1 00:00:00,978 --> 00:00:03,978 (二郎)いらっしゃいませ。 (栄輔)やあ。 2 00:00:07,317 --> 00:00:10,654 同じので。 まだ 頼んでないんやけど。 3 00:00:10,654 --> 00:00:12,954 バーボンやろ。 4 00:00:19,329 --> 00:00:25,629 <2人の雰囲気に 胸騒ぎのタケちゃんなのです> 5 00:00:33,310 --> 00:00:36,213 <時は幕末 所はお江戸。➡ 6 00:00:36,213 --> 00:00:39,650 参勤交代で江戸に来た 酒田伴四郎。➡ 7 00:00:39,650 --> 00:00:43,153 殿様のお召し物を支度する 衣紋方ではありますが➡ 8 00:00:43,153 --> 00:00:45,656 仕事は少なく 暇ばかり。➡ 9 00:00:45,656 --> 00:00:50,156 今日は どんな騒動を 巻き起こすやら…> 10 00:01:01,839 --> 00:01:06,176 (お菊)私 川原屋 お菊は➡ 11 00:01:06,176 --> 00:01:11,976 こちらの高野藩衣紋方 酒田伴四郎様と…。 12 00:01:14,852 --> 00:01:18,355 祝言を挙げさせて頂きます! 13 00:01:18,355 --> 00:01:21,692 (伴四郎)え~!? 14 00:01:21,692 --> 00:01:24,361 え~!? え~!? 15 00:01:24,361 --> 00:01:39,476 ♬~ 16 00:01:39,476 --> 00:01:43,313 <「あっちもこっちも不景気で 参っちまわなぁ」。➡ 17 00:01:43,313 --> 00:01:48,485 「ハンッ。 あっちとこっちで済むかよ。 そっちもどっちも不景気よ」。➡ 18 00:01:48,485 --> 00:01:50,521 「あっちもこっちも そっちもどっちも➡ 19 00:01:50,521 --> 00:01:52,656 にっちもさっちも いかねえってか?」。➡ 20 00:01:52,656 --> 00:01:54,992 「こりゃ いいや。 あっちもこっちも➡ 21 00:01:54,992 --> 00:01:57,494 そっちもどっちも にっちもさっちも」> 22 00:01:57,494 --> 00:02:01,365 (お菊)払えないって 冗談じゃないよ!➡ 23 00:02:01,365 --> 00:02:06,003 掛金の回収が遅れりゃ たちまち 店は傾いちまうんだよ! 24 00:02:06,003 --> 00:02:09,703 (吾平)なら ほかから先に取ってくれよ。 25 00:02:11,341 --> 00:02:16,013 どいつもこいつも 恩を仇で返しやがって…。 26 00:02:16,013 --> 00:02:20,884 このままじゃ 川原屋は潰れちまうよ。 27 00:02:20,884 --> 00:02:23,353 あ~ うまそうじゃ。 28 00:02:23,353 --> 00:02:31,695 ♬~ 29 00:02:31,695 --> 00:02:33,964 もう大丈夫ですよ。 30 00:02:33,964 --> 00:02:40,837 ♬~ 31 00:02:40,837 --> 00:02:46,677 いいねぇ あんたら2人は のんきで。 32 00:02:46,677 --> 00:02:49,146 どうかしましたか? お菊さん。 33 00:02:49,146 --> 00:02:52,983 どうもこうもないよ。 あっちもこっちも不景気で➡ 34 00:02:52,983 --> 00:02:56,653 掛金の回収も ままならないんだから。 35 00:02:56,653 --> 00:02:59,990 あっ だんご食いますか? 36 00:02:59,990 --> 00:03:01,990 フン! 37 00:03:08,999 --> 00:03:13,670 お主ら デキておるのか? まさか。 なぜです? 38 00:03:13,670 --> 00:03:18,542 いや お主の食いかけを…。 まあ よい。 39 00:03:18,542 --> 00:03:22,842 お主は 国元の妻に ぞっこんであったな。 40 00:03:24,848 --> 00:03:27,684 どうした? 41 00:03:27,684 --> 00:03:30,187 返事がないのです。 42 00:03:30,187 --> 00:03:33,156 こちらから 文を送り続けているのですが➡ 43 00:03:33,156 --> 00:03:35,459 その返事が…。 