1 00:00:02,202 --> 00:00:04,605 いらっしゃいませ いらっしゃいませ! 2 00:00:04,605 --> 00:00:07,407 (村田屋治郎兵衛) 新作の黄表紙も大評判。➡ 3 00:00:07,407 --> 00:00:12,279 しかも まだ 昨年の「万石通」も売れ続けてるたぁ➡ 4 00:00:12,279 --> 00:00:15,148 天下の蔦屋 乗りに乗ってるな! 5 00:00:15,148 --> 00:00:17,150 (蔦屋重三郎) いやぁ こりゃ ひとえに➡ 6 00:00:17,150 --> 00:00:20,621 先生方が 面白えもん あげてくださったおかげです。 7 00:00:20,621 --> 00:00:22,556 (村田屋)しかし 思い切ったもんだ。 8 00:00:22,556 --> 00:00:27,394 田沼落としはやめ 今度は 越中守様を皮肉るたぁ! 9 00:00:27,394 --> 00:00:31,632 いやぁ それは 御公儀も こんな有様で大変ですね➡ 10 00:00:31,632 --> 00:00:34,968 気張ってくだせえって 後押ししてるだけです。 11 00:00:34,968 --> 00:00:38,005 (奥村屋源六)まぁ 文武文武も 落ち着いてきてるみたいだしね。 12 00:00:38,005 --> 00:00:42,442 ええ。 ありゃ 地道に 修行しろ 稽古しろって話ですから➡ 13 00:00:42,442 --> 00:00:44,811 そう長くは続かねえってことです。 14 00:00:44,811 --> 00:00:48,649 すっとぼけやがって! 見越してやってんだろ。 15 00:00:48,649 --> 00:00:51,318 (笑い声) 何だ その顔は! 16 00:00:51,318 --> 00:00:55,188 蔦屋のくせに生意気だぞ。 いえ…。 17 00:00:55,188 --> 00:00:57,658 (鶴屋喜右衛門) 蔦屋さん。➡ 18 00:00:57,658 --> 00:01:04,464 これ お奉行所から 何か言われてきてませんか? 19 00:01:04,464 --> 00:01:07,267 鶴屋さん。 20 00:01:07,267 --> 00:01:12,105 どうも 越中守様は 黄表紙好きらしいんですよ。 21 00:01:12,105 --> 00:01:14,041 (一同)えっ!? 22 00:01:14,041 --> 00:01:18,278 こりゃ 私たち 意外と➡ 23 00:01:18,278 --> 00:01:21,181 やりたい放題かもしれませんよ? 24 00:01:21,181 --> 00:01:25,619 随分と調子に乗っている蔦重ですが 実は➡ 25 00:01:25,619 --> 00:01:28,956 越中守様は 幕府の立て直しのため➡ 26 00:01:28,956 --> 00:01:34,628 黄表紙を読む暇もないほどの 忙しさだったのです。 27 00:01:34,628 --> 00:01:37,297 (松平定信)そなたほど 文武に優れておる者は またとない。 28 00:01:37,297 --> 00:01:40,801 年など気にせず お役につくがよい。 29 00:01:40,801 --> 00:01:44,805 しかし いまだ 至らぬところ多く! 30 00:01:46,440 --> 00:01:49,343 (定信)ここのところ これぞと見込んだ者が➡ 31 00:01:49,343 --> 00:01:52,145 お役目を引き受けてくれぬことが 多くてな。 32 00:01:52,145 --> 00:01:56,316 (水野為長)殿のお志が高いゆえ 皆様 物怖じしてしまうのかもしれませぬな。 33 00:01:56,316 --> 00:01:58,251 何が高いものか。 34 00:01:58,251 --> 00:02:03,390 私は ただ 奉公の心をもって 忠実にお役目をつとめる➡ 35 00:02:03,390 --> 00:02:07,761 至極当たり前のことを望んでおるだけだ。 36 00:02:07,761 --> 00:02:10,397 どれ 報告を出せ。 37 00:02:10,397 --> 00:02:12,399 はっ! 38 00:02:18,271 --> 00:02:21,775 随分と溜めてしまったのう。 39 00:02:37,958 --> 00:02:40,260 これは…。 40 00:02:41,828 --> 00:02:45,132 (定信)そなたが 賂を 受け取っておるという報告があった。➡ 41 00:02:45,132 --> 00:02:47,968 範たるべき本多の者が なんたることか! 42 00:02:47,968 --> 00:02:51,438 (本多忠籌)申し訳ございませぬ! 当家の家老が…! 43 00:02:51,438 --> 00:02:55,308 家老に きつく言っておきますので! 44 00:02:55,308 --> 00:02:58,512 次はないと思え。 45 00:03:17,397 --> 00:03:21,601 …しかしながら➡ 46 00:03:21,601 --> 00:03:29,342 当家の家老が 何故に 賂に手を出したかは➡ 47 00:03:29,342 --> 00:03:32,946 一考に値しますかと。 48 00:03:32,946 --> 00:03:37,117 単なる田沼病である。 考えるまでもない。 49 00:03:37,117 --> 00:03:42,289 お役目を果たすためのかかりは 家禄から払う仕組みとなっております。 50 00:03:42,289 --> 00:03:45,625 お役目にあずかれば 持ち出しが増え➡ 51 00:03:45,625 --> 00:03:52,966 実のところ 役付きになったとて 大したうまみがないのでございます。➡ 52 00:03:52,966 --> 00:03:59,306 田沼のもとで 皆が競って お役目につきたがったのは➡ 53 00:03:59,306 --> 00:04:03,076 賂をもらえる うまみがあったゆえ。 54 00:04:03,076 --> 00:04:08,882 今 役目を辞退する者が多いのは➡ 55 00:04:08,882 --> 00:04:14,387 つまるところ それが理由と存じます。 56 00:04:19,926 --> 00:04:22,963 では そなたは➡ 57 00:04:22,963 --> 00:04:26,266 賂を復活しろと? そんなことは…。 58 00:04:26,266 --> 00:04:28,602 そもそも 知行家禄とは 奉公をなすためのもの。 59 00:04:28,602 --> 00:04:31,638 もらうものは もらいたいが 奉公をなしたくないでは筋が通らぬ。 