1 00:00:07,856 --> 00:00:10,526 お帰り。 ただいま。 2 00:00:10,526 --> 00:00:13,195 ごめんね 連絡もしないで。 ううん。 3 00:00:13,195 --> 00:00:16,895 お風呂 沸いてるわよ。 ありがとう。 4 00:00:22,871 --> 00:00:26,171 熱いですか? 熱すぎるよ。 5 00:00:33,198 --> 00:00:36,101 <時は幕末 所はお江戸。➡ 6 00:00:36,101 --> 00:00:39,705 参勤交代で江戸に来た 酒田伴四郎。➡ 7 00:00:39,705 --> 00:00:43,208 本日は いよいよ最終話。➡ 8 00:00:43,208 --> 00:00:46,111 脱藩騒ぎを起こした 五郎右衛門の命を➡ 9 00:00:46,111 --> 00:00:50,082 伴四郎は救う事ができるのか?> 10 00:00:50,082 --> 00:00:53,218 (伴四郎)五郎右衛門! 11 00:00:53,218 --> 00:00:55,218 五郎右衛門! 12 00:00:59,892 --> 00:01:01,827 夢か…。 13 00:01:01,827 --> 00:01:04,127 ≪(平三)うつつじゃ。 14 00:01:06,765 --> 00:01:12,071 我々が止めるのも聞かず 脱藩を企てた五郎右衛門は➡ 15 00:01:12,071 --> 00:01:19,578 昨夜 この長屋を飛び出し 直後に捕縛されてしまった。 16 00:01:19,578 --> 00:01:21,878 うつつか…。 17 00:01:24,917 --> 00:01:27,586 伴四郎 飯じゃ! 飯の支度をせい! 18 00:01:27,586 --> 00:01:32,286 よく こんな時に飯が食えますね。 つべこべ言うな! 19 00:01:37,396 --> 00:01:39,698 ありがとうございます。 20 00:01:39,698 --> 00:01:46,472 叔父上の言うとおり 朝飯を食い やっと 気持ちが落ち着きました。 21 00:01:46,472 --> 00:01:50,709 そのために 私に 飯の支度をさせたのでしょう? 22 00:01:50,709 --> 00:01:55,214 いや ただ 腹が へっておっただけじゃが。 23 00:01:55,214 --> 00:01:57,883 そうですか。 24 00:01:57,883 --> 00:02:00,219 五郎右衛門の事は もう忘れろ。 25 00:02:00,219 --> 00:02:02,254 まだ助ける手だてが あるやもしれません。 26 00:02:02,254 --> 00:02:05,057 脱藩を企てる事が どれほどの事態か➡ 27 00:02:05,057 --> 00:02:07,557 分からんのか このグズが! 28 00:02:11,563 --> 00:02:25,263 ♬~ 29 00:02:26,912 --> 00:02:30,582 昨夜遅くに捕縛した 矢沢五郎右衛門ですが➡ 30 00:02:30,582 --> 00:02:32,851 共謀者がいると思われます。 31 00:02:32,851 --> 00:02:35,754 しかし 吐かせるには至っておらず…。 32 00:02:35,754 --> 00:02:39,358 もうよい。 しばらくは放っておけ。 33 00:02:39,358 --> 00:02:41,860 承知しました。 34 00:02:41,860 --> 00:02:44,696 目通りを願う者は来ておるか? 35 00:02:44,696 --> 00:02:49,868 1人だけ 同じ衣紋方の者が 騒ぎ立てているようですが。 36 00:02:49,868 --> 00:02:51,804 追い払え。 37 00:02:51,804 --> 00:02:56,304 矢沢には誰も近づけるなと 申したであろう。 はっ。 38 00:03:10,189 --> 00:03:13,559 ≪なぜ かなわないのですか? 39 00:03:13,559 --> 00:03:16,228 姿を見るだけ。 ならん。 40 00:03:16,228 --> 00:03:19,565 姿を見せるだけ。 ならん。 41 00:03:19,565 --> 00:03:21,900 やつの真意を 問いただしたいのです➡ 42 00:03:21,900 --> 00:03:24,236 いま一度! ならん。 