1 00:00:02,202 --> 00:00:05,138 (喜多川歌麿)やめろ! やめろって! おい! おきよは まだ生きてんだよ! 2 00:00:05,138 --> 00:00:07,941 おい! おきよは まだ そこにいんだよ! 3 00:00:07,941 --> 00:00:09,977 おい! やめ…! やめろ! 4 00:00:09,977 --> 00:00:14,414 (蔦屋重三郎)お前は 鬼の子なんだ! 5 00:00:14,414 --> 00:00:16,783 歌! 6 00:00:16,783 --> 00:00:19,419 うう~! うう~! うう~…! 7 00:00:19,419 --> 00:00:28,161 ♬~ 8 00:00:28,161 --> 00:00:41,441 (物音) 9 00:00:41,441 --> 00:00:43,644 (菊麿)蔦重さん。 10 00:00:49,650 --> 00:00:53,153 刃のあるものは これで全てか?(菊麿)はい。 11 00:00:53,153 --> 00:00:57,024 (つよ)来たよ~。 おお 来たか ババア。 12 00:00:57,024 --> 00:01:00,761 旦那様。 待ってたぞ。 13 00:01:00,761 --> 00:01:04,097 どうしたんだい? その顔! 14 00:01:04,097 --> 00:01:09,403 歌が後追いしようとすんで 止めて。 したら…。 15 00:01:09,403 --> 00:01:12,606 歌は? 16 00:01:20,414 --> 00:01:24,117 飲み食いも ろくにしねえんだよ…。 17 00:01:27,287 --> 00:01:29,289 おい。 18 00:01:36,296 --> 00:01:41,969 歌。 ここに置いとくね。 19 00:01:41,969 --> 00:01:46,306 気が向いたら 食べとくれよ。 20 00:01:46,306 --> 00:02:25,946 ♬~ 21 00:02:25,946 --> 00:02:29,449 (つよ)茶 いれてくるね。 22 00:02:31,418 --> 00:02:34,321 おい。 何だよ 今の。 23 00:02:34,321 --> 00:02:38,125 何か 思うとこが あったんじゃないのかい。 24 00:02:38,125 --> 00:02:42,629 何かって何だよ。 分かるわけないだろ。 25 00:02:42,629 --> 00:02:46,133 赤ん坊みたいなもんだよ。➡ 26 00:02:46,133 --> 00:02:51,004 泣けば 何かあったのか 笑えば 治ったのかって➡ 27 00:02:51,004 --> 00:02:55,842 今は そうやって凌いでいくしかないよ。➡ 28 00:02:55,842 --> 00:02:59,980 私 当分 こっちにいるから あんた 戻りなよ。 29 00:02:59,980 --> 00:03:02,883 いい。 今日明日 代わってくれりゃ。 30 00:03:02,883 --> 00:03:06,753 あんたより 私の方が役に立ちそうだしさ➡ 31 00:03:06,753 --> 00:03:10,257 向こうは あんたがいなくて てんてこまいしてるよ。 32 00:03:10,257 --> 00:03:14,461 どうぞ。 あっしらも 目 離さないようにしますんで。 33 00:03:33,280 --> 00:03:35,982 はあ…。 34 00:03:37,951 --> 00:03:42,255 歌。 また来るな。 35 00:03:50,297 --> 00:04:55,962 ♬~ 36 00:04:55,962 --> 00:06:16,776 ♬~ 37 00:06:20,747 --> 00:06:23,583 ⚟(みの吉)この辺…。 おう。 38 00:06:23,583 --> 00:06:26,086 (みの吉)お帰りなさいませ。 すまねえな 留守にしちまって。 39 00:06:26,086 --> 00:06:29,589 旦那様…。(北尾政演)え…。 どうなさったんで? 40 00:06:29,589 --> 00:06:31,625 まぁ ちょっとな。 41 00:06:31,625 --> 00:06:33,760 (鶴屋喜右衛門)蔦屋さん。 42 00:06:33,760 --> 00:06:36,663 おお 鶴屋さん! 43 00:06:36,663 --> 00:06:38,632 いらっしゃい。 (てい)お帰りなさいませ。 44 00:06:38,632 --> 00:06:40,634 おう。 45 00:06:44,271 --> 00:06:46,206 これは? 46 00:06:46,206 --> 00:06:49,609 (鶴屋)お奉行所と 例のことで すり合わせをしてきました。 47 00:06:49,609 --> 00:06:52,112 ああ。 それより…➡ 48 00:06:52,112 --> 00:06:55,015 どうなさったんですか? 49 00:06:55,015 --> 00:06:57,317 ちょっと。 50 00:06:58,985 --> 00:07:04,190 蔦重たちは 奉行所と 水面下でやり取りを重ね…。 51 00:07:06,559 --> 00:07:10,363 これよりは 奉行所の与力 同心とも…。 52 00:07:10,363 --> 00:07:12,432 寛政二年十月➡ 53 00:07:12,432 --> 00:07:16,903 正式に 地本問屋の株仲間が発足。 54 00:07:16,903 --> 00:07:19,239 (2人)ははっ。 55 00:07:19,239 --> 00:07:23,743 地本の関係者から 月ごとに行事を選び➡ 56 00:07:23,743 --> 00:07:27,247 新しく出す本や絵の内容を「改」める。 57 00:07:27,247 --> 00:07:32,085 自主検閲での発行を 許されることとなりました。 58 00:07:32,085 --> 00:07:36,256 まぁ お分かりでしょうが こんなものは ザルです。 59 00:07:36,256 --> 00:07:38,758 にもかかわらず…。 60 00:07:38,758 --> 00:07:40,694 (吉兵衛)これは だめです。 61 00:07:40,694 --> 00:07:42,629 は? 何で だめなんですか? 62 00:07:42,629 --> 00:07:44,631 (吉兵衛)こりゃ いくら何でも。 63 00:07:44,631 --> 00:07:47,934 好色本の類いは 出しちゃならないってなってますし。 64 00:07:47,934 --> 00:07:51,771 こりゃ 好色を描くことで好色を戒める。 