1 00:00:13,995 --> 00:00:18,695 ほな またな。 2 00:00:21,870 --> 00:00:24,170 はい。 3 00:00:33,314 --> 00:00:35,984 <時は幕末 所はお江戸。➡ 4 00:00:35,984 --> 00:00:39,487 参勤交代で江戸に来た 酒田伴四郎。➡ 5 00:00:39,487 --> 00:00:42,991 殿様のお召し物を支度する 衣紋方ではありますが➡ 6 00:00:42,991 --> 00:00:45,660 仕事は少なく 暇ばかり。➡ 7 00:00:45,660 --> 00:00:49,531 今日は どんな問題に 首を突っ込むのやら…> 8 00:00:49,531 --> 00:00:51,533 菖蒲ヶ池にあがった心中遺体! 9 00:00:51,533 --> 00:00:57,272 満月の夜 双子橋の麓に現れる 辻斬りの正体が ついに判明した! 10 00:00:57,272 --> 00:00:59,572 あっ あっ あ~っ! 11 00:01:01,843 --> 00:01:05,180 (五郎右衛門)伴四郎 昼は 余り物で構わぬか? 12 00:01:05,180 --> 00:01:10,985 干物もメザシもないし…。 伴四郎 また寝ておるのか。 13 00:01:10,985 --> 00:01:15,890 伴四郎? どうした? 騒々しい。 14 00:01:15,890 --> 00:01:22,197 お主 もしや べ… 勉学を? 閉めてくれんか。 集中できん。 15 00:01:22,197 --> 00:01:26,701 急に どうした? 伴四郎! 国学か? 蘭学か? 16 00:01:26,701 --> 00:01:29,204 何にせよ やっと目覚めたか! 17 00:01:29,204 --> 00:01:31,973 化け猫だと? ん? 18 00:01:31,973 --> 00:01:37,779 恐ろしいのう。 こんな ちんまい猫が化けた途端に➡ 19 00:01:37,779 --> 00:01:41,779 八尺八寸の大きさで ニャ~ッ! 20 00:01:45,987 --> 00:01:51,659 く~だら~ん。 一瞬でも期待した 私が バカであった。 21 00:01:51,659 --> 00:01:55,659 (平三)五郎右衛門! 伴四郎! 一大事じゃ! 22 00:01:57,532 --> 00:02:02,370 ほれほれ ほれほれ ほれ。 そろいもそろって瓦版。 23 00:02:02,370 --> 00:02:05,507 宇治井殿 昼飯は? 食う。 一大事じゃ! 24 00:02:05,507 --> 00:02:07,442 心中ですか? 化け猫ですか? それとも…。 25 00:02:07,442 --> 00:02:10,942 そんな くだらん話ではない。 殿の事じゃ。 26 00:02:14,516 --> 00:02:18,353 こりゃ ただでは済まんぞ。 27 00:02:18,353 --> 00:02:33,635 ♬~ 28 00:02:33,635 --> 00:02:38,139 また なぜ 千代は ふさいでおるというのじゃ? 29 00:02:38,139 --> 00:02:42,810 ふさいでいるというよりも 心労で参っているといいますか…。 30 00:02:42,810 --> 00:02:48,310 心労? はあ。 清之助様の事で。 31 00:02:50,552 --> 00:02:56,357 あの子が何を考えているのか わらわには分かりません。 32 00:02:56,357 --> 00:03:00,995 聞けば 時に ふさぎ込む事もあれば➡ 33 00:03:00,995 --> 00:03:05,333 時に粗暴な振る舞いで わがまま放題。 34 00:03:05,333 --> 00:03:09,671 小姓たちも困り果てていると。 35 00:03:09,671 --> 00:03:15,476 あなたに対しても ぶしつけな 振る舞いがあると聞きましたが。 36 00:03:15,476 --> 00:03:18,379 わらわに子があれば➡ 37 00:03:18,379 --> 00:03:22,850 誰一人 胸を痛める事も なかったのでしょうね。 38 00:03:22,850 --> 00:03:29,023 何を言う。 子がないのは誰のせいでもない。 39 00:03:29,023 --> 00:03:35,630 それが定めであったという事じゃ。 気を病む事はない 千代よ。 40 00:03:35,630 --> 00:03:37,630 (ため息) 41 00:03:42,403 --> 00:03:44,403 (笑い声) 42 00:03:46,140 --> 00:03:49,177 何だ それは。 (原田)ははっ。 43 00:03:49,177 --> 00:03:53,877 町で このようなものが…。 44 00:03:57,485 --> 00:04:02,824 御落胤? えっ 隠し子? 殿に? どこに隠れておったのです? 