43 00:03:24,236 --> 00:03:28,106 「ならん」しか言えんのですか。 44 00:03:28,106 --> 00:03:30,106 ならん! 45 00:03:37,516 --> 00:03:41,816 五郎右衛門! 五郎右衛門! 46 00:03:44,389 --> 00:03:46,859 もう来るな。 47 00:03:46,859 --> 00:03:53,198 誰一人として牢に近づけるなと 殿じきじきのお達しだ。 48 00:03:53,198 --> 00:03:55,534 殿? 49 00:03:55,534 --> 00:04:10,082 ♬~ 50 00:04:10,082 --> 00:04:14,887 殿! 衣紋方 酒田伴四郎より 嘆願がございます! 51 00:04:14,887 --> 00:04:17,389 何事じゃ? バカたれ 伴四郎! やめんか! 52 00:04:17,389 --> 00:04:21,260 衣紋方として共にお仕えした 矢沢五郎右衛門が昨日➡ 53 00:04:21,260 --> 00:04:24,897 脱藩の罪で捕縛されました! 慎め。 殿の御前であるぞ。 54 00:04:24,897 --> 00:04:28,400 しかし 脱藩の企ては 一時の気の迷い。 (平三)伴四郎! 55 00:04:28,400 --> 00:04:34,206 どうか 寛大なる処置を! 差し出がましいぞ 酒田! 56 00:04:34,206 --> 00:04:38,677 気の迷いと申したか? はい。 57 00:04:38,677 --> 00:04:42,514 気の迷いであれば 何事も許されると➡ 58 00:04:42,514 --> 00:04:45,814 お主は そう申しておるのか? 59 00:04:49,688 --> 00:04:53,188 僭越であるぞ 酒田伴四郎。 60 00:04:55,861 --> 00:05:00,365 (お菊)脱藩なんてしでかしたら 死罪で当然。 61 00:05:00,365 --> 00:05:06,872 当人も分かってた事だろう? しかし 私には分からないのです。 62 00:05:06,872 --> 00:05:11,543 「藩のため」「殿のため」と しきりに言っていた男が なぜ…。 63 00:05:11,543 --> 00:05:15,714 そりゃ 誰かに 唆されたんだろうけどさ。 64 00:05:15,714 --> 00:05:18,383 誰かに? そりゃ そうでしょ。 65 00:05:18,383 --> 00:05:20,886 勤番で江戸に来た 五郎右衛門様に➡ 66 00:05:20,886 --> 00:05:23,388 青海藩とのつてなんて ある訳がない。 67 00:05:23,388 --> 00:05:26,725 誰かが 青海との間を 取り持ったのさ。 68 00:05:26,725 --> 00:05:29,394 では その誰かが分かれば…。 69 00:05:29,394 --> 00:05:32,164 また そういう甘い考えは 捨てるんだね。 70 00:05:32,164 --> 00:05:36,864 何があっても 五郎右衛門様の罪は消えない。 71 00:05:43,508 --> 00:05:47,179 矢沢五郎右衛門の件に関し 探りが入った。 72 00:05:47,179 --> 00:05:50,215 高野藩は どうやら 我が藩が臭いと疑ってるらしい。 73 00:05:50,215 --> 00:05:52,851 では 先方からの書状は? 74 00:05:52,851 --> 00:05:57,356 さっさと処分しろ。 まだ持っておったのか。 75 00:05:57,356 --> 00:05:59,391 申し訳ありません。 76 00:05:59,391 --> 00:06:03,691 書状の在りかなど 誰にも知れる事はあるまい。 77 00:06:16,742 --> 00:06:21,546 やっぱり似てる~。 何です? 78 00:06:21,546 --> 00:06:23,482 五郎右衛門が捕まりました。 79 00:06:23,482 --> 00:06:26,218 あなたしか やつを救う事ができないのです。 80 00:06:26,218 --> 00:06:29,571 私には関係のない事です。 81 00:06:29,571 --> 00:06:33,175 すず… あっ お松さん! 待って! ちょっと待って! 82 00:06:33,175 --> 00:06:36,078 無理強いは感心せん。 83 00:06:36,078 --> 00:06:38,378 これ以上 関わるな。 