1 00:00:12,145 --> 00:00:14,547 私は1歳半で養子になった 2 00:00:17,183 --> 00:00:20,587 その夫婦には 息子がいたけど— 3 00:00:20,720 --> 00:00:25,458 次に女の子が欲しくて 施設を訪ねたの 4 00:00:25,625 --> 00:00:30,730 気が付くと彼らの息子が 私を抱きしめていた 5 00:00:31,031 --> 00:00:35,602 その瞬間に私を引き取ると 決めたそうよ 6 00:00:36,469 --> 00:00:41,141 1966年7月 ジャン=クリストフと ドミニク 7 00:00:41,141 --> 00:00:42,108 1966年7月 ジャン=クリストフと ドミニク 子供の頃はそばに感じる 愛をつかみたいし— 8 00:00:42,108 --> 00:00:45,712 子供の頃はそばに感じる 愛をつかみたいし— 9 00:00:45,812 --> 00:00:47,280 つかんだら 離したくないと思うわ 10 00:00:47,280 --> 00:00:49,315 つかんだら 離したくないと思うわ 1966年10月4日 洗礼式 11 00:00:49,315 --> 00:00:49,416 1966年10月4日 洗礼式 12 00:00:49,416 --> 00:00:51,084 1966年10月4日 洗礼式 だから親との時間は— 13 00:00:51,484 --> 00:00:53,319 とても貴重なの 14 00:00:57,757 --> 00:00:59,659 私という人間が— 15 00:01:00,260 --> 00:01:03,630 形成される中で 記憶は重要に思える 16 00:01:04,798 --> 00:01:09,269 内なる自分を知るための 手段となるからよ 17 00:01:17,477 --> 00:01:22,248 NETFLIX オリジナルドキュメンタリー 18 00:02:05,425 --> 00:02:08,528 シェフのテーブル 19 00:02:14,367 --> 00:02:18,271 カリフォルニア州 サンフランシスコ 20 00:02:23,776 --> 00:02:25,845 “アトリエ・クレン” ミシュラン二つ星 21 00:02:26,179 --> 00:02:28,548 ジェームス・ビアード賞 セミファイナリスト2回 22 00:02:33,486 --> 00:02:34,554 3年前のドミニクは まったくの無名 23 00:02:34,554 --> 00:02:37,323 3年前のドミニクは まったくの無名 ジェームス・ビアード賞 2回受賞 シェフ ナンシー・シルバートン 24 00:02:38,258 --> 00:02:41,227 でも瞬く間に トップに上りつめたわ 25 00:02:44,864 --> 00:02:49,836 アメリカでは女性で初めて ミシュラン二つ星を獲得した 26 00:02:53,473 --> 00:02:56,242 初めて ドミニクと会った時— 27 00:02:56,342 --> 00:02:58,912 彼女は “シェフ”そのものだった 28 00:03:02,515 --> 00:03:06,719 長身の彼女は 落ち着いていて知的で— 29 00:03:06,819 --> 00:03:09,622 才能に満ちあふれていた 30 00:03:17,830 --> 00:03:21,901 <偉大なシェフには 必ず才能がある> フードジャーナリスト 「モノクル」寄稿者 31 00:03:29,909 --> 00:03:33,780 <彼女の料理は 見た目が美しく—> 32 00:03:36,482 --> 00:03:38,251 <感情が込められてる> 33 00:03:45,425 --> 00:03:50,296 ドミニクは料理を語る時 “個人的に”とよく言うの 34 00:03:54,467 --> 00:03:57,503 彼女の記憶や 考え方 そして— ドミニクの書籍 共著者 35 00:03:57,503 --> 00:03:57,637 ドミニクの書籍 共著者 36 00:03:57,637 --> 00:04:01,975 ドミニクの書籍 共著者 感情を表現する時に その言葉を使う 37 00:04:02,475 --> 00:04:09,282 なぜなら記憶や感情が 彼女の核となっているからよ 38 00:04:10,350 --> 00:04:13,253 私がこの仕事をする理由は— 39 00:04:14,254 --> 00:04:18,524 おいしい料理で 話題になるためじゃない 40 00:04:20,460 --> 00:04:25,798 料理で人と つながるためなのかもね 41 00:04:28,468 --> 00:04:31,704 “アトリエ・クレン”の メニューは— 42 00:04:31,838 --> 00:04:33,840 まるでポエムのようなの 43 00:04:34,507 --> 00:04:37,310 始めから終わりまで— 44 00:04:37,410 --> 00:04:41,447 芸術的かつ物語的な感じで 書かれてる 45 00:04:41,748 --> 00:04:44,717 1行が1皿に当たるけど— 46 00:04:44,851 --> 00:04:47,854 内容を率直に述べていない 47 00:04:51,491 --> 00:04:54,827 夏が涼やかな風と共に 訪れた 48 00:04:54,894 --> 00:04:57,463 お客様にお出しするのは 物語 49 00:04:58,398 --> 00:04:59,932 そして私の魂 50 00:05:01,067 --> 00:05:06,339 そして会話よ それを感じて返事してほしい 51 00:05:09,042 --> 00:05:11,744 塩味のする水に触れ… 52 