1 00:01:11,065 --> 00:01:14,068 (松ちゃん)ハァ…。 2 00:01:14,068 --> 00:01:18,072 (メガネさん) 何だ またフラれたのか。 3 00:01:18,072 --> 00:01:20,072 違うよ! 4 00:01:22,076 --> 00:01:25,079 今度 エンペラーって雑誌で 記事 書くことになってさ。 5 00:01:25,079 --> 00:01:27,081 エンペラーって…。 6 00:01:27,081 --> 00:01:29,083 あの エンペラーか? 人気雑誌の。 7 00:01:29,083 --> 00:01:32,019 そう 業界で唯一 8 00:01:32,019 --> 00:01:35,022 発行部数100万部を誇る あの エンペラー。 9 00:01:35,022 --> 00:01:38,025 (マスター)うわ~ それ 大抜てきじゃないですか。 10 00:01:38,025 --> 00:01:41,028 そうなんだよ。 11 00:01:41,028 --> 00:01:43,030 ハァ…。 12 00:01:43,030 --> 00:01:47,034 それが 何で そうなるんだ。 13 00:01:47,034 --> 00:01:51,038 そこの編集長 もう鬼みたいに厳しい人でさ。 14 00:01:51,038 --> 00:01:54,041 高岡って女の人なんだけど 15 00:01:54,041 --> 00:01:59,046 鬼の高岡で 通称 オニタカ。 16 00:01:59,046 --> 00:02:01,048 すごいあだ名ですね。 17 00:02:01,048 --> 00:02:04,051 これが また ライター泣かせで有名でさ。 18 00:02:04,051 --> 00:02:09,056 駄目出しの嵐に耐えきれず 逃げ出したライター 数知れず。 19 00:02:09,056 --> 00:02:11,058 なるほど。 20 00:02:11,058 --> 00:02:14,061 それで残り物の松ちゃんにも 声が かかった訳か。 21 00:02:14,061 --> 00:02:17,064 失礼な! 22 00:02:17,064 --> 00:02:21,068 でも まあ そういうこと。 23 00:02:21,068 --> 00:02:25,072 で 素人にも楽しめる 優しいお酒の話ってお題で 24 00:02:25,072 --> 00:02:27,074 書くことになったんだけど 25 00:02:27,074 --> 00:02:32,012 まあ ネタ出すたびに ライター失格!だの 26 00:02:32,012 --> 00:02:37,017 田舎に帰れ!だの 散々 怒鳴られて 27 00:02:37,017 --> 00:02:41,021 もう 松ちゃん 一生分 怒られました。 28 00:02:41,021 --> 00:02:43,023 それで ここに避難しにきたって訳か。 29 00:02:43,023 --> 00:02:46,026 そう 次の打ち合わせがあるって 嘘ついてね。 30 00:02:46,026 --> 00:02:49,029 怖い物見たさって言うんですかね。 31 00:02:49,029 --> 00:02:53,033 一度 お会いしてみたいような気が しますね。 32 00:02:53,033 --> 00:02:57,037 今 ここに来たりしてな。 33 00:02:57,037 --> 00:03:01,041 冗談やめてよ サスペンスドラマじゃないんだから。 34 00:03:01,041 --> 00:03:03,043 まあ 人殺してても 35 00:03:03,043 --> 00:03:05,043 おかしくないような顔 してるけどね。 36 00:03:11,051 --> 00:03:13,053 キャー!! 37 00:03:13,053 --> 00:03:16,056 やっぱり ここだったのね。 38 00:03:16,056 --> 00:03:20,060 編集長…。 いらっしゃいませ。 39 00:03:20,060 --> 00:03:22,062 ど… どうして ここが? 40 00:03:22,062 --> 00:03:26,066 デスクの安田 締め上げたら 簡単に吐いたわ。 41 00:03:26,066 --> 00:03:28,066 ああ…。 42 00:03:32,005 --> 00:03:38,011 初めまして 私 エンペラー編集長の高岡です。 43 00:03:38,011 --> 00:03:41,014 初めまして 当店のマスターでございます。 44 00:03:41,014 --> 00:03:44,017 あれが例の? そう オニタカ。 45 00:03:44,017 --> 00:03:47,020 そこ 聞こえてるわよ。 46 00:03:47,020 --> 00:03:49,022 何か お飲みになりますか? 47 00:03:49,022 --> 00:03:55,028 ごめんなさい ここへは 最終宣告しにきただけなので。 48 00:03:55,028 --> 00:03:58,031 えっ じゃあ…。 49 00:03:58,031 --> 00:04:03,036 ラストチャンスよ 10秒以内に次のネタ上げて。 50 00:04:03,036 --> 00:04:08,041 物になりそうなら あと24時間だけ待ちます。 51 00:04:08,041 --> 00:04:11,044 物にならなそうなら? 52 00:04:11,044 --> 00:04:14,047 今ここで降りてもらいます。 53 00:04:14,047 --> 00:04:16,049 10 9…。 54 00:04:16,049 --> 00:04:19,052 いやいや でも今から 新しいライター探すなんて…。 55 00:04:19,052 --> 00:04:21,054 そのときは 私が書くわ。 56 00:04:21,054 --> 00:04:23,056 いつも そうしているから。 あ~! 57 00:04:23,056 --> 00:04:27,060 8 7 6…。 58 00:04:27,060 --> 00:04:30,063 はい はい はい…! 59 00:04:30,063 --> 00:04:35,002 松ちゃんが教える おいしい烏龍茶割りの飲み方講座。 60 00:04:35,002 --> 00:04:40,007 3 2 1。 え~! あー! 61 00:04:40,007 --> 00:04:43,010 まったく どいつもこいつも。 62 00:04:43,010 --> 00:04:45,012 あの…。 63 00:04:45,012 --> 00:04:49,016 松ちゃんは ただ 飲みに来てる訳じゃないんですよ。 64 00:04:49,016 --> 00:04:54,021 素人でも楽しめる 優しいお酒の話。 65 00:04:54,021 --> 00:04:57,024 そのネタを探しに 来てるんですよね? 66 00:04:57,024 --> 00:04:59,026 うん… そうそうそう! 67 00:04:59,026 --> 00:05:02,029 ハァ… それで? 68 00:05:02,029 --> 00:05:07,034 私の提供するネタが もし物になるようであれば 69 00:05:07,034 --> 00:05:12,039 松ちゃんのこと ちょっと 待っていただけませんでしょうか? 70 00:05:12,039 --> 00:05:15,042 ハァ…。 71 00:05:15,042 --> 00:05:19,046 まあ いいでしょう。 で そのネタというのは? 72 00:05:19,046 --> 00:05:22,049 そうですね う~ん。 73 00:05:22,049 --> 00:05:25,052 ラベルのお話なんか いかがでしょうか。 74 00:05:25,052 --> 00:05:27,054 ラ… ラベル? 75 00:05:27,054 --> 00:05:29,056 お酒の中身じゃなくて? 76 00:05:29,056 --> 00:05:31,992 はい 確かに お酒の主役は中身です。 