44 00:03:35,459 --> 00:03:37,961 女一人で 子の面倒を見てるのじゃ。 45 00:03:37,961 --> 00:03:43,300 しかたあるまい。 ひと事だから そう言えるのです。 46 00:03:43,300 --> 00:03:45,636 打っても響かぬ妻との関係が➡ 47 00:03:45,636 --> 00:03:50,140 うまくいっていると 言えましょうか。 48 00:03:50,140 --> 00:03:54,978 そうか。 なら まあ だんごでも食って元気出せ。 49 00:03:54,978 --> 00:03:58,849 しるこで。 しるこ? しるこで。 50 00:03:58,849 --> 00:04:00,849 しるこないぞ ここ。 51 00:04:07,491 --> 00:04:13,830 叔父上 私宛ての文は? (平三)飛脚なら来ておらん。 52 00:04:13,830 --> 00:04:17,501 そうですか…。 (平三)おっ ホホホホ 膨らんできた! 53 00:04:17,501 --> 00:04:23,006 取り引きを打ち切るって どういう事です? 54 00:04:23,006 --> 00:04:25,909 (庄兵衛)藩の財政は依然厳しく➡ 55 00:04:25,909 --> 00:04:31,181 少しでも支出を減らすために 仕出しは もう…。 56 00:04:31,181 --> 00:04:34,951 それじゃ 高野藩は➡ 57 00:04:34,951 --> 00:04:37,454 このまま 仕出し「川原屋」が 潰れちまっても➡ 58 00:04:37,454 --> 00:04:43,260 構やしないってんだね? これまで うちが どんな思いで…。 59 00:04:43,260 --> 00:04:45,329 (与一)女将さん! 60 00:04:45,329 --> 00:04:49,633 恩を仇で返すようで申し訳ない。 61 00:04:49,633 --> 00:04:54,137 ただ 重役衆と勘定方の決定に➡ 62 00:04:54,137 --> 00:05:00,477 我々 賄方が異論を挟む余地など ないのです。 63 00:05:00,477 --> 00:05:05,148 なぜなんじゃ…。 なぜなんじゃ…。 64 00:05:05,148 --> 00:05:09,348 何をしておるのじゃ 伴四郎。 客じゃ。 65 00:05:12,889 --> 00:05:14,889 (襖を閉める音) 66 00:05:17,494 --> 00:05:19,996 手を貸すって 私は何をすれば? 67 00:05:19,996 --> 00:05:23,033 あの惨助さんを 呼び出しておくれよ。 68 00:05:23,033 --> 00:05:26,503 殿を? 69 00:05:26,503 --> 00:05:30,374 打ち切られた藩邸との取り引きを 結び直したいんだ。 70 00:05:30,374 --> 00:05:34,945 さもなきゃ うちは もう潰れるしかない。 71 00:05:34,945 --> 00:05:37,614 でも 呼び出すっていっても➡ 72 00:05:37,614 --> 00:05:39,649 こちらからは 何もできないんです。 73 00:05:39,649 --> 00:05:45,122 いつも勝手に来るから あの人。 のんきな殿様だねぇ。 74 00:05:45,122 --> 00:05:49,292 それに 我が藩の財政も 厳しいと聞きます。 75 00:05:49,292 --> 00:05:53,797 他藩との取り引きを考えた方が 賢明かもしれませんよ。 76 00:05:53,797 --> 00:05:58,301 そんな時間ないよ。 お菊さん? 77 00:05:58,301 --> 00:06:04,975 これ以上 商売が傾くようだと 縁談を受けなきゃならないんだ。 78 00:06:04,975 --> 00:06:10,647 もともと川原屋は 亡くなった旦那から引き継いだ店。 79 00:06:10,647 --> 00:06:14,985 本当なら あの人が亡くなって すぐに縁談を受けて➡ 80 00:06:14,985 --> 00:06:18,321 その相手と 店を続けるはずだったんだ。 81 00:06:18,321 --> 00:06:21,158 女手一つじゃ厳しいだろうって。 82 00:06:21,158 --> 00:06:25,028 では 縁談を受けても よいではありませんか。 83 00:06:25,028 --> 00:06:28,228 ほかに好きな人でも? 84 00:06:30,500 --> 00:06:33,937 あら~ おるのですな? 