1 00:00:02,135 --> 00:00:11,211 ♬~ 2 00:00:11,211 --> 00:00:17,017 (喜多川歌麿) 花魁 右手をもう少し下げて➡ 3 00:00:17,017 --> 00:00:20,721 間夫を思って 歌を詠んでるようにしてくれるかい? 4 00:00:20,721 --> 00:00:23,190 あい。 5 00:00:29,730 --> 00:00:32,065 とびきり 綺麗に描いてもらわないと。 6 00:00:32,065 --> 00:00:34,001 ほんざんすね。 7 00:00:34,001 --> 00:00:37,571 歌麿さん 綺麗に描いてくださるって噂だから。 8 00:00:37,571 --> 00:00:41,742 (蔦屋重三郎) 花魁 どことなく地味になりましたね。 9 00:00:41,742 --> 00:00:45,245 (扇屋宇右衛門)ああ… もう 昔みてえに➡ 10 00:00:45,245 --> 00:00:51,118 どんどん 着物作ってくれる お大尽なんてなぁ いやしねえのよ。 11 00:00:51,118 --> 00:00:54,922 呼出でさえですか? (松葉屋半左衛門)そうさ。 12 00:00:54,922 --> 00:00:59,393 今は 身請けの上限も 5百両って決められてるし➡ 13 00:00:59,393 --> 00:01:01,328 しけたもんさ。 14 00:01:01,328 --> 00:01:05,198 (大文字屋市兵衛) 競って金使って 見栄を張り合う客も➡ 15 00:01:05,198 --> 00:01:07,868 いなくなっちまったしねぇ。 16 00:01:07,868 --> 00:01:10,771 (りつ)何もかも 倹約倹約➡ 17 00:01:10,771 --> 00:01:13,740 遊びもなく事を済ますのが一番。 18 00:01:13,740 --> 00:01:18,045 ほんとに ただの岡場所になっちまったってことさ。 19 00:01:18,045 --> 00:01:25,352 こりゃ もっぺん「呼出は別格!」って 触れ回らねえといけねえですね。 20 00:01:25,352 --> 00:01:28,221 そう! そうなんだよ。 21 00:01:28,221 --> 00:01:33,727 てっぺんを持ち直さねえことには 下を引き上げることもできねえ。 22 00:01:33,727 --> 00:01:36,530 沈んでいくばっかりでよ。 23 00:01:40,233 --> 00:01:43,937 ああ 花魁 ありがとな。 あい また。 24 00:01:45,572 --> 00:01:48,475 歌。 ああ。どうだった? 25 00:01:48,475 --> 00:01:51,244 花魁たちが 暇だって言ってたよ。 26 00:01:51,244 --> 00:01:53,580 今 流行るのは 河岸ばかりだって。 27 00:01:53,580 --> 00:01:58,251 河岸見世 切見世 鉄砲見世。 28 00:01:58,251 --> 00:02:03,023 俺がやってきたことは 一体 何だったんだろうなぁ…。 29 00:02:03,023 --> 00:02:05,058 蔦重兄さん。 30 00:02:05,058 --> 00:02:08,762 ああ。 ちと行ってくる。 うん。 31 00:02:10,530 --> 00:02:12,566 ありがとうござりんした。 おう。 32 00:02:12,566 --> 00:02:15,402 また描いておくんなんし。 もちろん。 33 00:02:15,402 --> 00:02:17,904 ありがとな。 34 00:02:23,110 --> 00:02:27,347 うちの人も 昔は あんなふうでさ➡ 35 00:02:27,347 --> 00:02:30,350 いい男だったのに…。 36 00:02:33,887 --> 00:02:36,923 じゃあ ありがとな。 あい。 37 00:02:36,923 --> 00:02:40,227 ん? どうした? 38 00:02:40,227 --> 00:02:42,162 あ いや…➡ 39 00:02:42,162 --> 00:02:44,865 いい面してんなって。 40 00:02:50,237 --> 00:02:54,908 ああ… 味があるっちゃあるな。 41 00:02:54,908 --> 00:02:57,244 うん。 42 00:02:57,244 --> 00:03:00,047 行くぞ。 ああ。 43 00:03:01,681 --> 00:03:04,518 ⚟おきたちゃん ちょっと ちょっと! 44 00:03:04,518 --> 00:03:07,521 (きた)ごゆっくり どうぞ。 45 00:03:09,856 --> 00:03:15,662 じゃあ 次は 10日後辺りで。 ああ…。 46 00:03:15,662 --> 00:03:18,565 (難波屋)蔦重さん 歌麿先生。 47 00:03:18,565 --> 00:03:20,567 難波屋さん。 48 00:03:20,567 --> 00:03:24,871 相変わらずのご繁盛 ほっとしました。 49 00:03:24,871 --> 00:03:29,743 (難波屋)お茶は 4文に戻しましたからね。 人は まだ来てくれるけど…。 50 00:03:29,743 --> 00:03:32,212 難波屋。 (難波屋)はい。 51 00:03:32,212 --> 00:03:35,215 ごゆっくり。 へえ。 52 00:03:40,554 --> 00:03:46,426 茶柱 立ってないし 来ないかな。 53 00:03:46,426 --> 00:03:49,563 来ないかしら…。 54 00:03:49,563 --> 00:03:55,902 (足音) 55 00:03:55,902 --> 00:03:59,606 ありがとうございました。 56 00:04:06,179 --> 00:04:09,182 あれが目当てか。 57 00:04:09,182 --> 00:04:11,985 みてえだな。 58 00:04:11,985 --> 00:04:15,322 あ… 何の話 してたっけ? 59 00:04:15,322 --> 00:04:18,024 次は 10日後って。 60 00:04:18,024 --> 00:04:20,327 あ… ああ。 61 00:04:24,197 --> 00:04:29,336 (てい)歌さんが 新しいおきよさんを 探しておられるのですか? 62 00:04:29,336 --> 00:04:33,874 ああ… あちこち 女に よそ見ばかりしててよ。 63 00:04:33,874 --> 00:04:36,676 ありゃ いい女いねえか 探してんだよ。 64 00:04:40,213 --> 00:04:42,549 どうだい? 