77 00:05:31,992 --> 00:05:35,996 でも ラベルは お酒の顔とも言われています。 78 00:05:35,996 --> 00:05:37,998 そこには 中身同様に 79 00:05:37,998 --> 00:05:43,003 作り手の哲学や思いや そしてドラマが 80 00:05:43,003 --> 00:05:47,007 皆さんが思ってる以上に 秘められているものなんですよ。 81 00:05:47,007 --> 00:05:49,009 へ… へぇ~! 82 00:05:49,009 --> 00:05:51,011 フゥ…。 83 00:05:51,011 --> 00:05:57,017 まぁ とにかく 詳しく聞かせてください。 84 00:05:57,017 --> 00:05:59,017 分かりました。 85 00:06:07,027 --> 00:06:12,032 そもそも ラベルの起源は 今から およそ6,000年も前。 86 00:06:12,032 --> 00:06:16,036 人類最古と言われる シュメール文明のころに 87 00:06:16,036 --> 00:06:19,039 ワインの栓に 品質を保証するために 88 00:06:19,039 --> 00:06:22,042 スタンプを押したのが 起源だと言われてます。 89 00:06:22,042 --> 00:06:26,046 つまり 人類の歴史は常に 90 00:06:26,046 --> 00:06:31,068 ラベルと共にあるといっても 過言ではないんですよ。 91 00:06:31,068 --> 00:06:34,988 へぇ~ すごいですね編集長。 92 00:06:34,988 --> 00:06:36,990 あれ? 93 00:06:36,990 --> 00:06:38,990 かたいな。 94 00:06:40,994 --> 00:06:43,997 一つお断りしておきます。 はい。 95 00:06:43,997 --> 00:06:50,003 うちの雑誌はマニアしか読まない 学術書じゃないんです。 96 00:06:50,003 --> 00:06:54,007 100万人もの人たちが読む 一般誌なんです。 97 00:06:54,007 --> 00:07:00,013 そんな ご立派な講釈 並べても 誰も読んではくれないんですよ。 98 00:07:00,013 --> 00:07:02,015 それに うちの雑誌 99 00:07:02,015 --> 00:07:07,020 書く記事に 必ず 写真かイラストを付けるんです。 100 00:07:07,020 --> 00:07:12,025 絵的にも面白いネタじゃないと そもそも。 ねっ。 101 00:07:12,025 --> 00:07:14,027 はい…。 102 00:07:14,027 --> 00:07:18,031 そうおっしゃるんじゃないかなと 思っていました。 103 00:07:18,031 --> 00:07:22,035 そこで今日は ラベルの中でも 104 00:07:22,035 --> 00:07:27,040 ラベルに描かれた絵について お話いたします。 105 00:07:27,040 --> 00:07:30,043 絵? はい。 106 00:07:30,043 --> 00:07:34,982 お酒の中には ラベル一つで 運命が変わった 107 00:07:34,982 --> 00:07:38,982 全てが変わったと言える物が あるんです。 108 00:07:43,991 --> 00:07:46,994 こちらです。 109 00:07:46,994 --> 00:07:48,996 ブラック&ホワイトか。 110 00:07:48,996 --> 00:07:51,999 これなら 絵的にもカワイイし 文句ないんじゃ…。 111 00:07:51,999 --> 00:07:56,003 その 全てを変えたというのは? 112 00:07:56,003 --> 00:07:58,005 実は このブラック&ホワイト 113 00:07:58,005 --> 00:08:04,011 1884年に発売された当時 まったく違う名前だったんです。 114 00:08:04,011 --> 00:08:06,013 ふ~ん そうなんだ。 115 00:08:06,013 --> 00:08:09,016 さて 何という名前でしょうか? 116 00:08:09,016 --> 00:08:13,020 ちなみに創業者の名前は ブキャナンといいます。 117 00:08:13,020 --> 00:08:15,022 そんなの分かるわけないでしょ。 118 00:08:15,022 --> 00:08:18,025 ブキャナンズ・ブレンド。 119 00:08:18,025 --> 00:08:22,029 さすがメガネさん 正解です。 そのまんまじゃない。 120 00:08:22,029 --> 00:08:25,029 そうなんです そのまんまだったんです。 121 00:08:27,034 --> 00:08:31,054 ラベルには 犬の絵などいっさい無く 122 00:08:31,054 --> 00:08:32,973 白地に文字をのせただけの 123 00:08:32,973 --> 00:08:35,976 まあ 正直言って とても凡庸なものでした。 124 00:08:35,976 --> 00:08:40,981 でも ウイスキー自体は とても良くできていて 125 00:08:40,981 --> 00:08:44,985 お酒愛好家たちは 黒いボトルと白いラベルを 126 00:08:44,985 --> 00:08:48,989 ブラック&ホワイトと勝手に呼んで 親しんでいたそうです。 127 00:08:48,989 --> 00:08:53,994 そこに目を付けたのが 先ほどの創業者 ブキャナンです。 128 00:08:53,994 --> 00:08:57,998 伝統を重んじる スコッチの世界において 129 00:08:57,998 --> 00:09:01,001 ブランド名や ラベルを変えるということは 130 00:09:01,001 --> 00:09:03,003 本来 もっての外なんですが 131 00:09:03,003 --> 00:09:08,008 ブキャナンは ブランド名を ブラック&ホワイトに変え 132 00:09:08,008 --> 00:09:13,013 ラベルも スコットランドに縁のある黒と白の犬 133 00:09:13,013 --> 00:09:17,017 スコティッシュ・テリアと ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア。 134 00:09:17,017 --> 00:09:19,019 この2匹の犬の絵に替え 135 00:09:19,019 --> 00:09:23,023 キャラクターによる広告を 展開したんです。 136 00:09:23,023 --> 00:09:26,026 これが見事に大成功! 137 00:09:26,026 --> 00:09:31,965 とうとう世界的なスコッチにまで 上り詰めたんです。 138 00:09:31,965 --> 00:09:36,965 ラベルが このお酒の運命を変えたんです。 139 00:09:41,975 --> 00:09:43,977 あれ? 140 00:09:43,977 --> 00:09:49,983 そういえば エンペラーも最初は 違う名前だったよな。 141 00:09:49,983 --> 00:09:53,987 そうそう 編集長が雑誌の名前と 表紙デザインを一新して 142 00:09:53,987 --> 00:09:56,990 部数が飛躍的に伸びたんだよ。 143 00:09:56,990 --> 00:09:58,992 そうですよね 編集長。 144 00:09:58,992 --> 00:10:01,995 そういえば そういうこともあったわね。 145 00:10:01,995 --> 00:10:04,998 ハァ… で マスター。 はい。 146 00:10:04,998 --> 00:10:06,998 他には? はい。 147 00:10:14,007 --> 00:10:16,007 続いては こちら。 148 00:10:18,011 --> 00:10:21,014 ご存じ ジョニー・ウォーカー。 