1 00:00:02,202 --> 00:00:08,942 ♬~ 2 00:00:08,942 --> 00:00:15,115 ♬「いたずらに 過ぎていく時間が」 3 00:00:15,115 --> 00:00:20,921 ♬「夢へと 流れ出す」 4 00:00:20,921 --> 00:00:27,294 ♬「迷わずに 明日を選んでいける」 5 00:00:27,294 --> 00:00:32,165 ♬「そんなふうに 思えるよう」 6 00:00:32,165 --> 00:00:39,306 ♬「隠しきれない この気持ち」 7 00:00:39,306 --> 00:00:45,979 ♬「大空に描きだす」 8 00:00:45,979 --> 00:00:48,315 ♬「Reach for the golden ring」 9 00:00:48,315 --> 00:00:50,984 ♬「Reach for the sky」 10 00:00:50,984 --> 00:00:54,021 ♬「今すべて 受けとめて」 11 00:00:54,021 --> 00:00:58,325 ♬「陽の当たる丘で」 12 00:00:58,325 --> 00:01:03,163 ♬「軽く口笛を吹き」 13 00:01:03,163 --> 00:01:11,872 ♬「思いきりアハハと笑ってみようよ」 14 00:01:11,872 --> 00:01:15,175 ♬~ 15 00:01:19,613 --> 00:01:23,283 (麻生)結婚してください。 16 00:01:23,283 --> 00:01:26,954 (美月)<やっぱり プロポーズやった> 17 00:01:26,954 --> 00:01:32,826 滝さん 僕と結婚してくれませんか? 18 00:01:32,826 --> 00:01:36,630 (滝乃)あ… 今更 そんなこと…。 19 00:01:36,630 --> 00:01:40,434 (麻生)今やから 言うんです。 20 00:01:40,434 --> 00:01:43,804 先生と私は 遠い昔に終わってます。 21 00:01:43,804 --> 00:01:47,307 あのころのことは もう思い出すこともおへん。 22 00:01:47,307 --> 00:01:50,978 今の僕は あのころの僕やない。 23 00:01:50,978 --> 00:01:52,913 先生 私に言わはりましたえ。 24 00:01:52,913 --> 00:01:58,852 私も 椿屋も 何にも変わってへんて。 ここだけは昔のままやて。 25 00:01:58,852 --> 00:02:02,255 先生だけが お変わりやしたんどすやろか? 26 00:02:02,255 --> 00:02:07,127 そんなふうに 頭が くるくる回転するところは 昔のまんまや。 27 00:02:07,127 --> 00:02:10,597 りんとした風情も…。 28 00:02:10,597 --> 00:02:14,935 けど あんたは変わった。➡ 29 00:02:14,935 --> 00:02:22,676 このお嬢さんを ホンマの娘さんのように かわいがったのは 何でですか?➡ 30 00:02:22,676 --> 00:02:27,280 さみしかったからやろ? 31 00:02:27,280 --> 00:02:30,183 先生には 関係おへん。 32 00:02:30,183 --> 00:02:34,955 フッ… 僕も 昔は未熟やった。 33 00:02:34,955 --> 00:02:41,428 「椿屋を取るか 僕を取るか」て あなたに迫って 苦しめてしもて➡ 34 00:02:41,428 --> 00:02:45,966 あげくに あなたを失うてしもた。 35 00:02:45,966 --> 00:02:53,306 けど あれから 30年です。 12年前に 妻も死にました。 36 00:02:53,306 --> 00:02:57,310 人生は 思うようにいかへんもんや っていうことぐらい➡ 37 00:02:57,310 --> 00:03:00,380 僕にも よう分かってます。➡ 38 00:03:00,380 --> 00:03:04,251 あの時 滝さんを追い詰めた 僕の勝手なプロポーズが➡ 39 00:03:04,251 --> 00:03:06,586 いかに 傲慢なことやったかも…。 40 00:03:06,586 --> 00:03:11,458 昔のことは もう忘れたて 申しましたやろ。 41 00:03:11,458 --> 00:03:15,262 忘れてください。 それで ええ。 42 00:03:15,262 --> 00:03:22,269 けど… 僕が 今から言うことは よ~く聞いてほしいんです。 43 00:03:24,938 --> 00:03:31,712 僕は もう 椿屋を捨てろとは言いません。➡ 44 00:03:31,712 --> 00:03:35,582 椿屋も このお嬢さんも あなたの命や。➡ 45 00:03:35,582 --> 00:03:40,287 それを 邪魔する気はありません。 大事なものの中に➡ 46 00:03:40,287 --> 00:03:45,625 この僕も加えてもらえたら うれしいなて 思うだけです。➡ 47 00:03:45,625 --> 00:03:48,295 一緒に暮らしてくれとも言いません。 