65 00:07:51,771 --> 00:07:54,274 そう 但し書きしてあんじゃねえですか。 66 00:07:54,274 --> 00:07:56,209 (新右衛門)初めてのことですし➡ 67 00:07:56,209 --> 00:07:59,412 奉行所も こちらが ちゃんと「改」めてるかどうか➡ 68 00:07:59,412 --> 00:08:03,116 抜き打ちで調べに来んじゃねえですか? 69 00:08:05,218 --> 00:08:09,222 じゃあ 「教訓読本」って書いた袋入りにして➡ 70 00:08:09,222 --> 00:08:11,991 売るってんで どうです? 71 00:08:11,991 --> 00:08:16,730 「教訓読本」って書いてありゃ 抜き打ちで調べたりしねえでしょ? 72 00:08:16,730 --> 00:08:19,632 ああ…。 それだったら いいんじゃねえか? 73 00:08:19,632 --> 00:08:22,235 頼む! 74 00:08:22,235 --> 00:08:26,239 色を売るしかねえ女たちの 力になってやりてえんだよ。 75 00:08:31,378 --> 00:08:34,581 分かりました。 ああ。 76 00:08:40,120 --> 00:08:42,922 ありがた山。 77 00:08:44,758 --> 00:08:46,693 (みの吉)お帰りなさいませ。 おう。 78 00:08:46,693 --> 00:08:48,628 いらっしゃいませ。 79 00:08:48,628 --> 00:08:50,930 お待たせしました。 いらっしゃいませ。 80 00:08:50,930 --> 00:08:52,932 こちら どうでしょう? 81 00:08:56,803 --> 00:08:58,805 ただいま。 82 00:08:58,805 --> 00:09:01,808 (てい)お帰りなさいませ。 (つよ)お帰り~。おう。 83 00:09:06,212 --> 00:09:08,214 何やってんだ? 84 00:09:08,214 --> 00:09:12,018 歌が 栃木のご贔屓んとこ行くって 言いだしてさぁ。 85 00:09:12,018 --> 00:09:16,356 あ? 頼まれてた肉筆の絵あったんだろ? 86 00:09:16,356 --> 00:09:19,225 それを 向こうで描くって言いだして。 87 00:09:19,225 --> 00:09:22,562 大事ねえのか? 向こうで後追いとか…。 88 00:09:22,562 --> 00:09:25,565 だから ついてくんじゃないか! 89 00:09:27,367 --> 00:09:29,436 よし じゃあ 俺も。 90 00:09:29,436 --> 00:09:33,907 やめときなよ! あんたから 離れたいってのもあるみたいだよ。 91 00:09:33,907 --> 00:09:36,376 え? 何で? 92 00:09:36,376 --> 00:09:38,745 知らないよ。 93 00:09:38,745 --> 00:09:41,381 あんたに相談したらって言ったら➡ 94 00:09:41,381 --> 00:09:45,185 「もう関わりないから」って。 95 00:09:48,755 --> 00:09:52,392 ああ…。 96 00:09:52,392 --> 00:09:56,262 (つよ)何か やらかしたんだね。 97 00:09:56,262 --> 00:10:00,133 おていさん…。 やめときなって! 98 00:10:00,133 --> 00:10:04,003 けど 歌麿と ちゃんと話さねえと…。 99 00:10:04,003 --> 00:10:07,607 そりゃ 自分のためだろ? 100 00:10:07,607 --> 00:10:09,542 歌のためじゃなくて➡ 101 00:10:09,542 --> 00:10:13,480 歌に 自分の気持ちを 分かってほしいだけだろ?➡ 102 00:10:13,480 --> 00:10:18,251 今は まだ そういうのは だめさ。 103 00:10:18,251 --> 00:10:39,973 ♬~ 104 00:10:39,973 --> 00:10:43,476 関わりねえって…。 105 00:10:45,311 --> 00:10:49,315 何で あんなこと言っちまったんだ…。 106 00:10:50,984 --> 00:10:56,789 そうして 年は明け 三月。 107 00:10:56,789 --> 00:10:59,993 お待たせしました。 教訓読本「錦之裏」でございます。 108 00:10:59,993 --> 00:11:01,928 おう ありがとう。 109 00:11:01,928 --> 00:11:04,397 女将さん。いらっしゃいませ! こちら3冊です。 110 00:11:04,397 --> 00:11:07,100 ⚟ありがとうございました! 111 00:11:07,100 --> 00:11:11,938 (鶴屋) このまま 何のお咎めもなさそうですね。 112 00:11:11,938 --> 00:11:16,109 実んとこ 抜き打ちのお調べなんて あったんですかねぇ。 113 00:11:16,109 --> 00:11:19,946 (鶴屋)さあ。 (政演)はあ…。 114 00:11:19,946 --> 00:11:23,416 何だ? そんな案じてんのか? 115 00:11:23,416 --> 00:11:25,351 (政演)そりゃ そうですよ。 116 00:11:25,351 --> 00:11:27,854 そこここで 逃げ道は作っておきましたけど…。 117 00:11:29,622 --> 00:11:31,558 売れ行きもいいぞ。 118 00:11:31,558 --> 00:11:35,128 親父様たちも ありがてえって。 119 00:11:35,128 --> 00:11:39,432 んじゃ 今日辺り 行くべえ獅子ですかね? 120 00:11:39,432 --> 00:11:41,367 おう。ヘヘヘヘヘヘ! 鶴屋さんも どうです? 121 00:11:41,367 --> 00:11:43,970 いえ 私は。 ⚟主は どこにおる! 122 00:11:43,970 --> 00:11:46,306 ⚟(みの吉)お呼びいたしますので…➡ 123 00:11:46,306 --> 00:11:48,308 お待ちください! お待ちください! (足音) 124 00:11:55,315 --> 00:12:01,120 主 蔦屋重三郎であるな? はい。 125 00:12:01,120 --> 00:12:04,023 山東京伝であるな? はい…。 126 00:12:04,023 --> 00:12:09,762 山東京伝作 「錦之裏」「仕懸文庫」「娼妓絹䕻」➡ 127 00:12:09,762 --> 00:12:14,934 以上 「教訓読本」3作を絶版とする。 