1 00:00:10,611 --> 00:00:13,814 (蔦屋重三郎)はあ…。 2 00:00:16,483 --> 00:00:18,485 (足音) 3 00:00:18,485 --> 00:00:21,788 (てい)お帰りなさいませ。 おう。 4 00:00:21,788 --> 00:00:25,425 いかがにございました? 源内先生は。 5 00:00:25,425 --> 00:00:28,328 うん…。 6 00:00:28,328 --> 00:00:33,300 私の見込み違いでしたよ。 7 00:00:33,300 --> 00:00:38,505 では どなたが あれを お書きになったので? 8 00:00:40,908 --> 00:00:42,843 …狐です。 9 00:00:42,843 --> 00:00:45,846 狐? ええ。 10 00:00:45,846 --> 00:00:47,981 行ったら 誰もいなくて➡ 11 00:00:47,981 --> 00:00:53,320 あの草稿も はらはらって 葉っぱになっちまって。 12 00:00:53,320 --> 00:01:01,628 それは 狐ではなく 狸の化かし方にございますね。 13 00:01:08,402 --> 00:01:13,707 一体 何があったのでございますか? 14 00:01:17,945 --> 00:01:21,815 (松平定信)どうだ 蔦屋重三郎。➡ 15 00:01:21,815 --> 00:01:26,954 我らと共に 仇を討たぬか? 16 00:01:26,954 --> 00:01:39,299 ♬~ 17 00:01:39,299 --> 00:01:44,137 これは…➡ 18 00:01:44,137 --> 00:01:47,975 源内先生が書いたんじゃねえんですね。 19 00:01:47,975 --> 00:01:53,780 (定信)それは 三浦の話をもとに 私が書き起こしたものだ。 20 00:01:56,683 --> 00:02:00,253 然様にございますか。 21 00:02:00,253 --> 00:02:05,258 では ここにて お暇いたします。 22 00:02:09,930 --> 00:02:16,803 私は… 源内先生に会いに参りましたもので。 23 00:02:16,803 --> 00:02:22,643 ああ このことは 聞かなかったことといたします。 24 00:02:22,643 --> 00:02:25,779 (定信) そなた 源内の遺志を継ぐ気はないのか? 25 00:02:25,779 --> 00:02:28,682 源内は生きておれば そこにある源内軒のように➡ 26 00:02:28,682 --> 00:02:32,119 傀儡好きの大名を成敗し 仇を討ちたいと思ったはずじゃ。 27 00:02:32,119 --> 00:02:35,922 越中守様は 源内先生に会ったことねえでしょう! 28 00:02:39,292 --> 00:02:41,628 「どうしたいか」は➡ 29 00:02:41,628 --> 00:02:45,432 源内先生に会った時に 直にお聞きしますんで。 30 00:02:45,432 --> 00:02:49,302 そなた 源内が本気で生きておると 思うておるのか? 31 00:02:49,302 --> 00:02:51,972 へえ。 では。 32 00:02:51,972 --> 00:02:57,444 (柴野栗山)そなたは 世のために 悪党を成敗したいとは思わぬのか?➡ 33 00:02:57,444 --> 00:03:02,249 この先 同じことが繰り返されぬように。 34 00:03:02,249 --> 00:03:04,751 (長谷川平蔵宣以)そうだ! 世のために➡ 35 00:03:04,751 --> 00:03:07,587 悪党は捕らえねばならぬであろう! 36 00:03:07,587 --> 00:03:11,758 (三浦庄司)そなた 前に 悪党を 野放しにするのは間違いであったと➡ 37 00:03:11,758 --> 00:03:14,795 殿に申したではないか! 38 00:03:14,795 --> 00:03:19,499 (高岳)然様。 我々は 天誅を下すのだ。 39 00:03:21,468 --> 00:03:24,271 はあ…。 40 00:03:24,271 --> 00:03:31,611 けど そいつが悪党だって証しは ねえわけですよね? 41 00:03:31,611 --> 00:03:35,782 もし 間違いなら とんでもなく間抜けな話ですし➡ 42 00:03:35,782 --> 00:03:41,588 こんな話に関わりゃ 私も 身内の身も危うくなります。 43 00:03:41,588 --> 00:03:48,295 吹けば飛ぶような本屋にございますゆえ 何卒 ご勘弁を。 44 00:03:53,800 --> 00:03:57,137 (定信)確かに 関われば身は危うい。 45 00:03:57,137 --> 00:04:02,342 残念ながら お前は もう関わっておるのだ。 46 00:04:05,245 --> 00:04:08,582 随分 野暮なお仕打ちで…。 47 00:04:08,582 --> 00:04:14,755 (定信)あいにく こちらは 野暮だ粋だで生きておらぬのでな。➡ 48 00:04:14,755 --> 00:04:20,927 なに 吹けば飛ぶような本屋に頼むのは 大したことではない。 49 00:04:20,927 --> 00:04:24,598 「源内が生きているのではないか」と➡ 50 00:04:24,598 --> 00:04:30,403 世の中を大騒ぎさせてほしいだけだ。➡ 51 00:04:30,403 --> 00:04:37,410 お前ほど この役目にふさわしい者も おらぬであろう? 52 00:04:42,015 --> 00:04:46,620 (てい)つまり 世を騒がせねば➡ 53 00:04:46,620 --> 00:04:50,957 旦那様も私たちも どうなるか分からぬ➡ 54 00:04:50,957 --> 00:04:53,293 ということにございますか? 55 00:04:53,293 --> 00:04:55,228 ああ。 56 00:04:55,228 --> 00:05:01,101 ほんと すまねえ! こんなことになるたぁ…。 57 00:05:01,101 --> 00:05:03,803 すまねえ…。 58 00:05:07,808 --> 00:05:11,244 …仇討ち。 59 00:05:11,244 --> 00:05:14,748 「忠臣蔵」の大星由良助は➡ 60 00:05:14,748 --> 00:05:19,619 茶屋遊びで世を欺きましたかと。 