1 00:00:01,235 --> 00:00:29,429 ♬~ 2 00:00:39,506 --> 00:00:41,508 雨かな? 3 00:00:47,047 --> 00:00:48,982 えっ? 4 00:00:48,982 --> 00:00:52,519 何これ? 出られない。 5 00:00:52,519 --> 00:00:56,423 そう気安く踏まれちゃ困りますよ。 6 00:00:56,423 --> 00:01:00,427 えっ… 石が しゃべった? 7 00:01:04,164 --> 00:01:08,769 自然が生み出した驚きの造形 巨石。 8 00:01:10,904 --> 00:01:16,510 人は古来 その形を さまざまなものに見立ててきました。 9 00:01:19,980 --> 00:01:25,385 圧倒的な存在感から 神として あがめられる石も。 10 00:01:29,389 --> 00:01:36,697 巨石の発するパワーは 現代の 彫刻家にとって 創作の源となっています。 11 00:01:40,634 --> 00:01:47,407 芸術家 イサム・ノグチの影響を受けた 石の家も。 12 00:01:47,407 --> 00:01:53,614 今日は 巨石の不思議な力強さに満ちた 世界を堪能しましょう。 13 00:02:05,225 --> 00:02:10,597 日本百名山の一つに数えられる筑波山。 14 00:02:10,597 --> 00:02:14,501 標高は 877メートル。 15 00:02:17,471 --> 00:02:20,607 その中腹から山頂にかけては➡ 16 00:02:20,607 --> 00:02:25,712 不思議な形をした巨石が いくつも見られます。 17 00:02:29,249 --> 00:02:34,554 筑波山地域のジオガイドを務める 矢野徳也さんです。 18 00:02:39,526 --> 00:02:45,432 生まれて この方 ずっと筑波山を見ながら 暮らしてきました。 19 00:02:49,803 --> 00:02:54,408 山中の巨石には ユニークな名前が 付けられているものが➡ 20 00:02:54,408 --> 00:02:56,710 たくさんあるといいます。 21 00:03:08,021 --> 00:03:13,827 全くの自然の造形物なんですけど とても面白い形してると思います。 22 00:03:17,264 --> 00:03:20,233 こちらは ガマ石。 23 00:03:20,233 --> 00:03:23,637 「ガマ」とは ヒキガエルのことです。 24 00:03:26,006 --> 00:03:29,609 大きな口のような この形。 25 00:03:29,609 --> 00:03:32,713 確かに カエルっぽいかも。 26 00:03:35,482 --> 00:03:38,351 2つの巨石が並んでいます。 27 00:03:38,351 --> 00:03:41,855 さて こちらは何かというと…。 28 00:03:44,191 --> 00:03:47,727 水上を行く「船」です。 29 00:03:47,727 --> 00:03:52,933 とがった こちら側が 船の先端である舳先。 30 00:03:55,936 --> 00:04:00,240 隣り合っている石を 逆に向いた船と見立て➡ 31 00:04:00,240 --> 00:04:04,244 「出船 入船」と呼んでいます。 32 00:04:08,448 --> 00:04:12,953 そして矢野さん一番のおすすめが こちら。 33 00:04:22,129 --> 00:04:29,236 勇敢なことで知られる あの弁慶が この巨石の前で くぐろうか➡ 34 00:04:29,236 --> 00:04:34,541 それとも やめようか 7回も ためらったのだとか。 35 00:04:36,676 --> 00:04:42,182 それにしても 一体どうやって こんな姿になったのでしょうか。 36 00:05:25,458 --> 00:05:28,161 今日 一つ目のツボは…。 37 00:05:42,242 --> 00:05:50,050 島根県東部 奥出雲町の山中に 大きな渓谷があります。 38 00:05:55,255 --> 00:05:58,491 全長は2キロメートルほど。 39 00:05:58,491 --> 00:06:06,600 無数の巨石が ゴロゴロと転がる この渓谷は「鬼の舌震」と呼ばれています。 40 00:06:10,637 --> 00:06:15,775 この名前で呼ばれるようになったのは ある伝説が きっかけだと➡ 41 00:06:15,775 --> 00:06:18,378 早川正樹さんは言います。 42 00:06:39,032 --> 00:06:45,472 出雲地方の方言で サメのことを「ワニ」といいます。 43 00:06:45,472 --> 00:06:52,145 ワニは玉姫に会うために 夜な夜な川をさかのぼってきました。 