1 00:00:37,877 --> 00:00:40,880 (栞子)<ある1冊の本と 出合うことによって➡ 2 00:00:40,880 --> 00:00:46,886 人生観が変わる。 そういう経験の ある人は 少なくないと思います> 3 00:00:46,886 --> 00:00:49,889 <そこに つづられた言葉には➡ 4 00:00:49,889 --> 00:00:53,893 それだけの力が 宿っているということです> 5 00:00:53,893 --> 00:00:56,896 <そんな 掛け替えのない 1冊を➡ 6 00:00:56,896 --> 00:01:01,901 あえて 手放す理由が あるとしたら➡ 7 00:01:01,901 --> 00:01:04,901 どんなことが 考えられるでしょうか?> 8 00:01:06,906 --> 00:01:21,921 ♬~ 9 00:01:21,921 --> 00:01:33,866 ♬~ 10 00:01:33,866 --> 00:01:38,871 ≪(パトカーのサイレン) 11 00:01:38,871 --> 00:01:48,881 ♬~ 12 00:01:48,881 --> 00:01:50,881 ≪(戸の開く音) 13 00:01:52,885 --> 00:01:55,888 ≪(戸の閉まる音) 14 00:01:55,888 --> 00:02:07,900 ♬~ 15 00:02:07,900 --> 00:02:10,903 (栞子)いらっしゃいませ。 16 00:02:10,903 --> 00:02:14,907 (昌志)この本を 買ってもらいたい。 17 00:02:14,907 --> 00:02:18,907 (大輔)こちらに お名前と住所の ご記入を お願いします。 18 00:02:28,921 --> 00:02:30,923 (大輔)査定しますので 少々 お待ちください。 19 00:02:30,923 --> 00:02:33,860 (昌志)いや。 あした また来る。 (大輔)でも すぐに。 20 00:02:33,860 --> 00:02:37,860 (昌志)午後4時に 来るから。 (大輔)あっ。 ちょっ。 21 00:02:44,871 --> 00:02:48,875 (大輔)何か すごく 怪しい人でしたね。 22 00:02:48,875 --> 00:02:51,878 青木文庫ですね。 (大輔)えっ!? 23 00:02:51,878 --> 00:02:55,882 久しぶりに 見ました。 今は ないんですよ。 この文庫。 24 00:02:55,882 --> 00:02:58,885 (大輔)高く売れる 本なんですか? そうでもありません。 25 00:02:58,885 --> 00:03:01,888 でも あまり見ない 本なんですよね? 26 00:03:01,888 --> 00:03:05,892 いい本ですけど これは 状態もよくないですし➡ 27 00:03:05,892 --> 00:03:09,896 売値で 500円くらいでしょうか。 そういうもんですか。 28 00:03:09,896 --> 00:03:12,899 青木文庫は 1950年代から➡ 29 00:03:12,899 --> 00:03:15,902 30年ほど 刊行されていた 総合文庫で➡ 30 00:03:15,902 --> 00:03:19,906 社会科学の理論書や 昔の共産圏の 文学作品の多くが➡ 31 00:03:19,906 --> 00:03:21,908 ここから 世に出ていました。 32 00:03:21,908 --> 00:03:25,912 『論理學入門』は 書名どおり 論理学の解説書で➡ 33 00:03:25,912 --> 00:03:28,915 長い間 版を重ねている ロングセラーです。 34 00:03:28,915 --> 00:03:31,934 論理学って 何ですか? この本で解説されているのは➡ 35 00:03:31,934 --> 00:03:34,854 形式論理学ですが 簡単な例では➡ 36 00:03:34,854 --> 00:03:40,860 A=B。 B=C。 故に A=Cといったような。 37 00:03:40,860 --> 00:03:43,863 ああ。 三段論法でしたっけ? 38 00:03:43,863 --> 00:03:47,867 はい。 そういった推論を 導きだすための 判断の構造を➡ 39 00:03:47,867 --> 00:03:51,871 形式的に説明するのが 形式論理学です。 40 00:03:51,871 --> 00:03:55,875 はあ。 これは 初版ですね。 41 00:03:55,875 --> 00:03:59,875 「一九五五年」 60年近く前ですね。 42 00:04:01,881 --> 00:04:05,881 あっ。 何ですか? 43 00:04:14,894 --> 00:04:16,894 篠川さん? 44 00:04:18,898 --> 00:04:24,904 刑務所の図書館などから 受刑者に 貸し出される本を 官本。 45 00:04:24,904 --> 00:04:28,908 受刑者が 私物として 持っている本を 私本といいます。 46 00:04:28,908 --> 00:04:30,910 えっ? 47 00:04:30,910 --> 00:04:33,846 これは 私本に貼られる 許可証です。 48 00:04:33,846 --> 00:04:37,850 あの人 刑務所に いたってことですか? 49 00:04:37,850 --> 00:04:43,850 おそらく。 一〇九は 受刑者番号だと 思います。 50 00:04:45,858 --> 00:04:48,861 (藤波)脱走犯だったりして。 51 00:04:48,861 --> 00:04:50,863 ああ。 藤波さん。 52 00:04:50,863 --> 00:04:52,865 (藤波)近くに来たからね 寄ってみた。 53 00:04:52,865 --> 00:04:55,868 いつの間に? 知ってる? 54 00:04:55,868 --> 00:04:59,872 神奈川の刑務所から 脱走した 殺人犯のこと。 55 00:04:59,872 --> 00:05:04,877 殺人犯? 知らないんだ。 56 00:05:04,877 --> 00:05:09,882 外壁補修のために組んだ 足場を使って 逃げたんだってさ。 57 00:05:09,882 --> 00:05:12,885 鎌倉駅で 目撃情報があって➡ 58 00:05:12,885 --> 00:05:15,888 今 必死で 捜索してるらしいよ。 59 00:05:15,888 --> 00:05:20,893 えっ? マジですか? 60 00:05:20,893 --> 00:05:25,898 それ 持ってきたの 脱走犯なんじゃないの? 61 00:05:25,898 --> 00:05:29,902 ハハッ。 ハハハ。 そんな まさか。 62 00:05:29,902 --> 00:05:35,841 どんな男だった? ニュースでは 身長 175cm 中肉中背。➡ 63 00:05:35,841 --> 00:05:40,841 ニット帽に サングラスを 着用してたって 言ってたけど? 64 00:05:43,849 --> 00:05:51,857 ♬~ 65 00:05:51,857 --> 00:06:01,857 ♬~ 66 00:08:05,858 --> 00:08:07,860 (志田)脱走犯? 刑務所の許可証が 貼ってあるからって➡ 67 00:08:07,860 --> 00:08:09,862 そりゃ 飛躍し過ぎだろ。 (アナウンサー)「無期懲役の判決を受け➡ 68 00:08:09,862 --> 00:08:11,864 服役中でした」➡ 69 00:08:11,864 --> 00:08:15,868 「男は 身長 175cmの 中肉中背で」 70 00:08:15,868 --> 00:08:18,871 ヤバい。 そっくり。 そっくりですよ。 71 00:08:18,871 --> 00:08:20,873 (志田)ない ない ない。 それに 何か➡ 72 00:08:20,873 --> 00:08:23,876 様子も おかしかったんですよ。 ねえ? 73 00:08:23,876 --> 00:08:26,879 ええ。 まあ。 (志田)おかしいって どんなふうに。 74 00:08:26,879 --> 00:08:30,883 何か かなり 慌ててた様子で 査定も待たずに 帰っちゃって。 75 00:08:30,883 --> 00:08:34,887 あと 買い取り表も。 ほら。 字が はみ出てるでしょ。 76 00:08:34,887 --> 00:08:36,889 (志田)きったねえ字だな。 77 00:08:36,889 --> 00:08:40,893 帽子 かぶって サングラス 掛けて コートのボタンも ちぐはぐだし。 78 00:08:40,893 --> 00:08:42,895 とにかく 怪しさ満点だったんですよ。 79 00:08:42,895 --> 00:08:44,897 (藤波)やっぱり 決まりだな。 80 00:08:44,897 --> 00:08:48,901 ああ。 まだ いたんですか? (志田)誰だ? 81 00:08:48,901 --> 00:08:52,905 あっ。 