1 00:00:14,180 --> 00:00:16,850 これから話すことを— 2 00:00:20,395 --> 00:00:23,898 正確に伝えられる自信はない 3 00:00:24,482 --> 00:00:26,067 とにかく… 4 00:00:29,487 --> 00:00:30,697 あの頃は— 5 00:00:31,656 --> 00:00:34,409 私にとって 暗黒の時代だった 6 00:00:35,827 --> 00:00:38,997 ある時 とても強力なドラッグを— 7 00:00:39,748 --> 00:00:40,749 やったんだ 8 00:00:44,419 --> 00:00:50,091 ドラッグでトリップしてる時 私は人生の意味を悟った 9 00:00:54,262 --> 00:00:57,098 でもトリップが終われば 当然— 10 00:00:57,390 --> 00:01:00,101 何を悟ったか忘れてしまった 11 00:01:00,310 --> 00:01:03,897 それから 人生の意味とは何なのか— 12 00:01:04,022 --> 00:01:06,441 気になって仕方なかった 13 00:01:08,651 --> 00:01:10,862 ある夜 夢を見た 14 00:01:15,325 --> 00:01:17,952 私は道を歩いていた 15 00:01:18,078 --> 00:01:22,207 子供のように 父親か母親か誰か大人に— 16 00:01:22,332 --> 00:01:24,125 手を引かれていた 17 00:01:26,628 --> 00:01:30,965 私はその大人に 人生の意味を尋ねた 18 00:01:31,966 --> 00:01:36,054 すると その人は “生命の輪”を教えてくれた 19 00:01:38,306 --> 00:01:40,308 それから花を見せた 20 00:01:43,728 --> 00:01:44,687 花には— 21 00:01:45,605 --> 00:01:47,315 周期があるからだ 22 00:01:49,901 --> 00:01:52,821 種が発芽し 花を咲かせ— 23 00:01:52,987 --> 00:01:55,907 実った果実が地面に落ちる 24 00:01:56,074 --> 00:01:57,784 そして種になる 25 00:01:58,493 --> 00:02:01,496 種はまた発芽する これが生命の輪だ 26 00:02:04,457 --> 00:02:08,795 私は その人が 花を見せる理由を聞いた 27 00:02:11,005 --> 00:02:13,675 “我々の人生は花であり—” 28 00:02:14,175 --> 00:02:17,303 “生命の輪で 最も美しい瞬間だから” 29 00:02:18,179 --> 00:02:20,515 その人は そう答えた 30 00:02:21,516 --> 00:02:23,143 皆さんはどう思う? 31 00:02:38,491 --> 00:02:43,204 NETFLIX オリジナルドキュメンタリー 32 00:03:26,331 --> 00:03:29,542 シェフのテーブル 33 00:03:38,218 --> 00:03:42,222 ブラジル サンパウロ 34 00:03:51,397 --> 00:03:55,276 <20年前のサンパウロでは 外食と言えば—> 35 00:03:55,777 --> 00:03:58,696 <フレンチかイタリアンの 店だった> 36 00:04:00,573 --> 00:04:02,283 <高級レストランは—> 37 00:04:02,951 --> 00:04:04,911 <富裕層の 行く場所だった> 38 00:04:02,951 --> 00:04:04,911 ブラジル料理評論家 ルイス・アメリコ・ カマルゴ 39 00:04:04,911 --> 00:04:05,036 ブラジル料理評論家 ルイス・アメリコ・ カマルゴ 40 00:04:05,036 --> 00:04:08,122 ブラジル料理評論家 ルイス・アメリコ・ カマルゴ 41 00:04:05,036 --> 00:04:08,122 <一般的な家庭では 自宅で—> 42 00:04:08,248 --> 00:04:10,667 <米や豆を食べていた> 43 00:04:12,961 --> 00:04:16,923 <ブラジル人は 自分たちの食べる料理を> 44 00:04:17,131 --> 00:04:21,261 <店で食べるごちそうと 考えていなかった> 45 00:04:21,386 --> 00:04:24,931 <着飾って 食べに行くほどの—> 46 00:04:25,056 --> 00:04:27,600 <価値はないと 思っていたんだ> 47 00:04:28,142 --> 00:04:29,477 <しかしアレックスが> 48 00:04:29,644 --> 00:04:33,815 <ブラジル料理の持つ 可能性を引き出した> 49 00:04:50,581 --> 00:04:55,169 アレックスには才能がある ただ それだけだ 50 00:04:55,837 --> 00:04:58,006 世界トップのシェフだよ 51 00:04:58,131 --> 00:05:01,551 彼がすごいのは シェフであることが 52 00:04:58,131 --> 00:05:01,551 〝モモフク〞 シェフ/創業者 デヴィッド・チャン 53 00:05:01,551 --> 00:05:02,051 〝モモフク〞 シェフ/創業者 デヴィッド・チャン 54 00:05:02,051 --> 00:05:05,346 〝モモフク〞 シェフ/創業者 デヴィッド・チャン 55 00:05:02,051 --> 00:05:05,346 彼の一部にしか 過ぎないことだ 56 00:05:08,933 --> 00:05:14,022 彼は変わり者だが 新しい視点を持ち 博識だ 57 00:05:17,358 --> 00:05:21,279 <狩りや釣りをする彼は 熱帯雨林を—> 58 00:05:21,404 --> 00:05:22,989 <よく分かってる> 59 00:05:30,371 --> 00:05:35,835 <彼はアマゾンを訪れた時 そこにある食材が—> 60 00:05:36,002 --> 00:05:40,548 <ブラジルでも世界でも 珍しいことを知った> 61 00:05:43,676 --> 00:05:48,222 <アマゾンの人々の知恵と 彼の熱帯雨林の知識> 62 00:05:48,347 --> 00:05:50,892 <伝統的な フランス料理の技術> 63 00:05:51,225 --> 00:05:53,394 <そしてヨーロッパの 斬新さ> 64 00:05:53,561 --> 00:05:58,316 <それらが生む料理には 強いメッセージがあった> 65 00:05:59,233 --> 00:06:02,779 彼はブラジル人らしく 自信家だ 66 00:06:03,613 --> 00:06:08,076 世間体を 気にすることはないし— 67 00:06:08,743 --> 00:06:10,620 自分の意志を貫く 68 00:06:10,745 --> 00:06:13,748 それが料理にも表れてるよ 69 00:06:15,917 --> 00:06:20,088 <彼はブラジル料理の シェフになり—> 70 00:06:20,254 --> 00:06:24,592 <ブラジル料理の店を 開くべきだと思った> 71 00:06:25,301 --> 00:06:29,889 <そして自分の居場所を 見つけたんだ> 72 00:06:31,349 --> 00:06:35,812 <彼がブラジル料理を 世界に広めた> 73 00:06:52,203 --> 00:06:57,208 ブラジル アマゾナス州 バニワ族居住地区 74 00:06:57,208 --> 00:06:58,126 ブラジル アマゾナス州 バニワ族居住地区 75 00:06:57,208 --> 00:06:58,126 <木はある?