48 00:03:48,295 --> 00:03:52,632 僕は 神戸のうちを引き払って 京都に越してきます。 49 00:03:52,632 --> 00:03:57,504 この近くに うちを借りたら 時々は 一緒に過ごすこともできるやろ? 50 00:03:57,504 --> 00:04:01,241 お妾さんみたいどすな。 51 00:04:01,241 --> 00:04:03,744 (麻生)僕は独身です。➡ 52 00:04:03,744 --> 00:04:08,915 結婚してほしいと あなたに言うてるんですよ。 53 00:04:08,915 --> 00:04:15,789 一緒に暮らさんでも お互いに支え合って 共に老いていくことはできる。➡ 54 00:04:15,789 --> 00:04:19,259 結婚の形は いろいろあってええはずや。➡ 55 00:04:19,259 --> 00:04:23,597 僕も 12年間 独りで暮らしてきましたから 自分のことは 自分でできます。➡ 56 00:04:23,597 --> 00:04:25,532 せやから 滝さんには➡ 57 00:04:25,532 --> 00:04:29,402 妻として 家のことをやってほしいとは 思いません。 58 00:04:29,402 --> 00:04:33,607 けど… 僕ら もう 50です。 59 00:04:33,607 --> 00:04:38,111 滝さんには滝さんの世界があり 僕には僕の世界があって当然です。➡ 60 00:04:38,111 --> 00:04:45,285 けど あなたと共に生きているという 僕の心の支えになってほしい。➡ 61 00:04:45,285 --> 00:04:49,156 一緒に暮らさへんかっても 一番近い存在でいてほしい。 62 00:04:49,156 --> 00:04:52,359 滝さんには そういう妻でいてほしいんです。 63 00:04:55,629 --> 00:04:58,532 (麻生)考えてみてくれませんか? 64 00:04:58,532 --> 00:05:02,369 ⚟(警笛と電車の走行音) 65 00:05:02,369 --> 00:05:04,738 あ… 何え? 66 00:05:04,738 --> 00:05:07,073 何や 羨ましいわ。 67 00:05:07,073 --> 00:05:12,579 滝さん 僕と結婚してください。 68 00:05:12,579 --> 00:05:16,917 あ… ありがたいことです。 69 00:05:16,917 --> 00:05:19,953 この年になって 殿方に そんなこと言うていただ…。 70 00:05:19,953 --> 00:05:25,158 一般論は いいんです。 あなたの気持ちを聞かせてください。 71 00:05:29,496 --> 00:05:33,934 分かりません…。➡ 72 00:05:33,934 --> 00:05:42,275 今 先生が 何で私を望まれるのんか 分かりません。 73 00:05:42,275 --> 00:05:51,952 夢のようなお話やて思いますけど 先生のお気持ちが… 不思議です。 74 00:05:51,952 --> 00:05:55,422 (麻生)僕も さみしい人間やからです。 75 00:05:55,422 --> 00:05:59,292 僕だけやない。 多分 人間は 生まれた時から➡ 76 00:05:59,292 --> 00:06:04,564 死に向かって生きなければいけない 悲しい存在なんです。➡ 77 00:06:04,564 --> 00:06:11,071 50を過ぎたら 残り少なくなった時間を思うと➡ 78 00:06:11,071 --> 00:06:16,576 何を諦めて 何を大切に守っていきたいかって➡ 79 00:06:16,576 --> 00:06:20,914 考えるようになりました。➡ 80 00:06:20,914 --> 00:06:27,254 妻との暮らしも それなりに楽しかったし➡ 81 00:06:27,254 --> 00:06:30,757 この12年間の 独りの生活も 悪くはありませんでした。➡ 82 00:06:30,757 --> 00:06:37,264 けど… この間の晩 滝さんに再会したら➡ 83 00:06:37,264 --> 00:06:41,268 僕には あなたが必要やて思たんです! 84 00:06:41,268 --> 00:06:45,138 あっ… 突然…? 85 00:06:45,138 --> 00:06:48,441 突然見える 真実もあります。 86 00:06:51,278 --> 00:06:56,149 小説家の先生は うまいこと お言いやすわ。 87 00:06:56,149 --> 00:06:58,618 (麻生)ちゃかさんといてください。 88 00:06:58,618 --> 00:07:01,888 滝さん 僕には あなたが必要です。 89 00:07:01,888 --> 00:07:06,359 あなたも きっと僕がいたら 今以上に豊かになれるて 僕は そう思う。 90 00:07:06,359 --> 00:07:09,229 私も そう思います。 91 00:07:09,229 --> 00:07:12,565 お断りします。 お母ちゃま…。 