松宮町に 廿庵っていう 甘味どころが あるんですけど➡ 82 00:08:52,905 --> 00:08:55,908 そこの マスターです。 藤波です。 83 00:08:55,908 --> 00:09:00,913 慌てていたのは 当然 警察に追われていたからだ。 84 00:09:00,913 --> 00:09:04,850 それに 脱走犯が逃亡したのは 朝方で➡ 85 00:09:04,850 --> 00:09:07,853 鎌倉駅で 目撃されたときは まだ 囚人用の➡ 86 00:09:07,853 --> 00:09:10,856 作業着姿だった。 ということは➡ 87 00:09:10,856 --> 00:09:13,859 コートは 寒さに耐え切れず どっかで 盗んだものだろう。➡ 88 00:09:13,859 --> 00:09:16,862 急いで 着たせいで ボタンを 掛け違えたんじゃないか?➡ 89 00:09:16,862 --> 00:09:18,864 字が汚くて はみ出していたのも➡ 90 00:09:18,864 --> 00:09:21,867 寒さと 疲労で 手が震えていたんだよ。 91 00:09:21,867 --> 00:09:23,869 あっ! (志田)なるほど。 92 00:09:23,869 --> 00:09:26,872 そうでしょうか? 93 00:09:26,872 --> 00:09:33,879 何か 異論でも? では 想像してみてください。 94 00:09:33,879 --> 00:09:36,879 はっ? ああ はい。 95 00:09:38,884 --> 00:09:43,884 あなたは 今 警察に追われて 逃げています。 96 00:09:47,893 --> 00:09:51,897 その途中で ビブリア古書堂に 入ることにしました。 97 00:09:51,897 --> 00:09:54,900 《あっ》 (志田)《おっと》 98 00:09:54,900 --> 00:09:57,903 《あっ。 先に どうぞ》 《ああ いえ。 お先に どうぞ》 99 00:09:57,903 --> 00:10:01,907 《ああ。 では 失礼します》 100 00:10:01,907 --> 00:10:04,844 《質問です。 あなたは なぜ➡ 101 00:10:04,844 --> 00:10:09,849 古書店で 本を売ろうと 思ったんですか?》 102 00:10:09,849 --> 00:10:11,851 《あっ はい。 取りあえず➡ 103 00:10:11,851 --> 00:10:13,853 追っ手から 隠れるために 逃げ込んだんです》 104 00:10:13,853 --> 00:10:15,855 《本を買う お金が無いから 査定を頼んで ごまかした》 105 00:10:15,855 --> 00:10:17,857 (志田)《当座の金が 欲しかったんだよ》 106 00:10:17,857 --> 00:10:20,860 (志田)《何せ 一文無しだからな》 《査定額を 吹っ掛けて➡ 107 00:10:20,860 --> 00:10:28,868 金を脅しとる計画だ。 抵抗したら 殺す》 108 00:10:28,868 --> 00:10:32,872 藤波さん。 物騒なこと 言うなよ。 109 00:10:32,872 --> 00:10:34,874 脱走犯は 詐欺で➡ 110 00:10:34,874 --> 00:10:36,876 荒稼ぎした揚げ句に 共犯者を 殺したんでしょ? 111 00:10:36,876 --> 00:10:38,878 それくらい やりかねないんじゃないの? 112 00:10:38,878 --> 00:10:41,881 どれも 違うような気がします。 113 00:10:41,881 --> 00:10:46,886 えっ? じゃあ 篠川さんは どう思ってるんですか? 114 00:10:46,886 --> 00:10:50,890 あっ。 それは まだ はっきりとは。 115 00:10:50,890 --> 00:10:53,893 おい。 そいつ いつ 来るって? 116 00:10:53,893 --> 00:10:56,896 いつ 戻ってきても おかしくないよね。 117 00:10:56,896 --> 00:10:58,898 警察だ。 警察に通報しよう。 118 00:10:58,898 --> 00:11:01,901 ちょっと 待ってください。 坂口さんは お客さまですよ。 119 00:11:01,901 --> 00:11:04,837 何の確証もないのに 脱走犯だと 決め付けるのは 失礼です。 120 00:11:04,837 --> 00:11:07,840 そりゃ そうだけどよ。 121 00:11:07,840 --> 00:11:10,843 じゃあ 栞子。 お前は 店に出るな。 奥にいろ。 122 00:11:10,843 --> 00:11:12,845 大丈夫ですから。 大丈夫じゃねえから。 123 00:11:12,845 --> 00:11:14,847 ほら ほら。 早く行けって。 いや。 あの でも。 124 00:11:14,847 --> 00:11:16,849 ちょっと あの。 125 00:11:16,849 --> 00:11:21,854 いいな? 事が片付くまで 絶対 出てくんじゃねえぞ。 126 00:11:21,854 --> 00:11:24,857 よし。 127 00:11:24,857 --> 00:11:27,860 しばらくは お前 一人で 店番しろ。 128 00:11:27,860 --> 00:11:31,860 えっ!? ああー。 忙しい 忙しい。 129 00:11:34,867 --> 00:11:38,871 残念だけど 僕も お店に 戻らないと。 じゃあ 頑張れ。 130 00:11:38,871 --> 00:11:41,871 藤波さん! ちょっ。 あっ。 131 00:11:53,886 --> 00:11:57,890 ≪(足音) 132 00:11:57,890 --> 00:12:00,893 ≪(戸の開く音) 133 00:12:00,893 --> 00:12:18,893 ♬~ 134 00:12:21,847 --> 00:12:24,850 ハァー。 135 00:12:24,850 --> 00:12:26,852 いらっしゃいませ。 (しのぶ)ああ。➡ 136 00:12:26,852 --> 00:12:28,854 聞きたいことが あるんだけど。 何でしょうか? 137 00:12:28,854 --> 00:12:32,858 (しのぶ)今日 『論理學入門』って 本を 売りに来た人 いなかった? 138 00:12:32,858 --> 00:12:35,861 はっ!? 139 00:12:35,861 --> 00:12:37,863 あっ! これ これ。 これ 持ってきたの➡ 140 00:12:37,863 --> 00:12:41,867 坂口 昌志って人でしょ? 愛想の悪い おじさん。 ねっ? 141 00:12:41,867 --> 00:12:43,869 えっ? ええ。 これ 持って帰ってもいい? 142 00:12:43,869 --> 00:12:46,872 はっ? 主人が ずっと大事にしてた本なの。 143 00:12:46,872 --> 00:12:48,874 ご主人? ああ ごめんなさい。 144 00:12:48,874 --> 00:12:51,877 私 坂口しのぶ。 坂口 昌志の妻です。 145 00:12:51,877 --> 00:12:54,880 昌志君ね 若いころは バカだったんだけど➡ 146 00:12:54,880 --> 00:12:56,882 お寺で 修行してるときに 高校時代の先生が➡ 147 00:12:56,882 --> 00:12:59,885 この本をくれて。 何か 性格も 変わっちゃったらしいの。 148 00:12:59,885 --> 00:13:02,888 ご主人 お坊さんだったんですか? ううん。 違う。 149 00:13:02,888 --> 00:13:04,823 でも 一度 出家して 何年間か➡ 150 00:13:04,823 --> 00:13:07,826 お寺に こもってたことが あるらしいの。 151 00:13:07,826 --> 00:13:10,829 それでね その お寺が とにかく 厳しい お寺でね➡ 152 00:13:10,829 --> 00:13:12,831 高い塀があって 外には 出れないし…。 153 00:13:12,831 --> 00:13:14,833 えっ? 誰かが来ても 少しの時間しか➡ 154 00:13:14,833 --> 00:13:16,835 面会できなかったんだって。 面会? 155 00:13:16,835 --> 00:13:18,837 修行を終えて 外に出てきたら 世の中が➡ 156 00:13:18,837 --> 00:13:20,839 すっかり 変わって 驚いたって 言ってたわ。 157 00:13:20,839 --> 00:13:22,841 すっかりって それ 刑務所…。 あっ ヤバい! 158 00:13:22,841 --> 00:13:24,843 あっ。 もう 出勤の時間だ。 