00:05:11,944 --> 00:05:15,014 私は人々の 内に秘めた記憶を— 53 00:05:15,982 --> 00:05:17,884 引き出そうとしてるの 54 00:05:18,885 --> 00:05:21,654 貝殻を耳に当てる 55 00:05:24,624 --> 00:05:29,395 それができた時に 正しいことをしたと思える 56 00:05:30,029 --> 00:05:34,500 大きくて繊細な波が打ち寄せた 57 00:05:38,738 --> 00:05:41,874 私は知らない人に興味がある 58 00:05:43,009 --> 00:05:45,545 彼らの人生に窓を作りたい 59 00:05:46,979 --> 00:05:49,882 知らない人が私を引き取った 60 00:05:50,850 --> 00:05:53,119 そして私に— 61 00:05:53,419 --> 00:05:58,057 引き取られなかった時とは 違う人生をくれた 62 00:05:59,659 --> 00:06:03,396 私が欲しいのは 人とつながる瞬間よ 63 00:06:05,064 --> 00:06:06,766 そしてそれは— 64 00:06:07,467 --> 00:06:09,535 とても大事な瞬間なの 65 00:06:14,741 --> 00:06:16,809 店は私の家よ 66 00:06:17,744 --> 00:06:19,679 もし家に来たいなら— 67 00:06:22,381 --> 00:06:24,717 私に話しかけさせて 68 00:06:29,689 --> 00:06:32,091 みんな 15分で用意できる? 69 00:06:32,425 --> 00:06:33,092 ええ シェフ 70 00:06:33,392 --> 00:06:35,428 15分後にトマトを 71 00:06:38,431 --> 00:06:39,832 パンはどう? 72 00:06:40,566 --> 00:06:41,701 生地があと1分 73 00:06:41,801 --> 00:06:44,070 そう 遅れないようにお願い 74 00:06:44,170 --> 00:06:44,837 はい 75 00:06:44,937 --> 00:06:45,772 よろしく 76 00:06:46,405 --> 00:06:48,708 ドミニクには二面性がある 77 00:06:48,808 --> 00:06:54,013 プロフェッショナルで真面目 才能豊かな一面 78 00:06:54,113 --> 00:06:57,984 それから気まぐれで— 79 00:06:58,651 --> 00:07:02,622 官能的で自由奔放な一面よ 80 00:07:09,695 --> 00:07:11,998 私はドミニクと名付けられた 81 00:07:12,131 --> 00:07:14,867 “ドミニク”っていう歌もある 82 00:07:15,601 --> 00:07:16,903 1966年2月 83 00:07:17,003 --> 00:07:19,005 1966年7月 15ヵ月 84 00:07:19,138 --> 00:07:20,873 1966年8月 ロスピコにて 85 00:07:20,973 --> 00:07:23,776 生後すぐから 1歳半まで— 1966年11月 86 00:07:23,876 --> 00:07:26,446 どう過ごしたか知りたかった 87 00:07:26,679 --> 00:07:29,148 それで母に聞いてみたら— 88 00:07:29,482 --> 00:07:33,886 “その頃のことは よく知らないけど—” 89 00:07:33,986 --> 00:07:38,057 “施設でのあだ名は ニコニコマークだった”と 90 00:07:40,059 --> 00:07:44,764 いつもニコニコした 明るい女の子だったそうよ 91 00:07:45,631 --> 00:07:47,166 1969年12月 92 00:07:47,500 --> 00:07:49,035 1970年8月 93 00:07:49,168 --> 00:07:50,870 1970年6月 94 00:07:50,970 --> 00:07:53,639 私は外が好きで— 1969年7月 95 00:07:53,739 --> 00:07:55,041 泥遊びばかりする おてんば娘だった 96 00:07:55,041 --> 00:07:56,776 泥遊びばかりする おてんば娘だった 1971年8月 97 00:07:56,776 --> 00:07:56,909 1971年8月 98 00:07:56,909 --> 00:07:57,643 1971年8月 私が初めて男の子を 殴ったのは— 99 00:07:57,643 --> 00:08:00,480 私が初めて男の子を 殴ったのは— 100 00:08:02,515 --> 00:08:06,018 その子が兄を 叩こうとしたからよ 101 00:08:07,487 --> 00:08:10,923 私は父に叱られると 思ったけど— 102 00:08:11,057 --> 00:08:13,259 父は“よくやった”と 103 00:08:15,828 --> 00:08:20,132 なぜ店に自分の名前を 付けたのか聞いたら 104 00:08:20,233 --> 00:08:23,936 “私じゃなく父の名前よ”と 言われた 105 00:08:24,036 --> 00:08:24,504 〝アトリエ・クレン〞 106 00:08:24,504 --> 00:08:26,639 〝アトリエ・クレン〞 107 00:08:24,504 --> 00:08:26,639 入り口に父の名を掲げた 108 00:08:26,639 --> 00:08:27,673 〝アトリエ・クレン〞 109 