1 00:00:01,235 --> 00:00:29,529 ♬~ 2 00:00:35,736 --> 00:00:37,704 あ… いいね。 3 00:00:37,704 --> 00:00:40,607 草刈さん 何してるんですか? 4 00:00:40,607 --> 00:00:44,845 え? いや たまにはね 気分を変えようと 思いましてね。 5 00:00:44,845 --> 00:00:48,282 ほら タペストリー。 6 00:00:48,282 --> 00:00:53,754 いやね 蔵にあったものなんだけどね いいんじゃない。 7 00:00:53,754 --> 00:00:57,457 でも 何なんだろうね これね。 8 00:00:57,457 --> 00:01:00,427 それ 草木染めじゃないですか? 9 00:01:00,427 --> 00:01:02,930 えっ 草木染め? 10 00:01:06,166 --> 00:01:13,674 植物が蓄える色を糸や布などに染める営み 「草木染め」。 11 00:01:18,211 --> 00:01:22,816 草木染めに人生をささげる染織家。 12 00:01:24,685 --> 00:01:31,491 その部屋には 時を重ねて深みを増す 草木の色が。 13 00:01:36,964 --> 00:01:43,270 伊勢神宮の神に奉る 草木染めの織物。 14 00:01:43,270 --> 00:01:48,842 それは恵みへの感謝と祈りの色。 15 00:01:48,842 --> 00:01:53,447 今回 特別に テレビでの撮影が 許されました。 16 00:01:55,615 --> 00:02:01,722 人間が植物に寄り添って初めて この世に現れる色。 17 00:02:04,324 --> 00:02:08,729 今日は「草木の色の宇宙」を巡ります。 18 00:02:26,313 --> 00:02:31,118 瀬戸内海に浮かぶ 豊島の小さなアトリエ。 19 00:02:33,487 --> 00:02:36,089 蔵をリノベーションした空間に➡ 20 00:02:36,089 --> 00:02:42,195 東京のセレクトショップでも大人気の アクセサリーが並んでいます。 21 00:02:45,632 --> 00:02:50,937 愛らしい花の姿をした 布のコサージュ。 22 00:02:53,140 --> 00:02:58,045 全て草木で染めた材料で作られています。 23 00:03:02,582 --> 00:03:08,388 草木の成長を見守るように だんだん変わってゆく色を育てるのも➡ 24 00:03:08,388 --> 00:03:11,591 楽しみ方の一つだそう。 25 00:03:14,795 --> 00:03:18,999 手がけたのはデザイナー 浅田真理子さん。 26 00:03:21,568 --> 00:03:28,375 自然のそばで暮らし 色の世界を 広げたいと 豊島に移住しました。 27 00:03:39,086 --> 00:03:41,088 中は ちょっと アクセントに… 28 00:03:47,828 --> 00:03:51,198 材料となる布やフェルトのほか➡ 29 00:03:51,198 --> 00:03:54,101 リボン 糸などの細かいパーツまで➡ 30 00:03:54,101 --> 00:03:57,904 全てを豊島の植物で染めています。 31 00:04:00,240 --> 00:04:07,347 本当 自然の中で 季節ごとに授かる恵みで いろいろ染めるということで➡ 32 00:04:07,347 --> 00:04:11,051 色が強いというか これだけ… 33 00:04:15,222 --> 00:04:20,694 極力 デザイン自体は 植物そのものだったりとか➡ 34 00:04:20,694 --> 00:04:26,466 自然そのものの存在が一番大きいから それをそのまま身につけるのが➡ 35 00:04:26,466 --> 00:04:30,470 一番 つける方にも お守りにもなるし➡ 36 00:04:30,470 --> 00:04:33,974 癒やされるんじゃないかなと 思っています。 37 00:04:38,078 --> 00:04:40,680 今日 最初のツボは… 38 00:04:49,823 --> 00:04:57,130 浅田さん 制作以外の時間は 畑仕事で大忙し。 39 00:04:57,130 --> 00:05:03,537 夫の美樹雄さんとともに 染料となる植物を育てています。 