1 00:00:02,202 --> 00:00:07,140 (鶴屋喜右衛門) ところで これ知ってますか? 2 00:00:07,140 --> 00:00:10,978 (蔦屋重三郎)「心学早染草」…。 3 00:00:10,978 --> 00:00:13,780 お前 こんな面白くされちゃ 皆 真似して➡ 4 00:00:13,780 --> 00:00:16,116 どんどん ふんどし担いじまうじゃねえかよ! 5 00:00:16,116 --> 00:00:19,419 (北尾政演)面白くなきゃ どのみち 黄表紙は先細りになっちまうよ!➡ 6 00:00:19,419 --> 00:00:23,290 それこそ 春町先生に 嵐みてえな屁 ひられるってもんじゃねえですかね! 7 00:00:23,290 --> 00:00:25,225 何度 言やぁ 分かんだよ! 8 00:00:25,225 --> 00:00:27,961 戯け者はよ ふんどしに抗ってかねえと➡ 9 00:00:27,961 --> 00:00:30,430 一つも抗えねえ世に なっちまうんだよ! 10 00:00:30,430 --> 00:00:33,967 蔦重さんとこでは 一切 書かねえっす! 11 00:00:33,967 --> 00:00:36,003 いい度胸だな。 12 00:00:36,003 --> 00:00:40,507 日本橋を敵に回して 書いていけると思うなよ。 13 00:00:44,978 --> 00:00:48,315 (鶴屋) 何を勝手なこと言ってくれたんですか。 14 00:00:48,315 --> 00:00:52,653 すいません。 けど もう言っちまったんで。 15 00:00:52,653 --> 00:00:56,657 これ ありがとうございました。 16 00:01:00,160 --> 00:01:04,998 あの 大和田って どこの本屋なんですか? 17 00:01:04,998 --> 00:01:07,601 上方です。 ああ…。 18 00:01:07,601 --> 00:01:12,272 上方の本屋が 江戸の地本で 名をあげようってことですか。 19 00:01:12,272 --> 00:01:14,775 まぁ そんなところでしょうね。 20 00:01:14,775 --> 00:01:19,413 今や 江戸の方が 商いが大きくなりましたから。 21 00:01:19,413 --> 00:01:23,784 そりゃ 鶴屋さんとしても 面白くねえですよね。 22 00:01:23,784 --> 00:01:27,955 西の出の本屋が 江戸で 幅 利かしてくるってなぁ。 23 00:01:27,955 --> 00:01:29,890 いえ。 24 00:01:29,890 --> 00:01:34,828 うちほどの商いに育つには 50年は かかると思いますんで。 25 00:01:34,828 --> 00:01:38,665 けど 政演 引っこ抜かれるかもしれないですよ。 26 00:01:38,665 --> 00:01:45,806 いえ。 そもそも 京伝先生は 面白ければ どこでも書く人ですし。 27 00:01:45,806 --> 00:01:47,741 …からかってます? 28 00:01:47,741 --> 00:01:51,979 ええ 実に面白いですね。 29 00:01:51,979 --> 00:01:59,319 あの蔦重が かつての己のような輩を 潰そうとするのは。 ハハハ! 30 00:01:59,319 --> 00:02:02,589 だったら 俺にしたのと 同じようにしてくだせえよ! 31 00:02:02,589 --> 00:02:05,926 俺のこと あんな 追い出そうとしてたじゃねえですか。 32 00:02:05,926 --> 00:02:09,763 おや 懐かしい。 いやいや 懐かしいじゃねえですよ! 33 00:02:09,763 --> 00:02:13,400 まぁ 何か 手だてを考えてみますよ。 34 00:02:13,400 --> 00:02:15,335 お願いします。 35 00:02:15,335 --> 00:02:17,938 ⚟旦那様 よろしいでしょうか。 36 00:02:17,938 --> 00:02:19,940 おう。 37 00:02:24,711 --> 00:02:27,648 あの… 蔦重さん。 38 00:02:27,648 --> 00:02:30,851 お前 歌んとこの…。 39 00:02:32,486 --> 00:02:42,129 (荒い息) 40 00:02:42,129 --> 00:02:45,432 (喜多川歌麿) おきよは 何の病でしょうか? 41 00:02:45,432 --> 00:02:49,636 ありゃ そう毒だねぇ。 42 00:02:49,636 --> 00:02:51,571 ああ…。 43 00:02:51,571 --> 00:02:54,975 あの 引くまでに どのくれえ かかりますかね? 44 00:02:54,975 --> 00:03:00,380 あの できものの具合だと 難しいかもしれないよ。 45 00:03:00,380 --> 00:03:02,315 …え? 46 00:03:02,315 --> 00:03:07,621 まぁ まだ分からないけどね。 47 00:03:10,390 --> 00:03:14,761 これ 薬。 48 00:03:14,761 --> 00:03:19,099 そう毒とは 今でいう 梅毒のこと。 49 00:03:19,099 --> 00:03:21,401 当時は 治療法もなく➡ 50 00:03:21,401 --> 00:03:24,271 独特の長い潜伏期間に入ると➡ 51 00:03:24,271 --> 00:03:26,606 一見 治ったようにも見える➡ 52 00:03:26,606 --> 00:03:29,609 厄介なものでした。 53 00:03:31,945 --> 00:03:34,848 ありがとうございました。 54 00:03:34,848 --> 00:04:00,740 ♬~ 55 00:04:00,740 --> 00:04:04,744 おきよ 目 覚めたか? 56 00:04:07,514 --> 00:04:09,449 ん? (きよ)あ… あ…。 57 00:04:09,449 --> 00:04:14,254 蔦重だよ。 お医者様を連れてきてくれたんだ。 58 00:04:14,254 --> 00:04:18,091 蔦重。 世話んなってる人だよ。 ああ~! ああ…! 59 00:04:18,091 --> 00:04:21,394 うう…! 蔦重 ありがとう。 60 00:04:21,394 --> 00:04:23,930 今日は もう帰って。 大事ねえのか? 61 00:04:23,930 --> 00:04:25,866 大事ねえから 帰って! 62 00:04:25,866 --> 00:04:28,869 うう~! おきよ 大丈夫だから! 63 00:04:31,605 --> 00:05:39,105 ♬~ 64 00:05:39,105 --> 00:06:58,118 ♬~ 65 00:07:02,322 --> 00:07:04,257 (つよ)そう毒は➡ 66 00:07:04,257 --> 00:07:08,061 分別が つかなくなることがあるって 聞くからねぇ。 67 00:07:08,061 --> 00:07:09,996 ああ…。 68 00:07:09,996 --> 00:07:12,933 (みの吉) あの こんな時に言いにくいんですが➡ 69 00:07:12,933 --> 00:07:15,568 歌さんに 仕事って頼めんですか? 70 00:07:15,568 --> 00:07:20,073 ああ… そろそろ 富本本の表紙か。 (みの吉)はい。 71 00:07:20,073 --> 00:07:22,575 ⚟(北尾重政)蔦重 邪魔するよ。 72 00:07:22,575 --> 00:07:24,778 いらっしゃいませ!いらっしゃいませ! いらっしゃいませ! 73 00:07:27,447 --> 00:07:29,749 重政先生。 74 00:07:32,919 --> 00:07:35,622 政美…。 75 00:07:37,257 --> 00:07:40,760 この本の絵師は 政美さんなのでした。 76 00:07:40,760 --> 00:07:46,266 (重政)すまねえなぁ。 政演と政美が やらかしちまって。 77 00:07:46,266 --> 00:07:50,103 (北尾政美)申し訳ねえです。 大当たりしちまいまして。 78 00:07:50,103 --> 00:07:53,974 先生んとこの弟子は 悪びれねえのばっかだな。 79 00:07:53,974 --> 00:07:57,277 どうも 皆 のびのびしちまってねぇ。 80 00:07:57,277 --> 00:07:59,212 師匠に似るんですかね。 81 00:07:59,212 --> 00:08:01,548 手厳しいね 今日は。 82 00:08:01,548 --> 00:08:08,722 そのかわりってんじゃねえですけど 誰か 新しいやつ紹介してくれません? 83 00:08:08,722 --> 00:08:12,225 富本本 頼めそうな 若いやつ いませんか? 84 00:08:12,225 --> 00:08:14,227 歌も 名があがったし➡ 85 00:08:14,227 --> 00:08:17,564 いつまでも やらせるわけにはってことかい? 86 00:08:17,564 --> 00:08:19,899 それも そうですが➡ 87 00:08:19,899 --> 00:08:23,737 おきよさんも その… ご病気で。 88 00:08:23,737 --> 00:08:27,607 そうなのか…。 へえ。 89 00:08:27,607 --> 00:08:31,478 誰か いいの いたかね? 90 00:08:31,478 --> 00:08:34,748 …あ 春朗さんとか いかがです?➡ 91 00:08:34,748 --> 00:08:37,784 春章先生んとこの! 春朗?あっ あいつな~! 92 00:08:37,784 --> 00:08:41,254 ハハハハハ! どんな絵師なんですか? 93 00:08:41,254 --> 00:08:46,393 え? 唐絵や蘭画にも手出したり 揉め事ばっかり起こしてんだけど➡ 94 00:08:46,393 --> 00:08:50,096 まぁ 何すっか 先の読めねえやつ。 95 00:08:50,096 --> 00:08:54,768 ああ 重政先生に 読めねえって言わせんのは いいですね。 96 00:08:54,768 --> 00:09:00,206 春章さんも喜ぶと思うぜ。 蔦屋の富本本は 縁起がいいから。 97 00:09:00,206 --> 00:09:02,142 え? 98 00:09:02,142 --> 00:09:04,077 あれやると 売れるじゃない。 99 00:09:04,077 --> 00:09:07,714 政演も歌も みんな そっからだろ。 100 00:09:07,714 --> 00:09:10,216 ここんとこ 仕事減って➡ 101 00:09:10,216 --> 00:09:13,887 弟子に回せるもんが欲しいとも こぼしてたし。 102 00:09:13,887 --> 00:09:17,223 芝居町も そりゃ そうか…。 103 00:09:17,223 --> 00:09:22,095 どうなっちまうのかねぇ これから。 104 00:09:22,095 --> 00:09:30,370 ♬~ 105 00:09:30,370 --> 00:09:33,740 それから程なくして 市中では➡ 106 00:09:33,740 --> 00:09:39,546 悪玉提灯を手に 暴れ回る若者が あふれ出しました。 107 00:09:39,546 --> 00:09:44,083 倹約による不景気から 町の治安は乱れ➡ 108 00:09:44,083 --> 00:09:48,955 それは 越中守様の政が原因と 囁かれましたが…。 109 00:09:48,955 --> 00:09:51,257 (松平定信)かようなことは はなから見越していた。 110 00:09:51,257 --> 00:09:55,261 私としては むしろ 望んでおった流れだ。 111 00:09:55,261 --> 00:09:57,931 これは 不景気により➡ 112 00:09:57,931 --> 00:10:00,834 田沼病におかされた者たちが あぶり出されてきたということ。 113 00:10:00,834 --> 00:10:02,802 故に ここで ひとつ➡ 114 00:10:02,802 --> 00:10:07,273 そやつらを放り込み 療治する 寄場を作ることとしたい。 115 00:10:07,273 --> 00:10:09,209 (長谷川平蔵宣以)その者らを治す…。 116 00:10:09,209 --> 00:10:13,613 そこにて そやつらを 世の役に立つ「真人間」に鍛え直し➡ 117 00:10:13,613 --> 00:10:16,115 元百姓なら田畑に帰し➡ 118 00:10:16,115 --> 00:10:20,420 町人なら 鉱山など 人の足りぬところで働かせ➡ 119 00:10:20,420 --> 00:10:22,489 あるべき世の一歩とするのだ。 120 00:10:22,489 --> 00:10:25,258 それは 素晴らしきお考え…。 121 00:10:25,258 --> 00:10:27,193 それを そなたに任せたく思うておる。 122 00:10:27,193 --> 00:10:30,163 え? ⚟(いななき) 123 00:10:30,163 --> 00:10:32,165 お… 恐れながら➡ 124 00:10:32,165 --> 00:10:36,302 それは 火付盗賊改方のお役目では…。 125 00:10:36,302 --> 00:10:40,173 市中の事情に通じ ならず者たちの扱いにも長け➡ 126 00:10:40,173 --> 00:10:45,645 この役に 最も適しておるのは そなたと考えた。 127 00:10:45,645 --> 00:10:50,517 嘘です。 面倒くさそうなので 誰も手を挙げなかったのです。 128 00:10:50,517 --> 00:10:52,819 …まこと 光栄の至り。 129 00:10:52,819 --> 00:10:54,754 しかしながら➡ 130 00:10:54,754 --> 00:10:56,990 それがしには 力不足なお役目…。 131 00:10:56,990 --> 00:10:58,925 確か 町奉行は➡ 132 00:10:58,925 --> 00:11:04,731 そなたの父も 成りえなかった役目であるな。➡ 133 00:11:04,731 --> 00:11:08,268 悲願であったとも聞く。 134 00:11:08,268 --> 00:11:14,407 見事 寄場を作り上げれば➡ 135 00:11:14,407 --> 00:11:17,110 考えぬでもないが。 136 00:11:17,110 --> 00:11:20,914 ⚟(いななき) 137 00:11:40,333 --> 00:12:04,924 ♬~ 138 00:12:04,924 --> 00:12:08,595 ほんとのとこ どんな様子なんだ? 