1 00:00:11,248 --> 00:00:17,121 <心の中で思うだけでは 気持ちは届きません。➡ 2 00:00:17,121 --> 00:00:25,421 こんな時こそ 本当は 立ち止まるべきなのです> 3 00:00:33,237 --> 00:00:38,109 <時は幕末 所はお江戸。 国元に愛しい妻子を残し➡ 4 00:00:38,109 --> 00:00:40,745 この江戸にまかり越した 酒田伴四郎。➡ 5 00:00:40,745 --> 00:00:46,250 鶏鍋屋で出会った中間は なんと 高野藩藩主 松平茂照であった。➡ 6 00:00:46,250 --> 00:00:49,754 そんな事とは つゆ知らず 無礼を働いてしまった伴四郎。➡ 7 00:00:49,754 --> 00:00:52,790 その運命や いかに> 8 00:00:52,790 --> 00:00:54,790 (茂照)また会ったな。 9 00:00:56,527 --> 00:00:59,527 忘れたとは言わせんぞ。 10 00:01:04,602 --> 00:01:08,439 (伴四郎)我が殿は こんなふうじゃ きっと。 11 00:01:08,439 --> 00:01:11,939 殿様が 哀れで惨めと。 12 00:01:13,611 --> 00:01:17,948 ♬~ 13 00:01:17,948 --> 00:01:20,248 ああ~っ! 14 00:01:22,286 --> 00:01:27,158 わしが 哀れで惨めな殿様じゃ。 15 00:01:27,158 --> 00:01:31,896 (平三)伴四郎は 今頃 どうしておるかのう。 16 00:01:31,896 --> 00:01:35,766 殿は 伴四郎の茶粥を さぞ喜んだという。 17 00:01:35,766 --> 00:01:39,403 (五郎右衛門)褒美の一つも 頂いておるかもしれませぬね。 18 00:01:39,403 --> 00:01:44,742 褒美で済むか! 出世じゃ! アハハ! 19 00:01:44,742 --> 00:01:48,579 実にうまい茶粥だった。 20 00:01:48,579 --> 00:01:53,751 あっ… お褒めの言葉 ありがたく頂戴致します! 21 00:01:53,751 --> 00:01:58,255 しかし それはそれ これはこれ。 22 00:01:58,255 --> 00:02:02,093 己の藩主を 哀れで惨めだと? 23 00:02:02,093 --> 00:02:05,930 死人同然など よく申せたな。 死人などと! 24 00:02:05,930 --> 00:02:10,101 そこまでは申しておりません。 同じ事じゃ。 25 00:02:10,101 --> 00:02:13,771 そう… わしは地獄行きか。 26 00:02:13,771 --> 00:02:18,609 いや めっそうもございません! 極楽行きにございます! 27 00:02:18,609 --> 00:02:23,280 ほれ見ろ。 結局殺すのではないか。 え~? 28 00:02:23,280 --> 00:02:25,216 あの茶粥も 元はといえば➡ 29 00:02:25,216 --> 00:02:29,153 わしが干物を献上したのが 始まりじゃ。 30 00:02:29,153 --> 00:02:32,089 腹痛の原因を 作っただけではありませぬか。 31 00:02:32,089 --> 00:02:35,392 伴四郎は その尻拭いを させられたのですぞ。 32 00:02:35,392 --> 00:02:38,062 計算のうちじゃ! 計算? 33 00:02:38,062 --> 00:02:40,965 計算! さすが わしじゃ。 34 00:02:40,965 --> 00:02:43,567 わしが腹痛を引き起こし 伴四郎が挽回する。 35 00:02:43,567 --> 00:02:48,739 結果 殿を満足させ 伴四郎は出世。 そして わしも。 36 00:02:48,739 --> 00:02:54,245 茶粥は 伴四郎の手柄です。 わしは やつの親代わりだぞ。 37 00:02:54,245 --> 00:03:00,050 伴四郎の手柄は わしの手柄。 伴四郎の出世は わしの出世。 38 00:03:00,050 --> 00:03:04,889 あれは 20年前の冬。 39 00:03:04,889 --> 00:03:10,261 病に倒れた我が姉 佳代に 幼い伴四郎を託され➡ 40 00:03:10,261 --> 00:03:12,596 わしが… わしこそが➡ 41 00:03:12,596 --> 00:03:16,467 この子を立派な武士にすると この心に誓ったのじゃ。 42 00:03:16,467 --> 00:03:21,939 親類ともども 島流しにでもされてみるか? 43 00:03:21,939 --> 00:03:26,811 それとも 潔く腹を切るか? 