45 00:04:02,824 --> 00:04:08,329 当人の居所こそ はっきりせんが 歌舞伎小屋で拾われたお守りに➡ 46 00:04:08,329 --> 00:04:10,999 高野藩で代々受け継がれる➡ 47 00:04:10,999 --> 00:04:12,934 着物のはぎれが 入っておったという。 48 00:04:12,934 --> 00:04:15,670 しかし 瓦版の伝える事です。 49 00:04:15,670 --> 00:04:21,009 はぎれ一つで 隠し子にまで 話が飛ぶとは 眉唾ですな。 50 00:04:21,009 --> 00:04:24,512 それに 大名に隠し子なんて 珍しい話ではないでしょう。 51 00:04:24,512 --> 00:04:27,415 事が 我が高野藩となれば 話が違う。 52 00:04:27,415 --> 00:04:29,384 殿には実子がおらん。 53 00:04:29,384 --> 00:04:31,953 跡継ぎにと迎えた 養子の清之助様は➡ 54 00:04:31,953 --> 00:04:35,623 殿に反発する重役衆が膳立てした いわば傀儡。 55 00:04:35,623 --> 00:04:37,959 殿との折り合いも よくないと聞く。 56 00:04:37,959 --> 00:04:43,631 そんな時に 隠し子など現れてみ。 お家騒動に発展するのは必至よ! 57 00:04:43,631 --> 00:04:46,534 ほう…。 おやめなさい! 58 00:04:46,534 --> 00:04:50,304 瓦版のでたらめに 踊らされるなんて みっともない。 59 00:04:50,304 --> 00:04:52,240 でたらめかどうか 分からんだろう。 60 00:04:52,240 --> 00:04:54,642 しかし 証明するすべも ないでしょう。 61 00:04:54,642 --> 00:04:58,642 それとも じかに殿様に聞きますか? ハハハ。 62 00:05:06,354 --> 00:05:13,828 え~ 何 何? 「高野藩主 茂照公に 御落胤」。 アハハ くだらん! 63 00:05:13,828 --> 00:05:19,000 実に くだらんぞ 惨助殿。 こんなバカな話があろうか。 64 00:05:19,000 --> 00:05:20,935 本当の話じゃ。 う~ん。 65 00:05:20,935 --> 00:05:25,673 瓦版というのは 本当に バカバカしい… え~っ!? 66 00:05:25,673 --> 00:05:29,010 本当なのですか!? 声が でかい。 67 00:05:29,010 --> 00:05:31,010 面目ない。 68 00:05:41,656 --> 00:05:44,492 よいか 伴四郎。 69 00:05:44,492 --> 00:05:52,333 これは 中間であるわしが ある筋から聞いた話じゃ。 70 00:05:52,333 --> 00:05:56,971 お主だから話すのだぞ。 あっ… はい。 71 00:05:56,971 --> 00:06:01,642 高野の殿様は 先代の実子ではなく➡ 72 00:06:01,642 --> 00:06:06,481 奥方である お千代の方に 婿入りして藩主となった。 73 00:06:06,481 --> 00:06:09,817 それは知っておるな? ええ。 74 00:06:09,817 --> 00:06:16,991 しかし それ以前に 殿には 心に決めた女と➡ 75 00:06:16,991 --> 00:06:21,662 その女との間に 男児が1人おったのじゃ。 76 00:06:21,662 --> 00:06:25,333 身分が違い 婚姻こそ かなわなかったが➡ 77 00:06:25,333 --> 00:06:31,005 殿様は その2人を 何より大切にしておった。 78 00:06:31,005 --> 00:06:34,976 では 殿が婿入りしてから 2人には? 79 00:06:34,976 --> 00:06:38,746 会っておらん。 会える訳もなかろう。 80 00:06:38,746 --> 00:06:42,283 一目会いたいとは 思わないのですか? 81 00:06:42,283 --> 00:06:47,955 それも大昔の話よ。 今は赤の他人。 82 00:06:47,955 --> 00:06:52,293 二度と会いとうないわ。 だんご食べんか? 83 00:06:52,293 --> 00:06:55,329 二度と会いたくないとは あんまりではありませんか? 84 00:06:55,329 --> 00:06:59,634 血のつながった子どもでしょう! あたるな。 85 00:06:59,634 --> 00:07:03,471 一介の中間であるわしには 関係のない話だ。 86 00:07:03,471 --> 00:07:06,974 衣紋方とて 容易に 口を挟める話でもあるまい。 87 00:07:06,974 --> 00:07:11,846 親が子を思う気持ちに 殿も衣紋方もありません! 