1 00:00:01,235 --> 00:00:30,831 ♬~ 2 00:00:30,831 --> 00:00:33,734 よし… よし いいね これで。 3 00:00:38,906 --> 00:00:41,808 あ~ さて…。 4 00:00:41,808 --> 00:00:44,444 草刈さん 模様替えですか? 5 00:00:44,444 --> 00:00:49,416 いやね おうち時間 使ってね 障子の 張り替えでもしたら どうです?ってね。 6 00:00:49,416 --> 00:00:51,551 あ~ 奥様に言われた…。 7 00:00:51,551 --> 00:00:54,821 そうそうそう でね…。 8 00:00:54,821 --> 00:00:59,326 障子紙でしょう。 それに糊。 ねっ。 9 00:00:59,326 --> 00:01:02,329 あれ? どうしたんですか? 10 00:01:02,329 --> 00:01:04,698 あれ? 刷毛が…。 11 00:01:04,698 --> 00:01:09,002 あれ? 刷毛どうしたっけ? 12 00:01:16,176 --> 00:01:21,782 和紙に糊を塗っていく 昔ながらの日本の刷毛。 13 00:01:23,917 --> 00:01:27,721 今 ひそかに人気の靴ブラシ。 14 00:01:33,126 --> 00:01:36,430 メークには欠かせない化粧筆。 15 00:01:39,633 --> 00:01:43,270 日本の筆 刷毛 ブラシ。 16 00:01:43,270 --> 00:01:46,807 用途に応じた大きさ 毛 形など➡ 17 00:01:46,807 --> 00:01:51,211 実に たくさんの種類があること ご存じですか? 18 00:01:54,114 --> 00:01:56,850 職人のこだわりが生み出す道具は➡ 19 00:01:56,850 --> 00:02:02,356 今や世界が憧れる メード・イン・ジャパンの すぐれもの。 20 00:02:05,359 --> 00:02:12,499 巧みな技が隠された シンプルで美しき筆 刷毛 ブラシ。 21 00:02:12,499 --> 00:02:16,003 その奥深き世界をご案内いたしましょう。 22 00:02:32,419 --> 00:02:38,325 東京都内 室町時代から続く 由緒あるお寺です。 23 00:02:43,964 --> 00:02:46,833 (読経) 24 00:02:46,833 --> 00:02:50,537 お勤めをするのは西村宏堂さん。 25 00:02:54,508 --> 00:02:59,413 実は この方 世界的なメークアップアーティスト。 26 00:03:04,317 --> 00:03:11,324 ミス・ユニバース世界大会などで 各国の代表を美しくメークしてきました。 27 00:03:15,495 --> 00:03:21,301 そんな西村さんの仕事に 欠かせないものが「化粧筆」。 28 00:03:42,589 --> 00:03:46,827 西村さんのメークを見せてもらいました。 29 00:03:46,827 --> 00:03:48,762 モデルは…。 30 00:03:48,762 --> 00:03:57,170 2020ミス・ユニバース日本代表の 杤木 愛シャ 暖望さん。 31 00:03:57,170 --> 00:04:05,278 細かいところをメークするので リスの この小さい毛を使ってます。 32 00:04:13,553 --> 00:04:17,257 まずは目 アイメークから。 33 00:04:25,031 --> 00:04:31,938 メークをする部分 化粧品の種類で 筆を細かく使い分けていきます。 34 00:04:41,581 --> 00:04:44,985 アイメークが終わってから ファンデーション。 35 00:04:49,923 --> 00:04:57,230 自分の中で道理が通っていれば 順番は関係ない。 それが西村流です。 36 00:04:59,432 --> 00:05:06,039 チークはちょっと大きめのブラシを使って 色をちょっと混ぜようかなと思います。 37 00:05:32,699 --> 00:05:37,604 化粧筆を自在に操ったメークが完成です。 38 00:05:40,473 --> 00:05:46,379 西村さんには お気に入りの化粧筆があります。 39 00:05:46,379 --> 00:05:49,482 それは日本の「熊野筆」。 40 00:05:58,592 --> 00:06:01,094 ギコギコやってたりすると… 41 00:06:17,944 --> 00:06:22,949 「筆 はけ ブラシ」今日 一つ目のツボは… 42 00:06:35,362 --> 00:06:39,566 江戸時代から続く 筆作りの町です。 43 00:06:44,571 --> 00:06:50,477 創業1971年の化粧筆専門の工房。 44 00:06:55,615 --> 00:07:02,522 熊野の筆作りの技と えりすぐりの 素材から 化粧筆を製作しています。 45 00:07:07,928 --> 00:07:14,734 希少価値のあるリスやヤギなど 厳選された動物の毛が使われています。 46 00:07:20,940 --> 00:07:26,046 ここでは筆先となる「穂先」を 整えていきます。 