1 00:00:33,729 --> 00:00:37,466 <佐吉が差配人となってから➡ 2 00:00:37,466 --> 00:00:42,137 住人が 次々といなくなる鉄瓶長屋> 3 00:00:42,137 --> 00:00:44,073 (平四郎)ああ~! 4 00:00:44,073 --> 00:00:46,008 (小平次)旦那~! 5 00:00:46,008 --> 00:00:49,478 <そこに 何か 悪だくみがあるのではと➡ 6 00:00:49,478 --> 00:00:51,413 うたぐった平四郎は➡ 7 00:00:51,413 --> 00:00:56,819 幼なじみの隠密廻り同心 辻井英之介や➡ 8 00:00:56,819 --> 00:01:00,155 岡っ引きの政五郎の手を借りて➡ 9 00:01:00,155 --> 00:01:02,491 佐吉の生い立ちや➡ 10 00:01:02,491 --> 00:01:05,828 湊屋総右衛門を目の敵と狙う➡ 11 00:01:05,828 --> 00:01:11,828 岡っ引きの仁平の存在などを 知ったのであった> 12 00:01:13,502 --> 00:01:15,437 (烏の鳴き声) 13 00:01:15,437 --> 00:01:17,372 ああ~! 14 00:01:17,372 --> 00:01:25,072 (鳴き声) 15 00:01:32,988 --> 00:01:39,461 う~ん! う~ん! 16 00:01:39,461 --> 00:01:42,364 (小平次)井筒山。 ああ~! 17 00:01:42,364 --> 00:01:46,135 (志乃)朝から張り切って おいでのようでございましたが。 18 00:01:46,135 --> 00:01:52,474 あっ これか? 人間 腰の備えが肝心だ。 19 00:01:52,474 --> 00:01:56,345 また 痛めたんじゃ お役目に差し支えるからな。 20 00:01:56,345 --> 00:02:01,817 これでも 本所深川見廻り方 町方の旦那だ。 21 00:02:01,817 --> 00:02:05,487 それはそうで ございましょうが…。 22 00:02:05,487 --> 00:02:08,157 何だ? いつから そのように➡ 23 00:02:08,157 --> 00:02:11,827 お役目に精進なされるように なったのかと思いまして。 24 00:02:11,827 --> 00:02:15,497 ああ? お役目は 気楽が一番だと➡ 25 00:02:15,497 --> 00:02:17,833 いつも おっしゃってるでは ありませんか。 26 00:02:17,833 --> 00:02:21,703 そうか? あれは いつでしたか。 27 00:02:21,703 --> 00:02:25,707 そうそう 今のお役目を 仰せつかった頃の事です。 28 00:02:25,707 --> 00:02:28,844 ため息交じりに 当時のお役目だった➡ 29 00:02:28,844 --> 00:02:32,447 諸式調掛りの方が よほど気楽で ましだと➡ 30 00:02:32,447 --> 00:02:34,383 確かに おっしゃいました。 31 00:02:34,383 --> 00:02:36,318 言った? はい。 32 00:02:36,318 --> 00:02:39,788 「諸式調掛りとは それほど よいお役目なのですか?」と➡ 33 00:02:39,788 --> 00:02:43,125 お尋ねしたら 「それは そうだ。➡ 34 00:02:43,125 --> 00:02:47,996 海千山千の札差を相手にせねば ならない北町とは違って➡ 35 00:02:47,996 --> 00:02:50,999 我が南町は 野菜や魚の値段の➡ 36 00:02:50,999 --> 00:02:53,135 見張りをしておれば よいだけだから➡ 37 00:02:53,135 --> 00:02:55,470 気楽な事 この上ない。➡ 38 00:02:55,470 --> 00:03:00,142 その上 食い物の事が よく分かる」。 39 00:03:00,142 --> 00:03:05,480 そういやぁ あのお役目を 15年 勤め上げた時➡ 40 00:03:05,480 --> 00:03:08,383 生涯このままでよいって 思ったもんだ。 41 00:03:08,383 --> 00:03:10,819 うん そんな事 言ったかもしれねえな。 42 00:03:10,819 --> 00:03:15,157 見習いの頃の 高積み見廻りも 似たようなもんだった。 43 00:03:15,157 --> 00:03:18,493 あれも 材木や商家の積み荷が 乱雑になってはいないか➡ 44 00:03:18,493 --> 00:03:22,364 町を見回りゃ よかったからな。 そうでした。 45 00:03:22,364 --> 00:03:26,168 嫁に入った頃 「ざっかけない話➡ 46 00:03:26,168 --> 00:03:28,837 町に出て ぶらぶらしてりゃいいんだ」と➡ 47 00:03:28,837 --> 00:03:30,772 伺った事がございます。 48 00:03:30,772 --> 00:03:35,444 だが… 次のお役目が…。 49 00:03:35,444 --> 00:03:38,347 町火消し人足検め。 50 00:03:38,347 --> 00:03:40,782 あれは ひどかった…。 51 00:03:40,782 --> 00:03:43,118 (鐘) 52 00:03:43,118 --> 00:03:46,021 火事とけんかは江戸の花 とはいうものの➡ 53 00:03:46,021 --> 00:03:48,790 火を見て 気が立った 町火消し同士のけんかに➡ 54 00:03:48,790 --> 00:03:51,693 やじ馬まで加わって 大騒ぎだ。 55 00:03:51,693 --> 00:03:55,130 おかげで1年の間に 2度も火事場でぶっ倒れて➡ 56 00:03:55,130 --> 00:03:58,033 戸板で運ばれた。 57 00:03:58,033 --> 00:04:00,802 人には向き不向きがございます。 58 00:04:00,802 --> 00:04:03,705 それ 上役にも言われた。 59 00:04:03,705 --> 00:04:08,677 ですから あまり張り切り過ぎると また どなたかの下敷きになって➡ 60 00:04:08,677 --> 00:04:11,146 腰を痛めてしまいます。 61 00:04:11,146 --> 00:04:14,483 あっ…。 62 00:04:14,483 --> 00:04:16,783 はい どうぞ。 63 00:04:28,030 --> 00:04:31,767 ですから 私は お徳さんの事なんか ひと言も…。 64 00:04:31,767 --> 00:04:34,670 いいって 気にしてねえよ。 65 00:04:34,670 --> 00:04:37,105 旦那~。 66 00:04:37,105 --> 00:04:39,041 おや 旦那。 お久しぶりでございます。 67 00:04:39,041 --> 00:04:41,777 腰は もう 本調子のようでございますね。 68 00:04:41,777 --> 00:04:44,112 おうよ。 おっ 相撲でも取るか? 69 00:04:44,112 --> 00:04:46,782 よっ! よっ! 70 00:04:46,782 --> 00:04:48,717 え~ やめときましょう。 71 00:04:48,717 --> 00:04:52,120 旦那みたいに 腰 痛めたら 年寄りは 寝たきりになっちまう。 72 00:04:52,120 --> 00:04:54,420 ああ そりゃそうだ。 73 00:05:01,463 --> 00:05:04,800 ありがとよ。 また 来るよ。 74 00:05:04,800 --> 00:05:06,735 ご苦労さんです。 75 00:05:06,735 --> 00:05:09,671 お徳のやつ 店開けてるぜ。 昨日までは…。 76 00:05:09,671 --> 00:05:12,474 (おくめ)はい お待ち。 おっ ありがとよ。 はい 毎度。 77 00:05:12,474 --> 00:05:17,145 あら 旦那。 ここんとこ お見限りだったじゃないですか。 78 00:05:17,145 --> 00:05:19,481 見回り 怠けちゃ駄目ですよ。 79 00:05:19,481 --> 00:05:21,817 ああ 代わりに 小平次を よこしただろう。 80 00:05:21,817 --> 00:05:25,153 ところで 何やってんだ お前。 81 00:05:25,153 --> 00:05:28,490 見て分かんなきゃ 言っても分からないってね。 