60 00:04:31,638 --> 00:04:33,774 いや もはや 盗人ではないか! 分かって…。 61 00:04:33,774 --> 00:04:36,109 持ち出しなどにとらわれず 御公儀への忠義 お役目を果たせる➡ 62 00:04:36,109 --> 00:04:38,044 そのことを無上の喜びとする! 63 00:04:38,044 --> 00:04:41,615 それを喜びとできるのは 懐に余裕がある者だけかと! 64 00:04:41,615 --> 00:04:43,650 故に倹約をせよと言うておる!➡ 65 00:04:43,650 --> 00:04:46,786 私の言うとおりにしておればよいのだ。 66 00:04:46,786 --> 00:04:51,658 言うとおりにすれば うまく回るように 私は取り計らっておるのだ! 67 00:04:51,658 --> 00:05:03,236 ♬~ 68 00:05:03,236 --> 00:05:09,576 越中守様は 優れたお方でございます。 69 00:05:09,576 --> 00:05:15,916 しかし その越中守様でも➡ 70 00:05:15,916 --> 00:05:22,088 思うがままに動きませぬもの➡ 71 00:05:22,088 --> 00:05:27,294 それが 世というものにございますかと。 72 00:05:28,962 --> 00:05:32,098 「鸚鵡返文武二道」。 73 00:05:32,098 --> 00:05:34,401 そこに描かれていたのは➡ 74 00:05:34,401 --> 00:05:39,239 越中守様が 大真面目に打ち出した 文武奨励の策が➡ 75 00:05:39,239 --> 00:05:44,144 ことごとく 空回りしていく様にございました。 76 00:05:44,144 --> 00:05:57,290 ♬~ 77 00:05:57,290 --> 00:06:00,493 これは もはや 謀反も同じである! 78 00:06:02,062 --> 00:07:00,887 ♬~ 79 00:07:00,887 --> 00:08:28,375 ♬~ 80 00:08:31,244 --> 00:08:33,913 (ざわめき) 81 00:08:33,913 --> 00:08:37,417 何だ? え? 82 00:08:39,719 --> 00:08:41,654 (みの吉)旦那様。 83 00:08:41,654 --> 00:08:44,090 おう。 84 00:08:44,090 --> 00:08:46,793 おお…。 85 00:08:48,595 --> 00:08:51,631 いかな御用にございましょうか? 86 00:08:51,631 --> 00:09:02,542 「鸚鵡返文武二道」 「天下一面鏡梅鉢」 「文武二道万石通」の3作を➡ 87 00:09:02,542 --> 00:09:04,477 絶版とする! 88 00:09:04,477 --> 00:09:06,413 絶版!? 89 00:09:06,413 --> 00:09:09,215 あらためよ! (一同)はっ! 90 00:09:09,215 --> 00:09:19,859 ♬~ 91 00:09:19,859 --> 00:09:23,363 (つよ) 罰って これで終わるもんなんですか? 92 00:09:23,363 --> 00:09:26,566 これ以上のお咎めとかって…。 93 00:09:28,201 --> 00:09:31,905 鶴屋さん。 94 00:09:31,905 --> 00:09:36,743 越中守様に会えませんかね? 95 00:09:36,743 --> 00:09:39,779 こりゃ 直に訴える いい折だと思うんでさ。 96 00:09:39,779 --> 00:09:42,916 俺らだって いい世にするために やってんだって➡ 97 00:09:42,916 --> 00:09:44,851 きちんと申し上げてみようかと。 98 00:09:44,851 --> 00:09:47,253 ご老中といえば 田沼様のような方だと➡ 99 00:09:47,253 --> 00:09:49,756 お思いになってらっしゃるかも しれませんが➡ 100 00:09:49,756 --> 00:09:54,394 常のご老中とは 気軽に 町方に会ったりはしないんです。 101 00:09:54,394 --> 00:09:57,597 けど 人と人ですよ? 腹割って話しゃ…。 102 00:09:57,597 --> 00:10:02,469 (てい)旦那様が 身二つに割られるだけになりますかと。 103 00:10:02,469 --> 00:10:08,241 今は 派手に動かないでください。 ほかの地本問屋も探られかねませんし。 104 00:10:08,241 --> 00:10:10,176 …へえ。 105 00:10:10,176 --> 00:10:13,413 そなたの江戸家老は➡ 106 00:10:13,413 --> 00:10:17,116 家老には向いておらぬのではないか? 107 00:10:17,116 --> 00:10:20,420 戯作を書くのには 随分と長けておるようだが。 108 00:10:23,790 --> 00:10:28,661 (定信)かように不埒なものを書く家老を 野放しとは! 109 00:10:28,661 --> 00:10:34,367 これを 平沢が…。 110 00:10:37,804 --> 00:10:40,139 筆を折る? 111 00:10:40,139 --> 00:10:43,810 (朋誠堂喜三二)殿に怒られちまってさ。 112 00:10:43,810 --> 00:10:46,446 黄表紙は言うまでもなく➡ 113 00:10:46,446 --> 00:10:50,316 遊び回っておったことが 嗅ぎつけられてなぁ。 114 00:10:50,316 --> 00:10:54,187 お家の恥だ ご先祖に申し訳が立たぬって➡ 115 00:10:54,187 --> 00:10:58,992 顔 真っ赤にして 涙 浮かべて 怒られてさ。 116 00:10:58,992 --> 00:11:03,763 けど なにも やめなくても。 117 00:11:03,763 --> 00:11:07,634 名 変えて 続けりゃいいじゃねえですか。 118 00:11:07,634 --> 00:11:10,403 フフフ…。 119 00:11:10,403 --> 00:11:14,274 まぁ 遊びってのは➡ 120 00:11:14,274 --> 00:11:19,078 誰かを泣かせてまで やるこっちゃないしなぁ。 121 00:11:25,885 --> 00:11:28,588 …分かりました。 122 00:11:32,125 --> 00:11:37,997 春町先生の方は? お殿様は 戯作のこと ご存じですよね。 