22,827 家慶様の死去は 内々に 水戸の徳川斉昭様に伝えられました。 220 00:21:22,827 --> 00:21:28,633 なんたることじゃ… かような時に 公方様が お隠れになるとは…。 221 00:21:28,633 --> 00:21:32,003 しばらくの間 喪は伏せまする。 222 00:21:32,003 --> 00:21:35,040 ペルリの騒ぎも いまだ収まっておりませぬゆえ。 223 00:21:35,040 --> 00:21:40,712 海防策は どうされるおつもりじゃ。 そのことです。 224 00:21:40,712 --> 00:21:45,850 海防の御用については 斉昭様に お願いしたいのです。 225 00:21:45,850 --> 00:21:51,656 譜代大名以外の幕政参加は 過去に例がない。 226 00:21:51,656 --> 00:21:53,725 それでもよいのか? 227 00:21:53,725 --> 00:21:57,462 前例を うんぬんしておる場合では ありませぬ。 228 00:21:57,462 --> 00:22:00,699 それでこそ 阿部殿じゃ。 229 00:22:00,699 --> 00:22:07,499 日本国は かつてない危機に陥っておりまする。 230 00:22:10,375 --> 00:22:13,278 そして このころになると➡ 231 00:22:13,278 --> 00:22:20,051 江戸沖にやって来た黒船の情報は 摩にも届いておりました。 232 00:22:20,051 --> 00:22:22,487 これは…? 233 00:22:22,487 --> 00:22:27,158 ペルリなる者が率いし アメリカ国の軍艦にございまする。 234 00:22:27,158 --> 00:22:31,496 江戸の近海に現れ 我が国をひっかき回して出ていきおった。 235 00:22:31,496 --> 00:22:33,531 詳しくお話しくださいませ。 236 00:22:33,531 --> 00:22:37,031 わしは じかには見ておらぬでな。 237 00:22:39,170 --> 00:22:42,507 江戸屋敷よりの知らせにございます。 238 00:22:42,507 --> 00:22:47,207 読んでもよろしいのですか? うむ。 239 00:23:01,793 --> 00:23:04,629 長さ250尺…。 240 00:23:04,629 --> 00:23:07,465 世界でも比類なき大きさの軍艦です。➡ 241 00:23:07,465 --> 00:23:13,338 それが 蒸気の力で動き 外洋に出れば 石炭を節約するため➡ 242 00:23:13,338 --> 00:23:17,809 帆を用いた航行に 切り替えるそうにございます。 243 00:23:17,809 --> 00:23:21,679 世界には すごいものがあるのでございますね。 244 00:23:21,679 --> 00:23:25,483 面白いか? はい。 乗ってみとうございます。 245 00:23:25,483 --> 00:23:32,824 ハハ… 乗ってみたいか。 お篤 わしはのう…。 はい。 246 00:23:32,824 --> 00:23:36,694 日本でも こうした船を 持つべきだと思うておる。 247 00:23:36,694 --> 00:23:41,533 異国から買うのではなく 日本で造りし船をな。 248 00:23:41,533 --> 00:23:43,835 日本で? 249 00:23:43,835 --> 00:23:47,135 なぜ 船を造るか分かるか? 250 00:23:48,706 --> 00:23:52,177 異国に負けないためにございますか? 251 00:23:52,177 --> 00:23:55,079 ほう。 戦を仕掛けよと申すか。 252 00:23:55,079 --> 00:24:02,379 そうではなく 戦をせぬために 脅しに屈せぬためにございます。 253 00:24:06,691 --> 00:24:10,462 なぜ そのように考える? 254 00:24:10,462 --> 00:24:16,134 なぜと仰せになられましても… ただ そう思いましたゆえ。 255 00:24:16,134 --> 00:24:22,640 それこそ わしが 常日頃から考えておったこと。 256 00:24:22,640 --> 00:24:26,811 そなたは 男に生まれた方が よかったのかもしれぬな。 257 00:24:26,811 --> 00:24:30,482 私も そう思うことがあります。 258 00:24:30,482 --> 00:24:38,156 されどの お篤 この世には 女子にしかできぬこともある。 259 00:24:38,156 --> 00:24:43,661 わしは そなたに それをこそ望んでおるのだ。 260 00:24:43,661 --> 00:24:46,564 どういうことでしょう? 261 00:24:46,564 --> 00:24:50,364 いや… いや 何でもない。 262 00:24:56,174 --> 00:24:59,511 (肝付尚五郎)父から借りてまいりました。 