1 00:00:34,399 --> 00:00:38,070 <江戸 深川の鉄瓶長屋では➡ 2 00:00:38,070 --> 00:00:43,942 店子が 次々と出ていくという 珍事が起きていた。➡ 3 00:00:43,942 --> 00:00:51,083 平四郎は その裏に 地主の湊屋が 絡んでいると にらみ➡ 4 00:00:51,083 --> 00:00:57,756 幼なじみの隠密同心 黒豆こと 辻井英之介を使って➡ 5 00:00:57,756 --> 00:01:02,627 湊屋の内情を探らせていた。➡ 6 00:01:02,627 --> 00:01:10,102 その調べの中で 鉄瓶長屋の差配人 佐吉の母 葵は➡ 7 00:01:10,102 --> 00:01:12,437 湊屋総右衛門の姪であり➡ 8 00:01:12,437 --> 00:01:17,109 総右衛門の寵愛を受けていた事が 分かった。➡ 9 00:01:17,109 --> 00:01:22,981 当然 総右衛門の妻 おふじは その事を快く思わず➡ 10 00:01:22,981 --> 00:01:27,752 葵を 湊屋から追い出してしまった。➡ 11 00:01:27,752 --> 00:01:32,057 17年前の事である> 12 00:01:32,057 --> 00:01:34,392 (烏の鳴き声) 13 00:01:34,392 --> 00:01:36,328 (平四郎)ああ~! 14 00:01:36,328 --> 00:01:44,328 (鳴き声) 15 00:01:51,409 --> 00:02:01,086 ♬~ 16 00:02:01,086 --> 00:02:04,422 玉や~い。 17 00:02:04,422 --> 00:02:10,095 お子様に サボンは いかが~? 18 00:02:10,095 --> 00:02:13,965 (弓之助)えい! やあ! (小平次)おお~! 19 00:02:13,965 --> 00:02:17,435 ≪玉や~! 20 00:02:17,435 --> 00:02:21,773 え~え 玉や~! 21 00:02:21,773 --> 00:02:24,676 (蚊の羽音) 22 00:02:24,676 --> 00:02:27,112 ほっ あ…。 23 00:02:27,112 --> 00:02:29,047 ≪(弓之助)えい! 24 00:02:29,047 --> 00:02:32,384 あ~ 暑いのに ご苦労な事だ。 25 00:02:32,384 --> 00:02:35,720 また そのような事を。 26 00:02:35,720 --> 00:02:40,058 薪割りは剣術にもつながると 申して 自らやっている事です。 27 00:02:40,058 --> 00:02:43,395 さすが 姉が夢にまで見て 弓之助などと➡ 28 00:02:43,395 --> 00:02:47,095 商人の子とは思えぬ名前を 付けただけの事はございます。 29 00:02:48,733 --> 00:02:51,033 …うん。 30 00:02:54,406 --> 00:02:57,309 うん? えっ? 31 00:02:57,309 --> 00:03:00,745 えっ? 弓之助の名前の由来でございます。 32 00:03:00,745 --> 00:03:05,417 ああ 那須の与一が弓を引いたら 弓之助が生まれたって話か。 33 00:03:05,417 --> 00:03:08,086 少々違います。 34 00:03:08,086 --> 00:03:12,424 よいですか? 姉が夢を見たのです。 35 00:03:12,424 --> 00:03:15,093 那須の与一のような弓引きが➡ 36 00:03:15,093 --> 00:03:17,996 ひょうとばかりに 朝日に向かって 矢を放ち➡ 37 00:03:17,996 --> 00:03:21,766 その矢が お天道様に 吸い込まれたかと思うと➡ 38 00:03:21,766 --> 00:03:25,637 やがて まばゆいような 金色の光に包まれ➡ 39 00:03:25,637 --> 00:03:30,442 清らかな白い霧が立ちこめる 蒲の穂の茂る川べりに➡ 40 00:03:30,442 --> 00:03:32,711 はっしと落ちたそうなのです。 41 00:03:32,711 --> 00:03:38,383 夢の中の姉が その矢を追って 蒲の穂の中に分け入ると➡ 42 00:03:38,383 --> 00:03:41,052 まあ なんという事でしょう。 43 00:03:41,052 --> 00:03:44,723 そこに 産着にくるまれた 赤子がいたのです。 44 00:03:44,723 --> 00:03:49,060 「あら~ なんて かわいい子」。 45 00:03:49,060 --> 00:03:52,397 …と抱き上げた途端に 姉の目が覚め➡ 46 00:03:52,397 --> 00:03:54,733 にわかに産気づいて 産み落としたのが➡ 47 00:03:54,733 --> 00:03:56,668 あの子なのです。 48 00:03:56,668 --> 00:03:58,603 ですから 弓之助と名付けたと➡ 49 00:03:58,603 --> 00:04:02,073 この事 もう 3遍もお話ししております。 50 00:04:02,073 --> 00:04:04,976 そうそう そうそう… そうだった そんな話だった うん。 51 00:04:04,976 --> 00:04:07,276 思い出した。 52 00:04:09,948 --> 00:04:13,685 そんな目で見るな。 俺は物覚えが悪い。 53 00:04:13,685 --> 00:04:17,385 よく お役が務まりますこと。 54 00:04:19,090 --> 00:04:22,761 小平次がいる。 あいつは 意外に物覚えがいい。 55 00:04:22,761 --> 00:04:24,696 私が何か? 56 00:04:24,696 --> 00:04:28,433 あなたがいるおかげで 物覚えの悪い旦那様でも➡ 57 00:04:28,433 --> 00:04:30,368 町方の旦那などといわれて➡ 58 00:04:30,368 --> 00:04:34,706 外で ふんぞり返っている事が できるというお話です。 59 00:04:34,706 --> 00:04:37,706 うへぇ~。 ハハハハハッ。 60 00:04:39,577 --> 00:04:44,049 なるほどな。 どうかされましたか? 61 00:04:44,049 --> 00:04:50,722 いや 俺みたいな 忘れっぽい男からするとだな➡ 62 00:04:50,722 --> 00:04:56,394 何十年も前の恨みを いつまでも 引きずるなんて芸当は➡ 63 00:04:56,394 --> 00:05:01,733 なまはんかな根性で できる事じゃねえなと思ってさ。 64 00:05:01,733 --> 00:05:08,606 <鉄瓶長屋の地主 湊屋総右衛門の女房 おふじは➡ 65 00:05:08,606 --> 00:05:14,746 17年前に 幼い佐吉を置いて 湊屋から失踪した➡ 66 00:05:14,746 --> 00:05:17,649 葵という総右衛門の姪を➡ 67 00:05:17,649 --> 00:05:22,420 いまだに恨んでいる節があった> 68 00:05:22,420 --> 00:05:26,291 憎らしいとか 羨ましいとかいう気持ちは➡ 69 00:05:26,291 --> 00:05:29,094 年月で消えたりはしない。 70 00:05:29,094 --> 00:05:31,029 何のお話です? 71 00:05:31,029 --> 00:05:35,367 人の悋気には限りがねえって 世間話だ。 72 00:05:35,367 --> 00:05:38,036 当たり前でございます。 73 00:05:38,036 --> 00:05:41,373 特に おなごは。 74 00:05:41,373 --> 00:05:48,046 (蝉の鳴き声) 75 00:05:48,046 --> 00:05:51,716 そうでした 冷たい白玉をこしらえたのでした。 76 00:05:51,716 --> 00:05:54,052 弓之助 たんと召し上がれ。 77 00:05:54,052 --> 00:05:56,388 あなたも白玉は お好きでございましょう? 78 00:05:56,388 --> 00:05:59,057 はい。 