82 00:05:28,490 --> 00:05:30,826 店番に決まってるじゃないですか。 83 00:05:30,826 --> 00:05:34,429 お徳は どうした? 幸庵先生んとこ。 84 00:05:34,429 --> 00:05:37,099 起きられるようになったのか。 85 00:05:37,099 --> 00:05:39,434 よかったな。 86 00:05:39,434 --> 00:05:41,370 何 言ってるんですか。 87 00:05:41,370 --> 00:05:45,107 お徳さんなら とっくのとうに起きてましたよ。 88 00:05:45,107 --> 00:05:48,777 いいかい? あんたは 春なんか売らなくたって➡ 89 00:05:48,777 --> 00:05:51,113 やってこれたはずなんだ! 90 00:05:51,113 --> 00:05:55,984 煮売りだろうが 仕立物だろうが 青物売りだって 何だって。 91 00:05:55,984 --> 00:06:00,122 そうさ! 何だって できたはずなのに➡ 92 00:06:00,122 --> 00:06:06,995 それをしないで 春を売ってたのは あんたが 怠け者だからなんだ! 93 00:06:06,995 --> 00:06:14,136 そんな怠け者に 商売物の鍋を 触らせる訳にはいかないんだよ。 94 00:06:14,136 --> 00:06:19,007 そうだよ。 私ゃ 春ひさいで 金稼いでた➡ 95 00:06:19,007 --> 00:06:21,009 女郎上がりの女だよ。 96 00:06:21,009 --> 00:06:24,780 お徳さんの言うとおり 私ゃ 怠け者さ。 97 00:06:24,780 --> 00:06:27,482 手前で言うんだから 間違いない。 98 00:06:27,482 --> 00:06:31,753 けどね 私だって お徳さんみたいに➡ 99 00:06:31,753 --> 00:06:34,656 重い物 持ったり➡ 100 00:06:34,656 --> 00:06:37,626 寝ないで働いたりするのが 嫌だったんだから➡ 101 00:06:37,626 --> 00:06:40,762 しょうがないじゃないか。 102 00:06:40,762 --> 00:06:47,102 それでも こんな私でもさ 心配なんだよ お徳さんの体。 103 00:06:47,102 --> 00:06:50,972 床上げしたって まだ本物じゃないんだからさ➡ 104 00:06:50,972 --> 00:06:54,272 だから…。 余計なお世話だよ。 105 00:06:56,778 --> 00:06:59,114 もう クソカスみたいに言いながら➡ 106 00:06:59,114 --> 00:07:02,784 しかたなしに 幸庵先生んとこに行ったって訳。 107 00:07:02,784 --> 00:07:04,719 かわいげがないよ 本当。 108 00:07:04,719 --> 00:07:07,122 まあ そう言うな。 109 00:07:07,122 --> 00:07:11,460 けど お前は 人がいいなあ。 110 00:07:11,460 --> 00:07:14,362 あんまり面白くはないけどね。 111 00:07:14,362 --> 00:07:18,800 ただ…。 うん? 112 00:07:18,800 --> 00:07:23,672 旦那。 お徳さん 私がいなくなったら➡ 113 00:07:23,672 --> 00:07:25,674 寂しいと思うよ。 114 00:07:25,674 --> 00:07:28,143 ああ しょってるんじゃないんだよ。 115 00:07:28,143 --> 00:07:31,746 加吉さんが亡くなってから こっち➡ 116 00:07:31,746 --> 00:07:36,618 独り身だったお徳さんが 日がな一日 私と一緒にいたんだ。 117 00:07:36,618 --> 00:07:40,755 きっと さみしがるよ お徳さん。 118 00:07:40,755 --> 00:07:43,091 そう思うとさ 朝起きると➡ 119 00:07:43,091 --> 00:07:46,428 まっつぐ ここに来ちまってるんですよ。 120 00:07:46,428 --> 00:07:50,098 それで どなられてちゃ 割に合わねえな。 121 00:07:50,098 --> 00:07:54,098 本当だ。 フフフ ハハハ。 122 00:07:57,772 --> 00:08:02,110 世の中の人間が みんな お前みてえだったら➡ 123 00:08:02,110 --> 00:08:06,448 御番所も要らねえな。 何 言ってんのさ。 124 00:08:06,448 --> 00:08:09,117 世の中の女が み~んな 私みたいだったら➡ 125 00:08:09,117 --> 00:08:11,453 千代田のお城が ひっくり返っちまうよ。 126 00:08:11,453 --> 00:08:13,788 ハッハッハッ なるほどな。 127 00:08:13,788 --> 00:08:17,459 旦那。 よう お徳。 128 00:08:17,459 --> 00:08:20,362 床上げ済んでよかったな。 129 00:08:20,362 --> 00:08:23,798 旦那 ご心配 おかけしました。 130 00:08:23,798 --> 00:08:27,135 旦那の方こそ もう…。 ああ~。 131 00:08:27,135 --> 00:08:31,740 そりゃよかった。 もう旦那には 迷惑かけちまって➡ 132 00:08:31,740 --> 00:08:35,076 申し訳ないなって もうずっと…。 いや よせって。 133 00:08:35,076 --> 00:08:40,949 俺より おくめがよくやってる。 そうですねえ。 134 00:08:40,949 --> 00:08:46,421 まあ 私も すっかり この人には世話になっちまって。 135 00:08:46,421 --> 00:08:50,292 何 言ってんだよ お徳さん。 136 00:08:50,292 --> 00:08:55,764 けど だけど 私は やっぱり あんたみたいな女 大っ嫌いだ! 137 00:08:55,764 --> 00:08:58,099 お徳…。 138 00:08:58,099 --> 00:09:02,771 大っ嫌いだから 借りを作っておく訳にはいかない。 139 00:09:02,771 --> 00:09:07,642 そんなこっちゃあ 鉄瓶長屋の お徳さんの名が廃るって➡ 140 00:09:07,642 --> 00:09:11,446 まあ そう道々 思いながら 来たとこなんですよ。 141 00:09:11,446 --> 00:09:15,317 えっ 何? 142 00:09:15,317 --> 00:09:18,119 おい…。 143 00:09:18,119 --> 00:09:21,022 おくめさん。 はい!? 144 00:09:21,022 --> 00:09:23,992 あんただって いつまでも➡ 145 00:09:23,992 --> 00:09:27,462 体売って 世渡りしていく訳には いかないはずだ! 146 00:09:27,462 --> 00:09:30,365 あんな商売 ばばあになったら おしまいさ。 147 00:09:30,365 --> 00:09:34,269 男だって ばばあの あんたなんか 相手になんかしやしない! 148 00:09:34,269 --> 00:09:38,073 そんなこたぁ 百も承知 二百も合点のはずだ。 149 00:09:38,073 --> 00:09:40,976 だから 何さ。 だからね➡ 150 00:09:40,976 --> 00:09:47,749 世話になったお礼に 私は あんたに➡ 151 00:09:47,749 --> 00:09:53,421 煮物屋の いろはを 仕込んでやろうと思ったのさ! 152 00:09:53,421 --> 00:09:57,759 鉄瓶長屋のお徳さん秘伝の煮物だ。 153 00:09:57,759 --> 00:10:02,097 永代橋渡ってでも買いに来る お客だっている煮物だよ。 154 00:10:02,097 --> 00:10:05,767 そのコツを 教えてやろうってんだ。 155 00:10:05,767 --> 00:10:09,437 ありがたく思いな! 156 00:10:09,437 --> 00:10:11,773 旦那。 えっ? 157 00:10:11,773 --> 00:10:15,644 それと 長屋の衆。 (一同)へい。 158 00:10:15,644 --> 00:10:22,117 みんなが証人だ。 今日から この人は 私の弟子だからね。 159 00:10:22,117 --> 00:10:24,452 いいね? 160 00:10:24,452 --> 00:10:26,788 そいつは いいや。 