84 00:06:48,357 --> 00:06:53,195 (庄兵衛)おい! 干し柿なら 一度くれてやったろ? 85 00:06:53,195 --> 00:06:57,532 お主の食い意地は どうなっておるのだ? 86 00:06:57,532 --> 00:07:02,704 わしのせいじゃ。 矢沢殿の事か? 87 00:07:02,704 --> 00:07:06,575 あの夜 長々と昔話などして➡ 88 00:07:06,575 --> 00:07:09,878 いたずらに あやつを 引き止めてしまった。 89 00:07:09,878 --> 00:07:13,749 何も言わず放っておけば➡ 90 00:07:13,749 --> 00:07:18,220 五郎右衛門は 逃げおおせたかもしれんのに。 91 00:07:18,220 --> 00:07:21,890 今頃 何を思うておるのか…。 92 00:07:21,890 --> 00:07:27,562 やあ! やあ! 吐け! 93 00:07:27,562 --> 00:07:33,368 今回の脱藩は誰の描いた絵だ? 94 00:07:33,368 --> 00:07:36,171 (五郎右衛門) 誰でもございません。 95 00:07:36,171 --> 00:07:43,678 死ぬ前に 藩への恩返しをする 機会を与えてやろうというのに。 96 00:07:43,678 --> 00:07:49,017 知っている事は 全て吐け 矢沢。 97 00:07:49,017 --> 00:07:54,189 何もございません。 この裏切り者! 98 00:07:54,189 --> 00:08:01,863 ♬~ 99 00:08:01,863 --> 00:08:07,736 (千代)ここ数日 座敷に籠もる事が 多いようですね。 100 00:08:07,736 --> 00:08:10,736 誰にも会いとうない。 101 00:08:12,574 --> 00:08:16,878 脱藩を企てる者が現れたと 聞きましたが➡ 102 00:08:16,878 --> 00:08:21,750 その事で 気を煩って いらっしゃるのですか? 103 00:08:21,750 --> 00:08:27,389 衣紋方は矢沢五郎右衛門。 104 00:08:27,389 --> 00:08:29,724 一時は 藩の要職に➡ 105 00:08:29,724 --> 00:08:33,328 引き上げようかと考えたほどの 男じゃ。 106 00:08:33,328 --> 00:08:39,828 それほどの者が どうして…。 愛想を尽かされたのじゃろう。 107 00:08:42,037 --> 00:08:49,177 しかし このまま 藩士に 愛想を尽かされ続ければ➡ 108 00:08:49,177 --> 00:08:57,686 この藩は わし一人になろうな。 ふがいないのう。 109 00:08:57,686 --> 00:09:02,486 いえ 私がおります。 110 00:09:08,196 --> 00:09:12,868 (原田)此度の脱藩騒動 お主の耳にも届いておるな? 111 00:09:12,868 --> 00:09:17,739 (磯部)いやはや 驚きました。 捕縛された矢沢とは➡ 112 00:09:17,739 --> 00:09:21,576 例の建白書の矢沢五郎右衛門で 間違いございませんか? 113 00:09:21,576 --> 00:09:25,046 さよう。 114 00:09:25,046 --> 00:09:28,383 まあ しかし あの内容を見る限り➡ 115 00:09:28,383 --> 00:09:31,820 青臭い性分には 違いないようですし。 116 00:09:31,820 --> 00:09:37,158 お主は 何も知らんな? 117 00:09:37,158 --> 00:09:41,830 まさか。 知る由もありません。 118 00:09:41,830 --> 00:09:48,503 これが 私にできる事の全てです。 一目 会わせて下さい! 119 00:09:48,503 --> 00:09:50,438 ならん。 120 00:09:50,438 --> 00:09:53,675 ならば せめて 差し入れを許して下さい。 121 00:09:53,675 --> 00:09:57,512 無駄だ。 何も口にはせん。 122 00:09:57,512 --> 00:10:03,018 食い物を餌に 誰の手引きで企てた 脱藩なのか問うたようだが➡ 123 00:10:03,018 --> 00:10:10,525 それでも あやつは 何も知らんと。 