79 00:05:59,057 --> 00:06:03,928 だがよう 17年前に姿をくらました女を➡ 80 00:06:03,928 --> 00:06:08,400 いまだに恨んでるってのが どうにも げせねえ。 81 00:06:08,400 --> 00:06:13,271 葵さんは いまだに姿を くらましてないのかもしれません。 82 00:06:13,271 --> 00:06:16,274 うん? あっ いえ ですから➡ 83 00:06:16,274 --> 00:06:20,745 娘の みすずさんも 葵さんに似ているらしいですし。 84 00:06:20,745 --> 00:06:27,619 おふじは 葵を忘れたくても 忘れられねえって事か。 85 00:06:27,619 --> 00:06:30,755 ≪あなた… あなた! 86 00:06:30,755 --> 00:06:32,690 どうした? 87 00:06:32,690 --> 00:06:35,360 先ほどは このようなもの ありませんでした。 88 00:06:35,360 --> 00:06:38,660 気味の悪い。 89 00:06:40,231 --> 00:06:42,233 黒豆か。 90 00:06:42,233 --> 00:06:45,036 白玉でございます。 いや そうじゃなくて。 91 00:06:45,036 --> 00:06:47,036 これ これ これ。 黒豆。 92 00:06:50,909 --> 00:06:56,047 平四郎殿 白玉の馳走にあずかれず 残念至極。 93 00:06:56,047 --> 00:06:59,047 フッハハハ。 94 00:07:00,718 --> 00:07:05,056 <英之介の手紙によると➡ 95 00:07:05,056 --> 00:07:11,396 壺信心の八助一家は 川崎弁財天の仲見世で➡ 96 00:07:11,396 --> 00:07:17,068 茶店を営み 幸せそうであるという。➡ 97 00:07:17,068 --> 00:07:24,409 そうなった いきさつだが 鍵は ずばり湊屋にあった。➡ 98 00:07:24,409 --> 00:07:30,281 それは 八助たちが 壺信心のふりをして長屋を出る➡ 99 00:07:30,281 --> 00:07:34,219 ひとつき前の事だとあった> 100 00:07:34,219 --> 00:07:38,923 後の暮らしは全て 湊屋が 面倒を見ると言っているのです。 101 00:07:38,923 --> 00:07:41,893 <こうして 八助一家は➡ 102 00:07:41,893 --> 00:07:46,030 壺信心に本気ではまった 2家族を伴い➡ 103 00:07:46,030 --> 00:07:48,933 長屋を出たのであった> 104 00:07:48,933 --> 00:08:04,933 ♬~ 105 00:08:11,055 --> 00:08:16,055 やはり 叔父上のにらんだとおり 湊屋の手引きでしたね。 106 00:08:17,929 --> 00:08:22,066 あ… 叔父上? 107 00:08:22,066 --> 00:08:27,939 黒豆の調べでも 久兵衛を見かけたやつがいる。 108 00:08:27,939 --> 00:08:31,075 おくめが見たのも 間違いなく久兵衛だ。 109 00:08:31,075 --> 00:08:33,011 となるとだ…。 110 00:08:33,011 --> 00:08:34,946 (久兵衛)これは 井筒様…。 111 00:08:34,946 --> 00:08:37,882 やつは 湊屋生え抜きの奉公人だ。 112 00:08:37,882 --> 00:08:40,685 長屋の差配人である 久兵衛抜きには➡ 113 00:08:40,685 --> 00:08:44,022 この企ては 始まらない。 114 00:08:44,022 --> 00:08:48,893 て事は やつが 姿をくらました事自体が➡ 115 00:08:48,893 --> 00:08:54,032 はなから決まってたって事だ。 116 00:08:54,032 --> 00:08:58,703 久兵衛さんが長屋を出て 佐吉さんが送り込まれてくる。 117 00:08:58,703 --> 00:09:04,375 若い佐吉さんじゃ お徳さんたちが いい顔する訳がない。 118 00:09:04,375 --> 00:09:07,278 店子の人たちの間に 隙間風が吹き抜け➡ 119 00:09:07,278 --> 00:09:10,715 いつしか 空き家が増えていく。 120 00:09:10,715 --> 00:09:16,387 だったら 俺は… 何で ここにいるんだろう? 121 00:09:16,387 --> 00:09:21,259 しぼんじまった佐吉は しっかり道化者って訳だ。 122 00:09:21,259 --> 00:09:24,729 しかし 妙だ。 えっ? 123 00:09:24,729 --> 00:09:28,399 おふじと葵の仲が 険悪な事を知っていながら➡ 124 00:09:28,399 --> 00:09:32,003 何で 湊屋は 佐吉を送り込んだんだ? 125 00:09:32,003 --> 00:09:34,672 湊屋さんは 何を考えているのか➡ 126 00:09:34,672 --> 00:09:37,008 本当のねらいは 何なのか。 127 00:09:37,008 --> 00:09:40,345 そこは 謎のままですね。 128 00:09:40,345 --> 00:09:43,645 久兵衛も 人が悪いぜ。 129 00:09:45,683 --> 00:09:48,586 こうなったからには 八百富の一件も➡ 130 00:09:48,586 --> 00:09:52,357 眉に唾しなきゃならねえな。 131 00:09:52,357 --> 00:09:55,026 あれは 久兵衛が 長屋を出ていく口実としては➡ 132 00:09:55,026 --> 00:09:58,363 めっぽう うまく出来てた。 133 00:09:58,363 --> 00:10:02,700 権吉さんの件も調べてみた方が よろしいんじゃないでしょうか。 134 00:10:02,700 --> 00:10:07,038 あれも 湊屋が 仕掛けてるかもしれねえって事か。 135 00:10:07,038 --> 00:10:10,708 <桶職の権吉の娘 お律は➡ 136 00:10:10,708 --> 00:10:15,046 博打のかたに 自分を郭に売ろうとした父親に➡ 137 00:10:15,046 --> 00:10:19,384 愛想を尽かし 長屋を飛び出していた> 138 00:10:19,384 --> 00:10:22,720 だがよ あの親子を追い出すためだけに➡ 139 00:10:22,720 --> 00:10:26,591 権吉を博打に引きずり込み 借金まみれにして➡ 140 00:10:26,591 --> 00:10:30,061 お律を売り飛ばすような格好に 持ってくのは➡ 141 00:10:30,061 --> 00:10:33,361 いくら何でも ひどすぎねえか? 142 00:10:34,932 --> 00:10:38,736 あのまま 郭から来た男たちに 連れ去られてたとしても➡ 143 00:10:38,736 --> 00:10:42,073 例の渋い番頭さんが出てきて➡ 144 00:10:42,073 --> 00:10:44,976 「お律さん すまなかったね。 実は どうしても➡ 145 00:10:44,976 --> 00:10:46,944 あんたたちに立ち退いて もらいたい事情があって➡ 146 00:10:46,944 --> 00:10:49,747 手荒い芝居を打った。 だが 心配はいらねえ。➡ 147 00:10:49,747 --> 00:10:52,083 あんたには いい仕事を世話するし➡ 148 00:10:52,083 --> 00:10:54,419 そのうち 権吉も長屋を出る事になる。➡ 149 00:10:54,419 --> 00:10:57,321 すぐに また 一緒に 暮らせるようにしてやるよ」。 150 00:10:57,321 --> 00:10:59,290 はい。 151 00:10:59,290 --> 00:11:02,293 ああ いや おい お前 役者になれるぜ おい。 152 00:11:02,293 --> 00:11:06,030 なあ? うへぇ~。 153 00:11:06,030 --> 00:11:08,966 お露と富平親子は 確か➡ 154 00:11:08,966 --> 00:11:11,769 お徳が猿江町の長屋に 住まわせてたんだったよな。 