92 00:07:12,565 --> 00:07:15,368 先生の おっしゃることは 理想です。 93 00:07:15,368 --> 00:07:20,573 現実は そんなふうに うまいこといくはず おへん。 94 00:07:20,573 --> 00:07:25,245 滝さんと僕やったら できるて思うんやけどな…。 95 00:07:25,245 --> 00:07:31,117 (滝乃)人を愛することは 片手間にはできしまへん。➡ 96 00:07:31,117 --> 00:07:34,254 この椿屋の仕事も おんなじです。➡ 97 00:07:34,254 --> 00:07:39,592 今は 女性の社会進出やの 家庭と仕事の両立やのと➡ 98 00:07:39,592 --> 00:07:43,930 世の中が盛んに言うてますけど 私は そんな器用な人間やおへん。 99 00:07:43,930 --> 00:07:49,602 けど あなたは 美月さんを育てながら 椿屋も やってこれたやないか。 100 00:07:49,602 --> 00:07:54,107 (滝乃)この子には 実の父も 母も おります。 101 00:07:56,276 --> 00:08:00,714 冒険は もう しとないんです。 102 00:08:00,714 --> 00:08:04,884 はあ… 私かて もう 50どすえ。 103 00:08:04,884 --> 00:08:09,222 50代だからこそ 分かり合えると思うんや 僕は。 104 00:08:09,222 --> 00:08:14,561 滝さんと僕は 50代に出会うために あの時 別れたんやないやろか。➡ 105 00:08:14,561 --> 00:08:17,597 20代で 一緒になってたら 逆に あかへんかったかもしれへん。➡ 106 00:08:17,597 --> 00:08:20,400 けど 今やったら 大丈夫や。 107 00:08:22,902 --> 00:08:27,574 今すぐ返事をしてくれとは言わへん。 108 00:08:27,574 --> 00:08:33,913 僕の言うたことを ゆっくり 考えてみてください。➡ 109 00:08:33,913 --> 00:08:39,252 それぞれの世界を持ちながら 50年間 生きてきたからこそ➡ 110 00:08:39,252 --> 00:08:43,757 滝さんと僕にしかできひん どこにもない結婚生活ができるって➡ 111 00:08:43,757 --> 00:08:45,792 僕は 思うてます。 112 00:08:45,792 --> 00:08:53,500 ♬~ 113 00:08:55,268 --> 00:08:57,203 (梓)それが ねらいやな。 114 00:08:57,203 --> 00:09:00,106 えっ? お姉ちゃんを同席させたんは➡ 115 00:09:00,106 --> 00:09:02,075 お姉ちゃんを 味方に引き入れるためや。 116 00:09:02,075 --> 00:09:06,212 それには お姉ちゃんに 「キャッ すてき」て思わすのが一番やろ。 117 00:09:06,212 --> 00:09:10,884 はあ~ 「すてきや」て思てしもたわ。 118 00:09:10,884 --> 00:09:17,357 私やったら 即座に オーケーやけど お母ちゃまには 椿屋があるからな…。 119 00:09:17,357 --> 00:09:22,195 ええやないか… 椿屋なんか売り払うて 金にして 持参金にしたらええんや。 120 00:09:22,195 --> 00:09:26,900 そんな簡単なことやないわ。 決心さえしたら 簡単や。 121 00:09:26,900 --> 00:09:30,770 こんな 誇り高いだけの宿 俺 大っ嫌いや。 122 00:09:30,770 --> 00:09:34,474 京都の嫌なところが 凝縮してるわ。 123 00:09:41,081 --> 00:09:46,586 (水が流れる音) 124 00:09:52,592 --> 00:09:55,395 (春夫)滝さん…。 125 00:09:55,395 --> 00:09:59,599 愛子さん もう帰ったえ。 126 00:09:59,599 --> 00:10:02,902 何で 僕に「滝さん」て呼ばしたんや? 127 00:10:07,474 --> 00:10:38,304 ♬~(テレビ) 128 00:10:38,304 --> 00:10:41,307 (ドアが閉まる音) 129 00:10:41,307 --> 00:10:44,644 (愛子)ねえ お姉ちゃんのとこ行ってたの? 130 00:10:44,644 --> 00:10:48,515 ♬~(テレビ) 131 00:10:48,515 --> 00:10:51,818 みんな 何で 何にも言わないの…? 132 00:10:55,288 --> 00:11:00,293 <麻生先生は 翌日 神戸に帰らはった> 133 00:11:04,931 --> 00:11:09,235  回想 (麻生)来月 来る時には 返事を聞かせてください。 134 00:11:11,804 --> 00:11:18,511 ⚟(警笛と電車の走行音) 135 00:11:21,948 --> 00:11:23,983 これで失礼します。 