159 00:13:24,843 --> 00:13:27,846 私 横浜の ベイエデンって クラブで 働いてるの。 160 00:13:27,846 --> 00:13:29,848 もし よかったら 今度 来てね。 あっ はい。 161 00:13:29,848 --> 00:13:34,853 サービスするから。 じゃあね。 どうも。 162 00:13:34,853 --> 00:13:37,856 えっ!? ちょっ ちょっ ちょっ。 163 00:13:37,856 --> 00:13:40,859 そりゃ 寺じゃなくて 完全に 刑務所のことじゃねえか。 164 00:13:40,859 --> 00:13:44,863 ですよね。 お寺に 高校の先生は なかなか 来ませんよね。 165 00:13:44,863 --> 00:13:47,866 じゃあ 奥さんに 嘘を ついてるってことでしょうか? 166 00:13:47,866 --> 00:13:49,868 嘘っていうか ほとんど 正解 言っちゃってるだろう。 167 00:13:49,868 --> 00:13:51,870 そこまで 言われて 気付かねえなんて➡ 168 00:13:51,870 --> 00:13:53,872 相当のバカだぞ。 でも➡ 169 00:13:53,872 --> 00:13:55,874 奥さん 信じてるっぽかったですよ。 マジかよ? 170 00:13:55,874 --> 00:13:59,878 いずれにしても 坂口さんは 脱走犯ではなさそうですね。 171 00:13:59,878 --> 00:14:03,899 えっ? 奥さまの お話だと➡ 172 00:14:03,899 --> 00:14:05,818 お二人が 出会ったのは➡ 173 00:14:05,818 --> 00:14:09,822 坂口さんが 出所した後と いうことになります。 174 00:14:09,822 --> 00:14:13,826 脱走犯は けさまで 刑務所に いたわけですから。 175 00:14:13,826 --> 00:14:15,828 そっか。 いやいや。 待て 待て。 176 00:14:15,828 --> 00:14:17,830 その女が ホントのこと 言ってるとは 限らねえぞ。 177 00:14:17,830 --> 00:14:21,834 本を持って帰るために 適当に 話を でっち上げたのかもしんねえ。 178 00:14:21,834 --> 00:14:26,839 もし そうだとすると 彼女には 本を引き取りに来る➡ 179 00:14:26,839 --> 00:14:28,841 別の理由が あったことになります。 180 00:14:28,841 --> 00:14:33,846 脱走犯が預けた本。 何で 女が取りに来るか? 181 00:14:33,846 --> 00:14:36,846 それが 謎だよなぁ。 182 00:14:39,852 --> 00:14:42,855 本に 何か メッセージが 託されていたのかも。 183 00:14:42,855 --> 00:14:45,858 メッセージ? 逃亡先を知らせる 暗号とか? 184 00:14:45,858 --> 00:14:48,861 そんなもん わざわざ 古本屋で受け渡す 必要があるか? 185 00:14:48,861 --> 00:14:50,863 じゃあ 他に どんな理由が あるんですか? 186 00:14:50,863 --> 00:14:52,863 チッ。 187 00:14:54,867 --> 00:14:59,867 では 想像してみてください。 えっ? 188 00:15:14,820 --> 00:15:17,823 分かった! えっ? 何ですか? 189 00:15:17,823 --> 00:15:22,828 本には 暗号が 隠されているんだよ。 190 00:15:22,828 --> 00:15:24,830 それ さっき 僕が言いましたけど。 191 00:15:24,830 --> 00:15:29,835 違うよ。 逃亡先じゃなくて 金の隠し場所の暗号だ。 192 00:15:29,835 --> 00:15:31,837 金? いいか? 193 00:15:31,837 --> 00:15:34,840 脱走犯が 詐欺で稼いだ金は 全部 使っちまってて➡ 194 00:15:34,840 --> 00:15:36,842 押収できなかったそうだ。 195 00:15:36,842 --> 00:15:40,846 でも それは 犯人の嘘で 実は どこかに➡ 196 00:15:40,846 --> 00:15:43,849 隠してあるんじゃねえかって 噂があったんだってよ。 197 00:15:43,849 --> 00:15:45,851 あっ。 それ 僕も ニュースで 見ました。 198 00:15:45,851 --> 00:15:50,856 だろ? まっ 考えてみりゃ 刑務所から 脱走するときに➡ 199 00:15:50,856 --> 00:15:55,861 文庫本を 持ってくってのは どうも 不自然な気がしねえか? 200 00:15:55,861 --> 00:16:01,867 でも そこに 金の在りかを示す 暗号が 書かれてたとしたら? 201 00:16:01,867 --> 00:16:06,805 いや。 そんな 大事なものなら なおさら 売ったりしないでしょ? 202 00:16:06,805 --> 00:16:08,807 追われてたんだよ あの女に。 203 00:16:08,807 --> 00:16:11,810 本を隠しとく場所が 見つからなくて➡ 204 00:16:11,810 --> 00:16:14,813 仕方なく ここに 預けることにしたんだ。 205 00:16:14,813 --> 00:16:17,816 あっ。 だから 査定を待たずに➡ 206 00:16:17,816 --> 00:16:20,819 あした また来るって 言ったんだよ。 207 00:16:20,819 --> 00:16:27,826 女は 坂口の女房なんかじゃねえ。 何者かは 知らねえが➡ 208 00:16:27,826 --> 00:16:34,833 本を 手に入れるために 女房のふりをしたってわけだ。 209 00:16:34,833 --> 00:16:39,838 なるほど。 きっと そうですよ。 志田さん。 すごいですよ。 210 00:16:39,838 --> 00:16:42,841 フフフ。 ホント すごいですよ 志田さん。 211 00:16:42,841 --> 00:16:44,843 そうだろ? ハハハ。 ハハハ。 212 00:16:44,843 --> 00:16:49,848 それで どうしたんですか? えっ? 213 00:16:49,848 --> 00:16:54,848 『論理學入門』です。 あっ。 214 00:16:57,856 --> 00:17:00,859 持って帰っちゃいましたけど。 えっ? 215 00:17:00,859 --> 00:17:05,797 いや。 ものすごい 勢いだったんで 止める間もなくて。 216 00:17:05,797 --> 00:17:09,801 困りましたね。 何か まずかったですかね? 217 00:17:09,801 --> 00:17:12,804 私たちは 本の持ち主である➡ 218 00:17:12,804 --> 00:17:16,808 坂口さんから 買い取りの依頼をされたんです。 219 00:17:16,808 --> 00:17:21,813 もし その方が 本当に 坂口さんの 奥さまだったとしても➡ 220 00:17:21,813 --> 00:17:25,817 まずは ご主人を 説得するべきです。 221 00:17:25,817 --> 00:17:29,821 そして 私たちは それまで➡ 222 00:17:29,821 --> 00:17:33,825 お預かりした本を 持ち主以外の方の手に➡ 223 00:17:33,825 --> 00:17:37,825 お渡しするべきではないと 思います。 224 00:17:41,833 --> 00:17:47,833 すいません。 僕が 軽率でした。 225 00:17:49,841 --> 00:17:52,844 彼女の連絡先は 聞いていますか? 226 00:17:52,844 --> 00:17:56,848 いいえ。 でも 横浜の ベイエデンっていう➡ 227 00:17:56,848 --> 00:18:00,852 クラブに 出勤するって 言ってました。 228 00:18:00,852 --> 00:18:03,855 今から 行ってきます。 本を返してもらいに。 229 00:18:03,855 --> 00:18:07,859 志田さん。 行きますよ。 えっ? 俺も? 230 00:18:07,859 --> 00:18:10,859 (従業員)いらっしゃいませ。 どうも。 231 00:18:14,866 --> 00:18:16,868 いるか? あっ いや。 232 00:18:16,868 --> 00:18:18,870 (従業員)ご指名 ありましたら お伺いいたしますが。 233 00:18:18,870 --> 00:18:22,874 ああ あの。 しのぶさんっていう人 いらっしゃいますか? 234 00:18:22,874 --> 00:18:26,874 ≪(しのぶ)あっ! 本屋さん 来てくれたんだ。 