00:08:27,807 --> 00:08:30,843 もちろん 私の苗字でもあるけど— 110 00:08:32,044 --> 00:08:34,046 あれは父の名前なの 111 00:08:34,146 --> 00:08:37,049 すべて父のお陰だから 112 00:08:38,017 --> 00:08:41,087 父の名は アラン・マリー・クレン 113 00:08:41,687 --> 00:08:44,023 とても聡明で機知に富み 思いやりがあった 114 00:08:44,023 --> 00:08:45,291 とても聡明で機知に富み 思いやりがあった 1969年3月 115 00:08:45,291 --> 00:08:46,192 1969年3月 116 00:08:46,192 --> 00:08:47,593 1969年3月 彼女の父親は— 117 00:08:47,693 --> 00:08:50,930 ブルターニュ地方の 政治家だった 118 00:08:51,030 --> 00:08:55,535 そして政治家でありながら 画家でもあった 119 00:08:55,635 --> 00:08:57,169 彼女の芸術的才能は 父親が伸ばしたと思うわ 120 00:08:57,169 --> 00:09:00,873 彼女の芸術的才能は 父親が伸ばしたと思うわ 1971年5月 121 00:09:00,873 --> 00:09:03,242 1971年5月 122 00:09:03,242 --> 00:09:04,710 1971年5月 9歳の時 父と レストランに行った 123 00:09:04,710 --> 00:09:06,946 9歳の時 父と レストランに行った 124 00:09:07,246 --> 00:09:10,149 ミシュランの 星を獲った店だった 125 00:09:16,055 --> 00:09:19,592 私は店のすべてに魅了された 126 00:09:19,792 --> 00:09:23,596 人々の動きや 話の仕方にまで 127 00:09:24,564 --> 00:09:28,100 ささいなところに 優雅さがあった 128 00:09:28,267 --> 00:09:29,735 そして私は… 129 00:09:31,304 --> 00:09:34,040 “シェフになりたい”と 言ったの 130 00:09:34,140 --> 00:09:38,911 母はこう答えたわ “もちろん なれるわ” 131 00:09:40,146 --> 00:09:44,717 カリフォルニア州 ヨントヴィル 132 00:09:44,817 --> 00:09:48,821 イチジク以外にも 面白い物があるんだ 133 00:09:48,921 --> 00:09:49,755 見せて 134 00:09:50,089 --> 00:09:51,757 根っこなんだ 135 00:09:51,891 --> 00:09:53,826 これなんだけど— 136 00:09:54,126 --> 00:09:56,095 面白い香りがする 果樹園オーナー ピーター・ ジェイコブセン 137 00:09:56,095 --> 00:09:56,195 果樹園オーナー ピーター・ ジェイコブセン 138 00:09:56,195 --> 00:09:59,031 果樹園オーナー ピーター・ ジェイコブセン 味はさらに 変わってるがね 139 00:09:59,198 --> 00:09:59,966 何なの? 140 00:10:00,066 --> 00:10:01,300 アンゼリカだよ 141 00:10:01,701 --> 00:10:02,868 そうなの? 142 00:10:03,135 --> 00:10:05,638 ヨーロッパではよく見るわ 143 00:10:05,771 --> 00:10:07,940 こっちでは砂糖漬けにする 144 00:10:08,040 --> 00:10:10,176 これはよく知ってるよね 145 00:10:10,276 --> 00:10:11,777 チョコレートミントね 146 00:10:12,311 --> 00:10:14,180 これ 大好きなの 147 00:10:14,280 --> 00:10:15,648 嗅(か)いでみて 148 00:10:15,982 --> 00:10:19,885 <ドミニクは食材に とても気を使う> 149 00:10:19,986 --> 00:10:23,789 <彼女は いつもこう言うわ> 150 00:10:23,923 --> 00:10:26,058 <“ロックスターは—”> 151 00:10:26,158 --> 00:10:29,362 <“シェフではなく 食材の生産者だ”と> 152 00:10:29,662 --> 00:10:33,366 この小さいヤツも面白くて 食感がいい 153 00:10:35,701 --> 00:10:37,803 ドレッシングによるかもね 154 00:10:37,937 --> 00:10:42,341 カキの料理に 使ったらいいかもしれない 155 00:10:42,908 --> 00:10:45,978 これはカキに合うと思うわ 156 00:10:49,115 --> 00:10:49,849 大丈夫? 157 00:10:49,949 --> 00:10:50,950 ああ 心配ない 158 00:10:51,250 --> 00:10:55,187 甘いグミみたいなイチジクを 探してる 159 00:10:55,354 --> 00:10:57,757 まるで木登りする子供ね 160 00:10:57,857 --> 00:11:00,926 木には しょっちゅう登ってる 161 00:11:02,228 --> 00:11:04,030 まだ熟してないな 162 00:11:04,130 --> 00:11:06,966 白い汁は熟してない証拠だ 163 00:11:07,700 --> 00:11:09,669 この汁のことね? 