61 00:05:19,619 --> 00:05:23,390 やらぬという道が塞がれておる上は➡ 62 00:05:23,390 --> 00:05:27,694 やるしかございませんでしょう。 63 00:05:29,262 --> 00:05:32,132 よろしいのではございませんか? 64 00:05:32,132 --> 00:05:37,938 悪党を討つのは 世のためにもなることでしょうし。 65 00:05:43,810 --> 00:05:49,516 この際 蔦屋重三郎らしい➡ 66 00:05:49,516 --> 00:05:53,486 うんと ふざけた騒ぎになさっては いかがでしょう? 67 00:05:53,486 --> 00:05:57,290 しみったれの ふんどしの守様から かかりを ふんだくり➡ 68 00:05:57,290 --> 00:06:01,561 かつてないほど 贅沢でふざけた騒ぎを起こすのです。 69 00:06:01,561 --> 00:06:04,598 そして それをもって➡ 70 00:06:04,598 --> 00:06:08,902 春町先生への供養となすのは いかがでしょう? 71 00:06:08,902 --> 00:06:11,371 …春町先生の? 72 00:06:11,371 --> 00:06:19,579 はい。 きっと お喜びになられるかと。 73 00:06:19,579 --> 00:06:25,085 (恋川春町) 皆様には せめて お笑いいただきたく! 74 00:06:31,191 --> 00:06:34,928 おていさん。 はい。 75 00:06:34,928 --> 00:06:39,599 極上々吉。 76 00:06:39,599 --> 00:06:43,770 極々上々々々々々…。 77 00:06:43,770 --> 00:06:46,806 お褒めにあずかり恐悦至極にございます。 78 00:06:46,806 --> 00:06:50,277 では いかに ふざけましょうか? 79 00:06:50,277 --> 00:06:55,148 まぁ… 手っとり早いのは読売なんだけど➡ 80 00:06:55,148 --> 00:06:57,617 それじゃ つまんねえな。 81 00:06:57,617 --> 00:07:01,354 持ち込まれた あの草稿を 本にして出す➡ 82 00:07:01,354 --> 00:07:04,257 …のは 難しうございますね。 83 00:07:04,257 --> 00:07:09,095 うん。 そりゃ 俺も店も あっという間に お縄でさ。 84 00:07:09,095 --> 00:07:13,099 では 危ういことには触れぬ筋で➡ 85 00:07:13,099 --> 00:07:17,370 源内先生が書いたとしか思えぬ 黄表紙。 86 00:07:17,370 --> 00:07:21,241 黄表紙➡ 87 00:07:21,241 --> 00:07:25,111 洒落本➡ 88 00:07:25,111 --> 00:07:29,115 浄瑠璃…。 89 00:07:29,115 --> 00:07:33,753 市九さん! 確か 市九さんは…。 あいつは 浄瑠璃が書ける! 90 00:07:33,753 --> 00:07:36,790 しかも 源内先生が 生きておるかもしれぬと➡ 91 00:07:36,790 --> 00:07:38,925 お告げを持ってこられたお方です! 92 00:07:38,925 --> 00:07:41,828 こりゃ 天の導きとしか思えねえな! 93 00:07:41,828 --> 00:07:46,666 では 源内先生が書いたとしか思えぬ 新作の浄瑠璃を➡ 94 00:07:46,666 --> 00:07:50,637 市九さんに書いてもらい…。 小屋にかけてもらいましょう! 95 00:07:50,637 --> 00:07:52,639 はい! 96 00:07:55,275 --> 00:09:03,877 ♬~ 97 00:09:03,877 --> 00:10:21,387 ♬~ 98 00:10:24,190 --> 00:10:27,160 (柝の音) 寛政五年十月。 99 00:10:27,160 --> 00:10:30,797 風紀粛正 倹約奨励によって➡ 100 00:10:30,797 --> 00:10:35,135 江戸三座と呼ばれた歌舞伎小屋は 経営困難に。 101 00:10:35,135 --> 00:10:41,007 三座全ての経営が控えの座に委託される 異常事態でした。 102 00:10:41,007 --> 00:10:47,313 芝居町全体が 大きな打撃を受けていたのです。 103 00:10:47,313 --> 00:10:49,249 いらっしゃいまし! 104 00:10:49,249 --> 00:10:52,819 休みか…。 105 00:10:52,819 --> 00:10:58,625 ありがとな。 また頼むよ。 ええ 毎度。 106 00:11:02,262 --> 00:11:05,765 仙太さん? (仙太)おお~! 107 00:11:08,067 --> 00:11:15,608 じゃあ お二方は 長谷川様の命で 大崎様とやらの行方を追ってんですか? 108 00:11:15,608 --> 00:11:20,947 (仙太)どうにも 影も形もねえんですけどね。 109 00:11:20,947 --> 00:11:25,418 けど 何で 芝居町にいるとお考えに? 110 00:11:25,418 --> 00:11:27,954 葵小僧を覚えておるか? 111 00:11:27,954 --> 00:11:33,626 ああ… 葵の御紋の提灯を持った 悪党にございますよね。 112 00:11:33,626 --> 00:11:38,431 実は あの者らの装束一式➡ 113 00:11:38,431 --> 00:11:42,969 芝居町の衣装屋に頼んだものだったのだ。 え? 114 00:11:42,969 --> 00:11:45,004 (平蔵)衣装屋に話を聞いたところ➡ 115 00:11:45,004 --> 00:11:49,309 姿は見せぬものの 裏で あれこれ指図していたのは➡ 116 00:11:49,309 --> 00:11:52,979 お武家様のことに やたら詳しい女だったそうだ。 117 00:11:52,979 --> 00:11:56,649 それが 大崎様ってことですか? 118 00:11:56,649 --> 00:11:59,686 (平蔵)いや まだ分からぬがな。 