1 00:01:24,440 --> 00:01:26,440 (マスター)いらっしゃいませ。 2 00:01:30,446 --> 00:01:32,446 どうぞ。 ああ…。 3 00:01:40,390 --> 00:01:42,392 何に致しましょうか? 4 00:01:42,392 --> 00:01:45,392 ああ… そうですね…。 5 00:01:50,400 --> 00:01:54,404 とにかく 安くて強い酒を 一杯だけ 頂けますか? 6 00:01:54,404 --> 00:01:56,404 かしこまりました。 7 00:02:00,410 --> 00:02:02,410 ハァー。 8 00:02:23,433 --> 00:02:27,433 お待たせしました。 どうも。 9 00:02:35,378 --> 00:02:37,378 マスター。 10 00:02:39,382 --> 00:02:42,385 神様って 不公平だと思いませんか? 11 00:02:42,385 --> 00:02:44,387 はっ? 12 00:02:44,387 --> 00:02:46,389 実は 僕 双子なんですけどね。 はい。 13 00:02:46,389 --> 00:02:51,394 不思議なことに 兄弟で ココがまるで違うんですよ。 14 00:02:51,394 --> 00:02:55,398 片方は秀才。 片方は鈍才。 15 00:02:55,398 --> 00:02:58,401 僕は どっちだと思いますか? 16 00:02:58,401 --> 00:03:00,403 秀才… ですか? 17 00:03:00,403 --> 00:03:02,405 ピンポン! 18 00:03:02,405 --> 00:03:05,408 …なわけ ないでしょう。 19 00:03:05,408 --> 00:03:07,410 ハァー。 20 00:03:07,410 --> 00:03:13,416 兄貴はね 幼稚園から高校まで ずーっと名門私立で 21 00:03:13,416 --> 00:03:15,418 東大出て 一流企業に就職。 22 00:03:15,418 --> 00:03:18,421 今や 海外勤務の幹部候補ですわ。 23 00:03:18,421 --> 00:03:22,425 エリート街道まっしぐらって やつです。 24 00:03:22,425 --> 00:03:25,428 それに比べて僕ときたら 25 00:03:25,428 --> 00:03:29,432 小中高と並の学校にしか入れず 26 00:03:29,432 --> 00:03:33,369 当然 大学も三流。 27 00:03:33,369 --> 00:03:37,373 二十歳ん時 親と大喧嘩しましてね 28 00:03:37,373 --> 00:03:40,376 家を飛び出したは いいものの 29 00:03:40,376 --> 00:03:44,380 だらしなく プータローになって 結局は実家に舞い戻る。 30 00:03:44,380 --> 00:03:48,384 で 親のスネを かじり続けて 今に至るって訳です。 31 00:03:48,384 --> 00:03:50,386 まあ エリート街道ならぬ 32 00:03:50,386 --> 00:03:52,388 ニート街道まっしぐらって やつですね! 33 00:03:52,388 --> 00:03:54,388 ハハハ…。 34 00:03:57,393 --> 00:04:01,397 ハァー。 親から 何度 言われた事か。 35 00:04:01,397 --> 00:04:06,402 どうして 二郎は お兄ちゃんとは違うんだ?って。 36 00:04:06,402 --> 00:04:10,406 ったく… それを言いたいのは こっちですよ。 37 00:04:10,406 --> 00:04:14,410 兄貴とは 元から 頭の出来が 全然違うんですからね。 38 00:04:14,410 --> 00:04:18,410 まったく不公平ですよ。 神様ってヤツは。 39 00:04:21,417 --> 00:04:23,417 ハァー。 40 00:04:26,422 --> 00:04:31,427 (メガネさん)つまり 「生まれつき頭の悪い人間は損だ」 41 00:04:31,427 --> 00:04:33,362 そういう事か? メガネさん ちょっと…。 42 00:04:33,362 --> 00:04:38,367 その通りですよ! 僕みたいにね! ハハハ…。 43 00:04:38,367 --> 00:04:43,372 お前は そういう考えだから プータローまっしぐらなんだよ。 44 00:04:43,372 --> 00:04:46,375 何だよ。 45 00:04:46,375 --> 00:04:51,380 お前 藤井の息子だろ。 46 00:04:51,380 --> 00:04:53,380 そうだけど。 47 00:04:55,384 --> 00:04:57,386 もしかして メガネのおじさん? 48 00:04:57,386 --> 00:04:59,388 お知り合いだったんですか? 49 00:04:59,388 --> 00:05:01,390 昔 こいつの親父と ちょっとな。 50 00:05:01,390 --> 00:05:04,393 その縁で ガキの頃から知ってんだ。 51 00:05:04,393 --> 00:05:07,396 久しぶりだな 二郎。 52 00:05:07,396 --> 00:05:10,399 どうも。 53 00:05:10,399 --> 00:05:16,399 確か お前ら兄弟が 中学生の時だったかな…。 54 00:05:18,407 --> 00:05:24,407 そう。 あれは まだ ほの暗い 夜も明けてない早朝の事だった。 55 00:05:26,415 --> 00:05:30,419 俺は 汗だくで 新聞配達をしている一郎 56 00:05:30,419 --> 00:05:33,356 お前の兄貴に会ったんだ。 57 00:05:33,356 --> 00:05:35,358 何ですか 急に。 58 00:05:35,358 --> 00:05:39,362 俺は 一郎に聞いた。 金に困ってんのか? 59 00:05:39,362 --> 00:05:41,364 だが 一郎は 「そうじゃない」と。 60 00:05:41,364 --> 00:05:43,366 俺は 聞いたよ。 61 00:05:43,366 --> 00:05:46,369 それなら なんで 新聞配達なんか やってるんだ? 62 00:05:46,369 --> 00:05:48,371 フッ。 63 00:05:48,371 --> 00:05:51,374 そしたら 一郎が 何て答えたと思う? 64 00:05:51,374 --> 00:05:56,379 はあ? 知りませんよ そんなの。 65 00:05:56,379 --> 00:06:00,383 責任感と早起きの習慣を つけたいから。 66 00:06:00,383 --> 00:06:06,389 そう言ったんだよ お前の兄貴は。 ハハハハ…。 67 00:06:06,389 --> 00:06:10,393 お前の兄貴はな 雨の日も雪の日も 68 00:06:10,393 --> 00:06:14,397 一日も欠かさず 新聞配達を やってたんだ! 69 00:06:14,397 --> 00:06:16,399 その間 お前 何してた? 70 00:06:16,399 --> 00:06:18,401 ふとんの中で ぬくぬく 寝てただけだろ! 71 00:06:18,401 --> 00:06:20,401 そうだろ!? 72 00:06:22,405 --> 00:06:27,410 そんなお前が 「生まれつき 頭の悪い人間は損だ」? 73 00:06:27,410 --> 00:06:30,413 ハッ ちゃんちゃら おかしいと 思わねえか? 74 00:06:30,413 --> 00:06:35,351 僕だってねぇ 頭が良ければ やる気ぐらい起きましたよ! 75 00:06:35,351 --> 00:06:39,355 二郎 一つ いい事を教えてやろう。 76 00:06:39,355 --> 00:06:43,359 一流企業が 何で 東大出を採るか 分かるか? 77 00:06:43,359 --> 00:06:47,363 決まってるでしょ。 頭がいい人間を欲しいからだ。 78 00:06:47,363 --> 00:06:49,365 もちろん それもある。 79 00:06:49,365 --> 00:06:51,367 だが それは 一面にすぎない。 80 00:06:51,367 --> 00:06:55,371 えっ? 考えてもみろ。 東大は狭き門。 81 00:06:55,371 --> 00:06:59,375 入るには すさまじい努力と やり抜く根性が必要だ。 82 00:06:59,375 --> 00:07:08,384 企業側はな 頭の良さより その強い精神力に ほれてんだよ。 83 00:07:08,384 --> 00:07:12,388 お説教は もう たくさんです。 マスター お勘定。 