85 00:06:33,937 --> 00:06:37,274 やかましいね! あんたみたいな不粋な男に➡ 86 00:06:37,274 --> 00:06:41,274 頼み事なんか するんじゃなかったよ! あっ…。 87 00:06:49,986 --> 00:06:53,123 仕出しを? (栗山)はい。➡ 88 00:06:53,123 --> 00:06:56,793 改めて帳簿を調べましたら…。 ならん。 89 00:06:56,793 --> 00:07:00,964 仕出しがなければ 法事や花見の時 困るではないか。 90 00:07:00,964 --> 00:07:02,899 (渡辺)今後は 賄方で➡ 91 00:07:02,899 --> 00:07:06,636 できる限り仕出しと同じ内容で 食事を作らせます。 92 00:07:06,636 --> 00:07:10,140 嫌じゃ! わしは仕出しが食いたい! 93 00:07:10,140 --> 00:07:14,010 (原田)仕出し「川原屋」に 何か ご執心でも? 94 00:07:14,010 --> 00:07:19,649 いや そういう訳ではないが…。 95 00:07:19,649 --> 00:07:22,649 (ため息) 96 00:07:25,522 --> 00:07:27,524 五郎右衛門。 はい。 97 00:07:27,524 --> 00:07:31,828 伴四郎は どこにおる? 表で飛脚を待っております。 98 00:07:31,828 --> 00:07:35,799 飛脚? またか~。 99 00:07:35,799 --> 00:07:39,299 暇な男じゃのう。 100 00:07:41,271 --> 00:07:54,818 ♬~ 101 00:07:54,818 --> 00:07:57,621 来た! 102 00:07:57,621 --> 00:08:03,126 あ~ あ~ あ~。 私宛ての文は? こちら宛てでしたら 確か1通。 103 00:08:03,126 --> 00:08:05,926 あった。 はい。 では。 104 00:08:08,298 --> 00:08:13,136 矢沢五郎右衛門宛てではなく 酒田伴四郎宛ての。 105 00:08:13,136 --> 00:08:15,972 文なら それだけです。 そんな訳なかろう。 106 00:08:15,972 --> 00:08:20,310 こう… きれいな字で 酒田すずより 酒田伴四郎宛ての。 107 00:08:20,310 --> 00:08:22,610 文なら それだけですって! 108 00:08:28,985 --> 00:08:32,856 十分 考える時間はやっただろ お菊。 109 00:08:32,856 --> 00:08:37,794 そろそろ 縁談の一つも 受けてみたらどうかねぇ。 110 00:08:37,794 --> 00:08:40,931 商売だって うまくいってないんだろ? 111 00:08:40,931 --> 00:08:42,866 跡取りもないまま 女手一つ。➡ 112 00:08:42,866 --> 00:08:47,270 このまま棚を切り盛りするのも 大変だろう。 113 00:08:47,270 --> 00:08:51,942 そこいくと この京一は やり手の料理人だ。 114 00:08:51,942 --> 00:08:56,780 一緒になれば 店の評判も上がる。 115 00:08:56,780 --> 00:08:59,816 ありがたいお話ですが➡ 116 00:08:59,816 --> 00:09:05,121 この店は 亡くなった旦那が 私に残してくれた仕出し屋です。 117 00:09:05,121 --> 00:09:08,992 私の手で商売を続ける事が あの人の願いでもありますので。 118 00:09:08,992 --> 00:09:11,461 潰れちまったら 元も子もねえだろ!➡ 119 00:09:11,461 --> 00:09:13,496 どうやって店を守るつもりだ? 120 00:09:13,496 --> 00:09:16,333 ほかに助けてくれるいい人も いないんだろ?➡ 121 00:09:16,333 --> 00:09:19,970 お菊 ど… どうなんだい? 逃げようってのかい? 122 00:09:19,970 --> 00:09:21,970 厠です。 123 00:09:36,920 --> 00:09:40,256 お菊しゃ~ん。 124 00:09:40,256 --> 00:09:42,556 伴四郎様! 125 00:09:45,428 --> 00:09:51,234 すずは 私を見放したのだ。 江戸になど来るのではなかった。 126 00:09:51,234 --> 00:09:53,937 嫌だ…。 