123 00:11:37,997 --> 00:11:41,301 (恋川春町)うむ…。 124 00:11:41,301 --> 00:11:44,304 当家は それが災いとなり➡ 125 00:11:44,304 --> 00:11:46,806 我が殿こそが恋川春町ではないかと➡ 126 00:11:46,806 --> 00:11:49,309 疑われてな。 え!? 127 00:11:49,309 --> 00:11:52,979 (松平信義)恋川春町と申すは それがしではなく➡ 128 00:11:52,979 --> 00:11:58,785 家中の倉橋 格なる者にございます。➡ 129 00:11:58,785 --> 00:12:07,260 倉橋 此度のこと 心より悔やむあまり 病となり➡ 130 00:12:07,260 --> 00:12:10,964 隠居いたしましてございまする! 131 00:12:12,599 --> 00:12:14,534 俺たちは 直参ではない。 132 00:12:14,534 --> 00:12:17,937 故に これ以上のお咎めは なかろうということだ。 133 00:12:17,937 --> 00:12:23,409 けど… 隠居されちまって 倉橋のお家は大事ねえんですか? 134 00:12:23,409 --> 00:12:26,946 禄が減ったりはあろうが 殿も お気にかけてくださるし➡ 135 00:12:26,946 --> 00:12:33,620 まぁ これからは 戯作の方で もう少しな。 136 00:12:33,620 --> 00:12:35,555 もちろん。 137 00:12:35,555 --> 00:12:39,425 末永く お願いの介にございます! 138 00:12:39,425 --> 00:12:42,795 ところで 南畝先生は無事かい? 139 00:12:42,795 --> 00:12:45,298 既に目をつけられておったろ。 140 00:12:45,298 --> 00:12:47,233 それが…。 141 00:12:47,233 --> 00:12:50,970 旦那様 南畝先生から お文が。 142 00:12:50,970 --> 00:12:53,473 え? 143 00:13:06,452 --> 00:13:10,256 何だ? どうしたのだ? 144 00:13:10,256 --> 00:13:14,460 東作さんが ご病気らしいです。 145 00:13:16,596 --> 00:13:20,099 (平秩東作)うう…。 146 00:13:20,099 --> 00:13:28,608 そうかぁ… 不埒さんってなぁ しぶといねぇ。 147 00:13:28,608 --> 00:13:34,113 (大田南畝) おう! 皆 しぶとく戯けようとな。 148 00:13:34,113 --> 00:13:39,419 戯けをせんとや生まれけん! …だ。 149 00:13:39,419 --> 00:13:41,954 ハハ…。 150 00:13:41,954 --> 00:13:50,129 (須原屋市兵衛) 今な 蔦重が 面白い狂歌本を作っててな。 151 00:13:50,129 --> 00:13:54,967 東作さんも また一緒に戯けましょうよ。 152 00:13:54,967 --> 00:14:13,920 ♬~ 153 00:14:13,920 --> 00:14:16,589 ああ こりゃ➡ 154 00:14:16,589 --> 00:14:19,926 綺麗だ。 155 00:14:19,926 --> 00:14:24,931 あ… じゃあ 源内さんに言っとくよ。 156 00:14:28,101 --> 00:14:31,604 こないだ 来たのよ。 157 00:14:31,604 --> 00:14:36,943 狂歌が流行る前に 江戸から去っちまったから➡ 158 00:14:36,943 --> 00:14:40,646 狂歌会 出てえって。 159 00:14:42,281 --> 00:14:45,184 (南畝) 夢枕に立ったってことなのかねぇ➡ 160 00:14:45,184 --> 00:14:47,153 あれは。 161 00:14:47,153 --> 00:14:50,623 世界の時計は進むのに➡ 162 00:14:50,623 --> 00:14:54,494 日の本は 100年前に逆戻りか。 163 00:14:54,494 --> 00:15:02,235 ますます 取り残されてしまうな。➡ 164 00:15:02,235 --> 00:15:06,105 俺や田沼様がやってたことは 一体 何だったんだ! 165 00:15:06,105 --> 00:15:09,976 平賀源内➡ 166 00:15:09,976 --> 00:15:14,280 それが言いたくて出てきたんだよ。 167 00:15:16,382 --> 00:15:22,088 平秩東作が その波瀾万丈な人生を終えた頃➡ 168 00:15:22,088 --> 00:15:26,959 越中守様は 更にお忙しく 政に取り組み➡ 169 00:15:26,959 --> 00:15:30,463 倹約を推し進めていきました。 170 00:15:38,271 --> 00:15:42,108 (定信)そのようなものは いらぬ。 もっと倹約せよ。 171 00:15:42,108 --> 00:15:52,285 ♬~ 172 00:15:52,285 --> 00:15:58,090 (徳川家斉)「子 曰わく 詩三百を誦し➡ 173 00:15:58,090 --> 00:16:03,362 之に授くるに政を以てして達せず➡ 174 00:16:03,362 --> 00:16:08,201 四方に使いして専対すること能わざれば」。 175 00:16:08,201 --> 00:16:11,904 (走る足音) 176 00:16:11,904 --> 00:16:14,240 ご講義中 ご無礼仕りまする! 177 00:16:14,240 --> 00:16:18,911 蝦夷にて 戦が起こりましてございまする! 178 00:16:18,911 --> 00:16:22,782 後の世に言われる クナシリメナシの戦い。 179 00:16:22,782 --> 00:16:27,253 松前道廣が 即座に鎮めはしたのですが…。 180 00:16:27,253 --> 00:16:30,089 (本多)そもそも 蝦夷の民が暴れたのは➡ 181 00:16:30,089 --> 00:16:34,594 松前家および その請負商人たちの 酷い扱いによるもの! 182 00:16:34,594 --> 00:16:37,630 また 此度の鎮め方も残虐非道であり…。 183 00:16:37,630 --> 00:16:40,266 蝦夷の民の恨みは ますます深いということだな。 