口にするのは せいぜい白湯のみ。 124 00:10:10,525 --> 00:10:15,697 白湯…。 死にたいのか…。 125 00:10:15,697 --> 00:10:21,503 五郎右衛門! お主まで 生きる事を諦めるというのか!? 126 00:10:21,503 --> 00:10:27,709 私だけか? お主に生きてほしいと 願っておるのは! 127 00:10:27,709 --> 00:10:30,211 私が いくら生きてほしいと 願っても➡ 128 00:10:30,211 --> 00:10:34,082 お主に その気がないのなら 助けようがない! 129 00:10:34,082 --> 00:10:39,082 五郎右衛門! 五郎右衛門! 130 00:10:59,908 --> 00:11:03,244 お松さん。 131 00:11:03,244 --> 00:11:06,147 あなたは…。 132 00:11:06,147 --> 00:11:08,147 話がしたい。 133 00:11:15,957 --> 00:11:21,930 青海藩に仕える者が どうして こんな所に? 134 00:11:21,930 --> 00:11:27,802 あなた 本当に のんきに生きてきたのですね。 135 00:11:27,802 --> 00:11:30,605 私のような職にあって➡ 136 00:11:30,605 --> 00:11:34,476 藩邸内で のうのう暮らせるはずが ないでしょう。 137 00:11:34,476 --> 00:11:39,214 密偵など しくじれば 消されておしまい。 138 00:11:39,214 --> 00:11:44,719 そんな人間が 表立って人間らしい 暮らしができると お思いですか? 139 00:11:44,719 --> 00:11:50,592 では どうして密偵など されておるのです? 140 00:11:50,592 --> 00:11:55,792 私の勝手でしょう。 それが私に似合いの役目。 141 00:12:05,573 --> 00:12:08,243 それは何です? 142 00:12:08,243 --> 00:12:12,113 施しを受けるほど 落ちぶれてはいませんが。 143 00:12:12,113 --> 00:12:15,583 五郎右衛門に一目会おうとしたが かなわず➡ 144 00:12:15,583 --> 00:12:18,253 用意した賄賂が まるまる余ってしまったので。 145 00:12:18,253 --> 00:12:21,923 だからといって…。 似ておるのです お松さんは。 146 00:12:21,923 --> 00:12:24,223 我が妻に。 147 00:12:26,261 --> 00:12:30,932 いや ただのおせっかいだと思って 受け取って下さい。 148 00:12:30,932 --> 00:12:34,536 しかし あなた こんな事をするために➡ 149 00:12:34,536 --> 00:12:36,871 わざわざ ここまで来た訳では ないのでしょう? 150 00:12:36,871 --> 00:12:39,774 五郎右衛門の事で…。 その件は済んだ話。 151 00:12:39,774 --> 00:12:43,044 矢沢様は捕縛され 死罪となると聞きま…。 152 00:12:43,044 --> 00:12:45,344 そうはさせません! 153 00:12:47,215 --> 00:12:51,886 もし 五郎右衛門を唆した人間が いるのなら➡ 154 00:12:51,886 --> 00:12:55,557 我が藩と青海藩をつないだ 首謀者がいるのなら➡ 155 00:12:55,557 --> 00:12:57,892 教えて頂きたいのです。 156 00:12:57,892 --> 00:13:01,563 それを知って どうなさるおつもりで? 157 00:13:01,563 --> 00:13:06,363 少しは 罪が軽くなるやもしれません。 158 00:13:14,142 --> 00:13:16,111 それは? 159 00:13:16,111 --> 00:13:22,250 脱藩を決行する前 矢沢様より受け取った密書です。 160 00:13:22,250 --> 00:13:24,285 誰が密書を書いたのか➡ 161 00:13:24,285 --> 00:13:29,758 それが分かれば 高野藩の首謀者が 誰なのか分かるのでは? 