149 00:10:21,014 --> 00:10:23,016 これは 私でも知ってるわ。 150 00:10:23,016 --> 00:10:25,018 確か この紳士 151 00:10:25,018 --> 00:10:29,022 創業者のジョン・ウォーカーが モデルになってるのよね。 152 00:10:29,022 --> 00:10:31,024 はい。 ストライディング・マン。 153 00:10:31,024 --> 00:10:34,027 闊歩する男だな。 154 00:10:34,027 --> 00:10:38,027 では こちらは どうでしょう? 155 00:10:40,033 --> 00:10:42,035 これもジョニー・ウォーカー? 156 00:10:42,035 --> 00:10:45,038 ううん 違うわ。 157 00:10:45,038 --> 00:10:48,041 歩いてる方向が逆よ。 158 00:10:48,041 --> 00:10:50,043 最初のは右向きだけど。 159 00:10:50,043 --> 00:10:52,045 こっちは左向きだ。 160 00:10:52,045 --> 00:10:54,047 そうなんです。 161 00:10:54,047 --> 00:10:57,050 実は このストライディング・マン 162 00:10:57,050 --> 00:11:04,057 1908年にラベルに初登場して以来 ず~っと左向きだったんです。 163 00:11:04,057 --> 00:11:10,063 でも それだと どうも後ろ向きに 歩っているように見える。 164 00:11:10,063 --> 00:11:13,066 そう言われてみれば そうだな。 165 00:11:13,066 --> 00:11:18,071 欧米は文字を 左から右に読む文化だからな。 166 00:11:18,071 --> 00:11:23,076 そこで 約100年たった 2000年ごろ 167 00:11:23,076 --> 00:11:28,081 彼は 進路を右へと変えました。 168 00:11:28,081 --> 00:11:32,018 ここには 過去の栄光を振り返るのをやめて 169 00:11:32,018 --> 00:11:35,021 さらなる向上を目指して 170 00:11:35,021 --> 00:11:38,024 未来へ向かって 歩み続けようという 171 00:11:38,024 --> 00:11:43,029 老舗ブランドの心意気が 込められているんです。 172 00:11:43,029 --> 00:11:47,029 このストライディング・マン 何だか 編集長みたいですね。 173 00:11:50,036 --> 00:11:54,040 編集長? そうね…。 174 00:11:54,040 --> 00:11:58,044 マスター 次は? はい。 175 00:11:58,044 --> 00:12:00,044 さあ。 176 00:12:08,054 --> 00:12:10,056 …とまあ こういうところですかね。 177 00:12:10,056 --> 00:12:14,060 へぇ~ 色々あるんだねえ。 ハハッ。 178 00:12:14,060 --> 00:12:16,060 いかがでしょうか? 179 00:12:22,068 --> 00:12:24,070 ごめんなさい。 180 00:12:24,070 --> 00:12:28,074 ラベルがお酒の顔っていうのは 認めます。 181 00:12:28,074 --> 00:12:30,076 情報としても悪くない。 182 00:12:30,076 --> 00:12:34,014 でも それだけね。 183 00:12:34,014 --> 00:12:36,016 うちの記事にするには 184 00:12:36,016 --> 00:12:40,020 読者に訴えかけるストーリーが 欠けている。 185 00:12:40,020 --> 00:12:42,022 そう言わざるを得ないわ。 186 00:12:42,022 --> 00:12:46,026 ストーリーねえ。 187 00:12:46,026 --> 00:12:50,026 マスター 他には? 他には何かない? 188 00:12:52,032 --> 00:12:55,035 自分じゃ何もしないで いい気なもんだ。 189 00:12:55,035 --> 00:12:59,039 いいんですよメガネさん 私だって 好きでやってるんですから。 190 00:12:59,039 --> 00:13:01,041 う~ん。 191 00:13:01,041 --> 00:13:06,041 自分でも情けないって思ってるよ マスターに頼りっぱなしでさ! 192 00:13:15,055 --> 00:13:17,055 ごめん。 193 00:13:25,065 --> 00:13:31,087 実は 田舎のおふくろに 今度 エンペラーで記事書くって伝えたら 194 00:13:31,087 --> 00:13:35,008 泣いて喜んじゃってさ。 195 00:13:35,008 --> 00:13:40,013 おふくろ ライターの僕を ずっと応援してくれてたから 196 00:13:40,013 --> 00:13:43,013 僕の記事も全部 スクラップにしてくれて。 197 00:13:45,018 --> 00:13:48,021 今すぐ行きたい 風俗店ランキングなんて 198 00:13:48,021 --> 00:13:50,021 そんなのまで全部。 199 00:13:54,027 --> 00:13:56,027 がっかりさせたくないんだよね。 200 00:14:00,033 --> 00:14:03,036 だから何? 201 00:14:03,036 --> 00:14:05,038 え…? 202 00:14:05,038 --> 00:14:11,044 そんなの いい記事を書くことと 何の関係もないでしょ。 203 00:14:11,044 --> 00:14:14,047 マスター! ドライジン 一杯いただける? 204 00:14:14,047 --> 00:14:17,050 かしこまりました。 物書く前には 205 00:14:17,050 --> 00:14:19,052 必ず飲むことにしてるの。 206 00:14:19,052 --> 00:14:24,052 ガソリンみたいなもんね。 やっぱり首か~。 207 00:14:43,009 --> 00:14:45,009 どうぞ。 208 00:14:52,018 --> 00:14:56,018 はぁ~! やっぱり ドライジンは最高ね! 209 00:15:03,029 --> 00:15:08,034 あらためて見ると 結構いいわね このラベル。 210 00:15:08,034 --> 00:15:10,036 雄々しい兵士。 211 00:15:10,036 --> 00:15:13,039 さすが 男の酒と呼ばれるスピリッツ 212 00:15:13,039 --> 00:15:16,039 ビーフィーターのラベルだな。 213 00:15:18,044 --> 00:15:20,044 男の酒か…。 214 00:15:29,055 --> 00:15:31,991 ハァ… ねえ。 215 00:15:31,991 --> 00:15:36,996 最初に オニタカってあだ名考えたの 誰だか知ってる? 216 00:15:36,996 --> 00:15:41,000 いや~。 217 00:15:41,000 --> 00:15:44,000 私よ。 えっ? 218 00:15:47,006 --> 00:15:50,009 私が編集長になったばかりの頃は 219 00:15:50,009 --> 00:15:54,013 まだ 女ってだけで 軽く見られるような 220 00:15:54,013 --> 00:15:56,013 そんな時代でね。 221 00:15:58,017 --> 00:16:04,023 その弱みを はね返すための 強い鎧が必要だった。 222 00:16:04,023 --> 00:16:08,027 その一つが オニタカってあだ名か。 223 00:16:08,027 --> 00:16:10,029 そう。 