235 00:20:00,872 --> 00:20:03,875 というわけで 本を 返していただきたいんですが。 236 00:20:03,875 --> 00:20:07,875 本当に 申し訳ありません。 あのときは 僕も。 237 00:20:13,885 --> 00:20:15,887 ヤバいな。 えっ? 238 00:20:15,887 --> 00:20:17,889 あの女 逃げる気だ。 えっ!? 239 00:20:17,889 --> 00:20:20,892 行くぞ。 えっ!? ちょっと 志田さん。 240 00:20:20,892 --> 00:20:22,894 [テレビ](キャスター)男の脱走から 14時間が たちました。 241 00:20:22,894 --> 00:20:26,898 (文也)落ち着かないから 早いとこ 捕まえてくれよな。 242 00:20:26,898 --> 00:20:28,900 [テレビ](キャスター)男は 詐欺グループの 中心人物だったこともあり…。 243 00:20:28,900 --> 00:20:31,903 あっ。 すいません。 すいません。 (従業員)えっ? ちょっ ちょっ。➡ 244 00:20:31,903 --> 00:20:34,906 お客さん。 ちょっと。 志田さん。 ちょっと。 245 00:20:34,906 --> 00:20:36,908 ああ。 やっぱり! (従業員)ここは➡ 246 00:20:36,908 --> 00:20:39,911 関係者以外 立ち入り禁止です。 おい。 その本 返せ。 247 00:20:39,911 --> 00:20:41,913 (従業員)ちょっ。 お客さん。 ちょっと。 ちょっと 放せよ。 248 00:20:41,913 --> 00:20:43,915 あの本はな ただの本じゃねえんだよ。 249 00:20:43,915 --> 00:20:45,917 (従業員)ちょっと。 何を言っ…。 落ち着いて。 250 00:20:45,917 --> 00:20:48,920 (しのぶ)ごめんなさい。 (大輔・志田)えっ? 251 00:20:48,920 --> 00:20:50,922 (しのぶ)言われてみたら そうよね。➡ 252 00:20:50,922 --> 00:20:56,928 この本は 昌志君のものなんだから どうしようと 本人の自由よね。➡ 253 00:20:56,928 --> 00:21:00,866 でも 私にとっても 思い出の 詰まってる 大事な本だから➡ 254 00:21:00,866 --> 00:21:03,869 どうしても 手放してほしくなくて。 255 00:21:03,869 --> 00:21:05,871 思い出? 256 00:21:05,871 --> 00:21:07,873 (しのぶ)あの人と 出会ったのは 10年前。➡ 257 00:21:07,873 --> 00:21:10,876 私が ホステスになりたてのころに 出会ったの。 258 00:21:10,876 --> 00:21:13,879 アハッ。 おわびに おごるから がんがん 飲んでね。 259 00:21:13,879 --> 00:21:15,881 ああ。 いいんすか? (しのぶ)ウフフフ。 260 00:21:15,881 --> 00:21:19,885 おい。 飲むなよ。 何 入ってるか 分かんねえぞ。 261 00:21:19,885 --> 00:21:22,888 (しのぶ)あのころは 若かったし ホステスになれば➡ 262 00:21:22,888 --> 00:21:27,893 何とかなるって 思ってたのよね。 でも 大間違いだった。➡ 263 00:21:27,893 --> 00:21:29,895 私 おしゃべりだから 自分のことばっかり➡ 264 00:21:29,895 --> 00:21:33,899 べらべら しゃべって いっつも お客さんを しらけさせちゃうの。➡ 265 00:21:33,899 --> 00:21:37,903 それで やっぱり オーナーに 怒られて。 266 00:21:37,903 --> 00:21:42,903 すっごく 落ち込んでるときに 昌志君が お店に来たの。 267 00:21:44,910 --> 00:21:47,913 (しのぶ)最初はね すっごく 怖い人だと思った。➡ 268 00:21:47,913 --> 00:21:49,915 自分からは 何にも しゃべらないし➡ 269 00:21:49,915 --> 00:21:52,918 30分ぐらい ほとんど 無言で 飲んでたかな。➡ 270 00:21:52,918 --> 00:21:54,920 そしたら 急に…。 271 00:21:54,920 --> 00:21:59,858 (昌志)《私は 自分のことを 話すのが 苦手だから➡ 272 00:21:59,858 --> 00:22:01,860 君のことを 聞かせてほしい》 273 00:22:01,860 --> 00:22:03,862 (しのぶ)突然のことで びっくりしたけど➡ 274 00:22:03,862 --> 00:22:06,865 取りあえず 思い付くままに 話をしてみたの。➡ 275 00:22:06,865 --> 00:22:08,867 昨日の ご飯のこととか。 ちょっ。 276 00:22:08,867 --> 00:22:10,869 (しのぶ)昔 飼ってた 犬のこととか。 277 00:22:10,869 --> 00:22:12,871 あっ。 (しのぶ)そうしてるうちに➡ 278 00:22:12,871 --> 00:22:14,873 だんだん 気が緩んできちゃって。➡ 279 00:22:14,873 --> 00:22:17,876 気付いたら…。 何ともないみたいですよ。 280 00:22:17,876 --> 00:22:19,878 えっ? (しのぶ)私 泣きながら➡ 281 00:22:19,878 --> 00:22:23,882 愚痴 こぼしまくってたのよねぇ。 そうか。 じゃあ 俺も。 282 00:22:23,882 --> 00:22:25,884 (しのぶ)それでね こっからが 大事なの。➡ 283 00:22:25,884 --> 00:22:30,884 散々 愚痴を こぼした後に 私 こう言ったの。 284 00:22:32,891 --> 00:22:35,894 《私 バカなんです》 285 00:22:35,894 --> 00:22:38,897 《バカには ホステスは 務まらないんです》 286 00:22:38,897 --> 00:22:43,902 《だから 私は ホステスには 向いてないんです》 287 00:22:43,902 --> 00:22:48,907 《あっ。 ごめんなさい。 つまんない話を。 ああ》 288 00:22:48,907 --> 00:22:52,911 (昌志)《今 君は 三段論法を使った》 289 00:22:52,911 --> 00:22:56,915 (しのぶ)《えっ?》 (昌志)《あっ》➡ 290 00:22:56,915 --> 00:22:58,934 《この本にも 書いてある》➡ 291 00:22:58,934 --> 00:23:03,855 《三段論法は バカな人間には 使えない》 292 00:23:03,855 --> 00:23:07,859 (昌志)《君は 絶対に バカではない》 293 00:23:07,859 --> 00:23:11,863 (しのぶ)何を言われてるのか さっぱり 分かんなかった。 294 00:23:11,863 --> 00:23:14,866 でも 励ましてくれてるんだってことは➡ 295 00:23:14,866 --> 00:23:17,869 伝わってきたの。 296 00:23:17,869 --> 00:23:30,882 (泣き声) 297 00:23:30,882 --> 00:23:38,890 (しのぶ)その瞬間 私 決めたの。 絶対 この人と 結婚するって。 298 00:23:38,890 --> 00:23:42,894 あっ。 やだ。 また 自分の話ばっかり しちゃった。➡ 299 00:23:42,894 --> 00:23:45,897 だから 駄目なのよね。 いや。 構いませんよ。 300 00:23:45,897 --> 00:23:47,899 (しのぶ)アハハ。 ハハハ。 301 00:23:47,899 --> 00:23:49,901 (しのぶ)お酒 お代わり 作りますね。 302 00:23:49,901 --> 00:23:51,903 あっ いえ。 もう 十分です。 ねえ? 志田さん。 303 00:23:51,903 --> 00:23:53,905 そろそろ。 うん。 行こう。 304 00:23:53,905 --> 00:23:58,877 (しのぶ)でも 最近 昌志君 変なのよね。➡ 305 00:23:58,877 --> 00:24:03,748 3カ月ぐらい 前からかな。 何だか 様子が おかしいの。➡ 306 00:24:03,748 --> 00:24:08,753 いつも以上に 無口だし 私と あんまり 目 合わせてくれないし。 307 00:24:08,753 --> 00:24:11,756 あっ。 あと あのサングラス。 急に 買ってきたんだけど➡ 308 00:24:11,756 --> 00:24:14,759 すっごく 趣味が悪いの。 