263 00:24:59,511 --> 00:25:02,480 異国の軍船は やはり江戸沖に達したらしいです。 264 00:25:02,480 --> 00:25:05,617 (西郷吉之助)江戸に…。 戦を恐れたご公儀は➡ 265 00:25:05,617 --> 00:25:08,653 相手が携えし国書を 受け取られたそうです。 266 00:25:08,653 --> 00:25:12,390 (西郷)ペルリと申すのか。 ひどい悪相じゃな。 267 00:25:12,390 --> 00:25:15,627 (大久保正助)来年の春に 再び来航…。 268 00:25:15,627 --> 00:25:18,663 国書への返答を 受け取りに来るようです。 269 00:25:18,663 --> 00:25:21,132 これから いかなることになるのでしょう? 270 00:25:21,132 --> 00:25:24,469 摩にいたのでは 何とも。 271 00:25:24,469 --> 00:25:28,806 肝付さあ お殿様は 今 摩に戻っておられますね。 272 00:25:28,806 --> 00:25:31,709 今後のことを いかがお考えなのでありましょうか? 273 00:25:31,709 --> 00:25:34,009 それは…。 274 00:25:35,680 --> 00:25:37,980 そうだ。 275 00:25:40,151 --> 00:25:44,656 尚五郎! よく来てくれたのう。 276 00:25:44,656 --> 00:25:46,991 先生 お帰りなさいませ。 うむ。 277 00:25:46,991 --> 00:25:49,027 何を突っ立っておる。 上がれ 上がれ。 278 00:25:49,027 --> 00:25:53,865 いや 実は…。 (島津忠敬)遅いぞ! 尚五郎。➡ 279 00:25:53,865 --> 00:25:57,168 先生への尊敬の念が 足りぬのではないか? 280 00:25:57,168 --> 00:26:00,672 いや… 実は 今日は 友人と一緒なのです。 281 00:26:00,672 --> 00:26:03,641 ほう。 どういったお仲間じゃ? 282 00:26:03,641 --> 00:26:06,341 それが…。 283 00:26:09,113 --> 00:26:12,413 西郷さん! 大久保さん! 284 00:26:15,887 --> 00:26:19,824 西郷吉之助にございます。 大久保正助にございます。 285 00:26:19,824 --> 00:26:21,826 貴様…。 286 00:26:21,826 --> 00:26:26,130 尚五郎 お主 このような者たちと つきおうておるのか! 287 00:26:26,130 --> 00:26:28,800 以前より 懇意にしております。 恥を知れ 恥を! 288 00:26:28,800 --> 00:26:33,471 このような身分の低き者と…。 忠敬! 289 00:26:33,471 --> 00:26:36,374 何故 この者どもを連れてまいった? 290 00:26:36,374 --> 00:26:38,343 はい。 あの…。 291 00:26:38,343 --> 00:26:42,146 (西郷)よろしゅうございましょうか。 うむ。 292 00:26:42,146 --> 00:26:46,985 我々は 心底 お殿様を お慕いしておりもす。 293 00:26:46,985 --> 00:26:50,021 家中を改革するための意見書も 奉りもした。 294 00:26:50,021 --> 00:26:54,726 しかしながら お殿様のご真意を はかりかねるところもございもす。 295 00:26:54,726 --> 00:26:56,995 そのあたりのご意見を 先生にお聞きしたく➡ 296 00:26:56,995 --> 00:26:59,495 参上した次第にございます。 297 00:27:01,432 --> 00:27:06,304 相分かった。 両人とも 上がられよ。 (2人)ははっ! 298 00:27:06,304 --> 00:27:12,110 殿がお考えなのは 異国と 互角なるつきあいをすることじゃ。 299 00:27:12,110 --> 00:27:14,946 国を開くということですか? 300 00:27:14,946 --> 00:27:20,451 そうじゃ。 ただし その前に 国の守りを固める。 301 00:27:20,451 --> 00:27:23,354 異国による力ずくのどう喝を 防ぐためじゃ。 302 00:27:23,354 --> 00:27:27,625 お殿様は 常に 先の先を 見越しておいでなのですね。 303 00:27:27,625 --> 00:27:34,825 うむ。 この日本で 最も進んだ考え方をされておる。 304 00:27:38,636 --> 00:27:42,436 (お近)いらっしゃいませ。 お邪魔しております。 305 00:27:48,346 --> 00:27:51,349 せんだっては ありがとうございました。 306 00:27:51,349 --> 00:27:56,054 いいえ。 ご伝言 確かに お伝えいたしました。 