127 00:09:53,937 --> 00:09:56,840 ♬~ 128 00:09:56,840 --> 00:09:59,809 ちょっと いいかい? え? 129 00:09:59,809 --> 00:10:02,946 ♬~ 130 00:10:02,946 --> 00:10:05,782 仕出し屋だから ただで飯が 食えると思ってるんだったら➡ 131 00:10:05,782 --> 00:10:08,818 さっさと出ていきな! ごくつぶし!➡ 132 00:10:08,818 --> 00:10:11,955 お前の事だよ。 分かるか! 133 00:10:11,955 --> 00:10:13,890 あっ。 134 00:10:13,890 --> 00:10:30,807 ♬~ 135 00:10:30,807 --> 00:10:35,145 私 川原屋 お菊は➡ 136 00:10:35,145 --> 00:10:40,945 こちらの高野藩衣紋方 酒田伴四郎様と…。 137 00:10:43,820 --> 00:10:48,324 祝言を挙げさせて頂きます! 138 00:10:48,324 --> 00:10:50,324 えっ? 139 00:10:53,196 --> 00:10:55,198 え~っ!? 140 00:10:55,198 --> 00:10:59,035 ちょ… ちょっと待って! どこの馬の骨か分からない男に➡ 141 00:10:59,035 --> 00:11:01,337 この川原屋を継がせる訳には いかないよ! 142 00:11:01,337 --> 00:11:05,508 この酒田伴四郎様 料理の腕に関しては➡ 143 00:11:05,508 --> 00:11:11,014 高野の殿様のお墨付きです。 店を任せるに 不足はありません! 144 00:11:11,014 --> 00:11:13,917 あの~ お菊さん…。 145 00:11:13,917 --> 00:11:18,888 ちょっと あんた 人前で およしよ。 146 00:11:18,888 --> 00:11:23,193 このとおり 私は どのような縁談も➡ 147 00:11:23,193 --> 00:11:27,893 お受けするつもりはございません。 お帰り願えますか? 148 00:11:31,367 --> 00:11:36,639 ♬~ 149 00:11:36,639 --> 00:11:38,575 (小声で)私が…。 150 00:11:38,575 --> 00:11:41,575 えっ? えっ? 151 00:11:44,514 --> 00:11:49,986 私が お菊さんに好かれてない という事は よく分かりました。 152 00:11:49,986 --> 00:11:55,158 しかし 料理人として酒田殿に劣る と言われると 納得しかねます。 153 00:11:55,158 --> 00:12:00,497 仕出し「川原屋」に必要なものが 腕の立つ料理人なら➡ 154 00:12:00,497 --> 00:12:03,333 料理で勝負して お菊さんの旦那➡ 155 00:12:03,333 --> 00:12:05,268 そして 川原屋の主人を決めて頂きたい。 156 00:12:05,268 --> 00:12:09,005 そ… そうだよね。 よく言った 京一。 157 00:12:09,005 --> 00:12:12,842 料理屋なんだから 料理で勝負すりゃいいんだ。 158 00:12:12,842 --> 00:12:17,180 そう 勝負だよ。 うん。 どうだ? お菊。 159 00:12:17,180 --> 00:12:20,683 承知しました。 160 00:12:20,683 --> 00:12:26,356 その料理勝負 この私と伴四郎様の2人で➡ 161 00:12:26,356 --> 00:12:28,291 お受けしましょう。 え~? 162 00:12:28,291 --> 00:12:32,162 そのかわり 伴四郎様が勝利した暁には➡ 163 00:12:32,162 --> 00:12:35,465 皆さん この川原屋から 潔く手を引き➡ 164 00:12:35,465 --> 00:12:38,968 今後一切 関わらないと 約束して頂きます! 165 00:12:38,968 --> 00:12:41,004 その判定は誰に? 166 00:12:41,004 --> 00:12:45,742 藩邸の重役に一席設けて➡ 167 00:12:45,742 --> 00:12:49,612 支持された方が 主人の座につく というのは どうだ? 168 00:12:49,612 --> 00:12:51,548 あ~ 確かに。