164 00:11:09,769 --> 00:11:12,705 汁の出る未熟な イチジクを— 165 00:11:12,872 --> 00:11:14,974 食べてる人は多いんだ 166 00:11:18,344 --> 00:11:19,245 それじゃ— 167 00:11:20,846 --> 00:11:23,082 こっちのを食べてみて 168 00:11:30,890 --> 00:11:35,861 子供の頃の記憶を辿ると 自然が喜ぶ 169 00:11:37,730 --> 00:11:40,900 食べた物の記憶は ずっと残ってる 170 00:11:42,735 --> 00:11:45,204 私の場合はトマトよ 171 00:11:46,205 --> 00:11:50,142 確か3歳か 4歳の頃だったと思う 172 00:11:54,213 --> 00:11:57,983 庭にあったトマトを 口に入れてみたら— 173 00:11:58,150 --> 00:12:01,020 柔らかくて みずみずしかった 174 00:12:01,120 --> 00:12:05,124 食べるのを やめられなくなったわ 175 00:12:08,294 --> 00:12:09,895 そのトマトはない 176 00:12:10,763 --> 00:12:14,834 でも その思い出や経験は ずっと残ってる 177 00:12:17,336 --> 00:12:20,906 ドミニクは料理の インスピレーションを— 178 00:12:21,006 --> 00:12:24,310 ブルターニュでの 子供時代の記憶と— 179 00:12:24,443 --> 00:12:29,982 ここ カリフォルニアでの 現在の生活から得てるわ 180 00:12:31,016 --> 00:12:34,320 カリフォルニア州 ハーフムーンベイ 181 00:12:35,354 --> 00:12:36,789 こんにちは! 182 00:12:41,327 --> 00:12:42,228 元気? 183 00:12:42,862 --> 00:12:44,029 何が獲れたの? 184 00:12:44,196 --> 00:12:45,297 スポットエビだ 185 00:12:45,931 --> 00:12:47,199 とてもきれいね 186 00:12:47,333 --> 00:12:48,167 獲れたてだ 187 00:12:48,767 --> 00:12:52,204 エビさんに言ってあげたいわ 188 00:12:52,304 --> 00:12:53,772 見事なエビだわ 189 00:12:54,173 --> 00:12:58,811 故郷のブルターニュでは ラングスティーヌが獲れた 190 00:12:58,911 --> 00:13:03,182 だからスポットエビは こっちで初めて見たわ 191 00:13:08,821 --> 00:13:13,125 みんな エビに 火を通しすぎてると思うわ 192 00:13:13,225 --> 00:13:15,194 あれじゃエビが台無しよ 193 00:13:18,797 --> 00:13:19,832 見て 194 00:13:20,299 --> 00:13:24,136 身が詰まってて 色もきれいだわ 195 00:13:30,910 --> 00:13:31,911 甘くて… 196 00:13:33,546 --> 00:13:34,980 少ししょっぱい 197 00:13:35,881 --> 00:13:37,516 身がしまってる 198 00:13:38,017 --> 00:13:38,517 おいしい 199 00:13:38,851 --> 00:13:39,485 甘いよ 200 00:13:40,486 --> 00:13:42,254 <シーフードを使うのは—> 201 00:13:42,855 --> 00:13:45,858 <ブルターニュで 育ったからよ> 202 00:13:45,958 --> 00:13:50,329 <でもフランスもアメリカも 彼女の国ではない> 203 00:13:50,496 --> 00:13:53,399 <サンフランシスコが 彼女の国よ> 204 00:14:01,106 --> 00:14:05,311 90年代にサンフランシスコに 来た時 感じたの 205 00:14:05,411 --> 00:14:06,612 “故郷だ”って 206 00:14:07,613 --> 00:14:09,148 海がとても近い 207 00:14:09,848 --> 00:14:12,418 初めて海岸へ行った時— 208 00:14:13,018 --> 00:14:16,021 まるでブルターニュのように 思えた 209 00:14:19,291 --> 00:14:22,561 若い頃は世界中を 旅したかった 210 00:14:23,028 --> 00:14:27,900 それは父が私たちの目を 世界に向けてくれ— 211 00:14:28,033 --> 00:14:31,604 いろんな物があると 教えてくれたから 212 00:14:35,507 --> 00:14:38,577 当時は多くの人が 答えを探しに来てた 213 00:14:40,246 --> 00:14:42,581 芸術家もたくさんいたわ 214 00:14:43,916 --> 00:14:47,319 ここは安心して 自分が自分らしく— 215 00:14:47,453 --> 00:14:49,188 いられる場所だった 216 00:14:50,322 --> 00:14:51,991 だから私も来たの 217 00:14:53,292 --> 00:14:58,063 他人に とやかく言われずに ありのままで— 218 00:14:58,197 --> 00:15:00,933 自分らしくいたかった 219 00:15:01,133 --> 00:15:02,501 ここではそうできる 220 00:15:07,940 --> 00:15:11,477 私を助けてくれる人のために 働きたかった 221 00:15:12,211 --> 00:15:15,347 そんな時 ジェレミア・ タワーのことを知った 222 00:15:15,347 --> 00:15:16,215 そんな時 ジェレミア・ タワーのことを知った 〝草分けのシェフたち〞 223 00:15:16,215 --> 00:15:17,082 〝草分けのシェフたち〞 224 00:15:17,082 --> 00:15:19,952 〝草分けのシェフたち〞 彼は新しい店を 開いたばかりで— 225 00:15:19,952 --> 00:15:20,286 彼は新しい店を 開いたばかりで— 226 00:15:20,386 --> 00:15:23,088 ちょうど人を探していた 227 00:15:24,556 --> 00:15:28,093 ハンサムで背が高くて 優しい人だった 228 00:15:28,494 --> 00:15:33,632 私がこう言っているのを 聞いたら彼は喜ぶはず 229 00:15:35,367 --> 00:15:37,569 絶対に彼と働きたかった 230 00:15:38,103 --> 00:15:41,507 直接 店に行って 頼み込んだら— 231 00:15:41,640 --> 00:15:42,942 採用された 232 00:15:43,509 --> 00:15:48,948 ドミニクはジェレミアの店 “スターズ”で働き始めた 233 00:15:51,417 --> 00:15:54,353 彼女はアメリカに 来たばかりで— 234 00:15:54,486 --> 00:15:59,425 料理学校に通っておらず 料理の仕事も未経験だった 235 00:15:59,992 --> 00:16:04,396 それなのに有名シェフの店に 飛び込むなんて— 236 00:16:04,530 --> 00:16:07,366 度胸のよさには感心するわ 237 00:16:07,466 --> 00:16:08,567 〝ジェレミア・タワー スターズの立役者〞 238 00:16:08,567 --> 00:16:11,537 〝ジェレミア・タワー スターズの立役者〞 239 00:16:08,567 --> 00:16:11,537 ジェレミアのやり方は こうだった 240 00:16:12,371 --> 00:16:14,173 スーシェフが指示するの 241 00:16:18,277 --> 00:16:21,013 “今日 君が 担当する料理はこれ” 242 00:16:22,014 --> 00:16:26,518 “スープ サラダ それとフライを2種類” 243 00:16:26,618 --> 00:16:29,021 “この材料で作って” 244 00:16:30,456 --> 00:16:31,690 “レシピはない” 245 00:16:32,224 --> 00:16:35,094 “今日の 予約人数は600人だ” 246 00:16:37,629 --> 00:16:39,264 私はとても驚いた 247 00:16:40,666 --> 00:16:45,237 “私なんかにスープを 作らせてくれるの?” 248 00:16:45,337 --> 00:16:49,441 私は味見と味付けを 繰り返しながら— 249 00:16:49,708 --> 00:16:53,746 店の求めるスープを 必死で作ったわ 250 00:16:55,581 --> 00:16:58,384 味見したシェフは “おいしい”と 251 00:16:58,584 --> 00:17:01,453 私は とてもうれしかった 252 00:17:06,025 --> 00:17:09,728 ジェレミアの店では それぞれの料理人が— 253 00:17:10,062 --> 00:17:14,066 担当する料理を 一人で作れるように— 254 00:17:14,566 --> 00:17:16,068 責任を持たせた 255 00:17:16,168 --> 00:17:17,136 お疲れさま 256 00:17:17,503 --> 00:17:18,170 どうも 257 00:17:18,270 --> 00:17:18,804 調子は? 258 00:17:19,104 --> 00:17:19,605 いいです 259 00:17:20,372 --> 00:17:21,306 そっちはどう? 260 00:17:24,209 --> 00:17:28,480 そうすることで 料理人としての腕が上がり 261 00:17:28,614 --> 00:17:32,084 同時にチームのレベルも 上がるの 262 00:17:32,584 --> 00:17:36,655 肝心なのは 自分じゃなくてチームよ 263 00:17:37,756 --> 00:17:40,292 今夜はペースが分かれるわ 264 00:17:41,760 --> 00:17:46,498 夕方5時から6時の間は わりと— 265 00:17:47,332 --> 00:17:49,301 ゆったりしてるけど 266 00:17:49,601 --> 00:17:50,602 8時からは— 267 00:17:51,236 --> 00:17:53,839 走り回ることになるわ 268 00:17:54,139 --> 00:17:55,340 よろしくね 269 00:17:57,109 --> 00:18:01,513 これまでもスタッフには 恵まれてたけど— 270 00:18:01,847 --> 00:18:03,382 今のスタッフは最高 271 00:18:04,183 --> 00:18:05,250 断言できる 272 00:18:05,451 --> 00:18:10,322 洗い場の担当から接客担当 厨房の中まで— 273 00:18:10,656 --> 00:18:12,591 全員が素晴らしいの 274 00:18:17,529 --> 00:18:20,099 みんなには頭が下がるわ 275 00:18:20,199 --> 00:18:22,734 あのパート・ド・フリュイ よかったわ 276 00:18:23,135 --> 00:18:25,404 パイナップルにレモングラス バニラ 277 00:18:25,504 --> 00:18:27,239 おいしかったわ 278 00:18:27,339 --> 00:18:28,140 よかったです 279 00:18:28,240 --> 00:18:29,141 本当よ 280 00:18:29,741 --> 00:18:31,643 まだ残ってる? 