119 00:11:59,686 --> 00:12:05,358 世間を煽り立てて 事を大きくするのは あやつの やり口だ。 120 00:12:05,358 --> 00:12:10,763 葵小僧も ただ食うに困っただけの 小悪党だったものが➡ 121 00:12:10,763 --> 00:12:13,399 傀儡とされたのかもしれぬ。 122 00:12:13,399 --> 00:12:22,775 そして その葵小僧という傀儡により 大勢の者が襲われ 命を落とした。 123 00:12:22,775 --> 00:12:25,979 ひでえな…。 124 00:12:27,647 --> 00:12:34,354 だんだんと 「悪党 討つべし」とは思ってこぬか? 125 00:12:37,957 --> 00:12:40,860 …いや。 126 00:12:40,860 --> 00:12:44,631 腹が北野のご神木。 (磯八)おう いらっしゃい! 127 00:12:44,631 --> 00:12:46,566 そば くれ。 おう! 128 00:12:46,566 --> 00:12:48,501 門之助様。 129 00:12:48,501 --> 00:12:51,304 (市川門之助)おお 蔦重! へえ。 130 00:12:51,304 --> 00:12:54,641 ここであったが何年目? 131 00:12:54,641 --> 00:12:57,443 さすが! ヘヘッ! 132 00:12:57,443 --> 00:13:00,747 さあさあ どうぞ! 133 00:13:00,747 --> 00:13:05,084 三座全て 立ち行かなくなったんですか? 134 00:13:05,084 --> 00:13:08,388 (門之助) まぁ 悪いことばかりじゃねえけどな。➡ 135 00:13:08,388 --> 00:13:12,925 鼻息も荒いし。 鼻息も荒い? 136 00:13:12,925 --> 00:13:17,797 控櫓にとっちゃ 三座に取って代われる またとない折でもあんだろ? 137 00:13:17,797 --> 00:13:23,269 で そいつらが 「曽我祭」をやろうって言いだしてんのさ。 138 00:13:23,269 --> 00:13:27,273 「曽我祭」ってなぁ 何でしたっけ? 139 00:13:27,273 --> 00:13:34,781 曽我ものが当たった時に楽屋で内々にやる まぁ お祝いだね。 140 00:13:34,781 --> 00:13:40,653 それをひとつ 町中で 派手にやっちまおうって話さ。 141 00:13:40,653 --> 00:13:45,124 通りで役者を総踊りさせるってんだよ。 142 00:13:45,124 --> 00:13:51,798 そりゃ 菊之丞や宗十郎 鬼次 鰕蔵も 踊り出てくるってことですか? 143 00:13:51,798 --> 00:13:58,438 おお そう! しかも 役者の素の顔を お天道さんの下で拝めるってなりゃ➡ 144 00:13:58,438 --> 00:14:04,143 こりゃ もう お祭り騒ぎ中のお祭り騒ぎってもんだろ。 145 00:14:06,179 --> 00:14:09,382 役者の素の顔…。 146 00:14:11,017 --> 00:14:14,387 何だ こりゃ? こんなの初めて見たぞ! 147 00:14:14,387 --> 00:14:17,090 こんな店 初めてだ! 148 00:14:17,090 --> 00:14:20,760 (八五郎)おお~! 熊さん これ! (熊吉)な… 何だい? こりゃ! 149 00:14:20,760 --> 00:14:22,795 今 評判の役者の似絵でよ。 150 00:14:22,795 --> 00:14:26,566 これを片手に 役者の顔を拝むってのが通よ! 151 00:14:26,566 --> 00:14:30,103 けど 誰なんだい? こんな ふざけたもん描いたやつは。 152 00:14:30,103 --> 00:14:35,808 それがよ 「平賀源内」じゃねえかって 噂なんだよ!平賀源内? 153 00:14:38,811 --> 00:14:41,814 これだ…。 154 00:14:45,651 --> 00:14:50,790 (北尾重政)源内先生が描いたと 思われるような役者絵を出す? 155 00:14:50,790 --> 00:14:53,426 ふんどしも いなくなったことだし➡ 156 00:14:53,426 --> 00:14:57,797 思いっきり ふざけたくねえですか? 157 00:14:57,797 --> 00:15:02,568 (大田南畝)大事というから来てみれば… 俺は忙しいのだ! 158 00:15:02,568 --> 00:15:06,239 (宿屋飯盛) 次の学問吟味 年明け二月だそうで。 159 00:15:06,239 --> 00:15:08,908 (朋誠堂喜三二) まぁ ふざけたきゃ乗ってくるだろう。 160 00:15:08,908 --> 00:15:14,714 けど ふざけるにしても 何で役者絵で 何で源内先生なんだい? 161 00:15:14,714 --> 00:15:17,083 (唐来三和)芝居は 今 落ち目➡ 162 00:15:17,083 --> 00:15:21,754 役者絵も 春章先生が亡くなられちまって ひでえもんだって聞いてるよ。 163 00:15:21,754 --> 00:15:25,925 けど 逆手にとりゃ 何やっても目立つわけでしょ? 164 00:15:25,925 --> 00:15:27,960 そこに➡ 165 00:15:27,960 --> 00:15:31,264 こんな役者絵を➡ 166 00:15:31,264 --> 00:15:34,100 ど~んと ぶつけんでさ。 167 00:15:34,100 --> 00:15:36,035 何だ? 何だ? 168 00:15:36,035 --> 00:15:37,970 その絵…。 169 00:15:37,970 --> 00:15:43,276 こりゃ 源内先生が描いた絵にございます。 170 00:15:43,276 --> 00:15:45,945 (北尾政演)こんな役者絵って…。 171 00:15:45,945 --> 00:15:48,981 いやぁ 無茶だろう これは。 172 00:15:48,981 --> 00:15:52,819 (重田貞一) こりゃ 蘭画ってやつでごぜえますかい? 173 00:15:52,819 --> 00:15:55,121 (北尾政美)確か 蘭画ってのは➡ 174 00:15:55,121 --> 00:15:57,423 見たまんまを描くのを よしとすんでしたっけ? 175 00:15:57,423 --> 00:16:00,726 ああ。 