84 00:07:12,388 --> 00:07:14,390 ちょっと! 85 00:07:14,390 --> 00:07:18,394 マスター こいつに グレンフィディックを出してやってくれ。 86 00:07:18,394 --> 00:07:21,397 えっ? 87 00:07:21,397 --> 00:07:23,397 かしこまりました。 88 00:07:41,350 --> 00:07:44,350 グレンフィディック ストレートです。 89 00:07:47,356 --> 00:07:49,356 飲んでみろ。 90 00:07:51,360 --> 00:07:53,362 この酒が 何だって言うんですか。 91 00:07:53,362 --> 00:07:56,362 俺の おごりだ。 飲んだら帰っていい。 92 00:07:59,368 --> 00:08:01,368 ハァー。 93 00:08:03,372 --> 00:08:05,372 一杯だけですからね。 94 00:08:13,382 --> 00:08:17,382 どうだ? うまいだろ。 95 00:08:19,388 --> 00:08:22,391 そいつは 世界で一番売れてる シングルモルト。 96 00:08:22,391 --> 00:08:25,391 いわば 酒の中のエリートだ。 97 00:08:27,396 --> 00:08:30,399 エリート…。 98 00:08:30,399 --> 00:08:34,336 だがな グレンフィディックだって 99 00:08:34,336 --> 00:08:37,339 一朝一夕で エリートになった訳じゃない。 100 00:08:37,339 --> 00:08:40,342 そうだろ? マスター。 はい。 101 00:08:40,342 --> 00:08:43,345 創業は 1887年。 102 00:08:43,345 --> 00:08:47,349 二度の世界大戦と 世界恐慌などの影響で 103 00:08:47,349 --> 00:08:50,352 多くの蒸留所が 閉鎖に追い込まれていく中 104 00:08:50,352 --> 00:08:54,356 地道な努力によって 生産を伸ばしたのが 105 00:08:54,356 --> 00:08:57,356 このグレンフィディック蒸留所です。 106 00:08:59,361 --> 00:09:03,365 当時はブレンデッド専用だった このシングルモルトを 107 00:09:03,365 --> 00:09:07,369 世界で初めて プレミアムブランドとして 売り出した時も 108 00:09:07,369 --> 00:09:11,373 飲みにくいシングルモルトが 売れる訳はないと 109 00:09:11,373 --> 00:09:14,373 周囲から 失笑を買っていたそうですよ。 110 00:09:16,378 --> 00:09:19,381 それでも 地道に美味い酒を つくり続け 111 00:09:19,381 --> 00:09:22,384 必死に広告キャンペーンを 張り続けた事で 112 00:09:22,384 --> 00:09:25,387 世界一になったんだ。 113 00:09:25,387 --> 00:09:28,390 もちろん 今なお その努力は 続いてる。 114 00:09:28,390 --> 00:09:32,390 だからこそ エリートであり続けられるんだ。 115 00:09:34,330 --> 00:09:37,333 人間も酒も同じさ。 116 00:09:37,333 --> 00:09:42,333 水をやり続ける努力をしなきゃ 花は咲かないんだ。 117 00:09:45,341 --> 00:09:47,341 あっ…。 118 00:09:54,350 --> 00:10:00,356 今のお前に この酒を飲む資格はない。 119 00:10:00,356 --> 00:10:02,356 よく考えるんだな。 120 00:13:21,457 --> 00:13:23,459 (松ちゃん)へ~ そんなことが あったんだ。 121 00:13:23,459 --> 00:13:25,461 はい。 あの メガネさんが? 122 00:13:25,461 --> 00:13:27,463 ちょっと やり過ぎなんですけどね。 123 00:13:27,463 --> 00:13:31,463 でも メガネさんらしいよね。 ハハハ…。 124 00:13:36,472 --> 00:13:39,475 ああ 二郎さん いらっしゃい。 125 00:13:39,475 --> 00:13:42,478 こないだはどうも。 何か すいませんでした。 126 00:13:42,478 --> 00:13:44,480 いやいや こちらこそ。 127 00:13:44,480 --> 00:13:46,482 申し訳ありませんでした。 128 00:13:46,482 --> 00:13:50,486 メガネさん 普段は 無口な人なんですけどね…。 129 00:13:50,486 --> 00:13:53,489 君が 二郎君? 130 00:13:53,489 --> 00:13:55,491 あっ はい。 僕が 二郎です。 131 00:13:55,491 --> 00:13:57,493 双子のダメな方の。 132 00:13:57,493 --> 00:13:59,495 (2人)アハハハ…。 二郎さん。 133 00:13:59,495 --> 00:14:01,497 まあ でも あんまり 気にしないほうがいいよ。 134 00:14:01,497 --> 00:14:04,500 大体 メガネさんだって 東大 出てる訳じゃないんだから。 135 00:14:04,500 --> 00:14:06,502 そうなんですかね。 えっ? 136 00:14:06,502 --> 00:14:10,506 いや メガネのおじさんの 言うとおりです。 137 00:14:10,506 --> 00:14:13,509 ガツンとやられて 目が覚めました。 138 00:14:13,509 --> 00:14:15,511 いつまでもニートのままじゃ ダメだ。 139 00:14:15,511 --> 00:14:19,531 僕も兄貴のようになろうと 決心したんです! 140 00:14:19,531 --> 00:14:22,451 その意気ですよ。 141 00:14:22,451 --> 00:14:25,454 と そこまでは よかったんですがね。 142 00:14:25,454 --> 00:14:30,459 兄貴のような人間になるには もう 手遅れでした。 143 00:14:30,459 --> 00:14:33,462 いやいや そんなことは…。 いやいや そうなんです! 144 00:14:33,462 --> 00:14:36,465 僕なんかが 今から いくら努力したところで 145 00:14:36,465 --> 00:14:38,467 兄貴のようなエリートに なれる道は 146 00:14:38,467 --> 00:14:41,470 とっくの昔に 閉ざされてる。 147 00:14:41,470 --> 00:14:44,473 その現実が分かったんですよ。 148 00:14:44,473 --> 00:14:47,476 そんな事すら知らなかった 自分のバカさ加減に 149 00:14:47,476 --> 00:14:50,479 ビックリですけどね! アハハハ…。 150 00:14:50,479 --> 00:14:54,483 ハァー。 やっぱり こんな僕が頑張ったところで 151 00:14:54,483 --> 00:14:59,488 兄貴のような グレンフィディックのような男に 152 00:14:59,488 --> 00:15:01,490 なれるわけないんですよ。 153 00:15:01,490 --> 00:15:05,494 どうせ僕なんて その程度の男なんです。 154 00:15:05,494 --> 00:15:09,498 まっ よかったじゃない。 頑張り始める前に気付けてさ! 155 00:15:09,498 --> 00:15:12,501 これで また 悠々自適な ニート生活に戻れるわけだしね! 156 00:15:12,501 --> 00:15:14,503 ハハハハ…。 松ちゃん。 157 00:15:14,503 --> 00:15:16,503 あ… ごめん。 158 00:15:18,507 --> 00:15:21,443 ハァー。 159 00:15:21,443 --> 00:15:23,445 二郎さん。 160 00:15:23,445 --> 00:15:27,449 はい。 ここは バーです。 161 00:15:27,449 --> 00:15:31,449 人生を考えるには ピッタリの場所ですよ。 162 00:15:33,455 --> 00:15:35,457 お酒と時間は たっぷり ありますから。 163 00:15:35,457 --> 00:15:37,459 まあ とりあえず 一杯飲んで 164 00:15:37,459 --> 00:15:41,463 じっくりと 考えようじゃありませんか。 