155 00:11:11,769 --> 00:11:15,640 うへぇ 近頃じゃ 富平さんの加減もいいって話で。 156 00:11:15,640 --> 00:11:22,413 だが あの一件をほじくり返せば お徳が 妙に勘ぐるかもしれねえ。 157 00:11:22,413 --> 00:11:25,113 まずは 権吉からか。 158 00:11:37,729 --> 00:11:39,664 (佐吉)どこかへ お出かけですか? 159 00:11:39,664 --> 00:11:42,600 (権吉) あっ ちょいと仕事を探しに。 160 00:11:42,600 --> 00:11:47,071 (箕吉)とか何とか 博打じゃないのかい? 権吉さん。 161 00:11:47,071 --> 00:11:50,371 いじめないでくれよ 箕さん。 (笑い声) 162 00:11:53,945 --> 00:11:58,416 (権吉)アハハッ ハハハハハッ。 163 00:11:58,416 --> 00:12:03,716 (友兵衛)年寄りなら 年寄りらしく しょぼくれて歩けってえの。 164 00:12:11,963 --> 00:12:14,663 はあ…。 165 00:12:18,102 --> 00:12:20,438 (お徳) 鍋に 汗入れないでおくれよ。 166 00:12:20,438 --> 00:12:23,775 分かってるよ。 けど 暑いよ。 167 00:12:23,775 --> 00:12:27,111 夏だからさ しかたないだろう。 168 00:12:27,111 --> 00:12:30,982 (匂いを嗅ぐ音) あ~ 臭いねえ この薬。 169 00:12:30,982 --> 00:12:35,720 お徳おばさん お握り く~ださい。 170 00:12:35,720 --> 00:12:37,655 あいよ。 ちょいと待ってておくれ。 171 00:12:37,655 --> 00:12:41,058 あと 煮物も。 はいはい。 172 00:12:41,058 --> 00:12:45,730 そうだ 権吉さん どうしてる? 仕事を探しに行くって たった今。 173 00:12:45,730 --> 00:12:50,401 フンッ 仕事なんて ある訳ないよ。 いいのかい? ほっといて。 174 00:12:50,401 --> 00:12:54,071 博打も酒も やめたって話だよ。 175 00:12:54,071 --> 00:12:58,743 娘を郭に売り飛ばそうとしたんだ そのくらい当たり前だよ。 176 00:12:58,743 --> 00:13:02,613 本当に 困った事になるまで ほっときゃいいのさ たまには。 177 00:13:02,613 --> 00:13:06,417 お灸を据えてやらなきゃね。 はい。 178 00:13:06,417 --> 00:13:09,086 そりゃそうかもしれないけどさ。 179 00:13:09,086 --> 00:13:12,423 ああ~ それにしても暑いよ。 180 00:13:12,423 --> 00:13:15,092 煮売り屋は 夏が大変だ。 181 00:13:15,092 --> 00:13:19,430 お徳さん 何か コツないかねぇ 暑さを乗り切るコツってやつ。 182 00:13:19,430 --> 00:13:24,101 コツなんかある訳ないだろ。 そんなもんはね 慣れだよ 慣れ。 183 00:13:24,101 --> 00:13:27,004 忙しくしてりゃ 体がついてくるようになるんだよ。 184 00:13:27,004 --> 00:13:31,442 これだもんね。 私なんか あっちこっち あせもだらけだよ。 185 00:13:31,442 --> 00:13:34,345 ≪(おでこ 弓之助) ♬「だるまさん だるまさん」 186 00:13:34,345 --> 00:13:38,049 ♬「にらめっこしましょ 笑うと負けよ」 187 00:13:38,049 --> 00:13:40,349 ♬「あっぷっぷ」 188 00:13:44,922 --> 00:13:49,060 べえ~。 うう~。 189 00:13:49,060 --> 00:13:51,729 (笑い声) 190 00:13:51,729 --> 00:13:53,664 ようござんす。 191 00:13:53,664 --> 00:13:55,600 とりあえず その権吉という親父に➡ 192 00:13:55,600 --> 00:13:57,602 張り付いてみましょう。 193 00:13:57,602 --> 00:14:02,073 すまねえが 権吉が お律という 娘と会っているようなら➡ 194 00:14:02,073 --> 00:14:05,743 ついでに 娘が 今どこで 何をしているかも➡ 195 00:14:05,743 --> 00:14:08,412 調べてほしいんだ。 196 00:14:08,412 --> 00:14:11,082 権吉が 博打に引っ張り込まれた事と➡ 197 00:14:11,082 --> 00:14:14,952 娘の家出には 陰に黒子がいるという話ですが➡ 198 00:14:14,952 --> 00:14:18,956 本当に 裏があるなら 黒子は権吉ではなく➡ 199 00:14:18,956 --> 00:14:22,693 娘を動かしていると 旦那は考えてらっしゃる? 200 00:14:22,693 --> 00:14:27,098 俺じゃねえ。 弓之助だ。 えっ? 201 00:14:27,098 --> 00:14:30,001 あっ なるほど 坊ちゃんがね。 202 00:14:30,001 --> 00:14:32,703 俺んとこの中間を 使えばいいんだが➡ 203 00:14:32,703 --> 00:14:35,373 長屋の連中に 顔を 知られちまってるもんだから➡ 204 00:14:35,373 --> 00:14:37,708 張り付く訳にもいかねえ。 205 00:14:37,708 --> 00:14:40,378 …で こっちに足が向いちまった。 206 00:14:40,378 --> 00:14:44,048 そう遠慮なすっちゃいけませんぜ 旦那。 207 00:14:44,048 --> 00:14:47,048 俺が遠慮してるように 見えるかい? えっ? 208 00:14:51,722 --> 00:14:54,392 <翌日の夕方。➡ 209 00:14:54,392 --> 00:14:58,092 早速 知らせが届いた> 210 00:15:03,401 --> 00:15:05,336 さあ 語ってくんな。 211 00:15:05,336 --> 00:15:08,072 (おでこ)あいあい。 212 00:15:08,072 --> 00:15:10,408 今日の事でござんす。 213 00:15:10,408 --> 00:15:13,077 権吉という親父は 鉄瓶長屋から外に出ると➡ 214 00:15:13,077 --> 00:15:15,746 まっつぐ永代橋に向かって それを渡り➡ 215 00:15:15,746 --> 00:15:18,649 青物横丁から日本橋を北に抜け➡ 216 00:15:18,649 --> 00:15:22,086 内神田瀬戸物町に 向かったのでござんす。 217 00:15:22,086 --> 00:15:24,989 迷ったり 所番地を尋ねる訳でもなく➡ 218 00:15:24,989 --> 00:15:26,958 それまで 何度も通った➡ 219 00:15:26,958 --> 00:15:29,961 通い慣れた道のようだったようで ござんす。➡ 220 00:15:29,961 --> 00:15:33,698 やがて ある お長屋に入ると➡ 221 00:15:33,698 --> 00:15:39,370 鉄瓶長屋の人々よりも ずっと 愛想よく挨拶を交わしたあと➡ 222 00:15:39,370 --> 00:15:44,709 ある家の油障子を開けて 中に入ったのでござんす。➡ 223 00:15:44,709 --> 00:15:46,644 長屋の人たちの話では➡ 224 00:15:46,644 --> 00:15:50,381 この春頃から 年頃の娘と2人で住んでおり➡ 225 00:15:50,381 --> 00:15:53,050 権吉は通いの仕事の関係で➡ 226 00:15:53,050 --> 00:15:55,953 夜に出かけて 昼間には帰ってくるそうで➡ 227 00:15:55,953 --> 00:16:01,726 娘は 近くの瀬戸物屋 丸藤で 働いているとの事でござんす。 