162 00:13:29,758 --> 00:13:31,693 その密書を こちらへ。 163 00:13:31,693 --> 00:13:33,693 あっ。 164 00:13:36,531 --> 00:13:43,204 残念でしたね。 真相は藪の中。 165 00:13:43,204 --> 00:13:46,904 何か恨みでもあるのですか? 166 00:13:48,710 --> 00:13:52,580 我慢ならないんですよ。 167 00:13:52,580 --> 00:13:57,886 あなたたちみたいな 甘ったれた人間が! 168 00:13:57,886 --> 00:14:04,759 日ノ本がどうだ 行く末がこうだと きれい事ばかり並べ➡ 169 00:14:04,759 --> 00:14:07,228 お上のやり方が 気に入らなかったら➡ 170 00:14:07,228 --> 00:14:10,265 脱藩だと逃げ出す。 171 00:14:10,265 --> 00:14:17,572 残された我々は… 惨めな一生を生きるというのに。 172 00:14:17,572 --> 00:14:19,507 残された? 173 00:14:19,507 --> 00:14:31,419 ♬~ 174 00:14:31,419 --> 00:14:38,226 兄は青海藩からの脱藩に失敗し 打ち首となりました。 175 00:14:38,226 --> 00:14:43,865 残された私は お家の取り潰しを免れるために➡ 176 00:14:43,865 --> 00:14:50,738 密偵として藩に仕え このような暮らしを強いられて…。 177 00:14:50,738 --> 00:14:56,444 脱藩を決めたのも 捕縛されたのも矢沢様の甘さゆえ。 178 00:14:56,444 --> 00:14:59,714 こちらには 何の非もございません。 179 00:14:59,714 --> 00:15:07,055 それに あの密書を渡しては こちらの命まで危うい。 180 00:15:07,055 --> 00:15:09,891 命…。 181 00:15:09,891 --> 00:15:12,794 たかが私の命など➡ 182 00:15:12,794 --> 00:15:17,398 思いどおりにならなければ 斬り捨てられて おしまいです。 183 00:15:17,398 --> 00:15:22,198 こんな生活を続けていれば いつかは…。 184 00:15:24,072 --> 00:15:29,872 同じ命に「たかが」も「されど」も ありましょうか! 185 00:15:33,681 --> 00:15:39,487 あなたには生きていてほしい。 駄目です 死んでは! 186 00:15:39,487 --> 00:15:41,856 何を急にざれ言を…。 187 00:15:41,856 --> 00:15:47,356 違う人生を歩んでほしい。 違う暮らしを。 188 00:15:51,566 --> 00:15:54,435 五郎右衛門を守るためとはいえ➡ 189 00:15:54,435 --> 00:15:59,274 あなたの命を 奪う事などできません。 190 00:15:59,274 --> 00:16:01,774 これで失礼します。 191 00:16:03,544 --> 00:16:05,744 お待ち下さい。 192 00:16:15,723 --> 00:16:22,230 もはや 五郎右衛門殿の命を 救えぬやもしれませんが…。 193 00:16:22,230 --> 00:16:26,567 これが本物です。 194 00:16:26,567 --> 00:16:28,567 お松さん…。 195 00:16:32,340 --> 00:16:34,375 こんなあばら家でも➡ 196 00:16:34,375 --> 00:16:38,012 もてなさずに帰す訳には いきませんから。 197 00:16:38,012 --> 00:16:41,516 かたじけない。 198 00:16:41,516 --> 00:16:46,387 うちでは こんなものでも ごちそうなんです。 199 00:16:46,387 --> 00:16:49,687 信じられないでしょうが。 200 00:16:53,127 --> 00:16:56,698 白湯? 201 00:16:56,698 --> 00:16:59,198 お召し上がり下さい。 202 00:17:11,245 --> 00:17:16,245 なるほど。 これかもしれん。 203 00:17:24,392 --> 00:17:27,392 五郎右衛門の密書です。 