47 00:07:28,548 --> 00:07:34,754 毛先のないものや傷んだ毛を 小刀で抜き取る「逆毛取り」。 48 00:07:39,059 --> 00:07:43,697 化粧筆の要は 何と言っても「穂先」です。 49 00:07:43,697 --> 00:07:50,503 この工房の創業者 竹森鉄舟さんが 穂先の仕上げを担います。 50 00:07:53,373 --> 00:08:00,880 人形の顔を描く「面相筆」を作る家に生まれ 父から その技を受け継ぎました。 51 00:08:07,420 --> 00:08:12,125 鉄舟さんが行っているのは 「コマ入れ」という作業。 52 00:08:14,194 --> 00:08:19,032 逆毛取りを終えた穂先を 中をくりぬいた「コマ」に入れ➡ 53 00:08:19,032 --> 00:08:22,135 丸い形にしていきます。 54 00:08:27,440 --> 00:08:32,645 これが コマ。 いわば穂先の「木型」です。 55 00:08:36,149 --> 00:08:43,857 こうして コマの中で丸くした穂先は それぞれが微妙に違う形をしています。 56 00:08:46,559 --> 00:08:50,263 ここで熟練の技の出番。 57 00:08:53,366 --> 00:08:55,802 「揉み出し」です。 58 00:08:55,802 --> 00:09:00,907 手のひらで揉み 穂先の形を作っていくのです。 59 00:09:10,950 --> 00:09:17,657 揉む場所を変えるだけで 穂先の形を自由に変えられるのだとか。 60 00:09:36,910 --> 00:09:42,115 揉む場所を変えるだけで 形が まるで変わりました。 61 00:09:42,115 --> 00:09:48,521 手のひらの感覚を頼りに 穂先を整えていく。 職人技です。 62 00:10:21,888 --> 00:10:24,791 「かわいい」 大事です。 63 00:10:27,994 --> 00:10:32,999 繊細な肌触りを生み出す こだわりの技です。 64 00:10:38,304 --> 00:10:43,143 厳選した素材を惜しみなく使い 技を極めた➡ 65 00:10:43,143 --> 00:10:48,047 鉄舟さんの手による究極の化粧筆です。 66 00:10:52,285 --> 00:10:57,657 え~っとね 確か この中に 入ってたとは思うんですけどね。 67 00:10:57,657 --> 00:11:00,493 刷毛ですか? えっ? ええ ええ。 68 00:11:00,493 --> 00:11:05,865 確かにね この中に入ってたと思うんですよ。 69 00:11:05,865 --> 00:11:08,468 おっ あった あった あった。 70 00:11:08,468 --> 00:11:10,970 これこれ これですよ! うん。 71 00:11:27,320 --> 00:11:31,324 ここに刷毛とブラシの老舗があります。 72 00:11:33,259 --> 00:11:35,395 いらっしゃいませ。 73 00:11:35,395 --> 00:11:41,401 店で扱っている刷毛とブラシは およそ800種という専門店です。 74 00:11:47,040 --> 00:11:51,311 十二代目当主の濱田捷利さんです。 75 00:11:51,311 --> 00:11:55,048 店の創業は なんと江戸中期。 76 00:11:55,048 --> 00:11:59,953 八代将軍 吉宗に屋号を賜ったのだとか。 77 00:12:02,789 --> 00:12:08,561 用途に合わせて作られ 使われてきた江戸の刷毛。 78 00:12:08,561 --> 00:12:14,367 庶民から大奥まで 日常の さまざまな場面で使われていました。 79 00:12:35,288 --> 00:12:41,094 これは漆を塗るための「漆刷毛」。 80 00:12:41,094 --> 00:12:45,732 人の髪の毛 それも 30年以上 乾燥させた➡ 81 00:12:45,732 --> 00:12:50,336 日本女性の髪の毛が最適だと 言われていました。 82 00:12:55,408 --> 00:12:59,012 「江戸刷毛」と名付けられた 刷毛もあります。 83 00:13:02,849 --> 00:13:09,656 掛け軸や屏風 ふすまや障子などの表具に 糊を塗る「糊刷毛」です。 84 00:13:14,227 --> 00:13:19,732 江戸享保年間に書かれた「万金産業袋」。 85 00:13:21,701 --> 00:13:27,307 日用品などのよしあしを 解説したものです。 その中に…。 86 00:13:30,376 --> 00:13:34,280 当時の暮らしには 欠かせないものだったんですね。 87 00:13:41,688 --> 00:13:44,590 江戸刷毛とは どういうものか。 88 00:13:44,590 --> 00:13:47,994 老舗の表具師を訪ねました。 89 00:13:51,831 --> 00:14:00,640 稲崎さんのご先祖は 江戸城への出入りと 名字帯刀を許された表具師の筆頭格。 