88 00:07:11,846 --> 00:07:15,546 だんごは 一人で食って下さい。 失礼します。 89 00:07:22,824 --> 00:07:26,994 (お菊)殿の膳が一つ 松の膳が三つ。➡ 90 00:07:26,994 --> 00:07:32,767 竹の膳が十二 梅の膳が二十一。 いつもどおりで。 91 00:07:32,767 --> 00:07:36,604 (庄兵衛)はい 承知しました。 92 00:07:36,604 --> 00:07:38,940 ねえ 庄兵衛さん。 93 00:07:38,940 --> 00:07:41,609 何です? 庄兵衛さんは➡ 94 00:07:41,609 --> 00:07:44,512 高野の殿様のお顔 見た事はおありで? 95 00:07:44,512 --> 00:07:47,114 そりゃ ありますよ。 それが何か? 96 00:07:47,114 --> 00:07:49,617 いえ… その殿様がね➡ 97 00:07:49,617 --> 00:07:53,120 中間の格好で 江戸の町を ふらついているなんて噂を➡ 98 00:07:53,120 --> 00:07:57,320 耳にしましてね。 まさか~。 ですよね。 99 00:07:58,926 --> 00:08:01,629 あの お菊さん 数が合いません。 100 00:08:01,629 --> 00:08:05,967 竹の膳が1つ 梅の膳が2つ足らず…。 101 00:08:05,967 --> 00:08:09,804 え? 与一! 数が合ってないよ! 102 00:08:09,804 --> 00:08:12,840 も… 申し訳ありません! 追加で作らせます! 103 00:08:12,840 --> 00:08:15,309 (原田)見つかったか? (栗山)いえ。 104 00:08:15,309 --> 00:08:19,180 何をしておる。 改革派に先を越されれば➡ 105 00:08:19,180 --> 00:08:22,183 我らの計画は 丸潰れとなるのだぞ。 106 00:08:22,183 --> 00:08:24,652 (栗山)僅かばかりの手がかりで➡ 107 00:08:24,652 --> 00:08:27,488 そう やすやすと 人一人 見つけられるかどうか…。 108 00:08:27,488 --> 00:08:33,288 (渡辺)それに 仮に見つけたとして 本当に その子を…。 シッ。 109 00:08:39,600 --> 00:08:45,940 「壁に耳あり障子に目あり」。 口を慎め。 110 00:08:45,940 --> 00:08:55,616 ♬~ 111 00:08:55,616 --> 00:08:58,286 どうされました? 112 00:08:58,286 --> 00:09:02,957 やっぱり似てるんだよねぇ。 えっ? 113 00:09:02,957 --> 00:09:08,629 料理対決でも相撲勝負でも 拝見したんだけどさ 似てるわぁ。 114 00:09:08,629 --> 00:09:13,301 いやいや いや… 突然 何をおっしゃる…。 115 00:09:13,301 --> 00:09:16,337 私は哀川惨助と申す ただの中間。 116 00:09:16,337 --> 00:09:21,175 それを殿様に見えるとは 少々 お疲れのようで。 117 00:09:21,175 --> 00:09:25,646 えっ? えっ? 誰が殿様だって? えっ? 118 00:09:25,646 --> 00:09:29,984 まだ誰に似てるかなんて 言ってないけど。 119 00:09:29,984 --> 00:09:33,754 いや…。 やっぱり。 120 00:09:33,754 --> 00:09:38,954 でも… どうして こんな所に 殿様がいるんだ…。 121 00:09:40,528 --> 00:09:43,931 何か秘密が おありなのかねぇ。 122 00:09:43,931 --> 00:09:50,438 分かった。 口止め料を払おう。 いくら必要じゃ? 123 00:09:50,438 --> 00:09:56,438 少々考える時間を頂けます? はした金では済ませませんよ。 124 00:10:02,616 --> 00:10:07,955 実の子に会いたくないなど 私には考えられん。 125 00:10:07,955 --> 00:10:10,255 (すず)さっ 頑張れ。 126 00:10:17,965 --> 00:10:23,637 はなよ… 元気にしておるか? 127 00:10:23,637 --> 00:10:26,540 (平三)伴四郎! 続報じゃ! 128 00:10:26,540 --> 00:10:29,310 また瓦版ですか。 もう よしましょう。 129 00:10:29,310 --> 00:10:33,180 瓦版ではない。 藩邸で じかに耳にした話じゃ。 130 00:10:33,180 --> 00:10:35,182 殿の隠し子の…。 