128 00:12:14,934 --> 00:12:17,837 え…。 絶版…!? 129 00:12:17,837 --> 00:12:23,109 蔦屋重三郎 および 作者 山東京伝こと伝蔵➡ 130 00:12:23,109 --> 00:12:25,411 奉行所にて詮議いたす。 131 00:12:25,411 --> 00:12:27,347 連れていけ! (同心たち)はっ。 132 00:12:27,347 --> 00:12:30,250 え…。 133 00:12:30,250 --> 00:12:33,620 立て。 はっ。 134 00:12:33,620 --> 00:12:35,622 はい…。 135 00:12:37,957 --> 00:12:42,261 教訓読本3作を運び出せ! (一同)はっ! 136 00:12:46,299 --> 00:12:49,135 かような大事になるとは 思わなかったのか? 137 00:12:49,135 --> 00:12:52,438 (政演) に… に… 二度と書きませんので! 138 00:12:55,908 --> 00:12:58,645 つ… 蔦重が…。 139 00:12:58,645 --> 00:13:01,648 蔦重に 書けって…! 140 00:13:04,751 --> 00:13:08,254 お前が 行事を抱き込んだらしいではないか。 141 00:13:08,254 --> 00:13:12,125 どうにも 好色本だって言いやがるもんで。 142 00:13:12,125 --> 00:13:14,594 どこから どう見ても 好色本であろう! 143 00:13:14,594 --> 00:13:16,529 皆様 そう おっしゃいますが➡ 144 00:13:16,529 --> 00:13:20,400 私は そのつもりは まったく ございませんもので➡ 145 00:13:20,400 --> 00:13:23,603 ほとほと 困っておりまして。 146 00:13:23,603 --> 00:13:25,605 (戸が開く音) 147 00:13:32,945 --> 00:13:38,418 (初鹿野)この一件 御公儀を謀った 非常に由々しきものと見て➡ 148 00:13:38,418 --> 00:13:43,256 越中守様 直々に 見分なされることとなった。 149 00:13:43,256 --> 00:14:03,576 ♬~ 150 00:14:03,576 --> 00:14:07,747 (鶴屋)好色本を出してはならぬという 触れに反し➡ 151 00:14:07,747 --> 00:14:15,388 かつ それを「教訓読本」などと書いた 袋に入れたところも けしからぬと。 152 00:14:15,388 --> 00:14:19,258 (ため息) 153 00:14:19,258 --> 00:14:26,132 (てい)あの… かような折は 罰を受けるのでございましょうか? 154 00:14:26,132 --> 00:14:30,403 黄表紙の折のように 絶版で済むということは…。 155 00:14:30,403 --> 00:14:32,472 (奥村屋源六)2度目だからねえ。 156 00:14:32,472 --> 00:14:37,176 過料 身代限り 江戸払い。 157 00:14:37,176 --> 00:14:39,946 江戸にいられなくなるのでございますか? 158 00:14:39,946 --> 00:14:43,416 (村田屋治郎兵衛) お上も 江戸一の人気の本屋を➡ 159 00:14:43,416 --> 00:14:47,286 潰したくはなかろうと考えてえけど…。 160 00:14:47,286 --> 00:14:53,626 (須原屋市兵衛)まぁ 蔦重は 田沼様とは とりわけ親しかった➡ 161 00:14:53,626 --> 00:14:57,497 そういうことも あるからなぁ。 162 00:14:57,497 --> 00:15:07,240 (松村屋弥兵衛)あのよ 仲間にも 累が及ぶなんてこた ないのかい?え? 163 00:15:07,240 --> 00:15:10,576 やはり 元のとおり➡ 164 00:15:10,576 --> 00:15:15,248 新しい本や絵を出すな! …なんて 言われたりよぉ。 165 00:15:15,248 --> 00:15:18,084 はあ…。 勘弁だよ。 166 00:15:18,084 --> 00:15:23,589 まこと 申し訳ございません! 167 00:15:23,589 --> 00:15:29,395 (松平定信)面を上げよ。➡ 168 00:15:29,395 --> 00:15:34,100 うぬが 蔦屋重三郎か。 169 00:15:34,100 --> 00:15:36,302 へえ。 170 00:15:38,771 --> 00:15:44,944 (定信) どれも これも 女遊びの指南書だが➡ 171 00:15:44,944 --> 00:15:47,980 これの どこが好色でないと? 172 00:15:47,980 --> 00:15:54,120 跋文には 「遊びは身を滅ぼす」ことを 但し書きしております。 173 00:15:54,120 --> 00:16:00,359 故に それは教訓の本 教訓読本にございます。 174 00:16:00,359 --> 00:16:08,734 これを 好色本か教訓本か それを決めるのは うぬではなく➡ 175 00:16:08,734 --> 00:16:11,437 私だ。 176 00:16:15,074 --> 00:16:21,280 (定信)心得違いを認め かようなものは 二度と出さぬと誓え。 177 00:16:30,556 --> 00:16:33,259 越中守様は➡ 178 00:16:33,259 --> 00:16:38,097 透き通った美しい川と 濁った川➡ 179 00:16:38,097 --> 00:16:41,767 魚は どちらを好んで住むと思われますか? 180 00:16:41,767 --> 00:16:44,103 (定信)魚の話などしておらぬ。 181 00:16:44,103 --> 00:16:46,772 まぁ 然様なことは おっしゃらず。 182 00:16:46,772 --> 00:16:54,413 雲の上のお方と お会いできるなんて めったねえわけでございますから。 183 00:16:54,413 --> 00:16:57,316 魚は 濁りのある方を好む。 184 00:16:57,316 --> 00:17:01,888 よく ご存じで。 185 00:17:01,888 --> 00:17:05,725 しかし それは 何故にございましょう? 186 00:17:05,725 --> 00:17:10,229 濁りのある方が 餌が豊かであるのだろう。 