165 00:15:41,463 --> 00:15:44,466 はあ…。 166 00:15:44,466 --> 00:15:46,468 あ ちょっと! 167 00:15:46,468 --> 00:15:48,470 僕 グレンフィディックは 飲めませんよ。 168 00:15:48,470 --> 00:15:50,472 メガネさんに 怒られちゃいますから。 169 00:15:50,472 --> 00:15:54,476 今日 お出しするのは 弟のほうです。 170 00:15:54,476 --> 00:15:56,476 弟? 171 00:16:00,482 --> 00:16:03,482 こちら バルヴェニーです。 172 00:16:07,489 --> 00:16:10,492 バルヴェニーは グレンフィディックの隣にある 173 00:16:10,492 --> 00:16:14,496 第二蒸留所で作られている シングルモルトウイスキーなんですよ。 174 00:16:14,496 --> 00:16:17,496 第二だから 弟か。 175 00:16:34,449 --> 00:16:37,452 どうぞ。 176 00:16:37,452 --> 00:16:39,452 松ちゃんも どうぞ。 ありがとう。 177 00:16:43,458 --> 00:16:45,460 グレンフィディックと同じ原料 178 00:16:45,460 --> 00:16:48,463 同じ仕込み水を 使ってるんですけども 179 00:16:48,463 --> 00:16:50,465 製造方法の違いなどから 180 00:16:50,465 --> 00:16:52,467 全く違ったタイプのモルトに なってんですよ。 181 00:16:52,467 --> 00:16:55,470 グレンフィディックってのは 聞いたことあるけど 182 00:16:55,470 --> 00:16:57,472 バルヴェニーってのは 聞いたことないな。 183 00:16:57,472 --> 00:16:59,474 せっかくだから グレンフィディックも 頂戴よ。 184 00:16:59,474 --> 00:17:01,474 はいはい。 185 00:17:04,479 --> 00:17:06,481 グレンフィディックに比べると 186 00:17:06,481 --> 00:17:09,484 バルヴェニーは 生産量も少ないですし 187 00:17:09,484 --> 00:17:13,484 知名度は そう高いとは いえませんね。 188 00:17:19,511 --> 00:17:21,430 はい どうぞ。 189 00:17:21,430 --> 00:17:26,435 ハァー 世界一のグレンフィディックが 兄貴の一郎で 190 00:17:26,435 --> 00:17:30,439 地味なバルヴェニーが 弟の僕って訳ですか。 191 00:17:30,439 --> 00:17:35,444 フッ なるほど。 僕に ピッタリの酒だ。 192 00:17:35,444 --> 00:17:38,444 まっ とにかく 飲んでみてください。 193 00:17:40,449 --> 00:17:43,449 どうせ グレンフィディックより まずいんでしょ? 194 00:17:51,460 --> 00:17:53,460 おいしいでしょう? 195 00:17:55,464 --> 00:17:58,467 グレンフィディックのほうが 軽くて飲みやすかったです。 196 00:17:58,467 --> 00:18:02,471 でも この バルヴェニーのほうが 深みとコクがある気がします。 197 00:18:02,471 --> 00:18:04,473 おいしい…。 198 00:18:04,473 --> 00:18:08,473 どれどれ…。 グレンフィディック。 199 00:18:12,481 --> 00:18:14,481 うん うん。 200 00:18:20,422 --> 00:18:25,427 うん! 確かに グレンフィディックも おいしいけど 201 00:18:25,427 --> 00:18:27,429 バルヴェニーも 全然 負けてないよ! 202 00:18:27,429 --> 00:18:29,431 どっちも おいしい。 203 00:18:29,431 --> 00:18:32,434 常に脚光を浴びてきた 華々しい兄に比べると 204 00:18:32,434 --> 00:18:35,437 バルヴェニーは 物静かで目立たない 205 00:18:35,437 --> 00:18:39,441 まあ 地味な弟と いえるかもしれません。 206 00:18:39,441 --> 00:18:43,445 でも 「真の愛好家は バルヴェニーこそ 愛す」 207 00:18:43,445 --> 00:18:47,445 と言う人がいるほど とても愛されてる酒なんですよ。 208 00:18:56,458 --> 00:19:00,462 きっと 偉大な兄の真似事じゃなく 209 00:19:00,462 --> 00:19:05,462 別の頂を目指したからこそ 辿り着けた境地なんだろうね。 210 00:19:07,469 --> 00:19:11,473 さすがは 松ちゃん たまには いい事 言いますね。 211 00:19:11,473 --> 00:19:13,473 「たまには」は 余計でしょ。 212 00:19:15,477 --> 00:19:17,477 そうか…。 213 00:19:19,498 --> 00:19:23,418 なにも 兄貴のようなエリートに ならなくていい。 214 00:19:23,418 --> 00:19:26,421 僕は 僕だ。 215 00:19:26,421 --> 00:19:28,423 僕にしかなれない人間に なればいい。 216 00:19:28,423 --> 00:19:31,426 そういうことですね! 217 00:19:31,426 --> 00:19:33,426 はい。 218 00:19:41,436 --> 00:19:43,438 決めました。 219 00:19:43,438 --> 00:19:45,440 僕は 僕にしかなれない人間 220 00:19:45,440 --> 00:19:49,444 バルヴェニーのような人間に 必ず なってみせます! 221 00:19:49,444 --> 00:19:51,446 その意気ですよ。 222 00:19:51,446 --> 00:19:55,450 ハハハ… よ~し そうと決まれば 今日は乾杯だ! 223 00:19:55,450 --> 00:19:58,453 とことん 飲もうよ! 飲み過ぎないでくださいよ。 224 00:19:58,453 --> 00:20:00,455 今日は いいの。 はいはい もう一杯 飲もうよ。 225 00:20:00,455 --> 00:20:02,457 いただきます! ついで ついで! 226 00:20:02,457 --> 00:20:05,460 よ~し! 今日は 僕が二郎さんに おごっちゃう! 227 00:20:05,460 --> 00:20:07,462 (二郎)いいんですか!? うん! 228 00:20:07,462 --> 00:20:11,466 (二郎)ありがとうございます! でも… 3… 4杯までね 4杯。 229 00:20:11,466 --> 00:20:13,468 (二郎)はい。 はい。 いただきます! 230 00:20:13,468 --> 00:20:15,470 (二郎)ありがとうございます! よ~し 乾杯 乾杯! 231 00:20:15,470 --> 00:20:17,470 (二郎)はい。 232 00:20:30,419 --> 00:20:33,419 早いねえ。 もう 桜の季節か。 233 00:20:35,424 --> 00:20:39,428 出会いと別れ そして旅立ちの季節だな。 234 00:20:39,428 --> 00:20:42,431 ですよねぇ…。 235 00:20:42,431 --> 00:20:46,435 何 にやにやしてんの? 気持ち悪いよ。 236 00:20:46,435 --> 00:20:51,440 実は 今日 二郎さんから 届け物があったんですよ。 237 00:20:51,440 --> 00:20:55,440 二郎さんって 双子のダメな弟のほう? 238 00:21:10,459 --> 00:21:12,461 これです。 239 00:21:12,461 --> 00:21:15,464 これって…。 ぐい飲みか…。 240 00:21:15,464 --> 00:21:19,484 はい。 何? どういうこと? 241 00:21:19,484 --> 00:21:22,484 同封されてた手紙を 読みますね。 242 00:21:26,408 --> 00:21:31,413 マスター 松田さん そしてメガネのおじさん 243 00:21:31,413 --> 00:21:33,415 お元気ですか? 244 00:21:33,415 --> 00:21:38,420 今 僕は 九州にいます。 