224 00:16:10,029 --> 00:16:14,033 当時の編集部 全員に そう呼ばせてたの。 225 00:16:14,033 --> 00:16:20,039 最も 私についていけないって みんな辞めちゃったけどね。 226 00:16:20,039 --> 00:16:25,044 まったく どいつもこいつも。 227 00:16:25,044 --> 00:16:28,047 編集長。 228 00:16:28,047 --> 00:16:30,049 何? 229 00:16:30,049 --> 00:16:33,987 実は編集長に ぜひ飲んでいただきたい 230 00:16:33,987 --> 00:16:36,990 とっておきのビーフィーターが あるんですが 231 00:16:36,990 --> 00:16:38,992 お飲みになりませんか? 232 00:16:38,992 --> 00:16:42,996 へぇ~ いいわね 出してちょうだい。 233 00:16:42,996 --> 00:16:44,996 かしこまりました。 234 00:19:13,680 --> 00:19:16,683 どうぞ。 235 00:19:16,683 --> 00:19:19,683 見た目は 普通のビーフィーターだけど。 236 00:19:26,693 --> 00:19:29,696 何これ! おいしい。 237 00:19:29,696 --> 00:19:32,699 ウェット・バイ・ビーフィーター と言います。 238 00:19:32,699 --> 00:19:38,705 男の酒と言われたスピリッツに 女性の時代が来つつある。 239 00:19:38,705 --> 00:19:41,708 そんなコンセプトで作られたと 言われています。 240 00:19:41,708 --> 00:19:47,714 通常のビーフィーターには無い 洋なしの甘く華やかな香りと 241 00:19:47,714 --> 00:19:50,717 滑らかな味わいが特徴です。 242 00:19:50,717 --> 00:19:57,724 確かにソフトだけど その中に芯の強さを感じるわ。 243 00:19:57,724 --> 00:20:04,724 口当たりが優しい分 より強く芯の強さを…。 244 00:20:08,668 --> 00:20:11,668 こちらのボトルです。 245 00:20:13,673 --> 00:20:16,676 普通のと 全然 雰囲気が違うね。 246 00:20:16,676 --> 00:20:21,681 この大きなしずくが 特徴的ですよね。 247 00:20:21,681 --> 00:20:25,685 はっ! 見て ちゃんとビーフィーターがいる。 248 00:20:25,685 --> 00:20:27,687 あっ ホントだ。 249 00:20:27,687 --> 00:20:31,691 しずくの中にビーフィーターが…。 250 00:20:31,691 --> 00:20:33,693 この大きなしずくを 251 00:20:33,693 --> 00:20:38,698 涙だと思う方も いらっしゃるようですね。 252 00:20:38,698 --> 00:20:40,698 涙? 253 00:20:44,704 --> 00:20:48,704 まるで兵士が泣いているようだと。 254 00:20:54,714 --> 00:20:57,717 面白いですよね。 255 00:20:57,717 --> 00:21:05,717 涙を隠さずに泣いてる方が 芯が強いと感じるなんて。 256 00:21:26,679 --> 00:21:28,681 私 帰ります。 257 00:21:28,681 --> 00:21:31,684 お勘定 松田の分も。 かしこまりました。 258 00:21:31,684 --> 00:21:33,684 いや… えっ? 259 00:21:51,704 --> 00:21:53,706 おいしかったわ。 260 00:21:53,706 --> 00:21:56,709 ごちそうさまでした。 261 00:21:56,709 --> 00:21:58,709 ありがとうございました。 262 00:22:04,650 --> 00:22:06,652 へ… 編集長! 263 00:22:06,652 --> 00:22:09,652 ちょっと 編集長。 264 00:22:11,657 --> 00:22:13,657 あっ あの…。 265 00:22:15,661 --> 00:22:19,661 マスターのやつ あんなラベルのお酒 出すなんて。 266 00:22:21,667 --> 00:22:26,667 実を言うとね もう限界なの エンペラー。 267 00:22:29,675 --> 00:22:33,679 編集部員もライターも みんな逃げ出しちゃって 268 00:22:33,679 --> 00:22:35,681 部数も頭打ち。 269 00:22:35,681 --> 00:22:40,681 ううん 明らかに下がりだしてる。 270 00:22:43,689 --> 00:22:49,689 私が強くあろうとすることが 逆にエンペラーを弱体化させてたの。 271 00:22:51,697 --> 00:22:55,701 マスターに あんなラベルのお酒出されて 272 00:22:55,701 --> 00:22:57,701 完全に目が覚めたわ。 273 00:22:59,705 --> 00:23:07,647 弱さを隠さず 認め それと向き合う方が強くなれる。 274 00:23:07,647 --> 00:23:11,647 マスターの無言のメッセージなのよ あれは。 275 00:23:15,655 --> 00:23:22,662 それにしても何にも言わずに 出すところが また にくいわね。 276 00:23:22,662 --> 00:23:26,666 あの人は そういう人ですから。 277 00:23:26,666 --> 00:23:33,673 ねえ この話 そのまま ラベルの記事に使えないかな? 278 00:23:33,673 --> 00:23:35,675 えっ? 279 00:23:35,675 --> 00:23:40,680 己や現実と向き合えずにいた 鬼編集長が 280 00:23:40,680 --> 00:23:44,684 見事 バーのマスターに やり込められるってストーリー。 281 00:23:44,684 --> 00:23:47,687 でも そんなことしたら 編集長のお立場が。 282 00:23:47,687 --> 00:23:49,689 そんなの構わないわよ! 283 00:23:49,689 --> 00:23:53,689 とにかく 読者が喜んでくれること それが一番なんだから。 284 00:23:57,697 --> 00:23:59,699 分かりました。 285 00:23:59,699 --> 00:24:03,719 では 松田さん よろしくお願いします。 286 00:24:03,719 --> 00:24:05,719 こちらこそ。 287 00:24:22,655 --> 00:24:25,658 うん よく書けてるじゃねえか。 288 00:24:25,658 --> 00:24:27,660 ええ 本当に。 やった! 289 00:24:27,660 --> 00:24:30,663 読者からも大反響なんだよね。 290 00:24:30,663 --> 00:24:36,669 で オニタカ編集長とは 祝杯をあげたのか? 291 00:24:36,669 --> 00:24:38,671 それが…。 292 00:24:38,671 --> 00:24:41,674 掲載されてから 何の連絡も無し。 293 00:24:41,674 --> 00:24:43,676 まっ そういうもんだとは 思うけどさ。 294 00:24:43,676 --> 00:24:48,681 実は 編集長から お預かりしている物があります。 295 00:24:48,681 --> 00:24:50,681 えっ? 296 00:24:58,691 --> 00:25:02,695 デュペレ・バレッラの マイ・ラブという 297 00:25:02,695 --> 00:25:05,631 女性から男性へ 298 00:25:05,631 --> 00:25:08,634 愛のメッセージを贈るための ワインです。 