勝川派の役者絵は似絵の向きだったし➡ 176 00:16:00,726 --> 00:16:04,230 役者絵と蘭画は 相性がいいと思うんだ。 177 00:16:04,230 --> 00:16:10,102 しかも 今年は 芝居町の通りで 「曽我祭」をやるってんだ。 178 00:16:10,102 --> 00:16:12,905 通りで 曽我祭? 179 00:16:12,905 --> 00:16:14,841 (三和)…ってこたぁ 何かい? 180 00:16:14,841 --> 00:16:18,244 役者が 通りに 踊り出てくるってわけかい? 181 00:16:18,244 --> 00:16:22,748 役者の素の顔 お天道様の下で 拝めるっていう寸法で。 182 00:16:22,748 --> 00:16:29,255 そこに 役者の素の顔を写した 役者絵がありゃあ どうなります? 183 00:16:29,255 --> 00:16:33,125 それを片手に…。 それを片手に繰り出すね! 184 00:16:33,125 --> 00:16:36,128 受けに 受けるねぇ そりゃあ。 ええ! 185 00:16:36,128 --> 00:16:38,264 芝居にも 客が戻ってきますよ。 186 00:16:38,264 --> 00:16:40,933 芝居に客が戻り 絵も売れる。 187 00:16:40,933 --> 00:16:43,769 しかも それを描いた絵師が 死んだとされてる➡ 188 00:16:43,769 --> 00:16:47,940 平賀源内なんじゃねえかってなりゃあ…。 189 00:16:47,940 --> 00:16:50,409 江戸中が…。 江戸中 祭りだ! 190 00:16:50,409 --> 00:16:53,779 もう 上から下まで大騒ぎ! 191 00:16:53,779 --> 00:16:57,283 乗った! ひとつ あっしもやってみますぜ! 192 00:16:57,283 --> 00:17:00,887 おう!俺もやってみてえ! 蘭画風の役者絵! 193 00:17:00,887 --> 00:17:02,922 じゃあ 手伝うかね。 194 00:17:02,922 --> 00:17:05,758 なっ。 けど… 俺➡ 195 00:17:05,758 --> 00:17:09,061 今更 役に立ちますかね? (笑い声) 196 00:17:09,061 --> 00:17:13,566 先生方 絵の方 お願いします。 おう。 197 00:17:13,566 --> 00:17:15,902 …で➡ 198 00:17:15,902 --> 00:17:18,738 先生方は…。 画号だな! 199 00:17:18,738 --> 00:17:23,576 源内先生じゃないかと思わせる 画号がいるな! 200 00:17:23,576 --> 00:17:25,912 へえ。 絵師の画号や➡ 201 00:17:25,912 --> 00:17:29,248 騒ぎが どんどん派手になる仕掛けを 考えてもらいてえんです。 202 00:17:29,248 --> 00:17:31,751 戯作の筋を考えるみてえな。 203 00:17:31,751 --> 00:17:35,254 あの… 俺 この場合 どっちに入るべき? 204 00:17:35,254 --> 00:17:39,125 (滝沢瑣吉)何をやっておるのだ 蔦重! (戸が開く音) 205 00:17:39,125 --> 00:17:42,762 (瑣吉)何だ 何だ? みんな 集まって! ええ~? 206 00:17:42,762 --> 00:17:46,599 ちょっとな 源内先生の思い出を語る会を。 207 00:17:46,599 --> 00:17:48,534 思い出? 208 00:17:48,534 --> 00:17:50,937 ということは 平賀源内は➡ 209 00:17:50,937 --> 00:17:53,973 やはり 亡くなっておるのか?まぁ…。 210 00:17:53,973 --> 00:17:57,109 (みの吉)ああ~! 瑣吉先生。 ん? 211 00:17:57,109 --> 00:17:59,412 少々 よろしいでしょうか? む。 212 00:17:59,412 --> 00:18:02,882 実は 書物の方で 仕入れるものを選びかねておりまして。 213 00:18:02,882 --> 00:18:06,719 おう。 あちらへ。おう。 214 00:18:06,719 --> 00:18:09,555 みの吉 ありがた山。 215 00:18:09,555 --> 00:18:12,224 あいつは 入れねえんですかい? 216 00:18:12,224 --> 00:18:16,095 あいつ つい 漏らしちまいそうじゃねえか? 217 00:18:16,095 --> 00:18:20,099 「しゃらくさい」ってのは どうかねぇ? 218 00:18:22,568 --> 00:18:26,238 しゃらくせえの もじりということにございますか? 219 00:18:26,238 --> 00:18:30,242 しゃらくさいってのは いかにも 源内先生が言いそうな言葉でもあるし➡ 220 00:18:30,242 --> 00:18:32,578 どうだろう まぁ。 221 00:18:32,578 --> 00:18:34,513 (笑い声) 222 00:18:34,513 --> 00:18:40,086 (飯盛)ひとつ 並べてみましょうか。 源内先生の号。 223 00:18:40,086 --> 00:18:44,256 福内鬼外。 224 00:18:44,256 --> 00:18:46,592 鳩渓。 225 00:18:46,592 --> 00:18:49,261 風来山人。 226 00:18:49,261 --> 00:18:51,197 天竺浪人。 227 00:18:51,197 --> 00:18:53,766 悟道軒ってのもあったぜ。 228 00:18:53,766 --> 00:18:56,669 戯作中に出てくる➡ 229 00:18:56,669 --> 00:19:01,574 貧家銭内ってのも ありましたね。 230 00:19:01,574 --> 00:19:05,411 いいんじゃねえですか? しゃらくさい。 231 00:19:05,411 --> 00:19:11,050 面憎い 出しゃばり 小癪 洒落者。 232 00:19:11,050 --> 00:19:14,920 源内先生に ぴったりでさぁ。 233 00:19:14,920 --> 00:19:18,724 俺も そう思う。 