なあ。 161 00:10:26,788 --> 00:10:29,691 (佐吉)そうでしたか。 そりゃあ よかった。 162 00:10:29,691 --> 00:10:32,661 お徳の気持ち おくめも分かったようだ。 163 00:10:32,661 --> 00:10:35,463 あの2人なら うまくやってけますよ。 164 00:10:35,463 --> 00:10:40,463 お前も 仲に入って 大骨を折った かいがあったってもんだ。 165 00:10:46,808 --> 00:10:49,711 ≪(佐吉)長屋の人たちが うまくいきゃあ 俺はいいんです。 166 00:10:49,711 --> 00:10:54,149 差配人は つらいねえ… か? 167 00:10:54,149 --> 00:10:56,084 こいつは? ああ。 168 00:10:56,084 --> 00:10:59,487 こまごまとした修繕が 途切れなくありますからね。 169 00:10:59,487 --> 00:11:02,824 夏前には 井戸さらいもしないと なりませんし。 170 00:11:02,824 --> 00:11:06,161 月々 どのくらい金が出ていくのか 調べてるんです。 171 00:11:06,161 --> 00:11:09,497 後に来る人のためにも ちゃんとしておかないと。 172 00:11:09,497 --> 00:11:14,369 後に来る? 俺は つなぎの差配人ですから。 173 00:11:14,369 --> 00:11:18,840 そうか。 そんなふうに考えてる訳か。 174 00:11:18,840 --> 00:11:21,509 …えっ? 175 00:11:21,509 --> 00:11:24,412 実はな お前には悪いと思ったが➡ 176 00:11:24,412 --> 00:11:28,712 ちょいと お前の事を 調べさせてもらった。 177 00:11:31,519 --> 00:11:36,791 <平四郎は 湊屋総右衛門の女房 おふじと➡ 178 00:11:36,791 --> 00:11:42,130 亭主の暴力から 湊屋に転がり込んできた姪で➡ 179 00:11:42,130 --> 00:11:46,468 佐吉の母親の葵との仲がこじれ➡ 180 00:11:46,468 --> 00:11:52,807 葵が 佐吉を置いて 湊屋を出奔した事。➡ 181 00:11:52,807 --> 00:11:59,481 岡っ引きの仁平と総右衛門の 過去のいきさつなど➡ 182 00:11:59,481 --> 00:12:03,351 調べた事を 洗いざらい話した> 183 00:12:03,351 --> 00:12:07,155 (仁平)湊屋には 店子を 追い出したい事情があるんだ。 184 00:12:07,155 --> 00:12:10,492 それが何なのか 必ず突き止めてやる。 185 00:12:10,492 --> 00:12:14,362 俺は お前の事は心配してねえ。 186 00:12:14,362 --> 00:12:18,366 ただ 仁平の事は気になるからな。 187 00:12:18,366 --> 00:12:22,103 お気遣い ありがたい事です。 湊屋の旦那も➡ 188 00:12:22,103 --> 00:12:25,507 仁平親分の事についちゃあ 用心してましたから。 189 00:12:25,507 --> 00:12:30,845 総右衛門も 仁平の怖さを知ってるって訳だ。 190 00:12:30,845 --> 00:12:33,448 承知しておられます。 191 00:12:33,448 --> 00:12:36,785 「承知しておられます」か。 192 00:12:36,785 --> 00:12:38,720 …えっ? 193 00:12:38,720 --> 00:12:41,456 総右衛門は お前の大叔父なんだろう? 194 00:12:41,456 --> 00:12:43,792 水くせえんじゃねえか? 195 00:12:43,792 --> 00:12:49,464 子どもの頃には 一つ屋根の下で 仲良くしてた間柄じゃねえか。 196 00:12:49,464 --> 00:12:53,134 昔は昔 今は今です。 197 00:12:53,134 --> 00:12:55,470 堅いね 随分。 198 00:12:55,470 --> 00:12:57,806 それほどよくしてくれた旦那を➡ 199 00:12:57,806 --> 00:13:00,141 俺のおふくろは裏切りました。 200 00:13:00,141 --> 00:13:02,477 許されない事です。 201 00:13:02,477 --> 00:13:04,813 そうか? 202 00:13:04,813 --> 00:13:07,715 おふくろさんは 総右衛門の事を 信用していたから➡ 203 00:13:07,715 --> 00:13:11,152 お前を残して 飛び出したんじゃねえのかい? 204 00:13:11,152 --> 00:13:14,055 旦那らしいや。 あ? 205 00:13:14,055 --> 00:13:18,026 旦那なら 腹が立たないのかな。 206 00:13:18,026 --> 00:13:22,163 困っているところを拾って 養ってやっていた姪に➡ 207 00:13:22,163 --> 00:13:26,835 ガキ押しつけられて 後足で砂 引っ掛けられたんです。 208 00:13:26,835 --> 00:13:30,705 おいおい 穏やかな言い方じゃねえな。 209 00:13:30,705 --> 00:13:35,109 旦那のお調べは ほんの少し足りません。 210 00:13:35,109 --> 00:13:37,045 …足りない? 211 00:13:37,045 --> 00:13:41,449 俺のおふくろは 湊屋を飛び出す時に➡ 212 00:13:41,449 --> 00:13:44,786 お店の金を盗んでます。➡ 213 00:13:44,786 --> 00:13:49,457 しかも 湊屋の旦那が 将来を見込んでいた若い手代と➡ 214 00:13:49,457 --> 00:13:52,794 手に手を取って 駆け落ちしたんです。 215 00:13:52,794 --> 00:13:55,463 本当か? 216 00:13:55,463 --> 00:14:02,136 俺のおふくろは 恩知らずで さもしい男好きの女でした。 217 00:14:02,136 --> 00:14:04,806 ですから おふくろが いなくなったあと➡ 218 00:14:04,806 --> 00:14:09,477 おかみさんには 随分 つらく当たられました。 219 00:14:09,477 --> 00:14:11,412 当たり前ですよ。 220 00:14:11,412 --> 00:14:13,815 本当なら おかみさんに たたき出されたって➡ 221 00:14:13,815 --> 00:14:17,151 文句が言えなかったんですから。 222 00:14:17,151 --> 00:14:20,488 総右衛門のかみさんの おふじだな? 223 00:14:20,488 --> 00:14:24,158 ですが 湊屋の旦那がとりなして下さり➡ 224 00:14:24,158 --> 00:14:26,094 俺は 植木職人として➡ 225 00:14:26,094 --> 00:14:30,498 自分の口くらい 自分で養えるようになりました。 226 00:14:30,498 --> 00:14:33,768 だからこそ ほとぼりが冷めて➡ 227 00:14:33,768 --> 00:14:36,671 鉄瓶長屋の差配人のなり手が 見つかるまで➡ 228 00:14:36,671 --> 00:14:40,441 なんとか頑張ってくれないかと 言われた時➡ 229 00:14:40,441 --> 00:14:46,314 せめてもの恩返し 一も二もなく引き受けたんです。 230 00:14:46,314 --> 00:14:51,614 なのに 次から次と 店子を しくじっちまって…。 231 00:14:53,788 --> 00:14:58,660 けどな 佐吉 例の八助たちの壺信心だが➡ 232 00:14:58,660 --> 00:15:03,798 2年ほど前 上方から湊屋に 伝わったって話がある。 233 00:15:03,798 --> 00:15:08,469 えっ…。 今じゃ 誰も覚えてないようだが…。 234 00:15:08,469 --> 00:15:12,340 となるとだ 八助たちの壺信心騒ぎを➡ 235 00:15:12,340 --> 00:15:15,343 湊屋が仕掛けたとは 考えられねえか? 236 00:15:15,343 --> 00:15:21,482 …で 仁平も それを知って 食らいついてきた。 どうだ? 237 00:15:21,482 --> 00:15:24,385 そいつは 旦那の思い過ごしですよ。 