具合は。 65 00:04:42,549 --> 00:04:46,720 (てい)ああ… 頭痛もなくなりましたし➡ 66 00:04:46,720 --> 00:04:50,891 子は すくすく育っておると。 67 00:04:50,891 --> 00:04:56,363 腹の出方やらで 男か女か 分かったりしねえんですか? 68 00:04:56,363 --> 00:04:59,900 お産婆さんには 男ではないかと言われましたが。 69 00:04:59,900 --> 00:05:02,169 おう そうか! 70 00:05:02,169 --> 00:05:06,673 名前 何にすっかなぁ。 71 00:05:06,673 --> 00:05:11,011 「つよ吉」などは いかがにございます? 72 00:05:11,011 --> 00:05:14,047 何か 強蔵めいてんぞ。 73 00:05:14,047 --> 00:05:19,519 では いっそ 旦那様の幼名にしてはいかがです? 74 00:05:19,519 --> 00:05:23,723 義母上様も喜ばれましょうし。 75 00:05:26,693 --> 00:05:29,729 柯理か…。 76 00:05:29,729 --> 00:05:35,202 昔 店にいたガキに てめえの名を付けたんだけどよ➡ 77 00:05:35,202 --> 00:05:41,074 てめえの名を てめえで呼ぶってなぁ まぁ 落ち着かねえもんでさ。 78 00:05:41,074 --> 00:05:43,777 然様なことがおありで。 79 00:05:45,545 --> 00:05:50,250 もう 20年も前か…。 80 00:05:59,726 --> 00:06:04,297 (歌麿)この揃いものが描き終わったら…➡ 81 00:06:04,297 --> 00:06:08,501 もう 蔦重とは終わりにします。 82 00:06:08,501 --> 00:06:18,812 ♬~ 83 00:06:21,514 --> 00:07:22,008 ♬~ 84 00:07:22,008 --> 00:08:48,294 ♬~ 85 00:08:52,065 --> 00:08:54,534 (松平定信)先頃の見分をもととし➡ 86 00:08:54,534 --> 00:08:58,338 江戸周辺の海辺の守りを 考えましてございます。➡ 87 00:08:58,338 --> 00:09:00,273 かいつまんで申し上げますと…。 88 00:09:00,273 --> 00:09:03,143 (徳川家斉)父上が➡ 89 00:09:03,143 --> 00:09:06,045 そろそろ そなたに頼るのはやめ➡ 90 00:09:06,045 --> 00:09:10,483 己で政を指図すべきだというのだ。 91 00:09:10,483 --> 00:09:12,419 (定信)は…? 92 00:09:12,419 --> 00:09:17,357 しかし 余は難しきことは分からぬし➡ 93 00:09:17,357 --> 00:09:21,828 正直なところ 政に興も湧かぬ。 94 00:09:21,828 --> 00:09:25,665 そなたが 「将軍補佐」を外れても ず~っと「将軍補佐」のごとく➡ 95 00:09:25,665 --> 00:09:28,368 指図を出す仕組みはないものかの? 96 00:09:33,540 --> 00:09:36,843 (徳川宗睦)「将軍補佐」を辞し 「大老」になるというのか? 97 00:09:36,843 --> 00:09:42,715 はい。 大老ならば 将軍補佐のごとく 睨みを利かせられますし。 98 00:09:42,715 --> 00:09:48,188 大老は 井伊 酒井 土井 堀田の 四家からしか出さぬという➡ 99 00:09:48,188 --> 00:09:50,123 しきたりがあるぞ。 100 00:09:50,123 --> 00:09:55,862 かつて 柳沢吉保が 大老「格」に 任じられました例もございます。 101 00:09:55,862 --> 00:09:59,732 然様な向きで なんとか 後押しいただけぬでしょうか? 102 00:09:59,732 --> 00:10:05,038 上様も 暗に それをお望みのご様子ですし。 103 00:10:05,038 --> 00:10:07,340 しかし 妙ではないか。 104 00:10:07,340 --> 00:10:10,710 上様は そなたを煙たがっておった。 105 00:10:10,710 --> 00:10:14,547 それを ここのところ 急に。 106 00:10:14,547 --> 00:10:17,584 そこは オロシャにございますかと。 107 00:10:17,584 --> 00:10:20,887 オロシャが攻めてくるかもしれぬ➡ 108 00:10:20,887 --> 00:10:22,922 その脅威を前にし➡ 109 00:10:22,922 --> 00:10:27,427 私が入り用だと お考えくださったのかと。 110 00:10:29,896 --> 00:10:34,601 (手を打つ音) 111 00:10:39,239 --> 00:10:43,576 (定信)東照大権現様➡ 112 00:10:43,576 --> 00:10:50,350 どうか この美しき国を 夷狄より お守りくださいませ。 113 00:10:50,350 --> 00:10:56,155 否 私に守らせてくださいませ。 114 00:10:56,155 --> 00:11:01,160 叶えていただけぬのならば…。 115 00:11:07,200 --> 00:11:10,537 代わりに➡ 116 00:11:10,537 --> 00:11:14,340 死を賜りたく。 117 00:11:18,878 --> 00:11:23,550 (定信)ラクスマンは 諦めて民を引き渡し 引き揚げる様子はないのか? 118 00:11:23,550 --> 00:11:26,586 むしろ 苛立ってきております。 119 00:11:26,586 --> 00:11:28,721 ネモロにて八月。 120 00:11:28,721 --> 00:11:31,624 いつになれば 上様にお目通りできるのか。 121 00:11:31,624 --> 00:11:35,595 国を開き 通商を行わぬつもりなら➡ 122 00:11:35,595 --> 00:11:41,234 こちらにも考えがある というようなことも言いだしまして…。 123 00:11:41,234 --> 00:11:43,169 (本多忠籌)ここは ひとつ➡ 124 00:11:43,169 --> 00:11:45,572 向こうの求めを のむという手は ございませぬか? 