44 00:06:52,145 --> 00:06:56,983 ところが玉姫は 大きな石を川に投げ込んで➡ 45 00:06:56,983 --> 00:07:01,388 ワニが上ってこられないように してしまったのです。 46 00:07:04,057 --> 00:07:06,159 それを知った このワニがですね… 47 00:07:29,182 --> 00:07:33,753 「したぶる」とは「恋い慕う」という意味。 48 00:07:33,753 --> 00:07:37,290 ワニが恋い慕うところという呼び名が➡ 49 00:07:37,290 --> 00:07:43,096 いつしか「鬼の舌震」に変わったと 伝えられています。 50 00:07:47,267 --> 00:07:53,073 渓谷の中には 鬼の名を冠した巨石もあります。 51 00:07:53,073 --> 00:07:56,676 こちらは「鬼の試刀岩」。 52 00:07:59,979 --> 00:08:06,086 その見事な割れ方から 人気漫画の 名場面のモチーフになったのではと➡ 53 00:08:06,086 --> 00:08:08,088 話題を呼んでいます。 54 00:08:33,046 --> 00:08:38,018 このくぼみを作ったのは 渓谷を流れ下る水。 55 00:08:38,018 --> 00:08:41,187 小さなへこみに 小石などが入り込み➡ 56 00:08:41,187 --> 00:08:45,392 川の流れに転がされて 周りを削っていくうちに➡ 57 00:08:45,392 --> 00:08:48,194 くぼみが出来上がったのです。 58 00:08:54,701 --> 00:09:02,909 巨石ひしめく この渓谷は格好の避暑地 として多くの人々を引きつけてきました。 59 00:09:04,411 --> 00:09:09,282 昭和5年 歌人の与謝野鉄幹 晶子夫妻は➡ 60 00:09:09,282 --> 00:09:15,321 山陰地方を巡る旅の途中に この地を訪れました。 61 00:09:15,321 --> 00:09:22,729 妻の晶子は当時の風景を鮮やかに 切り取った歌を残しています。 62 00:09:46,186 --> 00:09:51,157 いにしえの伝説から現代の歌人まで。 63 00:09:51,157 --> 00:09:57,964 巨石は時代を超えて 人々の想像力を刺激しています。 64 00:10:02,735 --> 00:10:06,072 何か ご用ですか? 65 00:10:06,072 --> 00:10:12,712 たまには「ありがとう」って ひと言くらい あってもいいんじゃないですかね。 66 00:10:12,712 --> 00:10:19,085 そう言われても あの… そもそも踏み石ですよね? 67 00:10:19,085 --> 00:10:22,388 あっ バカにしてますね。 68 00:10:33,933 --> 00:10:38,204 群馬県高崎市にある榛名神社。 69 00:10:38,204 --> 00:10:42,909 1,400年以上の歴史を持つ 古い神社です。 70 00:10:47,013 --> 00:10:52,919 その境内には そびえ立つ巨石が いくつも見られます。 71 00:11:00,460 --> 00:11:03,997 こちらは「瓶子の滝」。 72 00:11:03,997 --> 00:11:08,501 瓶子とは お神酒を入れる器のことです。 73 00:11:13,039 --> 00:11:19,846 丸みを帯びた石の形が 瓶子そっくりな ことから名付けられました。 74 00:11:28,521 --> 00:11:35,828 日々 この巨石の風景を楽しんでいるのが 宮司の佐藤眞一さん。 75 00:11:35,828 --> 00:11:40,633 祖父の代から榛名神社を 大切に守っています。 76 00:11:56,649 --> 00:11:58,851 専門家じゃないから 分かりませんけれども… 77 00:12:05,992 --> 00:12:11,397 榛名神社を代表する巨石が 御姿岩です。 78 00:12:11,397 --> 00:12:14,701 高さは 48メートル。 79 00:12:17,604 --> 00:12:25,912 「神の姿に見える巨石」ということから 御姿岩と呼ばれるようになりました。 80 00:12:31,818 --> 00:12:37,991 御姿岩は 人々が参拝する拝殿と接しています。 81 00:12:37,991 --> 00:12:42,795 ご神体は この巨石の中にあると 伝えられており➡ 82 00:12:42,795 --> 00:12:47,300 いわば榛名神社の本殿なのだそう。 83 00:12:51,404 --> 00:12:58,311 江戸時代には豊作祈願のために 参拝する「榛名講」が盛んになり➡ 84 00:12:58,311 --> 00:13:02,815 関東一円から多くの人が やって来るようになりました。 85 00:13:04,951 --> 00:13:09,956 お札に描かれているのも やはり御姿岩です。 86 00:13:37,717 --> 00:13:40,319 今日 二つ目のツボは…。 