238 00:15:24,385 --> 00:15:26,354 第一 湊屋の旦那に➡ 239 00:15:26,354 --> 00:15:28,823 ここの店子たちを 追い出す訳なんてありゃしません。 240 00:15:28,823 --> 00:15:31,492 もし あったとしても そんな➡ 241 00:15:31,492 --> 00:15:34,395 遠回しな手を使う必要なんか ないんじゃありませんか? 242 00:15:34,395 --> 00:15:38,299 まあまあ そう言われりゃ そうなんだ。 243 00:15:38,299 --> 00:15:40,301 けどな…。 244 00:15:40,301 --> 00:15:54,449 ♬~ 245 00:15:54,449 --> 00:15:59,449 <数日後の事> 246 00:16:01,789 --> 00:16:05,460 (みすず)おじさん。➡ 247 00:16:05,460 --> 00:16:10,160 聞きたい事があるのですけど。 へっ? 248 00:16:14,802 --> 00:16:20,102 また 家移りかい。 おじさん! 249 00:16:21,676 --> 00:16:24,812 (弓之助) では おくめさんが煮売り屋として 独り立ちでもしたら➡ 250 00:16:24,812 --> 00:16:26,748 そのうち 家移りして➡ 251 00:16:26,748 --> 00:16:30,685 別の場所で 商いを 始める事になるのでしょうか。 252 00:16:30,685 --> 00:16:35,089 そうか。 煮売り屋は 2軒も要らねえな。 253 00:16:35,089 --> 00:16:37,759 という事は 佐吉さんは また一人➡ 254 00:16:37,759 --> 00:16:39,694 店子を失う事になります。 255 00:16:39,694 --> 00:16:43,631 うへぇ~。 256 00:16:43,631 --> 00:16:45,631 (弓之助)あれ? 257 00:16:55,109 --> 00:16:57,779 どうした? (一同)し~っ! し~っ! 258 00:16:57,779 --> 00:17:01,449 何だ 旦那じゃないか。 「何だ」って ご挨拶だな。 259 00:17:01,449 --> 00:17:04,786 一体 どうしたってんだよ。 佐吉が どうかしたのか? 260 00:17:04,786 --> 00:17:06,721 お客が来てるんですよ。 261 00:17:06,721 --> 00:17:09,721 それがね 旦那…。 262 00:17:12,660 --> 00:17:17,660 うるさいわね! そんなに 見物したければ 入ってくれば? 263 00:17:19,333 --> 00:17:23,471 あ… 八丁堀の旦那ですか? 264 00:17:23,471 --> 00:17:25,807 ああ。 265 00:17:25,807 --> 00:17:30,807 佐吉。 八丁堀の旦那が お見えになったわよ! 266 00:17:32,613 --> 00:17:37,752 そんなに私が誰か知りたいなら 教えてあげる。 267 00:17:37,752 --> 00:17:41,089 私 みすず。 湊屋の娘よ。 268 00:17:41,089 --> 00:17:44,759 (ざわめき) うへぇ~! 269 00:17:44,759 --> 00:17:49,430 旦那が 南町の 井筒の旦那でございますね? 270 00:17:49,430 --> 00:17:52,430 ああ そうだ。 271 00:17:54,102 --> 00:17:58,439 (長助)ゆ~みさん。 はい。 272 00:17:58,439 --> 00:18:00,775 えっ? あっ ちょちょ…。 273 00:18:00,775 --> 00:18:03,678 ところで あんた 1人で来なすったのかい? 274 00:18:03,678 --> 00:18:06,647 ええ そうです。 それが 何か? 275 00:18:06,647 --> 00:18:08,649 ああ いや 別に 叱ろうってんじゃないんだ。 276 00:18:08,649 --> 00:18:12,787 水を一杯 もらいてえんだが 中 入れてくれるか? 277 00:18:12,787 --> 00:18:17,125 あら どうぞ。 278 00:18:17,125 --> 00:18:20,461 てな訳なら 私たちも引き揚げようよ。 279 00:18:20,461 --> 00:18:24,332 お嬢さん とんだ失礼をば致しました。 280 00:18:24,332 --> 00:18:26,334 あっ 大変! 281 00:18:26,334 --> 00:18:29,804 俺たちも行こうか。 そうだね。 282 00:18:29,804 --> 00:18:33,504 (みすず)つまんないの。 お嬢さん…。 283 00:18:35,409 --> 00:18:39,747 ああ~。 それで お嬢さん➡ 284 00:18:39,747 --> 00:18:41,682 佐吉に何の用があって 来なすった? 285 00:18:41,682 --> 00:18:46,621 ただ 会いに来たんでございます。 一遍 会ってみたかったから。 286 00:18:46,621 --> 00:18:49,423 旦那。 お嬢さんは 俺を からかいに➡ 287 00:18:49,423 --> 00:18:51,759 お見えになったようで。 そんな事はないわ。 288 00:18:51,759 --> 00:18:56,631 私は 人を たばかったりは致しません。 289 00:18:56,631 --> 00:19:01,769 お隣 よろしい? ああ。 290 00:19:01,769 --> 00:19:04,438 ああ~! 291 00:19:04,438 --> 00:19:06,374 ああ…。 これだから➡ 292 00:19:06,374 --> 00:19:09,777 お一人で出歩くのは危ないんです。 293 00:19:09,777 --> 00:19:13,648 ありがとう。 ああ~ やになっちゃう。 294 00:19:13,648 --> 00:19:17,118 せっかく気取ってたのに。 ブブッ…。 295 00:19:17,118 --> 00:19:20,021 もう そんなに笑わないで下さいまし。 296 00:19:20,021 --> 00:19:23,991 お嬢さんは これがないと 何にも見えないんです。 297 00:19:23,991 --> 00:19:27,461 そうか。 あんた近目か。 298 00:19:27,461 --> 00:19:31,332 そうなんです。 8つの時から ずっとかけていて。 299 00:19:31,332 --> 00:19:34,268 そのために 長崎まで行ったんですから。 300 00:19:34,268 --> 00:19:37,271 えっ 長崎ですか? そうなの。 301 00:19:37,271 --> 00:19:39,407 そりゃ 偉えもんだ。 302 00:19:39,407 --> 00:19:42,743 旦那 感心してちゃいけません。 今頃 湊屋では➡ 303 00:19:42,743 --> 00:19:45,413 青くなって お嬢さんを 捜してるに決まってます。 304 00:19:45,413 --> 00:19:49,283 まだ平気よ。 おもんは 私が踊りの稽古をしてるって➡ 305 00:19:49,283 --> 00:19:52,086 思ってるんだから。 お供の女中かい? 306 00:19:52,086 --> 00:19:54,422 おもんは いつも 私を送り届けると➡ 307 00:19:54,422 --> 00:19:57,325 お稽古が済むまで 用足しに回るんです。 308 00:19:57,325 --> 00:20:00,294 だから その隙に 駕籠屋さんに 小粒を渡して➡ 309 00:20:00,294 --> 00:20:03,097 ここまで とっとと やって来たって訳なんです。 310 00:20:03,097 --> 00:20:05,766 だからって 早く帰るに こした事はありません。 311 00:20:05,766 --> 00:20:08,102 まだ来たばっかりじゃない。 312 00:20:08,102 --> 00:20:10,037 まあまあまあ… じゃあ こうしよう。 313 00:20:10,037 --> 00:20:13,975 小平次。 これから お前は 湊屋に走るんだ。 314 00:20:13,975 --> 00:20:18,746 それでな お嬢さんは無事だから 踊りの稽古は休んじまったが➡ 315 00:20:18,746 --> 00:20:23,651 今 どこにいるかは分からなくても 必ず帰るから心配はいらねえ。 