44 00:03:26,811 --> 00:03:28,813 えっ? 45 00:03:28,813 --> 00:03:31,749 選べ! 酒田伴四郎! 46 00:03:31,749 --> 00:03:33,749 え…。 47 00:03:36,587 --> 00:03:39,890 殿。 どうした? 48 00:03:39,890 --> 00:03:45,763 お千代の方様のご様子が…。 またか…。 49 00:03:45,763 --> 00:03:48,263 分かった。 すぐに向かう。 50 00:03:51,502 --> 00:03:55,802 今日のところは下がってもよいぞ。 はっ。 51 00:04:00,077 --> 00:04:05,877 くれぐれも 町であった事は 他言無用じゃ。 はい。 52 00:04:10,788 --> 00:04:18,929 ♬~(歌声) 53 00:04:18,929 --> 00:04:24,802 ♬~(歌声) 54 00:04:24,802 --> 00:04:27,104 ≪千代。 55 00:04:27,104 --> 00:04:29,607 入るぞ。 ≪(千代)いけません。 56 00:04:29,607 --> 00:04:34,211 何を ふさいでおる。 足の具合が まだ悪いのか? 57 00:04:34,211 --> 00:04:36,881 もう 痛みはありません。 58 00:04:36,881 --> 00:04:40,551 では なぜ引きこもる? せめて 訳を言え。 59 00:04:40,551 --> 00:04:42,486 訳などありません!➡ 60 00:04:42,486 --> 00:04:47,224 気がふさぐ事など 誰にでもありましょう? 61 00:04:47,224 --> 00:04:49,560 食事は? 62 00:04:49,560 --> 00:04:52,229 ああ 殿 こちらにおられましたか。 63 00:04:52,229 --> 00:04:54,164 今度は何じゃ? 64 00:04:54,164 --> 00:04:58,569 評定の刻限でございます。 重役衆が お待ちで。 65 00:04:58,569 --> 00:05:01,472 すぐに向かう。 はっ。 66 00:05:01,472 --> 00:05:06,076 とにかく 何か食わせろ。 このままでは床に臥せってしまう。 67 00:05:06,076 --> 00:05:08,412 申しつけてはみますが➡ 68 00:05:08,412 --> 00:05:12,612 我が藩の賄方では 手に余るようで。 69 00:05:14,919 --> 00:05:16,854 どいつもこいつも…。 70 00:05:16,854 --> 00:05:19,790 時に日の光となり 伴四郎を導き➡ 71 00:05:19,790 --> 00:05:22,793 時に影となり 伴四郎を支える。 72 00:05:22,793 --> 00:05:26,931 そして 今やっと あのグズが殿に認められ…。 73 00:05:26,931 --> 00:05:28,866 ≪(戸が開く音) 74 00:05:28,866 --> 00:05:30,801 帰ってきた! 75 00:05:30,801 --> 00:05:32,801 あっ ずるい! 76 00:05:36,607 --> 00:05:40,210 伴四郎 どうじゃった!? 褒美は たんまり頂いたか? 77 00:05:40,210 --> 00:05:45,910 もちろん 出世じゃろ? 終わりだ。 もう おしまいだ。 78 00:05:48,552 --> 00:05:50,487 何があった? 79 00:05:50,487 --> 00:05:56,427 殿に失礼を働いた。 腹を切る事になるやもしれん。 80 00:05:56,427 --> 00:06:00,164 腹を? 説明せい! 81 00:06:00,164 --> 00:06:07,237 「高野藩の殿様は 哀れで惨めだ」と。 82 00:06:07,237 --> 00:06:09,173 殿に申したのか? 83 00:06:09,173 --> 00:06:12,873 バカな事を…。 伴四郎! 84 00:06:16,747 --> 00:06:18,782 何をしておる? 逃げます。 85 00:06:18,782 --> 00:06:21,251 こんな所で死ぬ訳にはいかない。 86 00:06:21,251 --> 00:06:23,754 お主が逃げれば わしの責任になる。 87 00:06:23,754 --> 00:06:26,256 そんな事は許さんぞ! こんな所で死にたくない! 88 00:06:26,256 --> 00:06:28,192 わしだって死にたくない! 89 00:06:28,192 --> 00:06:32,062 お主の罪は 叔父である わしの罪でもあるのじゃぞ! 90 00:06:32,062 --> 00:06:36,533 この 大うつけが! 落ち着きなされ! 