87 00:13:55,168 --> 00:14:00,106 世界中にある巨石のスポット。 88 00:14:00,106 --> 00:14:06,512 20年以上にわたり その数々を カメラに収めている人がいます。 89 00:14:09,549 --> 00:14:13,086 写真家の須田郡司さん。 90 00:14:13,086 --> 00:14:18,691 巨石を巡る長い旅を経て 出雲市へと移り住みました。 91 00:14:49,689 --> 00:14:57,897 そんな出雲の中でも 須田さんが 特に強い印象を受けたのが ここ。 92 00:14:57,897 --> 00:15:00,399 こちらが立石神社です。 93 00:15:05,338 --> 00:15:10,543 森の中に こつ然と現れる巨石。 94 00:15:17,683 --> 00:15:22,088 最も高いところで 12メートルほど。 95 00:15:22,088 --> 00:15:26,192 巨石そのものが ご神体です。 96 00:15:30,363 --> 00:15:36,569 むき出しの巨石が 野性的な雰囲気を醸し出しています。 97 00:15:36,569 --> 00:15:43,376 その中で しめ縄と お供えが 神の場所であることを教えてくれます。 98 00:15:48,181 --> 00:15:53,719 この巨石の神社を守り続けている 金折徹也さん。 99 00:15:53,719 --> 00:15:59,025 生まれも育ちも 立石神社の すぐ近くの集落です。 100 00:16:02,528 --> 00:16:10,837 現在 氏子の代表を務め 月に一度は必ず 境内の掃除をしています。 101 00:16:15,007 --> 00:16:19,545 金折さんが子どもの頃 立石神社の周囲には➡ 102 00:16:19,545 --> 00:16:22,648 田んぼが広がっていたといいます。 103 00:16:49,308 --> 00:16:55,014 立石神社に祀られているのは 水の神。 104 00:16:55,014 --> 00:17:02,922 日照りの時には「ここで祈れば必ず 雨が降る」と語り伝えられています。 105 00:17:10,429 --> 00:17:16,235 水道が整備された今でも 30軒ほどある氏子が集まって➡ 106 00:17:16,235 --> 00:17:21,941 毎年9月に感謝をささげる お祭りを執り行っています。 107 00:17:56,475 --> 00:18:02,281 久しく人々の願いを受け止めてきた巨石。 108 00:18:06,185 --> 00:18:10,990 今日も祈りに来る人たちを見守ります。 109 00:18:15,227 --> 00:18:20,933 これ 何か めんどくさいから あっちから降りよう。 110 00:18:25,438 --> 00:18:27,440 何だ? あれ。 111 00:18:29,108 --> 00:18:33,946 あれ? また これ… あれ? 112 00:18:33,946 --> 00:18:37,483 降りようったって そうはいきませんよ。 113 00:18:37,483 --> 00:18:39,785 これ… どうしたらいいんだ? これ。 114 00:18:42,321 --> 00:18:46,525 石の気持ちも ちょっとは考えてくださいよ。 115 00:18:48,995 --> 00:18:51,197 これ… どうしたらいいんだ? これ。 116 00:19:04,510 --> 00:19:08,214 高らかに響く ノミの音。 117 00:19:14,653 --> 00:19:18,591 彫刻家の絹谷幸太さんです。 118 00:19:18,591 --> 00:19:23,396 10代で彫刻に目覚め 以来30年。 119 00:19:29,168 --> 00:19:35,675 創作意欲を刺激する石を求めて 世界中を旅してきました。 120 00:19:38,911 --> 00:19:43,682 こちらは ブラジルで手に入れた花崗岩。 121 00:19:43,682 --> 00:19:47,653 およそ5億年前に起源を持つ貴重な石で➡ 122 00:19:47,653 --> 00:19:53,259 この石を彫刻すると 地球そのものを感じるのだとか。 123 00:19:56,662 --> 00:20:02,068 制作中は 石を単なる素材として 扱うのではなく➡ 124 00:20:02,068 --> 00:20:07,773 その「声」に耳を傾けるように 心がけているといいます。 125 00:20:38,337 --> 00:20:42,708 初めて「石の声」を 意識するようになったのが➡ 126 00:20:42,708 --> 00:20:48,114 ギリシャ産の大理石で作った こちらの作品。 127 00:20:50,349 --> 00:20:53,152 重さは およそ2トン。 128 00:20:53,152 --> 00:20:58,457 もともとは7トンもあった 巨大な石から削り出しました。 