➡ 169 00:12:51,548 --> 00:12:55,151 うまくいけば 取り引きの再開を 考えてもらえるかもしれない。 170 00:12:55,151 --> 00:13:00,657 承知しました。 いいね? 伴四郎様。 171 00:13:00,657 --> 00:13:02,657 いや…。 172 00:13:05,328 --> 00:13:09,165 すまない。 川原屋を守るためなんだ。 173 00:13:09,165 --> 00:13:11,501 どうか 協力してもらえないか? 174 00:13:11,501 --> 00:13:15,672 しかし 私は 妻も子もある身ですし…。 175 00:13:15,672 --> 00:13:20,543 知ってるよ。 勝負に勝って 親戚衆が身を引くまでの間➡ 176 00:13:20,543 --> 00:13:22,545 夫婦でいてくれりゃいいんだ。 177 00:13:22,545 --> 00:13:27,684 しかし 勝つと言っても 相手は腕利きの料理人だと…。 178 00:13:27,684 --> 00:13:31,020 私と あんたが手を組んで 勝てない相手なんかいるもんか。 179 00:13:31,020 --> 00:13:33,020 しかし…。 180 00:13:43,600 --> 00:13:45,535 ねえさん。 181 00:13:45,535 --> 00:13:47,535 おりん。 182 00:13:55,812 --> 00:13:58,848 何度も ごめん。 183 00:13:58,848 --> 00:14:04,848 でも ねえさん… ねえさんしか頼る人がいないのよ。 184 00:14:12,829 --> 00:14:14,864 気にしなくていいよ。 185 00:14:14,864 --> 00:14:17,333 困った事があったら いつでもおいで。 186 00:14:17,333 --> 00:14:20,033 ありがとう。 187 00:14:33,449 --> 00:14:36,249 見てたのかい? 188 00:14:38,121 --> 00:14:42,458 今のは? おりんっていってね➡ 189 00:14:42,458 --> 00:14:50,633 今は 身請けされて足を洗ったけど 元は吉原の女郎。 昔の仲間だよ。 190 00:14:50,633 --> 00:14:54,333 女郎… お菊さんも? 191 00:14:55,972 --> 00:14:59,008 足を洗ったって言っても➡ 192 00:14:59,008 --> 00:15:02,645 私みたいに まっとうに生きられる 女だけじゃない。 193 00:15:02,645 --> 00:15:06,516 おりんなんて ひどい男に捕まったばっかりに➡ 194 00:15:06,516 --> 00:15:14,257 家に金は入れない 虫の居どころが 悪きゃ 殴る蹴るで…。 195 00:15:14,257 --> 00:15:23,499 でも 亡くなったうちの旦那は 本当に優しい男だった。 196 00:15:23,499 --> 00:15:30,006 こんな私を身請けしてくれて うまいもん食わしてくれてさ➡ 197 00:15:30,006 --> 00:15:35,278 「おいしい おいしい」って言う姿を 喜んでくれた。 198 00:15:35,278 --> 00:15:41,784 旦那様が亡くなってからは? 5年になるねぇ。 199 00:15:41,784 --> 00:15:45,955 もう 顔も おぼろげだよ。 200 00:15:45,955 --> 00:15:53,955 でも この川原屋は 私が守らないとね。 201 00:15:55,965 --> 00:15:58,265 分かりました。 202 00:16:00,837 --> 00:16:06,137 この勝負 絶対に勝ちましょう! 203 00:16:11,981 --> 00:16:14,884 お呼び立てして申し訳ありません。 204 00:16:14,884 --> 00:16:19,655 判定人を引き受けて頂いた 料理勝負に先立ちまして 今夜は➡ 205 00:16:19,655 --> 00:16:22,692 当日も腕を振るう事になっている 京一が➡ 206 00:16:22,692 --> 00:16:25,828 お膳を用意させて頂きました。 207 00:16:25,828 --> 00:16:32,602 今後 川原屋を取りしきるのは この京一しかおりません。 208 00:16:32,602 --> 00:16:38,775 (原田)いや それは 勝負の結果によるのではないか? 209 00:16:38,775 --> 00:16:44,580 建て前は そうなんですが…。 