307 00:27:56,054 --> 00:27:58,656 於一様は お元気でしたか? 308 00:27:58,656 --> 00:28:02,527 はい。 お話を聞き 大層 喜んでおいででした。 309 00:28:02,527 --> 00:28:05,229 ああ そうですか。 310 00:28:05,229 --> 00:28:08,766 あっ こちらが その大久保さんです。 311 00:28:08,766 --> 00:28:13,438 (お近)ああ あなたが。 はあ…。 312 00:28:13,438 --> 00:28:19,310 おい! この者と於一に 何の関わりがあるのじゃ。 313 00:28:19,310 --> 00:28:22,613 ああ… お近殿が お城に呼ばれた折➡ 314 00:28:22,613 --> 00:28:27,452 大久保さんがご赦免となった一件を 於一様に伝えていただいたのです。 315 00:28:27,452 --> 00:28:29,387 ちょっと待てよ。 316 00:28:29,387 --> 00:28:33,124 ということは 於一は この者らと親しくしておったのか? 317 00:28:33,124 --> 00:28:38,124 はい。 なんたることじゃ。 318 00:28:39,797 --> 00:28:43,968 先生は 於一様とは お城でお会いになられたのですか? 319 00:28:43,968 --> 00:28:49,474 ああ。 すっかり 島津ご宗家の 姫君らしゅうなっておいでだったぞ。 320 00:28:49,474 --> 00:28:51,809 於一がですか? 321 00:28:51,809 --> 00:28:56,509 今は 篤姫様と名を変えられた。 322 00:28:58,149 --> 00:29:01,753 篤姫様…。 323 00:29:01,753 --> 00:29:05,089 (幾島)曲がり角で 裾をさばくのです。 324 00:29:05,089 --> 00:29:09,789 大きく さ~っと。 ちょ… あっ。 325 00:29:12,964 --> 00:29:17,264 では もう一度。 326 00:29:23,107 --> 00:29:29,781 (島津忠剛)篤姫様… 於一が。 327 00:29:29,781 --> 00:29:32,683 はい。 328 00:29:32,683 --> 00:29:36,983 (お幸)元気でいるなら何よりです。 329 00:29:41,392 --> 00:29:47,331 では これにて失礼いたしまする。 そう お急ぎにならず…。 330 00:29:47,331 --> 00:29:51,068 せっかく 於一のことを お知らせくださったのですから。 331 00:29:51,068 --> 00:29:54,272 そうではありませぬ。 私が呼んだのです。 332 00:29:54,272 --> 00:29:57,975 説教の一つもせねばと思いまして。 説教? 333 00:29:57,975 --> 00:30:03,147 尚五郎は あの西郷など 身分の低き者と つきあっておるのです。 334 00:30:03,147 --> 00:30:06,484 どう思われますか? 西郷…。 335 00:30:06,484 --> 00:30:10,655 ああ… あの時の。 ええ。 336 00:30:10,655 --> 00:30:13,691 いやいや あの者は なかなか立派な男であった。 337 00:30:13,691 --> 00:30:17,428 ほんに 顔だちなど凜々しゅうて。 338 00:30:17,428 --> 00:30:20,164 父上! 母上! 339 00:30:20,164 --> 00:30:23,835 あやつのせいで うちが 追い詰められたこと よもや お忘れでは。 340 00:30:23,835 --> 00:30:26,671 忠敬。 はい。 尚五郎が そこまでして➡ 341 00:30:26,671 --> 00:30:28,606 つきあっているということは➡ 342 00:30:28,606 --> 00:30:32,844 その者たちに 見どころがあるからであろう。 343 00:30:32,844 --> 00:30:37,515 では… これは どうですか? 344 00:30:37,515 --> 00:30:41,385 於一も あやつらと つきあっておったのです。 345 00:30:41,385 --> 00:30:44,685 於一が? そうです。 346 00:30:46,858 --> 00:30:49,858 於一か…。 347 00:30:51,529 --> 00:31:01,806 於一の話なら どんな話でも 胸が熱うなるのう。 348 00:31:01,806 --> 00:31:07,106 ほんに そうですね。 349 00:31:14,151 --> 00:31:21,492 (寝言で)何が 西郷じゃ…。 あんな身分の低い…。 350 00:31:21,492 --> 00:31:26,163 これ しっかりしなさい。 351 00:31:26,163 --> 00:31:30,463 もう… この子は…。 352 00:31:32,036 --> 00:31:35,506 あの… お父上は? 353 00:31:35,506 --> 00:31:44,206 さあ… 先ほど 庭に出ていきましたが。 