299 00:25:08,634 --> 00:25:10,636 えっ? 300 00:25:10,636 --> 00:25:12,638 何ですが! 301 00:25:12,638 --> 00:25:15,638 何!? こちらです。 302 00:25:17,643 --> 00:25:20,646 次回 打ち合わせ 9月…。 303 00:25:20,646 --> 00:25:24,650 げっ 業務連絡!? 304 00:25:24,650 --> 00:25:26,652 本来は この余白に 305 00:25:26,652 --> 00:25:29,655 女性がキスマークを付ける というものなんですけれども 306 00:25:29,655 --> 00:25:33,659 こういう使い方もあるんだなと。 307 00:25:33,659 --> 00:25:38,664 さすがは100万部を売る編集長 脱帽です。 308 00:25:38,664 --> 00:25:44,670 結局 オニタカは どこまでもオニタカってことか。 309 00:25:44,670 --> 00:25:48,670 でも この上ない 愛のメッセージじゃないですか? 310 00:25:53,679 --> 00:25:57,683 何だ キスマークの方が良かったか? 311 00:25:57,683 --> 00:26:00,686 絶対やだ! 312 00:26:00,686 --> 00:26:03,686 フフフ。 313 00:29:06,138 --> 00:29:08,138 (メガネさん)フッ。 314 00:29:12,144 --> 00:29:14,146 (マスター)あっ 松ちゃん。 いらっしゃい。 315 00:29:14,146 --> 00:29:16,146 (松ちゃん)おばんでやす。 316 00:29:18,150 --> 00:29:23,155 こちら フリーライターの ブラック黒田さん。 317 00:29:23,155 --> 00:29:26,158 いらっしゃいませ。 当店のマスターでございます。 318 00:29:26,158 --> 00:29:30,162 ハァ…。 松ちゃんが いい店だって 言うから来てみたけど 319 00:29:30,162 --> 00:29:34,166 何だ ただの すかしたバーじゃねえか。 320 00:29:34,166 --> 00:29:41,173 カウンターも黒くねえし 何より あの白い花が目障りだ。 321 00:29:41,173 --> 00:29:44,109 まあまあ そう言わずに どうぞ お掛けください。 322 00:29:44,109 --> 00:29:46,109 どうぞ。 323 00:29:49,114 --> 00:29:57,122 その上 俺とキャラが かぶってるやつまでいるときてる。 324 00:29:57,122 --> 00:29:59,124 メ… メガネさん。 いや 違うんだよ あの…。 325 00:29:59,124 --> 00:30:03,128 なるほど。 噂どおりだな。 326 00:30:03,128 --> 00:30:06,131 俺のこと 何か知ってんのか? 327 00:30:06,131 --> 00:30:08,133 ブラック黒田。 328 00:30:08,133 --> 00:30:11,136 人間や社会の闇を 鋭く えぐる作品ばかりを 329 00:30:11,136 --> 00:30:14,136 一貫して書き続けている ノンフィクション作家。 330 00:30:16,141 --> 00:30:19,144 一方 歯に衣着せぬ毒舌発言で 331 00:30:19,144 --> 00:30:23,148 文壇でも屈指の 鼻つまみ者でもある。 332 00:30:23,148 --> 00:30:26,151 な… 何 言ってんだよ。 黒田さん すごく いい人なんだよ。 333 00:30:26,151 --> 00:30:28,153 僕だって すごい お世話になってんだから。 334 00:30:28,153 --> 00:30:33,158 まったく…。 うるせえハエが いるみてえだな マスター。 335 00:30:33,158 --> 00:30:35,160 ごめんね マスター。 336 00:30:35,160 --> 00:30:38,163 さっき そこで 出版社のパーティーが あったんだけどさ 337 00:30:38,163 --> 00:30:41,166 黒田さん そこで ある人と ひと悶着あって 338 00:30:41,166 --> 00:30:44,103 ご機嫌斜めなんだよ。 339 00:30:44,103 --> 00:30:47,106 あいつのこと 思い出させんじゃねえよ! 340 00:30:47,106 --> 00:30:49,108 ああ…。 341 00:30:49,108 --> 00:30:53,112 黒田さんの ご機嫌直すお酒 何か ない? 342 00:30:53,112 --> 00:30:58,117 そうですね。 お見受けしたところ 黒が お好きなようですね。 343 00:30:58,117 --> 00:31:02,121 好き? ハッ そんな陳腐な言葉じゃ 収まんねえ。 344 00:31:02,121 --> 00:31:07,126 黒こそ俺。 俺こそ黒。 わが人生の色よ。 345 00:31:07,126 --> 00:31:12,131 そんな黒田さんに ぴったりのお酒が あります。 346 00:31:12,131 --> 00:31:16,135 どうせ スタウトか ジャックダニエルの黒でも 出そうってんだろ? 347 00:31:16,135 --> 00:31:19,138 言っとくがな そんな ありきたりじゃ…。 348 00:31:19,138 --> 00:31:21,140 こちらです。 349 00:31:21,140 --> 00:31:23,142 これは? 350 00:31:23,142 --> 00:31:26,145 メーカーズマーク ブラックトップです。 351 00:31:26,145 --> 00:31:29,148 メーカーズマークに ブラックなんて あったのか? 352 00:31:29,148 --> 00:31:32,151 お飲みになりますか? も… もちろん。 353 00:31:32,151 --> 00:31:34,151 かしこまりました。 354 00:31:45,097 --> 00:31:47,097 どうぞ。 355 00:31:53,105 --> 00:31:59,105 やだ 何!? これ。 おいしい! いや~! 356 00:32:05,117 --> 00:32:09,121 マスター 実に うまいな。 あっ はい…。 357 00:32:09,121 --> 00:32:14,126 しかし メーカーズマークといえば 赤い封蝋のレッドトップが代名詞。 358 00:32:14,126 --> 00:32:16,128 黒があったとは知らなかったな。 359 00:32:16,128 --> 00:32:20,132 確かに メーカーズマークといえば レッドトップですね。 360 00:32:20,132 --> 00:32:24,136 ビル・サミュエルズが作り上げた 最高傑作。 361 00:32:24,136 --> 00:32:28,140 酒のプロたちに 究極のバーボンと 認めさせた お酒です。 362 00:32:28,140 --> 00:32:32,144 それを超えるべく 息子の ビル・サミュエルズ・ジュニアが 363 00:32:32,144 --> 00:32:34,146 自らブレンダーとなって 364 00:32:34,146 --> 00:32:37,149 12年の歳月をかけて 完成させた傑作。 365 00:32:37,149 --> 00:32:41,153 それが このブラックトップなんです。 366 00:32:41,153 --> 00:32:45,090 マスター。 最高の口直しになったよ。 367 00:32:45,090 --> 00:32:47,092 ありがとうございます。 368 00:32:47,092 --> 00:32:51,092 よかった~。 一時は どうなることかと…。 