この話 いつまで 続くんだ? 309 00:24:14,759 --> 00:24:17,762 さあ。 (しのぶ)それに➡ 310 00:24:17,762 --> 00:24:23,768 前は よく 2人で テレビ 見て 笑ってくれたのに➡ 311 00:24:23,768 --> 00:24:26,771 最近は 一人で ラジオ 聴いてるの。 312 00:24:26,771 --> 00:24:30,775 きっと 私といるのが 嫌になったんだと思う。 313 00:24:30,775 --> 00:24:33,778 考え過ぎじゃないんですか? (しのぶ)だって➡ 314 00:24:33,778 --> 00:24:36,781 2人の思い出の本まで 売ろうとしたんだよ。 315 00:24:36,781 --> 00:24:40,785 せっかく BOOK PALACEに 渡さずに 取っておいたのに。 316 00:24:40,785 --> 00:24:43,788 BOOK PALACE? おととい➡ 317 00:24:43,788 --> 00:24:46,791 急に 家じゅうの本を 処分するって 言いだして➡ 318 00:24:46,791 --> 00:24:48,793 出張買い取りサービスを 頼んだの。➡ 319 00:24:48,793 --> 00:24:52,797 昌志君は 仕事だったから 私が 立ち会ったんだけど。 320 00:24:52,797 --> 00:24:55,797 (業者)《では 梱包しますね》 (しのぶ)《はい》 321 00:24:57,802 --> 00:24:59,838 《ああっ! ちょっと 待って》 (業者)《はい?》 322 00:24:59,838 --> 00:25:01,840 (しのぶ)《この本は 持っていかないで》 323 00:25:01,840 --> 00:25:04,843 《この本はね 私と 主人の 思い出の本なの》 324 00:25:04,843 --> 00:25:06,845 (しのぶ)「ずっと 大事にしてたんだから➡ 325 00:25:06,845 --> 00:25:09,848 これだけは 取っておかなきゃ 駄目だよ」って 言って➡ 326 00:25:09,848 --> 00:25:11,850 昌志君に 返したんだけどね。 327 00:25:11,850 --> 00:25:15,854 (しのぶ)《どこ 行くの?》 (昌志)《散歩してくる》 328 00:25:15,854 --> 00:25:17,856 (しのぶ)《待って。 私も もう 行くから》 329 00:25:17,856 --> 00:25:20,859 (しのぶ)急いで 支度して 玄関に戻ったら➡ 330 00:25:20,859 --> 00:25:22,861 昌志君は いなくなってた。➡ 331 00:25:22,861 --> 00:25:25,864 きっと 本を売りに 行ったんだろうと思って➡ 332 00:25:25,864 --> 00:25:29,868 近所の古本屋を 捜して回ったの。➡ 333 00:25:29,868 --> 00:25:35,874 でも 余計なことだったのかも。 334 00:25:35,874 --> 00:25:40,879 この本が 戻ってきたからといって 私たちの仲を➡ 335 00:25:40,879 --> 00:25:43,879 つなぎ留められるわけじゃ ないしね。 336 00:25:53,892 --> 00:25:56,895 あれは どう考えても。 ですね。 337 00:25:56,895 --> 00:26:01,833 あの女の ほら話だな。 彼女の話は ホントですよ。 338 00:26:01,833 --> 00:26:05,837 おい。 冗談だろ? あんな リアリティーの かけらもない話➡ 339 00:26:05,837 --> 00:26:08,840 お前 本気で 信じてんのかよ? 志田さんこそ➡ 340 00:26:08,840 --> 00:26:10,842 あんな ディテールの細かい話 作り話だと 思ってんですか? 341 00:26:10,842 --> 00:26:13,845 三段論法 使って 女 口説くやつなんか➡ 342 00:26:13,845 --> 00:26:15,847 いるわけねえだろ。 だからこそですよ。 343 00:26:15,847 --> 00:26:17,849 普通 そんな嘘 つこうと思っても 思い付かないです。 344 00:26:17,849 --> 00:26:19,851 それじゃあ 聞くけどよ。 345 00:26:19,851 --> 00:26:21,853 もし あの男が 脱走犯じゃないって 言うなら➡ 346 00:26:21,853 --> 00:26:26,858 本を売った理由は 何なんだよ? 347 00:26:26,858 --> 00:26:29,861 ハァー。 坂口さんは しのぶさんに➡ 348 00:26:29,861 --> 00:26:31,863 前科があることを 隠してるんですよね。 349 00:26:31,863 --> 00:26:33,865 たぶん それが バレないように➡ 350 00:26:33,865 --> 00:26:36,868 許可証が貼られた本を 処分したかったんですよ。 351 00:26:36,868 --> 00:26:38,870 それは ちょっと 考えにくいですね。 352 00:26:38,870 --> 00:26:43,875 お二人が 結婚してから 10年近く たっているわけですし➡ 353 00:26:43,875 --> 00:26:47,879 いまさらという気がします。 そうだよ。 おっしゃるとおりだよ。 354 00:26:47,879 --> 00:26:50,882 じゃあ 何があったんですか? 栞子に頼るな。 てめえで 考えろ。 355 00:26:50,882 --> 00:26:53,882 志田さんも 大人げないですよ。 フン。 356 00:26:56,888 --> 00:27:04,829 もしかすると…。 えっ? 何ですか? 357 00:27:04,829 --> 00:27:06,831 他にも 何か➡ 358 00:27:06,831 --> 00:27:10,835 奥さまに 言えずにいることが あるんじゃないでしょうか? 359 00:27:10,835 --> 00:27:13,838 他? えっ? 他って? 360 00:27:13,838 --> 00:27:17,842 あっ。 さあ。 坂口さんが 売った本を 見てみれば➡ 361 00:27:17,842 --> 00:27:22,847 何か 分かるかもしれませんが。 362 00:27:22,847 --> 00:27:24,849 行ってみましょう。 363 00:27:24,849 --> 00:27:26,851 えっ? BOOK PALACEに 頼んで➡ 364 00:27:26,851 --> 00:27:28,853 買い取った本を 見せてもらうんです。 365 00:27:28,853 --> 00:27:32,857 あっ いえ。 それは たぶん お断りされるかと。 366 00:27:32,857 --> 00:27:35,860 お客さまの プライバシーに 触れることですから。 367 00:27:35,860 --> 00:27:37,862 もう これ以上 関わらない方がいいよ。 368 00:27:37,862 --> 00:27:41,866 警察に任せよう。 なっ? でも 何か このままじゃ➡ 369 00:27:41,866 --> 00:27:44,866 しのぶさんが 気の毒で。 370 00:27:47,872 --> 00:27:49,872 放っておけないんですよ。 371 00:27:51,876 --> 00:27:53,878 駄目もとでもいいから 頼んでみましょうよ。 372 00:27:53,878 --> 00:27:57,882 ねっ? お願いします。 373 00:27:57,882 --> 00:28:01,882 (キャスター)「どの辺りで 似た男を 見掛けたんですか?」 374 00:28:06,824 --> 00:28:08,826 あっ 文也君。 ちょっと 出掛けてきますね。 375 00:28:08,826 --> 00:28:10,828 (文也)えっ? ちょっと 待って。 これって 天円寺の裏通りじゃない? 376 00:28:10,828 --> 00:28:12,830 ちょっと 待て。 (文也)ちょっと。 377 00:28:12,830 --> 00:28:14,832 俺も 行く! 378 00:28:14,832 --> 00:28:18,832 (文也)やっぱり そうだよ。 超 近いじゃん。 379 00:28:21,839 --> 00:28:23,839 うん? 380 00:28:27,845 --> 00:28:31,849 どうかしたんですか? ああ いえ。 381 00:28:31,849 --> 00:28:35,849 行きましょう。 はい。 382 00:28:42,860 --> 00:28:44,862 (内山)申し訳ありません。 そういったことは。 383 00:28:44,862 --> 00:28:46,864 リストだけでも いいんです。 駄目ですか? 384 00:28:46,864 --> 00:28:52,870 (内山)ああ。 