はあ… はい。 354 00:32:06,137 --> 00:32:08,837 (忠剛)尚五郎か? 355 00:32:10,474 --> 00:32:12,810 お姿が見えなくなったので…。 356 00:32:12,810 --> 00:32:17,810 うむ ちょっと 酔いを さましにのう。 357 00:32:23,454 --> 00:32:25,754 よき月ですね。 358 00:32:27,358 --> 00:32:33,130 於一のことでは いろいろと つらい思いをさせたのう。 359 00:32:33,130 --> 00:32:35,499 そのような…。 360 00:32:35,499 --> 00:32:39,170 そなたに よき嫁御が来ることを 願っておる。 361 00:32:39,170 --> 00:32:41,505 まだ早うございます。 362 00:32:41,505 --> 00:32:44,805 ハハハ… そうか…。 363 00:32:50,514 --> 00:32:54,185 このクロガネモチの木は➡ 364 00:32:54,185 --> 00:32:58,022 於一が生まれた時に植えたものでのう。 365 00:32:58,022 --> 00:33:00,222 そうですか。 366 00:33:01,792 --> 00:33:05,963 於一は この木が好きでのう。 367 00:33:05,963 --> 00:33:12,136 よ~く この木陰で 書物を読んでいたものじゃ。 368 00:33:12,136 --> 00:33:16,974 一度など 急におらぬようになってのう。 369 00:33:16,974 --> 00:33:21,479 皆で あちこち捜しまわったら ハハハ…➡ 370 00:33:21,479 --> 00:33:27,151 この木に登って そのまま眠っておったわ。 ハハハハハ。 371 00:33:27,151 --> 00:33:29,851 そうですか。 372 00:33:37,795 --> 00:33:40,795 篤姫様…。 373 00:33:42,500 --> 00:33:46,200 どんどん遠くなってしまうのう。 374 00:33:47,838 --> 00:33:55,513 しかし どんなに遠くに行こうと 名が変わろうとも➡ 375 00:33:55,513 --> 00:34:02,319 あの時の於一は わしらのものじゃ。 376 00:34:02,319 --> 00:34:06,791 そうは思わぬか? 377 00:34:06,791 --> 00:34:11,491 思います。 そう思います。 378 00:34:14,131 --> 00:34:17,802 何やら冷えてきたの。 379 00:34:17,802 --> 00:34:20,704 中に入るか。 380 00:34:20,704 --> 00:34:46,497 ♬~ 381 00:34:46,497 --> 00:34:51,168 (幾島)では 江戸の習わしに ついてでございますが…。 382 00:34:51,168 --> 00:34:54,505 今日は もう疲れた。 休む。 383 00:34:54,505 --> 00:34:56,440 さようにございますか。 384 00:34:56,440 --> 00:35:01,612 しかしながら 私は 疲れておりませぬゆえ このまま続けたいと思います。 385 00:35:01,612 --> 00:35:04,248 休むと言うたら休む。 386 00:35:04,248 --> 00:35:07,118 しの。 はい。 387 00:35:07,118 --> 00:35:09,453 部屋へ戻る。 388 00:35:09,453 --> 00:35:15,326 申し遅れましたが この先 お口を おききあそばすのは➡ 389 00:35:15,326 --> 00:35:18,462 私か 広川だけとなります。 390 00:35:18,462 --> 00:35:20,965 どういうことじゃ? 391 00:35:20,965 --> 00:35:23,267 いくらお話がなさりたくとも➡ 392 00:35:23,267 --> 00:35:27,138 しのには じかに お声をかけてはならぬということです。 393 00:35:27,138 --> 00:35:29,473 待て。 それは あまりではないか! 394 00:35:29,473 --> 00:35:32,977 家来にも身分の上下というものが ございます。➡ 395 00:35:32,977 --> 00:35:35,479 そのような勝手なことをなさいますと➡ 396 00:35:35,479 --> 00:35:38,779 諸事 乱れのもととなります。 397 00:35:42,153 --> 00:35:45,823 (幾島)では 続けます。 398 00:35:45,823 --> 00:35:52,163 姫様は ご当地でお生まれになり お育ちあそばしたゆえ➡ 399 00:35:52,163 --> 00:35:57,968 江戸表や諸国のことが まだ十分にお分かりではございません。