228 00:16:01,726 --> 00:16:04,395 娘の名前は お律というそうで➡ 229 00:16:04,395 --> 00:16:07,732 かわいらしい顔立ちの 娘との事でござんす。 230 00:16:07,732 --> 00:16:10,067 ありがとよ おでこ。 231 00:16:10,067 --> 00:16:12,970 これは 政五郎への心付けだ。 232 00:16:12,970 --> 00:16:15,740 …で こっちは お前の駄賃だ。 233 00:16:15,740 --> 00:16:18,075 毎度 ごひいきに。 234 00:16:18,075 --> 00:16:21,412 けど こういうものも 一遍 親分に見せないと➡ 235 00:16:21,412 --> 00:16:24,749 勝手には使えないんです。 236 00:16:24,749 --> 00:16:27,084 ああ 俺の女房殿だ。 237 00:16:27,084 --> 00:16:31,922 ああ こいつは 岡っ引きの 政五郎んとこの おでこ。 238 00:16:31,922 --> 00:16:36,622 おでこさん? あいあい 以後 お見知りおきを。 239 00:16:38,362 --> 00:16:40,662 では。 うん。 240 00:16:46,704 --> 00:16:48,639 どうした? 241 00:16:48,639 --> 00:16:52,639 あの物覚えのよさといったら 驚きでございます。 242 00:16:54,378 --> 00:16:58,378 <その 翌日の事> 243 00:17:02,253 --> 00:17:04,953 おい 娘さん。 (お律)はい! 244 00:17:08,726 --> 00:17:11,629 この小伜が おねしょをして しょうがないんで➡ 245 00:17:11,629 --> 00:17:14,598 おまるを一つ 見繕ってほしいんだが。 246 00:17:14,598 --> 00:17:17,068 叔父上~。 247 00:17:17,068 --> 00:17:20,938 あ~ 私を覚えて おいででしょうか? お律さん。 248 00:17:20,938 --> 00:17:23,741 少々 お伺いしたい事がありますので➡ 249 00:17:23,741 --> 00:17:27,078 お店のご主人からお許しを頂いて 少しばかり 手前どもと➡ 250 00:17:27,078 --> 00:17:29,413 お話をさせて 頂けないでしょうか? 251 00:17:29,413 --> 00:17:31,413 という事だ。 252 00:17:33,017 --> 00:17:37,888 博打のかたに 私を売り飛ばそうとした➡ 253 00:17:37,888 --> 00:17:40,891 お父っつぁんの しらっとした笑いが➡ 254 00:17:40,891 --> 00:17:44,028 急に憎らしくなって。 255 00:17:44,028 --> 00:17:49,700 家出をしたところまでは 私が自分で考えた事です。 256 00:17:49,700 --> 00:17:51,635 それで? 257 00:17:51,635 --> 00:17:55,039 家を出るのは 身一つでいいけれど➡ 258 00:17:55,039 --> 00:17:57,942 それまで働いてた茶屋には➡ 259 00:17:57,942 --> 00:18:00,377 挨拶に 行かなければなりませんから➡ 260 00:18:00,377 --> 00:18:03,047 その足で行こうと思ったんです。 261 00:18:03,047 --> 00:18:04,982 そしたら…。 262 00:18:04,982 --> 00:18:10,387 湊屋の使いの 渋い男前の番頭さんが現れた。 263 00:18:10,387 --> 00:18:15,059 番頭さんだけれど お店の御用ではなく➡ 264 00:18:15,059 --> 00:18:20,397 湊屋のご主人の御用を じかに承るのがお役目だって。 265 00:18:20,397 --> 00:18:22,333 名前は? 266 00:18:22,333 --> 00:18:25,269 存じません。 267 00:18:25,269 --> 00:18:29,073 …そうかい。 で? 268 00:18:29,073 --> 00:18:33,677 (お律)番頭さんは 湊屋は 鉄瓶長屋の店子たちに➡ 269 00:18:33,677 --> 00:18:36,580 世間的に追い立てを食らわして いるようには見せずに➡ 270 00:18:36,580 --> 00:18:39,350 出ていってもらいたいんだって。➡ 271 00:18:39,350 --> 00:18:43,220 お父っつぁんの事も そのために仕掛けたんだって➡ 272 00:18:43,220 --> 00:18:46,023 そう言って それで➡ 273 00:18:46,023 --> 00:18:50,895 今の住まいと ここを 世話して下さったんです。 274 00:18:50,895 --> 00:18:55,366 でも ひとつきたち ふたつきたつと➡ 275 00:18:55,366 --> 00:18:59,036 お父っつぁんの事が 気になってしかたなくて。 276 00:18:59,036 --> 00:19:01,939 それで 番頭さんに相談すると➡ 277 00:19:01,939 --> 00:19:03,908 一遍 連れてきてくれて。 278 00:19:03,908 --> 00:19:06,710 すまねえ すまねえ お律…。 279 00:19:06,710 --> 00:19:10,581 もう 博打なんか 金輪際しやしねえ。 280 00:19:10,581 --> 00:19:16,387 だからよう だから 俺を捨てねえでくれよ~ お律。 281 00:19:16,387 --> 00:19:20,057 お父っつぁん! 282 00:19:20,057 --> 00:19:26,397 番頭さん お父っつぁんも ここに呼んじゃあ いけませんか? 283 00:19:26,397 --> 00:19:30,067 そいつは もう少し待ってもらえないかい。 284 00:19:30,067 --> 00:19:33,671 そのかわり 権吉さん➡ 285 00:19:33,671 --> 00:19:36,971 あんたが ここを訪ねてくればいい。 286 00:19:38,542 --> 00:19:42,680 ただし 当分の間は…。 287 00:19:42,680 --> 00:19:46,016 という事で お分かりですね? 288 00:19:46,016 --> 00:19:48,919 (弓之助)湊屋の その番頭さんは➡ 289 00:19:48,919 --> 00:19:51,355 どうして 店子を 追い出さなきゃならないのか➡ 290 00:19:51,355 --> 00:19:54,024 話してくれませんでしたか? 291 00:19:54,024 --> 00:19:58,896 あの場所に 新しい建物を 建てたいのだそうです。 292 00:19:58,896 --> 00:20:01,365 どんな? 293 00:20:01,365 --> 00:20:04,034 さあ? 294 00:20:04,034 --> 00:20:07,371 あんな場所に 何を建てるってんだ? 295 00:20:07,371 --> 00:20:11,242 しかも 今いる店子を 追い出してまでだ。 296 00:20:11,242 --> 00:20:14,245 …さあ? 297 00:20:14,245 --> 00:20:18,015 まっ いいや。 298 00:20:18,015 --> 00:20:21,385 …で お律よ。 はい。 299 00:20:21,385 --> 00:20:24,385 お前 湊屋から いくらもらった? 300 00:20:32,730 --> 00:20:36,066 そいつも いいか。 301 00:20:36,066 --> 00:20:38,736 とりあえずだ。 302 00:20:38,736 --> 00:20:41,405 お前たち親子に 後ろ暗いところはないから➡ 303 00:20:41,405 --> 00:20:45,075 このまま暮らしても 差し支えはねえが➡ 304 00:20:45,075 --> 00:20:47,411 俺たちが訪ねてきた事や➡ 305 00:20:47,411 --> 00:20:49,747 やつらの企てを 承知している事を➡ 306 00:20:49,747 --> 00:20:53,617 湊屋の番頭には ないしょにしておいてくれよ。 