91 00:06:36,533 --> 00:06:41,405 殿が本気であれば 伴四郎は もう この世にはおらん。 92 00:06:41,405 --> 00:06:46,210 帰されたのなら 時を急ぐ気もないのだろう。 93 00:06:46,210 --> 00:06:48,145 なるほど。 94 00:06:48,145 --> 00:06:52,082 確かに そうじゃな。 安心して休め 伴四郎。 95 00:06:52,082 --> 00:06:56,082 藩邸へは 日を改めて 謝罪へ伺おう。 96 00:06:59,757 --> 00:07:13,757 ♬~ 97 00:07:19,109 --> 00:07:24,915 ≪(平三)伴四郎。 起きろ 伴四郎。 お主に客じゃ。 98 00:07:24,915 --> 00:07:27,251 客? 99 00:07:27,251 --> 00:07:31,251 …ったく いつまで寝とるんじゃ。 100 00:07:35,059 --> 00:07:40,798 ん? 帯の留め方が でたらめじゃ。 …ったく みっともない。 101 00:07:40,798 --> 00:07:45,298 いや かたじけない。 いや 構わん。 102 00:07:50,207 --> 00:07:52,142 今のは? 103 00:07:52,142 --> 00:07:56,880 我が叔父 宇治井平三にございます。 104 00:07:56,880 --> 00:07:58,816 そろいもそろって…。 105 00:07:58,816 --> 00:08:01,116 (くしゃみ) 106 00:08:06,557 --> 00:08:09,059 あの ど… どうぞ。 107 00:08:09,059 --> 00:08:11,895 構わんでよい。 108 00:08:11,895 --> 00:08:15,566 あ~ 狭いのう。 109 00:08:15,566 --> 00:08:20,904 あの~ 今日は どういったご用件で…。 110 00:08:20,904 --> 00:08:26,243 切腹でしたら これから ちょっと用事がありまして…。 111 00:08:26,243 --> 00:08:32,015 その切腹の前に お主に 挽回の機会をやろうと思ってな。 112 00:08:32,015 --> 00:08:35,515 許して頂けるのですか? 113 00:08:38,355 --> 00:08:43,694 わしの奥方 千代の事なんじゃが➡ 114 00:08:43,694 --> 00:08:47,030 最近 どうも 気分が すぐれんようで➡ 115 00:08:47,030 --> 00:08:51,869 部屋から出ようとせんのじゃ。 奥方様が。 116 00:08:51,869 --> 00:08:54,371 まあ 放っておいても構わんのだが➡ 117 00:08:54,371 --> 00:08:59,543 家臣どもが気をもんで 屋敷の空気も よどんで感じる。 118 00:08:59,543 --> 00:09:03,213 奥方のわがままに 家臣を巻き込むなど➡ 119 00:09:03,213 --> 00:09:08,719 藩主として あるまじき事。 なんとかせんとな。 120 00:09:08,719 --> 00:09:12,589 さぞ ご心配でしょうな。 いや…。 121 00:09:12,589 --> 00:09:16,460 奥方様を案ずるお気持ち よ~く分かります。 122 00:09:16,460 --> 00:09:20,898 いや 案じてなどおらん。 123 00:09:20,898 --> 00:09:24,568 ただ 家臣の士気にも 関わる事であるからのう。 124 00:09:24,568 --> 00:09:29,072 私にも 国元に残した妻がおります。 125 00:09:29,072 --> 00:09:33,677 娘と2人 さみしい我が家で ふさいではいまいか➡ 126 00:09:33,677 --> 00:09:36,346 気が気でなりません。 127 00:09:36,346 --> 00:09:39,383 何か 心当たりなど おありでしょうか? 128 00:09:39,383 --> 00:09:46,690 先日 屋敷の階段を踏み外し 足をくじいてからというもの➡ 129 00:09:46,690 --> 00:09:49,026 どうも 気持ちが ふさいでおるようじゃ。 130 00:09:49,026 --> 00:09:53,530 千代は 昔から 抜けたとこがあるでのう。 131 00:09:53,530 --> 00:09:55,465 私の妻 すずなどは➡ 132 00:09:55,465 --> 00:10:00,404 右の頬を やぶ蚊に刺され 腫れが引くまで ずっと不機嫌で。 133 00:10:00,404 --> 00:10:06,243 アハハハ 女というのは…。 全くです。 134 00:10:06,243 --> 00:10:10,881 それに わしには子がおらん。 