316 00:20:23,651 --> 00:20:25,653 鉄瓶長屋にいるって 言ってもらっても➡ 317 00:20:25,653 --> 00:20:27,788 ちっとも構いません。 318 00:20:27,788 --> 00:20:31,488 だから そのとおりに 言ってちょうだい。 うへぇ~。 319 00:20:34,662 --> 00:20:38,432 困るんだよな~。 どうして? 320 00:20:38,432 --> 00:20:42,136 いいじゃない 佐吉が困る事なんか 何にもないのよ? 321 00:20:42,136 --> 00:20:45,806 ≪甘い~! 甘い! 322 00:20:45,806 --> 00:20:49,143 うん? 弓之助 長助 甘酒 好きか? はい! 323 00:20:49,143 --> 00:20:53,014 大好きです! おいらも好~き。 私も大好き! 324 00:20:53,014 --> 00:20:57,818 佐吉と行ってこい。 暑い時は 固練りの甘酒に限る。 325 00:20:57,818 --> 00:21:01,155 長屋のみんなにも 俺のおごりだ。 振る舞ってやれ。 326 00:21:01,155 --> 00:21:03,491 はい! けど 旦那…。 327 00:21:03,491 --> 00:21:05,826 ああ いいから行ってこい。 328 00:21:05,826 --> 00:21:11,499 甘い 甘酒! (佐吉)甘酒屋さ~ん! 329 00:21:11,499 --> 00:21:13,434 はいよ! 330 00:21:13,434 --> 00:21:16,170 井筒の旦那が 甘酒を振る舞ってくれますよ~! 331 00:21:16,170 --> 00:21:21,509 井筒の旦那が 甘酒を振る舞ってくれます。 332 00:21:21,509 --> 00:21:25,379 本当かい? 甘酒を振る舞ってくれますよ。 333 00:21:25,379 --> 00:21:30,518 さてと この旦那に教えてくれ お嬢さん。 334 00:21:30,518 --> 00:21:34,388 あんた ここに 本当は 何をしに来た? 335 00:21:34,388 --> 00:21:38,793 ですから 本当に佐吉に 会いに来たかっただけです。 336 00:21:38,793 --> 00:21:41,128 うちでは お父っつぁんも おっ母さんも➡ 337 00:21:41,128 --> 00:21:43,798 しょっちゅう 佐吉の事を話してるから。 338 00:21:43,798 --> 00:21:45,733 しょっちゅう…。 339 00:21:45,733 --> 00:21:49,470 それは 差配人の久兵衛が 姿をくらましてから➡ 340 00:21:49,470 --> 00:21:53,808 後釜に佐吉がやって来てから こっちの事かい? 341 00:21:53,808 --> 00:21:57,144 先から話は出てたけれど➡ 342 00:21:57,144 --> 00:21:59,080 佐吉のおっ母さんが➡ 343 00:21:59,080 --> 00:22:01,816 うちのお父っつぁんの 姪なんでしょ? 344 00:22:01,816 --> 00:22:04,485 葵さんって人で➡ 345 00:22:04,485 --> 00:22:06,821 うちのおっ母さんと仲が悪くて➡ 346 00:22:06,821 --> 00:22:10,157 おっ母さんが追い出したような 形になったって。 347 00:22:10,157 --> 00:22:13,060 誰から聞いたんだい? お父っつぁんが。 348 00:22:13,060 --> 00:22:16,030 ああ… じかに 話を聞いた訳じゃないけど➡ 349 00:22:16,030 --> 00:22:18,833 昔話を聞きかじったのを 集めると➡ 350 00:22:18,833 --> 00:22:21,502 そんなふうになるんです。 351 00:22:21,502 --> 00:22:25,373 お店の手代と その葵さんが 駆け落ちをしたって話は➡ 352 00:22:25,373 --> 00:22:28,175 聞いた事ないかね? 353 00:22:28,175 --> 00:22:31,512 …ありません。 そうなのですか? 354 00:22:31,512 --> 00:22:33,781 ああ いやいや なきゃいいんだ。 355 00:22:33,781 --> 00:22:36,781 今の話は忘れてくれ。 356 00:22:39,120 --> 00:22:43,991 何で佐吉は あんな事を…。 357 00:22:43,991 --> 00:22:48,462 どうにも こんがらがってきちまったなあ。 358 00:22:48,462 --> 00:22:51,132 (みすず)私 お父っつぁんも おっ母さんも➡ 359 00:22:51,132 --> 00:22:54,802 大嫌いなんです。 うん…。 360 00:22:54,802 --> 00:22:57,138 うん? 361 00:22:57,138 --> 00:22:59,473 何て言った? 今。 362 00:22:59,473 --> 00:23:04,345 お父っつぁんは 私をよそ様に贈る 人形みたいに思ってるし➡ 363 00:23:04,345 --> 00:23:07,815 おっ母さんは 私の事 葵さんに似てるからって➡ 364 00:23:07,815 --> 00:23:10,151 憎んでる。 365 00:23:10,151 --> 00:23:13,821 あんた 葵さんに似てるのかい? 366 00:23:13,821 --> 00:23:15,756 らしいんです。 367 00:23:15,756 --> 00:23:20,494 お父っつぁんも言ってたし 久兵衛だって そう言ってました。 368 00:23:20,494 --> 00:23:23,164 久兵衛が? 369 00:23:23,164 --> 00:23:28,035 そうかい。 あんたが 葵さんとね。 370 00:23:28,035 --> 00:23:32,440 そんなこんなで 私 もう 湊屋にいたくないんです。 371 00:23:32,440 --> 00:23:34,775 西国に嫁に行く話だって➡ 372 00:23:34,775 --> 00:23:37,678 お父っつぁんが 勝手に決めた話だし。 373 00:23:37,678 --> 00:23:40,648 本当は 嫁になんか行きたくありません。 374 00:23:40,648 --> 00:23:45,419 そうは言ってもなあ。 私の気持ちなんて ほったらかし。 375 00:23:45,419 --> 00:23:50,324 本当 お父っつぁんも おっ母さんも大っ嫌い! 376 00:23:50,324 --> 00:23:55,463 だから 私 2人とも ぎゃふんと 言わせてやろうと思って。 377 00:23:55,463 --> 00:23:59,133 旦那 それで 私 佐吉に会いに来たんです。 378 00:23:59,133 --> 00:24:03,003 あ? どういう意味かな? 379 00:24:03,003 --> 00:24:09,703 佐吉の事 確かめて気に入ったら 私 ここにお嫁に来ようと思って。 380 00:24:11,479 --> 00:24:15,149 佐吉に 私を お嫁にしてもらおうと思って。 381 00:24:15,149 --> 00:24:17,149 し~っ! 382 00:24:23,023 --> 00:24:26,723 あっ 甘酒? 383 00:24:29,163 --> 00:24:31,499 あっ いや それ 俺が飲んだ…。 384 00:24:31,499 --> 00:24:35,799 あ…。 うわっ おいしい! 385 00:24:39,306 --> 00:24:44,006 ≪よいしょ! はいよっ! 386 00:24:56,123 --> 00:24:59,460 (総右衛門) みすずの いたずら好きにも 困ったもんだ。 387 00:24:59,460 --> 00:25:02,129 だが まあ 好き勝手できるのも 今のうちだからね。 388 00:25:02,129 --> 00:25:04,798 では…。 よろしくお願いしますと➡ 389 00:25:04,798 --> 00:25:07,468 いくらか握らせて お帰り願えばいいだろう。 390 00:25:07,468 --> 00:25:09,768 承知致しました。 391 00:25:13,807 --> 00:25:20,681 へえ~。 じゃあ 向こうの番頭は 驚かなかったんだな。 392 00:25:20,681 --> 00:25:25,152 縁談が まとまってるんだから 勝手になすっても構わないと。 393 00:25:25,152 --> 00:25:27,087 まあ そんな事を… へい。 