204 00:17:33,201 --> 00:17:37,839 大儀であった 酒田伴四郎。 205 00:17:37,839 --> 00:17:43,339 だが これで 五郎右衛門の罪が 消える訳ではないぞ。 206 00:17:45,179 --> 00:17:48,016 どいつもこいつも 死ぬとか殺すとか➡ 207 00:17:48,016 --> 00:17:53,821 そればっかりだ。 どうして生きようとしない? 208 00:17:53,821 --> 00:17:58,321 武士の本分は 死ぬ事だけではないでしょう! 209 00:18:00,728 --> 00:18:10,872 ♬~ 210 00:18:10,872 --> 00:18:15,743 何じゃ やっと晩飯の支度か。 腹がへった。 はよせい。 211 00:18:15,743 --> 00:18:22,483 我々の晩飯ではありません。 何じゃと? 212 00:18:22,483 --> 00:18:27,055 叔父上に ひとつ お願いがございます。 213 00:18:27,055 --> 00:18:38,666 ♬~ 214 00:18:38,666 --> 00:18:41,502 ≪(庄兵衛)失礼します。 215 00:18:41,502 --> 00:18:49,377 ♬~ 216 00:18:49,377 --> 00:18:55,516 衣紋方は宇治井平三より 追加で お食事の用意がございます。 217 00:18:55,516 --> 00:18:59,387 宇治井? はい。 恐らく 同じく衣紋方➡ 218 00:18:59,387 --> 00:19:05,687 酒田伴四郎からの使いかと 思われますが。 うむ。 219 00:19:20,374 --> 00:19:24,879 矢沢五郎右衛門に 差し入れを持ってまいりました。 220 00:19:24,879 --> 00:19:29,179 ならん。 今日こそは引きません! 221 00:19:36,524 --> 00:19:39,224 厠へ行ってくる。 222 00:19:45,833 --> 00:19:50,333 五郎右衛門 起きろ 私だ。 223 00:19:53,508 --> 00:19:56,308 差し入れを持ってきた。 224 00:20:06,521 --> 00:20:08,821 伴四郎…。 225 00:20:12,193 --> 00:20:14,893 なんて ざまだ。 226 00:20:17,064 --> 00:20:20,368 お主は そうなりたかったのか? 227 00:20:20,368 --> 00:20:25,868 そんな姿になるために 日々 勉学に励んでおったのか? 228 00:20:32,079 --> 00:20:34,549 こんな時に飯など…。 229 00:20:34,549 --> 00:20:37,549 こんな時だからこそ食うのだ。 230 00:20:42,890 --> 00:20:47,890 白湯か? これなら口にすると聞いた。 231 00:21:33,541 --> 00:21:35,841 これは…。 232 00:21:37,712 --> 00:21:39,747 すまし汁だ。 233 00:21:39,747 --> 00:21:52,260 ♬~ 234 00:21:52,260 --> 00:21:56,564 (平三)指南書は? すずの指南書は どうした? 235 00:21:56,564 --> 00:22:00,234 これは 違うすずに教わったのです。 236 00:22:00,234 --> 00:22:05,906 何の話じゃ? お松です。 237 00:22:05,906 --> 00:22:08,409 青海藩のお松か? 238 00:22:08,409 --> 00:22:12,079 町外れで貧しい暮らしをする お松は➡ 239 00:22:12,079 --> 00:22:15,116 これを ごちそうだと言いました。 240 00:22:15,116 --> 00:22:27,094 ♬~ 241 00:22:27,094 --> 00:22:33,868 貧しい暮らしの中 こんなものでも 口にすれば 気力が湧くと。 242 00:22:33,868 --> 00:22:39,674 ♬~ 243 00:22:39,674 --> 00:22:44,378 五郎右衛門は これが 最後の食事になるやもしれません。 244 00:22:44,378 --> 00:22:48,249 できる限りの事を してやりたいのです。 