139 00:12:08,595 --> 00:12:12,298 案じないでくれとは よこしてっけど…。 140 00:12:15,935 --> 00:12:20,273 とにかく 先生は ずっと おきよさんの絵を描いてますよ。 141 00:12:20,273 --> 00:12:24,143 そうしてりゃ 癇癪は起こさねえんで。 142 00:12:24,143 --> 00:12:27,947 何で 絵 描いてやりゃ 落ち着くんだ? 143 00:12:27,947 --> 00:12:32,619 自分のことだけを見ててくれれば 嬉しいんじゃないのかい? 144 00:12:32,619 --> 00:12:34,654 惚れた男がさ。 145 00:12:34,654 --> 00:12:38,791 ああ… 見ててくれるか。 146 00:12:38,791 --> 00:12:40,827 いらっしゃいませ! 147 00:12:40,827 --> 00:12:45,298 あれが 主か? はい。 148 00:12:45,298 --> 00:12:47,300 ありゃ 何です? 149 00:12:47,300 --> 00:12:50,136 町方掛の手の者だよ。 150 00:12:50,136 --> 00:12:54,440 市中を見張るために 新たに設けられた役目だ。 151 00:12:54,440 --> 00:12:57,644 どうせなら もっと いい男なら よかったのにねぇ。 152 00:12:57,644 --> 00:13:01,247 そういう話じゃねえだろ ババア。 153 00:13:01,247 --> 00:13:04,250 蔦屋さん。 いらっしゃいませ。いらっしゃいませ。 154 00:13:04,250 --> 00:13:08,021 鶴屋さん。 そろそろ。 155 00:13:08,021 --> 00:13:10,923 はい。 156 00:13:10,923 --> 00:13:16,729 歌には 言いにくいこともあるだろうから 何かあったら いつでも言いに来いよ。 157 00:13:20,099 --> 00:13:22,602 じゃあ 行ってくらぁ。 158 00:13:22,602 --> 00:13:25,605 行ってらっしゃいませ 旦那様。 159 00:13:31,611 --> 00:13:35,281 くれぐれも 短気は起こさないでくださいよ。 160 00:13:35,281 --> 00:13:37,216 分かってまさ。 161 00:13:37,216 --> 00:13:39,952 ⚟京伝先生 いらっしゃいました。 162 00:13:39,952 --> 00:13:41,954 通しとくれ。 163 00:13:44,290 --> 00:13:48,094 ヘヘヘ! 鶴屋さん どうも。 どうぞ。 164 00:13:55,301 --> 00:13:57,804 まぁ まぁ まぁ 京伝先生。 165 00:13:57,804 --> 00:14:01,074 ちょいと 聞いてないですよ! 座ってくださいよ。 166 00:14:01,074 --> 00:14:06,379 今日は 蔦屋さんも 怒らないって言ってますんで。 167 00:14:14,587 --> 00:14:20,760 この度は ご婚礼おめでとうございます。 京伝先生。 168 00:14:20,760 --> 00:14:26,933 これは 私と蔦屋さんからです。 169 00:14:26,933 --> 00:14:28,868 実は この年➡ 170 00:14:28,868 --> 00:14:34,607 政演さんは 年季の明けた菊園さんと 所帯を持つことになりました。 171 00:14:34,607 --> 00:14:39,412 散々 遊ばせてやったのだから 一人くらいはと➡ 172 00:14:39,412 --> 00:14:43,216 扇屋さんに 年貢を納めさせられたのです。 173 00:14:44,951 --> 00:14:46,886 ありがとうごぜえます。 174 00:14:46,886 --> 00:14:51,124 どうですか? 所帯を持つと 何かと入り用でしょう。 175 00:14:51,124 --> 00:14:57,296 家賃に米 酒 着物に調度。 いろいろ かかるもんですねぇ。 176 00:14:57,296 --> 00:14:59,232 でしょう。 177 00:14:59,232 --> 00:15:02,568 で 私と蔦屋さんで相談したんです。 178 00:15:02,568 --> 00:15:07,907 これからは 先生に 年30両 決まってお支払いしようと。 179 00:15:07,907 --> 00:15:12,745 年 30両!? ええ。 作料とは別に。 180 00:15:12,745 --> 00:15:18,251 まぁ 私たちの仕事を いの一番に やっていただくことにはなりますが。 181 00:15:18,251 --> 00:15:21,254 あの…➡ 182 00:15:21,254 --> 00:15:26,926 それ 鶴屋さんだけでって話には できねえですかね? ヘヘ…。 183 00:15:26,926 --> 00:15:28,861 こないだのことなら悪かったよ。 184 00:15:28,861 --> 00:15:33,099 怒らないで! 謝ってるだけじゃねえですか! 185 00:15:33,099 --> 00:15:38,771 京伝先生も そこまで 嫌がることないんじゃないですか? 186 00:15:38,771 --> 00:15:46,279 俺… モテてえから 絵やら戯作やら始めたんですよ。 187 00:15:46,279 --> 00:15:50,616 ありがてえことに向いてて 向いてることすんのは楽しくて➡ 188 00:15:50,616 --> 00:15:53,286 面白え人たちに囲まれて➡ 189 00:15:53,286 --> 00:15:55,788 ヘヘッ 何よりモテて➡ 190 00:15:55,788 --> 00:15:58,825 ヘヘヘ! どこ行っても モテて。 191 00:15:58,825 --> 00:16:03,329 あ~ ほんと楽しかった。 192 00:16:09,335 --> 00:16:11,904 蔦重さんの言うことも分かんですよ。 193 00:16:11,904 --> 00:16:14,740 春町先生のことだって大好きだったし! 194 00:16:14,740 --> 00:16:18,578 けど 正直なとこ➡ 195 00:16:18,578 --> 00:16:24,250 世に抗うとか 柄じゃねえってえか…。 196 00:16:24,250 --> 00:16:28,120 俺ゃ ずっと ふらふら生きていてえんですよ。 197 00:16:28,120 --> 00:16:31,023 浮雲みてえに。 ヘヘヘヘ! 198 00:16:31,023 --> 00:16:32,959 あのよ➡ 199 00:16:32,959 --> 00:16:36,829 遊ぶな 働け 戯けるなって中で➡ 200 00:16:36,829 --> 00:16:39,398 どうやったら 浮雲みてえに生きてくっつうんだよ? 201 00:16:39,398 --> 00:16:42,935 俺一人 雲一個くれえ なんとかなんじゃねえですかねぇ? 202 00:16:42,935 --> 00:16:44,871 てめえだけ よきゃ それでいいのかよ! 