307 00:20:53,617 --> 00:20:55,619 いいな? 308 00:20:55,619 --> 00:20:57,619 はい。 309 00:21:02,092 --> 00:21:04,762 しゃべりますね あの人は番頭さんに。 310 00:21:04,762 --> 00:21:08,432 しゃべるだろうなあ。 まあ いいじゃねえか。 311 00:21:08,432 --> 00:21:13,432 湊屋が それを知って どう動くか ひとつ 見物と洒落込もうぜ。 312 00:21:15,306 --> 00:21:18,108 じゃあ そういう事なんで。 よろしくお願いします。 313 00:21:18,108 --> 00:21:21,445 お世話になりました どうも。 さあさあ さあさあ。 314 00:21:21,445 --> 00:21:24,114 おうおう どうした どうした? えっ? エヘヘヘ…。 315 00:21:24,114 --> 00:21:27,785 「エヘヘ」じゃなくて おい。 えっ 何があったんだい? 316 00:21:27,785 --> 00:21:30,688 何でも あるじ筋のお店を手伝うとかで➡ 317 00:21:30,688 --> 00:21:35,392 豆腐屋さんが家移りする事に。 何だって? 318 00:21:35,392 --> 00:21:39,263 まあ こればっかりは しかたない事ですから。 319 00:21:39,263 --> 00:21:41,265 (お絹)ちょっと どうしたんだい? 320 00:21:41,265 --> 00:21:44,068 ああ 豆腐屋が 出ていくんだってよ。 321 00:21:44,068 --> 00:21:46,003 あ~あ 何だって こう➡ 322 00:21:46,003 --> 00:21:48,939 辛気くせえ話ばっかり 続くかねえ! 323 00:21:48,939 --> 00:21:51,742 そんな事 言ったって しょうがないだろう。 324 00:21:51,742 --> 00:21:53,677 佐吉さんのせいじゃあるまいし。 325 00:21:53,677 --> 00:21:55,612 誰が んな事言ったよ。 口出すな おかめ。 326 00:21:55,612 --> 00:21:59,083 うるさいよ ひょっとこが。 あっ 言ったな このアマ。 327 00:21:59,083 --> 00:22:01,752 言ったが どうした? 唐変木。 お前みてえなのがいるとな➡ 328 00:22:01,752 --> 00:22:03,687 いっぺんに 魚が腐っちまうんだよ! 329 00:22:03,687 --> 00:22:05,622 じゃあ 出てってやるよ 出てって! 330 00:22:05,622 --> 00:22:08,425 ああ 上等だ。 出てけ 出てけ こん畜生が バカ野郎。 331 00:22:08,425 --> 00:22:10,761 こら。 332 00:22:10,761 --> 00:22:14,098 そうはいきません。 そうはいきませんよ! 333 00:22:14,098 --> 00:22:16,767 俺は こう見えても差配人なんです。 334 00:22:16,767 --> 00:22:18,702 俺の前で けんか別れなんてされたら➡ 335 00:22:18,702 --> 00:22:21,105 後味が悪くて しかたがありません。 336 00:22:21,105 --> 00:22:23,774 それに 官九郎だって➡ 337 00:22:23,774 --> 00:22:25,709 魚の切れ端が もらえなくなるってんで➡ 338 00:22:25,709 --> 00:22:29,446 困っちまう。 (烏の鳴き声) 339 00:22:29,446 --> 00:22:34,051 (鳴き声) 340 00:22:34,051 --> 00:22:36,954 ほら ねっ。 341 00:22:36,954 --> 00:22:41,925 何が 「ほら ね」だよ。 もう バカバカしい。 342 00:22:41,925 --> 00:22:47,398 (笑い声) よくやってるね 佐吉さん。 343 00:22:47,398 --> 00:23:04,948 ♬~ 344 00:23:04,948 --> 00:23:07,718 あんたの言うとおりだ。 345 00:23:07,718 --> 00:23:12,423 よくやってるよ あの人は。 えっ? 346 00:23:12,423 --> 00:23:18,295 本当のところ よく頑張ってると思うよ 私ゃ。 347 00:23:18,295 --> 00:23:23,434 だから 悪くは言いたくないんだ。 348 00:23:23,434 --> 00:23:27,134 だったら…。 349 00:23:28,772 --> 00:23:34,044 だけどさ だけどね…。 350 00:23:34,044 --> 00:23:37,044 (おくめ)何だい? 351 00:23:38,715 --> 00:23:42,586 だから 何なんだよ お徳さん。 352 00:23:42,586 --> 00:23:48,886 久兵衛さんがさ…。 あの 元の差配人さんかい? 353 00:23:51,061 --> 00:23:54,061 あの久兵衛さんが言ったんだよ。 354 00:24:09,746 --> 00:24:13,617 うん? (小平次 弓之助)あっ。 355 00:24:13,617 --> 00:24:17,421 おくめ。 あら 旦那。 356 00:24:17,421 --> 00:24:19,356 どうしたい? ぼんやりしちまって。 357 00:24:19,356 --> 00:24:22,292 あせもが ひどくてね。 358 00:24:22,292 --> 00:24:26,096 長命寺の先に あせもに よく効く貼り薬 出してくれる➡ 359 00:24:26,096 --> 00:24:29,433 樹庵ってお医者様がいるって 聞いて 通ってるんですけどね。 360 00:24:29,433 --> 00:24:33,704 暑いでしょう? 行くのも つらくって。 361 00:24:33,704 --> 00:24:36,607 平気ですか? あい。 362 00:24:36,607 --> 00:24:41,044 お前の先の商売じゃあ おしろいかぶれが あるからなあ。 363 00:24:41,044 --> 00:24:43,380 小平次。 へいへい。 364 00:24:43,380 --> 00:24:45,315 お前 ちょいと おくめの代わりに行って➡ 365 00:24:45,315 --> 00:24:48,252 貼り薬 もらってきてやれ。 えっ? 366 00:24:48,252 --> 00:24:51,722 おくめに話があるからよ。 いいんですか? 助かりますよ。 367 00:24:51,722 --> 00:24:55,058 これ お代。 うへぇ~。 行ってこい 行ってこい。 なっ。 368 00:24:55,058 --> 00:24:57,394 遠いぞ ハハハハ。 369 00:24:57,394 --> 00:25:00,731 何ですか? 話って 旦那。 370 00:25:00,731 --> 00:25:03,731 ところてんでも食おうか。 371 00:25:05,402 --> 00:25:09,273 八百富のお露って あの? 372 00:25:09,273 --> 00:25:13,744 <八百富の娘 お露は➡ 373 00:25:13,744 --> 00:25:18,615 病気の父親を殺そうとした 兄の太助を殺めたと➡ 374 00:25:18,615 --> 00:25:22,753 お徳に告白。 それを知った久兵衛が➡ 375 00:25:22,753 --> 00:25:25,422 自分が買った 恨みのせいだとして➡ 376 00:25:25,422 --> 00:25:28,091 失踪していた> 377 00:25:28,091 --> 00:25:34,364 お徳は 何か言ってないか? 別に 何にも。 378 00:25:34,364 --> 00:25:38,702 第一 あの人 余計な事は 一切 しゃべらないもの。 379 00:25:38,702 --> 00:25:41,605 口は悪いけど 本人のいない所じゃ➡ 380 00:25:41,605 --> 00:25:45,576 陰口きかないし うわさ話だって好きじゃない。 