131 00:10:35,182 --> 00:10:37,818 それこそ もう聞きたくないと 申しておるのです。 132 00:10:37,818 --> 00:10:41,655 藩の重役衆が本格的に隠し子…。 やめて下さい! 133 00:10:41,655 --> 00:10:44,992 隠し子など邪魔でしかないはずの 重役衆が➡ 134 00:10:44,992 --> 00:10:48,662 なぜ その隠し子を探すのか。 135 00:10:48,662 --> 00:10:53,501 気にならんか? なぜです? 136 00:10:53,501 --> 00:10:57,338 ご養子 清之助様の世継ぎを 盤石とするため➡ 137 00:10:57,338 --> 00:11:01,008 邪魔な隠し子を探し出し…。 138 00:11:01,008 --> 00:11:04,845 まさか…。 これよ。 139 00:11:04,845 --> 00:11:08,349 では 殿は? 何もできまい。 140 00:11:08,349 --> 00:11:10,284 なぜです? 141 00:11:10,284 --> 00:11:14,221 隠し子の存在が明らかになれば 藩は大混乱。 142 00:11:14,221 --> 00:11:18,059 その責を問われ 隠居を迫られるやもしれぬ。 143 00:11:18,059 --> 00:11:21,695 それこそ重役衆の思うつぼよ。 144 00:11:21,695 --> 00:11:25,366 何より 我が子が消されると 知りながら➡ 145 00:11:25,366 --> 00:11:29,366 その存在を認める訳にもいかん。 146 00:11:31,038 --> 00:11:34,475 お菊さん! あっ… お願いがあります。 147 00:11:34,475 --> 00:11:36,977 お断り。 えっ? いや まだ何も…。 148 00:11:36,977 --> 00:11:40,848 あんた 私をだましたね? えっ? 149 00:11:40,848 --> 00:11:46,987 あんたとつるんでる あの中間 高野の殿様だろ? 150 00:11:46,987 --> 00:11:49,490 この仕出し「川原屋」が➡ 151 00:11:49,490 --> 00:11:51,826 衣紋方との料理勝負に 負けるなんて➡ 152 00:11:51,826 --> 00:11:59,026 おかしいと思ったんだ。 まさか 裏で殿様とつながってたとはねぇ。 153 00:12:01,836 --> 00:12:05,673 その殿の事で時間がないのです。 154 00:12:05,673 --> 00:12:09,009 殿の御落胤が 消されるかもしれない。 155 00:12:09,009 --> 00:12:12,046 噂の隠し子かい? 本当だったんだね。 156 00:12:12,046 --> 00:12:14,682 しかし まだ行方が知れません。 157 00:12:14,682 --> 00:12:17,585 唯一の手がかりは 歌舞伎小屋で見つかったという➡ 158 00:12:17,585 --> 00:12:21,021 鬼子母神のお守り。 159 00:12:21,021 --> 00:12:23,691 お菊さん 川原屋は➡ 160 00:12:23,691 --> 00:12:26,193 歌舞伎小屋への仕出しも していますよね。 161 00:12:26,193 --> 00:12:30,030 連れてけってのかい? 御落胤を救い出し➡ 162 00:12:30,030 --> 00:12:35,636 殿と引き合わせて さしあげたいのです。 163 00:12:35,636 --> 00:12:40,307 「殿 一」「松 三」 「竹 十二」 「梅 二十一」。 164 00:12:40,307 --> 00:12:43,811 うるさいって言ってんだろ! あっ…。 165 00:12:43,811 --> 00:12:48,011 構わないよ 殿様に恩が売れるんだったらね。 166 00:12:49,984 --> 00:12:53,020 いや~ 静かじゃのう。 167 00:12:53,020 --> 00:13:00,327 巷では さまざまな噂が飛び交い にぎやかなようですね。 168 00:13:00,327 --> 00:13:06,667 はて 何か聞こえるか? わしには何も…。 169 00:13:06,667 --> 00:13:09,003 よいのです。 170 00:13:09,003 --> 00:13:15,176 ここにいれば 一番大きく聞こえるのは 殿の声。 171 00:13:15,176 --> 00:13:19,176 それが本当だと信じております。 172 00:13:21,348 --> 00:13:30,691 ♬~ 173 00:13:30,691 --> 00:13:33,294 落とし主が誰かなんざ 知らねえよ。 174 00:13:33,294 --> 00:13:35,229 裏方は誰も違うし➡ 175 00:13:35,229 --> 00:13:38,165 お客だったら 毎日 100人からの 人間が ここに来るんだぜ? 