40 00:05:08,175 --> 00:05:13,480 赤じそは真理子さんが 好きな染料の一つです。 41 00:05:17,751 --> 00:05:21,354 染めるのは自宅の庭先。 42 00:05:23,056 --> 00:05:25,158 足していきます。 43 00:05:27,027 --> 00:05:31,364 草木によって色の取り出し方は さまざま。 44 00:05:31,364 --> 00:05:34,768 赤じそは お湯で煮出します。 45 00:05:38,605 --> 00:05:43,610 赤じそ そのままの 透明感ある赤紫。 46 00:05:45,445 --> 00:05:48,715 これ 入れていきます。 47 00:05:48,715 --> 00:05:53,119 これだけでも十分きれいな色 ですが…。 48 00:05:56,189 --> 00:05:59,025 染めた素材をさらに発色させ➡ 49 00:05:59,025 --> 00:06:02,896 色を定着させる媒染という 工程によって➡ 50 00:06:02,896 --> 00:06:06,600 青みがかった紫が現れました。 51 00:06:10,637 --> 00:06:15,141 草木の色とともにある浅田夫妻の暮らし。 52 00:06:15,141 --> 00:06:19,012 実は2人の服も。 53 00:06:19,012 --> 00:06:22,382 これ 栗の木で この時期になると➡ 54 00:06:22,382 --> 00:06:26,319 ちょっと風が強いと 勝手に こうやって落ちるんですよ。 55 00:06:26,319 --> 00:06:29,522 これで染めたのが このパンツが そうなんですけど。 56 00:06:31,591 --> 00:06:38,398 古くなったり汚れたりした服も 草木の色で染め直せば生まれ変わる。 57 00:06:40,300 --> 00:06:42,402 え~っ 靴も? 58 00:06:46,473 --> 00:06:51,344 染めて まとって 色と一緒に存在する。 59 00:06:51,344 --> 00:06:56,850 人のいのちも 草木のいのちも巡る 暮らしのすすめ。 60 00:07:04,858 --> 00:07:13,700 こう… 色とりどりの花畑の向こう側に 青空が広がっていくようだね。 61 00:07:13,700 --> 00:07:20,240 でも この青 何の色だろう? 62 00:07:20,240 --> 00:07:22,976 藍に決まってるでしょ! 63 00:07:22,976 --> 00:07:25,945 え? 布が しゃべった。 64 00:07:25,945 --> 00:07:29,849 青は藍よりいでて 藍より青し。 65 00:07:29,849 --> 00:07:33,219 え? 私は? 66 00:07:33,219 --> 00:07:40,293 ♬「おまえのような花だった」 67 00:07:40,293 --> 00:07:42,962 あ くちなしじゃん。 ご名答。 68 00:07:42,962 --> 00:07:46,166 花じゃなくて 実の部分だ・が・ね。 69 00:07:46,166 --> 00:07:48,168 あ… そう。 70 00:07:58,745 --> 00:08:04,017 ほんのりと不思議な光沢を放つ ピンク色。 71 00:08:04,017 --> 00:08:08,621 紅花で染めた糸で織り上げた着物です。 72 00:08:10,523 --> 00:08:13,927 この色は自然のタイミングを見計らい➡ 73 00:08:13,927 --> 00:08:19,232 とてつもない手間ひまをかけて 初めて生まれます。 74 00:08:24,571 --> 00:08:27,540 早朝5時。 75 00:08:27,540 --> 00:08:36,249 山形県米沢市 最上川の源流に程近い 紅花畑には 既に人の姿が。 76 00:08:40,353 --> 00:08:42,889 紅花を摘むことができるのは➡ 77 00:08:42,889 --> 00:08:49,095 朝露にぬれて トゲが寝ている 日の出前の時間だけ。 78 00:08:51,264 --> 00:08:57,971 そんな紅花の色に魅せられている染織家 山岸幸一さんです。 79 00:09:01,641 --> 00:09:06,613 この白い部分 紅の色素をしっかり そこで保たれて➡ 80 00:09:06,613 --> 00:09:09,816 一番いい色素が とれるわけで。 