234 00:19:18,724 --> 00:19:21,360 じゃ 字は どうします? 235 00:19:21,360 --> 00:19:26,732 そのまま書くと 洒落臭い 洒落斎ってとこかね? 236 00:19:26,732 --> 00:19:43,916 ♬~ 237 00:19:43,916 --> 00:19:47,753 (南畝)楽を写すか…。 238 00:19:47,753 --> 00:19:50,656 この世の楽を写す➡ 239 00:19:50,656 --> 00:19:55,861 または ありのままを写すことが楽しい。 240 00:20:00,099 --> 00:20:03,602 (一同)写楽! 241 00:20:03,602 --> 00:20:06,939 (笑い声) 242 00:20:06,939 --> 00:20:08,874 悪くはないが➡ 243 00:20:08,874 --> 00:20:11,777 役者絵と源内は うまく結び付くのか? 244 00:20:11,777 --> 00:20:15,614 源内先生の浄瑠璃は 芝居にもなってますし➡ 245 00:20:15,614 --> 00:20:18,517 二代目 瀬川菊之丞との仲➡ 246 00:20:18,517 --> 00:20:21,954 役者好きだったことは 江戸っ子に知れた話ですので➡ 247 00:20:21,954 --> 00:20:23,889 大事ないかと。 248 00:20:23,889 --> 00:20:27,827 まぁ 源内は蘭画もやっておったしな。 249 00:20:27,827 --> 00:20:30,629 おや ご存じで。 250 00:20:30,629 --> 00:20:33,966 (定信)絵は 武家の嗜みの一つだからな。 251 00:20:33,966 --> 00:20:38,137 写したような役者絵ということは 勝川の流れか。 252 00:20:38,137 --> 00:20:43,809 源内と言わせたいのなら 勝川のものに寄り過ぎぬようにせよ。➡ 253 00:20:43,809 --> 00:20:47,012 策は認めたゆえ 進めるがよい。 254 00:20:48,647 --> 00:20:51,150 しかしながら…➡ 255 00:20:51,150 --> 00:20:57,456 なかなか こちらが かかることにございまして。 256 00:20:57,456 --> 00:21:01,093 然様なもの お前の方で工面せよ。 257 00:21:01,093 --> 00:21:07,967 あいにく 質素倹約の煽りを受け 身上も半減されまして。 258 00:21:07,967 --> 00:21:12,104 商人のくせに 商いもできぬのか。 259 00:21:12,104 --> 00:21:17,276 江戸一の利者と言われたのも 今は昔か。 260 00:21:17,276 --> 00:21:19,612 では…➡ 261 00:21:19,612 --> 00:21:24,483 商いのうまい本屋に お頼みになっては いかがですか? 262 00:21:24,483 --> 00:21:28,120 脅しのつもりか? 滅相もない。 263 00:21:28,120 --> 00:21:33,993 ただ 吹けば飛ぶような本屋は 金繰りの厳しさに耐えかね➡ 264 00:21:33,993 --> 00:21:39,298 つい 愚痴の一つ 漏らしちまうかもしれません。 265 00:21:39,298 --> 00:21:44,637 ああ… そういえば この仇討ち➡ 266 00:21:44,637 --> 00:21:48,307 奉行所にお届けは お出しに? 267 00:21:48,307 --> 00:21:56,515 ⚟(鳥の鳴き声) 268 00:22:01,253 --> 00:22:04,256 ⚟(いななき) 269 00:22:04,256 --> 00:22:07,760 ありがた山にございます! 270 00:22:09,962 --> 00:22:12,665 おお…。 271 00:22:17,803 --> 00:22:20,940 (菊麿)私に 良し悪しを聞かれましても…。 272 00:22:20,940 --> 00:22:23,409 (喜多川歌麿) 本屋は 何も言わねえからよ。 273 00:22:23,409 --> 00:22:27,947 何 出しても いい いいって…。 274 00:22:27,947 --> 00:22:32,251 歌麿の名が入ってりゃあ それでいいんでしょうね。 275 00:22:35,821 --> 00:22:38,958 ここまで 真に迫ってほしいわけじゃなくて➡ 276 00:22:38,958 --> 00:22:41,994 あくまで 女絵として 綺麗であってほしいんだ。 277 00:22:41,994 --> 00:22:46,999 この おきよさんは 何かがあって振り返ったと思ったんだよ。 278 00:22:51,136 --> 00:22:55,808 そうそう。 蔦重は くどかったですもんね。 279 00:22:55,808 --> 00:23:00,379 そして そのくどさは今➡ 280 00:23:00,379 --> 00:23:04,383 この方たちが味わっておりました。 281 00:23:08,754 --> 00:23:10,756 蔦重さん。 282 00:23:16,095 --> 00:23:18,130 こういうことじゃねえんだよ。 283 00:23:18,130 --> 00:23:21,967 けど 蘭画って言いませんでしたっけ? まぁな。 284 00:23:21,967 --> 00:23:23,969 もう一回! 285 00:23:23,969 --> 00:23:25,971 もう一回! 286 00:23:27,706 --> 00:23:30,209 (重政)ほい。 287 00:23:33,112 --> 00:23:37,783 これじゃあ 春章先生が生きてるって話に なっちまいまさぁ。 288 00:23:37,783 --> 00:23:40,686 役者の似顔っていやぁ こうなっちまうだろ! 289 00:23:40,686 --> 00:23:44,490 もう一回 お願いします。 ああっ! 290 00:23:49,395 --> 00:23:51,797 お前 腕 落ちてねえか? 291 00:23:51,797 --> 00:23:56,502 だから もう何年も描いてねえって 言ったじゃねえですかぁ…。 292 00:24:00,139 --> 00:24:02,441 もう一回! 293 00:24:09,248 --> 00:24:12,584 どこがどう 源内風なんだよ! 