個人情報ですので。 そうですよね。 385 00:28:52,870 --> 00:28:55,873 大変 失礼いたしました。 386 00:28:55,873 --> 00:28:58,893 よし。 気が済んだら 帰るぞ。 387 00:28:58,893 --> 00:29:01,813 ≪(笠井)彼らは 怪しい人じゃないですよ。 388 00:29:01,813 --> 00:29:04,816 笠井。 (笠井)あっ。 この間は どうも。➡ 389 00:29:04,816 --> 00:29:06,818 『落穂拾ひ』 見つかったみたいで よかったですね。 390 00:29:06,818 --> 00:29:08,820 まあな。 まあ お前にも 面倒 かけちまって➡ 391 00:29:08,820 --> 00:29:10,822 すまなかった。 その節は➡ 392 00:29:10,822 --> 00:29:12,824 ご協力していただき ありがとうございました。 393 00:29:12,824 --> 00:29:14,826 (笠井)あっ いや。 僕は 何も。➡ 394 00:29:14,826 --> 00:29:17,829 栞子さんの推理の おかげですよ。 さすがですね。 395 00:29:17,829 --> 00:29:20,832 あっ そんな。 たまたまです。 396 00:29:20,832 --> 00:29:22,834 (笠井)また 何かの 事件捜査ですか? 397 00:29:22,834 --> 00:29:24,836 あっ いえ。 そういうわけでは。 398 00:29:24,836 --> 00:29:28,840 (内山)あの。 笠井さんの お知り合いの方ですか? 399 00:29:28,840 --> 00:29:31,843 (笠井)ええ。 仲のいい 友人です。 内山さん。 400 00:29:31,843 --> 00:29:34,846 今回だけ 特別に 買い取り商品 見せてあげてくれませんか? 401 00:29:34,846 --> 00:29:37,849 (内山)いや。 それは。 402 00:29:37,849 --> 00:29:39,851 (笠井)そうだ。 スペランカー 手に入ったんですよ。 403 00:29:39,851 --> 00:29:41,853 (内山)えっ? (笠井)この前 欲しいって➡ 404 00:29:41,853 --> 00:29:45,857 言ってましたよね。 状態も すごく いいでしょ? 405 00:29:45,857 --> 00:29:48,860 (内山)いや。 ずるいっすよ。 こんな アイテム 出してくるなんて。 406 00:29:48,860 --> 00:29:52,860 絶対 ご迷惑 掛けませんので。 このとおりです。 407 00:29:57,869 --> 00:30:01,873 (内山)ここじゃ まずいですから こちらへ。 408 00:30:01,873 --> 00:30:06,878 悪い。 恩に着るわ。 ありがとうございます。 409 00:30:06,878 --> 00:30:08,880 (内山)よいしょ。 これで 最後です。 410 00:30:08,880 --> 00:30:11,883 どうも。 ハァー。 411 00:30:11,883 --> 00:30:14,886 本を売ったっていうのは ホントでしたね。 412 00:30:14,886 --> 00:30:17,889 だからって 脱走犯じゃねえとは 言い切れねえ。 413 00:30:17,889 --> 00:30:19,891 業者と やりとりしたのは あの女で➡ 414 00:30:19,891 --> 00:30:22,891 坂口 本人じゃねえからな。 415 00:30:24,896 --> 00:30:28,896 『月刊 日本のお寺』 416 00:30:31,903 --> 00:30:34,906 へえー。 こんな雑誌も あるんだ。 417 00:30:34,906 --> 00:30:50,922 ♬~ 418 00:30:50,922 --> 00:30:53,922 毎月 買っていたんですね。 419 00:30:58,896 --> 00:31:05,770 やっぱり 思ったとおりでした。 えっ? 420 00:31:05,770 --> 00:31:11,770 これで 坂口さんの 行動の謎が 全て 解けました。 421 00:32:50,875 --> 00:32:53,878 なあ? ホントに 大丈夫なのか? 422 00:32:53,878 --> 00:32:56,881 大丈夫です。 篠川さんが 大丈夫だって 言ってるんですから。 423 00:32:56,881 --> 00:32:59,884 とかいって 実は 脱走犯だったら どうすんだよ? 424 00:32:59,884 --> 00:33:01,886 警察に 通報した方が いいんじゃねえか? 425 00:33:01,886 --> 00:33:03,888 坂口さんは 脱走犯なんかでは ありません。 426 00:33:03,888 --> 00:33:07,892 何で そう言い切れんだよ? だいたい 謎が解けてんのは➡ 427 00:33:07,892 --> 00:33:11,896 栞子だけで 俺たちは 何…。 ≪(柱時計の時報) 428 00:33:11,896 --> 00:33:15,896 ≪(戸の開閉音) 429 00:33:26,911 --> 00:33:34,919 ♬~ 430 00:33:34,919 --> 00:33:37,922 来ちゃったよ。 いらっしゃいませ。 431 00:33:37,922 --> 00:33:41,926 (昌志)昨日の 本の査定額を 聞かせてほしい。 432 00:33:41,926 --> 00:33:45,863 はい。 こちらですね。 433 00:33:45,863 --> 00:33:48,866 ああ。 434 00:33:48,866 --> 00:33:50,868 100円で 買い取らせていただきます。 435 00:33:50,868 --> 00:33:52,870 100円って。 栞子。 436 00:33:52,870 --> 00:33:55,873 もうちょっと 何とか ならないのか? ねえ? 437 00:33:55,873 --> 00:33:59,873 あまり 状態がよくないので それ以上は 無理です。 438 00:34:01,879 --> 00:34:04,882 分かった。 それで 構わない。 439 00:34:04,882 --> 00:34:09,887 では お受け取りください。 440 00:34:09,887 --> 00:34:16,887 ♬~ 441 00:34:26,904 --> 00:34:31,904 どうぞ。 ああ。 失礼。 442 00:34:33,911 --> 00:34:37,911 このまま 黙っているつもりですか? 443 00:34:39,917 --> 00:34:44,917 奥さまに 打ち明けなくていいんですか? 444 00:34:47,858 --> 00:34:50,861 ≪(戸の開閉音) ≪(しのぶ)待って。➡ 445 00:34:50,861 --> 00:34:55,866 お願い。 ちょっと 待って。 (昌志)しのぶ。 どうして? 446 00:34:55,866 --> 00:35:00,871 ごめんね。 後 つけてきちゃった。➡ 447 00:35:00,871 --> 00:35:04,875 昌志君。 その本 売っちゃ駄目だよ。➡ 448 00:35:04,875 --> 00:35:07,878 やめよう。 ねっ? 449 00:35:07,878 --> 00:35:12,883 (昌志)申し訳ないが それは 私が決めることだ。➡ 450 00:35:12,883 --> 00:35:16,887 もう いらないと思ったから 売りに来たんだ。 451 00:35:16,887 --> 00:35:20,891 (しのぶ)どうして? ずっと 大事にしてたじゃない。➡ 452 00:35:20,891 --> 00:35:22,893 私にとっても 思い出の本なのに➡ 453 00:35:22,893 --> 00:35:25,896 何で 急に いらないなんて 言うの?➡ 454 00:35:25,896 --> 00:35:29,900 せめて どうして 売ろうと思ったのか➡ 455 00:35:29,900 --> 00:35:34,900 ホントの理由 教えて。 私 何を言われても 受け止める。 456 00:35:36,907 --> 00:35:38,907 覚悟は できてるから。 457 00:35:42,913 --> 00:35:48,853 坂口さん。 いずれ 分かってしまうことです。 458 00:35:48,853 --> 00:35:52,857 いつまでも 隠し通せることじゃないですよ。 459 00:35:52,857 --> 00:35:55,857 他のこととは 違って。 460 00:36:04,869 --> 00:36:11,869 君たちには 何もかも 知られているようだな。 461 00:36:29,894 --> 00:36:33,894 (しのぶ)やだ。 何? どうしたの? 462 00:36:36,901 --> 00:36:43,908 (昌志)ここまで 近づいても もう➡ 463 00:36:43,908 --> 00:36:50,908 君の顔が はっきり 見えない。 