九州!? 245 00:21:38,420 --> 00:21:43,425 皆さんのお陰で ようやく 自分が 夢中になれるものを…。 246 00:21:43,425 --> 00:21:45,427 (二郎)見つけることが できました。 247 00:21:45,427 --> 00:21:49,427 それは 焼き物だったのです。 248 00:21:51,433 --> 00:21:56,438 毎日 泥と汗にまみれながら 必死に頑張っています。 249 00:21:56,438 --> 00:22:00,442 やっぱり 僕には そういうのが 合ってたみたいです。 250 00:22:00,442 --> 00:22:05,447 ここに来て 改めて分かった事があります。 251 00:22:05,447 --> 00:22:11,453 どんなに見事な焼き物も 最初は ただの泥にすぎません。 252 00:22:11,453 --> 00:22:15,457 あの頃の僕と同じように。 253 00:22:15,457 --> 00:22:18,460 あの時 メガネさんが 強引に 254 00:22:18,460 --> 00:22:21,460 泥の中から 引っ張り上げてくれなければ…。 255 00:22:28,403 --> 00:22:33,403 松田さんが 優しく練り上げてくれなければ…。 256 00:22:38,413 --> 00:22:41,416 そして マスターが 257 00:22:41,416 --> 00:22:45,416 繊細かつ あたたかいタッチで 形作ってくれなければ…。 258 00:22:55,430 --> 00:23:01,436 僕は今もまだ ただの泥のままだったと思います。 259 00:23:01,436 --> 00:23:06,441 お送りしたのは 僕が初めて焼いた ぐい飲みです。 260 00:23:06,441 --> 00:23:09,444 僕と同じで まだ不格好ですが 261 00:23:09,444 --> 00:23:13,448 末永く愛して頂けたら 嬉しいです。 262 00:23:13,448 --> 00:23:20,455 それでは皆さん また会う日まで。 二郎より。 263 00:23:20,455 --> 00:23:24,455 ついに見つけたか。 あいつのバルヴェニーを。 264 00:23:30,465 --> 00:23:34,469 マスター。 はい バルヴェニーですね? 265 00:23:34,469 --> 00:23:37,469 僕も! はい。 266 00:23:58,493 --> 00:24:00,495 どうぞ。 267 00:24:00,495 --> 00:24:02,495 どうぞ。 268 00:24:04,499 --> 00:24:06,501 それでは 皆さん。 269 00:24:06,501 --> 00:24:09,504 二郎さんの旅立ちを祝って。 270 00:24:09,504 --> 00:24:11,504 (3人)乾杯! 271 00:24:18,513 --> 00:24:20,448 焼き物とウイスキーって 合うんだね。 272 00:24:20,448 --> 00:24:23,448 合いますね。 うまい。 273 00:27:22,397 --> 00:27:25,400 どうも。 フリーライターの松ちゃんです。 274 00:27:25,400 --> 00:27:27,402 今夜 僕が訪れるのは 275 00:27:27,402 --> 00:27:32,402 下町情緒漂う レトロな香りの残る街…。 276 00:27:35,410 --> 00:27:37,412 駅から徒歩1分。 277 00:27:37,412 --> 00:27:41,412 路地裏に連なるネオンの中に 渋い たたずまいのBARが…。 278 00:27:43,418 --> 00:27:46,418 ラテン語で 「ここだ!」という意味。 279 00:27:48,423 --> 00:27:52,427 それでは おばんでや~す! 280 00:27:52,427 --> 00:27:56,431 ん? うわうわ… な… 何これ。 281 00:27:56,431 --> 00:28:03,438 扉を入ると鉄格子の向こうに ブラック&ホワイトのボトルが ぎっしり。 282 00:28:03,438 --> 00:28:06,441 カウンターは この奥かな? 283 00:28:06,441 --> 00:28:10,441 秘密基地に潜入する気分で ワクワクであります。 284 00:28:12,380 --> 00:28:17,385 いらっしゃいませ。 どうぞ こちらのお席。 285 00:28:17,385 --> 00:28:21,385 おお。 マスター 大ベテランの風格。 286 00:28:24,392 --> 00:28:26,394 マスターの渡辺昭男さん。 287 00:28:26,394 --> 00:28:28,396 御年81歳! 288 00:28:28,396 --> 00:28:31,399 バーテンダー歴 なんと62年! 289 00:28:31,399 --> 00:28:34,402 す すごい…。 290 00:28:34,402 --> 00:28:38,406 三島由紀夫も通ったという 湯島の老舗バー 琥珀で 291 00:28:38,406 --> 00:28:41,409 チーフバーテンダーを務め 292 00:28:41,409 --> 00:28:45,409 42年前に この店を開店しました。 293 00:28:53,421 --> 00:28:56,424 スイスの山小屋を参考に 造られたという店内は 294 00:28:56,424 --> 00:29:02,430 渡辺さんのこだわりが たくさん詰まっています。 295 00:29:02,430 --> 00:29:04,432 木の温かみを出すために 296 00:29:04,432 --> 00:29:10,438 自ら 大量の柱を 一本一本 バーナーで黒く焦がしたり 297 00:29:10,438 --> 00:29:12,373 古い味わいを出すために 298 00:29:12,373 --> 00:29:17,378 黒褐色のレンガを集めて 壁を作りました。 299 00:29:17,378 --> 00:29:23,384 あれ? ブラック&ホワイトの あの犬のマークが こんな所にも。 300 00:29:23,384 --> 00:29:25,386 開店当時 お金がなく 301 00:29:25,386 --> 00:29:28,389 バックバーに並べるお酒が 買えずに 困っていた時 302 00:29:28,389 --> 00:29:31,392 ブラック&ホワイトを 輸入していた常連さんが 303 00:29:31,392 --> 00:29:34,392 ボトルを たくさん貸し出して 助けてくれました。 304 00:29:39,400 --> 00:29:41,402 以来 感謝の気持ちを込めて 305 00:29:41,402 --> 00:29:48,409 入り口に 200本ものボトルを 飾ることにしたそうです。 306 00:29:48,409 --> 00:29:51,412 いや~ 62年間も バーテンダーをしているって 307 00:29:51,412 --> 00:29:53,414 相当 すごいことですけど 308 00:29:53,414 --> 00:29:57,418 これだけ長く続けてこれた 秘訣って ありますか? 309 00:29:57,418 --> 00:30:00,421 うーん これねぇ…。 310 00:30:00,421 --> 00:30:03,424 お客様の優しさかなぁ。 311 00:30:03,424 --> 00:30:07,428 励ましてくださいましたもんねぇ。 312 00:30:07,428 --> 00:30:10,431 辛いだろうということを もう見越して 313 00:30:10,431 --> 00:30:15,370 お客様の方から いろんな言葉をかけてくれる。 314 00:30:15,370 --> 00:30:20,375 お客様からも たくさん 元気もらってます。 315 00:30:20,375 --> 00:30:24,379 だから この年になっても カウンターに立ってられるかなって 316 00:30:24,379 --> 00:30:27,379 自分で 最近 思うようになったんですけどね。 317 00:30:29,384 --> 00:30:32,387 いつも お客さんに 助けられてきたという渡辺さん。 318 00:30:32,387 --> 00:30:34,389 この仕事の好きなところは 319 00:30:34,389 --> 00:30:40,395 何よりも お客さんにパワーを もらえることだと言います。 320 00:30:40,395 --> 00:30:43,398 そんな渡辺さんが バーテンダーとして 321 00:30:43,398 --> 00:30:45,400 最も心掛けているのは 322 00:30:45,400 --> 00:30:49,400 お客さん 一人一人の好みに 合わせた味を作ること。 