187 00:17:10,229 --> 00:17:13,733 敵から 身を隠しやすいというのもあろうか。 188 00:17:13,733 --> 00:17:17,570 流れが緩やかなら 過ごしやすくもあろうしな。 189 00:17:17,570 --> 00:17:26,078 私ゃ 人も 魚と そう変わらねえと思うんでさ。 190 00:17:26,078 --> 00:17:31,584 人ってなぁ どうも濁りを求めるところがありまして。 191 00:17:31,584 --> 00:17:36,255 そこに行きゃ うまい飯が食えて 隠れて 面白え遊びができたりして➡ 192 00:17:36,255 --> 00:17:38,257 怠けてても怒られねえ。 193 00:17:38,257 --> 00:17:44,597 んなとこに行きたがるってのが 人情ってんですかねぇ。 194 00:17:44,597 --> 00:17:49,268 …然様なこと 百も承知だ。 195 00:17:49,268 --> 00:17:51,203 そりゃ そうだ。 196 00:17:51,203 --> 00:17:53,940 五つで「論語」をそらんじられた➡ 197 00:17:53,940 --> 00:17:56,842 世に稀な賢いお方に➡ 198 00:17:56,842 --> 00:17:58,844 ご無礼いたしました。 199 00:18:05,217 --> 00:18:08,721 けど これは ご存じで? 200 00:18:08,721 --> 00:18:10,756 近頃➡ 201 00:18:10,756 --> 00:18:14,593 「白河の清きに魚住みかねて➡ 202 00:18:14,593 --> 00:18:19,231 元の濁りの田沼恋しき」➡ 203 00:18:19,231 --> 00:18:22,234 …なんて詠む輩もいるんですよぉ。 204 00:18:22,234 --> 00:18:26,105 私ゃね それはそれで けしからんと思うわけですよ。 205 00:18:26,105 --> 00:18:28,374 多少 てめえらが窮屈だからって➡ 206 00:18:28,374 --> 00:18:31,277 越中守様は よき世にするために➡ 207 00:18:31,277 --> 00:18:35,147 懸命に きったねえドブ さらってくださってるわけでしょう? 208 00:18:35,147 --> 00:18:39,018 そこで 私ゃ 本屋として➡ 209 00:18:39,018 --> 00:18:42,888 何かできることはねえかと 知恵を絞って➡ 210 00:18:42,888 --> 00:18:44,824 それでございます。 211 00:18:44,824 --> 00:18:50,396 あくまで「教訓」ですよという体で 好色本を出す。 212 00:18:50,396 --> 00:18:52,331 これを許す越中守様! 213 00:18:52,331 --> 00:18:57,103 こりゃ もう 堅いふりして 実は分かってらっしゃる。 214 00:18:57,103 --> 00:18:59,138 分かってなかったのは こっちってな具合に➡ 215 00:18:59,138 --> 00:19:01,073 評判になるわけですよ。 216 00:19:01,073 --> 00:19:03,342 しがない本屋ではございますが➡ 217 00:19:03,342 --> 00:19:07,546 これからも 越中守様の評判を上げるべく➡ 218 00:19:07,546 --> 00:19:11,350 分に励みたいと思います。 219 00:19:11,350 --> 00:19:13,285 (初鹿野)引っ立てい! 220 00:19:13,285 --> 00:19:15,287 (一同)はっ! 221 00:19:21,093 --> 00:19:23,095 私ゃねぇ➡ 222 00:19:23,095 --> 00:19:27,233 越中守様のためを申してんです! 223 00:19:27,233 --> 00:19:30,569 分かってくださいますよねぇ! 224 00:19:30,569 --> 00:19:33,606 (鶴屋)越中守様相手に…!? 225 00:19:33,606 --> 00:19:38,077 (須原屋)盛大に戯けたってことですかい? 226 00:19:38,077 --> 00:19:40,012 (長谷川平蔵宣以)ああ。おていさん! おていちゃん! 227 00:19:40,012 --> 00:19:41,947 おていさん!おていちゃん! おていさん! 228 00:19:41,947 --> 00:19:43,949 (村田屋)おていちゃん! 大丈夫かい!? (鶴屋)おていさん! おていさん! 229 00:19:43,949 --> 00:19:45,951 (村田屋)おていちゃん! 230 00:19:45,951 --> 00:19:49,588 うら! うら~! 231 00:19:49,588 --> 00:19:53,392 私ゃ 越中守様のために…。 232 00:19:53,392 --> 00:19:56,595 (殴る音) うっ…。 233 00:19:56,595 --> 00:19:58,531 ご政道のために…。 234 00:19:58,531 --> 00:20:00,466 黙れ! うっ! 235 00:20:00,466 --> 00:20:06,172 (たたく音) 236 00:20:07,940 --> 00:20:10,976 ⚟(須原屋) 躾ってこたぁ ほぼ見せしめですな。 237 00:20:10,976 --> 00:20:16,649 ⚟(平蔵)ああ。 常ならば 詮議してから絶版であるし。 238 00:20:16,649 --> 00:20:21,287 ⚟(宿屋飯盛)近頃 その辺りが どうも…。 239 00:20:21,287 --> 00:20:24,623 (たか)お嬢様。 240 00:20:24,623 --> 00:20:27,293 飯盛さん…? 241 00:20:27,293 --> 00:20:29,962 公事宿のお知り合いが多いってんで➡ 242 00:20:29,962 --> 00:20:31,997 呼んでこられたみたいですよ。 243 00:20:31,997 --> 00:20:35,701 ⚟(鐘の音) 244 00:20:42,541 --> 00:20:46,545 ⚟(鐘の音) 245 00:20:48,647 --> 00:20:51,650 ⚟(てい)ご無礼いたします。 246 00:20:54,520 --> 00:20:57,523 気が付いたかい。 247 00:21:01,093 --> 00:21:03,596 申し訳ございません。 248 00:21:03,596 --> 00:21:07,299 私までもが お手を煩わせ…。 