90 00:14:11,651 --> 00:14:16,456 表具師が糊を塗るのに使う 糊刷毛です。 91 00:14:20,860 --> 00:14:25,365 表具に使う刷毛は他にも たくさんあります。 92 00:14:27,066 --> 00:14:31,571 貼った和紙をしっかり なでつける 「なぜ刷毛」。 93 00:14:36,275 --> 00:14:39,178 こちらは「打ち刷毛」。 94 00:14:39,178 --> 00:14:45,184 たたくことで和紙の繊維が絡まり 強く貼り付くといいます。 95 00:14:50,523 --> 00:14:55,228 細かいところに糊をつける 「切り継ぎ刷毛」。 96 00:15:00,199 --> 00:15:02,301 よい江戸刷毛とは? 97 00:15:07,106 --> 00:15:11,177 わずか この さっき チョンチョンチョンと つけましたけれども➡ 98 00:15:11,177 --> 00:15:13,112 ミリでいけば3ミり➡ 99 00:15:13,112 --> 00:15:19,819 私たちの言い方でいくと約1分を つけていくわけですけれども… 100 00:15:34,934 --> 00:15:39,772 適当なコシが。 強すぎてもいけないし 弱すぎてもいけないという➡ 101 00:15:39,772 --> 00:15:43,476 コシの強さというのが 一番大事になってきますよね。 102 00:15:47,814 --> 00:15:55,121 毛先に糊をつけた時 一直線にそろうのが よい江戸刷毛。 103 00:15:58,925 --> 00:16:01,227 今日 二つ目のツボは… 104 00:16:10,837 --> 00:16:16,642 今も変わらぬ技で 江戸刷毛を作り続ける 親子がいます。 105 00:16:19,545 --> 00:16:24,350 田中重己さん。 この道64年。 106 00:16:27,687 --> 00:16:31,290 息子の田中宏平さん。 107 00:16:35,928 --> 00:16:43,269 江戸の表具師が使った当時のままの姿で 今も使われる江戸刷毛。 108 00:16:43,269 --> 00:16:48,574 田中さんが作る刷毛は 国宝の修復にも使われています。 109 00:16:51,978 --> 00:17:00,086 その国宝とは 安土桃山時代の絵師 狩野永徳による檜図屏風。 110 00:17:02,989 --> 00:17:11,397 経年劣化によって 絵の具が剥落したため 18か月かけて修復が行われました。 111 00:17:15,201 --> 00:17:20,106 その時に使われたのが 田中さんの刷毛でした。 112 00:17:29,348 --> 00:17:33,953 これが田中さんの作った糊刷毛。 113 00:17:36,222 --> 00:17:43,329 刷毛50本分に使う毛の下処理だけで およそ2か月もかかります。 114 00:18:09,889 --> 00:18:13,693 糊刷毛に使う毛は 馬の尻尾。 115 00:18:20,099 --> 00:18:24,704 「先揃え」。 毛先を揃える作業です。 116 00:18:32,445 --> 00:18:38,250 右手で毛先を持ち 丁寧に引き出し 揃えていきます。 117 00:18:43,756 --> 00:18:47,660 刷毛にとって 毛先は命。 118 00:18:50,663 --> 00:18:58,471 さらに逆毛や毛先のないものを 小刀で取り除く「すれ取り」を行います。 119 00:19:06,078 --> 00:19:08,914 毛先を一直線に揃えることで➡ 120 00:19:08,914 --> 00:19:13,519 糊を均等に 和紙につけることが できるのです。 121 00:19:18,958 --> 00:19:23,062 まさに刷毛作りの真骨頂。 122 00:19:28,734 --> 00:19:31,637 そして仕上げ。 123 00:19:45,117 --> 00:19:50,222 檜の板を三味線の糸で とじていきます。 124 00:20:12,945 --> 00:20:20,753 余分なものは一切なく ただただ 仕事をするためだけに作られた姿。 125 00:20:24,323 --> 00:20:31,430 丁寧な仕事が生み出した 江戸のよきものが ここにありました。 126 00:20:43,309 --> 00:20:46,912 (鼻歌) 127 00:20:56,522 --> 00:20:58,524 ん? 128 00:21:00,893 --> 00:21:03,929 あ? えっ どうしたんですか? 129 00:21:03,929 --> 00:21:09,602 えっ これ… 下の段からかな? 130 00:21:09,602 --> 00:21:12,972 それとも これ 上の段から? 131 00:21:12,972 --> 00:21:15,174 え? これ どっちからだっけね…。 132 00:21:26,519 --> 00:21:31,223 大阪。 かつて船場といわれた辺り。 133 00:21:33,626 --> 00:21:39,632 靴ブラシがブームの今 マニアにとって 垂ぜんのお店があります。 