135 00:10:10,881 --> 00:10:17,221 跡継ぎにと養子を迎えはしたが 思うように心が通わず➡ 136 00:10:17,221 --> 00:10:21,892 その事で 千代の心労も 増しておるのだろう。 137 00:10:21,892 --> 00:10:23,827 なるほど。 138 00:10:23,827 --> 00:10:25,827 そうなのじゃ。 139 00:10:28,765 --> 00:10:31,602 お主と話しておると 調子 狂うな。 140 00:10:31,602 --> 00:10:34,471 出過ぎたまねを… 失礼しました! 141 00:10:34,471 --> 00:10:39,309 とにかく 頼みは一つじゃ。 わしにしたように➡ 142 00:10:39,309 --> 00:10:43,180 千代にも 何か気の晴れる料理を 作ってくれんか? 143 00:10:43,180 --> 00:10:45,916 いやいやいや… 私は衣紋方でありますし➡ 144 00:10:45,916 --> 00:10:49,786 料理の事は全く…。 わしの頼みが聞けぬと申すか? 145 00:10:49,786 --> 00:10:54,591 私には荷が重うございます。 お断りさせて頂きます。 146 00:10:54,591 --> 00:10:57,427 では いよいよ 腹を切ると申すのだな? 147 00:10:57,427 --> 00:11:01,265 分かった。 いや それは ちょっと…。 148 00:11:01,265 --> 00:11:03,265 頼んだぞ。 149 00:11:06,136 --> 00:11:08,136 いや~。 150 00:11:11,608 --> 00:11:14,645 <「おめえら 聞いたか? 高野の奥方様が➡ 151 00:11:14,645 --> 00:11:18,115 床に臥せってるってよ」。 「いや 足が悪くて➡ 152 00:11:18,115 --> 00:11:22,286 出歩けねえって話だぜ」。 「いやいや あっこは年中財政難。➡ 153 00:11:22,286 --> 00:11:25,322 奥方様ともあろうお人が ぜいたくも ままならねえんじゃ➡ 154 00:11:25,322 --> 00:11:29,960 病気にもならぁな」。 「財政難なら うちも負けてねえんだが➡ 155 00:11:29,960 --> 00:11:34,231 こっちのかかあは ピンピンしてやがる。 アハハハ」> 156 00:11:34,231 --> 00:11:38,402 何か食わせろって 随分 乱暴な申しつけだねぇ。 157 00:11:38,402 --> 00:11:40,437 (庄兵衛) 殿も焦っておられるのでしょう。 158 00:11:40,437 --> 00:11:43,273 うちだけではなく 再び あの衣紋方にも➡ 159 00:11:43,273 --> 00:11:46,743 膳の用意を頼んだらしく…。 酒田伴四郎に? 160 00:11:46,743 --> 00:11:50,580 殿は 例の茶粥が 大層 気に入ったようで。 161 00:11:50,580 --> 00:11:56,386 川原屋の仕出しは たかが茶粥の 一杯にも劣るって事ですか。 162 00:11:56,386 --> 00:12:00,090 こりゃ 取り引きを切られるのも 時間の問題だねぇ。 163 00:12:00,090 --> 00:12:03,960 割を食ったのは 賄方も同じ。 衣紋方の若造に➡ 164 00:12:03,960 --> 00:12:07,597 食事の事で 一杯 食わされた ままでは 立場がない。 165 00:12:07,597 --> 00:12:09,933 今回の申しつけにも 応えられねば➡ 166 00:12:09,933 --> 00:12:13,270 殿の信頼を失う事は 避けられぬかと。 167 00:12:13,270 --> 00:12:16,940 あら? おびえておいでですか? えっ? 168 00:12:16,940 --> 00:12:19,609 殿様の胃袋は つかみ損ねても➡ 169 00:12:19,609 --> 00:12:24,909 奥方様の胃袋なら うちが がっちり つかんでみせましょ。 170 00:12:27,117 --> 00:12:33,223 では あの時の中間が? え~っと… 藩からの使いです。 171 00:12:33,223 --> 00:12:38,095 奥方様のために 気の晴れる料理を作れと。 うん。 172 00:12:38,095 --> 00:12:41,095 できねば 腹をと? 173 00:12:42,933 --> 00:12:46,737 だったら なんとかせい! いや 何ともなりません! 174 00:12:46,737 --> 00:12:50,907 私は衣紋方です。 茶粥だって まぐれです。 175 00:12:50,907 --> 00:12:56,907 失敗すれば 結局 腹を切る事になるのですよ。 