203 00:16:44,871 --> 00:16:46,806 蔦屋さん! 204 00:16:46,806 --> 00:16:48,808 てめえが その生き方できたのは➡ 205 00:16:48,808 --> 00:16:51,611 先に その道を 生きてきたやつがいるから➡ 206 00:16:51,611 --> 00:16:54,947 周りが許してくれたからだろうが! 207 00:16:54,947 --> 00:16:58,818 な? 今こそ てめえが ふんばる番じゃねえのかよ! 208 00:16:58,818 --> 00:17:03,356 しくじったのは 蔦重さんじゃねえですか! 209 00:17:03,356 --> 00:17:07,059 これ以上 俺に のっけねえでくだせえよ! 210 00:17:12,899 --> 00:17:14,834 (床をたたく音) 211 00:17:14,834 --> 00:17:17,770 はい 今日は ここまで。 212 00:17:17,770 --> 00:17:21,240 ⚟旦那様! 旦那様! 失礼いたします! ⚟旦那様! 旦那様…! 213 00:17:21,240 --> 00:17:24,076 何ですか? 2人して。 今…➡ 214 00:17:24,076 --> 00:17:27,580 今 店の方に…。 奉行所から呼び出しが! 215 00:17:29,382 --> 00:17:32,084 (重三郎 鶴屋)奉行所? 216 00:17:32,084 --> 00:17:34,754 黄表紙 浮世絵なぞ そもそも贅沢品。 217 00:17:34,754 --> 00:17:38,391 よからぬ考えを刷り込み 風紀を乱す元凶である。 218 00:17:38,391 --> 00:17:41,260 ならば 初めから そんなものは出さねばよいのだ。 219 00:17:41,260 --> 00:17:44,263 越中守様の出した お触れは➡ 220 00:17:44,263 --> 00:17:47,934 後の世で 「出版統制」とも呼ばれ➡ 221 00:17:47,934 --> 00:17:51,771 戯作や浮世絵に 初めて規制がかかるという➡ 222 00:17:51,771 --> 00:17:53,706 江戸の地本にとって➡ 223 00:17:53,706 --> 00:17:57,276 大きな危機となりました。 224 00:17:57,276 --> 00:18:03,215 今後 一切 新しい本を仕立ててはならぬ? 225 00:18:03,215 --> 00:18:05,718 そして その文面から➡ 226 00:18:05,718 --> 00:18:10,222 蔦重が出した黄表紙が 取締りのきっかけとなったのは➡ 227 00:18:10,222 --> 00:18:12,158 明らかでした。 228 00:18:12,158 --> 00:18:17,897 さて… どうしますかね。 229 00:18:17,897 --> 00:18:27,206 ♬~ 230 00:18:43,589 --> 00:18:50,096 俺のおっかさんは いっつも 男の方ばっか見ててさ。 231 00:18:50,096 --> 00:18:56,769 けど 酔い潰れて 世話してる時だけは➡ 232 00:18:56,769 --> 00:19:01,340 こっち 見てくれっから…➡ 233 00:19:01,340 --> 00:19:06,212 世話すんのは 嫌いじゃなくてさ。 234 00:19:06,212 --> 00:19:09,081 こっち向いてもらえると 嬉しいから? 235 00:19:09,081 --> 00:19:14,887 そうそう。 ガキってのは どんな親でも親が好…。 236 00:19:19,759 --> 00:19:24,764 私も そんな子だった。 歌さん。 237 00:19:29,735 --> 00:19:48,754 ♬~ 238 00:19:48,754 --> 00:19:53,592 いかねえで おきよさん…。 239 00:19:53,592 --> 00:19:56,495 お願えだから…。 240 00:19:56,495 --> 00:20:13,412 ♬~ 241 00:20:13,412 --> 00:20:18,117 俺には おきよさんしかいねえの…。 242 00:20:18,117 --> 00:20:29,628 ♬~ 243 00:20:29,628 --> 00:20:32,932 置いてかねえで…。 244 00:20:37,303 --> 00:20:40,973 ずっと 見てっから…。 245 00:20:40,973 --> 00:20:52,151 ♬~ 246 00:20:52,151 --> 00:20:55,988 そのころ 蔦重と鶴屋さんは➡ 247 00:20:55,988 --> 00:21:01,193 江戸の地本に関わる者たちを 集めておりました。 248 00:21:05,397 --> 00:21:09,902 本屋 板木屋 摺師。 249 00:21:12,104 --> 00:21:16,809 戯作者 絵師 狂歌師。 250 00:21:18,410 --> 00:21:21,914 お久しぶりの こんな方々も。 251 00:21:27,953 --> 00:21:32,124 申し訳ございません! 252 00:21:32,124 --> 00:21:36,795 此度の触れは 間違いなく 私のしくじりが きっかけ。 253 00:21:36,795 --> 00:21:41,300 まことに 申し訳ございませんでした! 254 00:21:44,136 --> 00:21:46,438 (松村屋弥兵衛)どうすんだよ これ! 255 00:21:46,438 --> 00:21:50,309 新しい本や絵は作っちゃならねえって! 256 00:21:50,309 --> 00:21:54,180 (四五六)これから 摺り直しだけしか 作らねえってことかい? 257 00:21:54,180 --> 00:21:56,815 これから どうやって食ってけってんだい! 258 00:21:56,815 --> 00:22:00,152 申し訳ございません! (西村屋与八)謝られたって困んだよ。 259 00:22:00,152 --> 00:22:02,588 一体 どう 落とし前つけてくれるってんだい?➡ 260 00:22:02,588 --> 00:22:04,623 べらぼうが! ったく! 261 00:22:04,623 --> 00:22:08,260 申し訳ございません。 (苦情の声) 262 00:22:08,260 --> 00:22:11,263 (手をたたく音) (鶴屋)お静かに! 263 00:22:11,263 --> 00:22:15,467 何か 手は考えてるんですか? 蔦屋さん。 264 00:22:17,269 --> 00:22:20,606 へえ。 265 00:22:20,606 --> 00:22:25,778 ここは ひとつ お上に 触れを変えさせようと考えております。 266 00:22:25,778 --> 00:22:28,681 (一同)はあ? (村田屋治郎兵衛)触れを変えさせる? 267 00:22:28,681 --> 00:22:30,649 へえ。 (鱗形屋孫兵衛)お上に➡ 268 00:22:30,649 --> 00:22:34,486 やっぱり 新しく作ってもいいぜって 言わせるってことか? 269 00:22:34,486 --> 00:22:38,490 そうです。 できるわけねえだろ! べらぼうが! 270 00:22:38,490 --> 00:22:41,794 そりゃ いくら何でも無理だろ! (奥村屋源六)あ~ 無理無理! 271 00:22:41,794 --> 00:22:43,729 (芝 全交) そんなことが できるんですかねぇ。 272 00:22:43,729 --> 00:22:45,664 それは さすがに…。 