129 00:21:28,020 --> 00:21:30,422 少し恥ずかしい話なんですけども… 130 00:21:51,710 --> 00:21:54,313 今日 三つ目のツボは…。 131 00:22:08,227 --> 00:22:12,331 香川県高松市牟礼町。 132 00:22:16,035 --> 00:22:20,739 すぐれた石材である 「庵治石」の産地として知られ➡ 133 00:22:20,739 --> 00:22:25,444 町には何軒もの石材店が並んでいます。 134 00:22:30,783 --> 00:22:36,188 この町に住む 石彫家の和泉正敏さんです。 135 00:22:40,559 --> 00:22:46,866 伝統的な石の加工に飽き足らず 独自の造形を追求してきました。 136 00:23:22,801 --> 00:23:27,172 石と誠実に向き合ってきた和泉さん。 137 00:23:27,172 --> 00:23:31,777 なんと自分の家も石で造りました。 138 00:23:35,981 --> 00:23:43,188 建築に およそ2年をかけ 完成したのは 1973年。 139 00:23:49,161 --> 00:23:56,568 当初は家族4人と 数人のお弟子さんが 一緒に暮らしていたそうです。 140 00:24:08,347 --> 00:24:13,319 使われた石は 形も大きさも いろいろですが➡ 141 00:24:13,319 --> 00:24:18,924 中には驚くほど大きな石が そのまま使われています。 142 00:24:42,581 --> 00:24:50,389 和泉さんに この家を造ることを 勧めたのは ある一人の芸術家でした。 143 00:24:54,059 --> 00:24:56,962 イサム・ノグチです。 144 00:25:00,199 --> 00:25:07,272 1964年 イサム・ノグチは 石の作品を作るパートナーを求めて➡ 145 00:25:07,272 --> 00:25:10,776 和泉さんのところに やって来ました。 146 00:25:13,479 --> 00:25:19,084 その後 2人は ノグチが亡くなる 1988年まで➡ 147 00:25:19,084 --> 00:25:25,391 ほぼ四半世紀にわたり 共同で作品制作を行います。 148 00:25:27,793 --> 00:25:35,401 シアトル美術館のために作られた 「黒い太陽」も そうした作品の一つです。 149 00:25:41,340 --> 00:25:48,947 その制作過程で残された石の一部は この家の大黒柱となっています。 150 00:26:24,950 --> 00:26:30,856 イサム・ノグチの影響が 強く感じられる建物もあります。 151 00:26:34,226 --> 00:26:43,035 筒形の建物の内部は照明もなく 中心に石が一つ置かれているだけ。 152 00:26:46,371 --> 00:26:49,908 ノグチが大切にした「陰と陽」➡ 153 00:26:49,908 --> 00:26:56,315 光と影を感じる空間が欲しかったと 和泉さんはいいます。 154 00:27:00,853 --> 00:27:05,457 イサム・ノグチが亡くなって 30年余り。 155 00:27:09,261 --> 00:27:17,769 毎年11月 和泉さんは この家で ノグチの誕生日を祝い続けてきました。 156 00:27:42,461 --> 00:27:48,267 石の語りかける「美」と ひたすらに向き合った日々。 157 00:27:50,802 --> 00:27:58,410 石の家は その生き方の証しとして この先も受け継がれていくことでしょう。 158 00:28:01,146 --> 00:28:06,418 あの… 一体どうすればいいんですかね? 159 00:28:06,418 --> 00:28:13,058 せめて「ありがとう」の ひと言があっても いいんじゃないかってことですよ。 160 00:28:13,058 --> 00:28:20,866 そうですよ。 あなたの知らないところで 私たちが そっと支えてるんですから。 161 00:28:20,866 --> 00:28:23,068 そうなんですかね…。 162 00:28:25,003 --> 00:28:28,240 信じてないなあ…。 163 00:28:28,240 --> 00:28:33,579 たたりますよ… いいんですね? 164 00:28:33,579 --> 00:28:36,582 あっ いえ… そんなことは全くないです。 165 00:28:39,751 --> 00:28:43,989 どうも いつもありがとうございます。 166 00:28:43,989 --> 00:28:45,991 あちらさんも…。 167 00:28:47,859 --> 00:28:52,164 どうも いつも本当に ありがとうございます。 168 00:28:54,099 --> 00:28:57,302 皆さんも ありがとうございます。