381 00:25:45,576 --> 00:25:49,713 お徳が 一人で出かける …なんて事はないか? 382 00:25:49,713 --> 00:25:54,585 ないない 全然。 私がお徳さんなら➡ 383 00:25:54,585 --> 00:25:58,055 もう 暮らしぶりに 心配がなくなったと思ったら➡ 384 00:25:58,055 --> 00:26:00,958 もう お露ちゃんには近づかない。 385 00:26:00,958 --> 00:26:03,393 何でだ? 386 00:26:03,393 --> 00:26:07,731 だってさ お徳さんが いつまでも親切に構ってたら➡ 387 00:26:07,731 --> 00:26:10,400 お露ちゃんとしちゃあ その度に➡ 388 00:26:10,400 --> 00:26:12,736 その… 人殺しの事➡ 389 00:26:12,736 --> 00:26:15,405 思い出さなきゃ ならないじゃないか。 390 00:26:15,405 --> 00:26:17,341 ああ…。 ねえ? 391 00:26:17,341 --> 00:26:19,276 お徳さんはバカじゃない。 392 00:26:19,276 --> 00:26:21,278 はなっから そんな事は承知の助だよ。 393 00:26:21,278 --> 00:26:26,750 だからさ きっと もう お露ちゃんって子とは会ってない。 394 00:26:26,750 --> 00:26:31,588 なるほど。 お前も お徳も賢いな。 395 00:26:31,588 --> 00:26:35,359 俺が 一番のアホだ。 うん。 うん? 396 00:26:35,359 --> 00:26:38,261 それは 旦那が男だからですよ。 397 00:26:38,261 --> 00:26:42,699 女の賢いのと 男の賢いのとは 道が違うからさ。 398 00:26:42,699 --> 00:26:47,371 なるほど。 「なるほど」って 嫌ですよ 坊ちゃん。 399 00:26:47,371 --> 00:26:50,273 子どものくせに。 400 00:26:50,273 --> 00:26:54,044 やっと 少しは元気になったようだな。 401 00:26:54,044 --> 00:26:57,714 本当に 元気がないのは お徳さんさ。 402 00:26:57,714 --> 00:26:59,650 何かあったのですか? 403 00:26:59,650 --> 00:27:02,586 余計な事を しゃべらない お徳さんがね➡ 404 00:27:02,586 --> 00:27:06,390 ついさっき 珍しく 私に しゃべった事があるんですよ。 405 00:27:06,390 --> 00:27:08,325 何を? 406 00:27:08,325 --> 00:27:10,260 佐吉さんの事ですよ。 407 00:27:10,260 --> 00:27:14,264 佐吉さんの事をね 褒めたんですよ お徳さん。 408 00:27:14,264 --> 00:27:18,001 「よくやってる 頑張ってる」って。 お徳が? 409 00:27:18,001 --> 00:27:20,937 けど そう言いたいんだけど できないんだって。 410 00:27:20,937 --> 00:27:23,407 だから 「何でだよ?」って 聞いたんですよ。 411 00:27:23,407 --> 00:27:26,743 そしたらさ 久兵衛さんが➡ 412 00:27:26,743 --> 00:27:31,415 愚痴を言ってたらしいんだってさ 佐吉さんの事で。 413 00:27:31,415 --> 00:27:34,685 久兵衛が? 414 00:27:34,685 --> 00:27:37,354 え~? 415 00:27:37,354 --> 00:27:42,025 佐吉って男は 旦那の身内なんだけど➡ 416 00:27:42,025 --> 00:27:47,898 事情があって 湊屋の跡目にはできないんだ。 417 00:27:47,898 --> 00:27:51,034 私も もう年だからね。 418 00:27:51,034 --> 00:27:55,372 旦那は ここの差配人として➡ 419 00:27:55,372 --> 00:28:00,043 佐吉を押し込もうって 腹積もりでいなさるようだ。 420 00:28:00,043 --> 00:28:02,713 そんな。 421 00:28:02,713 --> 00:28:10,387 ただね… 佐吉は 差配人にするには 若すぎる。 422 00:28:10,387 --> 00:28:13,724 それに 人柄もよくない。 423 00:28:13,724 --> 00:28:18,395 差配人てのは いろいろと うまみのある仕事だ。 424 00:28:18,395 --> 00:28:25,736 けど 怠けようと思ったら 楽に怠けられる。 425 00:28:25,736 --> 00:28:30,736 とどのつまり 務める人の人柄さ。 426 00:28:32,342 --> 00:28:35,679 いくら湊屋の身内でも➡ 427 00:28:35,679 --> 00:28:41,351 佐吉を この長屋に入れるのだけは 勘弁だ。 428 00:28:41,351 --> 00:28:48,024 あれは… ろくでもない男なんだよ。 429 00:28:48,024 --> 00:28:51,324 佐吉…。 430 00:28:53,897 --> 00:28:58,597 何べんも 何べんも 言われたらしいよ その事。 431 00:29:00,604 --> 00:29:03,573 ところてん お代わり! (店員)へ… へい。 432 00:29:03,573 --> 00:29:07,043 それは つまり あれですか? 433 00:29:07,043 --> 00:29:09,946 人殺しが起こる前の事ですよね? 434 00:29:09,946 --> 00:29:11,915 だったら 何で 久兵衛さんは➡ 435 00:29:11,915 --> 00:29:15,385 お徳さんに そのような事を 言ったんでしょう? 436 00:29:15,385 --> 00:29:18,722 分かりませんよ 私には そんな事。 437 00:29:18,722 --> 00:29:21,057 けどね お徳さん➡ 438 00:29:21,057 --> 00:29:23,727 久兵衛さんのあとに 佐吉さんが来た時➡ 439 00:29:23,727 --> 00:29:27,727 「あっ こいつだ」って 思ったんだってさ。 440 00:29:30,400 --> 00:29:36,006 私ゃ 近頃じゃ 分かんなくなって きちまってんだよ。 441 00:29:36,006 --> 00:29:39,876 佐吉さんは よくやってるよ。 442 00:29:39,876 --> 00:29:44,681 それなりに 立派な差配人だ。 443 00:29:44,681 --> 00:29:48,552 だけどさ 私ゃ 認めたくないんだよ。 444 00:29:48,552 --> 00:29:55,552 だってさ そんな事したら 久兵衛さんに悪いじゃないか。 445 00:29:57,260 --> 00:30:00,230 (おくめ)久兵衛さんから あんな話 聞かされたばっかりに➡ 446 00:30:00,230 --> 00:30:05,969 意地になっちゃって 義理立てしちゃってさ。 447 00:30:05,969 --> 00:30:08,905 旦那 薬。 ああ ああ。 448 00:30:08,905 --> 00:30:11,708 悪かったねえ。 449 00:30:11,708 --> 00:30:14,377 さてと あんまり遅くなると➡ 450 00:30:14,377 --> 00:30:17,047 どこで油売ってたんだって お徳さんに叱られるから➡ 451 00:30:17,047 --> 00:30:20,917 私ゃ もう帰りますね。 ごちそうさまでした。 おう。 452 00:30:20,917 --> 00:30:24,921 あっ 旦那に聞かれた事は ないしょにしときますよ。 453 00:30:24,921 --> 00:30:27,057 その方がいいでしょ? 頼まぁ。 454 00:30:27,057 --> 00:30:29,392 じゃあ。 あ~ くっさ! 455 00:30:29,392 --> 00:30:31,328 小平次。 お待ち遠さまで。 