125 00:11:45,572 --> 00:11:47,507 ならぬ! 126 00:11:47,507 --> 00:11:52,345 あくまでも 江戸には入らせず 一切の騒ぎは起こさず➡ 127 00:11:52,345 --> 00:11:55,582 速やかに打ち払ってしまいたいのだ。 128 00:11:55,582 --> 00:12:01,387 しかし… 然様な手がございますかな? 129 00:12:01,387 --> 00:12:04,390 ラクスマンというのは 商人か? 130 00:12:04,390 --> 00:12:07,860 いえ。 王の使節にございます。 131 00:12:07,860 --> 00:12:17,170 ラクスマンにとり 最も大事なのは 王に手柄を見せられること…。 132 00:12:20,440 --> 00:12:22,942 信牌などは使えぬか? 133 00:12:27,213 --> 00:12:30,116 (松平信明) それは よい手にございますかと。 134 00:12:30,116 --> 00:12:33,987 かくして 越中守様は➡ 135 00:12:33,987 --> 00:12:40,293 練りに練った幕府公式の返書をしたため 目付に託したのです。 136 00:12:50,903 --> 00:12:53,940 いい出来になりそうだねぇ。 137 00:12:53,940 --> 00:12:56,776 へえ。 この着物➡ 138 00:12:56,776 --> 00:13:00,513 もう少し こう キリリと鮮やかにできねえかい? 139 00:13:00,513 --> 00:13:06,019 いや その柔らけえ色みが 歌の持ち味でもありますんで。 140 00:13:06,019 --> 00:13:10,323 (りつ)ねえ こういう女郎絵以外で 何か ないかい?➡ 141 00:13:10,323 --> 00:13:12,258 いい客 呼べそうな。 142 00:13:12,258 --> 00:13:18,197 (松葉屋)そうだな。 何せ 50枚も描いてもらうんだからな。 143 00:13:18,197 --> 00:13:23,336 「錦之裏」を絵でやるってなぁ ありますか? 144 00:13:23,336 --> 00:13:26,039 なあ 歌。 …ん? 145 00:13:26,039 --> 00:13:30,209 ああ… 政演さんの書いた洒落本の? ああ。 146 00:13:30,209 --> 00:13:35,081 吉原のありのままを書いた あの趣向でやるってなぁ どうだ? 147 00:13:35,081 --> 00:13:38,885 ふだんの花魁たちを描くってことかい? ああ! 148 00:13:38,885 --> 00:13:43,556 けど ありゃ 手鎖になっちまった本じゃねえのかい? 149 00:13:43,556 --> 00:13:46,592 (駿河屋市右衛門)そこは 大事ねえのか? 150 00:13:46,592 --> 00:13:51,064 まぁ 時を見てですが。 151 00:13:51,064 --> 00:13:54,567 皆さん 「青楼名君」の時➡ 152 00:13:54,567 --> 00:13:59,906 歌に 吉原の風景 描かせなかったでしょ? 153 00:13:59,906 --> 00:14:01,841 ん? 154 00:14:01,841 --> 00:14:04,177 あっ そういや そうだったな。 155 00:14:04,177 --> 00:14:08,181 そうか! あれを 今の歌に やってもらうってなぁ いいじゃねえか。 156 00:14:08,181 --> 00:14:11,317 へえ。 よく覚えてんな そんなこと。 157 00:14:11,317 --> 00:14:17,857 忘れるはずねえだろ あんな申し訳ねえこと…。 158 00:14:17,857 --> 00:14:22,528 (りつ)あのあと 確か 歌を売り込むんだ! って。 159 00:14:22,528 --> 00:14:25,865 うた麿大明神の会! やりましたねぇ。 160 00:14:25,865 --> 00:14:28,701 次郎兵衛さんが 屁こいてさ。 ああ。 161 00:14:28,701 --> 00:14:31,604 で 春町先生が…。 162 00:14:31,604 --> 00:14:34,340 で 春町先生そっくりに描けって言われて。 163 00:14:34,340 --> 00:14:37,877 で お前が 春町先生んとこ行って 春町先生が…。 164 00:14:37,877 --> 00:14:42,348 (2人)屁! (笑い声) 165 00:14:42,348 --> 00:14:46,219 楽しかったなぁ あのころ。 166 00:14:46,219 --> 00:14:48,154 (歌麿)小さい店で ぎゅうぎゅう詰めだったけどな。 167 00:14:48,154 --> 00:14:51,557 ああ。 愉快な客も たくさんいてねぇ。 168 00:14:51,557 --> 00:14:54,060 みんな よく笑って…。 169 00:14:54,060 --> 00:14:55,995 大事ねえです。 170 00:14:55,995 --> 00:15:00,299 歌麿の絵が 吉原を立て直しますんで! 171 00:15:03,169 --> 00:15:06,005 何だ? 何か あんのか? 172 00:15:06,005 --> 00:15:08,508 いや 何もねえけど➡ 173 00:15:08,508 --> 00:15:11,811 そんなこと 俺にできんのかなって…。 174 00:15:13,679 --> 00:15:16,182 お前なら できる! 175 00:15:16,182 --> 00:15:19,185 (扇屋)歌麿先生にできなくて 誰ができんだよ。 176 00:15:19,185 --> 00:15:24,323 (りつ)頼んだよ。 もう 先生だけが頼りさ! 177 00:15:24,323 --> 00:15:27,527 お任せくだせえ! 178 00:15:27,527 --> 00:15:30,329 駿河屋兄弟が 吉原を➡ 179 00:15:30,329 --> 00:15:32,865 もっぺん あのころに 立て直しますんで! 180 00:15:32,865 --> 00:15:36,569 おう 頼むぞ! へえ! 181 00:15:38,204 --> 00:15:41,908 ⚟(ふじ)入るよ。 (戸が開く音) 182 00:15:46,913 --> 00:15:49,215 (ふじ)重三郎 これをね。 183 00:15:49,215 --> 00:15:52,552 何ですか? 184 00:15:52,552 --> 00:15:55,455 おおっ!(駿河屋)次郎兵衛んとこの 取っといたのか。 185 00:15:55,455 --> 00:15:59,058 うん。 