184 00:16:40,266 --> 00:16:45,104 然様にございます。 松前に支配を任せれば いずれまた同じことが起きまするかと…。 185 00:16:45,104 --> 00:16:47,607 故に 蝦夷地を松前より取り上げるべきと。 186 00:16:47,607 --> 00:16:51,277 (牧野貞長)しかし 天領となれば かかりも相当となりましょう。 187 00:16:51,277 --> 00:16:55,615 金のことなど気にせず まずは 何をなすべきかを考えるべきであろう! 188 00:16:55,615 --> 00:16:59,318 (牧野)不明でございました。 お許しを…。 189 00:17:01,420 --> 00:17:04,056 (定信)これは もはや 国難にございます。 190 00:17:04,056 --> 00:17:08,227 この上は 天領とするのが最上かと。 191 00:17:08,227 --> 00:17:10,897 (徳川治保)しかし 蝦夷は遠い。➡ 192 00:17:10,897 --> 00:17:15,568 松前に命じ 手堅く備えさせる方が 確かではないか。➡ 193 00:17:15,568 --> 00:17:18,070 戦は得意なようであるし。 194 00:17:18,070 --> 00:17:20,973 それは 蝦夷の民相手。 195 00:17:20,973 --> 00:17:26,379 異国相手となれば 松前だけでは心もとなきことかと。 196 00:17:26,379 --> 00:17:31,083 (徳川治貞)国を守るは 御公儀の何よりのつとめ➡ 197 00:17:31,083 --> 00:17:33,753 武家の本分でもあるな。 198 00:17:33,753 --> 00:17:37,924 仰せのとおりにございます。 199 00:17:37,924 --> 00:17:45,097 (徳川宗睦)しかし 此度 乱を速やかに鎮め 武士の本分を尽くしたと言えよう。 200 00:17:45,097 --> 00:17:49,936 功を立てたにもかかわらず 所領を取り上げるとは➡ 201 00:17:49,936 --> 00:17:51,871 いかがなものかの。 202 00:17:51,871 --> 00:17:57,610 此度 蝦夷の民が戦を仕掛けたのは 松前の政が酷かったから。 203 00:17:57,610 --> 00:18:01,881 (一橋治済) しかし かかりは いかがするのじゃ? 204 00:18:01,881 --> 00:18:07,219 蝦夷にて 交易や開墾などを行い かかりを賄おうと考えておりまする。 205 00:18:07,219 --> 00:18:10,723 蝦夷には 金銀も多くあると申しますし➡ 206 00:18:10,723 --> 00:18:17,229 天領とすれば 幕府の御金蔵にも 大変よろしいかと。 207 00:18:17,229 --> 00:18:22,368 (治済)ほほう… なるほどのう。➡ 208 00:18:22,368 --> 00:18:25,237 しかし わしは よいのじゃが➡ 209 00:18:25,237 --> 00:18:28,741 そなたは それでよいのか? 210 00:18:28,741 --> 00:18:31,777 …と おっしゃられますと? 211 00:18:31,777 --> 00:18:38,784 そなたこそが「田沼病」と 笑われはせぬかと案じておる。 212 00:18:42,755 --> 00:18:46,392 …それがしが 田沼病? 213 00:18:46,392 --> 00:18:52,932 先年もうけた 町方による 「勘定所御用達」であるか。 214 00:18:52,932 --> 00:18:57,770 あれなどは 人を入れ替え 看板をかえただけで➡ 215 00:18:57,770 --> 00:19:03,342 中身は まるきり 田沼のやり方と同じそうではないか。 216 00:19:03,342 --> 00:19:07,213 (治貞) 御用商人は 別に田沼の発明ではないし➡ 217 00:19:07,213 --> 00:19:13,719 清廉な商人を選ぶことに意味があるかと。 218 00:19:13,719 --> 00:19:16,355 そうであったか。 219 00:19:16,355 --> 00:19:21,193 しかし 財政を立て直すために 松前から蝦夷を取り上げる➡ 220 00:19:21,193 --> 00:19:24,730 それは紛れもなく 田沼の発明であろう? 221 00:19:24,730 --> 00:19:30,903 田沼に限らず あの時分 そのような考えを持つ者は 数多おった。 222 00:19:30,903 --> 00:19:35,741 (治済)しかし 民は そう思うかのう? 223 00:19:35,741 --> 00:19:39,078 そなた➡ 224 00:19:39,078 --> 00:19:43,382 黄表紙を取り締まっておるようだが。 225 00:19:50,689 --> 00:19:55,094 (松前道廣) では 上知とはなりませぬご様子で? 226 00:19:55,094 --> 00:19:59,965 紀州の老いぼれが諫めておったが…。➡ 227 00:19:59,965 --> 00:20:03,769 あやつは 気位ばかりが高いゆえ➡ 228 00:20:03,769 --> 00:20:07,973 田沼より下と見られるのは 我慢がならぬはずじゃ。 229 00:20:09,942 --> 00:20:13,245 ありがた山の昆布からす。 230 00:20:15,281 --> 00:20:17,283 ハッ! 231 00:20:17,283 --> 00:20:21,087 「悦贔屓蝦夷押領」。 232 00:20:21,087 --> 00:20:26,892 それは 田沼様が立てた手柄を 越中守様が横取りするという➡ 233 00:20:26,892 --> 00:20:30,830 痛烈な皮肉が込められていたのでした。 234 00:20:30,830 --> 00:20:35,434 恋川春町…➡ 235 00:20:35,434 --> 00:20:39,738 倉橋 格なる者を呼び出せ! 236 00:20:42,141 --> 00:20:44,810 いっそ 呼び出しに応じて➡ 237 00:20:44,810 --> 00:20:47,646 春町先生の考えを 腹割って話すってなぁ ねえですか? 238 00:20:47,646 --> 00:20:49,582 あちらは 将軍補佐➡ 239 00:20:49,582 --> 00:20:53,452 こちらは 吹けば飛ぶような 1万石の小名の家来ぞ。 240 00:20:53,452 --> 00:20:56,155 けど 黄表紙好きだって話➡ 241 00:20:56,155 --> 00:20:58,991 嘘じゃねえかもしんねえでしょ? 