> 76 00:06:58,126 --> 00:06:58,292 ブラジル アマゾナス州 バニワ族居住地区 77 00:06:58,292 --> 00:06:58,793 ブラジル アマゾナス州 バニワ族居住地区 78 00:06:58,292 --> 00:06:58,793 <ありますよ> 79 00:06:58,793 --> 00:06:59,585 <ありますよ> 80 00:07:36,622 --> 00:07:39,750 <カモの皮を使うよね> 81 00:07:40,501 --> 00:07:41,961 <全部どうぞ> 82 00:07:45,256 --> 00:07:45,923 <ありがとう> 83 00:07:46,048 --> 00:07:47,008 <こちらこそ> 84 00:07:52,972 --> 00:07:55,850 料理の裏側には 必ず死があるが— 85 00:07:56,559 --> 00:08:00,521 人々はその事実から 目を背けている 86 00:08:27,298 --> 00:08:29,383 初めて料理をし— 87 00:08:30,384 --> 00:08:35,389 それを食べた時は 父と祖父が一緒にいた 88 00:08:40,144 --> 00:08:44,524 子供の頃 人里離れた場所に よく出かけた 89 00:08:44,649 --> 00:08:49,529 アマゾナスやパンタナールで 釣りや狩りをしたんだ 90 00:08:53,741 --> 00:08:55,493 当然のことだった 91 00:08:56,494 --> 00:08:59,080 魚などの生き物を捕まえ— 92 00:08:59,330 --> 00:09:03,584 殺したら すべて残らず 食べることがね 93 00:09:04,752 --> 00:09:06,587 どんな生き物でもだ 94 00:09:10,258 --> 00:09:14,095 それは私が食材や 料理について 初めて— 95 00:09:14,595 --> 00:09:16,264 学んだことだった 96 00:09:17,682 --> 00:09:19,767 そうすることで命を— 97 00:09:20,560 --> 00:09:21,769 尊んだ 98 00:09:22,395 --> 00:09:24,438 そして学んだ 99 00:09:24,981 --> 00:09:30,820 自然を大切にし必要なだけ その恵みを頂く方法をね 100 00:09:32,071 --> 00:09:33,406 我々は神じゃない 101 00:09:33,781 --> 00:09:38,619 偉大なる自然の ごく一部に過ぎないんだ 102 00:10:05,813 --> 00:10:10,359 ブラジル パラティ 大西洋岸森林 103 00:10:19,493 --> 00:10:20,578 <すばらしい> 104 00:10:24,832 --> 00:10:26,626 <これ 知ってます?> 105 00:10:26,834 --> 00:10:29,003 <地元のハーブです> 106 00:10:29,170 --> 00:10:30,671 <知らないよ> 107 00:10:30,796 --> 00:10:32,673 <ミントの仲間で—> 108 00:10:33,341 --> 00:10:34,508 <香りがいい> 109 00:10:34,634 --> 00:10:35,635 <コショウ科だね> 110 00:10:35,760 --> 00:10:36,469 <そうです> 111 00:10:37,595 --> 00:10:39,597 <これは すごいね> 112 00:10:39,847 --> 00:10:43,768 <どんな料理に 合うと思いますか?> 113 00:10:44,518 --> 00:10:47,480 <甘いし 何にでも合う> 114 00:10:50,274 --> 00:10:51,150 <少し摘もう> 115 00:11:01,243 --> 00:11:02,828 <ジュサラ椰子だ> 116 00:11:04,664 --> 00:11:08,876 <大きな新芽が取れるから とても貴重なんだ> 117 00:11:09,377 --> 00:11:11,212 <見つけられてよかった> 118 00:11:18,886 --> 00:11:22,056 アレックスは “店に来て”とは言わない 119 00:11:22,223 --> 00:11:25,059 彼が言うのは “熱帯雨林に行こう” 120 00:11:25,893 --> 00:11:28,187 彼は熱帯雨林を 守ろうとしてる 121 00:11:29,397 --> 00:11:33,818 今まで見過ごされてきた 天然資源や農家の人々— 122 00:11:33,943 --> 00:11:37,822 先住民族がいかに大切かを 彼は訴えてる 123 00:12:04,640 --> 00:12:10,271 ブラジル アマゾナス州 コロンビアとの国境地帯 124 00:12:28,372 --> 00:12:29,957 子供の頃から— 125 00:12:30,499 --> 00:12:33,586 自然の持つ可能性を 感じていた 126 00:12:33,961 --> 00:12:36,297 そこに魅了されてきた 127 00:12:38,883 --> 00:12:41,302 木の葉1枚1枚も— 128 00:12:41,719 --> 00:12:44,305 昆虫や鳥や魚も魅力的だ 129 00:12:47,516 --> 00:12:52,480 アマゾナスを訪れると 心の奥から何かが込み上げる 130 00:12:57,568 --> 00:13:03,240 アマゾナスを愛する人々は その未来を案じている 131 00:13:03,699 --> 00:13:06,118 アマゾナスは今 危機にある 132 00:13:08,537 --> 00:13:13,000 我々が食べ物を 生産することによって— 133 00:13:13,667 --> 00:13:18,839 生態系全体を破壊していると 認識しなければならない 134 00:13:21,383 --> 00:13:25,346 アマゾナスの先住民族は 何百年も前から— 135 00:13:25,513 --> 00:13:29,767 自然とのバランスを 保ちながら暮らしている 136 00:13:30,518 --> 00:13:34,188 アマゾナスの自然を 保護することは— 137 00:13:34,355 --> 00:13:38,192 ただ川や海 森を 守ることではない 138 00:13:38,526 --> 00:13:40,736 人々を守ることでもある 139 00:13:42,279 --> 00:13:47,034 彼らから何かを学べると 私は信じている 140 00:13:48,869 --> 00:13:52,373 ブラジル アマゾナス州 マナウス 141 00:14:01,924 --> 00:14:04,176 <ここはマナウスだ> 