176 00:12:59,416 --> 00:13:03,920 わしに よい考えがある。 177 00:13:03,920 --> 00:13:05,856 え~? 178 00:13:05,856 --> 00:13:19,770 ♬~ 179 00:13:19,770 --> 00:13:25,275 あのグズ 伴四郎に 奥方様を満足させる事など不可能。 180 00:13:25,275 --> 00:13:30,147 仕出し「川原屋」のお菊殿のお力を 是非 貸して頂けないかと。 181 00:13:30,147 --> 00:13:34,718 助太刀する義理なんてないよ。 今や商売敵なんだ。 182 00:13:34,718 --> 00:13:36,653 敵… ですか? 183 00:13:36,653 --> 00:13:39,890 奥方様にお出しするお膳は うちでも引き受けたんだ。 184 00:13:39,890 --> 00:13:45,061 殿様じきじきに 是非にと頼まれてね。 なるほど。 185 00:13:45,061 --> 00:13:50,261 聞こえたろ? さっさと 帰っておくれよ。 仕事のお邪魔。 186 00:13:52,402 --> 00:13:55,202 私に いい考えがあります。 187 00:13:57,240 --> 00:14:00,911 本当に このまま 江戸を離れてもよいのですか? 188 00:14:00,911 --> 00:14:03,413 構わん! しかし➡ 189 00:14:03,413 --> 00:14:05,449 先ほどまで 「逃げるな。 なんとかしろ」と…。 190 00:14:05,449 --> 00:14:09,286 うるさい! 国元へ戻り すずと はなを連れ➡ 191 00:14:09,286 --> 00:14:14,758 少しでも遠くへ逃げろ。 あとは わしに任せるのだ。 192 00:14:14,758 --> 00:14:18,595 しかし 脱藩などしては どんな目に遭うか…。 193 00:14:18,595 --> 00:14:21,431 追っ手につかまれば 結局は死ぬ事になるのですぞ。 194 00:14:21,431 --> 00:14:24,931 江戸で死ぬよりは マシじゃろ 伴四郎。 195 00:14:27,237 --> 00:14:29,237 はい。 196 00:14:40,717 --> 00:14:46,523 達者で暮らせよ。 本当に大丈夫なのですね? 197 00:14:46,523 --> 00:14:50,427 ここにいてもらっては困るのじゃ。 はっ? 198 00:14:50,427 --> 00:14:52,429 川原屋のお菊さんも➡ 199 00:14:52,429 --> 00:14:56,566 奥方様に料理をお出しする事に なっておるらしい。 200 00:14:56,566 --> 00:15:03,440 お菊さんと伴四郎との勝負 あのグズに勝機はあるか? いえ。 201 00:15:03,440 --> 00:15:06,276 ならば お菊さんに賭けるほか なかろう。➡ 202 00:15:06,276 --> 00:15:09,913 伴四郎には やつのお望みどおり 逃げ出してもらう。 203 00:15:09,913 --> 00:15:14,751 我々は 伴四郎を消す事で お菊さんと手を組む。 204 00:15:14,751 --> 00:15:18,922 敵のいなくなったお菊さんは 最悪でも不戦勝。 205 00:15:18,922 --> 00:15:23,593 我々も お菊さんと共に 殿に認められ 褒美を頂く。 206 00:15:23,593 --> 00:15:27,764 いや 出世もあるな。 なんて卑劣な。 207 00:15:27,764 --> 00:15:31,434 ならば お主 ほかに 伴四郎を助ける方法はあるのか? 208 00:15:31,434 --> 00:15:33,370 それはそうですが…。 負ければ➡ 209 00:15:33,370 --> 00:15:36,870 腹を切る事になるやも しれんのだぞ。 210 00:15:44,014 --> 00:15:47,814 さすが わしじゃ。 211 00:16:08,071 --> 00:16:11,071 (銅鑼の音) 212 00:16:13,877 --> 00:16:16,246 追っ手が来ませんように。 213 00:16:16,246 --> 00:16:24,246 無事に国元に帰れますように。 すず はな 待っておれよ。 214 00:16:27,757 --> 00:16:32,257 (すず)よっ。 (はな)母上 できた! 215 00:16:37,033 --> 00:16:39,033 よし。 216 00:16:42,205 --> 00:16:45,205 お足元にお気を付け下さい お千代様。 217 00:16:56,553 --> 00:17:03,426 先日 屋敷の階段を踏み外し 足をくじいてからというもの➡ 218 00:17:03,426 --> 00:17:06,896 どうも 気持ちが ふさいでおるようじゃ。 