136 00:11:23,983 --> 00:11:29,289 あっ… 疲れてるとこ 悪いんやけど 春夫さん 呼んできてくれへん? 137 00:11:29,289 --> 00:11:32,292 あっ… 何でしょう? 138 00:11:32,292 --> 00:11:37,163 あっ そや… 梓君も いたら 連れてきてちょうだい。 139 00:11:37,163 --> 00:11:39,632 何でしょう? 140 00:11:39,632 --> 00:11:43,503 呼んできてくれるの? くれへんの? 141 00:11:43,503 --> 00:11:46,206 分かりました。 142 00:12:03,823 --> 00:12:08,595 ☎ (ため息) 143 00:12:08,595 --> 00:12:10,530 はい…。 144 00:12:10,530 --> 00:12:13,933 ☎(滝乃)滝乃です。 もう寝てはりました? 145 00:12:13,933 --> 00:12:16,402 いや… 仕事してた。 146 00:12:16,402 --> 00:12:19,305 あっ… すみません お仕事中…。 147 00:12:19,305 --> 00:12:22,208 ☎(麻生)ええ話やったら ええけど…。 148 00:12:22,208 --> 00:12:27,146 先生 前に 私に言わはったこと 覚えてはります? 149 00:12:27,146 --> 00:12:32,852 覚えてるよ。 ☎(滝乃)もういっぺん聞きたいな…。 150 00:12:32,852 --> 00:12:34,821 どないしたんや? 151 00:12:34,821 --> 00:12:38,958 夢やないかと思て 自分のこと つねってみとなりますやろ? 152 00:12:38,958 --> 00:12:41,294 あんな感じどすやろか? 153 00:12:41,294 --> 00:12:43,963 僕の気持ちは変わらへんで。 154 00:12:43,963 --> 00:12:47,834 簡単に揺れるような気持ちで あんなことは言えへん。 155 00:12:47,834 --> 00:12:52,138 「あんなこと」て? ☎(麻生)えっ? 156 00:12:52,138 --> 00:12:56,643 もういっぺん言うとくれやす。 157 00:12:56,643 --> 00:13:00,380 ☎(麻生)滝さん 僕と結婚してください。 ⚟(足音) 158 00:13:00,380 --> 00:13:05,918 あっ あの… お客様が お呼びやわ。 すいません。 ほな また…。 159 00:13:05,918 --> 00:13:08,821 (春夫)どないしたんや? あっ 悪いな みんな…。 160 00:13:08,821 --> 00:13:11,791 座って…。➡ 161 00:13:11,791 --> 00:13:14,794 美月ちゃん ちょっと来て! 162 00:13:19,465 --> 00:13:23,936 何してんの?急用やて。 えっ? 163 00:13:23,936 --> 00:13:27,273 あっ…。 164 00:13:27,273 --> 00:13:32,278 3月で 椿屋 閉めることにしてん。 165 00:13:36,282 --> 00:13:41,287 愛子さん 長い間ありがとう。 166 00:13:43,156 --> 00:13:47,293 これ 受け取って。 167 00:13:47,293 --> 00:13:49,228 あっ 何でしょうか? 168 00:13:49,228 --> 00:13:52,432 (滝乃)あんたが 美月ちゃんと 少しでも一緒にいるために➡ 169 00:13:52,432 --> 00:13:57,270 「椿屋 手伝いたい」て言いだした時から ためたもんや。 170 00:13:57,270 --> 00:14:01,140 あの時 「給料は 一切 受け取らへん」て 言わはったし➡ 171 00:14:01,140 --> 00:14:05,378 愛子さんの母親としての意地も よう分かったさかい 黙ってたけど➡ 172 00:14:05,378 --> 00:14:09,582 これは あんたが働いた分や。 受け取ってちょうだい。 173 00:14:12,151 --> 00:14:16,122 どないしたんや? 何で やめんのや? 174 00:14:16,122 --> 00:14:18,624 結婚します。 175 00:14:23,596 --> 00:14:28,935 麻生祐二か? 何もかも捨てて 麻生祐二の嫁になんのか。 176 00:14:28,935 --> 00:14:30,937 あかん? 177 00:14:35,274 --> 00:14:37,944 椿屋は 私が継ぐ。 178 00:14:37,944 --> 00:14:41,280 椿屋を継ぐなんて ママは絶対に反対よ! 179 00:14:41,280 --> 00:14:43,282 ママは 逃げるとこもないのやで? 180 00:14:43,282 --> 00:14:45,952 オードリー…。 オードリーやない。 181 00:14:45,952 --> 00:14:48,621 私は椿屋の主人 美月や。 182 00:14:48,621 --> 00:14:52,925 美月ちゃん… お別れや。