142 00:14:04,301 --> 00:14:06,845 <最高の場所だよ> 143 00:14:14,436 --> 00:14:19,900 初めてキャビアを食べた時 正直 おいしいかどうか— 144 00:14:20,317 --> 00:14:22,236 分からなかった 145 00:14:24,947 --> 00:14:28,784 初めてキャッサバの搾り汁の トゥクピーを— 146 00:14:29,243 --> 00:14:31,245 なめた時は こうだった 147 00:14:32,079 --> 00:14:36,333 “おいしいかどうかは別にして 初めての味だ”と 148 00:14:37,001 --> 00:14:38,544 とても驚いた 149 00:14:39,169 --> 00:14:44,383 キャビアは高級食材で トゥクピーはそうじゃない 150 00:14:44,508 --> 00:14:47,428 それは誰かが そう言ったからだ 151 00:14:47,761 --> 00:14:50,264 味には文化的な解釈がある 152 00:14:58,981 --> 00:15:04,111 我々の文化では 虫を食べることは好まれない 153 00:15:05,070 --> 00:15:06,989 貧しさや飢えを— 154 00:15:07,615 --> 00:15:09,450 連想させるからだ 155 00:15:09,700 --> 00:15:12,411 数年前 アマゾナスを訪れた時— 156 00:15:12,953 --> 00:15:17,791 小さな村で一番だという シェフを紹介された 157 00:15:18,459 --> 00:15:21,795 先住民族の ドナという女性だった 158 00:15:26,133 --> 00:15:31,513 彼女はアリをふんだんに使い 黒いソースを作った 159 00:15:35,434 --> 00:15:36,727 私は言った 160 00:15:37,394 --> 00:15:39,980 “アリがたくさん入ってる” 161 00:15:41,440 --> 00:15:45,778 スプーンでソースを すくって食べてみたら— 162 00:15:46,612 --> 00:15:49,657 すばらしくおいしかった 163 00:15:50,074 --> 00:15:52,660 ショウガとレモングラスの 香りがした 164 00:15:52,826 --> 00:15:57,039 だがアマゾナスには どちらもないはずだ 165 00:15:58,540 --> 00:16:00,376 私は彼女に聞いた 166 00:16:00,501 --> 00:16:03,003 “何のハーブを使った?” 167 00:16:03,170 --> 00:16:04,505 彼女は“アリだ”と 168 00:16:05,172 --> 00:16:09,426 ハーブが入ってるはずだと 言っても否定された 169 00:16:09,677 --> 00:16:13,847 彼女は “いいから食べろ”と言う 170 00:16:14,390 --> 00:16:19,687 アリを食べるとショウガと レモングラスの強い香りが 171 00:16:19,853 --> 00:16:21,522 口いっぱいに広がった 172 00:16:21,647 --> 00:16:23,857 初めて経験する味だった 173 00:16:26,944 --> 00:16:28,946 目を閉じればおいしい 174 00:16:29,613 --> 00:16:32,491 アリの味は レモングラスに似てる 175 00:16:34,451 --> 00:16:39,206 自分の文化を超えたところに おいしい物は存在する 176 00:16:39,540 --> 00:16:43,210 偏見をなくせば いくらでもおいしい物はある 177 00:16:59,393 --> 00:17:03,897 私はサンパウロの 労働者階級の家庭で育った 178 00:17:05,315 --> 00:17:09,570 父はゴム工場 母は縫製工場で— 179 00:17:10,029 --> 00:17:12,072 仕事をしていた 180 00:17:16,076 --> 00:17:20,581 両親ともに黒髪で 濃い色の肌をしていた 181 00:17:20,748 --> 00:17:23,584 私の3人の兄弟も同じだった 182 00:17:23,751 --> 00:17:28,881 しかし どういうわけか 私は肌が白く赤毛だった 183 00:17:29,631 --> 00:17:31,425 家族の中で— 184 00:17:31,925 --> 00:17:34,261 私だけだったんだ 185 00:17:34,845 --> 00:17:36,513 孤独を感じた 186 00:17:38,515 --> 00:17:41,769 私は自分を理解しようとした 187 00:17:49,234 --> 00:17:52,446 私はロックンロールが 大好きだ 188 00:17:52,905 --> 00:17:55,657 当時はヒッピーが 大流行してたが— 189 00:17:55,783 --> 00:17:59,828 私はそれに 興味を持つことはなかった 190 00:18:03,415 --> 00:18:08,295 ある時 パンクロックの バンドのコンサートに行った 191 00:18:11,423 --> 00:18:16,470 彼らのカッコよさに すっかり魅了された 192 00:18:17,096 --> 00:18:19,181 赤毛の人もいて— 193 00:18:19,306 --> 00:18:20,933 これだと思ったよ 194 00:18:24,770 --> 00:18:28,982 それこそ まさに私が 求めていたものだった 195 00:18:30,400 --> 00:18:32,820 その時は15才になる頃で— 196 00:18:33,737 --> 00:18:34,988 反抗期だった 197 00:18:36,365 --> 00:18:40,786 私は家を出て 一人暮らしすると決めた 198 00:18:41,495 --> 00:18:43,831 そしてクラブで働き始めた 199 00:18:46,959 --> 00:18:50,838 一人で暮らし 自分で生計を立て— 200 00:18:51,004 --> 00:18:53,465 好き放題やってた 201 00:18:54,383 --> 00:18:57,511 ドラッグもセックスも 何でもね 202 00:18:57,803 --> 00:18:58,929 思い通りだった 203 00:19:03,767 --> 00:19:05,853 ドラッグが違法なのは— 204 00:19:06,854 --> 00:19:09,189 それが魅力的だからだ 205 00:19:09,898 --> 00:19:11,692 だが人をダメにする 206 00:19:13,569 --> 00:19:17,197 私はドラッグに溺(おぼ)れていった 207 00:19:18,490 --> 00:19:21,034 悪いこともやった 208 00:19:22,536 --> 00:19:24,037 私の暗黒時代だ 209 00:19:27,374 --> 00:19:30,002 反発心があったわけじゃない 210 00:19:33,380 --> 00:19:35,215 だが何かを求めていた 211 00:19:48,896 --> 00:19:55,235 ブラジル アマゾナス州 トゥヌイ村 212 