242 00:20:58,991 --> 00:21:03,395 許されんなら 共に参りますし。 243 00:21:03,395 --> 00:21:07,099 …うまくいけばよいが うまくいかねば その場で お手討ち➡ 244 00:21:07,099 --> 00:21:10,936 小島松平家が お取り潰しともなりかねぬ。 245 00:21:10,936 --> 00:21:14,807 それは 打てぬ博打だな…。 246 00:21:14,807 --> 00:21:19,645 嘘八百並べ立て 這いつくばって 許しを乞うんですか? 247 00:21:19,645 --> 00:21:23,415 春町先生に それができるとは 思えねえんですが…。 248 00:21:23,415 --> 00:21:26,318 …あ~! 249 00:21:26,318 --> 00:21:29,321 あ~…。 そこよな…。 250 00:21:31,290 --> 00:21:37,296 いっそ まことに 病で死んじまうってなぁ ねえですか? 251 00:21:42,301 --> 00:21:46,639 病で隠居で 建て前は ほんとだったってことにして➡ 252 00:21:46,639 --> 00:21:48,974 絵や戯作を生業として➡ 253 00:21:48,974 --> 00:21:52,645 別人で生きていくってなぁ…➡ 254 00:21:52,645 --> 00:21:55,314 いや ねえか。 255 00:21:55,314 --> 00:21:59,318 いや! 256 00:21:59,318 --> 00:22:02,755 いや それが最善かもしれぬ。 257 00:22:02,755 --> 00:22:05,057 へ? 258 00:22:07,626 --> 00:22:11,263 あ… 春町先生? 259 00:22:11,263 --> 00:22:13,199 え? 260 00:22:13,199 --> 00:22:15,201 おお… どこ行くんですか? 261 00:22:21,974 --> 00:22:28,614 (信義)死んで別人となり 戯作者として生きていく…。 262 00:22:28,614 --> 00:22:30,549 はい。 263 00:22:30,549 --> 00:22:33,485 それがしが死んでしまえば 責める先が なくなる。 264 00:22:33,485 --> 00:22:36,956 殿も これ以上 しつこく言われることも なくなりましょうし。 265 00:22:36,956 --> 00:22:41,627 しかし… 然様なことができるのか? 266 00:22:41,627 --> 00:22:46,966 人別や隠れ家など 蔦屋重三郎が万事 計らってくれると。 267 00:22:46,966 --> 00:22:51,804 支度が調うまで 殿には しばし「病にて参上できず」と➡ 268 00:22:51,804 --> 00:22:56,308 頭を下げていただく労を お願いすることになりますが…。 269 00:22:59,545 --> 00:23:03,449 …当家は たかが1万石。 270 00:23:03,449 --> 00:23:10,589 何の目立ったところも 際立ったところもない家じゃ。 271 00:23:10,589 --> 00:23:13,092 表立って言えぬが➡ 272 00:23:13,092 --> 00:23:19,265 恋川春町は 当家唯一の自慢。 273 00:23:19,265 --> 00:23:25,771 私の密かな誇りであった。 274 00:23:25,771 --> 00:23:28,407 殿…。 275 00:23:28,407 --> 00:23:34,780 そなたの筆が 生き延びるのであれば➡ 276 00:23:34,780 --> 00:23:40,653 頭なぞ いくらでも下げようぞ。 277 00:23:40,653 --> 00:23:50,629 ♬~ 278 00:23:50,629 --> 00:23:53,966 ご温情➡ 279 00:23:53,966 --> 00:23:57,636 まこと ありがたく…! 280 00:23:57,636 --> 00:24:01,907 倉橋が 麻疹に? 281 00:24:01,907 --> 00:24:07,713 (信義)治りましたら 必ずや 申し開きに参らせますので➡ 282 00:24:07,713 --> 00:24:09,715 しばし お待ちを! 283 00:24:18,357 --> 00:24:22,928 越中守様が 明日 ここに? 284 00:24:22,928 --> 00:24:26,598 (信義) 麻疹も偽りであろうと言ってこられた。 285 00:24:26,598 --> 00:24:31,470 それでは 殿が 越中守様を謀ったことに…。 286 00:24:31,470 --> 00:24:36,275 倉橋! 今すぐ 逐電せよ!➡ 287 00:24:36,275 --> 00:24:40,779 後のことは 私が なんとかする。 288 00:24:44,984 --> 00:24:46,986 ♬~ 289 00:24:46,986 --> 00:24:50,122 まぁさんが国元へ戻る日は近づき➡ 290 00:24:50,122 --> 00:24:56,628 吉原では 蔦屋主催の大送別会が 開かれることとなりました。 291 00:24:56,628 --> 00:24:59,832 よっ!よっ! ああ…! 292 00:25:03,736 --> 00:25:08,574 姐さんには お世話になってよぉ…。 293 00:25:08,574 --> 00:25:10,509 (次郎兵衛)あれ 誰なんだい? 294 00:25:10,509 --> 00:25:12,911 筆下ろしのお相手らしいですよ。 295 00:25:12,911 --> 00:25:14,913 えっ! 296 00:25:16,582 --> 00:25:19,918 おおっ! 297 00:25:19,918 --> 00:25:23,756 よいしょっと! (笑い声) 298 00:25:23,756 --> 00:25:27,259 (北尾重政)喜三二先生。 299 00:25:27,259 --> 00:25:29,928 あの➡ 300 00:25:29,928 --> 00:25:32,831 これに 名を入れてもらえますか? 301 00:25:32,831 --> 00:25:35,801 (喜三二)名入れ? 思い出の品といいますか。 302 00:25:35,801 --> 00:25:38,604 おお おお おお…。 303 00:25:38,604 --> 00:25:42,408 お願いします。 何だ 何だ ハハハ! 304 00:25:42,408 --> 00:25:46,278 (重政)こりゃ 喜三二の名での 最後の戯作じゃねえですか。 