245 00:22:48,249 --> 00:23:02,763 ♬~ 246 00:23:02,763 --> 00:23:05,232 出来た。 247 00:23:05,232 --> 00:23:26,420 ♬~ 248 00:23:26,420 --> 00:23:29,924 お代わり。 249 00:23:29,924 --> 00:23:32,224 承知した。 250 00:23:34,362 --> 00:23:37,362 なるほどな。 251 00:23:41,535 --> 00:23:45,706 誰か 人を呼んでまいれ。 はっ。 252 00:23:45,706 --> 00:23:49,543 矢沢五郎右衛門に➡ 253 00:23:49,543 --> 00:23:52,243 切腹を申しつける。 254 00:23:55,716 --> 00:23:57,716 うまい。 255 00:24:02,590 --> 00:24:04,790 どけい! 256 00:24:12,166 --> 00:24:18,739 矢沢五郎右衛門 殿より切腹の命が下った。 257 00:24:18,739 --> 00:24:22,910 えっ… ちょっと待って下さい! ちょっと! 258 00:24:22,910 --> 00:24:26,747 承知しました。 五郎右衛門! 259 00:24:26,747 --> 00:24:29,417 離せよ! よせ。 260 00:24:29,417 --> 00:24:35,523 五郎右衛門! 離して! ちょっと… 五郎右衛門! 261 00:24:35,523 --> 00:24:40,823 ちょっと待って! 五郎右衛門! 五郎右衛門! 262 00:24:45,699 --> 00:24:49,399 いつまで そうしておるつもりだ 伴四郎。 263 00:24:51,205 --> 00:24:54,875 叔父上は 何も思わんのですか? 264 00:24:54,875 --> 00:24:58,746 やつの事を思わんのですか? 265 00:24:58,746 --> 00:25:02,550 これからは勉学の時代だぞ。 腹いっぱい食わせてやる。 266 00:25:02,550 --> 00:25:04,485 急に どうした? 伴四郎! 267 00:25:04,485 --> 00:25:08,889 五郎右衛門の事を思うと 気が抜けてしまって…。 268 00:25:08,889 --> 00:25:13,561 そりゃ わしも…。 269 00:25:13,561 --> 00:25:16,397 おられるか? 270 00:25:16,397 --> 00:25:18,332 (伴四郎 平三)惨助。 271 00:25:18,332 --> 00:25:22,736 惨助… 惨助… 惨助! おいおいおい。 272 00:25:22,736 --> 00:25:25,072 くそ~ 惨助! 何するんじゃ。 273 00:25:25,072 --> 00:25:28,409 何をしておる 伴四郎! 五郎右衛門が…! 274 00:25:28,409 --> 00:25:33,209 惨助に八つ当たりしても しかたあるまい! 275 00:25:35,015 --> 00:25:38,352 藩邸より預かってきた。 お主宛てだ。 276 00:25:38,352 --> 00:25:40,352 酒田殿。 277 00:25:45,125 --> 00:25:48,529 五郎右衛門? 278 00:25:48,529 --> 00:25:51,432 生きておるのか? 五郎右衛門。 279 00:25:51,432 --> 00:25:55,732 しかし これ 本当に五郎右衛門の文か? 280 00:26:00,040 --> 00:26:04,545 「殿の特別な計らいにより 切腹を免れた。➡ 281 00:26:04,545 --> 00:26:08,382 せっかく生かされた命 この国の行く末を思い➡ 282 00:26:08,382 --> 00:26:15,055 広い世界を見て回ろうと思う。 達者で暮らせ 伴四郎」。 283 00:26:15,055 --> 00:26:18,559 間違いありません。 五郎右衛門の字です。 284 00:26:18,559 --> 00:26:25,232 あ~ そうですか。 矢沢殿は生きておられるのですか。 285 00:26:25,232 --> 00:26:29,737 あれほど有能な人材を みすみす死罪にするほど➡ 286 00:26:29,737 --> 00:26:35,843 我が藩の殿様も 阿呆ではなかったようですな。 