369 00:32:55,100 --> 00:33:00,105 こんばんは! いや すてきな お店ですね。 370 00:33:00,105 --> 00:33:03,108 いらっしゃいませ。 371 00:33:03,108 --> 00:33:05,110 あっ! 372 00:33:05,110 --> 00:33:08,113 し… 白井さん。 き… 奇遇ですね。 ハハハハ…。 373 00:33:08,113 --> 00:33:11,116 お知り合いの方ですか? う… うん。 あの… 374 00:33:11,116 --> 00:33:13,118 僕が お世話になってる フリーライターの…。 375 00:33:13,118 --> 00:33:16,121 初めまして。 ホワイト白井と申します。 376 00:33:16,121 --> 00:33:18,121 ホ… ホワイト。 377 00:33:20,125 --> 00:33:23,128 は… 初めまして。 当店のマスターでございます。 378 00:33:23,128 --> 00:33:28,133 いやあ 先ほどまで 出版社のパーティーだったんですけどね 379 00:33:28,133 --> 00:33:32,137 嫌~な男に絡まれちゃいましてね。 380 00:33:32,137 --> 00:33:35,140 ハハハハ。 ちょうど よかった。 381 00:33:35,140 --> 00:33:37,142 飲み直しましょうか 松ちゃん。 382 00:33:37,142 --> 00:33:39,142 あっ はい…。 2人で。 383 00:33:42,147 --> 00:33:45,083 あ~。 それじゃあ マスター。 384 00:33:45,083 --> 00:33:47,085 はい。 私に飲まれるために 385 00:33:47,085 --> 00:33:51,089 あるようなカクテル。 白く輝くダイキリを。 386 00:33:51,089 --> 00:33:53,091 かしこまりました。 マスター。 387 00:33:53,091 --> 00:33:57,095 はい。 こっちは ブラックレインを。 388 00:33:57,095 --> 00:33:59,095 かしこまりました。 389 00:34:01,099 --> 00:34:05,099 フフ 面白くなってきやがった。 390 00:34:22,120 --> 00:34:25,120 (黒田)あ~! 391 00:34:35,133 --> 00:34:37,133 あ~! 392 00:34:48,080 --> 00:34:51,080 あ~! 393 00:34:53,085 --> 00:34:55,087 ホワイト・レディ。 394 00:34:55,087 --> 00:34:58,087 こっちは ブラック・マンデー。 395 00:35:11,103 --> 00:35:14,103 あ~! 396 00:35:20,112 --> 00:35:23,115 あ~! 397 00:35:23,115 --> 00:35:27,119 あ~! 398 00:35:27,119 --> 00:35:30,119 ハァ…。 399 00:35:36,128 --> 00:35:38,128 つぁ~! 400 00:35:40,132 --> 00:35:42,134 ホワイト・スワン。 401 00:35:42,134 --> 00:35:45,134 こっちは ブラック・ルシアン。 402 00:35:59,084 --> 00:36:01,084 フッ。 403 00:36:03,088 --> 00:36:07,092 醜い争いだな。 404 00:36:07,092 --> 00:36:12,097 あの白井さんも 有名な方なんですか? 405 00:36:12,097 --> 00:36:17,102 ホワイト白井。 黒田の同業者だが 作風は真逆だ。 406 00:36:17,102 --> 00:36:21,106 人間や社会の闇の部分を描く 黒田に対し 407 00:36:21,106 --> 00:36:25,110 ホワイトは 明るい部分 愛や友情 絆の素晴らしさを 408 00:36:25,110 --> 00:36:27,112 一貫して描いてる。 409 00:36:27,112 --> 00:36:32,112 なるほど。 正反対のお二人なんですね。 410 00:36:34,119 --> 00:36:39,124 バカの一つ覚えみたいに 生っ白い酒ばかり飲みやがって。 411 00:36:39,124 --> 00:36:42,127 あなただって 黒い酒ばかりじゃないですか。 412 00:36:42,127 --> 00:36:45,063 黒は他の色とは違う。 413 00:36:45,063 --> 00:36:49,067 どんな色にも染まらねえ 孤高の色だ。 414 00:36:49,067 --> 00:36:53,071 真理のために闘う者は 常にブラックなりだ。 415 00:36:53,071 --> 00:36:56,074 さすが 黒田さん。 言葉に重みがあるな。 416 00:36:56,074 --> 00:36:59,077 白だって 特別です。 417 00:36:59,077 --> 00:37:03,081 どんな色にも染まれる しなやかな色。 418 00:37:03,081 --> 00:37:06,084 全ての笑顔はホワイトに通ずです。 419 00:37:06,084 --> 00:37:10,088 さすが 白井さん。 言葉に深みがあるな。 420 00:37:10,088 --> 00:37:13,091 あっ えっ? 421 00:37:13,091 --> 00:37:17,095 俺の名言 メモしといた方が いいんじゃねえのか? 422 00:37:17,095 --> 00:37:22,100 私の名言も 書き留めなくていいんですか? 423 00:37:22,100 --> 00:37:26,104 だ… 大丈夫です。 ばっちり 頭の中に メモりましたから。 424 00:37:26,104 --> 00:37:28,106 そうか? 425 00:37:28,106 --> 00:37:30,106 なら いいですが。 426 00:37:32,110 --> 00:37:35,113 そんなに白が好きなら 427 00:37:35,113 --> 00:37:39,117 おうちで ママのおっぱいでも しゃぶってろってんだ。 428 00:37:39,117 --> 00:37:41,119 く… 黒田さん。 429 00:37:41,119 --> 00:37:45,056 その白いお乳を 出したくても出せないのは 430 00:37:45,056 --> 00:37:47,058 どなたでしたかね? オネエさま。 431 00:37:47,058 --> 00:37:49,060 なっ…。 432 00:37:49,060 --> 00:37:51,062 知ってるんですよ。 433 00:37:51,062 --> 00:37:54,065 一丁前にハードボイルドを 気取っている あなただが 434 00:37:54,065 --> 00:37:56,067 実は これなんでしょ? 435 00:37:56,067 --> 00:37:58,069 ち… 違うわよ! 436 00:37:58,069 --> 00:38:01,072 毎日のように 美白パックにホワイトニング。 437 00:38:01,072 --> 00:38:03,074 いやん! 438 00:38:03,074 --> 00:38:06,077 あなた 白に すがって 生きてるじゃないですか。 439 00:38:06,077 --> 00:38:08,079 う~! 440 00:38:08,079 --> 00:38:12,083 どうやら 勝負あったようですね。 441 00:38:12,083 --> 00:38:15,086 メラメラメラ…! 442 00:38:15,086 --> 00:38:19,090 ノリの白井。 えっ? 443 00:38:19,090 --> 00:38:24,095 知ってんのよ。 あんたの実家 ノリ屋さんでしょ? 444 00:38:24,095 --> 00:38:28,099 どうして それを…。 ネットに 上がるたびに 削除してるのに。 