273 00:22:45,664 --> 00:22:47,666 (騒ぐ声) 274 00:22:47,666 --> 00:22:50,302 お静かに。 275 00:22:50,302 --> 00:22:54,306 皆様 いま一度 触れを見ていただけますか? 276 00:22:54,306 --> 00:22:58,310 ええ? はあ…。 277 00:23:00,579 --> 00:23:03,249 新規の仕立ては無用➡ 278 00:23:03,249 --> 00:23:08,120 けど どうしても作りたい場合は 指図を受けろってのが あんでしょ? 279 00:23:08,120 --> 00:23:10,122 ああ。 うん…。 280 00:23:10,122 --> 00:23:14,860 だったら 江戸中の地本問屋が 指図を受けに行きゃ どうかと。 281 00:23:14,860 --> 00:23:16,795 はあ? え? 282 00:23:16,795 --> 00:23:19,098 山のように草稿を抱えて。 283 00:23:19,098 --> 00:23:21,033 おい…。 284 00:23:21,033 --> 00:23:23,269 んなの たまんねえでしょう! 285 00:23:23,269 --> 00:23:28,607 音 上げて 指図は受けずともいいって なんねえかって。 286 00:23:28,607 --> 00:23:32,278 けど それじゃ 指図もクソもなく➡ 287 00:23:32,278 --> 00:23:34,213 一切 出すなってことには なんねえのかい? 288 00:23:34,213 --> 00:23:36,615 そうだよ! そうなるよ! 289 00:23:36,615 --> 00:23:41,420 まぁ うまく 話を持っていかなきゃなんねえですが…。 290 00:23:41,420 --> 00:23:45,958 その前に 持ってくもんってなぁ どうすんだよ? 291 00:23:45,958 --> 00:23:48,627 山のような草稿なんて どこにあるってんだ! 292 00:23:48,627 --> 00:23:50,963 そうだ! そこは…➡ 293 00:23:50,963 --> 00:23:54,833 皆様で急ぎ作っていただく… とか。 294 00:23:54,833 --> 00:23:58,137 はあ?(西村屋)ふざけてんじゃないよ べらぼうが! 295 00:23:58,137 --> 00:24:00,072 もちろん 私も作ります。 296 00:24:00,072 --> 00:24:02,908 山のような草稿って 一体 いつまでに必要なんで? 297 00:24:02,908 --> 00:24:04,843 できれば 一月で。 298 00:24:04,843 --> 00:24:09,381 一月!? 一月で出来るわけねえだろ べらぼうが! 299 00:24:09,381 --> 00:24:11,317 そんな早く書けるやつ いるわけねえだろう! 300 00:24:11,317 --> 00:24:14,920 そうだ!そこを なんとか 皆様の力を お貸しくだせえ! 301 00:24:14,920 --> 00:24:17,589 帰るぞ! 帰ろう 帰ろう! お願いします! 302 00:24:17,589 --> 00:24:22,761 (勝川春章)んじゃ 助太刀に行きますか。 え? 303 00:24:22,761 --> 00:24:27,933 潰れちまうからねぇ 勝川一門も 北尾一派も。 304 00:24:27,933 --> 00:24:30,969 (宿屋飯盛)お弟子さん 山ほど いらっしゃいますもんね。 305 00:24:30,969 --> 00:24:34,106 フフフ。 お世話んなってます! 306 00:24:34,106 --> 00:24:38,410 そうそう 弟子が 世に出られなくなっちまうからね。 307 00:24:38,410 --> 00:24:41,780 お願いします! 皆様の力を お貸しくだせえ! 308 00:24:41,780 --> 00:24:43,716 お願いします! 309 00:24:43,716 --> 00:24:48,554 おう ちょいと失礼するよ。 よっ。 310 00:24:48,554 --> 00:24:54,960 へえ…。 俺たち 役に立てっかな? 311 00:24:54,960 --> 00:24:58,630 もちろん。 312 00:24:58,630 --> 00:25:00,899 ありがた山にごぜえます! 313 00:25:00,899 --> 00:25:04,570 それにしても べらぼうな案だねぇ。 でも 草稿 持ってって➡ 314 00:25:04,570 --> 00:25:06,905 奉行所を困らせるなんて 面白そうですよね。 315 00:25:06,905 --> 00:25:08,841 あいつらを困らせるには やっぱり数か? 316 00:25:08,841 --> 00:25:13,078 それとも 絶妙な具合で 同心たちを うがってみるとか? 317 00:25:13,078 --> 00:25:15,748 分からないようにってのは 腕が鳴りますねぇ。 318 00:25:15,748 --> 00:25:21,253 しばりがある方が面白いもの書けますし。 絵をつける甲斐もあるってもんですね! 319 00:25:21,253 --> 00:25:23,756  回想  てめえが その生き方できたのは➡ 320 00:25:23,756 --> 00:25:26,592 先に その道を 生きてきたやつがいるから。 321 00:25:26,592 --> 00:25:28,627 今こそ てめえが ふんばる番じゃねえのかよ! 322 00:25:28,627 --> 00:25:32,131 しくじったのは 蔦重さんじゃねえですか! 323 00:25:35,267 --> 00:25:37,269 蔦重さん! 324 00:25:46,612 --> 00:25:50,816 俺 戻って 草稿 書いてきますね。 325 00:25:56,288 --> 00:26:00,893 いっそ そのまま出せるもん 頼むぜ。 326 00:26:00,893 --> 00:26:03,195 京伝先生。 327 00:26:07,766 --> 00:26:10,269 はい! 328 00:26:14,373 --> 00:26:21,680 まぁ 京伝先生も やるって おっしゃってくれているわけですし。 329 00:26:25,384 --> 00:26:27,319 よし 蔦重。 330 00:26:27,319 --> 00:26:30,222 また 面白え案思 考えようぜ。 331 00:26:30,222 --> 00:26:33,125 へえ! うん。 332 00:26:33,125 --> 00:26:36,929 大幅に変えれば 5冊出来ると思うんです。 そりゃ よかった! 333 00:26:36,929 --> 00:26:39,598 かくして 地本問屋たちは➡ 334 00:26:39,598 --> 00:26:45,938 奉行所に指図を受けるための 草稿をかき集め 作成し…。 335 00:26:45,938 --> 00:26:49,408 (鶴屋)この春 10点ほど新しく出したく存じます。 336 00:26:49,408 --> 00:26:53,212 ぜひ お指図を頂きたく。 337 00:26:59,785 --> 00:27:01,987 お指図を。 338 00:27:05,357 --> 00:27:08,727 お願いいたします。 