294 00:24:12,584 --> 00:24:14,520 (政美)思い切って 好きにやってみろって…。 295 00:24:14,520 --> 00:24:18,257 好きにやりすぎだ! やってられっか! 296 00:24:18,257 --> 00:24:20,926 こっちは てめえの言ったとおり 知恵 絞ってんだ! 297 00:24:20,926 --> 00:24:24,797 これじゃねえ あれじゃねえなら ガキでも言えらぁ べらぼうめ! 298 00:24:24,797 --> 00:24:28,600 大体 源内風だ 似顔だって言うけどよ➡ 299 00:24:28,600 --> 00:24:32,404 おい てめえの胸の内にゃ➡ 300 00:24:32,404 --> 00:24:37,409 そりゃ こんな絵だってもん 浮かんでんのかよ? 301 00:24:40,612 --> 00:24:44,116 あたりが出るまで 闇雲に描き散らせってなぁ➡ 302 00:24:44,116 --> 00:24:47,319 さすがに つきあいきれねえぜ! 303 00:24:49,288 --> 00:24:52,291 重政先生! 304 00:24:52,291 --> 00:24:54,793 お待ちくだせえ! 305 00:24:56,795 --> 00:24:58,831 ⚟先生! 306 00:24:58,831 --> 00:25:07,239 けど 画風を言葉で指図するのは 至難の業でございまさねぇ。 307 00:25:07,239 --> 00:25:10,743 なぁ 歌さんは呼んでこれねえの? 308 00:25:10,743 --> 00:25:14,446 歌さんなら なんとかできんじゃないかい? 309 00:25:16,248 --> 00:25:31,096 ♬~ 310 00:25:31,096 --> 00:25:35,601 頭に浮かぶ絵…。 311 00:25:35,601 --> 00:26:09,902 ♬~ 312 00:26:09,902 --> 00:26:13,605 写楽の絵…。 313 00:26:20,913 --> 00:26:25,751 (鈴の音) 314 00:26:25,751 --> 00:26:28,387 (徳川家斉)女を更に入れろと? 315 00:26:28,387 --> 00:26:32,257 (一橋治済) 上様の世となって 早6年。 316 00:26:32,257 --> 00:26:37,396 その間に生まれたお子は たったの4人➡ 317 00:26:37,396 --> 00:26:40,933 そのうち2人は まともに育たず。 318 00:26:40,933 --> 00:26:46,104 これは 畑が ようないということゆえな。 319 00:26:46,104 --> 00:26:48,407 (家斉)敏次郎は 健やかに育っておりますし➡ 320 00:26:48,407 --> 00:26:52,911 お梅をはじめ 3人ほどが みごもっております。 321 00:26:54,613 --> 00:26:57,416 上様。 322 00:26:57,416 --> 00:27:04,223 将軍のつとめとは何か 仰せになってみられよ。 323 00:27:04,223 --> 00:27:10,963 …将軍家の血筋を絶やさぬため 健やかな男子を作り➡ 324 00:27:10,963 --> 00:27:16,268 かつ 血脈を 日の本に広げていくことにございます。 325 00:27:18,704 --> 00:27:25,611 清水の家が そろそろ空きそうじゃ。 326 00:27:25,611 --> 00:27:32,251 上様には 急ぎ お励みいただきたく。➡ 327 00:27:32,251 --> 00:27:38,557 そなたらも 上様のお気に入りとならねばのう。 328 00:27:46,098 --> 00:27:49,968 お伝えになった方が よろしいのではございませぬか? 329 00:27:49,968 --> 00:27:52,271 例の噂…。 330 00:27:58,110 --> 00:28:02,714 (松平信明)大奥に もっと金を入れよと? (本多忠籌)恐れながら➡ 331 00:28:02,714 --> 00:28:07,553 異国に向けての備えを 始めたばかりですし…。 332 00:28:07,553 --> 00:28:10,355 そなたらのう➡ 333 00:28:10,355 --> 00:28:17,229 上様のお子こそ 日の本を強くする一番の薬ぞ。 334 00:28:17,229 --> 00:28:23,936 日の本の諸国を 「一橋」の血脈で染め上げてこそ➡ 335 00:28:23,936 --> 00:28:32,244 謀反のおそれもない 心一つの真に安寧の世となるではないか。 336 00:28:32,244 --> 00:28:37,082 しかし 日の本中とは…。 337 00:28:37,082 --> 00:28:41,954 然様なこと まこと できますものでしょうか? 338 00:28:41,954 --> 00:28:49,094 天は 健やかなる体を持つ 一橋の血を選ばれた。 339 00:28:49,094 --> 00:28:52,397 知に長けた田安でもなく➡ 340 00:28:52,397 --> 00:28:59,171 情に厚い先代の公方様の血筋でもない。 341 00:28:59,171 --> 00:29:05,344 これは 血脈をもって染め上げよという➡ 342 00:29:05,344 --> 00:29:09,881 天のご意志。 343 00:29:09,881 --> 00:29:12,684 案ずるな。 344 00:29:15,354 --> 00:29:18,724 (定信)あの者の扱いに周囲が困っておる? 345 00:29:18,724 --> 00:29:24,363 (水野為長)老中たちは ようやく あの者の気味の悪さに気が付いたようで。 346 00:29:24,363 --> 00:29:26,732 (定信)今更 遅いわ。 347 00:29:26,732 --> 00:29:30,569 上様は 相変わらず 喜んでお励みか? 348 00:29:30,569 --> 00:29:36,241 それが ここのところ 親子の間に 溝が うっすら 出来始めておるようです。 349 00:29:36,241 --> 00:29:39,077 よろしうございますな。 350 00:29:39,077 --> 00:29:41,013 溝とは いかような? 