そうそう これも。 186 00:15:59,058 --> 00:16:00,993 へえ! 187 00:16:00,993 --> 00:16:04,831 皆さん この際 家ん中 片づけようとしてませんか? 188 00:16:04,831 --> 00:16:06,766 そんなわけないだろう。 189 00:16:06,766 --> 00:16:11,304 あって困るもんなんか ないんだから。 まぁ…。 190 00:16:11,304 --> 00:16:13,372 へえ~。 191 00:16:13,372 --> 00:16:16,142 おっ! これ➡ 192 00:16:16,142 --> 00:16:19,846 おのぶが よく使ってたやつじゃねえですか。 193 00:16:19,846 --> 00:16:23,716 これ おこうが よく着てた。 194 00:16:23,716 --> 00:16:25,718 着てましたねぇ! 195 00:16:25,718 --> 00:16:28,521 (駿河屋)忠吉の着物だ。 これは必ず持ってけよ! 196 00:16:28,521 --> 00:16:30,857 あのころとは もう…。 197 00:16:30,857 --> 00:16:33,326 さすがに持ってき過ぎじゃねえですか? 198 00:16:33,326 --> 00:16:36,696 (駿河屋) ほう 偉くなったもんだなぁ おい! 199 00:16:36,696 --> 00:16:39,732 もちろん 着させます。 200 00:16:39,732 --> 00:16:41,734 (笑い声) 201 00:16:45,404 --> 00:16:48,407 (みの吉)ありがとうございます。 202 00:16:48,407 --> 00:16:51,210 お帰りなさいませ! おう。お帰りなさいませ! 203 00:16:51,210 --> 00:16:53,546 いらっしゃいませ! お帰りなさいませ! 204 00:16:53,546 --> 00:16:56,349 おう。 205 00:16:56,349 --> 00:17:01,187 歌さん。 まぁ わざわざ…。 206 00:17:01,187 --> 00:17:04,156 運ぶの 手伝ってくれたんだよ。 207 00:17:04,156 --> 00:17:08,160 それは ありがとう存じます。 208 00:17:11,163 --> 00:17:16,969 蔦重。 もう あのころじゃなくて よかったこともあるよ。 209 00:17:16,969 --> 00:17:19,839 あのころには こんな幸せなかったろう。 210 00:17:19,839 --> 00:17:24,010 女房がいて 子もいて。 211 00:17:24,010 --> 00:17:26,045 そうだな。 212 00:17:26,045 --> 00:17:28,514 (歌麿)そうだよ。➡ 213 00:17:28,514 --> 00:17:31,017 じゃあな。 おう。 214 00:17:31,017 --> 00:17:34,854 おていさん 体 大事にしてな。 215 00:17:34,854 --> 00:17:37,657 気を付けてな! うん。 216 00:17:40,326 --> 00:17:42,261 あの…。 うん? 217 00:17:42,261 --> 00:17:45,197 何か 変じゃありませんでした? 歌さん。 218 00:17:45,197 --> 00:17:48,034 ああ… そうか? 219 00:17:48,034 --> 00:17:52,872 わざわざ 運んでくださるなど…。 帰り道でもございませんのに。 220 00:17:52,872 --> 00:17:59,211 ああ… その子は 歌の甥っ子でもあるから。 221 00:17:59,211 --> 00:18:06,485 あいつ 身寄りも頼りもねえから 喜んでくれてんじゃねえか? 222 00:18:06,485 --> 00:18:08,688 よいしょ! 223 00:18:12,825 --> 00:18:17,830 (せみの声) 224 00:18:43,189 --> 00:19:08,347 (せみの声) 225 00:19:08,347 --> 00:19:11,817 では オロシャは去りおったか。 226 00:19:11,817 --> 00:19:16,489 はい。 我が国は オランダと清のほかは国を開いておらぬ。 227 00:19:16,489 --> 00:19:20,159 故に オロシャの望みを叶えることはできぬ。 228 00:19:20,159 --> 00:19:23,162 しかし 長崎というところがあり➡ 229 00:19:23,162 --> 00:19:28,668 そこは 唯一 異国の船が出入りし 通商が行われる港である。➡ 230 00:19:28,668 --> 00:19:33,005 …と もったいをつけ 信牌を渡したところ➡ 231 00:19:33,005 --> 00:19:38,878 王に それを見せるため オロシャに舞い戻ったそうにございます。 232 00:19:38,878 --> 00:19:42,314 そうか。 233 00:19:42,314 --> 00:19:45,117 実に見事な さばきであるな。 234 00:19:47,186 --> 00:19:52,892 お褒めにあずかり 恐悦至極に存じます。 235 00:20:12,311 --> 00:20:15,715 これは 例の➡ 236 00:20:15,715 --> 00:20:18,050 あれであるな? 237 00:20:18,050 --> 00:20:20,352 はい。 238 00:20:27,359 --> 00:20:30,062 (手を打つ音) 239 00:20:30,062 --> 00:20:43,375 ♬~ 240 00:20:43,375 --> 00:20:46,579 世は全て事もなく。 241 00:20:46,579 --> 00:20:49,915 「草木心無しといえども 一夜のうちに大木となり」。 242 00:20:49,915 --> 00:20:52,251 穏やかな日々。 243 00:20:52,251 --> 00:20:54,186 旦那様。 ん? 244 00:20:54,186 --> 00:20:57,123 まだ産まれていませんが。 まぁ まぁ。 245 00:20:57,123 --> 00:21:02,061 そんな中 それは突然やってきたのでございます。 246 00:21:02,061 --> 00:21:05,798 「金々先生」の板を お譲りいただけるんで? 247 00:21:05,798 --> 00:21:12,204 (長兵衛)ああ この際 名作黄表紙の一角に 加えてもらっちゃどうかって 親父がな。 248 00:21:12,204 --> 00:21:15,541 ああ…。 (滝沢瑣吉)う~ん 実に よいな! 249 00:21:15,541 --> 00:21:20,412 黄表紙の元祖たる鱗形屋のものが入れば ぐっと値打ちが増す! 250 00:21:20,412 --> 00:21:23,048 そなたは 実によいことをする! 251 00:21:23,048 --> 00:21:27,553 ハハハハハハハハハ! どうか お気になさらねえで。 252 00:21:27,553 --> 00:21:32,057 けど ほんとに よろしいんですか? 253 00:21:32,057 --> 00:21:35,728 まぁ うちは もう10年 摺ってねえし。 254 00:21:35,728 --> 00:21:37,763 万次郎のこともあるしな。 255 00:21:37,763 --> 00:21:41,600 む。 万次郎とは!? 256 00:21:41,600 --> 00:21:45,905 長兵衛さんの弟さんで 西村屋に養子に行ったんだ。 257 00:21:45,905 --> 00:21:47,840 (瑣吉)ふ~ん。 258 00:21:47,840 --> 00:21:51,243 あの 万次郎さんのことってなぁ…? 259 00:21:51,243 --> 00:21:55,247 お前 歌麿 抱え込むの やめたんだろ? 260 00:21:55,247 --> 00:21:57,383 へ? 261 00:21:57,383 --> 00:22:03,522 これで やっと 歌麿と仕事ができるって こないだ飲んだ時に 嬉しそうによ。 262 00:22:03,522 --> 00:22:08,194 いや そんな話 聞いてねえんですけど。 263 00:22:08,194 --> 00:22:13,332 (長兵衛)え? そうなのかい? ええ。 264 00:22:13,332 --> 00:22:21,140 (長兵衛)ああ… こないだ あいつ そのあと 断られちまったって話かね。 265 00:22:41,427 --> 00:22:44,730 これで 終わるか…。 266 00:22:47,199 --> 00:22:50,703 ⚟歌! 邪魔するぞ! 267 00:23:02,681 --> 00:23:07,019 いきなり すまねえな。 ちょっと いいか? 268 00:23:07,019 --> 00:23:11,023 いいよ。 何か あったのか? 269 00:23:12,891 --> 00:23:16,595 西村屋と仕事するって ほんとか? 270 00:23:19,531 --> 00:23:22,334 んなわけねえよな? 271 00:23:26,205 --> 00:23:28,908 お前 これ…。 272 00:23:32,711 --> 00:23:36,916 いや これは…。 273 00:23:52,064 --> 00:23:55,935 これは 蔦重にだよ。 274 00:23:55,935 --> 00:24:01,674 ああ… そうか。 275 00:24:01,674 --> 00:24:04,176 そうだよな。 276 00:24:07,012 --> 00:24:11,517 はあ…。 277 00:24:11,517 --> 00:24:14,219 どれ。 278 00:24:21,193 --> 00:24:23,529 うん? 279 00:24:23,529 --> 00:24:27,199 これ あん時の遣手か? 280 00:24:27,199 --> 00:24:29,201 うん。 281 00:24:32,705 --> 00:24:35,741 その娘も 水茶屋で見かけたろ? 282 00:24:35,741 --> 00:24:39,345 ああ…。 283 00:24:39,345 --> 00:24:42,848 一体 何 描いてんだ? これ。 284 00:24:45,718 --> 00:24:51,223 「恋心」だよ。 285 00:24:51,223 --> 00:24:54,560 うん…。 286 00:24:54,560 --> 00:24:59,064 いや すげえ いい絵だけど➡ 287 00:24:59,064 --> 00:25:02,668 こりゃ 売り方が難しいな。 288 00:25:02,668 --> 00:25:05,170 別に売らなくてもいいよ。 289 00:25:05,170 --> 00:25:09,508 売ってほしいと思って 描いたもんじゃねえし。 290 00:25:09,508 --> 00:25:13,679 じゃあ 何で描いたんだ? 291 00:25:13,679 --> 00:25:18,183 俺が 恋をしてたからさ。 292 00:25:25,691 --> 00:25:29,027 お前 おきよさんみたいな人 見つけたのか! 293 00:25:29,027 --> 00:25:32,698 いや ここんとこのお前 見て➡ 294 00:25:32,698 --> 00:25:35,734 いい人 探してんじゃねえかって 思ってたんだよ! 295 00:25:35,734 --> 00:25:37,870 誰だよ? 296 00:25:37,870 --> 00:25:40,172 こん中に いんのか? 297 00:25:43,208 --> 00:25:46,545 んだよ? 言えねえような相手か? 298 00:25:46,545 --> 00:25:49,882 いや。 誰だ? 299 00:25:49,882 --> 00:25:56,221 俺に女ができんのが そんなに嬉しいのかって…。 300 00:25:56,221 --> 00:25:59,558 当たりめえだろ! 301 00:25:59,558 --> 00:26:05,831 おきよさんと一緒になった時のお前 そりゃ 楽しそうでよ。 302 00:26:05,831 --> 00:26:12,004 できれば また そうなってくれねえかって 思ってたんだよ。 303 00:26:12,004 --> 00:26:16,508 で 誰なんだよ? 304 00:26:16,508 --> 00:26:19,311 …言えねえな。 305 00:26:19,311 --> 00:26:24,149 俺が好きなだけで 向こうにゃ 脈はなさそうだし。 306 00:26:24,149 --> 00:26:28,687 じゃあ 俺が橋渡ししてやるよ。 307 00:26:28,687 --> 00:26:32,324 いいよ。 遠慮すんな。 308 00:26:32,324 --> 00:26:35,694 いいって…。 309 00:26:35,694 --> 00:26:40,532 んじゃ うまくいったら教えてくれよ。 310 00:26:40,532 --> 00:26:47,306 俺 蔦重には言わねえよ。 311 00:26:47,306 --> 00:26:50,876 …は? 312 00:26:50,876 --> 00:26:56,882 俺 蔦重とは もう組まない。 