食べたいわ 281 00:18:32,177 --> 00:18:34,680 パティシエのフアンには— 282 00:18:34,780 --> 00:18:37,282 いつもいい刺激をもらってる 283 00:18:37,883 --> 00:18:41,687 彼からは もっと色々 教わりたい 284 00:18:42,621 --> 00:18:43,555 シェフのクレンは 自分を自由に— 285 00:18:43,555 --> 00:18:46,625 シェフのクレンは 自分を自由に— 〝アトリエ・クレン〞 パティシエ フアン・コントレラス 286 00:18:46,625 --> 00:18:46,725 〝アトリエ・クレン〞 パティシエ フアン・コントレラス 287 00:18:46,725 --> 00:18:48,660 〝アトリエ・クレン〞 パティシエ フアン・コントレラス 表現させてくれる 288 00:18:50,863 --> 00:18:52,731 何の制約もないんだ 289 00:18:56,235 --> 00:18:58,437 彼とは2006年から一緒で— 290 00:18:58,670 --> 00:19:04,143 活躍の場を与えれば 成功すると分かってた 291 00:19:06,745 --> 00:19:09,481 彼を見ていると 楽しくなるわ 292 00:19:12,417 --> 00:19:15,721 森の奥へ入って行く 293 00:19:17,156 --> 00:19:21,927 地球が与えてくれる物が あるかもしれないから 294 00:19:24,863 --> 00:19:28,767 幼かった頃 父と森の中を歩いた 295 00:19:36,608 --> 00:19:40,212 父は木の棒を持っていて— 296 00:19:40,345 --> 00:19:45,551 道にある木の葉や土を それでよけながら歩いてた 297 00:19:47,352 --> 00:19:51,223 父はキノコや ブラックベリーを摘み— 298 00:19:51,390 --> 00:19:53,358 家に持ち帰った 299 00:19:55,227 --> 00:19:59,498 私たちが 歩いていた場所では— 300 00:20:01,200 --> 00:20:03,769 命の息吹を感じられた 301 00:20:05,671 --> 00:20:07,639 甘さや苦さ 302 00:20:08,507 --> 00:20:11,276 湿り気や暗さをね 303 00:20:13,912 --> 00:20:17,382 森へ行くと父は 私と兄に— 304 00:20:17,649 --> 00:20:19,918 命の話をしてくれた 305 00:20:32,931 --> 00:20:35,534 あれは1999年のことだった 306 00:20:36,235 --> 00:20:38,237 父が— 307 00:20:39,471 --> 00:20:41,840 前立腺ガンになった 308 00:20:41,940 --> 00:20:45,811 母に電話して 父と話したいと言った 309 00:20:46,378 --> 00:20:49,648 すると母はこう言ったの 310 00:20:51,016 --> 00:20:54,419 “パパは何も 話したくないと言ってる” 311 00:20:55,020 --> 00:20:56,555 仕方なく— 312 00:20:56,688 --> 00:21:01,426 電話に出た父が言ったのは “愛してる”のひと言だけ 313 00:21:11,937 --> 00:21:15,507 そして その翌週の水曜日 314 00:21:15,674 --> 00:21:18,844 午後4時頃のことだった 315 00:21:20,712 --> 00:21:22,514 カリフォルニア時間でね 316 00:21:23,815 --> 00:21:28,587 オフィスの電話が鳴り 出ると兄からだった 317 00:21:32,557 --> 00:21:33,592 それで… 318 00:21:42,601 --> 00:21:43,602 すべて察した 319 00:21:50,475 --> 00:21:54,479 “A・クレン 1995年” 320 00:21:55,881 --> 00:21:58,884 この花の絵は父が描いた 321 00:22:00,886 --> 00:22:04,890 “この絵を描きながら お前のことを考えてた” 322 00:22:05,357 --> 00:22:08,894 “お前は大人の女性に なったんだとね” 323 00:22:09,561 --> 00:22:10,595 そう言った 324 00:22:11,663 --> 00:22:15,500 父はよく こんなことも言ったわ 325 00:22:15,767 --> 00:22:18,503 “人生は 楽じゃないけど—” 326 00:22:19,004 --> 00:22:22,641 “自分を信じることが 大事だ” 327 00:22:22,908 --> 00:22:25,110 忘れられない言葉よ 328 