351 00:29:41,013 --> 00:29:44,950 今 大奥で 上様のお子が思うように育たぬのは➡ 352 00:29:44,950 --> 00:29:50,255 亡き家基様の祟りではないかとの噂が 立っておるようにございまして。 353 00:29:50,255 --> 00:29:52,758 ⚟ご無礼仕る! 354 00:30:00,899 --> 00:30:04,903 長谷川様より 火急の知らせにて。 355 00:30:11,410 --> 00:30:14,212 大崎が…。 356 00:30:15,947 --> 00:30:18,417 (戸が開く音) 357 00:30:18,417 --> 00:30:20,419 (足音) 358 00:30:26,291 --> 00:30:31,997 そなた 出家しておったのか! 359 00:30:34,299 --> 00:30:37,803 (大崎)葵小僧の一件から こちら➡ 360 00:30:37,803 --> 00:30:43,975 大事をとって 尼寺に身を潜めておりました。 361 00:30:43,975 --> 00:30:51,316 それが再び こちらで奉公したいとは 何故じゃ? 362 00:30:51,316 --> 00:30:58,090 どうも 何者かが 私を探っておる気配がございまして。 363 00:30:58,090 --> 00:31:00,025 何者か? 364 00:31:00,025 --> 00:31:02,594 (大崎)しかとは分かりかねまするが➡ 365 00:31:02,594 --> 00:31:08,767 高岳 および田沼の残党 御三家➡ 366 00:31:08,767 --> 00:31:15,540 葵小僧の毒牙にかかった商家 越中守…。 367 00:31:15,540 --> 00:31:22,547 これまでのことを考えれば その辺りかと。 368 00:31:24,616 --> 00:31:29,287 恐ろしいことじゃ。 369 00:31:29,287 --> 00:31:34,993 そやつらから 身を守らねばのう。 370 00:31:44,302 --> 00:31:51,176 (戸の開閉音) 371 00:31:51,176 --> 00:31:53,879 (足音) 372 00:31:56,648 --> 00:31:58,984 何をなさってるんです? 373 00:31:58,984 --> 00:32:01,586 ああ…。 374 00:32:01,586 --> 00:32:04,923 源内風は 一旦 置いといて➡ 375 00:32:04,923 --> 00:32:10,095 役者の似絵を作るところから 始めようと思って。 376 00:32:10,095 --> 00:32:15,901 人の顔ってなぁ 目鼻口 それに形だろ? 377 00:32:15,901 --> 00:32:19,905 それを まず書き出してんだ。 378 00:32:23,408 --> 00:32:30,615 旦那様の胸の内には 絵は浮かびましたので? 379 00:32:30,615 --> 00:32:33,518 ああ…。 380 00:32:33,518 --> 00:32:39,624 「十躰」の折に 歌が描いてきて➡ 381 00:32:39,624 --> 00:32:45,797 よかったんだけど そん時は「違う」って よした絵があってさ➡ 382 00:32:45,797 --> 00:32:48,633 あんなふうに 役者 描けりゃ➡ 383 00:32:48,633 --> 00:32:51,536 面白えんじゃねえかって。 384 00:32:51,536 --> 00:33:17,095 ♬~ 385 00:33:17,095 --> 00:33:20,799 よい出来。 386 00:33:24,836 --> 00:33:27,272 何か申せ… とは? 387 00:33:27,272 --> 00:33:30,175 (歌麿)何かしら あるだろう。 388 00:33:30,175 --> 00:33:34,412 もっと こうしてほしいだの ここが違うだの。 389 00:33:34,412 --> 00:33:38,116 あ… 手前どもは これで十分にございます。 390 00:33:38,116 --> 00:33:40,418 俺ゃ 納得がいかねえんで➡ 391 00:33:40,418 --> 00:33:43,722 納得がいくまで 描き直します! 392 00:33:46,625 --> 00:33:51,296 ⚟たかが浮世絵一枚に どうかしちゃいないかね…。 393 00:33:51,296 --> 00:34:22,260 ♬~ 394 00:34:22,260 --> 00:34:26,765 (風の音) 395 00:34:26,765 --> 00:34:28,700 (足音) 396 00:34:28,700 --> 00:34:30,702 ⚟(菊麿)入ります。 397 00:34:33,405 --> 00:34:37,909 先生 お客様が…。 398 00:34:46,952 --> 00:34:49,854 こりゃ 蔦屋の女将さん。 399 00:34:49,854 --> 00:34:52,757 ご無沙汰しております。 400 00:34:52,757 --> 00:34:56,294 こんな有様ですけど いいですか? 401 00:34:56,294 --> 00:35:01,499 押しかけましたのは こちらでございますので。 402 00:35:49,280 --> 00:35:55,954 「歌撰恋之部」 五図 全て出来上がりましたので➡ 403 00:35:55,954 --> 00:35:57,889 お納めいただきたく。 404 00:35:57,889 --> 00:36:00,592 差し上げたもんなので。 405 00:36:06,231 --> 00:36:10,902 これは➡ 406 00:36:10,902 --> 00:36:19,377 蔦屋重三郎からの恋文にございます。➡ 407 00:36:19,377 --> 00:36:26,151 正しくは 恋文への返事にございます。 408 00:36:26,151 --> 00:36:29,120 どうか➡ 409 00:36:29,120 --> 00:36:34,392 一目でも見てやってくださいませ。 410 00:36:34,392 --> 00:37:09,561 ♬~ 411 00:37:09,561 --> 00:37:13,231 あの人は その毛割を➡ 412 00:37:13,231 --> 00:37:17,735 何度も何度も何度も やり直させました。 413 00:37:17,735 --> 00:37:23,441 歌さんは こういうところを気にするからと。 