➡ 400 00:35:57,968 --> 00:36:01,238 いずれ どこぞの嫁御と なられましょうが➡ 401 00:36:01,238 --> 00:36:06,443 嫁ぎ先が 摩でないことだけは 確かにございます。 402 00:36:06,443 --> 00:36:09,780 もうよい…。 403 00:36:09,780 --> 00:36:14,118 (幾島)姫様は お気づきではないかもしれませぬが➡ 404 00:36:14,118 --> 00:36:16,453 摩なまりは ようやく抜けてまいり…。 405 00:36:16,453 --> 00:36:18,453 もうよい! 406 00:36:23,127 --> 00:36:27,798 私は 郁姫様ではないのじゃ。 407 00:36:27,798 --> 00:36:33,270 それは どういう意味にございましょうか。 408 00:36:33,270 --> 00:36:37,141 そなたの思いどおりにはならぬ ということじゃ。 409 00:36:37,141 --> 00:36:42,012 郁姫様を 思いどおりにしたことなど…。 410 00:36:42,012 --> 00:36:56,160 ♬~ 411 00:36:56,160 --> 00:36:59,160 私にも…。 412 00:37:00,831 --> 00:37:05,603 私にも老女がおった。 菊本という。 413 00:37:05,603 --> 00:37:10,803 私の摩なまりは その老女より うつりしもの。 414 00:37:12,776 --> 00:37:18,115 しかし 菊本は そなたのようではなかった。 415 00:37:18,115 --> 00:37:23,454 共にいて 心安らぐ女子であった。 416 00:37:23,454 --> 00:37:26,790 そなたは どうだったのじゃ? 417 00:37:26,790 --> 00:37:31,128 郁姫様は そなたといて 心が安らいだのか? 418 00:37:31,128 --> 00:37:33,797 私と菊本のように➡ 419 00:37:33,797 --> 00:37:38,097 心から笑うたり 泣いたりするようなことがあったのか! 420 00:37:41,138 --> 00:37:43,974 [ 回想 ] (郁姫)では幾島 これを。 421 00:37:43,974 --> 00:37:45,909 (幾島)はい。 422 00:37:45,909 --> 00:37:48,479 (郁姫)まあ そろっておる。 423 00:37:48,479 --> 00:37:51,179 (笑い声) 424 00:37:54,351 --> 00:38:02,026 失礼ながら 郁姫様のことは 二度と耳にはしとうはございません。 425 00:38:02,026 --> 00:38:05,429 なぜじゃ? 426 00:38:05,429 --> 00:38:10,768 姫様が その菊本という老女のことで➡ 427 00:38:10,768 --> 00:38:15,768 とやかく言われたくないのと 同じにございます。 428 00:38:19,109 --> 00:38:26,617 家慶様 死去の知らせが 早馬で 摩に届いたのは 7月初め。 429 00:38:26,617 --> 00:38:30,120 公方様が…? 430 00:38:30,120 --> 00:38:33,991 よくないことは 続けざまに起きると言うが…。 431 00:38:33,991 --> 00:38:36,794 ということは 家祥様が➡ 432 00:38:36,794 --> 00:38:40,264 家督をお継ぎになられる ということにございますか? 433 00:38:40,264 --> 00:38:48,005 もはや 流れは止められぬ。 せかされてきたようじゃな。 434 00:38:48,005 --> 00:38:51,809 (小姓)殿!➡ 435 00:38:51,809 --> 00:38:54,478 幾島様が おいでにござりますが。 436 00:38:54,478 --> 00:38:57,778 通せ。 はっ。 437 00:39:00,150 --> 00:39:04,450 では 私は これにて。 438 00:39:12,429 --> 00:39:18,129 (幾島)お呼びにございましょうか。 入れ。 439 00:39:23,440 --> 00:39:28,112 その後 姫の様子はどうじゃ? 440 00:39:28,112 --> 00:39:32,783 何ともはや 申し上げようもございませぬ。 441 00:39:32,783 --> 00:39:35,783 それは また改めて聞こう。 442 00:39:37,454 --> 00:39:40,257 幾島! はい。 443 00:39:40,257 --> 00:39:43,627 重大なる話がある。 近う寄れ。 444 00:39:43,627 --> 00:39:46,127 はっ。 445 00:39:48,966 --> 00:39:51,766 いや もそっと。 446 00:39:55,472 --> 00:39:58,809 家慶様が みまかられた。 447 00:39:58,809 --> 00:40:01,145 家慶様が…。 