313 00:27:12,831 --> 00:27:16,668 このような扱いは ひどくねえか? 314 00:27:16,668 --> 00:27:19,571 常なら 絵師の名が上だろ? 315 00:27:19,571 --> 00:27:23,175 お前 そりゃ 物によりけりだよ。 316 00:27:23,175 --> 00:27:27,846 「看板娘」は お前の絵より「仕掛け」を 売り出してえとこがあったし➡ 317 00:27:27,846 --> 00:27:30,883 お前の絵を押し出す「十躰」は 逆になってんだろ? 318 00:27:30,883 --> 00:27:34,686 けど それでいいかって 俺に聞かなかったよな? 319 00:27:37,189 --> 00:27:39,124 じゃあ 分かった。 320 00:27:39,124 --> 00:27:44,930 これからは お前の名を必ず上にする! 321 00:27:44,930 --> 00:27:48,534 西村屋の息子が面白えんだよ。 322 00:27:48,534 --> 00:27:51,336 あんなこと やりてえ こんなこと やりてえって➡ 323 00:27:51,336 --> 00:27:54,239 山のように言ってきてさ。 324 00:27:54,239 --> 00:28:01,480 その一つ一つが 「そう きたか」ってな具合でさ。 325 00:28:01,480 --> 00:28:07,352 面白え本屋は なんも 蔦重だけじゃねえって。 326 00:28:07,352 --> 00:28:10,989 いや… んなこと言ったって お前➡ 327 00:28:10,989 --> 00:28:13,292 吉原 どうすんだよ? 328 00:28:13,292 --> 00:28:16,662 皆 お前が立て直してくれるって 頼りにしてんだ。 329 00:28:16,662 --> 00:28:18,597 お前だって 恩を受けてんだろ!? 330 00:28:18,597 --> 00:28:23,001 そこは 俺なりの恩の返し方をしてくよ。 331 00:28:23,001 --> 00:28:27,506 女郎絵を よその本屋と 請け負うっていう手もあるだろうし。 332 00:28:27,506 --> 00:28:31,677 んなこと言うなよ…。 333 00:28:31,677 --> 00:28:33,612 頼む! 334 00:28:33,612 --> 00:28:38,183 何でもするから 考え直してくれ! 335 00:28:38,183 --> 00:28:45,924 じゃあ 俺を あの店の跡取りにしてくれよ。 336 00:28:45,924 --> 00:28:49,528 あの店 俺にくれよ。 337 00:28:49,528 --> 00:28:52,331 そりゃ できねえよ。 338 00:28:52,331 --> 00:28:55,234 おていさんもいるし ガキも生まれるし。 339 00:28:55,234 --> 00:28:58,136 大体 何で そんなこと! 340 00:28:58,136 --> 00:29:01,974 何でもって言ったくせに。 341 00:29:01,974 --> 00:29:05,277 蔦重は いつも そうなんだ。 342 00:29:05,277 --> 00:29:08,814 お前のため お前のためって言いながら➡ 343 00:29:08,814 --> 00:29:10,849 俺の欲しいものなんて➡ 344 00:29:10,849 --> 00:29:14,686 何一つ くんねえんだ。 345 00:29:14,686 --> 00:29:17,990 …それ どういうことだ? 346 00:29:17,990 --> 00:29:22,194 おていさんと子 とびきり大事にしてやれよ。 347 00:29:24,663 --> 00:29:27,165 歌麿! 348 00:29:27,165 --> 00:29:44,016 ♬~ 349 00:29:44,016 --> 00:29:47,886 (雨音) 350 00:29:47,886 --> 00:30:04,036 ♬~ 351 00:30:04,036 --> 00:30:12,344 「知らねえうちに 嫌な思いを たくさん させちまってたんだな」。 352 00:30:15,347 --> 00:30:18,216 「大事にしてたつもりが➡ 353 00:30:18,216 --> 00:30:22,721 いつの間にか 籠の鳥にしちまってた。➡ 354 00:30:22,721 --> 00:30:25,624 悪かった。➡ 355 00:30:25,624 --> 00:30:29,895 あの日から 20年➡ 356 00:30:29,895 --> 00:30:34,766 俺についてきてくれて ありがとな。➡ 357 00:30:34,766 --> 00:30:38,570 とびきりの夢を見させてもらった。➡ 358 00:30:38,570 --> 00:30:41,373 ありがとう。➡ 359 00:30:41,373 --> 00:30:43,909 体は大事にしろよ。➡ 360 00:30:43,909 --> 00:30:49,781 お前は 江戸っ子の自慢 当代一の絵師なんだから」。 361 00:30:49,781 --> 00:30:59,257 ♬~ 362 00:30:59,257 --> 00:31:01,760 お帰りなさいませ。 おう。 363 00:31:03,195 --> 00:31:07,899 (瑣吉)おう どうだったのだ? 歌麿は。 364 00:31:10,202 --> 00:31:15,540 歌麿は もう うちとは やらねえってよ。 365 00:31:15,540 --> 00:31:19,344 えっ!? や… やらねえって どういうことですか? 366 00:31:19,344 --> 00:31:22,047 もう…➡ 367 00:31:22,047 --> 00:31:24,950 うちでは描かねえってこった。 368 00:31:24,950 --> 00:31:34,226 ♬~ 369 00:31:34,226 --> 00:31:40,365 その絵 拝見してもよろしいですか? 370 00:31:40,365 --> 00:31:42,734 うん。 371 00:31:42,734 --> 00:31:59,918 ♬~ 372 00:31:59,918 --> 00:32:02,721 こりゃ どういった女絵で? 373 00:32:07,659 --> 00:32:13,198 恋心を描いたって言ってたなぁ。 374 00:32:13,198 --> 00:32:19,337 恋? うん。 375 00:32:19,337 --> 00:32:26,711 (雨音) 376 00:32:26,711 --> 00:32:29,347 う…。 