81 00:09:13,086 --> 00:09:16,489 ここからは太陽の出番。 82 00:09:18,224 --> 00:09:26,433 花びらを むしろに広げて発酵させながら だんだんと色を引き出してゆきます。 83 00:09:26,433 --> 00:09:29,869 陰干しにして ゆっくり ゆっくり。 84 00:09:29,869 --> 00:09:32,072 一日がかりです。 85 00:09:38,111 --> 00:09:45,218 夕方 うすで つくことで 花弁を傷つけて酸化させ 赤みを出します。 86 00:09:47,654 --> 00:09:53,159 玉虫色の輝きを見せるようになったら 完成間近。 87 00:09:56,663 --> 00:10:02,802 染料として保存しやすいよう 平たいお餅のようにします。 88 00:10:02,802 --> 00:10:10,410 これだけ時間をかけて ようやく紅花は 「紅餅」と呼ばれる染料に姿を変えます。 89 00:10:13,546 --> 00:10:19,452 でも これらの紅餅が活躍するのは しばらく先。 90 00:10:37,103 --> 00:10:39,706 今日 二つ目のツボは… 91 00:10:49,249 --> 00:10:54,154 山岸さんは もともと 織物業を営む家に生まれ➡ 92 00:10:54,154 --> 00:10:58,758 機械織と化学染料に携わっていました。 93 00:11:01,661 --> 00:11:05,565 ある時 祖父の代の手機で 織ってみたところ➡ 94 00:11:05,565 --> 00:11:10,069 手織りの風合いに魅せられたという 山岸さん。 95 00:11:12,172 --> 00:11:19,879 以来 半世紀 素材を生かし さまざまな 草木の色を生み出してきました。 96 00:11:30,390 --> 00:11:32,492 実は ここにもね…。 97 00:11:34,360 --> 00:11:38,865 この糸というのは 生きてるから捨てられないんですよ。 98 00:11:40,633 --> 00:11:46,039 静かに呼吸しながら 出番を待つ糸たち。 99 00:11:48,374 --> 00:11:56,049 冬から春の間に2~3回 染め重ね 次の冬まで糸を休ませる。 100 00:11:56,049 --> 00:12:01,254 これを3年は繰り返し あとは寝かせておきます。 101 00:12:01,254 --> 00:12:09,262 糸も自らの手で作ることで ゆっくりと 芯まで色が染まってゆくといいます。 102 00:12:20,006 --> 00:12:25,511 これは ちょっと… あまり人には お見せしてないんですけども。 103 00:12:28,381 --> 00:12:31,718 これは 10年くらいになってますよね。 104 00:12:31,718 --> 00:12:36,489 これなんか ほら 真綿で こんな色してるの ないよね。 105 00:12:36,489 --> 00:12:38,992 あめ色っていうかね。 106 00:12:40,893 --> 00:12:44,497 さらに とてつもない糸が。 107 00:12:46,299 --> 00:12:51,304 時をかけて熟成させることで 深みを増す色。 108 00:12:57,644 --> 00:13:01,514 天然染料で染めたものは 時間がかかる。 109 00:13:01,514 --> 00:13:08,421 かかるんだけども 出来上がったものが 全く生きてるんですよね。 110 00:13:10,556 --> 00:13:17,096 植物 あるいは素材 それに合わせた やり方をしていくことによって➡ 111 00:13:17,096 --> 00:13:21,100 今までにない価値観が感じられたんです 私はね。 112 00:13:31,144 --> 00:13:36,949 自然と時間の力を借りて 山岸さんが目指す色。 113 00:14:14,721 --> 00:14:19,625 人と自然が呼吸を合わせて 重ねていく「時」が➡ 114 00:14:19,625 --> 00:14:23,229 まだ見ぬ色を育んでいきます。 115 00:14:38,378 --> 00:14:43,116 いや~ 植物に すてきな色が 隠れてるなんて➡ 116 00:14:43,116 --> 00:14:46,119 今まで気付かなかったね。 