464 00:36:54,852 --> 00:37:03,861 目を閉じているのか 開いているのかも 分からない。 465 00:37:03,861 --> 00:37:06,864 えっ? 466 00:37:06,864 --> 00:37:10,864 目の中に 水がたまる 病気で。 467 00:37:16,874 --> 00:37:24,874 残念ながら 治ることはないらしい。 468 00:37:27,885 --> 00:37:33,885 (昌志)本を売ろうと 思ったのは もう 読めなくなったからだ。 469 00:37:40,898 --> 00:37:43,901 どうして 分かったんだ? 470 00:37:43,901 --> 00:37:46,837 坂口さんが 処分された 本ですが➡ 471 00:37:46,837 --> 00:37:50,841 BOOK PALACEさんに 無理を言って 拝見させていただきました。 472 00:37:50,841 --> 00:37:55,846 奥さまに お話を伺って どうしても 気になることがあったので。 473 00:37:55,846 --> 00:37:59,850 坂口さんは 『月刊 日本のお寺』という➡ 474 00:37:59,850 --> 00:38:02,853 雑誌を 定期購読されてらっしゃいますね? 475 00:38:02,853 --> 00:38:04,855 ああ。 476 00:38:04,855 --> 00:38:06,857 それを見ていて 気付いたんですが。 477 00:38:06,857 --> 00:38:11,862 2012年 12月号から 最新号の 2013年 2月号までの➡ 478 00:38:11,862 --> 00:38:14,865 3冊だけに スリップが 挟まっていたんです。 479 00:38:14,865 --> 00:38:17,868 スリップって 何ですか? これが スリップです。 480 00:38:17,868 --> 00:38:20,871 新刊書店に 入荷される本に 挟まっているもので。 481 00:38:20,871 --> 00:38:23,874 通常は お客さまに 売るときに➡ 482 00:38:23,874 --> 00:38:26,877 レジで 抜き取って 保管しておきます。 483 00:38:26,877 --> 00:38:29,880 これで どの本が どれだけ 売れたか チェックして➡ 484 00:38:29,880 --> 00:38:31,882 在庫管理をするんです。 485 00:38:31,882 --> 00:38:34,885 ただ 最近では スリップを使わずに➡ 486 00:38:34,885 --> 00:38:37,888 書籍バーコードから 商品データを 読み取って➡ 487 00:38:37,888 --> 00:38:40,891 在庫管理する 書店も 増えています。 488 00:38:40,891 --> 00:38:43,894 大手の ネット書店は たいてい そうなので➡ 489 00:38:43,894 --> 00:38:45,829 ネットで 買ったものは➡ 490 00:38:45,829 --> 00:38:48,832 スリップが 挟まったままに なっていることが 多いです。 491 00:38:48,832 --> 00:38:50,834 ああ。 知らなかった。 492 00:38:50,834 --> 00:38:56,840 しかし それが 目の病気と どう つながるんだ? 493 00:38:56,840 --> 00:38:59,843 スリップは ページを またぐように 挟まっているため➡ 494 00:38:59,843 --> 00:39:04,848 当然 外さなければ 読むことはできません。 495 00:39:04,848 --> 00:39:08,852 つまり 最新号から さかのぼって 3カ月分の 雑誌にだけ➡ 496 00:39:08,852 --> 00:39:11,855 スリップが 挟まっていた。 497 00:39:11,855 --> 00:39:15,859 これは 坂口さんが この3カ月➡ 498 00:39:15,859 --> 00:39:17,861 本を読んでいないということを 意味するんです。 499 00:39:17,861 --> 00:39:22,866 あっ。 そういうことか。 奥さまも 3カ月前から➡ 500 00:39:22,866 --> 00:39:25,869 ご主人の様子が おかしくなったと 言った。 501 00:39:25,869 --> 00:39:29,873 あまり 目を合わせなくなり 一緒に テレビを見なくなり➡ 502 00:39:29,873 --> 00:39:31,875 急に サングラスを 掛けるようになった。 503 00:39:31,875 --> 00:39:35,879 そして 家じゅうの本を 全て 処分している。 504 00:39:35,879 --> 00:39:40,884 これらの行動が 全て 視力が衰えたせいだと 考えると➡ 505 00:39:40,884 --> 00:39:43,884 辻褄が合うんです。 506 00:39:47,825 --> 00:39:49,827 そう思って 振り返ってみると➡ 507 00:39:49,827 --> 00:39:52,830 昨日 坂口さんが ここへ いらしたときの様子も➡ 508 00:39:52,830 --> 00:39:54,832 説明がつくんですよ。 509 00:39:54,832 --> 00:39:56,834 (昌志)《散歩してくる》 (しのぶ)《待って》➡ 510 00:39:56,834 --> 00:39:59,834 《私も もう 行くから》 511 00:40:03,841 --> 00:40:05,843 息を切らしていたのは➡ 512 00:40:05,843 --> 00:40:08,846 奥さまに 追い付かれないように 急いだから。 513 00:40:08,846 --> 00:40:11,849 コートのボタンを 掛け違えていたのは➡ 514 00:40:11,849 --> 00:40:14,852 目が よく見えず 手探りで 留めたから。 515 00:40:14,852 --> 00:40:16,854 買い取り表の文字が はみ出しているのも➡ 516 00:40:16,854 --> 00:40:21,854 目が見えていなかったから。 そうですよね? 517 00:40:24,862 --> 00:40:32,862 (昌志)そうだ。 全て 君の言うとおりだ。 518 00:40:34,872 --> 00:40:40,878 何だ。 ホントに 脱走犯じゃなかったのか。 519 00:40:40,878 --> 00:40:44,898 ハァー。 520 00:40:44,898 --> 00:40:53,824 私には 失明の恐れがある。 今後は 生活する上で➡ 521 00:40:53,824 --> 00:40:57,828 人の助けを 借りざるを得ないだろう。 522 00:40:57,828 --> 00:41:02,833 今の仕事を 続けるのも 無理だろうし➡ 523 00:41:02,833 --> 00:41:06,833 再就職すらも ままならないかもしれない。 524 00:41:08,839 --> 00:41:13,844 全ての本を 手放すことで➡ 525 00:41:13,844 --> 00:41:17,848 目が見えなくなるという 現実を受け入れ➡ 526 00:41:17,848 --> 00:41:24,855 気持ちの整理をした上で 妻に話そうと 思っていた。 527 00:41:24,855 --> 00:41:28,859 妻が それを望むなら➡ 528 00:41:28,859 --> 00:41:35,859 離婚も 受け入れる 覚悟だった。 529 00:41:44,842 --> 00:41:54,718 今まで 黙っていて すまなかった。 530 00:41:54,718 --> 00:41:57,718 (しのぶ)何か よく分かんない。 531 00:41:59,723 --> 00:42:03,727 (しのぶ)えっ? 結局 どうして 本を売ろうとしたの? 532 00:42:03,727 --> 00:42:07,731 (昌志)だから 目が見えないという 現実を。 533 00:42:07,731 --> 00:42:10,734 (しのぶ)そこ。 そこが 分かんないの。 534 00:42:10,734 --> 00:42:15,739 (昌志)ああ。 いいか?➡ 535 00:42:15,739 --> 00:42:21,745 本というものは 読まれるためにあるんだ。➡ 536 00:42:21,745 --> 00:42:25,749 いくら 自分の手元に 残したとしても➡ 537 00:42:25,749 --> 00:42:30,754 何の役にも立たない。 だったら 他の誰かに。 538 00:42:30,754 --> 00:42:32,756 (しのぶ)私が 読めばいいじゃない。 539 00:42:32,756 --> 00:42:35,759 声に出して。➡ 540 00:42:35,759 --> 00:42:39,763 アハハ。 