134 00:21:43,702 --> 00:21:50,810 2018年「靴磨き日本選手権」で優勝した 石見さんのお店。 135 00:21:53,412 --> 00:21:56,415 プロの靴磨きを見せてもらいました。 136 00:22:02,688 --> 00:22:07,293 まず馬毛のブラシで 丁寧に汚れを取ります。 137 00:22:13,065 --> 00:22:17,703 表面に残る古い油や ろうを取り除いたあと➡ 138 00:22:17,703 --> 00:22:20,005 クリームを塗っていきます。 139 00:22:25,177 --> 00:22:29,048 次に使うのが 豚毛のブラシ。 140 00:22:29,048 --> 00:22:33,385 コシがあって硬い豚毛は クリームを均一に伸ばし➡ 141 00:22:33,385 --> 00:22:36,689 靴を輝かせることができます。 142 00:22:42,628 --> 00:22:49,835 修業中 石見さんは3年で 実に2万足を超える靴を磨いたとか。 143 00:22:56,175 --> 00:22:59,612 最後に使うブラシがヤギ。 144 00:22:59,612 --> 00:23:03,449 ワックスを 少しの水を含ませた ヤギのブラシで➡ 145 00:23:03,449 --> 00:23:06,552 靴全体に行き渡らせます。 146 00:23:19,899 --> 00:23:23,102 これで終わりです。 147 00:23:23,102 --> 00:23:27,806 一足にかかる時間は 40分から1時間。 148 00:23:37,483 --> 00:23:40,786 つま先は まるで鏡。 149 00:23:44,256 --> 00:23:47,860 石見さんにとって 靴ブラシとは? 150 00:23:58,737 --> 00:24:00,939 靴ブラシ…。 151 00:24:03,909 --> 00:24:09,915 道具は道具ですけど やはり その何か… 152 00:24:30,703 --> 00:24:33,205 今日 三つ目のツボは… 153 00:24:42,815 --> 00:24:48,620 東京・亀戸。 下町の住宅街の奥。 154 00:24:54,727 --> 00:24:59,732 ここは オーダーメードの靴ブラシを作る 工房です。 155 00:25:24,089 --> 00:25:29,461 毛の種類や長さ 持ち手の大きさや形 色など➡ 156 00:25:29,461 --> 00:25:33,665 使う人の注文に応じて組み合わせます。 157 00:25:41,707 --> 00:25:47,613 寺沢さんが作るブラシの毛は なんと 全て手植え。 158 00:25:52,117 --> 00:25:57,523 先代の父から受け継いだ 「手植えブラシ」の技法です。 159 00:26:00,826 --> 00:26:07,266 大切なことの一つが 毛を植える穴の形。 160 00:26:07,266 --> 00:26:12,871 表は大きく 裏は小さく 穴を開けていきます。 161 00:26:12,871 --> 00:26:19,078 大きい穴から二つ折りにした毛の束を入れ 裏から留めるためです。 162 00:26:22,548 --> 00:26:26,351 こうすることで 毛が抜けにくくなります。 163 00:26:30,322 --> 00:26:33,725 使うのは専用の工具。 164 00:26:42,568 --> 00:26:45,270 そして手植え。 165 00:26:49,875 --> 00:26:55,681 小さな穴のほうから ステンレスの針金を通し➡ 166 00:26:55,681 --> 00:27:02,287 指で毛の束をつまみ 針金で引っかけ 引っ張って留める。 167 00:27:19,338 --> 00:27:23,876 はかりを使うわけではなく 寺沢さんの指先は➡ 168 00:27:23,876 --> 00:27:28,480 正確に同じ量の毛を植えていきます。 169 00:27:38,457 --> 00:27:41,560 最後に毛先を揃えます。 170 00:28:01,613 --> 00:28:03,715 はい 出来上がりました。 171 00:28:06,752 --> 00:28:13,058 ブラシの毛先が まるで木の板から 自然に生えてきたようです。 172 00:28:15,894 --> 00:28:20,666 靴の輝きを引き立てる 極上のパートナー。 173 00:28:20,666 --> 00:28:24,570 今日も紳士の足元を彩ります。 174 00:28:30,342 --> 00:28:32,277 きれいに貼れましたね。 175 00:28:32,277 --> 00:28:36,582 そうでしょう? 我ながら よくできました。 176 00:28:36,582 --> 00:28:38,584 あれ? 177 00:28:42,287 --> 00:28:48,660 次は靴磨きですね。 ええ 何でも磨きますよ。 178 00:28:48,660 --> 00:28:53,265 しかし これ…。 179 00:28:53,265 --> 00:28:55,200 これ どう磨こう? 180 00:28:55,200 --> 00:28:57,202 さあ…。