339 00:27:08,727 --> 00:27:10,729 やってられるか! 340 00:27:14,366 --> 00:27:19,071 ♬~(三味線) 341 00:27:19,071 --> 00:27:24,943 更に 蔦重は こちらの方への根回しも抜かりなく…。 342 00:27:24,943 --> 00:27:31,583 断っておくが 賂代わりのもてなしなら 受け取ることはできぬぞ。 343 00:27:31,583 --> 00:27:37,089 越中守様からお引き立てを受け 「人足寄場」を任され➡ 344 00:27:37,089 --> 00:27:40,125 お役目 大変にございましょう。 345 00:27:40,125 --> 00:27:45,597 手前どもとしては 長谷川様を お慰めしたいだけで。 346 00:27:45,597 --> 00:27:47,599 ねえ? 347 00:27:49,268 --> 00:27:51,770 さあ! 348 00:27:51,770 --> 00:28:01,446 ♬~ 349 00:28:01,446 --> 00:28:06,285 やはり 吉原はよいのう。 へえ! さあさあさあ。 350 00:28:06,285 --> 00:28:09,555 ⚟(駿河屋市右衛門)重三郎 いいか? 351 00:28:09,555 --> 00:28:11,557 へえ。 352 00:28:26,738 --> 00:28:28,674 (はま)お初に お目にかかります。 353 00:28:28,674 --> 00:28:33,078 二文字屋の女将 はまと申します。 354 00:28:33,078 --> 00:28:38,250 (きく)先代の きくと申します。 355 00:28:38,250 --> 00:28:40,752 長谷川様…。 356 00:28:43,088 --> 00:28:48,393 どうぞ➡ 357 00:28:48,393 --> 00:28:52,264 お納めくださいまし。 358 00:28:52,264 --> 00:28:55,767 何の金だ? 賂なら受け取れぬぞ! 359 00:28:55,767 --> 00:28:58,403 賂ではなく ご返金にございます。 360 00:28:58,403 --> 00:29:00,872 返金? へえ。 361 00:29:00,872 --> 00:29:05,544 長谷川様が騙されてくださったおかげで➡ 362 00:29:05,544 --> 00:29:09,715 河岸は 食いつなぐことができました。 363 00:29:09,715 --> 00:29:14,586 私も 今日この日を迎えられております。 364 00:29:14,586 --> 00:29:17,589 俺が いつ騙されたのだ? 365 00:29:17,589 --> 00:29:21,226 花の井のために入銀した 50両。 366 00:29:21,226 --> 00:29:25,230 ありゃ そのまま 河岸に流して➡ 367 00:29:25,230 --> 00:29:27,733 米 買いました。 368 00:29:30,902 --> 00:29:33,238 え? えっ? 369 00:29:33,238 --> 00:29:36,575 だから 花の井の 花の絵は なかったのか! 370 00:29:36,575 --> 00:29:41,380 ええ。 まぁ 情に厚い花魁でしたから➡ 371 00:29:41,380 --> 00:29:44,249 河岸を捨てておけなかったんでしょう。 372 00:29:44,249 --> 00:29:47,586 どうか お許しを。 373 00:29:47,586 --> 00:29:50,389 そうだったのか…。 374 00:29:50,389 --> 00:29:53,258 花の井➡ 375 00:29:53,258 --> 00:29:58,930 さすが 俺の金蔵を空にした女だぜ。 376 00:29:58,930 --> 00:30:01,633 で…。 377 00:30:04,803 --> 00:30:07,105 こちら。 378 00:30:10,409 --> 00:30:13,278 利息にございます。 379 00:30:13,278 --> 00:30:17,282 人足寄場は 年たったの5百両➡ 380 00:30:17,282 --> 00:30:21,987 足りないかかりは 長谷川様の工面。 381 00:30:21,987 --> 00:30:25,857 金繰りが大変だと お聞きしました。 382 00:30:25,857 --> 00:30:28,827 利息は これしきか。 383 00:30:28,827 --> 00:30:31,129 (せきばらい) 384 00:30:31,129 --> 00:30:34,166 冗談だ 冗談! 385 00:30:34,166 --> 00:30:36,868 (駿河屋)長谷川様。 386 00:30:40,305 --> 00:30:46,011 どうか もう一度 吉原を 救ってくださいませんでしょうか? 387 00:30:50,649 --> 00:30:56,455 今 倹約と悪所潰しで 河岸は 大変なことになってます。➡ 388 00:30:56,455 --> 00:31:01,760 加えて 黄表紙 錦絵 細見も だめになるって話もあります。 389 00:31:01,760 --> 00:31:03,695 そうなりゃ 吉原は もう…! 390 00:31:03,695 --> 00:31:06,098 いや 賂は受け取れんのだ! 391 00:31:06,098 --> 00:31:08,767 人足寄場は 悪党とならざるをえなかった者たちを➡ 392 00:31:08,767 --> 00:31:11,670 救う役目もあると聞いております。 393 00:31:11,670 --> 00:31:15,540 どうか 身を売るよりほかならぬ女郎たちも➡ 394 00:31:15,540 --> 00:31:18,744 お救いくださいまし。 395 00:31:22,314 --> 00:31:25,283 …分かった! 分かった! 396 00:31:25,283 --> 00:31:28,620 何をすればよいのだ? 397 00:31:28,620 --> 00:31:35,393 へえ。 越中守様から ある言葉を 引き出していただきたいのでございます。 398 00:31:35,393 --> 00:31:37,963 ある言葉? 399 00:31:37,963 --> 00:31:40,866 (定信)寄場は うまく進んでおるようだな。 400 00:31:40,866 --> 00:31:42,834 はっ。 401 00:31:42,834 --> 00:31:48,673 ところで お耳には入っておりまするか? 奉行所の件の方は。 402 00:31:48,673 --> 00:31:53,311 市中の本屋どもが やたらと 奉行所の指図を仰ぎに来ておる件か。 403 00:31:53,311 --> 00:31:55,981 (平蔵)さすが お耳が早い。 404 00:31:55,981 --> 00:31:59,451 おおかた こちらに音を上げさせ 触れを緩めさせようという➡ 405 00:31:59,451 --> 00:32:01,386 本屋どもの浅知恵であろう。 406 00:32:01,386 --> 00:32:05,590 (平蔵) なるほど ご慧眼にございますな。➡ 407 00:32:05,590 --> 00:32:09,394 いかがなさるおつもりにございますか? 408 00:32:09,394 --> 00:32:13,098 指図を受けられる数を 限ろうと思うておる。 