176 00:13:38,165 --> 00:13:40,968 じゃあ 名乗り出た客も いないんだね? 177 00:13:40,968 --> 00:13:44,638 ハハ~ それはいる。 誰なんです? 178 00:13:44,638 --> 00:13:47,141 それが わんさかいるんだよ。 179 00:13:47,141 --> 00:13:50,044 これが自分のものだと 認められりゃ➡ 180 00:13:50,044 --> 00:13:52,947 一躍 殿様の隠し子に なれるんだからな。 181 00:13:52,947 --> 00:13:58,852 あ~ なるほど。 あ~っ! これ 俺のお守りです! 182 00:13:58,852 --> 00:14:01,989 ほれ見ろ。 与一 おやめ。 みっともないよ。 183 00:14:01,989 --> 00:14:05,659 いや 本当です! 母ちゃんが 俺に持たせてくれたんだ。 184 00:14:05,659 --> 00:14:07,995 でも どっかに落としちまって…。 185 00:14:07,995 --> 00:14:11,832 じゃあ 前に 弁当を運び込んだ時に? 恐らく。 186 00:14:11,832 --> 00:14:16,003 分かった。 だったら 中身を当ててみな。 187 00:14:16,003 --> 00:14:20,874 自分が落とし主だって名乗り出る 輩には 全員 聞く事にしてる。 188 00:14:20,874 --> 00:14:24,345 見事 言い当てたら 本物だって事だろ? 189 00:14:24,345 --> 00:14:28,015 だから それは 家紋の入った 着物のはぎれでしょ? 190 00:14:28,015 --> 00:14:31,885 ヘヘッ まだあるんだよ。 もう一つ 入ってる。 191 00:14:31,885 --> 00:14:34,822 でも 瓦版には はぎれだって。 192 00:14:34,822 --> 00:14:39,960 「殿 一」「松 三」 「竹 十二」 「梅 二十一」。 193 00:14:39,960 --> 00:14:45,299 「殿 一」「松 三」 「竹 十二」 「梅 二十一」。 194 00:14:45,299 --> 00:14:50,638 あっ。 「殿 一」「松 三」 「竹 十二」 「梅 二十一」。 195 00:14:50,638 --> 00:14:53,338 わ… 分かった。 もういい。 196 00:15:01,982 --> 00:15:07,321 じゃあ 本当に与一さんが 殿の…。 シッ。 与一 帰るよ。 197 00:15:07,321 --> 00:15:10,224 えっ… えっ… 一体 何の話です? 198 00:15:10,224 --> 00:15:12,924 (お菊)いいから帰るよ! 199 00:15:18,499 --> 00:15:20,434 与一 何してんだい? 200 00:15:20,434 --> 00:15:22,434 さっさと帰るんだ! 201 00:15:24,371 --> 00:15:27,675 よっぽど 大事なんですね。 202 00:15:27,675 --> 00:15:39,320 ♬~ 203 00:15:39,320 --> 00:15:43,957 だんご 食わんのですか? やらんぞ これ。 204 00:15:43,957 --> 00:15:48,295 また そんなケチくさい事を…。 何しに来たんじゃ? 205 00:15:48,295 --> 00:15:51,795 わしとは一緒に だんご食わんのだろ? 206 00:15:56,470 --> 00:16:02,343 お主の思うとおりだ。 わしは最低の男じゃ。 207 00:16:02,343 --> 00:16:07,981 蔑まれて当然じゃ。 御落胤を見つけました。 208 00:16:07,981 --> 00:16:15,656 藩邸とも取り引きのある 仕出し「川原屋」の手代 与一です。 209 00:16:15,656 --> 00:16:21,829 与一を交え 食事会を催しますゆえ 本日 暮六つ 仕出し「川原屋」に。 210 00:16:21,829 --> 00:16:26,667 行かれぬ。 今更 どの面下げて 会えというんじゃ。 211 00:16:26,667 --> 00:16:30,337 私が お誘い申し上げているのは 殿ではない。 212 00:16:30,337 --> 00:16:35,037 中間の惨助殿 あなたです。 213 00:16:39,613 --> 00:16:44,952 与一と殿のつながりは 着物のはぎれ ただ一枚。 214 00:16:44,952 --> 00:16:50,624 しかし 殿は それすらも なき事にしようという。 215 00:16:50,624 --> 00:16:56,296 親子の絆が そんな薄っぺらく あって たまるか! 216 00:16:56,296 --> 00:17:01,635 愛娘 はなと離れて過ごした ここ幾月➡ 217 00:17:01,635 --> 00:17:05,973 それだけでも 我が身は 引き裂かれる思いでありました。 