249 00:21:10,770 --> 00:21:15,274 あの…➡ 250 00:21:15,274 --> 00:21:20,613 主人の命乞いなどしていただくことは…! 251 00:21:20,613 --> 00:21:25,117 累が及ぶことを考えれば➡ 252 00:21:25,117 --> 00:21:28,420 命乞いはできませんよ。 253 00:21:28,420 --> 00:21:34,627 皆… 店も家もあります。 254 00:21:41,634 --> 00:21:45,304 愚にもつかぬことを申しました。 255 00:21:45,304 --> 00:21:47,606 お許しを。 256 00:21:49,175 --> 00:21:54,647 (鶴屋)訴え出られるとすれば➡ 257 00:21:54,647 --> 00:21:59,151 おていさんしかいません。 258 00:21:59,151 --> 00:22:04,390 (飯盛)いえね 公事宿の連中が よく ぼやいてんですが➡ 259 00:22:04,390 --> 00:22:06,759 厳しいお裁きってなぁ➡ 260 00:22:06,759 --> 00:22:11,931 朱子学の説くところとは 矛盾してんだよなぁって。 261 00:22:11,931 --> 00:22:15,801 では その矛盾をつけば…。 262 00:22:15,801 --> 00:22:19,672 (平蔵)ただし うまくいくとは限らぬ。 263 00:22:19,672 --> 00:22:23,108 かえって お怒りが増すこともありえるし➡ 264 00:22:23,108 --> 00:22:28,614 命乞いをした者も ただでは済まぬかもしれぬ。 265 00:22:28,614 --> 00:22:44,630 ♬~ 266 00:22:44,630 --> 00:22:49,501 …参ります。 267 00:22:49,501 --> 00:22:54,139 座して死を待つだけなのであれば。 268 00:22:54,139 --> 00:23:03,949 ♬~ 269 00:23:03,949 --> 00:23:07,686 今日で もう10日だぜ…。 270 00:23:07,686 --> 00:23:27,940 ♬~ 271 00:23:27,940 --> 00:23:32,411 巻き込んじまって…➡ 272 00:23:32,411 --> 00:23:36,782 申し訳ねえ。 273 00:23:36,782 --> 00:23:41,620 はあ… こんだけ長えってことは➡ 274 00:23:41,620 --> 00:23:46,292 何か 揉めてんだよ…。 275 00:23:46,292 --> 00:23:48,294 大丈夫だ…。 276 00:23:48,294 --> 00:23:52,498 (せきこみ) 277 00:23:56,001 --> 00:24:01,006 大丈夫だ。 大丈夫…。 278 00:24:03,075 --> 00:24:07,379 (柴野栗山)面を上げなされ。 279 00:24:21,760 --> 00:24:26,265 栗山先生だ。 280 00:24:26,265 --> 00:24:34,606 本日は お忙しい中 まことに ありがとう存じます。 281 00:24:34,606 --> 00:24:44,783 蔦屋重三郎の妻 ていと申します。 282 00:24:44,783 --> 00:24:47,486 (栗山)話されよ。 283 00:24:51,290 --> 00:24:56,128 「子 曰く➡ 284 00:24:56,128 --> 00:25:01,100 之を導くに政を以てし➡ 285 00:25:01,100 --> 00:25:05,371 之を斉うるに刑を以てすれば➡ 286 00:25:05,371 --> 00:25:10,075 民免れて恥無し。➡ 287 00:25:10,075 --> 00:25:15,381 之を導くに徳を以てし➡ 288 00:25:15,381 --> 00:25:20,219 之を斉うるに礼を以てすれば➡ 289 00:25:20,219 --> 00:25:29,762 恥有りて且つ格る」。 290 00:25:29,762 --> 00:25:33,932 「君子は中庸し 小人は中庸に反す。➡ 291 00:25:33,932 --> 00:25:39,138 小人が中庸に反するは 小人にして忌憚なきなり」。 292 00:25:41,106 --> 00:25:45,778 その方の夫は 2度目の過ち。 293 00:25:45,778 --> 00:25:52,484 許しても改めぬ者を 許し続ける意味が どこにある? 294 00:25:55,954 --> 00:25:59,792 「義を見てせざるは➡ 295 00:25:59,792 --> 00:26:03,662 勇なきなり」。➡ 296 00:26:03,662 --> 00:26:09,068 夫は 女郎が身を売る揚代を➡ 297 00:26:09,068 --> 00:26:13,372 客に倹約しろと言われていると 嘆いておりました。 298 00:26:13,372 --> 00:26:23,382 遊里での礼儀や 女郎の身の上 然様なことを伝えることで➡ 299 00:26:23,382 --> 00:26:32,891 女郎の身を案じ 礼儀を守る客を 増やしたかったのだと思います。 300 00:26:34,593 --> 00:26:41,100 女郎は 親兄弟を助けるために売られてくる➡ 301 00:26:41,100 --> 00:26:44,770 孝の者。➡ 302 00:26:44,770 --> 00:26:54,413 不遇な孝の者を助くるは 正しきこと。➡ 303 00:26:54,413 --> 00:26:59,284 どうか➡ 304 00:26:59,284 --> 00:27:04,089 儒の道に損なわぬ お裁きを➡ 305 00:27:04,089 --> 00:27:08,093 願い出る次第にございます! 306 00:27:08,093 --> 00:27:35,053 ♬~ 307 00:27:35,053 --> 00:27:38,590 (初鹿野)面を上げよ。➡ 308 00:27:38,590 --> 00:27:43,262 山東京伝こと伝蔵。➡ 309 00:27:43,262 --> 00:27:48,400 みだらなる風俗を描き 市中の風紀を乱した罪により…。 310 00:27:48,400 --> 00:28:03,882 ♬~ 311 00:28:03,882 --> 00:28:10,355 (初鹿野) 伊勢屋吉兵衛 新右衛門 両名には…。 312 00:28:10,355 --> 00:28:51,763 ♬~ 313 00:28:51,763 --> 00:28:57,269 (初鹿野)面を上げよ。