377 00:32:29,347 --> 00:32:31,883 あ…。 おていさん?あ…! 378 00:32:31,883 --> 00:32:33,919 女将!あっ…。 おていさん!う…。 379 00:32:33,919 --> 00:32:36,721 おていさん…。あっ…。 (瑣吉)女将! 380 00:32:36,721 --> 00:32:39,224 みの吉! 産婆さん 呼んでこい! 381 00:32:39,224 --> 00:32:41,893 (瑣吉)産婆! (みの吉)は… はい! 382 00:32:41,893 --> 00:32:43,829 (たか)お嬢様 しっかり! 383 00:32:43,829 --> 00:32:46,765 大丈夫だ。 な? 大丈夫だ! ⚟(走る足音) 384 00:32:46,765 --> 00:32:49,768 ⚟(みの吉)お産婆さん 連れてきました! どうぞ! 385 00:32:49,768 --> 00:32:54,372 あ… うう…! 386 00:32:54,372 --> 00:32:56,741 ちょっと ごめんよ! 387 00:32:56,741 --> 00:32:58,677 はい! 388 00:32:58,677 --> 00:33:04,015 あ…! はあ… はあ… う…。 389 00:33:04,015 --> 00:33:06,051 こりゃ 産んじまうしかないね。➡ 390 00:33:06,051 --> 00:33:08,887 湯 沸かしとくれ! はい! 391 00:33:08,887 --> 00:33:13,325 もう… もう 産まれるのですか? 392 00:33:13,325 --> 00:33:16,027 今 産まれたら…➡ 393 00:33:16,027 --> 00:33:18,530 生きてはいけませんよね? 394 00:33:18,530 --> 00:33:24,703 (荒い息) 395 00:33:24,703 --> 00:33:27,205 何か ございませんので!? 396 00:33:27,205 --> 00:33:29,708 子を 腹の内にとどめる手は! 397 00:33:29,708 --> 00:33:31,643 ないね。 398 00:33:31,643 --> 00:33:33,879 あ… あっ! 399 00:33:33,879 --> 00:33:35,814 産んじまいましょう! 400 00:33:35,814 --> 00:33:37,749 素直に産んじまわないと➡ 401 00:33:37,749 --> 00:33:40,051 お嬢様も どうなるか 分かりませんよ! 402 00:33:40,051 --> 00:33:43,722 (荒い息) 403 00:33:43,722 --> 00:33:47,893 この子を…➡ 404 00:33:47,893 --> 00:33:52,364 旦那様に差し上げたいのです…。➡ 405 00:33:52,364 --> 00:33:56,234 子を育てる喜びを…➡ 406 00:33:56,234 --> 00:34:00,505 旦那様に…。 407 00:34:00,505 --> 00:34:03,008 あ…! ああ…! 408 00:34:03,008 --> 00:34:04,943 おていさん! 409 00:34:04,943 --> 00:34:07,846 大丈夫だ… 大丈夫だ。 410 00:34:07,846 --> 00:34:11,182 男は出てっとくれ。 411 00:34:11,182 --> 00:34:13,852 お願いします! 412 00:34:13,852 --> 00:34:16,888 あ…! ああ…。 413 00:34:16,888 --> 00:34:24,563 (ていの泣き声) 414 00:34:24,563 --> 00:34:39,978 ♬~ 415 00:34:39,978 --> 00:34:43,915 どうか おていをお助けくだせえ! 416 00:34:43,915 --> 00:34:48,053 女将さん! 聞こえるかい? 417 00:34:48,053 --> 00:34:50,555 しっかり 気 持つんだよ! 418 00:34:50,555 --> 00:34:53,558 (たか)大事ないですよ! 419 00:34:55,360 --> 00:34:59,230 子も出てくる間に 不思議と月が満ちて➡ 420 00:34:59,230 --> 00:35:03,001 「竹取」が 三月で大人になったみてえに…。 421 00:35:03,001 --> 00:35:05,904 (たか)お嬢様? 422 00:35:05,904 --> 00:35:08,506 女将さん! お嬢様! 423 00:35:08,506 --> 00:35:14,679 女将さん! 女将さん! お嬢様! お嬢様~! 424 00:35:14,679 --> 00:35:25,390 ♬~ 425 00:35:34,065 --> 00:35:38,069 ⚟(いななき) 426 00:35:41,773 --> 00:35:44,676 (水野為長)いよいよ 大老。➡ 427 00:35:44,676 --> 00:35:50,048 これよりは 更なる高みより 政をなさるのでございますな。 428 00:35:50,048 --> 00:35:52,717 ⚟(いななき) 429 00:35:52,717 --> 00:35:57,589 将軍を出すのは 田安家の念願であった。 430 00:35:57,589 --> 00:35:59,891 無論 大老は将軍ではないが➡ 431 00:35:59,891 --> 00:36:06,164 此度においては 国の舵取りを任された。 432 00:36:06,164 --> 00:36:08,500 いささか 不敬ではあるが➡ 433 00:36:08,500 --> 00:36:10,835 ここは ひとつ➡ 434 00:36:10,835 --> 00:36:15,507 将軍になったつもりで 事に当たろうと思っておる。 435 00:36:15,507 --> 00:36:22,180 大権現様も 殿こそがふさわしいと お認めになったのでございましょう。 436 00:36:22,180 --> 00:36:25,684 ⚟(いななき) 437 00:36:31,523 --> 00:36:33,558 参る。 438 00:36:33,558 --> 00:36:35,693 はっ! 439 00:36:35,693 --> 00:36:39,030 ⚟(いななき) 440 00:36:39,030 --> 00:36:42,067 (家斉)松平越中守➡ 441 00:36:42,067 --> 00:36:45,203 先日 その方より出された➡ 442 00:36:45,203 --> 00:36:50,041 「早く下城したい」という願いであるが➡ 443 00:36:50,041 --> 00:36:53,878 今も心変わりはないか? 