323 00:30:51,406 --> 00:30:54,409 ドライな味を好む 常連さんのために考案したという 324 00:30:54,409 --> 00:30:59,409 オリジナルカクテル ダイキリ・スペシャルを 作っていただきます。 325 00:31:01,416 --> 00:31:05,416 まず ライムを絞って シェーカーに入れ…。 326 00:31:22,370 --> 00:31:24,370 シェークして…。 327 00:31:30,378 --> 00:31:32,380 完成。 328 00:31:32,380 --> 00:31:35,380 ダイキリ・スペシャルで ございます。 329 00:31:39,387 --> 00:31:41,389 キリッとした辛口の 330 00:31:41,389 --> 00:31:45,389 ちょっぴり刺激が強い 大人のカクテル…。 331 00:31:48,396 --> 00:31:51,399 本来のダイキリは ホワイトラムに ライムジュース 332 00:31:51,399 --> 00:31:55,399 そこに砂糖を加えてシェークする スタンダードカクテル。 333 00:31:57,405 --> 00:32:00,408 渡辺さんのダイキリ・スペシャルは 334 00:32:00,408 --> 00:32:04,412 砂糖の代わりに アルコール度数75.5度のラム 335 00:32:04,412 --> 00:32:09,417 レモンハート・デメララを使い 切れ味よく仕上げています。 336 00:32:09,417 --> 00:32:13,354 お客様の舌を探るというのも 大事なことなんですよね。 337 00:32:13,354 --> 00:32:17,358 カクテルブックどおりじゃね。 338 00:32:17,358 --> 00:32:22,363 やっぱり舌を探って お客様に合わせてお作りする。 339 00:32:22,363 --> 00:32:24,365 もし そこで 喜んでいただければ 340 00:32:24,365 --> 00:32:28,369 もう こんな嬉しいことは ないんで。 341 00:32:28,369 --> 00:32:31,369 ほんとに嬉しいです それは。 342 00:32:33,374 --> 00:32:38,379 一度訪れたら 誰もがマスターの ファンになること 間違いなし。 343 00:32:38,379 --> 00:32:41,379 わざわざ訪ねてでも 行きたい名店 BAR… 。 344 00:35:20,374 --> 00:35:26,380 (着信音) 345 00:35:26,380 --> 00:35:29,383 (マスター)はい もしもし。 BAR レモンハートでございます。 346 00:35:29,383 --> 00:35:31,385 (松ちゃん)もしもし。 松田です。 347 00:35:31,385 --> 00:35:33,387 ああ 松ちゃん。 どうしました? 348 00:35:33,387 --> 00:35:36,390 マスター 悪いね。 ちょっと 遅れそうなんだ。 349 00:35:36,390 --> 00:35:40,394 ああ。 席 大丈夫ですよ。 どうしました? 350 00:35:40,394 --> 00:35:42,396 ちょっと 道に迷っちゃって。 351 00:35:42,396 --> 00:35:44,398 えっ? どういうことですか? 352 00:35:44,398 --> 00:35:47,401 ああ… そっちは反対方向だよ! 353 00:35:47,401 --> 00:35:49,403 歩道橋も渡らない! 354 00:35:49,403 --> 00:35:51,405 大丈夫ですか? 355 00:35:51,405 --> 00:35:53,407 ん? 松ちゃん? もしもし? 356 00:35:53,407 --> 00:35:56,410 あっ ああ! 叔父さん! ちょっ…。 357 00:35:56,410 --> 00:36:01,415 (不通音) 358 00:36:01,415 --> 00:36:05,419 切れちゃいました。 (メガネさん)どうしたんだ? 359 00:36:05,419 --> 00:36:08,422 何か 道に迷って 遅れるそうですよ。 360 00:36:08,422 --> 00:36:11,425 フッ いまさら 道に迷うって どういうことだ? 361 00:36:11,425 --> 00:36:13,427 そうですね どうしたんでしょうね。 362 00:36:13,427 --> 00:36:15,446 今日は 叔父さんと来ると 言ってましたけどね。 363 00:36:15,446 --> 00:36:17,365 叔父さん。 はい。 364 00:36:17,365 --> 00:36:20,368 松ちゃんの お父さんの弟さんです。 365 00:36:20,368 --> 00:36:24,372 新聞記者をしていて 何でも かなりの へそ曲がりで 366 00:36:24,372 --> 00:36:27,375 ちょっと 変わりもんだそうです。 367 00:36:27,375 --> 00:36:29,377 多少の変わり者じゃ驚かない。 368 00:36:29,377 --> 00:36:32,380 何せ この店には そういうやつばかり集まるからな。 369 00:36:32,380 --> 00:36:34,382 メガネさんを筆頭にね。 370 00:36:34,382 --> 00:36:38,386 フフ… マスターが 呼び寄せてるんだろ? 371 00:36:38,386 --> 00:36:40,386 ハハハ…。 372 00:36:49,397 --> 00:36:51,399 それにしても 遅いですね。 373 00:36:51,399 --> 00:36:53,401 ああ。 374 00:36:53,401 --> 00:36:57,405 マスター。 松ちゃん どうして そこから。 375 00:36:57,405 --> 00:37:00,408 誰かさんが 正面の入り口から 入りたくないって言うんだもん。 376 00:37:00,408 --> 00:37:02,410 えっ? 当たりめえだ。 377 00:37:02,410 --> 00:37:04,412 何が楽しくって 正面から入るんだ。 378 00:37:04,412 --> 00:37:07,415 俺は 普通のことは したくねえんだ。 379 00:37:07,415 --> 00:37:09,417 ああ。 紹介します。 こちら 叔父の…。 380 00:37:09,417 --> 00:37:13,421 松田 一郎だ。 一郎ったってな 長男じゃねえぞ。 381 00:37:13,421 --> 00:37:15,389 三男だ。 ああ…。 382 00:37:15,389 --> 00:37:18,259 叔父さん。 ようやく バーに着いたんだから 383 00:37:18,259 --> 00:37:20,259 まあ 座ったら? 断る。 384 00:37:22,263 --> 00:37:24,263 まずは 便所だ。 385 00:37:26,267 --> 00:37:29,270 あっ お客さま お手洗いは こちらです。 386 00:37:29,270 --> 00:37:31,270 俺は 公園の便所しか 使わねえんだ。 387 00:37:33,274 --> 00:37:36,277 (ドアの開閉音) 388 00:37:36,277 --> 00:37:38,277 ハァ~。 389 00:37:40,281 --> 00:37:43,284 噂以上だな。 ええ…。 390 00:37:43,284 --> 00:37:45,286 ごめんね マスター。 いやいや。 391 00:37:45,286 --> 00:37:47,288 叔父さんのへそ曲がりは 並大抵じゃないんだ。 392 00:37:47,288 --> 00:37:50,291 ホント マスターに 直してもらいたいぐらいだよ。 393 00:37:50,291 --> 00:37:52,293 ハハハ…。 さっきもさ 394 00:37:52,293 --> 00:37:54,295 俺は 真っすぐな道は 嫌いなんだ!っつって 395 00:37:54,295 --> 00:37:56,297 曲がりくねった道 ドンドン 行っちゃって 396 00:37:56,297 --> 00:37:58,299 それで 迷ったんですか。 397 00:37:58,299 --> 00:38:00,301 10分で着くところが 1時間もかかったよ。 398 00:38:00,301 --> 00:38:02,303 はあ…。 しかし なぜ 399 00:38:02,303 --> 00:38:04,305 曲がりくねった道が 好きなんだ? 400 00:38:04,305 --> 00:38:07,308 さあ 知りたくもないね。 401 00:38:07,308 --> 00:38:11,312 どうせ 大した理由なんてない。 ただの気まぐれに決まってるよ。 402 00:38:11,312 --> 00:38:15,316 まったく… 付き合わされる こっちの身にも なってほしいよ。 