00:19:58,322 --> 00:20:03,327 2003年 アマゾナス北部に 農場を買うことにした 213 00:20:04,369 --> 00:20:08,665 無謀に思えたが そこの人々を助けたかった 214 00:20:10,918 --> 00:20:13,587 私がトゥクピーを 店で提供し— 215 00:20:13,962 --> 00:20:19,176 利益が出れば 地元の人々にお金を払える 216 00:20:19,301 --> 00:20:20,928 皆が幸せになれるんだ 217 00:20:21,929 --> 00:20:25,349 私は なんて頭が いいんだと— 218 00:20:25,599 --> 00:20:27,768 自分で思ったよ 219 00:20:28,644 --> 00:20:30,771 それでアマゾナスを救える 220 00:20:31,146 --> 00:20:34,149 私は彼らに 食料を送ることにした 221 00:20:35,067 --> 00:20:37,611 6ヵ月後に現地に戻り— 222 00:20:39,404 --> 00:20:43,867 私がそこで目にしたのは 散乱したゴミだった 223 00:20:44,868 --> 00:20:47,746 ビニール袋や空き缶だ 224 00:20:47,871 --> 00:20:50,207 私はショックを受けたよ 225 00:20:51,750 --> 00:20:56,880 一体どういうことだと 彼らに聞いて回った 226 00:20:57,005 --> 00:21:01,051 すると彼らは怒り出し 激しい口論になった 227 00:21:01,385 --> 00:21:06,890 そして長老の男性が 私の前に来てこう言った 228 00:21:07,015 --> 00:21:08,809 “これはお前のせいだ” 229 00:21:08,934 --> 00:21:11,645 “我々は魚のウロコや—” 230 00:21:11,770 --> 00:21:15,983 “野菜の皮を いつもその辺に捨てる” 231 00:21:16,191 --> 00:21:18,485 その瞬間に気付いたよ 232 00:21:18,652 --> 00:21:22,990 彼らにビニール袋や 缶を与えたのは誰か 233 00:21:23,490 --> 00:21:24,199 私だ 234 00:21:25,075 --> 00:21:28,495 私は最悪な気分に陥った 235 00:21:28,620 --> 00:21:31,873 自分は何も 分かっちゃいなかった 236 00:21:37,587 --> 00:21:42,175 それをきっかけにして ATAを立ち上げた 237 00:21:44,011 --> 00:21:48,515 ATAとは先住民族の言葉で “火”を意味する 238 00:21:49,933 --> 00:21:54,855 ATAの信念は食べ物と 我々の関係を理解すること 239 00:21:55,939 --> 00:22:00,027 フードチェーンは 自然を保護する上で— 240 00:22:00,193 --> 00:22:02,696 強力な武器になる 241 00:22:03,655 --> 00:22:10,203 ブラジル アマゾナス州 バニワ族唐辛子農場 242 00:22:23,383 --> 00:22:28,055 バニワ族は70種以上の 唐辛子を食べる 243 00:22:31,975 --> 00:22:34,186 彼らに唐辛子は欠かせない 244 00:22:34,936 --> 00:22:39,232 彼らの伝統では 娘が結婚する時の— 245 00:22:39,733 --> 00:22:43,653 母親からの最初の贈り物は 唐辛子の種だ 246 00:22:44,905 --> 00:22:50,327 彼らは自然に負担をかけず 唐辛子を育て 収穫する 247 00:22:56,208 --> 00:22:58,418 彼らの現状はこうだ 248 00:22:59,878 --> 00:23:04,049 農作業をするのは女性で 男性は— 249 00:23:04,633 --> 00:23:08,553 違法な採掘をして 生計を立ててる 250 00:23:08,678 --> 00:23:10,597 仕事がないからだ 251 00:23:11,598 --> 00:23:15,102 彼らは家族と離れ 採掘している 252 00:23:15,936 --> 00:23:19,856 我々はチリパウダーの プロジェクトを立ち上げた 253 00:23:20,774 --> 00:23:24,486 トゥヌイ村 唐辛子加工所 254 00:23:24,486 --> 00:23:28,990 トゥヌイ村 唐辛子加工所 255 00:23:24,486 --> 00:23:28,990 我々は唐辛子を 加工する小屋を建てた 256 00:23:29,116 --> 00:23:33,620 すでに5軒あり 現在 2軒を建設中だ 257 00:23:35,372 --> 00:23:40,127 彼らはそこで“ジキタヤ”を 作っている 258 00:23:41,461 --> 00:23:44,131 ジキタヤは 乾燥させた唐辛子だ 259 00:23:45,632 --> 00:23:47,050 これがおいしい 260 00:23:47,384 --> 00:23:50,137 私はいろんな料理に使ってる 261 00:23:50,303 --> 00:23:53,431 <唐辛子に関する 仕事なら—> 262 00:23:53,682 --> 00:23:54,933 <得意です> 263 00:23:55,058 --> 00:24:00,272 <唐辛子は我々の文化に 欠かせないからね> 264 00:24:00,814 --> 00:24:02,274 我々はこう考えた 265 00:24:02,524 --> 00:24:08,155 バニワ族の文化を サンパウロで広げれば— 266 00:24:08,280 --> 00:24:11,783 彼らに経済的なチャンスを 与えられる 267 00:24:12,075 --> 00:24:14,703 そうすれば 自然保護にもつながる 268 00:24:29,759 --> 00:24:34,681 私はクラブで働いていた頃 パンクロックに夢中だった 269 00:24:35,307 --> 00:24:37,267 そのうちヨーロッパの— 270 00:24:37,517 --> 00:24:40,604 パンクロック事情が 気になり始めた 271 00:24:44,733 --> 00:24:49,029 それで夢を実現させるため 金を貯めたよ 272 00:24:49,487 --> 00:24:52,824 ヨーロッパに移住して— 273 00:24:53,033 --> 00:24:55,243 その文化を満喫したかった 274 00:24:56,703 --> 00:25:00,874 ヨーロッパに渡った頃は 夢のようだった 275 00:25:02,250 --> 00:25:06,379 すべてが新しく ブラジルに戻らないと決めた 276 00:25:08,548 --> 00:25:12,052 だが問題が2つあった まずは金だ 277 00:25:12,219 --> 00:25:14,387 私はペンキ塗りを始めた 278 00:25:15,013 --> 00:25:17,390 それからビザの問題だ 279 00:25:19,100 --> 00:25:23,146 ペンキ塗りの同僚が 料理学校に通ってた 280 00:25:23,897 --> 00:25:24,814 私は思った 281 00:25:25,607 --> 00:25:28,985 “ビザを取るために 私も通おう” 282 00:25:29,736 --> 00:25:30,987 正直— 283 00:25:31,905 --> 00:25:34,074 シェフは目指してなかった 284 00:25:34,824 --> 00:25:37,744 ビザが必要だっただけだ 285 00:25:38,912 --> 00:25:43,250 80年代の終わりに ブラジル人パンクロッカーが 286 00:25:43,416 --> 00:25:46,586 フレンチ料理店で働いてた 287 00:25:49,130 --> 00:25:50,507 簡単じゃなかった 288 00:25:52,342 --> 00:25:57,264 だが育った環境のお陰で 鳥や魚の処理法を知ってた 289 00:25:57,430 --> 00:25:59,891 子供の頃にやっていたからね 290 00:26:00,684 --> 00:26:04,104 ペンキを塗るより 料理を作る方が— 291 00:26:04,854 --> 00:26:06,439 はるかに楽しかった 292 00:26:07,983 --> 00:26:11,361 年を追うごとに この仕事が— 293 00:26:11,695 --> 00:26:13,780 好きになっていった 294 00:26:27,919 --> 00:26:33,967 ピラルクー (アマゾン川の魚) 295 00:26:49,566 --> 00:26:51,776 <ウロコを取る> 296 00:26:54,988 --> 00:26:55,989 <クソッ> 297 00:26:56,656 --> 00:26:58,408 <手ごわいな> 298 00:27:11,713 --> 00:27:15,425 <ナイフで手を 切らないように> 299 00:27:28,146 --> 00:27:30,857 <こんなのが釣れたら 大騒ぎだ> 300 00:27:31,441 --> 00:27:33,193 <うちには3匹いるよ> 301 00:28:06,184 --> 00:28:08,061 シェフの修行中— 302 00:28:09,229 --> 00:28:12,440 一日のうちで 最も重要なのは— 303 00:28:13,066 --> 00:28:16,069 下処理の時間だと教わる 304 00:28:17,821 --> 00:28:19,739 食材の下処理が— 305 00:28:20,949 --> 00:28:23,243 すばらしい料理を生み出す 306 00:28:24,744 --> 00:28:27,580 シェフの ロベルタ・スドブラックが 307 00:28:27,997 --> 00:28:31,126 よくこんなことを 言っていた 308 00:28:31,251 --> 00:28:34,212 “下処理は 厨房からではなく—” 309 00:28:35,338 --> 00:28:39,092 “農場や自然の中から 始まってる” 310 00:28:42,846 --> 00:28:47,976 おいしい料理を作りたいなら 優れた食材が不可欠だ 311 00:28:48,101 --> 00:28:52,272 それを見つけるには 私と同じぐらい— 312 00:28:52,480 --> 00:28:55,650 その食材を愛する人を 探す必要がある 313 00:28:57,902 --> 00:29:00,613 10年ほど前 私が仕事をしていたら— 314 00:29:00,780 --> 00:29:04,033 ある男性が訪ねてきた 315 00:29:04,200 --> 00:29:06,327 彼は私に米の話をした 316 00:29:06,453 --> 00:29:10,582 ブラジル パライバ渓谷 ルゼーネ米取引所および 研究センター 317 00:29:12,584 --> 00:29:16,463 “これを味見してくれ 新種の米を生産してる” 318 00:29:16,629 --> 00:29:18,173 彼はそう言った 319 00:29:18,965 --> 00:29:20,675 それが黒米だった 320 00:29:21,134 --> 00:29:22,302 <これは黒米?> 321 00:29:22,844 --> 00:29:24,387 <黒米の花です> 322 00:29:24,512 --> 00:29:25,597 <きれいだ> 323 00:29:30,143 --> 00:29:34,439 黒米を作り始めた時 皆 彼らのことを笑った 324 00:29:34,981 --> 00:29:38,610 “バカな奴らだ 白米を食べる国で—” 325 00:29:38,735 --> 00:29:42,405 “黒米を作ったって 誰が食べるんだ” 326 00:29:43,656 --> 00:29:47,368 私は黒米を見て 調理しようと思った 327 00:29:49,454 --> 00:29:51,498 驚くほどおいしかったよ 328 00:29:53,416 --> 00:29:56,753 それをきっかけに 黒米を使い始めたが— 329 00:29:57,670 --> 00:30:01,049 他の生産者たちへの いい手本になった 330 00:30:05,553 --> 00:30:13,394 ブラジル南東部 試験的養蜂場 331 00:30:13,520 --> 00:30:18,525 <開けやすくするため ビニールを張ってる> 332 00:30:20,735 --> 00:30:24,364 ブラジルには300種以上の ハチが生息し— 333 00:30:24,531 --> 00:30:26,574 おいしい蜂蜜が採れる 334 00:30:28,159 --> 00:30:32,664 しかし我々が使うのは ヨーロッパ産の蜂蜜だ 335 00:30:32,789 --> 00:30:37,335 水分が少なくて 食材として安定してるからね 336 00:30:37,460 --> 00:30:40,880 だがブラジルの蜂蜜は 生きていて— 337 00:30:41,297 --> 00:30:44,592 ワインやチーズのように 発酵する 338 00:30:45,009 --> 00:30:46,845 酸味も出てくる 339 00:30:47,178 --> 00:30:52,225 つまり風味 香り 酸味 甘味のバランスが絶妙なんだ 340 00:30:52,392 --> 00:30:57,397 <発酵してるから 酸味がある> 341 00:30:57,522 --> 00:30:58,898 <驚きだ> 342 00:30:59,649 --> 00:31:04,237 ブラジルには誇るべき食材が たくさんあるんだ 343 00:31:04,404 --> 00:31:05,572 <ハチに乾杯> 344 00:31:05,738 --> 00:31:09,576 おいしくてナチュラルな ブラジル産だ 345 00:31:10,827 --> 00:31:14,289 シェフが先頭に立って 食材を探し— 346 00:31:15,081 --> 00:31:19,919 人々をつなげば より良い フードチェーンが生まれる 347 00:31:31,055 --> 00:31:33,266 料理学校を出た後— 348 00:31:33,600 --> 00:31:37,103 ブラジル人女性と共に イタリアに住んだ 349 00:31:37,937 --> 00:31:39,439 私は厨房で働いた 350 00:31:41,274 --> 00:31:43,610 そして彼女が妊娠した 351 00:31:46,279 --> 00:31:47,780 住んでいたミラノは— 352 00:31:48,948 --> 00:31:51,117 すばらしい街だった 353 00:31:51,784 --> 00:31:54,287 だが私の故郷ではなかった 354 00:31:55,079 --> 00:31:56,205 何かが違った 355 00:31:57,457 --> 00:31:59,959 ヨーロッパで暮らして 気付いた 356 00:32:01,961 --> 00:32:03,796 私はイタリアではなく— 357 00:32:04,631 --> 00:32:07,091 ブラジルで 子供を育てたかった 358 00:32:08,134 --> 00:32:10,803 私の原点であり 文化がある場所だ 359 00:32:11,429 --> 00:32:16,809 ブラジルに住むことで 本当の自分らしくいられる 360 00:32:18,770 --> 00:32:21,314 それでブラジルに戻った 361 00:32:21,981 --> 00:32:24,943 我々はビーチに行って— 362 00:32:25,068 --> 00:32:28,738 まだとても小さかった息子と 海に入った 363 00:32:31,658 --> 00:32:34,160 私にとって重要なことだった 364 00:32:34,494 --> 00:32:37,497 子供には 海のしょっぱさや— 365 00:32:37,622 --> 00:32:40,500 アマゾンの美しさを 知ってほしい 366 00:32:41,751 --> 00:32:44,545 それが私の人生の— 367 00:32:45,004 --> 00:32:46,506 一部だからだ 368 00:32:53,888 --> 00:33:02,188 ブラジル アマゾナス州 バニワ族居住地区 369 00:33:11,197 --> 00:33:15,201 アマゾナスで最も重要な 食材はキャッサバだ 370 00:33:17,870 --> 00:33:21,791 “ユッカ”や“マニオク” とも呼ばれるが— 371 00:33:21,916 --> 00:33:24,877 同じ食材を指している 372 00:33:26,671 --> 00:33:32,385 裕福な家でも貧しい家でも 食べられているのは— 373 00:33:32,635 --> 00:33:35,722 キャッサバだけなんだ 374 00:33:36,806 --> 00:33:40,184 ブラジルでは キャッサバの皮をむき— 375 00:33:41,978 --> 00:33:42,729 すり下ろし… 376 00:33:45,732 --> 00:33:46,691 汁を搾る 377 00:33:48,067 --> 00:33:51,237 搾ると汁が出て— 378 00:33:51,404 --> 00:33:54,157 デンプン質が沈殿する 379 00:33:56,409 --> 00:33:59,912 先住民族はキャッサバの デンプンを— 380 00:34:00,204 --> 00:34:01,914 “タピオカ”と呼ぶ 381 00:34:02,915 --> 00:34:06,294 不思議だが ブラジルを含め世界中で— 382 00:34:08,129 --> 00:34:12,425 タピオカはアジアの 食材だと思われてる 383 00:34:14,761 --> 00:34:16,804 タピオカはブラジルのものだ 384 00:34:21,434 --> 00:34:22,435 <塩と一緒に> 385 00:34:23,269 --> 00:34:24,353 <塩に合うね> 386 00:34:25,063 --> 00:34:26,397 タピオカだけじゃない 387 00:34:26,939 --> 00:34:30,902 搾り汁は発酵して トゥクピーに— 388 00:34:31,110 --> 00:34:33,780 果肉はキャッサバ粉になる 389 00:34:34,530 --> 00:34:37,241 <しばらく炒って 水分を飛ばす> 390 00:34:37,784 --> 00:34:38,785 <いい感じだ> 391 00:34:39,452 --> 00:34:44,540 これら3つの加工品は 様々な料理に活用できる 392 00:34:52,715 --> 00:34:54,467 私には信念がある 393 00:34:54,592 --> 00:34:57,762 いろんなことに気を配り— 394 00:34:58,262 --> 00:35:01,099 偏見を持たずに人の話を聞く 395 00:35:01,265 --> 00:35:05,978 そうすれば自然や地元の人 先住民族から学べる 396 00:35:07,480 --> 00:35:09,982 それが私を突き動かすんだ 397 00:35:44,976 --> 00:35:49,522 ヨーロッパを離れ ブラジルに戻った私は— 398 00:35:50,106 --> 00:35:53,609 高級料理店の厨房で 働き始めた 399 00:35:53,734 --> 00:35:57,697 だがブラジルに限らず タトゥーは— 400 00:35:57,947 --> 00:35:59,532 印象が悪かった 401 00:35:59,699 --> 00:36:03,995 だからタトゥーを隠しながら 仕事をしたよ 402 00:36:06,038 --> 00:36:10,793 当時 ブラジルの 高級料理店と言えば— 403 00:36:10,918 --> 00:36:15,047 イタリアンと フレンチだけだった 404 00:36:15,214 --> 00:36:18,301 フレンチのシェフは まるで神のようで— 405 00:36:19,010 --> 00:36:22,889 誰もブラジル料理に 興味を持ってなかった 406 00:36:23,514 --> 00:36:26,893 ある種の劣等感があるからね 407 00:36:31,439 --> 00:36:36,235 私はパスタがメインの イタリア料理店から— 408 00:36:36,402 --> 00:36:38,404 仕事の誘いを受けた 409 00:36:41,157 --> 00:36:43,075 その店の料理は— 410 00:36:43,242 --> 00:36:47,413 本場の味とは まったく違っていた 411 00:36:48,915 --> 00:36:52,126 本物のイタリア料理とは ほど遠く— 412 00:36:52,501 --> 00:36:54,754 魂が込められてなかった 413 00:36:56,297 --> 00:37:00,384 4年後に私は フランス料理店に移った 414 00:37:03,221 --> 00:37:06,766 そこでシェフのエリック・ ジャカンに出会った 415 00:37:07,058 --> 00:37:13,439 ある日 我々は伝統的な フランス料理を作っていた 416 00:37:14,315 --> 00:37:16,776 エリックに呼ばれて こう言われた 417 00:37:16,943 --> 00:37:20,446 “お前は腕がいい 確かな味が出せる” 418 00:37:20,613 --> 00:37:23,824 “だが私ほどの フランス料理は作れない” 419 00:37:23,950 --> 00:37:27,119 彼は文化的背景のことを 言っていた 420 00:37:28,704 --> 00:37:31,040 私はショックを受けた 421 00:37:33,334 --> 00:37:35,002 落ち込んだよ 422 00:37:38,130 --> 00:37:41,092 家に帰って シャツを脱ぎ— 423 00:37:41,425 --> 00:37:43,094 鏡に向かって言った 424 00:37:43,552 --> 00:37:46,430 “自分はタトゥーのある よそ者” 425 00:37:47,014 --> 00:37:48,266 “ブラジル人なんだ” 426 00:37:49,892 --> 00:37:51,602 だが それが私だ 427 00:37:51,769 --> 00:37:56,315 人と違うなら 違うままでいたかった 428 00:37:56,857 --> 00:38:01,696 フランス人にしか フランス料理が作れないなら 429 00:38:01,821 --> 00:38:07,451 私は誰よりもおいしい ブラジル料理を作れる 430 00:38:11,289 --> 00:38:15,001 私は食材を変えることにした 431 00:38:15,209 --> 00:38:19,630 パッションフルーツを カレイに付け合わせた 432 00:38:19,755 --> 00:38:21,382 これが人気となった 433 00:38:22,133 --> 00:38:27,596 その時 私は自分の店を 開くことを決めた 434 00:38:27,847 --> 00:38:29,181 それが“ドン”だ 435 00:38:29,765 --> 00:38:34,103 私は心の底から作りたい ブラジル料理だけを— 436 00:38:34,812 --> 00:38:36,188 作ることにした 437 00:38:55,166 --> 00:38:59,879 ブラジル サンパウロ 〝ドン〞 438 00:39:00,004 --> 00:39:06,385 世界のベスト・ レストラン50 2015年 9位 439 00:39:07,887 --> 00:39:10,389 “ドン”を訪れる お客様には— 440 00:39:11,057 --> 00:39:14,060 ブラジルを堪能してもらう 441 00:39:18,814 --> 00:39:24,653 音楽も装飾も家具も 店にあるすべての物が— 442 00:39:25,112 --> 00:39:26,072 ブラジルだ 443 00:39:36,749 --> 00:39:40,086 <“ドン”のメニューが ブラジル料理の—> 444 00:39:40,211 --> 00:39:43,756 <世界へと いざなってくれる> 445 00:39:44,590 --> 00:39:46,300 <店を訪れる人は—> 446 00:39:46,550 --> 00:39:49,762 <先入観を 捨てなければならない> 447 00:39:49,929 --> 00:39:53,432 <ブラジルの食材は ごちそうなんだ> 448 00:39:54,600 --> 00:39:57,853 “ドン”の 開店初日以来ずっと— 449 00:39:57,978 --> 00:40:02,775 ランチのおすすめメニューは 労働者の食事だ 450 00:40:04,151 --> 00:40:06,445 <彼は これまでの概念を—> 451 00:40:06,570 --> 00:40:09,532 <見事に壊してくれた> 452 00:40:09,657 --> 00:40:12,952 <上流階級が 豆や米を食べるとはね> 453 00:40:13,077 --> 00:40:16,831 <料理が とても洗練されているから> 454 00:40:16,956 --> 00:40:19,792 <抵抗なく食べられるんだ> 455 00:40:19,959 --> 00:40:22,294 <堂々とおいしいと言える> 456 00:40:25,297 --> 00:40:29,135 高級な食材を 使う必要なんてない 457 00:40:29,802 --> 00:40:33,139 シェフの手で生み出すもの 458 00:40:33,806 --> 00:40:34,974 それが高級感だ 459 00:40:35,391 --> 00:40:41,147 人間は物事を感情に 変える能力を持っている 460 00:40:43,482 --> 00:40:46,485 <驚きや 挑発 破壊がある> 461 00:40:46,735 --> 00:40:48,821 <伝統的な店にある—> 462 00:40:49,155 --> 00:40:54,326 <安心感は 彼の店にはないだろうね> 463 00:40:55,161 --> 00:40:58,414 私はお客様に挑戦したいんだ 464 00:41:00,082 --> 00:41:02,668 彼らを戸惑わせたい 465 00:41:04,336 --> 00:41:09,175 料理を見ればこう思う “これは おいしいのか?” 466 00:41:12,636 --> 00:41:14,972 <不思議な感覚が—> 467 00:41:15,473 --> 00:41:20,603 <ブラジル料理の概念を 覆してくれる> 468 00:41:21,353 --> 00:41:25,107 今まで経験したことのない 味だよ 469 00:41:26,317 --> 00:41:30,654 おいしいだけじゃなく そこには驚きがある 470 00:41:47,505 --> 00:41:50,966 若いシェフが ブラジルの食材を使い— 471 00:41:51,091 --> 00:41:54,220 ブラジル料理を 提供する店を開いた 472 00:41:54,345 --> 00:41:57,765 “どうかしてる”と 皆 思ってたよ 473 00:41:59,016 --> 00:42:01,560 最初は苦労が多かった 474 00:42:03,062 --> 00:42:04,730 開店1年目は— 475 00:42:05,564 --> 00:42:09,109 誰一人として“ドン”に 来なかった 476 00:42:11,654 --> 00:42:14,240 人々はブラジル料理を バカにしてた 477 00:42:16,575 --> 00:42:18,577 あの時期はキツかったよ 478 00:42:20,079 --> 00:42:22,081 だが信念を捨てなかった 479 00:42:23,415 --> 00:42:28,879 私は2005年にスペインの マドリードで開催された— 480 00:42:29,004 --> 00:42:31,632 料理学会に参加した 481 00:42:35,344 --> 00:42:39,640 料理学会はシェフにとって とても重要で— 482 00:42:39,765 --> 00:42:42,810 料理界の大物たちも 参加するんだ 483 00:42:43,352 --> 00:42:49,024 ブラジル料理を作るシェフが どんなメッセージを— 484 00:42:49,316 --> 00:42:53,028 ヨーロッパに発信すればいいか 私は考えた 485 00:42:56,031 --> 00:42:57,491 “アマゾナス特有の—” 486 00:42:58,284 --> 00:43:00,494 “食材は何だろうか” 487 00:43:01,287 --> 00:43:03,622 私はアマゾンの— 488 00:43:04,331 --> 00:43:07,918 テロワールを 紹介しようと決めた 489 00:43:09,003 --> 