219 00:17:06,896 --> 00:17:46,896 ♬~ 220 00:17:48,872 --> 00:17:51,541 <何かに気付いた伴四郎。➡ 221 00:17:51,541 --> 00:17:55,541 この苦境をどうする? どうする?> 222 00:17:58,715 --> 00:18:02,886 与一 菜の花の準備して。 (与一)へい。 223 00:18:02,886 --> 00:18:22,906 ♬~ 224 00:18:22,906 --> 00:18:24,841 お~。 225 00:18:24,841 --> 00:18:27,777 さすが お菊さんの料理は 華やかですな。 226 00:18:27,777 --> 00:18:31,414 味がよけりゃ十分なんてのは 男の理屈。 227 00:18:31,414 --> 00:18:33,383 なるほど。 お邪魔。 228 00:18:33,383 --> 00:18:36,853 オホホホ なるほど。 229 00:18:36,853 --> 00:18:39,522 酒田伴四郎を よそへ やってくれなんて➡ 230 00:18:39,522 --> 00:18:42,559 誰も頼んでやしないのに。 231 00:18:42,559 --> 00:18:45,695 その辺の ど素人に うちが負ける訳がないんだよ。 232 00:18:45,695 --> 00:18:48,732 しかし 万が一の事があっては 困りましょう? 233 00:18:48,732 --> 00:18:53,369 仕出し「川原屋」の今後を思えば 念には念を入れて損はない。 234 00:18:53,369 --> 00:18:57,207 お菊さん 奥方様を満足させた暁には➡ 235 00:18:57,207 --> 00:19:02,879 我々の尽力もあっての事だと 是非 殿に お伝え願いたい。 236 00:19:02,879 --> 00:19:07,751 本当に伴四郎の事はいいのだな? 構わん。 237 00:19:07,751 --> 00:19:14,051 人間には 向き不向きがある。 武士に向かない人間もおるのだ。 238 00:19:16,426 --> 00:19:18,428 伴四郎! 239 00:19:18,428 --> 00:19:21,564 な… なぜ戻ってきた!? 240 00:19:21,564 --> 00:19:27,070 分かったんです。 奥方様が 本当は 何を気に病んでいるのか。 241 00:19:27,070 --> 00:19:30,907 何を今更… 下手を打てば切腹じゃぞ! 242 00:19:30,907 --> 00:19:36,179 切腹…。 見てみたいもんだね。 243 00:19:36,179 --> 00:19:39,082 うちより上等なもんが 作れるって事だろ? 244 00:19:39,082 --> 00:19:41,782 自信があるなら見せておくれよ。 245 00:19:43,520 --> 00:19:47,820 腹をくくれ 伴四郎。 よくぞ戻ってきた。 246 00:19:53,863 --> 00:20:05,575 ♬~ 247 00:20:05,575 --> 00:20:10,413 伴様 筍の大きさは そろえて下さいね。 248 00:20:10,413 --> 00:20:14,884 まばらでは 火の通りまで まばらになってしまいます。 249 00:20:14,884 --> 00:20:18,221 そうだったな。 250 00:20:18,221 --> 00:20:25,562 お水の量は いつもと同じ。 伴様の手だと この辺り。 251 00:20:25,562 --> 00:20:30,233 なるほど。 ここだな? 分かった。 252 00:20:30,233 --> 00:20:36,105 ♬~ 253 00:20:36,105 --> 00:20:38,741 (すず)蛤は煮過ぎると かたくなります。 254 00:20:38,741 --> 00:20:42,941 口が開いたら すぐに取り出して下さい。 255 00:20:45,915 --> 00:20:47,915 おっ。 256 00:20:50,787 --> 00:20:53,256 よし。 257 00:20:53,256 --> 00:20:58,094 汁を煮詰めたら 塩と醤油で味を調えて。 258 00:20:58,094 --> 00:21:01,931 そろそろ ごはんが いいころですよ。 259 00:21:01,931 --> 00:21:12,108 ♬~ 260 00:21:12,108 --> 00:21:15,144 蛤の身を載せて 木の芽を散らします。 261 00:21:15,144 --> 00:21:18,882 筍の香りに蛤のお味を。 262 00:21:18,882 --> 00:21:26,623 ♬~ 263 00:21:26,623 --> 00:21:28,623 出来た! 264 00:21:38,902 --> 00:21:41,102 運んでまいれ。 