445 00:38:28,099 --> 00:38:33,104 フッ! あんたこそ 黒に育てられた口じゃない。 446 00:38:33,104 --> 00:38:35,106 し… 白井さん? 447 00:38:35,106 --> 00:38:37,108 (白井)う~! 448 00:38:37,108 --> 00:38:42,113 おのれ~! 449 00:38:42,113 --> 00:38:46,117 人の出自をネタにするとは どこまでも黒いやつ! 450 00:38:46,117 --> 00:38:50,121 いや 黒豆タンク! 451 00:38:50,121 --> 00:38:52,123 なっ ま… 豆!? 452 00:38:52,123 --> 00:38:55,126 (白井)そうだ! てめえなんか 豆タンクだ。 453 00:38:55,126 --> 00:38:58,129 いっつも 白いおまんまの お世話になってるくせに 454 00:38:58,129 --> 00:39:02,133 その恩を忘れて 白に文句ばっか垂れやがって! 455 00:39:02,133 --> 00:39:04,135 白井さん!? 456 00:39:04,135 --> 00:39:09,140 ついに本性を現したわね この腹黒野郎! 457 00:39:09,140 --> 00:39:15,146 あんた そんな汚い言葉遣いで 何が 愛だの絆だの友情だので 458 00:39:15,146 --> 00:39:17,148 もう しらじらしいんだよ! 459 00:39:17,148 --> 00:39:19,150 そんなに 白が好きならね 460 00:39:19,150 --> 00:39:22,153 早く白髪になって 白い骨になっちゃえばいいのよ! 461 00:39:22,153 --> 00:39:25,156 この野郎! もう許せねえ! 462 00:39:25,156 --> 00:39:28,159 ちょちょちょ…。 こっちのせりふよ。 くそ眼鏡! 463 00:39:28,159 --> 00:39:32,163 (白井)くそ眼鏡!? は~? てめえだって 眼鏡だろうが! 464 00:39:32,163 --> 00:39:34,165 これは 眼鏡じゃない! サングラスは 眼鏡じゃない! 465 00:39:34,165 --> 00:39:38,169 この野郎! もう がたがた言うんじゃねえ! 466 00:39:38,169 --> 00:39:40,169 お待ちください! 467 00:39:42,173 --> 00:39:47,112 この勝負 私に預けていただけませんか? 468 00:39:47,112 --> 00:39:50,112 (白井・黒田)えっ? よろしいですね。 469 00:42:31,943 --> 00:42:33,945 マスター あんなこと言っちゃったけど 470 00:42:33,945 --> 00:42:37,949 ホントに大丈夫かな? さあ どうだろうな。 471 00:42:37,949 --> 00:42:40,952 まずは こちらです。 472 00:42:40,952 --> 00:42:46,958 黒い スコッチモルトウイスキー ロッホデューです。 473 00:42:46,958 --> 00:42:50,958 さすが マスター 分かってらっしゃる。 474 00:42:57,969 --> 00:43:01,973 (黒田)わっ! ホントに 真っ黒! 475 00:43:01,973 --> 00:43:05,977 おそらく スコッチの中で 一番 黒いモルトだと思います。 476 00:43:05,977 --> 00:43:07,977 どうぞ。 477 00:43:10,982 --> 00:43:14,986 う~ん! たまらない この香ばしい香り! 478 00:43:14,986 --> 00:43:19,986 内側を焦がしたオーク樽で 熟成させてますから。 479 00:43:27,999 --> 00:43:31,936 やだ! おいしい~! 480 00:43:31,936 --> 00:43:33,936 次は こちらです。 481 00:43:35,940 --> 00:43:39,944 白い スコッチモルトウイスキー マノックモアです。 482 00:43:39,944 --> 00:43:41,946 (白井)おいおい。 483 00:43:41,946 --> 00:43:45,946 まるで 地上に舞い降りた天使じゃねえか。 484 00:43:56,961 --> 00:44:00,965 (白井)か~! 本当に薄い色だぜ。 485 00:44:00,965 --> 00:44:03,968 限りなく白に近い。 486 00:44:03,968 --> 00:44:06,971 おそらく スコッチの中で 一番 白いモルトだと思います。 487 00:44:06,971 --> 00:44:08,971 どうぞ。 488 00:44:11,976 --> 00:44:13,976 お~! 489 00:44:20,985 --> 00:44:23,988 こりゃあ うめえ! 490 00:44:23,988 --> 00:44:28,993 やっぱ 黒い酒なんかとは 生まれも育ちも違うんだろうな。 491 00:44:28,993 --> 00:44:32,931 フン! 白い酒の方こそ 492 00:44:32,931 --> 00:44:36,935 品性下劣な蒸留所の 出なんでしょうよ。 493 00:44:36,935 --> 00:44:38,937 何だと!? 何よ。 494 00:44:38,937 --> 00:44:42,941 お二人に一つお願いがあります。 495 00:44:42,941 --> 00:44:44,941 何? えっ? 496 00:44:46,945 --> 00:44:50,949 黒田さんには ここを。 497 00:44:50,949 --> 00:44:52,951 そして 白井さんには 498 00:44:52,951 --> 00:44:58,957 ここを声に出して 読んでもらいたいんです。 499 00:44:58,957 --> 00:45:00,959 は~? 500 00:45:00,959 --> 00:45:03,962 お願いします。 501 00:45:03,962 --> 00:45:09,968 (白井・黒田) マノックモア・ディスティラリー。 502 00:45:09,968 --> 00:45:12,971 マスター? これって? 503 00:45:12,971 --> 00:45:15,971 2本とも マノックモア・ディスティラリー。 504 00:45:18,977 --> 00:45:22,981 つまり マノックモア蒸留所と 書かれています。 505 00:45:22,981 --> 00:45:25,984 ってことは? つまり? 506 00:45:25,984 --> 00:45:33,925 ロッホデュー マノックモア 2つとも 同じ蒸留所で造られています。 507 00:45:33,925 --> 00:45:39,931 そうだったのね。 そういうことだったのか。 508 00:45:39,931 --> 00:45:43,935 お二人も 同じじゃないでしょうかね。 509 00:45:43,935 --> 00:45:45,937 (白井・黒田)えっ? お二人とも さすが 510 00:45:45,937 --> 00:45:47,939 ライターでいらっしゃる。 511 00:45:47,939 --> 00:45:49,941 いつでも メモが取れるように 512 00:45:49,941 --> 00:45:52,941 胸のポケットに ペンを挿してらっしゃいます。 513 00:45:54,946 --> 00:45:56,948 白と黒。 514 00:45:56,948 --> 00:46:01,948 色は違っても まったく同じ文字が 刻まれてますよね。 515 00:46:05,957 --> 00:46:12,964 お二人は 同じ大学の 同じゼミ生だったんですね。 516 00:46:12,964 --> 00:46:17,969 そうだったんだ。 同じ大学とは聞いてたけど。 517 00:46:17,969 --> 00:46:21,973 そして お二人とも 学生時代のペンを 518 00:46:21,973 --> 00:46:25,977 いまだに 大切に使ってらっしゃる。 