00:43:13,382 椰子の新芽は皆 知ってるが それは缶詰だ 490 00:43:13,716 --> 00:43:18,137 生の椰子の新芽は ヨーロッパにはなかった 491 00:43:19,096 --> 00:43:23,350 私は壇上で 椰子をナイフで処理し— 492 00:43:23,684 --> 00:43:26,478 美しく白い新芽を見せた 493 00:43:27,479 --> 00:43:31,442 ブラジルにしかない物だと 伝えたんだ 494 00:43:31,775 --> 00:43:33,569 皆 魅了されてたよ 495 00:43:33,986 --> 00:43:36,822 フェラン・アドリアが 舞台に上がってきた 496 00:43:37,406 --> 00:43:41,327 フェラン・アドリアは 最も影響力のあるシェフだ 497 00:43:41,660 --> 00:43:44,413 彼が認めれば— 498 00:43:44,747 --> 00:43:47,833 全世界も彼に賛同するよ 499 00:43:48,125 --> 00:43:50,169 それが まさに起こった 500 00:43:50,669 --> 00:43:53,964 伝説のシェフが 舞台で私を見ていた 501 00:43:54,256 --> 00:43:55,883 誇らしかったよ 502 00:43:56,300 --> 00:43:59,345 あれが私の人生の ターニングポイントだ 503 00:44:01,305 --> 00:44:05,643 発酵椰子の芽と スピルリナ バニワ族の唐辛子がけ 504 00:44:06,310 --> 00:44:09,688 <その瞬間から アレックスの名は—> 505 00:44:09,855 --> 00:44:11,899 <世界に知れ渡った> 506 00:44:12,066 --> 00:44:14,777 〝「タイム」 料理の神たち〞 507 00:44:14,777 --> 00:44:18,530 〝「タイム」 料理の神たち〞 508 00:44:14,777 --> 00:44:18,530 <彼のお陰でブラジル人は 自信を持てた> 509 00:44:18,530 --> 00:44:19,198 〝「タイム」 料理の神たち〞 510 00:44:19,448 --> 00:44:23,202 ブラジル人であることを 恥じて故郷を離れ— 511 00:44:23,327 --> 00:44:29,541 戻った時には想像以上に ブラジル人になっていた 512 00:44:29,750 --> 00:44:31,543 ブラジル人労働者の 食事 513 00:44:31,543 --> 00:44:33,253 ブラジル人労働者の 食事 514 00:44:31,543 --> 00:44:33,253 アレックスは ブラジル人の誇りだよ 515 00:44:33,253 --> 00:44:35,089 アレックスは ブラジル人の誇りだよ 516 00:44:35,714 --> 00:44:40,386 彼は威厳を持って 妥協することなく— 517 00:44:40,552 --> 00:44:43,055 ブラジル料理の レベルを上げた 518 00:44:49,603 --> 00:44:51,855 <彼は今や—> 519 00:44:52,231 --> 00:44:56,235 <農家や土地所有者 職人の代弁者だ> 520 00:44:57,027 --> 00:45:01,407 黒米 緑黄野菜と ブラジルナッツミルク 521 00:45:02,491 --> 00:45:05,911 <彼が政治的な発言を するのは—> 522 00:45:06,078 --> 00:45:09,415 <より良い フードチェーンのためだ> 523 00:45:10,499 --> 00:45:13,502 花のセビチェ ブラジル産蜂蜜がけ 524 00:45:15,921 --> 00:45:21,260 食材の理解を深めるために 森や海へ行く必要が— 525 00:45:21,468 --> 00:45:23,762 あるわけではない 526 00:45:25,097 --> 00:45:28,308 私がそうしているだけだ 527 00:45:33,605 --> 00:45:36,442 アマゾンのアリ 528 00:45:37,276 --> 00:45:40,612 お陰でフードチェーンの 理解につながった 529 00:45:46,618 --> 00:45:49,121 それは厨房の中だけじゃない 530 00:45:51,498 --> 00:45:55,127 食材がどこでどのように 生産されるかだ 531 00:45:57,129 --> 00:45:58,505 輪のようにつながる 532 00:45:59,590 --> 00:46:05,053 ピラルクー キャッサバ粉と トゥクピー タピオカ添え 533 00:46:14,396 --> 00:46:20,652 若い頃は自分自身だけを 理解しようとしていた 534 00:46:21,987 --> 00:46:23,780 だが何かを探していた 535 00:46:25,824 --> 00:46:28,494 今 47才になってみて— 536 00:46:28,911 --> 00:46:31,330 まだ同じものを探してる 537 00:46:32,372 --> 00:46:34,917 私は自分の持つエネルギーに 538 00:46:35,083 --> 00:46:38,921 集中しようと努力している 539 00:46:39,838 --> 00:46:43,592 感情や感覚 そして怒りにね 540 00:46:44,676 --> 00:46:47,888 ブラジルという国に— 541 00:46:48,263 --> 00:46:50,974 ブラジル料理の可能性を 示したい 542 00:46:51,683 --> 00:46:55,854 世界にブラジル人の魂を 示したい 543 00:47:02,903 --> 00:47:04,279 私は信じてる 544 00:47:05,030 --> 00:47:08,492 対話し 学び 偏見を捨てること 545 00:47:08,951 --> 00:47:10,369 それが— 546 00:47:11,036 --> 00:47:12,329 カギになるとね 547 00:47:17,042 --> 00:47:20,379 パンクロックに 夢中だった頃— 548 00:47:20,546 --> 00:47:26,009 ペンやスプレーを持ち歩き よく落書きをしていた 549 00:47:32,891 --> 00:47:38,397 イカれたパンクロッカーの 絵を描くのが好きだった 550 00:47:41,483 --> 00:47:44,069 とても怒った男の顔だ 551 00:47:46,071 --> 00:47:52,035 それから何年も後になって 最初の料理本を書いた時— 552 00:47:52,202 --> 00:47:56,957 パンクロッカーが シェフになったと気付いた 553 00:48:00,419 --> 00:48:01,587 これも人生 554 00:48:02,087 --> 00:48:03,922 また絵を描いた 555 00:48:04,423 --> 00:48:07,175 だが あの頃とは違って— 556 00:48:07,342 --> 00:48:11,013 笑ったシェフの顔を加えた 557 00:48:15,100 --> 00:48:16,435 人生はめぐる 558 00:48:21,940 --> 00:48:23,775 これが私の人生だ