456 00:30:31,328 --> 00:30:34,328 ご苦労だったな 食え。 へい! 457 00:30:37,734 --> 00:30:40,637 面白くねえなあ。 458 00:30:40,637 --> 00:30:43,607 えっ? 459 00:30:43,607 --> 00:30:48,378 久兵衛は これから何が起こるかを 全て知っていて➡ 460 00:30:48,378 --> 00:30:53,083 お徳を操ったって事だ。 ええ。➡ 461 00:30:53,083 --> 00:30:55,018 お徳さんを利用して➡ 462 00:30:55,018 --> 00:30:58,955 佐吉さんが差配人として 働きにくくなるようにしたんです。 463 00:30:58,955 --> 00:31:02,092 店子たちが それぞれ 家移りしていくのも➡ 464 00:31:02,092 --> 00:31:04,761 あそこは 若い場違いの差配人が来て➡ 465 00:31:04,761 --> 00:31:07,097 あの お徳と うまくいってない。 466 00:31:07,097 --> 00:31:10,000 だから 長屋が廃れたって しかたがない。 467 00:31:10,000 --> 00:31:12,969 てな具合に 外からは見える。 468 00:31:12,969 --> 00:31:19,109 けどな… けど…。 469 00:31:19,109 --> 00:31:24,981 佐吉は やつなりに 懸命に頑張った。 470 00:31:24,981 --> 00:31:29,681 お徳は そんな佐吉の働きを 見てたんだ。 471 00:31:37,060 --> 00:31:39,396 そして…➡ 472 00:31:39,396 --> 00:31:43,266 こん中で苦しんでた。 473 00:31:43,266 --> 00:31:48,738 その事を考えなかったのか 久兵衛の野郎はよう。 474 00:31:48,738 --> 00:31:54,038 面白くねえ。 実に面白くねえ。 475 00:32:07,424 --> 00:32:09,359 あっ え…。 ちょっ… 旦那! 476 00:32:09,359 --> 00:32:12,095 ちょっ… 叔父上! (小平次)旦那! 477 00:32:12,095 --> 00:32:25,442 ♬~ 478 00:32:25,442 --> 00:32:31,314 (小平次)旦那~! 479 00:32:31,314 --> 00:32:35,014 久兵衛~! 480 00:32:38,021 --> 00:32:41,925 よ~く 聞け。 481 00:32:41,925 --> 00:32:46,730 俺は お店者のやる事は よく分からねえ。 482 00:32:46,730 --> 00:32:55,405 だがな 鬼ごっこは必ず終わる! 483 00:32:55,405 --> 00:32:58,308 いいか? 484 00:32:58,308 --> 00:33:02,608 必ずだ! 485 00:33:17,660 --> 00:33:22,432 平気ですか? 死ぬかと思ったよ。 486 00:33:22,432 --> 00:33:27,303 お律の所に 井筒様が現れたそうです。 何? 487 00:33:27,303 --> 00:33:32,603 (房吉)こちらの企てに どうやら感づいたらしくて はい。 488 00:33:39,382 --> 00:33:41,718 ≪(政五郎)それで あっしらは➡ 489 00:33:41,718 --> 00:33:46,589 その お露という娘に 張り付けば よろしいんですね? 490 00:33:46,589 --> 00:33:50,393 けど この娘は やっかいだ。 491 00:33:50,393 --> 00:33:54,064 事件の要を知ってるはずなんだ。 492 00:33:54,064 --> 00:33:58,735 実際 兄貴の太助が殺される場に 居合わせてるんだからな。 493 00:33:58,735 --> 00:34:00,670 その おっしゃりようだと➡ 494 00:34:00,670 --> 00:34:07,077 太助を殺したのは お露ではないと 考えておられるんで。 495 00:34:07,077 --> 00:34:09,979 …ああ。 (政五郎)ですが お露は➡ 496 00:34:09,979 --> 00:34:14,951 お徳さんに その事を こっそり 打ち明けたんでござんしょ? 497 00:34:14,951 --> 00:34:17,087 そのとおりだ。 498 00:34:17,087 --> 00:34:20,423 (お露)お父っつぁんは もう 死んでるようなもんだからって。➡ 499 00:34:20,423 --> 00:34:22,358 お父っつぁんだって それを望んでるんだって➡ 500 00:34:22,358 --> 00:34:25,762 兄さん そう言って聞かなくて。➡ 501 00:34:25,762 --> 00:34:30,433 お父っつぁんを 殺させる訳にはいかない…。➡ 502 00:34:30,433 --> 00:34:34,037 だから… だから 私…。 503 00:34:34,037 --> 00:34:36,706 いいよ もう。 504 00:34:36,706 --> 00:34:40,577 もう いいから 分かったから。 505 00:34:40,577 --> 00:34:42,579 もう 分かったからね。 506 00:34:42,579 --> 00:34:46,716 それを 俺も聞いていた。 507 00:34:46,716 --> 00:34:49,385 つまり 旦那は この件でも➡ 508 00:34:49,385 --> 00:34:53,056 お徳さんは 操られているとお考えだ。 509 00:34:53,056 --> 00:34:56,392 恥ずかしいが この俺もだよ。 510 00:34:56,392 --> 00:34:59,295 …へい。 511 00:34:59,295 --> 00:35:06,069 俺は ともかく お徳はなあ 鉄瓶長屋のまとめ役で➡ 512 00:35:06,069 --> 00:35:11,407 あ~ 何て言ったらいいか。 513 00:35:11,407 --> 00:35:14,077 (風鈴の音) 514 00:35:14,077 --> 00:35:20,077 そう… 心だ。 515 00:35:22,418 --> 00:35:27,090 長屋の心のような女なんだ。 516 00:35:27,090 --> 00:35:29,759 心? 517 00:35:29,759 --> 00:35:34,364 そうだ 心だ。 518 00:35:34,364 --> 00:35:38,034 はい 毎度あり! ありがとよ。 519 00:35:38,034 --> 00:35:42,372 人の幸せを願い➡ 520 00:35:42,372 --> 00:35:47,243 人の不幸を 悲しむ事ができる女なんだ。 521 00:35:47,243 --> 00:35:52,048 人にとって 一番大事なものを持ってる➡ 522 00:35:52,048 --> 00:35:57,348 長屋の心のような女なんだ。 523 00:36:05,395 --> 00:36:08,298 久兵衛と いざこざがあった 正次郎がやって来て➡ 524 00:36:08,298 --> 00:36:11,734 太助を殺しちまった。 525 00:36:11,734 --> 00:36:13,670 いつまた 現れるか分からないから➡ 526 00:36:13,670 --> 00:36:17,073 久兵衛は 姿をくらます。 527 00:36:17,073 --> 00:36:19,409 これだけじゃ 話の座りが悪いが➡ 528 00:36:19,409 --> 00:36:23,746 実は 太助を殺したのは お露で➡ 529 00:36:23,746 --> 00:36:26,416 そこには やむにやまれぬ事情があり➡ 530 00:36:26,416 --> 00:36:29,752 久兵衛は その真相を知りつつ➡ 531 00:36:29,752 --> 00:36:34,023 正次郎の逆恨みなんていう話を でっちあげて➡ 532 00:36:34,023 --> 00:36:36,926 長屋を出ていった。 533 00:36:36,926 --> 00:36:41,364 それを聞かされたのは あるいは におわされたのが➡ 534 00:36:41,364 --> 00:36:44,267 お徳だ。 