218 00:17:05,973 --> 00:17:10,844 はな… 父は 今も お前を思うておるぞ。 219 00:17:10,844 --> 00:17:16,150 伴四郎。 はな… はな…。 220 00:17:16,150 --> 00:17:20,020 分かった。 分かった 分かった。 はなよ…。 221 00:17:20,020 --> 00:17:22,823 分かった。 落ち着け。 222 00:17:22,823 --> 00:17:31,323 それでは お待ちしております。 はな… はなよ…。 223 00:17:36,370 --> 00:17:38,605 こんな格好するんですか? 224 00:17:38,605 --> 00:17:42,943 今日は 大事なお客が 試食に来るんだよ。 225 00:17:42,943 --> 00:17:45,979 今後の取り引きにも関わる 食事会なんだから➡ 226 00:17:45,979 --> 00:17:50,451 失礼のないようにね。 お… 俺が お相手するんですか? 227 00:17:50,451 --> 00:17:54,955 これも お勉強。 川原屋の手代として➡ 228 00:17:54,955 --> 00:17:58,826 いつまでたっても 鈍くさいまんまじゃ困るからね。 229 00:17:58,826 --> 00:18:00,826 はあ…。 230 00:18:11,972 --> 00:18:15,309 う~ん。 231 00:18:15,309 --> 00:18:17,978 ちょちょちょ… ちょっと 何です? お菊さん。 232 00:18:17,978 --> 00:18:21,849 この川原屋で料理をするのに 指南書なんて要らないだろ? 233 00:18:21,849 --> 00:18:24,485 私以外に 誰が指南するっていうのさ。 234 00:18:24,485 --> 00:18:27,988 いや しかし これまで そうしてきましたので。 235 00:18:27,988 --> 00:18:31,825 もてなす相手は惨助だけじゃない。 236 00:18:31,825 --> 00:18:36,430 殿の御落胤であり 川原屋手代 与一もそうなんだ。 237 00:18:36,430 --> 00:18:39,430 口を挟ませてもらうよ。 238 00:18:43,203 --> 00:18:46,440 まずは 鶏肉をたたいて。 239 00:18:46,440 --> 00:18:50,777 細かく 細かく。 240 00:18:50,777 --> 00:18:57,651 椎茸は千切り みつばも切って…。 241 00:18:57,651 --> 00:19:02,489 味噌を入れたら よ~く混ぜ込んでおくれ。 242 00:19:02,489 --> 00:19:06,489 おおせのとおりに。 よしっ。 243 00:19:08,629 --> 00:19:13,500 こうすれば 椎茸からも ごぼうからも いい出汁が出る。 244 00:19:13,500 --> 00:19:17,304 お肉は固まりやすいから しっかり ほぐすんだよ。 245 00:19:17,304 --> 00:19:19,604 承知しました。 246 00:19:22,142 --> 00:19:26,647 与一に手料理を振る舞うなんて 初めてだよ。 247 00:19:26,647 --> 00:19:29,149 つきあいも長いのですか? 248 00:19:29,149 --> 00:19:34,955 私が ここへ嫁いでからだから 15年くらいかねぇ。 249 00:19:34,955 --> 00:19:40,761 与一は その前から 丁稚で 奉公してくれてるから古株だね。 250 00:19:40,761 --> 00:19:45,933 大事な手代ですね。 読み書きもできない与一を➡ 251 00:19:45,933 --> 00:19:49,603 死んだ旦那が 育て上げたっていう訳さ。 252 00:19:49,603 --> 00:19:54,603 それが まさか 殿様の御落胤だったとはね。 253 00:20:03,951 --> 00:20:06,853 もし 殿の気が変わり➡ 254 00:20:06,853 --> 00:20:11,853 与一さんを藩邸に引き上げると おっしゃったら どうしますか? 255 00:20:16,296 --> 00:20:19,967 鈍くさい与一が 一人いなくなったところで➡ 256 00:20:19,967 --> 00:20:23,303 何にも困りゃしないよ。 257 00:20:23,303 --> 00:20:28,642 殿様に大恩を売って 仕出し「川原屋」は安泰。 258 00:20:28,642 --> 00:20:31,942 是非 そうしてもらいたいね。 