➡ 314 00:28:57,269 --> 00:29:04,710 蔦屋重三郎 みだらなる書物を発行し 風紀を乱した罪➡ 315 00:29:04,710 --> 00:29:10,215 および 数々のご政道批判につき➡ 316 00:29:10,215 --> 00:29:14,419 身上半減とす! 317 00:29:17,723 --> 00:29:21,059 ああ…。 318 00:29:21,059 --> 00:29:25,264 身上半減って…。 319 00:29:31,570 --> 00:29:34,906 そりゃあ…➡ 320 00:29:34,906 --> 00:29:38,744 縦でございますか? 321 00:29:38,744 --> 00:29:42,581 横でございますか? 322 00:29:42,581 --> 00:29:46,385 はっ…。 323 00:29:46,385 --> 00:29:52,190 身を真っ二つってことにございますよね。 324 00:29:52,190 --> 00:30:01,967 蔦屋耕書堂 および その方の身代の半分 召し上げるということだ。 325 00:30:01,967 --> 00:30:05,103 然様で! 326 00:30:05,103 --> 00:30:07,773 いやぁ➡ 327 00:30:07,773 --> 00:30:14,646 こりゃあ 富士より高き ありがた山にございます! 328 00:30:14,646 --> 00:30:17,949 (初鹿野)以後は 心を入れ替え➡ 329 00:30:17,949 --> 00:30:24,423 真に世のためとなる本を出すことを 望んでの沙汰である。 330 00:30:24,423 --> 00:30:27,793 真に世のため…。 331 00:30:27,793 --> 00:30:31,129 それが難しいんですよねぇ。 332 00:30:31,129 --> 00:30:34,433 どうでしょう? 真に世のためとは何か➡ 333 00:30:34,433 --> 00:30:38,303 お奉行様 一度 膝を詰めて。 334 00:30:38,303 --> 00:30:42,174 (足音) 叶うなら 越中守…。 335 00:30:42,174 --> 00:30:44,176 (たたく音) 336 00:30:44,176 --> 00:30:47,012 何で… え? 337 00:30:47,012 --> 00:30:51,316 (たたく音) 338 00:30:51,316 --> 00:30:53,985 己の 考えばかり! 339 00:30:53,985 --> 00:30:57,656 皆様が どれほど…! 340 00:30:57,656 --> 00:31:00,859 べらぼう! 341 00:31:03,762 --> 00:31:06,798 すまねえ…。 342 00:31:06,798 --> 00:31:12,804 (ていの泣き声) 343 00:31:16,341 --> 00:31:22,848 この度は まことに ご心配をおかけしました。 344 00:31:24,616 --> 00:31:31,790 おう 蔦重。 頭 下げるなら おていさんにだぞ。 うん? 345 00:31:31,790 --> 00:31:36,128 おていさん 何か買ってもらいな。 346 00:31:36,128 --> 00:31:40,632 (てい)はい。 既に考えてございます。 347 00:31:42,434 --> 00:31:46,638 鶴屋さん 政演の様子は? 348 00:31:46,638 --> 00:31:51,443 のぞきに行ったら 真面目に手鎖はめてましたよ。 349 00:31:51,443 --> 00:31:55,981 (村田屋)けど あれ お奉行所が来る時以外は抜けんでしょ? 350 00:31:55,981 --> 00:31:58,016 (鶴屋)これ以上 何かあってはと➡ 351 00:31:58,016 --> 00:32:02,587 厠に行く時にも外してないらしく。➡ 352 00:32:02,587 --> 00:32:04,623 蔦屋さん。 353 00:32:04,623 --> 00:32:09,928 吉兵衛さんと新右衛門さんが 江戸払いになったことは ご存じで? 354 00:32:09,928 --> 00:32:14,266 へえ。 まこと 申し訳ないことをしまして…。 355 00:32:14,266 --> 00:32:18,770 (鶴屋)そちらへの詫銀 立て替えておきましたので➡ 356 00:32:18,770 --> 00:32:22,607 落ち着き次第 お返し願います。 357 00:32:22,607 --> 00:32:24,543 はい。 358 00:32:24,543 --> 00:32:26,845 まこと すいません。 359 00:32:29,114 --> 00:32:31,049 ああ そうだ。 360 00:32:31,049 --> 00:32:39,124 頼まれていた書物問屋の株な 一つ空いてたんで 押さえといたぞ。 361 00:32:39,124 --> 00:32:41,059 さすがに 今は よした方が…。 362 00:32:41,059 --> 00:32:43,795 買ってください。 363 00:32:43,795 --> 00:32:46,832 え? 株は買ってください。 364 00:32:46,832 --> 00:32:54,139 私への詫びとして 書物の株を頂きたく存じます。 365 00:32:54,139 --> 00:32:59,311 (須原屋)んじゃ こっちも 落ち着き次第 頼むぜ。 366 00:32:59,311 --> 00:33:03,081 へえ。 367 00:33:03,081 --> 00:33:08,253 これから 金繰り 厳しくなりそうだなぁ。 368 00:33:08,253 --> 00:33:12,591 身上半減だもんなぁ。 へえ。 369 00:33:12,591 --> 00:33:18,263 けど 聞いたことないですけどね 身上半減って。 370 00:33:18,263 --> 00:33:21,099 やはり そうですよね。 371 00:33:21,099 --> 00:33:25,270 新しい刑罰なんですかねぇ。 372 00:33:25,270 --> 00:33:34,946 板木や品 有り金 調度まで 半分 持ってかれちまうのかなぁ。 373 00:33:34,946 --> 00:33:40,285 間違えて 借金も 半分 持ってってくんねえですかねぇ。 374 00:33:40,285 --> 00:33:43,788 ヘヘヘ。 375 00:33:43,788 --> 00:33:46,124 …え? 376 00:33:46,124 --> 00:33:48,960 ほんと➡ 377 00:33:48,960 --> 00:33:53,265 ほんと そういうところですよ! 