403 00:38:15,316 --> 00:38:17,351 (一郎)浅い! 404 00:38:17,351 --> 00:38:20,354 お前の考え方は いつも ホントに浅い。 405 00:38:20,354 --> 00:38:22,356 見損なったぞ。 406 00:38:22,356 --> 00:38:27,361 それに比べて そちらのお兄さん なかなか イケてるじゃないか。 407 00:38:27,361 --> 00:38:29,363 店の中だというのに トレンチコートを着て 408 00:38:29,363 --> 00:38:32,366 夜だというのに サングラスをかけて。 409 00:38:32,366 --> 00:38:36,370 いい味 出してるね。 俺のモットーなんでね。 410 00:38:36,370 --> 00:38:38,372 言うことも 俺と そう違わねえ。 411 00:38:38,372 --> 00:38:41,375 じゃあ なぜ 俺が 曲がりくねった道が好きなのか。 412 00:38:41,375 --> 00:38:47,381 それは… それが 俺の 人生哲学だからさ。 413 00:38:47,381 --> 00:38:49,383 人生哲学? 414 00:38:49,383 --> 00:38:51,385 曲がりくねった道は 俺の人生に そっくりだ。 415 00:38:51,385 --> 00:38:55,389 山あり谷あり。 階段なんかあると なおさら いい。 416 00:38:55,389 --> 00:38:57,391 だから 歩道橋も好きなんだ。 417 00:38:57,391 --> 00:39:01,395 叔父さんは 歩道橋を見つけると 必ず渡るくせがあるんだよ。 418 00:39:01,395 --> 00:39:06,400 歩道橋というのは 曲がる角が 2カ所ある。 419 00:39:06,400 --> 00:39:08,402 俺は この角を曲がるときに すーっと 420 00:39:08,402 --> 00:39:10,404 ストレスが消えていくんだ。 421 00:39:10,404 --> 00:39:13,407 それは 変わった嗜好ですね。 ハハハ。 422 00:39:13,407 --> 00:39:17,344 よし。 イケてる兄さんに 俺のお気に入りを見せてやろう。 423 00:39:17,344 --> 00:39:21,348 また それ? 俺の一番のお気に入りだ。 424 00:39:21,348 --> 00:39:24,348 そう簡単には 手放さねえぞ。 425 00:39:26,353 --> 00:39:31,358 これは…。 あっ 左回りですね。 426 00:39:31,358 --> 00:39:34,361 逆方向に時を刻むってことか。 427 00:39:34,361 --> 00:39:37,364 いや~ これを見つけたときは 俺は うれしかったね。 428 00:39:37,364 --> 00:39:40,367 世の中に 俺と同じ考え方を するやつが いるんだと思ってね。 429 00:39:40,367 --> 00:39:43,370 ヘヘヘ…。 430 00:39:43,370 --> 00:39:46,373 それにしても このレモンハートというのは…。 431 00:39:46,373 --> 00:39:49,376 いいお店でしょ? どこが? 432 00:39:49,376 --> 00:39:51,378 まるで普通のバーじゃないか。 433 00:39:51,378 --> 00:39:53,380 いや こんなに お酒のある店は そうないよ。 434 00:39:53,380 --> 00:39:55,380 バーってのは 酒があるんだよ。 435 00:39:57,384 --> 00:40:00,387 あっ… 叔父さんと来ると 必ず こうなるんだよ。 436 00:40:00,387 --> 00:40:02,389 並の へそ曲がりじゃないから。 437 00:40:02,389 --> 00:40:04,391 マスター 気 悪くしないでね。 438 00:40:04,391 --> 00:40:07,394 いや お客さんを相手にする 商売ですから。 439 00:40:07,394 --> 00:40:10,397 心配 いりませんよ。 440 00:40:10,397 --> 00:40:12,399 何だ このカウンターは。 441 00:40:12,399 --> 00:40:14,401 真っすぐってのが 気に入らねえな。 442 00:40:14,401 --> 00:40:18,339 俺はな こう円を描くような この 曲がりくねった… 443 00:40:18,339 --> 00:40:20,341 波打つようなカウンターが 好きなんだよ。 444 00:40:20,341 --> 00:40:24,345 それに あの ボックスシート。 あれも 普通だよ。 445 00:40:24,345 --> 00:40:26,347 普通のテーブルに 普通のソファ。 446 00:40:26,347 --> 00:40:28,349 どこにでもある光景だよ。 447 00:40:28,349 --> 00:40:31,352 あの電話。 このドア。 448 00:40:31,352 --> 00:40:33,354 みんな 普通だよ。 449 00:40:33,354 --> 00:40:35,356 この照明も 店の雰囲気も。 450 00:40:35,356 --> 00:40:37,358 マスターなんか 一番 面白くないよ! 451 00:40:37,358 --> 00:40:39,360 お客さま。 何だよ。 452 00:40:39,360 --> 00:40:43,360 客商売だから 気分を害さないんじゃないのかよ。 453 00:40:46,367 --> 00:40:48,435 お酒! お酒。 454 00:40:48,435 --> 00:40:50,371 やだな。 せっかくバーに来たのに 455 00:40:50,371 --> 00:40:53,374 まだ 一滴も飲んでないよ ハハハ…。 456 00:40:53,374 --> 00:40:55,376 お薦めは 何なんだよ。 457 00:40:55,376 --> 00:40:57,378 スコッチモルトの珍しいのが いっぱいあるよ。 458 00:40:57,378 --> 00:41:00,381 スコッチは飲まねえ。 少っちも? 459 00:41:00,381 --> 00:41:03,384 ありきたりのシャレは やめろ。 まったくだ。 460 00:41:03,384 --> 00:41:05,386 じゃ カクテルは? 461 00:41:05,386 --> 00:41:08,389 マスターのつくるマティーニは 絶品だよ。 462 00:41:08,389 --> 00:41:10,391 俺は カクテルは嫌いだ。 463 00:41:10,391 --> 00:41:13,394 ん~ じゃあ ブランデーは? 珍しいのがあるんだよ。 464 00:41:13,394 --> 00:41:16,330 カッコつけて ブランデー 飲むような人生は 送ってねえ。 465 00:41:16,330 --> 00:41:19,333 じゃあ 僕と同じ ウイスキーの ウーロン茶割りにする? 466 00:41:19,333 --> 00:41:23,337 お前みたいな単細胞が飲む酒が 飲めるか。 467 00:41:23,337 --> 00:41:26,340 じゃあ 叔父さんは 何が飲みたいのよ。 468 00:41:26,340 --> 00:41:28,342 そうだな…。 469 00:41:28,342 --> 00:41:30,344 う~ん。 470 00:41:30,344 --> 00:41:34,348 俺は コーンウイスキーだ。 471 00:41:34,348 --> 00:41:36,350 コーンウイスキーを ロックでくれ。 472 00:41:36,350 --> 00:41:38,350 かしこまりました。 473 00:41:43,357 --> 00:41:47,361 こちら プラットバレーは いかがでしょう。 474 00:41:47,361 --> 00:41:49,363 フフフ… やっぱり これが出たか。 475 00:41:49,363 --> 00:41:51,365 コーンウイスキーが 好きだと言うと 476 00:41:51,365 --> 00:41:56,370 必ず このプラットバレーを 出す店が 多いんだよな。 477 00:41:56,370 --> 00:42:00,374 まあ いいや これでいい。 飲んでやるよ。 478 00:42:00,374 --> 00:42:04,378 少々 お待ちください。 別のものを お出しします。 479 00:42:04,378 --> 00:42:09,383 まさか メロウコーンじゃないよな。 480 00:42:09,383 --> 00:42:11,385 次のっていうと 必ず 481 00:42:11,385 --> 00:42:14,388 メロウコーンを出す店が 多いんだよな。 