00:22:35,520 --> 00:22:39,925 8年にわたり 様々な人の下で働いた 329 00:22:40,792 --> 00:22:43,929 “スターズ”の後は— 330 00:22:44,129 --> 00:22:48,667 インドネシアと ロサンゼルスに行った 331 00:22:49,735 --> 00:22:51,837 そして またサンフランシスコに 332 00:22:55,741 --> 00:23:00,679 数多くのレストランや ホテルで働いたわ 333 00:23:00,779 --> 00:23:03,048 それは私の人生において— 334 00:23:03,148 --> 00:23:06,518 いるべき場所を 探す時期だった 335 00:23:07,786 --> 00:23:10,689 でもホテルは 性に合わなかった 336 00:23:12,023 --> 00:23:16,895 冒険心のないお客様に 苦労したからよ 337 00:23:18,096 --> 00:23:21,566 普通のドレッシングをと 言われて— 338 00:23:21,666 --> 00:23:22,567 驚いた 339 00:23:25,804 --> 00:23:27,839 ウンザリだったわ 340 00:23:29,708 --> 00:23:33,178 自分のやっていることを 見失った 341 00:23:35,113 --> 00:23:38,116 “これでは楽しくない”と 思った 342 00:23:40,685 --> 00:23:42,988 意味のあることがしたかった 343 00:23:45,423 --> 00:23:48,460 ただレストランを 開くのではなく 344 00:23:48,560 --> 00:23:52,697 何かを創造できる場所が 欲しかったの 345 00:23:53,198 --> 00:23:54,866 そして気付いた 346 00:23:55,834 --> 00:23:58,937 私には失う物は何もないって 347 00:24:03,008 --> 00:24:06,111 失う物なんて何もない 348 00:24:13,518 --> 00:24:15,153 “アトリエ”の意味は— 349 00:24:16,154 --> 00:24:17,055 “仕事場” 350 00:24:18,023 --> 00:24:22,594 創作する場所であり 自分の頭を使って— 351 00:24:22,861 --> 00:24:24,062 考える場所 352 00:24:24,663 --> 00:24:27,599 一緒に何かを 作り出すために— 353 00:24:27,699 --> 00:24:31,102 人々を集めてくる場所よ 354 00:24:33,772 --> 00:24:38,176 私の父には 絵を描くための場所があった 355 00:24:38,510 --> 00:24:41,513 “クレン家のパパの アトリエ” 356 00:24:41,646 --> 00:24:44,950 自然にそういう名前が付いた 357 00:24:47,719 --> 00:24:50,655 “アトリエ・クレン”の コースは— 358 00:24:50,789 --> 00:24:53,124 キール・ブルトンで始まる 359 00:24:53,225 --> 00:24:56,895 ブルターニュ地方の 食前酒のことよ 360 00:24:57,829 --> 00:25:01,533 まずリンゴ酒を凍らせて 球体にし— 361 00:25:01,666 --> 00:25:05,837 それをココアバターで 薄くコーティングする 362 00:25:07,239 --> 00:25:12,010 そして クレーム・ド・カシスを— 363 00:25:12,110 --> 00:25:15,180 ジャムにして上に飾るの 364 00:25:15,947 --> 00:25:19,651 食前酒といえば キール・ブルトンね 365 00:25:19,751 --> 00:25:25,056 クレーム・ド・カシスに リンゴ酒を混ぜて飲んでたわ 366 00:25:27,225 --> 00:25:32,030 それは私の家に来て 最初に出される料理よ 367 00:25:33,231 --> 00:25:34,232 手にはグラス 368 00:25:35,533 --> 00:25:36,835 口にはアイス 369 00:25:39,271 --> 00:25:40,705 ドミニクは— 370 00:25:41,573 --> 00:25:45,610 伝統的なフランス料理を アレンジしているの 371 00:25:46,845 --> 00:25:50,248 特に野菜とシーフードを 多用してるわ 372 00:25:52,050 --> 00:25:55,854 <彼女の作るソースや ブイヨンには—> 373 00:25:56,187 --> 00:25:58,690 <フランス的な味が 感じられる> 374 00:26:02,227 --> 00:26:04,963 <ソースを作るのは 大変で—> 375 00:26:05,597 --> 00:26:07,732 <かなりの時間がかかる> 376 00:26:08,833 --> 00:26:13,638 <ソースは食文化の DNAのようなものよ> 377 00:26:17,943 --> 00:26:18,877 いいわ 378 00:26:29,321 --> 00:26:31,756 この店がオープンした時— 379 00:26:31,890 --> 00:26:35,760 地元の批評家には 理解されなかった 380 00:26:35,860 --> 00:26:39,164 いい評価を得られなかったわ 381 00:26:47,772 --> 00:26:50,175 “あまりにも美しすぎる” 382 00:26:50,675 --> 00:26:52,610 