414 00:37:27,912 --> 00:37:35,386 色みも 深く柔らかいものを好むのだ➡ 415 00:37:35,386 --> 00:37:41,259 着物の柄も きっと こういうものを 考えていたのではないかと➡ 416 00:37:41,259 --> 00:37:44,762 それは しつこく。 417 00:37:44,762 --> 00:37:48,466 摺師と大喧嘩しておりました。 418 00:37:53,471 --> 00:38:01,479 板元印と名の位置には 終いまで悩んでおりました。 419 00:38:07,552 --> 00:38:11,055 (てい)歌さんを立たせるべきだが➡ 420 00:38:11,055 --> 00:38:13,958 自分と歌さんの仲に➡ 421 00:38:13,958 --> 00:38:17,829 上下をつけたくはない。➡ 422 00:38:17,829 --> 00:38:20,365 肩を並べ➡ 423 00:38:20,365 --> 00:38:25,170 共に作りたいと思っていることを 伝えたいと。 424 00:38:31,743 --> 00:38:35,246 歌さんの名が上のものが三図➡ 425 00:38:35,246 --> 00:38:38,149 蔦屋の印が上のものが二図と➡ 426 00:38:38,149 --> 00:38:41,352 落ち着きました。 427 00:38:47,759 --> 00:38:50,662 歌さん。 428 00:38:50,662 --> 00:38:54,532 よそにも 素晴らしい本屋はおりましょう。 429 00:38:54,532 --> 00:38:56,935 けれど➡ 430 00:38:56,935 --> 00:39:05,210 かように 歌さんのことを考え抜く本屋は 二度とは現れぬのではございませんか? 431 00:39:05,210 --> 00:39:07,212 歌さん。 432 00:39:07,212 --> 00:39:13,084 どうか 戻ってやってはいただけませんか? 433 00:39:13,084 --> 00:39:20,892 今 あの人は 何よりも 歌さんを望んでいます! 434 00:39:24,896 --> 00:39:26,831 …悪いけど➡ 435 00:39:26,831 --> 00:39:29,067 もう こういうの こりごりなんで。 436 00:39:29,067 --> 00:39:31,369 私は出家いたします! 437 00:39:34,372 --> 00:39:37,275 産んでやれなかった子➡ 438 00:39:37,275 --> 00:39:40,912 義母上様 父➡ 439 00:39:40,912 --> 00:39:46,084 新之助さん おふくさん とよ坊➡ 440 00:39:46,084 --> 00:39:53,591 石燕先生 春章先生 春町先生➡ 441 00:39:53,591 --> 00:40:01,466 田沼様 雲助様 土山様 東作さんも。 442 00:40:01,466 --> 00:40:03,935 あの人には➡ 443 00:40:03,935 --> 00:40:08,406 関わった方々の 菩提を弔う暇もございません。 444 00:40:08,406 --> 00:40:15,179 代わりに 寄り添う者が入り用です。 445 00:40:15,179 --> 00:40:18,783 決して 身を引くのではございません。 446 00:40:18,783 --> 00:40:22,120 もう男と女というのでもございませんし➡ 447 00:40:22,120 --> 00:40:26,424 私は今後 そのような形で➡ 448 00:40:26,424 --> 00:40:31,229 あの人と共に生きていきたいと存じます。 449 00:40:36,634 --> 00:40:38,836 嘘だね。 450 00:40:49,814 --> 00:40:54,986 見抜かれましたか。 451 00:40:54,986 --> 00:40:59,657 然様にございますね➡ 452 00:40:59,657 --> 00:41:05,930 私の本音を申せば…➡ 453 00:41:05,930 --> 00:41:08,132 見たい。 454 00:41:11,736 --> 00:41:15,940 二人の男の業と情➡ 455 00:41:15,940 --> 00:41:20,278 因果の果てに 生み出される絵というものを➡ 456 00:41:20,278 --> 00:41:23,481 見てみたく存じます。 457 00:41:25,783 --> 00:41:29,954 私も 本屋の端くれ。 458 00:41:29,954 --> 00:41:34,792 サガというものでございましょうか。 459 00:41:34,792 --> 00:41:44,302 ♬~ 460 00:41:44,302 --> 00:41:47,972 先日は 至らぬことで➡ 461 00:41:47,972 --> 00:41:50,641 申し訳ございませんでした。 462 00:41:50,641 --> 00:41:53,311 俺こそ 言い過ぎた。 463 00:41:53,311 --> 00:41:55,980 すまねえ。 464 00:41:55,980 --> 00:41:59,650 とんでもねえ。 465 00:41:59,650 --> 00:42:03,354 あれから もう一度 考え…。 466 00:42:06,391 --> 00:42:09,594 かようなものを作りました。 467 00:42:12,764 --> 00:42:14,799 (戸が開く音) 468 00:42:14,799 --> 00:42:26,944 ♬~ 469 00:42:26,944 --> 00:42:30,648 歌…。 470 00:42:35,286 --> 00:42:37,221 歌麿なら できる! 471 00:42:37,221 --> 00:42:39,157 何だい こりゃあ! 472 00:42:39,157 --> 00:42:41,626 画号は 東洲斎写楽とせよ。 473 00:42:41,626 --> 00:42:43,561 ド~ン! キュッ キュッ? 474 00:42:43,561 --> 00:42:48,399 お許しくださいませ。 写楽というのは まこと 源内なのか? 475 00:42:48,399 --> 00:42:50,334 かかったか。 バカな…。 476 00:42:50,334 --> 00:42:52,303 まこと 生きておったのだな! 477 00:42:52,303 --> 00:42:55,106 そう きたか!