さあ お試し下さい。 210 00:16:44,580 --> 00:16:49,580 京一の膳は 器にも凝っております。 211 00:16:51,954 --> 00:16:53,954 (渡辺)ん? 212 00:16:55,825 --> 00:16:57,825 (笑い声) 213 00:17:02,598 --> 00:17:06,302 (お菊)ほら 与一 かまどの火が消えかけてるよ。➡ 214 00:17:06,302 --> 00:17:10,973 火種を絶やすんじゃないよ。 (与一)へい! 215 00:17:10,973 --> 00:17:14,973 終わったら これ 買い出し頼むね。 (与一)へい! 216 00:17:17,480 --> 00:17:19,480 ちょっと…。 217 00:17:21,350 --> 00:17:25,354 優しい字ですね。 218 00:17:25,354 --> 00:17:28,191 与一! さっさと買い出し行ってきな! 219 00:17:28,191 --> 00:17:30,191 へい! 220 00:17:34,964 --> 00:17:49,946 ♬~ 221 00:17:49,946 --> 00:17:54,946 身を傷つけないようにね。 はい。 222 00:17:56,619 --> 00:17:59,288 よし。 223 00:17:59,288 --> 00:18:04,160 塩は高い所からふるんだ。 均等にね。 224 00:18:04,160 --> 00:18:06,629 均等に。 225 00:18:06,629 --> 00:18:09,665 あっ かけ過ぎるんじゃないよ! アッハハハ! 226 00:18:09,665 --> 00:18:11,865 全く…。 227 00:18:18,641 --> 00:18:22,512 ああ… すっかり暗くなってしまった。 228 00:18:22,512 --> 00:18:26,516 長屋に帰ろうったって この雨じゃ ずぶぬれだよ。 229 00:18:26,516 --> 00:18:29,652 せめて やむまで ここにいりゃ いいじゃないか。 230 00:18:29,652 --> 00:18:35,352 そうですね。 え~ 次は…。 231 00:18:58,814 --> 00:19:02,952 よし。 ふう~。 232 00:19:02,952 --> 00:19:06,822 こうしてると 旦那の事 思い出しちまうよ。 233 00:19:06,822 --> 00:19:09,825 甚兵衛さん。 そう。 234 00:19:09,825 --> 00:19:14,564 昔は こうして 2人で 新しい献立を よく考えたもんさ。 235 00:19:14,564 --> 00:19:16,499 どんな人だったんですか? 236 00:19:16,499 --> 00:19:23,339 優しくて頑固。 私を 身請けするって きかなくてねぇ。 237 00:19:23,339 --> 00:19:26,976 女郎の身分で 仕出し屋の 女将なんて無理だって➡ 238 00:19:26,976 --> 00:19:29,312 何度も断ったんだけど。 239 00:19:29,312 --> 00:19:32,582 旦那さんの目に 狂いはなかったんですよ。 240 00:19:32,582 --> 00:19:34,517 潰しかけてるのにかい? 241 00:19:34,517 --> 00:19:38,517 すぐに盛り返しますよ お菊さんなら。 242 00:19:46,596 --> 00:19:50,596 熱っ。 おお…。 大丈夫ですか? 243 00:20:00,109 --> 00:20:03,779 あっ 申し訳ない。 244 00:20:03,779 --> 00:20:09,952 伴四郎様 私ね…。 はい。 245 00:20:09,952 --> 00:20:13,623 私…。 246 00:20:13,623 --> 00:20:16,292 お… お菊さん? 247 00:20:16,292 --> 00:20:22,992 (鼓動) 248 00:20:25,801 --> 00:20:28,471 ただいま戻りました! (2人)あっ! 249 00:20:28,471 --> 00:20:33,142 遅いよ 与一! 遅いよ 与一! 250 00:20:33,142 --> 00:20:37,813 すいません。 雨宿りしてたら 暗くなっちまって。 251 00:20:37,813 --> 00:20:40,850 体 拭いといで。 へい! 252 00:20:40,850 --> 00:21:08,878 ♬~ 253 00:21:08,878 --> 00:21:11,178 寝ちまった。 