409 00:32:13,098 --> 00:32:16,768 一店につき 年1点までと。 410 00:32:16,768 --> 00:32:19,104 さすがのお考えにございます。 411 00:32:19,104 --> 00:32:24,409 本など 上方に任せればよいと それがしも考えます。 412 00:32:24,409 --> 00:32:27,312 上方? どういうことだ? 413 00:32:27,312 --> 00:32:33,418 実は 今 上方の本屋が 江戸に店を出してきておるようで。 414 00:32:33,418 --> 00:32:35,954 江戸で新しき本が出せぬとなれば➡ 415 00:32:35,954 --> 00:32:42,427 上方が待ってましたとばかり 黄表紙も錦絵も作るようになる。 416 00:32:42,427 --> 00:32:47,265 黄表紙と錦絵は江戸の誇り 渡してなるものか! 417 00:32:47,265 --> 00:32:49,968 …と 躍起になっておるようです。 418 00:32:49,968 --> 00:32:55,307 まぁ くだらぬ町方の 意地の張り合いにございますよ。 419 00:32:55,307 --> 00:32:57,309 くだらなくなどなかろう! 420 00:32:57,309 --> 00:33:02,080 江戸が 上方に劣るなど 将軍家の威信に関わる! 421 00:33:02,080 --> 00:33:04,983 然様なこととなりまするか? 然様なことも分からぬのか! 422 00:33:04,983 --> 00:33:06,952 ご容赦を! 423 00:33:06,952 --> 00:33:09,254 どうにも 私は浅知恵で…。 424 00:33:09,254 --> 00:33:13,124 しかしながら では どうすれば➡ 425 00:33:13,124 --> 00:33:16,928 ご威信を守ることができましょうか? 426 00:33:16,928 --> 00:33:22,267 そうだな 例えば➡ 427 00:33:22,267 --> 00:33:24,769 書物と同じように…。 428 00:33:24,769 --> 00:33:26,805 (西村屋) じゃあ 奉行所から➡ 429 00:33:26,805 --> 00:33:29,641 ねらったとおりのお達しが 出たってことかい? 430 00:33:29,641 --> 00:33:34,112 へえ。 地本も 書物のごとき株仲間を作り➡ 431 00:33:34,112 --> 00:33:37,616 その内に行事を立て 改めを行い➡ 432 00:33:37,616 --> 00:33:41,286 行事の差配で 触れに触らぬ本を 出すこととせよと➡ 433 00:33:41,286 --> 00:33:43,288 内々に命じられました。 434 00:33:43,288 --> 00:33:45,290 おお~! (笑い声) 435 00:33:45,290 --> 00:33:49,628 皆様 ありがた山にございます! いやいや よかった。 436 00:33:49,628 --> 00:33:51,563 株仲間か。 437 00:33:51,563 --> 00:33:55,133 で 仲間に入れる店は どうすんだい? 438 00:33:55,133 --> 00:34:00,372 ああ… 入りたいとおっしゃる方がいれば 誰でもと➡ 439 00:34:00,372 --> 00:34:03,074 話してはいんですが。 440 00:34:03,074 --> 00:34:05,911 大和田ってのは どうすんだい? 441 00:34:05,911 --> 00:34:09,381 昔のおめえさんみてえなのが いんだろ? 442 00:34:09,381 --> 00:34:13,084 (笑い声) 443 00:34:19,758 --> 00:34:24,596 初めまして 大和田安兵衛と申します。 444 00:34:24,596 --> 00:34:29,401 早速ですが こちらの黄表紙➡ 445 00:34:29,401 --> 00:34:33,939 私どもに ひと言もなく お出しになられたことは➡ 446 00:34:33,939 --> 00:34:38,276 正直 あまり いい気は いたしませんでした。➡ 447 00:34:38,276 --> 00:34:41,780 江戸の地本の流儀にも反することです。 448 00:34:41,780 --> 00:34:44,416 (大和田)えろう すんません。 449 00:34:44,416 --> 00:34:48,954 しかしながら 出来はお見事。 450 00:34:48,954 --> 00:34:53,425 故に こちらとしては 今後 黄表紙をもり立てていくためにも➡ 451 00:34:53,425 --> 00:34:56,795 ぜひ 仲間に加わっていただけないかと 考えております。 452 00:34:56,795 --> 00:35:00,565 (大和田)そりゃあ おおきにさんですが…。 453 00:35:00,565 --> 00:35:03,468 い… いいんですか? それで。 454 00:35:03,468 --> 00:35:08,306 そもそも 黄表紙ってなぁ 節操もねえ。 455 00:35:08,306 --> 00:35:14,579 昔話や幽霊譚 廓話 言い伝え。 456 00:35:14,579 --> 00:35:20,385 面白えもんを 何でもかんでも 心のままに 放り込む。 457 00:35:20,385 --> 00:35:23,088 だから 皆 夢中になった。 458 00:35:23,088 --> 00:35:27,926 読む方も 作る方も。 459 00:35:27,926 --> 00:35:32,263 こんな ご趣向を出される方を はじくなんて➡ 460 00:35:32,263 --> 00:35:39,070 春町先生に 草葉の陰から 嵐みたいな屁 ひられるとこだった。 461 00:35:40,939 --> 00:35:46,111 言ってくれて ありがた山だ。 462 00:35:46,111 --> 00:35:49,114 蔦重さん…。 463 00:35:50,982 --> 00:35:53,284 (大和田)その~…➡ 464 00:35:53,284 --> 00:35:57,789 うちは もう 黄表紙を出すつもりは ないんでございますが…。 465 00:35:57,789 --> 00:36:00,558 (政演)そ… そうなんですか!? 466 00:36:00,558 --> 00:36:03,361 まぁ ちょいと やってみたろっちゅうだけで➡ 467 00:36:03,361 --> 00:36:07,065 改めやら何やら これから面倒になりそうですし。 468 00:36:07,065 --> 00:36:10,902 いいんですか? 板元をやらないと儲からないですよ。 469 00:36:10,902 --> 00:36:14,239 そのかわり 少しばかり➡ 470 00:36:14,239 --> 00:36:17,909 安う仕入れをさせてもらえまへんやろか? 仕入れ? 471 00:36:17,909 --> 00:36:21,746 今 大坂では 黄表紙が流行ってきだしてまして。 472 00:36:21,746 --> 00:36:25,617 (鶴屋)偽板も 随分 出回ってるっていう話ですよね。 473 00:36:25,617 --> 00:36:27,619 そこも! 474 00:36:27,619 --> 00:36:32,257 本物が手に入りやすうなったら 元が取れんようになって➡ 475 00:36:32,257 --> 00:36:35,160 偽板も静まると思うんです。