444 00:36:53,878 --> 00:36:57,549 はっ。 相違ございませぬ。 445 00:36:57,549 --> 00:37:00,452 (家斉)そなたの下城が➡ 446 00:37:00,452 --> 00:37:03,822 然様に遅くなるのは 何故か? 447 00:37:03,822 --> 00:37:08,660 (定信)「将軍補佐」と「老中」を 兼任しておるゆえと存じまする。 448 00:37:08,660 --> 00:37:13,832 今の上様ならば もはや 補佐役などは ご無用。➡ 449 00:37:13,832 --> 00:37:18,503 老中にも 頼もしき顔ぶれが揃いました。 450 00:37:18,503 --> 00:37:20,839 よって➡ 451 00:37:20,839 --> 00:37:25,009 両お役目を お解きいただきたく。 452 00:37:25,009 --> 00:37:27,312 相分かった。➡ 453 00:37:27,312 --> 00:37:34,686 では 「将軍補佐」および「老中」の役目を 許すこととす。 454 00:37:34,686 --> 00:37:38,189 ありがたき幸せに存じます。 455 00:37:40,325 --> 00:37:43,862 (家斉)では 越中守。 456 00:37:43,862 --> 00:37:45,864 (定信)はっ。 457 00:37:48,733 --> 00:37:54,339 これよりは➡ 458 00:37:54,339 --> 00:37:59,844 政には関わらず ゆるりと休むがよい。 459 00:38:02,814 --> 00:38:05,650 フッ…。 460 00:38:05,650 --> 00:38:10,655 これよりは 余も 将軍として励むとしよう。 461 00:38:19,664 --> 00:38:24,502 それがしは 越中をおいて ほかに➡ 462 00:38:24,502 --> 00:38:29,374 この難しき形勢を 乗り切れる者はおらぬと。 463 00:38:29,374 --> 00:38:33,678 (信明)恐れながら 難しき形勢とは? 464 00:38:33,678 --> 00:38:36,581 朝廷 オロシャ…。 465 00:38:36,581 --> 00:38:42,020 朝廷もオロシャも 素晴らしき越中守が 見事に片をつけてくださいました。 466 00:38:42,020 --> 00:38:43,955 まこと そればかりではございませぬ。 467 00:38:43,955 --> 00:38:47,325 越中守の倹約のおかげで➡ 468 00:38:47,325 --> 00:38:49,260 御公儀の御金蔵には➡ 469 00:38:49,260 --> 00:38:53,765 10万両も蓄えが増えましてございます。 470 00:38:55,700 --> 00:38:59,871 (一橋治済)越中。 471 00:38:59,871 --> 00:39:05,643 上様のため 徳川のため➡ 472 00:39:05,643 --> 00:39:11,149 まこと 我が息子のため➡ 473 00:39:11,149 --> 00:39:14,152 ご苦労であった。 474 00:39:16,821 --> 00:39:22,160 ささ 下城されよ。 475 00:39:22,160 --> 00:39:28,299 心おきなく 願いを叶えよ。 476 00:39:28,299 --> 00:39:40,311 ♬~ 477 00:39:40,311 --> 00:39:42,247 (戸が閉まる音) 478 00:39:42,247 --> 00:39:46,684 ⚟(笑い声) 479 00:39:46,684 --> 00:39:49,520 私ではないか…。 480 00:39:49,520 --> 00:39:53,324 (笑い声) 481 00:39:53,324 --> 00:39:57,195 私ではないか…。 482 00:39:57,195 --> 00:40:01,699 (笑い声) 483 00:40:01,699 --> 00:40:05,203 私ではないか…。 484 00:40:05,203 --> 00:40:08,206 (笑い声) 485 00:40:09,874 --> 00:40:11,809 私ではないか! 486 00:40:11,809 --> 00:40:14,212 嫌がられようとも 煙たがられようとも➡ 487 00:40:14,212 --> 00:40:19,083 やるべきことを やり通したのは 私ではないか! 488 00:40:19,083 --> 00:40:24,722 クズどもが…。 489 00:40:24,722 --> 00:40:30,595 地獄へ…➡ 490 00:40:30,595 --> 00:40:34,399 地獄へ落ちるがよい! 491 00:40:36,234 --> 00:40:43,574 けれど この事態を呪ったのは 越中守様 ただお一人。 492 00:40:43,574 --> 00:40:48,913 何が驚きってね こいつは 越中守様自らの願いってんだから…。 493 00:40:48,913 --> 00:40:53,251 江戸っ子は この失脚劇に大喜び。 494 00:40:53,251 --> 00:40:55,186 もっと知りたかないかい? おう!知りたい! 495 00:40:55,186 --> 00:40:58,189 おっ 1枚くれ。 496 00:41:00,858 --> 00:41:02,794 毎度。 497 00:41:02,794 --> 00:41:16,407 ♬~ 498 00:41:16,407 --> 00:41:20,545 (定信)そなたが私に何の用だ? 499 00:41:20,545 --> 00:42:33,251 ♬~ 500 00:42:35,353 --> 00:42:38,055 こんなものは 紙クズですよ。 501 00:42:38,055 --> 00:42:40,892 でっけえ紙風船に ぶら下がって。 502 00:42:40,892 --> 00:42:43,227 源内先生が生きておられるかもしれぬ? 503 00:42:43,227 --> 00:42:45,563 うわ~! 七ツ星…。 504 00:42:45,563 --> 00:42:47,899 源内は それ故に捕らえられたのか? 505 00:42:47,899 --> 00:42:49,934 源内先生…。 嘘だろ? 506 00:42:49,934 --> 00:42:52,070 何だよ。 何で…。 507 00:42:52,070 --> 00:42:55,273 源内先生が 実は生きている…。