117 00:14:48,921 --> 00:14:53,726 柿の木のカキちゃん 君は どんな色をしてるの? 118 00:14:55,495 --> 00:14:58,798 槇の木のマキちゃん 君は? 119 00:15:00,666 --> 00:15:02,668 えっ そうなの? 120 00:15:16,449 --> 00:15:22,889 20年に一度 新しく社殿を建て替え 神様に お遷りいただく➡ 121 00:15:22,889 --> 00:15:27,093 式年遷宮が行われます。 122 00:15:27,093 --> 00:15:32,498 1,300年にわたり続いてきた 重要なお祭りです。 123 00:15:35,768 --> 00:15:42,542 実は作り替えられるのは 社殿だけではありません。 124 00:15:42,542 --> 00:15:51,584 神様が使う日用品 武具や楽器など 1,576点に及ぶ御神宝も全て➡ 125 00:15:51,584 --> 00:15:56,189 式年遷宮のたびに 作り替えられてきました。 126 00:16:00,726 --> 00:16:06,199 御神宝は いにしえに定められたとおりの 形と寸法➡ 127 00:16:06,199 --> 00:16:12,405 伝統的な材料や技法を尊重して 制作することが原則です。 128 00:16:15,441 --> 00:16:20,246 制作に携わる職人は およそ2,000人。 129 00:16:20,246 --> 00:16:24,851 そのうち半数が 「染織」に関わるといいます。 130 00:16:30,656 --> 00:16:34,227 武具や器物が要所にまとう 織物や組みひもは➡ 131 00:16:34,227 --> 00:16:39,065 その華麗かつ厳かな色彩で 日常の用具を超越した➡ 132 00:16:39,065 --> 00:16:41,968 御神宝にふさわしい 威厳をととのえます。 133 00:16:49,275 --> 00:16:55,781 織物の染織には従来 紅花 茜 紫根 藍 黄蘗など➡ 134 00:16:55,781 --> 00:17:01,320 東北地方から沖縄地方に至る 全国各地の生産地から寄せられた➡ 135 00:17:01,320 --> 00:17:05,625 古代以来の植物染料が尊重されています。 136 00:17:08,761 --> 00:17:15,234 これは式年遷宮のたびに作られる 裂の見本帳。 137 00:17:15,234 --> 00:17:20,439 織物が いかに重要視されてきたかが うかがえる史料です。 138 00:17:25,578 --> 00:17:30,283 現存する最古のものは 江戸時代前期。 139 00:17:30,283 --> 00:17:36,689 紋様や色彩を正確に再現するため 代々 残されてきました。 140 00:17:42,361 --> 00:17:46,332 その時代ごとに自然の素材と向き合い➡ 141 00:17:46,332 --> 00:17:50,036 一番よいものを 神様へ ささげようとした➡ 142 00:17:50,036 --> 00:17:54,540 先人たちの手業と思いが 詰まっています。 143 00:17:58,744 --> 00:18:04,550 現存する御神宝の中でも 「最高水準の色」と伝えられるのが➡ 144 00:18:04,550 --> 00:18:09,855 昭和4年の式年遷宮で奉納された織物。 145 00:18:11,824 --> 00:18:20,066 神様の最もそば近くに まつることから 御神宝を代表する品目とされる装束。 146 00:18:20,066 --> 00:18:24,971 今回 特別に テレビでの撮影が 許されました。 147 00:18:34,647 --> 00:18:40,953 100年近い時を経てなお 鮮やかな緋色の装束。 148 00:18:47,760 --> 00:18:53,265 鬱金で下染めをしたあと 紅花で重ね染めをしています。 149 00:19:04,010 --> 00:19:10,416 つがいのセキレイの紋様は 鬱金の黄色で織り出されています。 150 00:19:17,056 --> 00:19:23,829 御神宝の図案も 式年遷宮のたびごとに 写されてきました。 151 00:19:23,829 --> 00:19:27,433 手から手へつながる 美のバトン。 