448 00:40:01,145 --> 00:40:05,482 そなた 以前 申したことがあったな。 449 00:40:05,482 --> 00:40:08,819 お篤に縁談があるのではないかと。 450 00:40:08,819 --> 00:40:13,657 あ… はい。 では そうなのでございますか? 451 00:40:13,657 --> 00:40:15,592 うむ。 452 00:40:15,592 --> 00:40:20,431 で お相手は いずれかの大名家で? いや。 453 00:40:20,431 --> 00:40:24,835 ならば お旗本? いや。 はて…。 454 00:40:24,835 --> 00:40:28,835 ほかに 島津家に ふさわしいお家といえば…。 455 00:40:30,507 --> 00:40:35,379 一つだけあるではないか。 え? 456 00:40:35,379 --> 00:40:40,184 江戸の徳川宗家じゃ。 457 00:40:40,184 --> 00:40:42,984 お戯れを…。 458 00:40:44,855 --> 00:40:48,692 まさか…。 その まさかじゃ。 459 00:40:48,692 --> 00:40:55,466 お篤は 次の将軍 家祥様の御台所にと望まれておるのじゃ。 460 00:40:55,466 --> 00:41:00,871 御台所に… 姫様が…。 461 00:41:00,871 --> 00:41:19,823 ♬~ 462 00:41:19,823 --> 00:41:21,859 (家臣)あ… あの… 若君? 463 00:41:21,859 --> 00:41:26,597 水だけは 毎日やらねばのう。 464 00:41:26,597 --> 00:41:31,397 ほ~れ きれいに咲けよ。 465 00:41:39,176 --> 00:41:43,514 かわいいのう…。 466 00:41:43,514 --> 00:41:47,384 皆 かわいいのう。 467 00:41:47,384 --> 00:42:05,769 ♬~ 468 00:42:05,769 --> 00:42:10,974 姫様 いかがなされました? 469 00:42:10,974 --> 00:42:12,910 何でもない。 470 00:42:12,910 --> 00:42:18,148 篤姫様 数えで19歳。 471 00:42:18,148 --> 00:42:25,848 日本に変革という荒波が押し寄せる 前夜のことでございました。 472 00:42:31,495 --> 00:42:36,366 姫様は 赤子におわしますな。 赤子じゃと!? ああっ! 473 00:42:36,366 --> 00:42:38,669 いずこの お家に 嫁ぐのでございましょうか? 474 00:42:38,669 --> 00:42:41,171 将軍家じゃ。 御台所…。 475 00:42:41,171 --> 00:42:43,173 情けない話です。 聞いちゃおれん。 476 00:42:43,173 --> 00:42:47,044 それっ! 姫様! 誰ぞ! 誰ぞある! 477 00:42:47,044 --> 00:42:49,846 姫様! よう~! 478 00:42:49,846 --> 00:42:52,749 よう~! それじゃ! 479 00:42:52,749 --> 00:42:56,019 私は 父上様に利用されるので ございましょうか? 480 00:42:56,019 --> 00:42:57,955 そのとおりじゃ。 481 00:42:57,955 --> 00:43:01,155 母上様に会いたい。 482 00:43:03,126 --> 00:43:09,633 <鹿児島県鹿児島市。 市内を流れる甲突川には➡ 483 00:43:09,633 --> 00:43:14,471 5つの大きな石造りの橋が 架けられていました。➡ 484 00:43:14,471 --> 00:43:17,975 その中の一つ 西田橋は➡ 485 00:43:17,975 --> 00:43:24,481 参勤交代の行列も通った 城下の表玄関です。➡ 486 00:43:24,481 --> 00:43:28,986 鹿児島城は 鶴が 翼を広げたような形から➡ 487 00:43:28,986 --> 00:43:34,157 鶴丸城と呼ばれ 慕われてきました。➡ 488 00:43:34,157 --> 00:43:36,493 鶴丸城の正面には➡ 489 00:43:36,493 --> 00:43:40,493 大手門にあたる 御楼門がありました> 490 00:43:42,165 --> 00:43:48,165 <御楼門を抜けると 簡素な館造りの本丸御殿> 491 00:43:49,906 --> 00:43:57,406 <その一角に 於一も暮らした 鶴丸城の大奥があったといいます> 492 00:44:02,452 --> 00:44:08,625 <城壁には 西南戦争の銃弾痕が 今も残ります。➡ 493 00:44:08,625 --> 00:44:12,462 激動の時代を見つめてきた この城で➡ 494 00:44:12,462 --> 00:44:16,333 於一は 篤姫となったのです> 495 00:44:16,333 --> 00:44:26,033 ♬~