305 00:25:46,278 --> 00:25:48,781 (りつ)ああ いいねえ! 306 00:25:48,781 --> 00:25:52,951 私もお願いできますか? お~。(喜三二)ああ。 307 00:25:52,951 --> 00:25:56,422 じゃあ 私は これに。 308 00:25:56,422 --> 00:25:58,424 お~。 309 00:26:05,063 --> 00:26:09,568 いらっしゃい! 安いよ! 310 00:26:18,377 --> 00:26:20,879 (てい)春町先生? 311 00:26:22,915 --> 00:26:24,850 もう よろしいのですか? 312 00:26:24,850 --> 00:26:28,253 お体の具合がよくないと 伺っておりましたが。 313 00:26:28,253 --> 00:26:33,125 …すっかりな。 心配をかけたな。 314 00:26:33,125 --> 00:26:37,596 いえ。 では これから送別の会に? 315 00:26:37,596 --> 00:26:39,531 (鐘の音) 316 00:26:39,531 --> 00:26:43,101 いや 少し歩きに出ただけだ。 317 00:26:43,101 --> 00:26:47,773 ⚟豆腐~。 318 00:26:47,773 --> 00:26:51,610 豆腐でも買って戻るとする。 319 00:26:51,610 --> 00:26:54,513 お大事になさってくださいませ。 320 00:26:54,513 --> 00:27:02,020 ⚟豆腐~。 生揚げ~。 321 00:27:04,556 --> 00:27:07,059 ♬~ はっ! 322 00:27:07,059 --> 00:27:10,929 ♬~いいぞ いいぞ! 大文字屋! 323 00:27:10,929 --> 00:27:14,933 大文字屋~! (笑い声) 324 00:27:19,638 --> 00:27:24,910 (大文字屋市兵衛)親父 最後まで この時の話 してましたよ。 325 00:27:24,910 --> 00:27:30,582 (勝川春章) だろうなぁ。 この序は ほんと見事でさ! 326 00:27:30,582 --> 00:27:33,485 (丁子屋長十郎)ねえ 先生 次の俄➡ 327 00:27:33,485 --> 00:27:36,088 もういっぺん これやるってのは どうです? 328 00:27:36,088 --> 00:27:39,391 どうだろう まぁ。 329 00:27:39,391 --> 00:27:42,094 先生は お家があるから 難しいんですって。 330 00:27:42,094 --> 00:27:44,029 (扇屋宇右衛門)いや~➡ 331 00:27:44,029 --> 00:27:48,400 こんな膝を打つような 吉原案内 なかったね! ええ? 332 00:27:48,400 --> 00:27:51,703 先生 ここにひとつ 御名を頂戴。 333 00:27:53,272 --> 00:27:58,410 (松葉屋半左衛門) 先生 もう一度 こんなの作ってよ。 334 00:27:58,410 --> 00:28:03,248 親父様方 先生は もう筆を折るんです。 335 00:28:03,248 --> 00:28:05,884 え~! え~! 336 00:28:05,884 --> 00:28:09,555 もったいない。 337 00:28:09,555 --> 00:28:12,057 あのように冴えたお筆を。 338 00:28:12,057 --> 00:28:14,560 花魁? 339 00:28:14,560 --> 00:28:16,595 おいら~ん! 340 00:28:16,595 --> 00:28:18,730 ああ…! 341 00:28:18,730 --> 00:28:21,633 (ふじ)もう 花魁じゃないですよ。 342 00:28:21,633 --> 00:28:24,603 (いね)年季が明けて 手習の師匠と一緒になって➡ 343 00:28:24,603 --> 00:28:27,739 今 自らも 手習の女師匠さ。 344 00:28:27,739 --> 00:28:31,076 おちよにございます。 345 00:28:31,076 --> 00:28:34,746 私にも 御名をひとつ。 346 00:28:34,746 --> 00:28:38,917 ああ おちよ… あ~ おちよ…。 347 00:28:38,917 --> 00:28:41,253 ハハハハ! 348 00:28:41,253 --> 00:28:47,759 よいしょ。 よし よし ちよか。 ああ…。 349 00:28:47,759 --> 00:28:52,097 世話かけたねぇ あの時は。 350 00:28:52,097 --> 00:28:57,903 いいえ。 今となっては 楽しい思い出で。 351 00:28:57,903 --> 00:29:00,906 楽しかったよねぇ。 352 00:29:00,906 --> 00:29:04,343 (南畝)んじゃ んじゃ 俺も ここに頼めます?➡ 353 00:29:04,343 --> 00:29:06,278 ここに! ここに!➡ 354 00:29:06,278 --> 00:29:08,547 朋誠堂喜三二って。 355 00:29:08,547 --> 00:29:11,049 (喜三二)ああ 朋誠堂喜三二ね。 はいはい。 (南畝)そっけないね。 356 00:29:11,049 --> 00:29:12,985 (笑い声) 357 00:29:12,985 --> 00:29:14,920 (喜多川歌麿)俺は あえてのこれで。 358 00:29:14,920 --> 00:29:16,922 おっ。 359 00:29:16,922 --> 00:29:21,693 ああ! 春町の! うん うん うん! 360 00:29:21,693 --> 00:29:25,564 あの時 大変だったねぇ。 (歌麿)けど 楽しかったですよねぇ。 361 00:29:25,564 --> 00:29:28,600 (北尾政演)ヘヘヘ! じゃあ 俺は これに。 362 00:29:28,600 --> 00:29:30,902 ヘヘ すいやせん。 363 00:29:30,902 --> 00:29:35,073 これに 北里喜之介って 書いてもらっていいですか? 364 00:29:35,073 --> 00:29:37,009 (喜三二)何だい? これ。 365 00:29:37,009 --> 00:29:40,579 (政演)先生の次の号 北里喜之介ってなぁ どうかなって。 366 00:29:40,579 --> 00:29:42,614 道楽息子の喜之介! 