152 00:19:32,204 --> 00:19:38,978 こちらは繧繝と呼ばれる グラデーションを表す装束。 153 00:19:38,978 --> 00:19:41,981 高度な手業が求められます。 154 00:19:45,584 --> 00:19:48,621 藍と黄蘗で萌黄色。 155 00:19:48,621 --> 00:19:52,458 蘇芳とヤマモモの皮で茶色。 156 00:19:52,458 --> 00:19:58,964 さまざまな染料を組み合わせ 無数の色を生み出さなくてはなりません。 157 00:20:01,100 --> 00:20:07,707 こうした織物を全て合わせると 長さは およそ14キロメートル➡ 158 00:20:07,707 --> 00:20:13,212 材料となる植物染料は 1トンに達するといいます。 159 00:20:21,253 --> 00:20:28,360 装束の中で唯一 糸からではなく 裂の状態で染めるもの。 160 00:20:32,431 --> 00:20:42,074 紫根や蘇芳 藍 黄蘗などによって 彩り豊かな花の紋様が表されています。 161 00:20:42,074 --> 00:20:48,013 こうした御神宝を古式にのっとり 草木染めで制作することは➡ 162 00:20:48,013 --> 00:20:51,751 容易ではないといいます。 163 00:20:51,751 --> 00:20:55,521 御神宝制作の基盤となる 旧来の染織工芸は➡ 164 00:20:55,521 --> 00:20:59,024 需要と担い手が減少する状況が続き 特に… 165 00:21:06,265 --> 00:21:08,467 このような時代背景の中にあっても… 166 00:21:18,744 --> 00:21:22,381 きたる式年遷宮に向けても 作り手の皆様とともに➡ 167 00:21:22,381 --> 00:21:25,384 その歩みは粛々と進められています。 168 00:21:28,954 --> 00:21:37,263 現在 正殿に おさめられているのは 平成25年の式年遷宮の御神宝。 169 00:21:39,265 --> 00:21:43,202 昭和4年以来 ほぼ全ての織物を➡ 170 00:21:43,202 --> 00:21:46,805 草木染めで仕上げることができたと いいます。 171 00:21:52,511 --> 00:21:58,317 四季折々 豊かな表情を見せる日本の風土。 172 00:21:58,317 --> 00:22:02,021 その健やかさをうつしだす彩り。 173 00:22:04,123 --> 00:22:10,729 恵みに感謝と祈りを込めて 神様にささげる草木の色。 174 00:22:12,765 --> 00:22:14,867 今日 最後のツボは… 175 00:22:23,442 --> 00:22:31,550 今年6月 石牟礼道子原作の 新作能「沖宮」が上演されました。 176 00:22:33,519 --> 00:22:40,960 干ばつに苦しむ村のため 雨の神 竜神へのいけにえとなる少女。 177 00:22:40,960 --> 00:22:50,202 天草四郎の亡霊が いのちの母なる神が 住まう沖宮へと少女をいざないます。 178 00:22:50,202 --> 00:22:57,710 草木で染めた水縹色と 紅花で染めた緋色の衣が舞台を彩ります。 179 00:23:02,248 --> 00:23:10,055 その衣装を監修したのは 染織家の人間国宝 志村ふくみさんです。 180 00:23:13,926 --> 00:23:20,766 草木から いただく色で 豊かな情景を織り上げる志村さん。 181 00:23:20,766 --> 00:23:23,902 これは むべですよ。 182 00:23:23,902 --> 00:23:27,606 人生をかけて 植物の声に耳を傾け➡ 183 00:23:27,606 --> 00:23:33,112 色の向こうに広がる世界に 思いをはせてきました。 184 00:23:36,248 --> 00:23:41,120 こんな時代になってね 植物がね 一生懸命ね➡ 185 00:23:41,120 --> 00:23:44,924 人間 人類に語りかけてるような 気がするのよね。 