519 00:46:25,977 --> 00:46:27,979 そういうことを お見受けしてると 520 00:46:27,979 --> 00:46:32,917 お二人にとって 忘れることのできない 521 00:46:32,917 --> 00:46:35,917 まさに 原点なんじゃないでしょうか。 522 00:46:39,924 --> 00:46:45,930 灰谷先生が 俺たちに それぞれ 白と黒のペンをくれたんだよな。 523 00:46:45,930 --> 00:46:50,930 ええ。 ペンは全ての壁を超える。 524 00:46:53,938 --> 00:46:57,942 灰谷教授の口癖だったわね。 525 00:46:57,942 --> 00:47:02,947 (白井)俺は その思いで ずっと 必死にやって来たんだ。 526 00:47:02,947 --> 00:47:06,951 俺のペンで 立場や境遇の壁を超えて 527 00:47:06,951 --> 00:47:09,954 みんなを感動させたいと。 528 00:47:09,954 --> 00:47:11,954 あたしだって同じよ。 529 00:47:18,963 --> 00:47:20,963 ちょっと待て。 530 00:47:23,968 --> 00:47:25,970 教授の名前 灰谷だって? 531 00:47:25,970 --> 00:47:29,991 ええ。 それが? 532 00:47:29,991 --> 00:47:32,910 グレーじゃないですか。 533 00:47:32,910 --> 00:47:35,913 あら。 そういえば。 534 00:47:35,913 --> 00:47:41,919 (一同)ハハハハハ! 535 00:47:41,919 --> 00:47:45,923 白いお酒と黒いお酒を造る。 536 00:47:45,923 --> 00:47:48,926 伝統を重んじる シングルモルトの世界においては 537 00:47:48,926 --> 00:47:50,928 異色の試みです。 538 00:47:50,928 --> 00:47:55,928 奇をてらってと非難されたことも あるでしょうね。 539 00:47:59,937 --> 00:48:03,941 まるで あたしたちみたいね。 まったくだ。 540 00:48:03,941 --> 00:48:05,943 でも その裏には 541 00:48:05,943 --> 00:48:08,946 どんなことをしてでも おいしいお酒を造って 542 00:48:08,946 --> 00:48:11,949 人々に感動してもらいたい。 543 00:48:11,949 --> 00:48:15,953 そういう切実な思いが あったんじゃないでしょうかね。 544 00:48:15,953 --> 00:48:19,957 そんな思いのもとで造った お酒だからこそ 545 00:48:19,957 --> 00:48:22,957 両方とも こんなに おいしいんですよ。 546 00:48:27,965 --> 00:48:30,902 マスター。 あたしにも 白いモルト ちょうだい。 547 00:48:30,902 --> 00:48:32,904 俺にも 黒いモルトを。 548 00:48:32,904 --> 00:48:35,904 はい! 喜んで。 549 00:48:53,925 --> 00:48:55,927 何だ~。 550 00:48:55,927 --> 00:48:59,931 白も 結構 いけるじゃねえか。 551 00:48:59,931 --> 00:49:02,934 確かに 黒も おいしいですね。 552 00:49:02,934 --> 00:49:06,938 (白井・黒田)ハハハハ。 553 00:49:06,938 --> 00:49:08,940 ありがとね マスター。 助かったよ。 554 00:49:08,940 --> 00:49:12,944 いやいや たまたま いいお酒が あっただけです。 555 00:49:12,944 --> 00:49:14,946 マスターらしいな。 556 00:49:14,946 --> 00:49:18,950 (黒田)ふざけないでよ。 史上最高の名馬? 557 00:49:18,950 --> 00:49:21,953 そんなの 漆黒の弾丸 ナリタブライアンに決まってるでしょ。 558 00:49:21,953 --> 00:49:27,959 何 言ってやがる。 芦毛の怪物 オグリキャップだろうが。 559 00:49:27,959 --> 00:49:29,977 (黒田)甘い 甘い。 560 00:49:29,977 --> 00:49:34,899 駄目だ こりゃ。 ハハ さすがに私もお手上げです。 561 00:49:34,899 --> 00:49:37,902 しかし 少し うらやましくもあるな。 562 00:49:37,902 --> 00:49:42,907 あそこまで ぶつかり合える相手がいるなんて。 563 00:49:42,907 --> 00:49:45,910 クロマティ。 564 00:49:45,910 --> 00:49:47,912 だね。 (白井)同じ外野手でいました。 565 00:49:47,912 --> 00:49:52,917 (白井)ホワイト。 いたか~! 566 00:49:52,917 --> 00:49:57,917 (白井)ホワイトは よかったな。 いい選手だった。 567 00:50:00,925 --> 00:50:03,928 じゃあ 相撲でいったら…。 568 00:50:03,928 --> 00:50:06,928 (白井)白鵬! うわ~! 569 00:50:10,935 --> 00:50:13,938 今夜も BAR レモンハートに お越しいただき 570 00:50:13,938 --> 00:50:15,940 ありがとうございました。 571 00:50:15,940 --> 00:50:20,940 では 今夜 登場したお酒を あらためて ご紹介いたします。 572 00:50:24,949 --> 00:50:29,921 イギリス ロンドンの伝統的なジン ビーフィーターで有名な 573 00:50:29,921 --> 00:50:33,791 ジェームズ・バロー社の フレーバード・ジンです。 574 00:50:33,791 --> 00:50:37,795 従来のドライで 鋭い切れのあるジンとは異なり 575 00:50:37,795 --> 00:50:45,803 洋なしの様な華やかな香りと なめらかで繊細な味わいが特徴。 576 00:50:45,803 --> 00:50:48,806 クールで涼しげな ブルーのラベルに 577 00:50:48,806 --> 00:50:52,810 シルバーのしずくに包まれた ビーフィーターマークが 578 00:50:52,810 --> 00:50:56,814 お洒落なアクセントに なっています。 579 00:50:56,814 --> 00:51:00,818 お酒のラベルは 一本一本 個性豊か。 580 00:51:00,818 --> 00:51:04,822 ラベルを眺めながら お酒を味わうのも 581 00:51:04,822 --> 00:51:06,822 また一興ですよ。 582 00:51:08,826 --> 00:51:10,828 では また 次回。 583 00:51:10,828 --> 00:51:13,828 BAR レモンハートで お待ちしております。 584 00:51:50,901 --> 00:51:53,904 「何で 彼女との約束 忘れて 仕事なんて入れちゃったんだろう」 585 00:51:53,904 --> 00:51:55,906 この男 とにかく忘れっぽい。 586 00:51:55,906 --> 00:51:58,906 誕生日を忘れられ 怒る妻。 587 00:52:00,911 --> 00:52:03,914 そんな夫が妻に とあるシャンパンをプレゼント。 588 00:52:03,914 --> 00:52:09,920 「あらためて お誕生日おめでとう」 589 00:52:09,920 --> 00:52:11,920 妻の機嫌は直るのか?