➡ 476 00:36:35,160 --> 00:36:37,128 どうでっしゃろ? 477 00:36:37,128 --> 00:36:42,600 うちを 大坂の江戸地本の 売り広めの店としていただくってのは。 478 00:36:42,600 --> 00:36:54,212 ♬~ 479 00:36:54,212 --> 00:36:56,781 (てい)では 政演さんは➡ 480 00:36:56,781 --> 00:36:59,617 うちと鶴屋さんの抱えで 落ち着いたのでございますか? 481 00:36:59,617 --> 00:37:04,889 ああ。 「善玉悪玉」の続きは うちでやることにもなった。 482 00:37:04,889 --> 00:37:06,825 まことですか! 483 00:37:06,825 --> 00:37:11,663 何だよ その嬉しそうな顔は。 だって 面白えじゃねえですか あれ。 484 00:37:11,663 --> 00:37:14,566 ああ。 485 00:37:14,566 --> 00:37:17,368 だよな。 つまるとこ➡ 486 00:37:17,368 --> 00:37:22,207 面白えもんを作るのを諦めねえってことが 黄表紙の灯を守ることだ。 487 00:37:22,207 --> 00:37:26,578 私も そう思います。 488 00:37:26,578 --> 00:37:29,614 実は もう一つ 考えてることがあって➡ 489 00:37:29,614 --> 00:37:32,917 書物問屋の株を買おうと思ってんです。 490 00:37:32,917 --> 00:37:34,853 書物の株? 491 00:37:34,853 --> 00:37:39,090 書物の株がありゃ 諸国からの買い付けだけに頼らず➡ 492 00:37:39,090 --> 00:37:43,394 書物の流れを使って 地本を どんどん流すことができる。 493 00:37:43,394 --> 00:37:48,266 江戸の外では 黄表紙や狂歌に 火がついてきてるみてえだし➡ 494 00:37:48,266 --> 00:37:53,138 よそのお国 異国にも 黄表紙の灯を 灯して回ろうってえか。 495 00:37:53,138 --> 00:37:58,409 異国? それは 春町先生も どれほど お喜びになられるか! 496 00:37:58,409 --> 00:38:00,345 だろ? 497 00:38:00,345 --> 00:38:04,549 まぁ べらぼうな夫婦だねぇ。 はい。 498 00:38:04,549 --> 00:38:06,484 (足音) 499 00:38:06,484 --> 00:38:08,887 ⚟旦那様。 500 00:38:08,887 --> 00:38:11,189 おう。 501 00:38:14,559 --> 00:38:16,494 蔦重さん…。 502 00:38:16,494 --> 00:38:18,429 どうした? 503 00:38:18,429 --> 00:38:35,580 ♬~ 504 00:38:35,580 --> 00:38:40,251 (虫の羽音) 505 00:38:40,251 --> 00:38:43,922 (足音) 506 00:38:43,922 --> 00:38:46,591 ⚟歌 入るぞ。 507 00:38:46,591 --> 00:39:38,243 ♬~ 508 00:39:38,243 --> 00:39:43,748 大変だったな…。 509 00:39:43,748 --> 00:39:48,920 気持ちは痛えほど分かっけど➡ 510 00:39:48,920 --> 00:39:53,591 旅立たせてやんねえか? 511 00:39:53,591 --> 00:39:57,929 おきよさん 成仏できねえよ。 512 00:39:57,929 --> 00:40:00,231 まだ 生きてっから。 513 00:40:03,401 --> 00:40:08,239 人の顔って よくよく見てると 毎日 変わんだ。 514 00:40:08,239 --> 00:40:11,142 一日として 同じ日はねえんだよ。 515 00:40:11,142 --> 00:40:13,945 おきよは まだ変わってっから➡ 516 00:40:13,945 --> 00:40:16,247 生きてる。 517 00:40:44,642 --> 00:40:49,147 脈がねえんだから 生きてねえんだよ…。 518 00:40:50,815 --> 00:40:53,618 ん? 519 00:40:57,322 --> 00:40:59,824 ああ…。 520 00:41:02,160 --> 00:41:05,129 何やってんだよ! 521 00:41:05,129 --> 00:41:08,433 こうしたら 一緒に行けるって おきよが…。 522 00:41:10,968 --> 00:41:13,271 やめろ! 523 00:41:13,271 --> 00:41:17,775 なあ! おい! 仏さん運べ! 524 00:41:17,775 --> 00:41:20,611 早く! 525 00:41:20,611 --> 00:41:23,514 やめろ… おい! やめろ! やめろって! 526 00:41:23,514 --> 00:41:25,483 おい! おきよは まだ生きてんだよ! 527 00:41:25,483 --> 00:41:27,952 おい! おきよは まだ そこにいんだよ! 528 00:41:27,952 --> 00:41:30,788 おい! やめ…! 529 00:41:30,788 --> 00:41:33,424 やめろ! おきよ! やめろ! 530 00:41:33,424 --> 00:41:36,794 お前は 鬼の子なんだ! 531 00:41:36,794 --> 00:41:39,697 生き残って 命 描くんだ。 532 00:41:39,697 --> 00:41:43,901 それが 俺たちの天命なんだよ。 533 00:41:57,982 --> 00:42:02,587 う… うう… うう… ううう…。 534 00:42:02,587 --> 00:42:07,592 うう~…。 535 00:42:15,099 --> 00:42:17,135 歌! 536 00:42:17,135 --> 00:42:20,972 うう! ううう…! うう! 537 00:42:20,972 --> 00:42:23,274 うう! ううっ! 538 00:42:23,274 --> 00:42:28,946 うう~! うう~! うう~…! 539 00:42:28,946 --> 00:42:33,251 うう…。 うう~! 540 00:42:35,286 --> 00:42:38,122 「白河の清きに魚住みかねて」。 541 00:42:38,122 --> 00:42:40,057 身上半減の蔦屋。 542 00:42:40,057 --> 00:42:42,293 身上。 半減!身上半減。 543 00:42:42,293 --> 00:42:44,228 蔦重に 書けって! 544 00:42:44,228 --> 00:42:47,131 歌に 自分の気持ちを 分かってほしいだけだろ? 545 00:42:47,131 --> 00:42:49,066 ほんと そういうところですよ! 546 00:42:49,066 --> 00:42:51,636 儒の道に損なわぬ お裁きを! 547 00:42:51,636 --> 00:42:55,339 火付盗賊改方 長谷川平蔵である!