287 00:26:35,843 --> 00:26:38,879 惨助…。 288 00:26:38,879 --> 00:26:41,715 惨助! おい 気色悪いな! 289 00:26:41,715 --> 00:26:45,019 やめい! 落ち着け 伴四郎! やめい。 290 00:26:45,019 --> 00:26:49,857 よかった… よかった~。 291 00:26:49,857 --> 00:26:53,727 五郎右衛門…。 292 00:26:53,727 --> 00:26:57,027 惨助! 気色悪い! 293 00:26:59,867 --> 00:27:02,202 最初から助けるつもりなら➡ 294 00:27:02,202 --> 00:27:04,705 そう おっしゃってくれれば いいのに。 295 00:27:04,705 --> 00:27:10,210 あのまま逃がしてしまえば ほかの家臣たちに示しがつかん。 296 00:27:10,210 --> 00:27:19,219 高野藩藩士 矢沢五郎右衛門は 一度 死なねばならなかったのだ。 297 00:27:19,219 --> 00:27:21,155 ありがとうございます。 298 00:27:21,155 --> 00:27:28,562 いや わしの手引きだけで 矢沢を救えた訳ではない。 299 00:27:28,562 --> 00:27:33,334 あやつは あのまま死ぬつもりだった。 300 00:27:33,334 --> 00:27:38,505 お主のすまし汁が あやつの心をほぐし➡ 301 00:27:38,505 --> 00:27:42,805 生きたいと思わせたのじゃ。 302 00:27:45,379 --> 00:27:50,679 あのすまし汁は 私の手柄ではありません。 303 00:27:52,686 --> 00:27:56,357 お松さん! 304 00:27:56,357 --> 00:27:58,692 お松さんのすまし汁のおかげで 五郎右衛門が…。 305 00:27:58,692 --> 00:28:01,892 お松? お松とは…? 306 00:28:05,466 --> 00:28:11,705 お… お主 すずか? よう 江戸へ参った! 307 00:28:11,705 --> 00:28:14,541 その前に。 308 00:28:14,541 --> 00:28:18,712 お松とは どちら様で? 309 00:28:18,712 --> 00:28:21,212 いや… それは…。 310 00:28:26,220 --> 00:28:28,889 よし。 311 00:28:28,889 --> 00:28:33,889 では おネギを刻んで。 はい。 312 00:28:41,835 --> 00:28:45,506 こう見ると 伴四郎も 随分と料理の腕を上げたようじゃ。 313 00:28:45,506 --> 00:28:52,680 いや~ すずさんの指南があっての 動きでしょう。 ハハハ。 314 00:28:52,680 --> 00:28:58,018 与一 大宮さんとこの出前 忘れないようにね。 (与一)へい。 315 00:28:58,018 --> 00:29:02,523 (お羽)うちの名物のカピタン漬けです。 一味 違いますよ。 316 00:29:02,523 --> 00:29:05,359 殿。 ん? 梅に ウグイスが。 317 00:29:05,359 --> 00:29:08,395 「拝啓 五郎右衛門。➡ 318 00:29:08,395 --> 00:29:11,699 江戸は 今日も平和な町です。➡ 319 00:29:11,699 --> 00:29:15,202 勤番は もうしばらく続きます。➡ 320 00:29:15,202 --> 00:29:20,074 江戸を離れるその日まで もう これ以上 何事もなく➡ 321 00:29:20,074 --> 00:29:24,878 のんきに過ごせる事を 願っているのですが…」。 322 00:29:24,878 --> 00:29:28,878 ♬~ 323 00:30:33,814 --> 00:30:36,314 アイゴー! 324 00:30:38,418 --> 00:30:43,023 その日 彼らは 115人もの大切な家族を➡ 325 00:30:43,023 --> 00:30:45,723 一瞬にして奪われた。 326 00:30:48,162 --> 00:30:50,862 事件の名は…。 327 00:30:54,301 --> 00:31:00,301 機体は空中で爆破され 中にいた乗客は海に散った。