254 00:21:13,349 --> 00:21:16,252 おはようございます お菊さん。 255 00:21:16,252 --> 00:21:24,360 ♬~ 256 00:21:24,360 --> 00:21:32,060 さあ 今日は いよいよ本番。 それまでに 献立 詰めるよ。 257 00:21:36,472 --> 00:21:39,975 ちょ… バカ 与一! えっ? 258 00:21:39,975 --> 00:21:42,975 水! あっ あっ… はい! 259 00:21:44,847 --> 00:21:48,651 熱っ! 与一 早く! (与一)へい! 260 00:21:48,651 --> 00:21:51,687 あ~。 261 00:21:51,687 --> 00:21:54,187 どうしましたか? 262 00:22:05,201 --> 00:22:08,337 指南書が…。 263 00:22:08,337 --> 00:22:12,037 でも 薪の上にあったから…。 264 00:22:22,351 --> 00:22:27,051 伴四郎様 申し訳ない。 私が…。 265 00:22:31,961 --> 00:22:39,301 お菊さん やけどはありませんか? 私は大丈夫だけど 指南書が…。 266 00:22:39,301 --> 00:22:45,975 構いません。 なまじ 指南書などあるから頼るのです。 267 00:22:45,975 --> 00:22:52,314 めそめそと 国元にいる妻子を思い 甘えてしまうのです。 268 00:22:52,314 --> 00:22:54,250 伴四郎様…。 269 00:22:54,250 --> 00:22:59,188 さあ 本番まで 献立を詰めましょう。 270 00:22:59,188 --> 00:23:03,926 一刻の猶予もありませんよ。 ヘヘッ。 271 00:23:03,926 --> 00:23:21,677 ♬~ 272 00:23:21,677 --> 00:23:26,549 やっぱり 一味足りない。 いいや もう十分だよ。 273 00:23:26,549 --> 00:23:30,352 しかし 相手は腕の立つ料理人だと。 274 00:23:30,352 --> 00:23:32,621 これが私の実力。 275 00:23:32,621 --> 00:23:36,292 これで勝負に負けるんなら 諦めもつくよ。 276 00:23:36,292 --> 00:23:38,794 お菊さん…。 277 00:23:38,794 --> 00:23:41,297 (戸が開く音) 278 00:23:41,297 --> 00:23:45,297 叔父上! 届いたぞ 伴四郎。 279 00:24:05,988 --> 00:24:08,891 (すず) 「食いしん坊な伴様の事です。➡ 280 00:24:08,891 --> 00:24:13,329 もうとっくに指南書の味に 飽きてしまっている頃でしょう」。 281 00:24:13,329 --> 00:24:18,000 お国の味 梅干しを使った調味を 書き足してあります。 282 00:24:18,000 --> 00:24:22,300 くれぐれも 食べ過ぎには注意して下さいね。 283 00:24:24,507 --> 00:24:29,011 すず… ありがとう。 284 00:24:29,011 --> 00:24:32,448 ♬~ 285 00:24:32,448 --> 00:24:34,950 こりゃ 勝てないね。 286 00:24:34,950 --> 00:24:40,950 何を言っておるのです お菊さん! これで勝てます! 287 00:24:44,960 --> 00:24:48,960 (庄兵衛)本日は 鯛料理での勝負となります。 288 00:24:50,766 --> 00:24:56,305 (庄兵衛)重役衆のお三方には 双方の膳を自由に食して頂き➡ 289 00:24:56,305 --> 00:25:01,644 最後に勝ち負けを決めて頂きます。 290 00:25:01,644 --> 00:25:03,579 では 料理を どうぞ。 291 00:25:03,579 --> 00:25:05,879 (3人)頂きます。 292 00:25:17,660 --> 00:25:19,660 おお 来た来た。 293 00:25:30,005 --> 00:25:32,608 (3人)ごちそうさまでした。 294 00:25:32,608 --> 00:25:35,945 では 軍配を お願いします。➡ 295 00:25:35,945 --> 00:25:39,945 お菊殿 酒田殿の料理が うまかった。 296 00:25:44,453 --> 00:25:49,653 京一殿の料理が… うまかった? 