186 00:23:44,924 --> 00:23:51,230 それなのにね 人間は ちっとも それをね 耳を貸さないで➡ 187 00:23:51,230 --> 00:23:55,034 もう全く逆方向に向かって 進んでいるのがね➡ 188 00:23:55,034 --> 00:23:57,269 たまらないほど悲しいけど➡ 189 00:23:57,269 --> 00:24:05,644 でもね きっとね 草木のね そういう 本当のね 声はね➡ 190 00:24:05,644 --> 00:24:10,482 聞く人にはね 聞こえてくると思う。 受け止める人は受け止めると思う。 191 00:24:10,482 --> 00:24:12,785 私は それを信じてます。 192 00:24:15,321 --> 00:24:21,593 志村さんが思いを託した「沖宮」が 今年 再演されるにあたり➡ 193 00:24:21,593 --> 00:24:25,097 新しい登場人物が生まれました。 194 00:24:26,865 --> 00:24:32,671 自然界の精霊である竜の女神 大妣君です。 195 00:24:35,040 --> 00:24:40,713 この世ならざる存在には どのような色が ふさわしいのか。 196 00:24:40,713 --> 00:24:46,485 志村ふくみさんとともに監修を務めた 娘の洋子さんが中心となり➡ 197 00:24:46,485 --> 00:24:49,488 制作に取り組みました。 198 00:24:53,993 --> 00:24:57,196 選んだのは紫根。 199 00:24:57,196 --> 00:25:04,803 古来 高貴な色とされ 少しの温度の違いで 濁ってしまう 手ごわい色です。 200 00:25:06,472 --> 00:25:08,474 染めます。 201 00:25:22,254 --> 00:25:24,356 だいぶ濃くなってますね。 202 00:25:29,027 --> 00:25:33,232 その場その場に定着しなくて いつも あっち行ったり こっち行ったり… 203 00:25:44,476 --> 00:25:48,480 わあ きれい。 大人の紫やね。 204 00:25:50,215 --> 00:25:53,218 太陽の光で見たら全然違うね。 そうですね。 205 00:25:56,121 --> 00:25:58,123 わあ きれい。 206 00:26:02,928 --> 00:26:09,935 大いなる存在 竜の女神・大妣君がまとう 衣装です。 207 00:26:18,944 --> 00:26:24,349 市松模様に配置された 存在感のある紫。 208 00:26:26,685 --> 00:26:33,292 その紫を切り裂くように走るのは たまねぎで染め出した金茶。 209 00:26:36,995 --> 00:26:43,902 雷鳴とどろく中 竜の女神が現れた時の 稲妻を表現しました。 210 00:26:46,672 --> 00:26:53,779 その稲妻とともに いけにえの少女は 海へと沈んでゆくのです。 211 00:27:07,759 --> 00:27:14,132 大妣君が悲しみというものを表現する時に その悲しみを引き出す時に➡ 212 00:27:14,132 --> 00:27:19,571 色が大変 お手伝いをして 紫と金色が お互い光り合って➡ 213 00:27:19,571 --> 00:27:24,877 金色の涙が はらはらと こぼれて 落ちてるような 私は印象を受けました。 214 00:27:30,215 --> 00:27:35,487 草木の精霊も そこにいるので それと いろんな大いなる魂というのが➡ 215 00:27:35,487 --> 00:27:40,692 そこで また親和して 力を発揮するのではないですかね。 216 00:27:49,701 --> 00:27:52,604 神様にささげるということだったので。 217 00:27:52,604 --> 00:27:54,540 それをいつの間にか忘れてしまって➡ 218 00:27:54,540 --> 00:27:57,376 人間が楽しむという方向に なってますけど➡ 219 00:27:57,376 --> 00:28:02,381 本来は神様に おささげする ということだと思いますけど。 220 00:28:04,883 --> 00:28:10,989 深えんな いのちの宇宙にいざなう 草木の色です。 221 00:28:28,640 --> 00:28:31,610 そうか。 222 00:28:31,610 --> 00:28:34,213 草木が見せてくれる色は…。 223 00:28:39,117 --> 00:28:41,587 「いのちの色」だったんだね。 224 00:28:41,587 --> 00:28:57,202 ♬~