394 00:25:27,087 --> 00:25:30,491 そんな事を平気で言うのは 房吉だわ。 395 00:25:30,491 --> 00:25:32,760 房吉? 396 00:25:32,760 --> 00:25:34,695 お店の事じゃなくて➡ 397 00:25:34,695 --> 00:25:37,631 お父っつぁんの御用だけを 言いつかる男なんです。 398 00:25:37,631 --> 00:25:41,101 あの男は好かない。 399 00:25:41,101 --> 00:25:45,801 以前 佐吉さんの事でやって来た あの ほら 番頭です。 400 00:25:47,441 --> 00:25:50,778 あのな…。 はい? 401 00:25:50,778 --> 00:25:54,448 ああ~ あいつか。 402 00:25:54,448 --> 00:26:03,791 (烏の鳴き声) 403 00:26:03,791 --> 00:26:07,461 (長助)おいで~ おいで~。 404 00:26:07,461 --> 00:26:10,364 烏を飼ってるの? 官九郎っていうんです。 405 00:26:10,364 --> 00:26:12,333 面白い! 406 00:26:12,333 --> 00:26:16,804 やっぱり 今日は思い切って やって来てみてよかったわ。 407 00:26:16,804 --> 00:26:22,142 佐吉の事を かわいがって下さる 井筒の旦那にもお会いできたし。 408 00:26:22,142 --> 00:26:25,813 弓之助さんや長助さんたちとも 知り合えたもの。 409 00:26:25,813 --> 00:26:29,113 はい! は~い! 410 00:26:32,419 --> 00:26:36,090 けど 旦那。 こんなに お引き止めしてしまって➡ 411 00:26:36,090 --> 00:26:38,025 お役目に 差し支えるんじゃありません? 412 00:26:38,025 --> 00:26:40,761 俺か? いいんだ。 413 00:26:40,761 --> 00:26:44,098 どのみち 気合い入れて 見回りしてる訳じゃねえんだから。 414 00:26:44,098 --> 00:26:46,767 (みすず)はい? いいかい? お嬢さん。 415 00:26:46,767 --> 00:26:49,436 例えば 俺が見回りに出て➡ 416 00:26:49,436 --> 00:26:53,307 止める事ができる争い事なら 誰でも止められる。 417 00:26:53,307 --> 00:26:56,110 ひっくり返して その場にいたやつらが➡ 418 00:26:56,110 --> 00:27:00,781 みんな 止められないもめ事なら 俺がいたって どうしようもねえ。 419 00:27:00,781 --> 00:27:04,451 だから 俺はいたっていなくたって 同じって事だ。 420 00:27:04,451 --> 00:27:09,323 井筒様って 本当に面白いお役人様だわ。 421 00:27:09,323 --> 00:27:13,460 ねっ 佐吉。 あっ あ…。 422 00:27:13,460 --> 00:27:15,460 ち… 近いです。 423 00:27:18,332 --> 00:27:21,335 私 また来ます。 佐吉の事も➡ 424 00:27:21,335 --> 00:27:24,335 本当に好きになっちゃった みたいだもの。 425 00:27:27,808 --> 00:27:33,808 よっ! えっほ えっほ…。 426 00:27:38,085 --> 00:27:43,424 何だか 急に寂しくなりましたね 叔父上。 427 00:27:43,424 --> 00:27:46,760 ああ。 で どうする? 佐吉。 428 00:27:46,760 --> 00:27:50,097 えっ? あのお嬢さんを嫁にするか? 429 00:27:50,097 --> 00:27:52,032 からかっちゃいけませんよ 旦那。 430 00:27:52,032 --> 00:27:54,968 いや あの子は その気だぜ。 縁談が嫌だから➡ 431 00:27:54,968 --> 00:27:59,106 お前と駆け落ちしようって 事じゃねえのか? 432 00:27:59,106 --> 00:28:02,776 なあ? えっ あっ いや 私にはねえ…。 433 00:28:02,776 --> 00:28:06,113 アハハ エヘヘ…。 434 00:28:06,113 --> 00:28:12,786 えっほ えっほ えっほ…。 435 00:28:12,786 --> 00:28:16,123 旦那。 湊屋のお嬢さんは➡ 436 00:28:16,123 --> 00:28:20,461 俺にとって 主人筋の お嬢さんみたいなもんなんです。 437 00:28:20,461 --> 00:28:23,130 そこまで へりくだる事はねえだろう。 438 00:28:23,130 --> 00:28:26,467 お前だって 湊屋の身内だ。 お前の事だって➡ 439 00:28:26,467 --> 00:28:30,337 湊屋では話に出てると あの娘は言ってた。 440 00:28:30,337 --> 00:28:34,074 二親が気にする佐吉って男が どんな野郎なのか➡ 441 00:28:34,074 --> 00:28:37,745 確かめに現れるぐらい しょっちゅうにな。 442 00:28:37,745 --> 00:28:42,616 湊屋さんは 俺の事じゃなくて 鉄瓶長屋が心配なんですよ。 443 00:28:42,616 --> 00:28:44,618 そもそも 俺を ここによこしたのは➡ 444 00:28:44,618 --> 00:28:47,087 失敗だったと 思ってるかもしれません。 445 00:28:47,087 --> 00:28:51,759 おいおい…。 しかたありませんよ。 446 00:28:51,759 --> 00:28:54,428 俺は あんな おふくろの子ですから。 447 00:28:54,428 --> 00:28:56,764 あんなって どういう事ですか? 448 00:28:56,764 --> 00:29:01,635 佐吉はな おふくろさんが 湊屋から金を持って逃げた上に➡ 449 00:29:01,635 --> 00:29:05,773 手代と駆け落ちしたって 言うんだよ。 450 00:29:05,773 --> 00:29:09,643 その話 どなたに聞いたのですか? 451 00:29:09,643 --> 00:29:12,646 当時 佐吉さんは 私より小さかったんでしょ? 452 00:29:12,646 --> 00:29:16,116 弓之助の言うとおりだ。 俺も 不思議でならねえ。 453 00:29:16,116 --> 00:29:20,988 佐吉。 お前 その話 誰に吹き込まれた? 454 00:29:20,988 --> 00:29:23,991 吹き込まれた? 妙な おっしゃりようですね。 455 00:29:23,991 --> 00:29:28,695 だってよ 俺が調べた限り そんな話は出てきてねえ。 456 00:29:28,695 --> 00:29:31,598 だから 旦那のお調べは…。 言っとくが➡ 457 00:29:31,598 --> 00:29:34,601 調べたのは俺じゃねえ。 458 00:29:34,601 --> 00:29:39,740 隠密廻りだ。 隠密廻り? 459 00:29:39,740 --> 00:29:44,411 連中はな 調べろと言ったら 湊屋総右衛門の使っている➡ 460 00:29:44,411 --> 00:29:47,748 厠の落とし紙の値段まで 調べてくるぜ。 461 00:29:47,748 --> 00:29:55,088 その隠密廻りがだ お前が10歳の年の秋➡ 462 00:29:55,088 --> 00:29:59,426 葵が 置き手紙を残して 湊屋を出たって話以上の事は➡ 463 00:29:59,426 --> 00:30:01,361 拾ってこなかったんだ。 464 00:30:01,361 --> 00:30:04,097 それは 湊屋の守りが堅いからです。 465 00:30:04,097 --> 00:30:07,000 駆け落ちなんて 外聞のいい話じゃありませんから。 466 00:30:07,000 --> 00:30:09,770 どうかねえ? 467 00:30:09,770 --> 00:30:15,108 隠密廻りが拾ってきた 葵が湊屋を出た訳は2つだ。 468 00:30:15,108 --> 00:30:17,778 おふじに いびり出されたって うわさと➡ 469 00:30:17,778 --> 00:30:22,115 いまひとつは よそに 男ができたからって うわさだ。 470 00:30:22,115 --> 00:30:26,987 佐吉よ。 