私が 毎日 読んであげる。 541 00:42:39,763 --> 00:42:44,768 朗読なんか したことないから たぶん すっごく 下手くそだけど。 542 00:42:44,768 --> 00:42:47,768 でも それで いいでしょ? 543 00:42:52,776 --> 00:42:55,779 (しのぶ)昌志君の目が 見えてても 見えてなくても➡ 544 00:42:55,779 --> 00:43:05,789 そんなの どうでもいいの。 私が ずっと そばにいるから。➡ 545 00:43:05,789 --> 00:43:10,794 フフッ。 何か 話したくなったら➡ 546 00:43:10,794 --> 00:43:15,799 いっつも 声が 聞こえるところにいるから。 547 00:43:15,799 --> 00:43:22,806 だって その方が 絶対 楽しいんだから。 ねっ? 548 00:43:22,806 --> 00:43:31,815 ♬~ 549 00:43:31,815 --> 00:43:35,819 ありがとう。 (しのぶ)ウフフ。 550 00:43:35,819 --> 00:43:46,864 ♬~ 551 00:43:46,864 --> 00:43:52,870 (昌志)申し訳ないが その本を 売るのを やめようと思う。 552 00:43:52,870 --> 00:43:56,874 もちろんです。 553 00:43:56,874 --> 00:44:00,878 どうぞ お返しします。 554 00:44:00,878 --> 00:44:11,889 ♬~ 555 00:44:11,889 --> 00:44:16,894 その件については これから先 どうするべきか➡ 556 00:44:16,894 --> 00:44:19,894 ゆっくり 考えては いかがでしょうか? 557 00:44:24,902 --> 00:44:29,907 (しのぶ)ああ。 皆さん。 お騒がせしました。➡ 558 00:44:29,907 --> 00:44:32,907 帰ろっか。 559 00:44:35,913 --> 00:44:40,918 (しのぶ)昌志君? どうしたの? 560 00:44:40,918 --> 00:44:48,918 実は もう一つ 話がある。 (しのぶ)ウフフ。 何? 561 00:44:51,862 --> 00:44:57,862 私には 前科がある。 えっ? 562 00:44:59,870 --> 00:45:04,875 (昌志)出家したといったのは 事実ではない。➡ 563 00:45:04,875 --> 00:45:07,878 まだ 若かりしころ➡ 564 00:45:07,878 --> 00:45:16,887 私には 明日の食事にも 事欠いていた 時期があった。➡ 565 00:45:16,887 --> 00:45:21,892 どんな方法であっても➡ 566 00:45:21,892 --> 00:45:26,897 生活していくための金を 手に入れたい。➡ 567 00:45:26,897 --> 00:45:30,901 あるとき そう考えて➡ 568 00:45:30,901 --> 00:45:37,908 空き巣に入って 人さまの金を 盗もうとした。➡ 569 00:45:37,908 --> 00:45:43,914 でも いざとなったら➡ 570 00:45:43,914 --> 00:45:48,852 これで いいのだろうかという 迷いが生じてしまい➡ 571 00:45:48,852 --> 00:45:56,852 ちゅうちょしているうちに 家主が 帰宅してしまった。 572 00:45:59,863 --> 00:46:11,875 今まで 黙っていたこと 嘘をついていたことを 謝る。 573 00:46:11,875 --> 00:46:21,885 ♬~ 574 00:46:21,885 --> 00:46:26,890 (しのぶ)あっ。 やだな。 急に 改まっちゃって。➡ 575 00:46:26,890 --> 00:46:29,890 何の話かと 思ったじゃない。 576 00:46:34,898 --> 00:46:38,902 分かってたよ そんなこと。 (大輔・志田)えっ? 577 00:46:38,902 --> 00:46:42,906 分かっていたのか? 578 00:46:42,906 --> 00:46:46,843 (しのぶ)うん。 バカじゃなければ 分かるよ。➡ 579 00:46:46,843 --> 00:46:48,845 私は バカじゃないんでしょ?➡ 580 00:46:48,845 --> 00:46:52,849 だから ずっと 前から 分かってた。 581 00:46:52,849 --> 00:46:55,849 これも 三段論法? 582 00:47:01,858 --> 00:47:10,867 (昌志)君と 結婚して 正解だった。 583 00:47:10,867 --> 00:47:13,867 アハハ。 584 00:47:26,883 --> 00:47:29,886 (亜弥)逗子で 逮捕だって。 怖い。 585 00:47:29,886 --> 00:47:31,888 (さやか)でも 捕まって ホント よかったね。 586 00:47:31,888 --> 00:47:33,890 (亜弥)藤波さん それっぽい人が 来ると➡ 587 00:47:33,890 --> 00:47:35,892 すぐ 脱走犯かもしれないって いうんですよ。 588 00:47:35,892 --> 00:47:38,895 (さやか)もう 毎日 緊張して 疲れちゃった。 589 00:47:38,895 --> 00:47:42,899 分かる 分かる。 おじさんもね もう 寿命が縮まっちゃったもん。 590 00:47:42,899 --> 00:47:45,836 用心に 越したことはないからね。 591 00:47:45,836 --> 00:47:47,838 なかなか いい店だね ここ。 (藤波)ありがとうございます。 592 00:47:47,838 --> 00:47:50,841 お薦めは 何? (亜弥)えっと。 あっ。➡ 593 00:47:50,841 --> 00:47:53,844 抹茶クリームあん蜜かな。 あと わらび餅も おいしいですよ。 594 00:47:53,844 --> 00:47:55,846 (藤波)亜弥ちゃん。 こういうときはね➡ 595 00:47:55,846 --> 00:47:58,849 全部 お薦めですって 言うのよ。 596 00:47:58,849 --> 00:48:02,853 いつから 分かってたんですかね? しのぶさん。 597 00:48:02,853 --> 00:48:08,859 いいえ。 奥さまは 何も ご存じなかったはずです。 598 00:48:08,859 --> 00:48:11,862 えっ? だって そんなの 分かってたって➡ 599 00:48:11,862 --> 00:48:13,864 言ってたじゃないですか。 だとしたら➡ 600 00:48:13,864 --> 00:48:17,868 ご主人の過去を 簡単に 話されるとは 思えません。 601 00:48:17,868 --> 00:48:22,873 なのに 軽々しく 出家のことを 話すのは おかしいです。 602 00:48:22,873 --> 00:48:26,877 奥さまは 知っているふりをしたんですよ。 603 00:48:26,877 --> 00:48:28,879 何で そんな嘘を? 604 00:48:28,879 --> 00:48:30,881 もし 知らなかったと 言っていたら➡ 605 00:48:30,881 --> 00:48:36,887 ご主人は 10年間 ずっと 奥さまを だましていたことになります。 606 00:48:36,887 --> 00:48:39,890 ただでさえ 病気のことを 打ち明けられずに➡ 607 00:48:39,890 --> 00:48:45,829 悩んでいた ご主人に これ以上 引け目を 感じてほしくない。 608 00:48:45,829 --> 00:48:48,832 そう思ったんじゃないでしょうか。 609 00:48:48,832 --> 00:48:50,834 やっぱり 坂口さんの 言うとおり➡ 610 00:48:50,834 --> 00:48:54,838 彼女は バカなんかじゃありませんね。 611 00:48:54,838 --> 00:48:59,843 ご主人も 奥さまの嘘に 気付いていたと思います。 612 00:48:59,843 --> 00:49:05,849 論理的に考えれば 奥さまの言動に 整合性が 取れないでしょうから。 613 00:49:05,849 --> 00:49:11,855 でも その嘘を暴いても 何の意味も ありません。 614 00:49:11,855 --> 00:49:17,855 おそらく 奥さまの優しさを 受け止められたんでしょう。 615 00:49:20,864 --> 00:49:22,866 ハァー。 616 00:49:22,866 --> 00:49:29,873 いい夫婦ですね。 いい ご夫婦です。 617 00:49:29,873 --> 00:49:44,905 ♬~ 618 00:49:44,905 --> 00:49:54,905 ♬~