482 00:42:14,388 --> 00:42:17,324 ごめんね マスター。 叔父さんって ワガママなんだ。 483 00:42:17,324 --> 00:42:20,327 俺は ワガママじゃねえ。 へそ曲がりだ。 484 00:42:20,327 --> 00:42:22,329 自分で言ってりゃ 世話ないよ。 485 00:42:22,329 --> 00:42:26,333 言っとくけどな ワガママには ポリシーはないが 486 00:42:26,333 --> 00:42:29,336 へそ曲がりには ちゃんと ポリシーがあるんだよ。 487 00:42:29,336 --> 00:42:32,339 妙な説得力だ。 488 00:42:32,339 --> 00:42:37,339 分かりました。 一郎さんに ピッタリのお酒を出します。 489 00:42:43,350 --> 00:42:46,353 こちら ジョージア・ムーンです。 490 00:42:46,353 --> 00:42:48,355 えっ!? 何これ。 491 00:42:48,355 --> 00:42:51,358 変な瓶に入ってるし 色も透明だよ。 492 00:42:51,358 --> 00:42:54,361 正真正銘 コーンウイスキーです。 493 00:42:54,361 --> 00:42:57,364 そもそも コーンウイスキーというのは 494 00:42:57,364 --> 00:43:00,367 連邦アルコール法で定めた 製法に従って つくられた 495 00:43:00,367 --> 00:43:02,369 アメリカンウイスキーなんです。 496 00:43:02,369 --> 00:43:05,372 原料には コーン まあ つまり トウモロコシを 497 00:43:05,372 --> 00:43:07,374 80%以上 使うこととか 498 00:43:07,374 --> 00:43:10,377 規定の樽で熟成させなければ いけないとか 499 00:43:10,377 --> 00:43:14,381 コーンウイスキーと呼ばれるための 条件が いくつかあります。 500 00:43:14,381 --> 00:43:17,317 いや~ 悪くない。 この瓶の形が気に入った。 501 00:43:17,317 --> 00:43:20,320 まるで マヨネーズの瓶だ。 502 00:43:20,320 --> 00:43:23,323 このラベルの文字は いかがでしょう。 503 00:43:23,323 --> 00:43:26,326 いや… 俺は 英語は読まねえ主義だ。 504 00:43:26,326 --> 00:43:29,329 「Less than 30 days old」 つまり…。 505 00:43:29,329 --> 00:43:32,332 製造から 30日以下。 506 00:43:32,332 --> 00:43:35,335 30日以下? そうなんです。 507 00:43:35,335 --> 00:43:37,337 このバックバーを見てください。 508 00:43:37,337 --> 00:43:44,344 ボトルに 12年 17年 21年 30年と 509 00:43:44,344 --> 00:43:47,347 誇らしげにビンテージを 表示しているのが 510 00:43:47,347 --> 00:43:49,349 普通のボトルなんです。 511 00:43:49,349 --> 00:43:51,351 ところが このジョージア・ムーンは 512 00:43:51,351 --> 00:43:54,354 製造から たった30日しか たっていないということを 513 00:43:54,354 --> 00:43:58,358 わざわざ表示して 熟成の短さを自慢してるんです。 514 00:43:58,358 --> 00:44:00,360 いや そいつは おもしれえな。 515 00:44:00,360 --> 00:44:03,363 だから ウイスキーなのに 無色透明なのか。 516 00:44:03,363 --> 00:44:07,367 じゃあ このジョージア・ムーン っていうのは どういう意味なの? 517 00:44:07,367 --> 00:44:11,371 ここに 「Shine On Georgia Moon」 と 書いてありますね。 518 00:44:11,371 --> 00:44:14,374 ジョージアの月明かり って意味だ。 519 00:44:14,374 --> 00:44:18,312 1920年代 アメリカの禁酒法時代ですね 520 00:44:18,312 --> 00:44:21,315 そのころ このお酒は 521 00:44:21,315 --> 00:44:24,318 月明かりの下で つくっていたそうです。 522 00:44:24,318 --> 00:44:26,320 何で また? 523 00:44:26,320 --> 00:44:31,325 お酒が禁止されている時代に 暗がりでつくるといえば? 524 00:44:31,325 --> 00:44:34,328 密造酒!? 525 00:44:34,328 --> 00:44:38,332 その通りです。 ですから お酒だとバレないように 526 00:44:38,332 --> 00:44:41,335 こんな瓶に入れたんでしょうね。 527 00:44:41,335 --> 00:44:46,340 熟成の短さを自慢したり 月明かりの下でつくったり 528 00:44:46,340 --> 00:44:48,342 お酒とは思えない姿をしていたり 529 00:44:48,342 --> 00:44:50,344 つまり このジョージア・ムーンというのは 530 00:44:50,344 --> 00:44:54,348 とーっても へそ曲がりなお酒なんですね。 531 00:44:54,348 --> 00:44:56,350 ハハハ…。 532 00:44:56,350 --> 00:44:58,352 いや~ こいつは すげえや。 533 00:44:58,352 --> 00:45:01,355 こいつを つくったやつは 俺より 数段 へそ曲がりだ。 534 00:45:01,355 --> 00:45:04,358 こりゃ 恐れ入谷の鬼子母神だ。 いや 参った。 535 00:45:04,358 --> 00:45:07,361 お飲みになりますか? ああ もちろんだ。 536 00:45:07,361 --> 00:45:09,363 どんな味かが 楽しみだ。 537 00:45:09,363 --> 00:45:11,365 本当に お飲みになりますか? 538 00:45:11,365 --> 00:45:14,368 しつこいよ! 飲むっつったら 飲む。 539 00:45:14,368 --> 00:45:16,370 では…。 540 00:45:16,370 --> 00:45:20,374 お出しするのを やめます。 えっ!? 541 00:45:20,374 --> 00:45:22,376 私も 実は へそ曲がりでして 542 00:45:22,376 --> 00:45:24,378 飲みたいと言われますと 543 00:45:24,378 --> 00:45:27,381 お出しするのが 嫌になる性分なんです。 544 00:45:27,381 --> 00:45:29,381 えっ? 545 00:45:31,385 --> 00:45:34,388 マスター。 ジョージア・ムーンを ロックでくれ。 546 00:45:34,388 --> 00:45:37,388 僕も飲みたい! かしこまりました。 547 00:45:51,405 --> 00:45:53,405 どうぞ。 548 00:45:55,409 --> 00:45:57,409 どうぞ。 549 00:46:00,414 --> 00:46:03,417 うっ… すごい。 550 00:46:03,417 --> 00:46:06,417 相変わらず 強烈なコーンの香りだ。 551 00:46:12,426 --> 00:46:15,445 ん… 何これ。 552 00:46:15,445 --> 00:46:18,365 あ~。 荒々しいだろう。 553 00:46:18,365 --> 00:46:21,368 ハマったら抜け出せない。 それが ジョージア・ムーンだ。 554 00:46:21,368 --> 00:46:25,372 うん。 確かに この ほのかなトウモロコシの甘味は 555 00:46:25,372 --> 00:46:27,372 癖になるかも。 556 00:46:30,377 --> 00:46:33,380 参った。 私の負けだ。 557 00:46:33,380 --> 00:46:37,384 こんな すごい酒 出されちゃ へそ曲がりの俺も 頼むしかない。 558 00:46:37,384 --> 00:46:41,388 頼む マスター! 一杯 飲ませてくれ! 559 00:46:41,388 --> 00:46:46,393 一郎さん このお店を どう思われますか? 560 00:46:46,393 --> 00:46:49,396 いや… いい店じゃないか。 