湊屋の守りが堅いなら こんな うわさだって➡ 471 00:30:26,987 --> 00:30:28,989 出てくるはずが ねえんじゃねえのか? 472 00:30:28,989 --> 00:30:32,125 どのみち 外聞のいい話じゃねえぜ。 473 00:30:32,125 --> 00:30:36,463 けど 手代と駆け落ちする話よりは ましでしょう。 474 00:30:36,463 --> 00:30:38,799 だが みすずは➡ 475 00:30:38,799 --> 00:30:44,137 おっ母さんと葵の折り合いが 悪かったんだと言ってた。 476 00:30:44,137 --> 00:30:46,073 つまり そう聞いてるって事だ。 477 00:30:46,073 --> 00:30:51,812 聞きかじっただけの話ですよ。 当てになんかできやしない。 478 00:30:51,812 --> 00:30:55,682 あっ あの…。 何だ? 479 00:30:55,682 --> 00:30:57,684 佐吉さんは どうして➡ 480 00:30:57,684 --> 00:31:01,488 おっ母さんが金を盗んで 手代と逃げたかって話に➡ 481 00:31:01,488 --> 00:31:03,423 そんなに しがみつくんですか? 482 00:31:03,423 --> 00:31:06,827 坊ちゃん 俺は 別に しがみついてる訳じゃあ…。 483 00:31:06,827 --> 00:31:09,496 だったら 聞こう。 484 00:31:09,496 --> 00:31:12,165 (佐吉)何です? 485 00:31:12,165 --> 00:31:14,835 お前の言うとおりだとすればだ➡ 486 00:31:14,835 --> 00:31:18,171 奉公人たちが気付いてるはずだ。 487 00:31:18,171 --> 00:31:22,509 昨日までいた手代が 急に いなくなったんだからな。 488 00:31:22,509 --> 00:31:25,846 葵と手代が 駆け落ちするくらいの間柄なら➡ 489 00:31:25,846 --> 00:31:27,781 奉公人たちの誰かは➡ 490 00:31:27,781 --> 00:31:29,716 知ってたはずだ 感づいてたはずだ。 491 00:31:29,716 --> 00:31:32,119 それを どう丸め込んだんだ? 492 00:31:32,119 --> 00:31:35,789 奉公人にとっては 主人の言う事は 全部正しいんです。 493 00:31:35,789 --> 00:31:39,459 そんな事 旦那だってお分かりでしょう!? 494 00:31:39,459 --> 00:31:42,362 そうかい そうかい。 495 00:31:42,362 --> 00:31:45,132 佐吉。 何です? 496 00:31:45,132 --> 00:31:49,803 だったら その手代の名前を聞かせろ。 497 00:31:49,803 --> 00:31:53,140 何て名前だ? 498 00:31:53,140 --> 00:31:58,812 どんな男だ? 499 00:31:58,812 --> 00:32:01,148 …松太郎っていって➡ 500 00:32:01,148 --> 00:32:04,051 当時 確か 25歳の…。 501 00:32:04,051 --> 00:32:07,487 よし だったら 調べてみようじゃねえか。 502 00:32:07,487 --> 00:32:10,390 旦那 よしましょうよ。 503 00:32:10,390 --> 00:32:13,160 ここで 俺と旦那が 言い合ったってしかたがねえ。 504 00:32:13,160 --> 00:32:16,063 20年近く前の どうでもいい話なんですから。 505 00:32:16,063 --> 00:32:19,499 どうでもよくなんかねえ。 506 00:32:19,499 --> 00:32:23,370 こういう事は ちゃんとしといた方がいいんだ。 507 00:32:23,370 --> 00:32:27,841 でなきゃ 今の暮らしに 影を落とす事になる。 508 00:32:27,841 --> 00:32:30,841 現に 今のお前は そうなってるじゃねえか。 509 00:32:34,114 --> 00:32:37,017 お前は 頭もいいし 気性もいい。 510 00:32:37,017 --> 00:32:39,786 そんな一人前の男のくせに➡ 511 00:32:39,786 --> 00:32:42,456 おふくろさんの事では うじうじとしちまって➡ 512 00:32:42,456 --> 00:32:44,791 まっつぐ前を見ようともしねえ。 旦那…。 513 00:32:44,791 --> 00:32:47,461 しまいまで 話は聞け。 514 00:32:47,461 --> 00:32:52,332 いいか? 湊屋の息子たちは 親父の後を継ぐ器じゃねえと➡ 515 00:32:52,332 --> 00:32:54,801 専らの うわさだ。 516 00:32:54,801 --> 00:32:58,472 だったら お前が みすずと 一緒になったっていいんだ。 517 00:32:58,472 --> 00:33:00,807 子どもの頃のお前は➡ 518 00:33:00,807 --> 00:33:04,478 跡継ぎ同然の扱いを 受けてたんだからな。 519 00:33:04,478 --> 00:33:08,815 そんな… 夢みたいな話。 520 00:33:08,815 --> 00:33:11,718 夢なんかじゃねえ。 あの みすずだって➡ 521 00:33:11,718 --> 00:33:16,490 湊屋の男連中に愛想が尽きたから お前に会いに来たんだ。 522 00:33:16,490 --> 00:33:20,790 あの娘は本気だ。 もう やめてくれ! 523 00:33:26,166 --> 00:33:30,866 すいません 旦那に向かって。 524 00:33:32,773 --> 00:33:37,773 気にするな。 俺は 年中無礼講の男だ。 525 00:33:41,782 --> 00:33:46,453 にいさ~ん。 526 00:33:46,453 --> 00:33:50,453 何でもねえよ。 寝てな。 527 00:33:52,793 --> 00:33:55,493 平気ですよ。 528 00:33:57,130 --> 00:34:05,806 旦那 俺は おふくろの事を ずっと…➡ 529 00:34:05,806 --> 00:34:08,475 ずっと ひどい…➡ 530 00:34:08,475 --> 00:34:14,347 恩知らずだと教えられてきました。 531 00:34:14,347 --> 00:34:18,485 だから 俺は…➡ 532 00:34:18,485 --> 00:34:24,157 おふくろみたいな いい加減な人間だけにはなるまい。 533 00:34:24,157 --> 00:34:28,495 なっちゃならねえと…。 534 00:34:28,495 --> 00:34:34,101 恩を仇で返すような人間にだけは なっちゃならねえって…。 535 00:34:34,101 --> 00:34:39,773 そう思って生きてきたんです。 536 00:34:39,773 --> 00:34:47,114 だから… だから…。 537 00:34:47,114 --> 00:35:02,662 ♬~ 538 00:35:02,662 --> 00:35:06,133 一体全体 誰なんでしょうか? 539 00:35:06,133 --> 00:35:09,469 何が? 540 00:35:09,469 --> 00:35:12,139 佐吉さんに おっ母さんである葵さんが➡ 541 00:35:12,139 --> 00:35:17,811 金を盗んで 手代と逃げたなんて 話を吹き込んだ人は。 542 00:35:17,811 --> 00:35:21,681 あ…。 佐吉さんが 湊屋さんに負い目を感じて➡ 543 00:35:21,681 --> 00:35:24,484 「はいはい」と 何でも指図を受け入れるような➡ 544 00:35:24,484 --> 00:35:26,820 そんな人生を歩ませようと 仕込んだ。 545 00:35:26,820 --> 00:35:31,520 …という事ですよね? 許せません! そのような事。 546 00:35:33,093 --> 00:35:37,430 バカ野郎。 えっ? 547 00:35:37,430 --> 00:35:41,768 ガキのくせに したり顔で 何か言ってるんじゃねえ! 548 00:35:41,768 --> 00:35:44,671 (雷鳴) 549 00:35:44,671 --> 00:35:47,107 あっ。 (すすり泣き) 550 00:35:47,107 --> 00:35:50,443 こりゃ 来るな。 