259 00:20:33,981 --> 00:20:36,281 (戸が開く音) 260 00:20:44,157 --> 00:20:49,329 よく お越し下さいました 惨助殿。 261 00:20:49,329 --> 00:20:52,029 手代の与一さんっていうのは? 262 00:20:58,505 --> 00:21:00,505 えっ? 263 00:21:06,246 --> 00:21:08,446 ちょっと よいか? 264 00:21:12,853 --> 00:21:18,358 伴四郎 お主 あの… あれが与一だと申しておるが? 265 00:21:18,358 --> 00:21:22,229 はい。 与一さんです。 えっ? 殿の御落胤の。 266 00:21:22,229 --> 00:21:28,035 いや… しかし もっとかわいらしい男児だったぞ。 267 00:21:28,035 --> 00:21:32,639 人は成長しますゆえ。 成長? 268 00:21:32,639 --> 00:21:38,311 成長って… ああなるか? そのようですな。 269 00:21:38,311 --> 00:21:44,184 いや… ああなるか!? そのようですな。 270 00:21:44,184 --> 00:21:46,984 さあ 戻りましょう。 そんな お主…。 271 00:21:51,858 --> 00:21:57,664 鶏と卵のお汁 親子濃漿です。 272 00:21:57,664 --> 00:22:00,701 やっと 親子が会えたね。 273 00:22:00,701 --> 00:22:02,701 ん? 274 00:22:05,539 --> 00:22:09,009 では ごゆっくり。 275 00:22:09,009 --> 00:22:13,009 頂きます。 頂きます。 276 00:22:21,354 --> 00:22:25,654 葬式みたいだねぇ。 ええ。 277 00:22:27,527 --> 00:22:31,727 生まれは? 千住です。 278 00:22:34,968 --> 00:22:38,638 母上様は 元気でいらっしゃいますか? 279 00:22:38,638 --> 00:22:44,938 死にました。 俺を奉公に出してすぐ 胸の病で。 280 00:22:46,813 --> 00:22:48,849 死に目にもあってない。 281 00:22:48,849 --> 00:22:53,549 でも いつも笑っていたから 死に顔も…。 282 00:22:55,322 --> 00:22:59,022 笑っていたのかもしれませんね。 283 00:23:02,195 --> 00:23:06,833 目に浮かびますなぁ。 えっ? 284 00:23:06,833 --> 00:23:12,172 いえ…。 お父上は? 285 00:23:12,172 --> 00:23:16,843 父も死にました。 顔も覚えていません。 286 00:23:16,843 --> 00:23:20,043 優しい父だった気がします。 287 00:23:22,349 --> 00:23:26,686 ご両親ともに亡くされて さぞ お寂しいでしょう。 288 00:23:26,686 --> 00:23:30,557 いえ 全然。 289 00:23:30,557 --> 00:23:32,959 みんな 優しいから。 290 00:23:32,959 --> 00:23:36,797 それに ここにいれば 毎日 うまい飯が食える。 291 00:23:36,797 --> 00:23:40,597 俺 死ぬまで ここで奉公します。 292 00:23:46,306 --> 00:23:48,606 そうですか。 293 00:23:56,316 --> 00:23:59,986 確かに うまい。 はい! 294 00:23:59,986 --> 00:24:16,002 ♬~ 295 00:24:16,002 --> 00:24:19,873 ごちそうさまでした。 ごちそうさまでした。 296 00:24:19,873 --> 00:24:22,173 ≪(お菊)失礼します。 297 00:24:26,646 --> 00:24:31,551 お味は いかがだったでしょうか。 いや~ うまかった。 298 00:24:31,551 --> 00:24:34,387 もう これ以上 何も言う事はございません。 299 00:24:34,387 --> 00:24:37,187 よかったですね お菊さん。 300 00:24:38,959 --> 00:24:44,764 惨助さん 私は この与一を➡ 301 00:24:44,764 --> 00:24:49,764 一生 こき使ってやろうって 思ってるんですよ。 302 00:25:08,955 --> 00:25:10,891 何か? 303 00:25:10,891 --> 00:25:13,860 (お菊)店だったら もう とっくに閉めちまった…。 304 00:25:13,860 --> 00:25:17,330 ♬~ 305 00:25:17,330 --> 00:25:25,005 (十三)川原屋手代 与一というのは お主か? 306 00:25:25,005 --> 00:25:28,875 そこをどけ 中間。 