367 00:29:42,614 --> 00:29:46,451 北に行かれるっていうし 北里喜之介 北の遊里に来たり! って➡ 368 00:29:46,451 --> 00:29:49,588 ウキウキして こんなもん書いちまってよぉ! 369 00:29:49,588 --> 00:29:52,491 政演 よせって。 先生は もう…。 370 00:29:52,491 --> 00:29:55,260 やります! 371 00:29:55,260 --> 00:29:58,263 まぁさん まだ書けます! 372 00:29:58,263 --> 00:30:00,766 いいんですか? お家は? 373 00:30:02,601 --> 00:30:05,270 いてっ。 仕組んでんじゃないよ! 374 00:30:05,270 --> 00:30:08,173 これ みんなで示し合わせてんだろ? 375 00:30:08,173 --> 00:30:11,410 (笑い声) 376 00:30:11,410 --> 00:30:16,114 まったく 面白えことばっかり 考えやがって もう! 377 00:30:16,114 --> 00:30:20,819 すいません。 どうしても まぁさんに書いてもらいたくて。 378 00:30:23,789 --> 00:30:26,625 は~あ! 379 00:30:26,625 --> 00:30:31,797 まぁ 春町も続けるっていうし。 へえ。 380 00:30:31,797 --> 00:30:35,133 あっ ところで 春町 今日どうした? 381 00:30:35,133 --> 00:30:38,170 具合が悪いらしく まぁさんには改めてと。 382 00:30:38,170 --> 00:30:42,307 え? 何だよ あいつ~。 383 00:30:42,307 --> 00:30:47,979 では 新たな門出を祝して。 おっ! 384 00:30:47,979 --> 00:30:49,915 はっ! 385 00:30:49,915 --> 00:30:53,452 ♬~ 386 00:30:53,452 --> 00:30:56,321 (駿河屋市右衛門) 重三郎 ちょいといいか? 387 00:30:56,321 --> 00:30:58,523 へえ。 388 00:31:01,927 --> 00:31:04,963 忘れねえうちに。 389 00:31:04,963 --> 00:31:08,700 ああ… ありがた山です。 390 00:31:08,700 --> 00:31:13,638 歌とは違って 見知りも多いお方だ。 気 配れよ。 391 00:31:13,638 --> 00:31:16,475 もちろんでさ。 392 00:31:16,475 --> 00:31:30,789 ♬~ 393 00:31:30,789 --> 00:31:33,291 ふう…。 394 00:31:33,291 --> 00:31:35,293 (せきばらい) 395 00:31:53,612 --> 00:31:57,616 はあ… はあ… ふう…。 396 00:32:01,253 --> 00:32:03,188 春町先生が? 397 00:32:03,188 --> 00:32:07,125 ええ。 具合がよくなったから 歩きに出られたと➡ 398 00:32:07,125 --> 00:32:09,127 おっしゃっていたのですが…。 399 00:32:09,127 --> 00:32:12,330 具合がよくなった? 400 00:32:13,965 --> 00:32:16,735 (戸をたたく音) 401 00:32:16,735 --> 00:32:18,670 ⚟(喜三二)蔦重…! 402 00:32:18,670 --> 00:32:21,273 (戸をたたく音)まぁさん? ⚟(喜三二)蔦重!へえ! 403 00:32:21,273 --> 00:32:23,942 ⚟(喜三二)蔦重! (戸をたたく音) 404 00:32:23,942 --> 00:32:27,779 待ってくだせえ。 405 00:32:27,779 --> 00:32:29,714 まぁさん! 406 00:32:29,714 --> 00:32:32,417 どうしたんです!? 蔦重…。 407 00:32:32,417 --> 00:32:36,288 さっき 家 戻ったらさ…。 へえ…。 408 00:32:36,288 --> 00:32:40,625 春町んとこから知らせが来てて…。 409 00:32:40,625 --> 00:32:43,528 ああ…。 410 00:32:43,528 --> 00:32:46,965 春町が…➡ 411 00:32:46,965 --> 00:32:51,837 腹 切ったって…。 412 00:32:51,837 --> 00:33:02,347 (泣き声) 413 00:33:55,433 --> 00:33:58,136 (しず)こちらが辞世になります。➡ 414 00:33:58,136 --> 00:34:00,939 読んでやってください。 415 00:34:04,376 --> 00:34:07,078 はい。 416 00:34:22,260 --> 00:34:37,809 ♬~ 417 00:34:37,809 --> 00:34:44,115 御新造様 こちら 触ってもよろしいですか? 418 00:34:44,115 --> 00:34:48,286 (しず)はい。 ありがとうございます。 419 00:34:48,286 --> 00:35:05,370 ♬~ 420 00:35:05,370 --> 00:35:11,910 (春町)「蔦重 いきなり かような仕儀となり すまぬ。➡ 421 00:35:11,910 --> 00:35:16,381 実は 例の件が 抜き差しならぬことと なってしまってな。➡ 422 00:35:16,381 --> 00:35:19,584 殿は 逃げよと言ってくださったが➡ 423 00:35:19,584 --> 00:35:23,388 然様なことをすれば この先 何がどうなるか知れぬ。➡ 424 00:35:23,388 --> 00:35:26,758 小島松平 倉橋は無論➡ 425 00:35:26,758 --> 00:35:32,063 蔦屋にも ほかの皆にも 累が及ぶかもしれぬ」。 426 00:35:33,631 --> 00:35:36,935 (てい)春町先生? 427 00:35:36,935 --> 00:35:38,870 もう よろしいのですか? 428 00:35:38,870 --> 00:35:41,873 お体の具合がよくないと 伺っておりましたが。 429 00:35:46,111 --> 00:35:48,413 …すっかりな。 430 00:35:49,981 --> 00:35:55,286 「それは できぬと思った」。 431 00:35:55,286 --> 00:35:58,590 恩着せがましいか。 