おい…。 551 00:35:50,443 --> 00:35:56,783 私は… 私は…。 552 00:35:56,783 --> 00:35:59,483 負ぶされ。 553 00:36:09,129 --> 00:36:11,464 俺は こういう話が好きじゃねえんだ! 554 00:36:11,464 --> 00:36:16,336 人に鼻っ面を振り回されるほど やな人生はねえ! 555 00:36:16,336 --> 00:36:21,474 佐吉の人生を弄ぶ野郎がいる事に 勝手に腹を立てたもんでな! 556 00:36:21,474 --> 00:36:24,474 すまん お前が悪いんじゃねえんだ! 557 00:36:29,816 --> 00:36:32,719 うわ~! 558 00:36:32,719 --> 00:36:35,622 にいさ~ん! 559 00:36:35,622 --> 00:36:39,426 大丈夫。 大丈夫。 560 00:36:39,426 --> 00:36:44,297 お前には 俺がついてる。 なっ? 561 00:36:44,297 --> 00:36:47,300 ああ~ もう 全く もう…。 562 00:36:47,300 --> 00:36:49,436 ちょっと貸してごらんよ。 えっ? 563 00:36:49,436 --> 00:36:54,136 いいかい? ほら こうやんだよ。 564 00:36:56,109 --> 00:36:58,044 ちょっと どいてごらん。 565 00:36:58,044 --> 00:37:00,981 難しいねえ。 そうかい? 566 00:37:00,981 --> 00:37:03,984 やるだろ? そしたら ここから…。 567 00:37:03,984 --> 00:37:06,453 ほら 優しく これでいいんだよ。 568 00:37:06,453 --> 00:37:09,153 はい 焼いとくれ。 569 00:37:12,325 --> 00:37:17,097 あんた 落っこっちまうよ。 こっちだよ。 ああ~。 570 00:37:17,097 --> 00:37:27,140 ♬~ 571 00:37:27,140 --> 00:37:29,840 お徳さん。 何さ? 572 00:37:31,745 --> 00:37:34,648 ありがとね。 573 00:37:34,648 --> 00:37:38,418 ヘッ 何 言ってんだい。 574 00:37:38,418 --> 00:38:00,674 ♬~ 575 00:38:00,674 --> 00:38:03,109 お父っつぁんは 知ってるんでしょ? 576 00:38:03,109 --> 00:38:06,780 私が 佐吉の所に行った事を。 577 00:38:06,780 --> 00:38:09,683 (おふじ) お前 佐吉の所に行ったのかい? 578 00:38:09,683 --> 00:38:14,120 (みすず)そうよ。 いい人だったわ。 579 00:38:14,120 --> 00:38:17,991 私 お嫁になってもいいと 思ったもの。 580 00:38:17,991 --> 00:38:19,993 (おふじ)なんて事を お言いだい。 581 00:38:19,993 --> 00:38:23,797 あんたは 嫁入り先が 決まってるんじゃないか。 582 00:38:23,797 --> 00:38:28,668 いいかい? 佐吉はね あの女の 子どもなんだよ。➡ 583 00:38:28,668 --> 00:38:30,670 何 考えてるか 分かりゃしないんだよ。 584 00:38:30,670 --> 00:38:33,073 よしなさい。 585 00:38:33,073 --> 00:38:36,743 顔が似てると思ったら 気性まで あの女に似てきて…。 586 00:38:36,743 --> 00:38:39,743 よせと言ってます。 587 00:38:44,084 --> 00:38:48,384 (雷鳴) 588 00:38:53,760 --> 00:38:57,630 困ったもんだ。 589 00:38:57,630 --> 00:39:01,101 みすず。 何? 590 00:39:01,101 --> 00:39:04,401 井筒様は どんなお方だった? 591 00:39:16,649 --> 00:39:20,120 ヘックシュッ! あ~。 592 00:39:20,120 --> 00:39:22,055 お風邪でも召しましたか? 593 00:39:22,055 --> 00:39:25,458 ああ~ ずぶぬれになっちまったからな。 594 00:39:25,458 --> 00:39:29,796 弓之助 平気か? あ… はい 平気です。 595 00:39:29,796 --> 00:39:35,096 今夜は 泊まっていけ。 いえ 私は…。 596 00:39:40,073 --> 00:39:47,747 お徳の下敷きになった事を 女房殿に話したのは お前だろう。 597 00:39:47,747 --> 00:39:50,417 泊まってけ。 598 00:39:50,417 --> 00:39:52,352 ≪どうかなさいました? 599 00:39:52,352 --> 00:39:54,287 弓之助が 今夜は泊まっていくそうだ。 600 00:39:54,287 --> 00:39:56,756 河合屋から使いが来たら そう言って帰してやれ。 601 00:39:56,756 --> 00:39:58,691 よいのですか? 弓之助。 602 00:39:58,691 --> 00:40:02,429 いえ 私は…。 いいから 男同士➡ 603 00:40:02,429 --> 00:40:07,767 一緒に寝ようぜ 今夜は。 でも その… え~。 604 00:40:07,767 --> 00:40:12,439 寝小便なら 平気だ。 うへぇ~。 605 00:40:12,439 --> 00:40:16,109 俺は ぬれたって構わない。 606 00:40:16,109 --> 00:40:19,109 叔父上…。 607 00:40:25,118 --> 00:40:28,455 ≪ああ~! 608 00:40:28,455 --> 00:40:31,124 ≪やりやがった! 609 00:40:31,124 --> 00:40:33,059 置いとくよ。 ごちそうさま。 610 00:40:33,059 --> 00:40:35,462 どうも ありがとうございました。 611 00:40:35,462 --> 00:40:41,134 はい いらっしゃいませ。 おい! はい! 612 00:40:41,134 --> 00:40:43,803 いらっしゃいませ。 茶を1杯くんな。 613 00:40:43,803 --> 00:40:46,706 はい お茶1杯! へい 茶1杯な! 614 00:40:46,706 --> 00:40:49,406 ありがとうございました。 ここに置くよ。 615 00:40:53,480 --> 00:40:58,151 どうぞ お気を付けて。 あっ いらっしゃいませ。 616 00:40:58,151 --> 00:41:02,489 茶 もらおうか。 茶。 茶1杯だ! 617 00:41:02,489 --> 00:41:07,827 <この日を境に 鉄瓶長屋を巡る物語は➡ 618 00:41:07,827 --> 00:41:10,730 風雲 急を告げる。➡ 619 00:41:10,730 --> 00:41:13,700 平四郎は考えていた。➡ 620 00:41:13,700 --> 00:41:17,504 珍しく 考えていた。➡ 621 00:41:17,504 --> 00:41:25,504 面倒極まりない あれこれの 行き着く先は どこなのか> 622 00:41:27,180 --> 00:41:29,849 どうした? 豆腐屋さんが家移りする事に。 623 00:41:29,849 --> 00:41:31,784 あ~あ 何だって こう➡ 624 00:41:31,784 --> 00:41:34,454 辛気くせえ話ばっかり 続くかねえ! 625 00:41:34,454 --> 00:41:36,789 佐吉さんの事ですよ。 626 00:41:36,789 --> 00:41:39,125 あれは ろくでもない男なんだよ。 627 00:41:39,125 --> 00:41:42,996 久兵衛は これから 何が起こるかを全て知っていて➡ 628 00:41:42,996 --> 00:41:45,465 お徳を操ったって事だ。 629 00:41:45,465 --> 00:41:49,802 何十年も前の恨みを いつまでも 引きずるなんて芸当は➡ 630 00:41:49,802 --> 00:41:53,139 なまはんかな根性で できる事じゃねえ。 631 00:41:53,139 --> 00:41:56,809 鬼ごっこは 必ず終わる! 632 00:41:56,809 --> 00:43:26,109 ♬~