378 00:33:55,133 --> 00:33:58,970 すいません。 379 00:33:58,970 --> 00:34:01,873 そして 間もなく➡ 380 00:34:01,873 --> 00:34:06,177 「身上半減」が実行されることとなり…。 381 00:34:19,257 --> 00:34:21,927 おい。 (一同)へい! 382 00:34:21,927 --> 00:34:24,930 あっちも 運んで! はっ! 383 00:34:35,273 --> 00:34:38,476 はあ…。 384 00:34:40,412 --> 00:34:43,315 申し訳ございません。 385 00:34:43,315 --> 00:34:46,117 無念で…。 386 00:34:48,954 --> 00:34:53,625 思ったより こたえんな これ…。 387 00:34:53,625 --> 00:34:56,328 へえ…。 388 00:34:57,963 --> 00:35:02,367 わっ。 あらぁ うわうわうわ…。 389 00:35:02,367 --> 00:35:04,436 半分って…。 390 00:35:04,436 --> 00:35:08,073 品の方は どんな具合なんですか? 391 00:35:08,073 --> 00:35:11,943 売れ筋の品や板ばっかり 持っていきやがって…。 392 00:35:11,943 --> 00:35:17,382 とりあえず 店 閉めて 畳 入れるって具合かね? 393 00:35:17,382 --> 00:35:19,384 (みの吉)そうですね。 394 00:35:21,086 --> 00:35:23,922 (大田南畝)いやぁ ハハハハハハハ!➡ 395 00:35:23,922 --> 00:35:26,591 ほんとに半分だねぇ! 396 00:35:26,591 --> 00:35:28,526 おう みの吉! アハハハ! 397 00:35:28,526 --> 00:35:31,930 暖簾まで きっちり半分ですよ。 ハハハハ! 398 00:35:31,930 --> 00:35:36,267 実に ふんどしの几帳面さが うかがえる。 399 00:35:36,267 --> 00:35:40,939 おっ! 南畝先生 飯盛さんも お久しぶりで。 400 00:35:40,939 --> 00:35:43,608 今日は? 蔦重! 401 00:35:43,608 --> 00:35:49,481 見に来たのだ! 世にも珍しい 身上半減とは いかなるものか➡ 402 00:35:49,481 --> 00:35:51,950 見ておかねばと思うてな。 403 00:35:51,950 --> 00:35:56,788 (笑い声) どうするんだろうなぁ。いや 面白え! 404 00:35:56,788 --> 00:36:02,060 (笑い声) 405 00:36:02,060 --> 00:36:05,930 (笑い声) 初めて見るぞ! 406 00:36:05,930 --> 00:36:07,932 みの吉! 407 00:36:07,932 --> 00:36:11,369 何か でけえ板 あと 筆と墨! はい。 408 00:36:11,369 --> 00:36:13,304 何をなさるんです? 409 00:36:13,304 --> 00:36:16,207 おていさん このまま 店 開けましょう。 410 00:36:16,207 --> 00:36:19,744 このまま? 畳も 半分しかございませんが…。 411 00:36:19,744 --> 00:36:22,247 半分でも 十分じゃねえですか。 412 00:36:22,247 --> 00:36:25,250 どうせ 品も半分しかねえんだし。 413 00:36:25,250 --> 00:36:44,402 ♬~ 414 00:36:44,402 --> 00:36:49,274 「身上半減ノ店」。 そう。 415 00:36:49,274 --> 00:36:55,947 身上半減 身上半減の店は 日の本で蔦屋だけ! 416 00:36:55,947 --> 00:36:59,617 そう きたか! 417 00:36:59,617 --> 00:37:03,888 ええ! おう! 418 00:37:03,888 --> 00:37:10,228 「身上半減の蔦屋 江戸の名所となるよし。➡ 419 00:37:10,228 --> 00:37:13,731 京伝本➡ 420 00:37:13,731 --> 00:37:16,234 市中で更に売れているよし」。 421 00:37:16,234 --> 00:37:18,169 (みの吉)身上半減! 422 00:37:18,169 --> 00:37:20,572 身上半減になった蔦屋にございますよ! 423 00:37:20,572 --> 00:37:27,345 身上半減でも生き残った 黄表紙 細見 富本本もございます! 424 00:37:27,345 --> 00:37:30,248 こりゃあ 縁起がいいってもんだい! 425 00:37:30,248 --> 00:37:33,084 皆様 どうですか? お一つ! 426 00:37:33,084 --> 00:37:35,753 いいねぇ! ありがとうございます! 427 00:37:35,753 --> 00:37:40,391 (水野為長)世にも稀な処分を受けた店を 一目見ておこうと人が集まり➡ 428 00:37:40,391 --> 00:37:44,095 そこで 残っておる品などを 売っておるようです。➡ 429 00:37:44,095 --> 00:37:49,901 京伝の名も 「手鎖にあった」ことで より広く知れ渡ったようで。➡ 430 00:37:49,901 --> 00:37:54,205 もう少し 重い刑でも よろしかったのでは…。 431 00:37:55,807 --> 00:38:01,880 「過ぎたるは なお及ばざるが如し」。 432 00:38:01,880 --> 00:38:06,751 あまりに厳しい処分は 正学たる朱子学との矛盾を生み➡ 433 00:38:06,751 --> 00:38:10,555 御公儀の威信を 損なうこととなりましょう。 434 00:38:10,555 --> 00:38:18,429 然様な刑罰を与えられる者こそ 賢者に ふさわしくございますかと。 435 00:38:18,429 --> 00:38:23,134 身上半減は 決して軽くはない。 436 00:38:23,134 --> 00:38:27,105 その身に じわじわと効いてくるはずだ。 437 00:38:27,105 --> 00:38:29,107 ⚟殿。 438 00:38:32,944 --> 00:38:37,749 直ちに お耳に入れたき儀があると 長谷川殿が参っております。 439 00:38:42,921 --> 00:38:46,591 (定信)何だ? これは。 (平蔵)強盗が押し込み先に残していった➡ 440 00:38:46,591 --> 00:38:49,394 提灯にございます。 441 00:38:53,264 --> 00:38:55,200 (定信)これは…! 442 00:38:55,200 --> 00:39:01,973 ここのところ 葵小僧と名乗る者の一党が 市中を荒らし回っておりまして。 443 00:39:01,973 --> 00:39:04,209 (定信)葵小僧? 444 00:39:04,209 --> 00:39:09,881 (平蔵)先の上様のご落胤と名乗る 賊にございます。 445 00:39:09,881 --> 00:39:12,717 (戸をたたく音) 446 00:39:12,717 --> 00:39:15,620 ⚟はい? 殿のお成りである。 開けよ。 447 00:39:15,620 --> 00:39:18,356 ⚟少々 お待ちを。 448 00:39:18,356 --> 00:39:22,227 (平蔵) 上様と見紛うばかりの行列を仕立て➡ 449 00:39:22,227 --> 00:39:25,563 休ませてほしいと家の戸を開けさせ➡ 450 00:39:25,563 --> 00:39:31,736 強奪は もちろん 必ず その家の妻や娘を辱めていくそうです。 451 00:39:31,736 --> 00:39:36,040 あまりに由々しき一件ゆえ あえて 言上に参じました! 452 00:39:38,376 --> 00:39:43,581 直ちに賊どもを捕らえ➡ 453 00:39:43,581 --> 00:39:45,516 極刑に処せ! 454 00:39:45,516 --> 00:39:47,752 はっ! 455 00:39:47,752 --> 00:39:49,954 (平蔵)葵小僧! 456 00:39:55,260 --> 00:40:01,399 火付盗賊改方 長谷川平蔵である! 457 00:40:01,399 --> 00:40:04,402 神妙に縛につけ! 458 00:40:07,205 --> 00:40:09,140 やれ! 459 00:40:09,140 --> 00:40:11,142 かかれ~! 460 00:40:11,142 --> 00:40:18,283 ♬~ 461 00:40:18,283 --> 00:40:20,618 はっ! 462 00:40:20,618 --> 00:40:24,422 長谷川様の手により 一味は お縄➡ 463 00:40:24,422 --> 00:40:29,260 葵小僧なる頭目は 獄門となりましたが…。 464 00:40:29,260 --> 00:40:33,631 (本多忠籌)葵小僧率いる一味は ことごとく正業を失い➡ 465 00:40:33,631 --> 00:40:39,437 その果てに悪の道に墜ちた者どもであった 由にございます。➡ 466 00:40:39,437 --> 00:40:43,308 不景気により 雇い止めにあった者➡ 467 00:40:43,308 --> 00:40:47,312 悪所の取り壊しで 職からあぶれた者たちが➡ 468 00:40:47,312 --> 00:40:49,981 かような凶行に走ったのです。 469 00:40:49,981 --> 00:40:56,454 倹約令や風紀の取締りは 切り上げられるべきかと存じます。 470 00:40:56,454 --> 00:40:59,657 かような凶行に走るのは 暗愚な者だけである。 471 00:40:59,657 --> 00:41:03,261 それを政のせいであるとするのは➡ 472 00:41:03,261 --> 00:41:05,763 あまりにも短慮! 473 00:41:09,400 --> 00:41:17,275 長谷川殿。 確か 寄場は 既に いっぱいにござったな? 474 00:41:17,275 --> 00:41:19,410 努めてはおりますが…。 475 00:41:19,410 --> 00:41:23,114 (定信) では 帰農令をうまく使えばよかろう! 476 00:41:23,114 --> 00:41:25,049 不景気で人があぶれる。 477 00:41:25,049 --> 00:41:28,619 その中には 田畑を捨ててきた流れ者が大勢おる。 478 00:41:28,619 --> 00:41:34,292 その者らを百姓に戻す さすれば 荒廃した田畑は よみがえり➡ 479 00:41:34,292 --> 00:41:37,295 あるべき世の形となる。 480 00:41:37,295 --> 00:41:40,098 そこをねらった 鳴り物入りの仕組みではないか! 481 00:41:40,098 --> 00:41:44,102 その仕組み 使いたいと申し出たのは たったの4人にございます。 482 00:41:46,304 --> 00:41:48,639 …正しく伝わっておるのか? 483 00:41:48,639 --> 00:41:50,575 戻ると申し出た者には➡ 484 00:41:50,575 --> 00:41:55,513 戻るための路銀 農具代 食糧までも 出してやると言うておるのだぞ! 485 00:41:55,513 --> 00:42:00,251 それでも 田畑を耕し年貢を納め 土間の上で寝➡ 486 00:42:00,251 --> 00:42:04,589 娘を売らざるをえぬような暮らしには 戻りたくない➡ 487 00:42:04,589 --> 00:42:09,927 悪事を働こうと江戸にいたい。➡ 488 00:42:09,927 --> 00:42:17,602 越中守様 人は「正しく生きたい」とは 思わぬのでございます。 489 00:42:17,602 --> 00:42:21,773 「楽しく生きたい」のでございます! 490 00:42:21,773 --> 00:42:29,981 (松平信明)このままでは 田沼以下の政との誹りを受けかねませぬ。 491 00:42:35,286 --> 00:42:37,221 うちから錦絵を出してほしい。 492 00:42:37,221 --> 00:42:39,157 蔦重は おきよのことなんて何も知らねえだろ! 493 00:42:39,157 --> 00:42:41,159 じゃあ もう描かないってことかい? 494 00:42:41,159 --> 00:42:43,161 ♬ え え え 495 00:42:43,161 --> 00:42:45,296 率先垂範! 496 00:42:45,296 --> 00:42:48,299 モテてえ欲 描きてえ欲。 497 00:42:48,299 --> 00:42:50,435 俺はね。 なんと! 498 00:42:50,435 --> 00:42:52,804 よっ! ♬ え え 499 00:42:52,804 --> 00:42:55,306 たりらりら~ん。 な!