432 00:36:03,995 --> 00:36:07,732 「もう 全てを円くおさむるには➡ 433 00:36:07,732 --> 00:36:10,935 このオチしかないかと」。 434 00:36:16,374 --> 00:36:18,743 (歌麿)何で…➡ 435 00:36:18,743 --> 00:36:22,747 何で 本を描いただけで こんな…。 436 00:36:42,767 --> 00:36:46,104 (重政)「鳧」は鴨。➡ 437 00:36:46,104 --> 00:36:53,611 鸚鵡のけりは 鴨でつけるっていう ひねりですかね。 438 00:36:58,283 --> 00:37:01,052 ちょいと 何してんです 三和さん! 439 00:37:01,052 --> 00:37:04,556 何してんです! 何してんです! 440 00:37:04,556 --> 00:37:09,260 もう 何やってんです… これ 辞世ですよ! 441 00:37:31,249 --> 00:37:34,252 腹壊した歌にしちまって…。 442 00:37:34,252 --> 00:37:36,755 (唐来三和)だって…➡ 443 00:37:36,755 --> 00:37:41,259 こんなの やってられねえじゃねえかよ!➡ 444 00:37:41,259 --> 00:37:44,462 ふざけねえとよ! 445 00:37:49,934 --> 00:37:55,406 あの…➡ 446 00:37:55,406 --> 00:37:59,277 春町先生の ここに➡ 447 00:37:59,277 --> 00:38:04,115 豆腐が ついてたんです。 448 00:38:04,115 --> 00:38:07,619 あれって もしかして…。 449 00:38:09,354 --> 00:38:12,557 ああ…! 450 00:38:12,557 --> 00:38:15,226 うっ…。 451 00:38:15,226 --> 00:38:18,062 あ…! 452 00:38:18,062 --> 00:38:20,565 う…。 453 00:38:24,569 --> 00:38:26,771 う… うっ…! 454 00:38:39,751 --> 00:38:48,927 「豆腐の角に頭ぶつけて死んだ」ってことに したかったってことですかい? 455 00:38:48,927 --> 00:38:52,797 何だって そんなこと…。 456 00:38:52,797 --> 00:38:58,937 戯作者だから…。 457 00:38:58,937 --> 00:39:01,706 真面目な…➡ 458 00:39:01,706 --> 00:39:07,512 クソ真面目な男だったじゃない…。 459 00:39:07,512 --> 00:39:11,816 ふざけるのにも 真面目でさ。 460 00:39:16,888 --> 00:39:27,232 恋川春町は 最後まで戯けねえとって 考えたんじゃねえかなぁ! 461 00:39:27,232 --> 00:39:36,941 ♬~ 462 00:39:36,941 --> 00:39:41,379 (泣き声と笑い声) 463 00:39:41,379 --> 00:39:44,582 べらぼうでさぁ! 464 00:39:44,582 --> 00:39:50,922 春町先生… おふざけが過ぎまさぁ。 465 00:39:50,922 --> 00:40:08,339 ♬~ 466 00:40:08,339 --> 00:40:10,775 亡くなった? 467 00:40:10,775 --> 00:40:13,411 はい。 468 00:40:13,411 --> 00:40:18,249 腹を切り かつ…➡ 469 00:40:18,249 --> 00:40:23,421 ハハハハハ! 470 00:40:23,421 --> 00:40:28,626 豆腐の角に頭をぶつけて…。 471 00:40:28,626 --> 00:40:30,962 豆腐? 472 00:40:30,962 --> 00:40:34,432 御公儀を謀ったことに➡ 473 00:40:34,432 --> 00:40:40,305 倉橋 格としては 腹を切って詫びるべきと➡ 474 00:40:40,305 --> 00:40:43,641 恋川春町としては➡ 475 00:40:43,641 --> 00:40:50,315 死してなお 世を笑わすべきと 考えたのではないかと➡ 476 00:40:50,315 --> 00:40:58,189 板元の蔦屋重三郎は申しておりました。➡ 477 00:40:58,189 --> 00:41:03,261 一人の 至極真面目な男が➡ 478 00:41:03,261 --> 00:41:07,598 武家として 戯作者としての「分」を➡ 479 00:41:07,598 --> 00:41:12,470 それぞれ わきまえ まっとうしたのではないかと➡ 480 00:41:12,470 --> 00:41:17,608 越中守様にお伝えいただきたい。 そして➡ 481 00:41:17,608 --> 00:41:24,382 戯ければ 腹を切られねばならぬ世とは 一体 誰を幸せにするのか➡ 482 00:41:24,382 --> 00:41:31,122 学もない本屋風情には… 分かりかねると➡ 483 00:41:31,122 --> 00:41:34,425 そう申しておりました。 484 00:41:45,303 --> 00:41:47,805 (本が落ちる音) 485 00:41:50,141 --> 00:42:24,008 (虫の声) 486 00:42:24,008 --> 00:42:25,977 うう…! 487 00:42:25,977 --> 00:42:28,279 うう! うう! うう…! 488 00:42:28,279 --> 00:42:30,214 うう…! 489 00:42:30,214 --> 00:42:32,517 うう~…! 490 00:42:35,153 --> 00:42:37,789 一つも戯けられねえ世に なっちまうんだよ! 491 00:42:37,789 --> 00:42:41,426 倹約。 倹約が行き過ぎて。地獄になっちまうよ。 492 00:42:41,426 --> 00:42:43,361 涙しっちゃいまして! これ 知ってますか? 493 00:42:43,361 --> 00:42:46,264 今 流行っているのでござりんすよ。 申せ。 494 00:42:46,264 --> 00:42:49,801 これからの黄表紙は お前の肩にかかってっから! 495 00:42:49,801 --> 00:42:52,303 一切 書かねえっす! 政演! 496 00:42:52,303 --> 00:42:55,306 お前も書いてみっか! はい。