297 00:25:57,967 --> 00:26:00,803 本当に それでよろしいですか? 298 00:26:00,803 --> 00:26:04,306 何じゃ? 軍配は上がっておろう。 299 00:26:04,306 --> 00:26:12,006 しかし これで 京一殿に 軍配というのは 承知しかねます。 300 00:26:14,950 --> 00:26:19,855 ♬~ 301 00:26:19,855 --> 00:26:24,994 (小さい声で話す京一) (一同)えっ? 302 00:26:24,994 --> 00:26:26,929 (京一)なぜ残すのです? 303 00:26:26,929 --> 00:26:32,267 いや それは ついつい 相手の膳を 食べ過ぎてしもうてのう。 304 00:26:32,267 --> 00:26:35,938 話が違うでしょうが! 305 00:26:35,938 --> 00:26:38,841 約束守れないなら 金 返せ! 306 00:26:38,841 --> 00:26:49,785 ♬~ 307 00:26:49,785 --> 00:26:54,657 金? 金とは何です? 308 00:26:54,657 --> 00:27:00,129 栗山 殿に提案致す 財政立て直しの策じゃが➡ 309 00:27:00,129 --> 00:27:02,164 あれ まだ ととのうておらなんだな? 310 00:27:02,164 --> 00:27:05,634 確かに。 明日までに まとめる必要がありますな。 311 00:27:05,634 --> 00:27:08,934 本日は これにて失礼しましょう。 312 00:27:11,974 --> 00:27:15,644 庄兵衛さん 勝負は? 313 00:27:15,644 --> 00:27:20,516 お菊さん 酒田殿の勝ちです! 314 00:27:20,516 --> 00:27:25,216 (笑い声) 315 00:27:29,191 --> 00:27:35,931 ♬~ 316 00:27:35,931 --> 00:27:38,600 あ~。 317 00:27:38,600 --> 00:27:42,471 やはり 川原屋の仕出しは うまいのう。 318 00:27:42,471 --> 00:27:47,609 仕出しを再開するとは どういう風の吹き回しじゃ? 319 00:27:47,609 --> 00:27:53,609 いや… たまの贅沢 多少は構わぬかと。 320 00:27:58,620 --> 00:28:02,491 信じておったぞ すずよ。 321 00:28:02,491 --> 00:28:06,495 文一つで そこまで 一喜一憂できるとはなぁ。 322 00:28:06,495 --> 00:28:12,167 伴四郎 食うなら食うで 文を離せ。 行儀が悪い。 323 00:28:12,167 --> 00:28:14,636 あっ そういえば五郎右衛門。 324 00:28:14,636 --> 00:28:16,572 お主にも文が届いておったぞ。 325 00:28:16,572 --> 00:28:18,572 文? 326 00:28:21,810 --> 00:28:23,846 これじゃ。 327 00:28:23,846 --> 00:28:35,758 ♬~ 328 00:28:35,758 --> 00:28:41,263 伴四郎 この文 いつ届いた? 確か 2~3日前だったか。 329 00:28:41,263 --> 00:28:45,963 なぜ 早く知らせぬ!? この アホが! 330 00:28:47,770 --> 00:28:52,570 どうしたんじゃ 五郎右衛門のやつ。 さあ。 331 00:28:55,277 --> 00:29:00,149 「拝啓 すず殿 はな坊。➡ 332 00:29:00,149 --> 00:29:03,786 江戸は危うい町です。➡ 333 00:29:03,786 --> 00:29:06,288 五郎右衛門の この文が➡ 334 00:29:06,288 --> 00:29:11,627 まさか 我々に あんな大事件を招こうとは…」。 335 00:29:11,627 --> 00:29:28,927 ♬~ 336 00:30:32,941 --> 00:30:39,241 この世には 男と女と 彼らもいる。 337 00:30:41,049 --> 00:30:47,756 男として生まれながら 別な生き方を選んだ人たち。 338 00:30:47,756 --> 00:30:50,456 いわゆる… 339 00:30:53,562 --> 00:31:00,062 その時代を切り開いた 伝説の パイオニアがいた。