561 00:46:49,396 --> 00:46:52,399 最初から そう思ってたんだよ。 素直に言えない性分なんだよ。 562 00:46:52,399 --> 00:46:54,401 勘弁してくれよ。 563 00:46:54,401 --> 00:46:56,403 カウンターが真っすぐで すいません。 564 00:46:56,403 --> 00:46:58,405 いや… 立派なカウンターじゃないか。 565 00:46:58,405 --> 00:47:01,408 いつも ぴかぴかに 磨かれてて こんな厚みもあって。 566 00:47:01,408 --> 00:47:03,410 いや… ほら すごい…。 567 00:47:03,410 --> 00:47:07,414 ボックス席も 四角いテーブルに 普通のソファで すいません。 568 00:47:07,414 --> 00:47:09,416 いや それの どこが いけないの。 569 00:47:09,416 --> 00:47:11,418 角に ちゃんと収まって 効率的じゃないか。 570 00:47:11,418 --> 00:47:16,356 それに 電話 ドア 照明 雰囲気も…。 571 00:47:16,356 --> 00:47:18,358 素晴らしい! 572 00:47:18,358 --> 00:47:20,360 みんな いい味 出してるよ。 573 00:47:20,360 --> 00:47:22,362 それに 何しろ 一番 素晴らしいのが 574 00:47:22,362 --> 00:47:24,364 マスター あなただよ。 575 00:47:24,364 --> 00:47:29,369 最高! よっ 大統領! 576 00:47:29,369 --> 00:47:31,369 頼む! 577 00:47:33,373 --> 00:47:37,377 この通りだ。 酒を…。 578 00:47:37,377 --> 00:47:40,380 一杯 飲ませてくれ! 579 00:47:40,380 --> 00:47:43,383 このあたりで勘弁しますかね。 580 00:47:43,383 --> 00:47:46,386 そうだな。 うん。 581 00:47:46,386 --> 00:47:48,386 ってことは? 582 00:47:51,391 --> 00:47:54,394 もちろん お出しします。 583 00:47:54,394 --> 00:47:57,394 やった! ありがとう。 584 00:48:08,408 --> 00:48:10,408 どうぞ。 585 00:48:15,432 --> 00:48:17,432 これが…。 586 00:48:33,366 --> 00:48:35,368 いかがですか? 587 00:48:35,368 --> 00:48:39,372 これが へんくつ野郎のつくった コーンウイスキーか。 588 00:48:39,372 --> 00:48:43,376 俺好みの 俺に ピッタリの味だ。 589 00:48:43,376 --> 00:48:45,378 おいしいということですね。 590 00:48:45,378 --> 00:48:48,378 まずい。 えっ? 591 00:48:53,386 --> 00:48:57,390 あぁ~。 おかわり もう一杯。 592 00:48:57,390 --> 00:49:00,390 こりゃ… へそ曲がりは なおりそうにありませんね。 593 00:49:02,395 --> 00:49:04,397 早く。 おかわりって言ったんだから。 594 00:49:04,397 --> 00:49:08,401 おかわり してくれ。 はいはい。 はい。 595 00:49:08,401 --> 00:49:11,404 ん… 早くな。 596 00:49:11,404 --> 00:49:14,404 入れるだけなんだから。 うん…。 597 00:49:17,344 --> 00:49:19,346 載っけて。 598 00:49:19,346 --> 00:49:22,346 はい どうぞ。 うん… うんうん。 599 00:49:24,351 --> 00:49:26,353 あ~ さらに まずい。 600 00:49:26,353 --> 00:49:29,353 あ~ どうしたら こんな まずく できるんだ。 601 00:49:31,358 --> 00:49:34,361 今夜も BAR レモンハートに お越しいただき 602 00:49:34,361 --> 00:49:36,363 ありがとうございました。 603 00:49:36,363 --> 00:49:42,369 では 今夜 登場したお酒を あらためて ご紹介いたします。 604 00:49:42,369 --> 00:49:44,371 まずは…。 605 00:49:44,371 --> 00:49:49,376 スコットランドを代表する シングルモルトウイスキーの一つです。 606 00:49:49,376 --> 00:49:55,382 創業以来 伝統的な職人の手作りで 生み出される その味は 607 00:49:55,382 --> 00:50:02,389 蜂蜜のような 甘い香りと 力強いコクが 特徴です。 608 00:50:02,389 --> 00:50:06,393 そんな バルヴェニー蒸留所と 同じ敷地内 609 00:50:06,393 --> 00:50:09,396 すぐ隣の蒸留所で 造られているのが 610 00:50:09,396 --> 00:50:13,400 バルヴェニーの兄貴分…。 611 00:50:13,400 --> 00:50:17,337 こちらは フルーティーで 大変 飲みやすく 612 00:50:17,337 --> 00:50:22,342 シングルモルト入門者にも おすすめの逸品です。 613 00:50:22,342 --> 00:50:24,344 どちらも原料は同じですが 614 00:50:24,344 --> 00:50:27,347 製造方法の違いにより 615 00:50:27,347 --> 00:50:31,351 まったく違った味わいの スコッチとなっています。 616 00:50:31,351 --> 00:50:35,355 ぜひ 飲み比べてみてください。 617 00:50:35,355 --> 00:50:38,358 続いては…。 618 00:50:38,358 --> 00:50:42,362 コーンウイスキーと呼ばれる アメリカンウイスキーです。 619 00:50:42,362 --> 00:50:45,365 アメリカンウイスキーといえば バーボンが有名ですが 620 00:50:45,365 --> 00:50:47,367 バーボンは 原材料に 621 00:50:47,367 --> 00:50:53,373 トウモロコシを 51%以上 80%未満 使用するのに対し 622 00:50:53,373 --> 00:50:55,375 コーンウイスキーは 623 00:50:55,375 --> 00:50:59,379 トウモロコシが 80%以上 使用されています。 624 00:50:59,379 --> 00:51:01,381 中でも ジョージア・ムーンは 625 00:51:01,381 --> 00:51:05,385 熟成期間 わずか 30日以内で瓶詰めされる 626 00:51:05,385 --> 00:51:09,389 無色透明な 珍しいウイスキーです。 627 00:51:09,389 --> 00:51:11,391 短期熟成ならではの 628 00:51:11,391 --> 00:51:14,394 トウモロコシの香りが 強烈に漂う 629 00:51:14,394 --> 00:51:19,332 くせになる一杯を お楽しみください。 630 00:51:19,332 --> 00:51:21,334 では また 次回。 631 00:51:21,334 --> 00:51:24,334 BAR レモンハートで お待ちしております。 632 00:52:15,555 --> 00:52:18,325 信じてほしい。 僕は 変わらず 君のことを…。 633 00:52:18,325 --> 00:52:20,327 ごめんなさい。 ミドリ! 634 00:52:20,327 --> 00:52:22,329 プロポーズ!? あんな若い子に!? 635 00:52:22,329 --> 00:52:25,332 実は 彼女との結婚 反対されたんです。 636 00:52:25,332 --> 00:52:29,336 それを分かった上で 結婚を 受け入れていたんじゃないのか? 637 00:52:29,336 --> 00:52:31,338 そんな簡単に 受け入れられるもんじゃ 638 00:52:31,338 --> 00:52:33,340 ないと思いますよ。 心配しないでください。 639 00:52:33,340 --> 00:52:36,343 こう見えても 私 強いんですよ。 640 00:52:36,343 --> 00:52:40,347 透明感のある 美しいクリスタルほど 641 00:52:40,347 --> 00:52:44,347 実は弱いということを ご存じですか?