265 00:21:49,913 --> 00:21:52,913 千代のために作らせた膳じゃ。 266 00:22:06,930 --> 00:22:09,599 奥方様のお眼鏡にかなうよう➡ 267 00:22:09,599 --> 00:22:13,899 より華やかな食材を ご用意させて頂きました。 268 00:22:17,106 --> 00:22:20,906 どうした? 好きに食うがよい。 269 00:22:53,576 --> 00:22:56,412 伴四郎 何をした? 270 00:22:56,412 --> 00:22:58,748 食欲を増進するため➡ 271 00:22:58,748 --> 00:23:03,252 香りのよい献立 筍飯の蛤汁かけを ご用意しました。 272 00:23:03,252 --> 00:23:06,923 香り? どういう事じゃ? 273 00:23:06,923 --> 00:23:13,223 奥方様は 目を患っておいででは ないでしょうか。 274 00:23:15,264 --> 00:23:19,602 やはり。 どうして分かった? 275 00:23:19,602 --> 00:23:25,408 奥方様がお参りになったあとの 撫で仏を 私も撫でてみたのです。 276 00:23:25,408 --> 00:23:32,882 すると 足ではなく 目にぬくもりが残っておりました。 277 00:23:32,882 --> 00:23:35,785 階段を踏み外し けがをされたというのも➡ 278 00:23:35,785 --> 00:23:39,756 十分に目が見えなかったからでは ないかと。 279 00:23:39,756 --> 00:23:44,056 千代 なぜ黙っておった? 280 00:23:46,429 --> 00:23:50,433 藩のため 日々お忙しい殿に➡ 281 00:23:50,433 --> 00:23:54,170 ご心配をおかけする訳には いきません。 282 00:23:54,170 --> 00:23:58,574 かといって これまでどおりに 振る舞おうとしても➡ 283 00:23:58,574 --> 00:24:03,413 思うように見えず けがをする始末。 284 00:24:03,413 --> 00:24:06,749 引きこもる事しか できませんでした。 285 00:24:06,749 --> 00:24:11,254 気付かなかった。 目先の事にとらわれて➡ 286 00:24:11,254 --> 00:24:15,954 千代に 味気ない思いを させていようとは…。 287 00:24:21,264 --> 00:24:26,964 わしも この川原屋の膳と同じじゃ。 288 00:24:29,005 --> 00:24:33,843 では 殿 奥方様のために 女中の数を増やしましょう。 289 00:24:33,843 --> 00:24:35,843 要らん。 290 00:24:37,713 --> 00:24:40,550 千代は見えんでも わしは見えておる。 291 00:24:40,550 --> 00:24:42,485 わしが助けになろう。 292 00:24:42,485 --> 00:24:46,889 いや しかし 殿も お忙しいお立場にございますし➡ 293 00:24:46,889 --> 00:24:50,760 やはり 女中を…。 要らんと言ったら要らん。 294 00:24:50,760 --> 00:24:54,260 どいつもこいつも 頭の堅いやつらばかりじゃ。 295 00:25:01,437 --> 00:25:05,908 本当に おいしい。 目が不自由になり➡ 296 00:25:05,908 --> 00:25:09,245 なんとも味気ない食事が 続いておりました。 297 00:25:09,245 --> 00:25:14,117 しかし これは 口の中に香りが広がって➡ 298 00:25:14,117 --> 00:25:18,817 野山の芽吹きが 目に浮かぶようです。 299 00:25:20,756 --> 00:25:23,259 では わしも頂こう。 300 00:25:23,259 --> 00:25:47,884 ♬~ 301 00:25:47,884 --> 00:25:51,220 (笑い声) 302 00:25:51,220 --> 00:26:07,570 ♬~ 303 00:26:07,570 --> 00:26:13,376 酒田伴四郎 見事であった。 304 00:26:13,376 --> 00:26:17,914 褒美を取らす。 何が望みじゃ? え~…。 305 00:26:17,914 --> 00:26:20,750 それとも 出世か? 306 00:26:20,750 --> 00:26:23,586 いえ。 私の望みは➡ 307 00:26:23,586 --> 00:26:29,759 藩邸に 今後も仕出し「川原屋」との 取り引きを続けて頂く事です。 