長屋の心ですね。 535 00:36:44,267 --> 00:36:48,238 心を押さえちまえば あとは どうとでもなる。 536 00:36:48,238 --> 00:36:51,374 お徳は 率先して この作り話を広げていった。 537 00:36:51,374 --> 00:36:54,711 俺も ころりとやられた。 538 00:36:54,711 --> 00:36:58,047 久兵衛がいなくなる前までは➡ 539 00:36:58,047 --> 00:37:01,718 お露を引っ張って 事情を聞こうと 思っていたんだが➡ 540 00:37:01,718 --> 00:37:03,653 腰砕けさ。 541 00:37:03,653 --> 00:37:07,056 旦那は お優しいんですよ。 542 00:37:07,056 --> 00:37:09,756 そいつは うれしくねえぜ。 543 00:37:11,728 --> 00:37:16,599 お徳はな 長患いの亭主をみとってる。 544 00:37:16,599 --> 00:37:19,402 なら お徳さんには➡ 545 00:37:19,402 --> 00:37:23,702 お露さんの作り話は 効いたでしょうね。 546 00:37:26,276 --> 00:37:33,916 太助さん… 富平さんを 楽にしようって言ったのかい? 547 00:37:33,916 --> 00:37:37,687 そんな事しちゃいけないって 言ったんです 私。 548 00:37:37,687 --> 00:37:40,687 そんな罰当たりな事 しちゃいけないって…。 549 00:37:43,026 --> 00:37:45,928 (政五郎)哀れな娘ですね。 550 00:37:45,928 --> 00:37:52,035 うん? ですから 哀れな娘ですよ お露さんは。 551 00:37:52,035 --> 00:37:54,370 お徳じゃなくかい? 552 00:37:54,370 --> 00:37:57,040 (政五郎) お徳さんは 哀れだと思いません。 553 00:37:57,040 --> 00:37:59,709 哀れなのは うそをついてるに違いねえ➡ 554 00:37:59,709 --> 00:38:02,045 お露さんです。 555 00:38:02,045 --> 00:38:06,716 お徳をだましたから。 (政五郎)それも ござんす。 556 00:38:06,716 --> 00:38:09,052 あっしが言いたいのは➡ 557 00:38:09,052 --> 00:38:11,721 お露さんが言ってるのが 作り話だとしても➡ 558 00:38:11,721 --> 00:38:15,591 太助は 本当に殺されてます。 つまり 太助には➡ 559 00:38:15,591 --> 00:38:19,595 殺されなければならない訳が ちゃんとあったって事です。 560 00:38:19,595 --> 00:38:23,733 そうだ。 そのとおりだ。 561 00:38:23,733 --> 00:38:28,404 湊屋さんは 店子を追い出すのに 金をばらまいてはいるものの➡ 562 00:38:28,404 --> 00:38:31,307 乱暴な事は 決してしてやしません。 563 00:38:31,307 --> 00:38:33,242 だが 太助は そうじゃない。➡ 564 00:38:33,242 --> 00:38:36,679 命を取られちまってる。 565 00:38:36,679 --> 00:38:39,015 扱いが違う。 566 00:38:39,015 --> 00:38:41,918 どういう事だ? 567 00:38:41,918 --> 00:38:44,354 こいつは ひょっとすると➡ 568 00:38:44,354 --> 00:38:49,692 湊屋さんが なんとかして 長屋を無人にしたい訳と➡ 569 00:38:49,692 --> 00:38:52,595 どっか 絡んでんじゃござんせんかね。 570 00:38:52,595 --> 00:38:56,295 でなけりゃ 命まで取られる訳がねえ。 571 00:38:58,034 --> 00:39:00,937 ああ。 572 00:39:00,937 --> 00:39:04,707 とにもかくにも あっしらは その お露を見張ります。 573 00:39:04,707 --> 00:39:07,043 とことん細かい事まで調べて➡ 574 00:39:07,043 --> 00:39:09,712 旦那にお知らせ致しやす。 575 00:39:09,712 --> 00:39:11,647 恩に着る。 576 00:39:11,647 --> 00:39:13,583 恩になんぞ着ねえで下さい。 577 00:39:13,583 --> 00:39:18,388 もし 旦那さえ よろしかったなら この一件が片づくまで➡ 578 00:39:18,388 --> 00:39:20,723 あっしらを 手下として➡ 579 00:39:20,723 --> 00:39:23,626 当てにして下さっても ようござんす。 580 00:39:23,626 --> 00:39:28,398 俺を助けて働いたとしても お前らの得にはならねえ。 581 00:39:28,398 --> 00:39:30,333 それでもいいのかい? 582 00:39:30,333 --> 00:39:33,669 得ならあります。 え? 583 00:39:33,669 --> 00:39:38,541 湊屋には 例の仁平が絡みついておりやす。 584 00:39:38,541 --> 00:39:40,543 仁平。 585 00:39:40,543 --> 00:39:42,678 旦那は 総右衛門が どれだけ あこぎな野郎か…。 586 00:39:42,678 --> 00:39:46,349 (政五郎)仁平は 岡っ引きの 風上にも置けない男だって事は➡ 587 00:39:46,349 --> 00:39:49,685 先にも 旦那にお話し申し上げました。 588 00:39:49,685 --> 00:39:52,588 あっしらとしては…。 なるほど。 589 00:39:52,588 --> 00:39:55,558 仁平の足元すくって ひっくり返すか。 590 00:39:55,558 --> 00:39:59,695 それができりゃあ 御の字でさ。 そりゃいい。 591 00:39:59,695 --> 00:40:03,032 (笑い声) 592 00:40:03,032 --> 00:40:05,935 終わったぞ おでこ。 593 00:40:05,935 --> 00:40:10,635 はあ…。 (笑い声) 594 00:40:16,579 --> 00:40:19,582 お帰りなさいませ。 595 00:40:19,582 --> 00:40:22,385 ≪お帰りなさいませ。 596 00:40:22,385 --> 00:41:07,964 ♬~ 597 00:41:07,964 --> 00:41:13,436 <長屋の心である お徳が 憂いていた。➡ 598 00:41:13,436 --> 00:41:19,436 さて 平四郎 どうするのか?> 599 00:41:23,446 --> 00:41:26,349 あっ…。 (蚊の羽音) 600 00:41:26,349 --> 00:41:28,317 土左衛門が揚がりました! 601 00:41:28,317 --> 00:41:30,319 簀巻きにされて 大川に放り込まれて。 602 00:41:30,319 --> 00:41:34,390 (2人)成仏しておくれよ~! ここは もう終わりだよ。 603 00:41:34,390 --> 00:41:36,726 店子を みんな よそに移して➡ 604 00:41:36,726 --> 00:41:39,629 湊屋の寮でも建てようかと おっしゃってるそうです。 605 00:41:39,629 --> 00:41:43,399 おふじが 一体 何を拝んで もらっていたのかという事です。 606 00:41:43,399 --> 00:41:46,302 小伝馬町の女牢に つながれてるらしい。 607 00:41:46,302 --> 00:41:49,071 まずいと思います。 仁平の目が光ってます。 608 00:41:49,071 --> 00:41:52,408 牢屋敷に手紙… ですか。 609 00:41:52,408 --> 00:41:56,746 じゃあ いきます。 頼むぜ 官九郎。 610 00:41:56,746 --> 00:43:26,446 ♬~