与一に用がある。 307 00:25:28,875 --> 00:25:32,812 ♬~ 308 00:25:32,812 --> 00:25:36,449 あ… あの 俺は何も…。 309 00:25:36,449 --> 00:25:40,620 すまんな。 わしらも お主に恨みがある訳ではない。 310 00:25:40,620 --> 00:25:44,420 ただ 生かしてはおけんのだ。 311 00:25:46,293 --> 00:25:51,164 何か勘違いをされてるようですな。 あぁ? 312 00:25:51,164 --> 00:25:56,002 こやつは消されるような人生を 生きてはおりません。 313 00:25:56,002 --> 00:26:00,473 私の倅です。 314 00:26:00,473 --> 00:26:02,409 そんなはずはない。 315 00:26:02,409 --> 00:26:05,979 高野の殿様の御落胤だと 裏は取れておる。 316 00:26:05,979 --> 00:26:11,651 ほう。 殿の御落胤を消そうとは➡ 317 00:26:11,651 --> 00:26:16,156 雇い主は 家老 原田辺りかな? 318 00:26:16,156 --> 00:26:19,192 お主 何者? 319 00:26:19,192 --> 00:26:24,664 斬りたければ 私ごと斬れ! 与一は 私の倅。 320 00:26:24,664 --> 00:26:29,002 でなければ 命まで張れまい! 321 00:26:29,002 --> 00:26:43,283 ♬~ 322 00:26:43,283 --> 00:26:45,283 一旦 引くぞ。 323 00:26:50,156 --> 00:26:54,294 勘違いで殺されては たまりませんな。 324 00:26:54,294 --> 00:26:57,964 あ… あの 私の父というのは…。 325 00:26:57,964 --> 00:27:02,802 ああ… ハッタリですよ。 嘘です。 326 00:27:02,802 --> 00:27:10,143 私は 年中 嘘ばかりついてるが たまには 役に立ちますな。 アハハ。 327 00:27:10,143 --> 00:27:12,943 では 私は これで。 328 00:27:17,884 --> 00:27:24,324 与一さん お体に お気を付けて。 へい。 329 00:27:24,324 --> 00:27:37,624 ♬~ 330 00:27:40,807 --> 00:27:45,278 お菊さん もう大丈夫ですよ。 331 00:27:45,278 --> 00:27:47,278 あっ そう。 332 00:27:49,949 --> 00:27:55,822 最近 本当に巷が騒がしいのう。 333 00:27:55,822 --> 00:28:00,593 しかし それも世の常。 334 00:28:00,593 --> 00:28:07,500 くれぐれも巷の噂に踊らされ 間違いを犯さぬように。 335 00:28:07,500 --> 00:28:12,500 罪なき人間を殺めるなど もっての外じゃ。 336 00:28:14,974 --> 00:28:22,974 このままでは 高野藩の評判も地に墜ちる。 337 00:28:24,651 --> 00:28:28,521 「拝啓 すず殿 はな坊。➡ 338 00:28:28,521 --> 00:28:31,524 江戸は不思議な町です。➡ 339 00:28:31,524 --> 00:28:36,596 嘘と本当が入り交じり 何を信じていいのやら…」。 340 00:28:36,596 --> 00:28:41,434 伴四郎様。 お菊さん。 それは? 341 00:28:41,434 --> 00:28:44,934 これ 昨日のお礼。 342 00:28:46,940 --> 00:28:50,940 昨日? 何か しましたっけ? 343 00:28:54,814 --> 00:28:58,314 覚えてないの? はい。 344 00:29:00,487 --> 00:29:04,491 あっ ちょっと。 ちょっと それ 弁当…。 345 00:29:04,491 --> 00:29:10,630 ♬~ 346 00:29:10,630 --> 00:29:14,801 ♬~ 347 00:29:14,801 --> 00:29:29,001 ♬~ 348 00:30:33,913 --> 00:30:45,858 ♬~ 349 00:30:45,858 --> 00:30:50,296 今から 43年前の冬。 350 00:30:50,296 --> 00:30:55,435 日本中が テレビの前で くぎづけになっていました。 351 00:30:55,435 --> 00:30:59,305 ある山荘で起きた立てこもり事件。 352 00:30:59,305 --> 00:31:03,505 その成り行きが 生中継されていたからです。