308 00:26:29,759 --> 00:26:35,531 こう何度も呼び出されては 衣紋方の仕事に支障が出ますゆえ。 309 00:26:35,531 --> 00:26:38,331 欲のない男じゃ。 310 00:26:45,541 --> 00:26:48,211 取り引きを切られなくて よかったですね。 311 00:26:48,211 --> 00:26:50,146 何 言ってんのさ。 312 00:26:50,146 --> 00:26:53,883 勝負に負けて 情けまで かけられちゃ おしまいだよ。 313 00:26:53,883 --> 00:26:59,583 恥かかせやがって… 酒田伴四郎。 314 00:27:04,527 --> 00:27:07,730 奥方様のご様子は いかがでしょうか? 315 00:27:07,730 --> 00:27:14,503 あの筍飯を食うてから 口数が増えて やかましい。 フフフ。 316 00:27:14,503 --> 00:27:17,440 お主のおかげじゃ。 317 00:27:17,440 --> 00:27:19,909 まあ 千代の事は もうよい。 318 00:27:19,909 --> 00:27:23,412 それより お主の方は どうなのじゃ? 319 00:27:23,412 --> 00:27:26,449 国元の妻が 床に臥せっておるのであろう? 320 00:27:26,449 --> 00:27:28,584 えっ? 321 00:27:28,584 --> 00:27:34,857 お主の叔父 あの…。 宇治井平三。 322 00:27:34,857 --> 00:27:39,528 昨日 その宇治井から 家臣に伝えがあった。 323 00:27:39,528 --> 00:27:44,033 妻の看病のため お主が しばらく 江戸を離れると聞かされたが。 324 00:27:44,033 --> 00:27:47,536 本当に このまま 江戸を離れてもよいのですか? 325 00:27:47,536 --> 00:27:49,572 構わん! しかし…。 326 00:27:49,572 --> 00:27:52,408 あとは わしに任せるのだ。 327 00:27:52,408 --> 00:27:55,711 あっ。 戻ってきたという事は➡ 328 00:27:55,711 --> 00:28:01,050 大事には至らなかったか。 はい。 329 00:28:01,050 --> 00:28:03,250 それは よかった。 330 00:28:08,791 --> 00:28:14,491 あっ これは。 また お主か。 暇なやつじゃのう。 331 00:28:18,901 --> 00:28:22,772 伴四郎! 今さっき 賄頭の庄兵衛から聞いたが➡ 332 00:28:22,772 --> 00:28:27,910 お主 殿からの褒美を 出世を断ったらしいな! 333 00:28:27,910 --> 00:28:32,181 出世などしては うかうか昼寝もできません。 334 00:28:32,181 --> 00:28:34,116 このグズが! 335 00:28:34,116 --> 00:28:37,520 大体 お主は 出世の意味を理解しておらん! 336 00:28:37,520 --> 00:28:39,855 出世は 己のみならず➡ 337 00:28:39,855 --> 00:28:42,758 その子 その孫にまで関わる 大事なんじゃ! 338 00:28:42,758 --> 00:28:45,194 いや そのひ孫…。 339 00:28:45,194 --> 00:28:48,864 「拝啓 すず殿 はな坊。➡ 340 00:28:48,864 --> 00:28:51,534 江戸は平和な町です。➡ 341 00:28:51,534 --> 00:28:56,205 しかし あなたたちのいない生活は 味気ない。➡ 342 00:28:56,205 --> 00:29:02,078 一日も早く 国元へ帰る事を 夢みております」。 343 00:29:02,078 --> 00:29:05,548 ♬~ 344 00:29:05,548 --> 00:29:10,219 ♬~ 345 00:29:10,219 --> 00:29:28,919 ♬~ 346 00:30:32,868 --> 00:30:36,739 待ったなしに やります! (拍手) 347 00:30:36,739 --> 00:30:43,579 昭和に風雲を巻き起こした 政治家 田中角栄。 348 00:30:43,579 --> 00:30:45,581 (スピーチ) 349 00:30:45,581 --> 00:30:48,083 (歓声と拍手) 350 00:30:48,083 --> 00:30:51,183 世界のコンピューターを変えた男… 351 00:30:54,290 --> 00:30:58,494 「寅次郎は これからまた あてもない旅に出ます」。 352 00:30:58,494 --> 00:31:02,694 そして 日本で一番愛された男…