そういう批評だった 383 00:26:52,711 --> 00:26:56,114 彼女が美しすぎたことも 原因かもね 384 00:26:57,115 --> 00:27:01,820 でも彼女を理解するには 芸術を介する必要がある 385 00:27:02,654 --> 00:27:08,059 料理には絵画などのように モダニズムの影響がなかった 386 00:27:08,193 --> 00:27:10,362 でも今こそ 料理も— 387 00:27:10,662 --> 00:27:13,798 芸術運動として 改革されるのかも 388 00:27:15,066 --> 00:27:18,670 その考え方を 受け入れない人もいる 389 00:27:21,973 --> 00:27:26,644 私たちがやっているのは 意味や美しさを作り出し— 390 00:27:26,745 --> 00:27:31,316 人と人を つなぎ合わせること 391 00:27:31,683 --> 00:27:34,352 それこそが “アトリエ・クレン”と— 392 00:27:34,919 --> 00:27:36,688 ドミニクの中心にある 393 00:27:39,691 --> 00:27:41,226 何かを主張して— 394 00:27:41,893 --> 00:27:46,231 それを聞き入れる人も そうでない人もいるけど 395 00:27:46,331 --> 00:27:48,333 結果を恐れてはいけない 396 00:27:50,235 --> 00:27:53,838 店を開いたのは 物語を伝えるためよ 397 00:27:53,972 --> 00:27:55,707 店に誰も来なくても— 398 00:27:55,974 --> 00:27:59,244 それはそれで仕方ないわ 399 00:27:59,844 --> 00:28:01,112 それも経験よ 400 00:28:01,880 --> 00:28:04,983 2011年に ミシュラン一つ星を獲得 401 00:28:05,083 --> 00:28:08,386 開店した その年のことだったわ 402 00:28:09,220 --> 00:28:13,358 そしてその翌年に 二つ星を獲得した 403 00:28:13,458 --> 00:28:18,096 アメリカの女性シェフとして 初めての— 404 00:28:18,196 --> 00:28:19,731 栄光だった 405 00:28:22,801 --> 00:28:25,904 二つ星を獲得した日— 406 00:28:26,004 --> 00:28:29,941 彼女は電話で その連絡を受けた 407 00:28:31,176 --> 00:28:34,279 その後 彼女は僕に こう言った 408 00:28:34,412 --> 00:28:35,947 “ありがとう” 409 00:28:36,114 --> 00:28:38,883 “あなたの栄誉でもある”と 410 00:28:39,384 --> 00:28:41,753 うれしくて泣いたよ 411 00:28:45,890 --> 00:28:46,991 こっちはどう? 412 00:28:48,426 --> 00:28:52,030 デザートは? 21卓のお客様が誕生日よ 413 00:28:52,163 --> 00:28:56,034 21卓のお客様と 4卓のお客様も誕生日です 414 00:28:56,167 --> 00:28:59,904 じゃあ両方ともすぐに出して 頼むわ 415 00:29:00,138 --> 00:29:01,239 大丈夫? 416 00:29:01,439 --> 00:29:02,273 急ぎます 417 00:29:02,373 --> 00:29:04,375 忙しいのはいいことよ 418 00:29:05,877 --> 00:29:08,880 シェフの仕事に 疑問を持つことも 419 00:29:09,914 --> 00:29:12,751 大勢が私や 私の仕事を見てるから 420 00:29:12,851 --> 00:29:15,453 それに応える必要がある 421 00:29:16,254 --> 00:29:18,056 それがツラいの 422 00:29:19,190 --> 00:29:22,060 あるシェフのことを思い出す 423 00:29:22,794 --> 00:29:25,029 自殺してしまった— 424 00:29:25,163 --> 00:29:28,333 ベルナール・ ロワゾーのことよ 425 00:29:30,068 --> 00:29:33,004 彼はいろんなことに悩んでた 426 00:29:33,204 --> 00:29:34,873 私は ああなりたくない 427 00:29:38,343 --> 00:29:43,181 彼女が自分の家で 過ごす時間は ほとんどない 428 00:29:43,314 --> 00:29:44,949 店が彼女の家よ 429 00:29:46,818 --> 00:29:51,790 彼女には多くの友人や 気にかける家族もいる 430 00:29:53,458 --> 00:29:58,830 でも彼女の中心にあるのは 間違いなくこの店よ 431 00:30:00,865 --> 00:30:03,501 “プティ・クレン” 432 00:30:03,968 --> 00:30:07,238 “プティ・クレン” 「サヴール」2016年 ベスト・ニュー・レストラン 433 00:30:14,379 --> 00:30:18,917 2軒目の“プティ・クレン”は 彼女の母親がモチーフ 434 00:30:19,017 --> 00:30:22,520 伝統的な ブルターニュの料理があり 435 00:30:22,854 --> 00:30:24,923 カジュアルな雰囲気よ 436 00:30:29,127 --> 00:30:30,528 いらっしゃい 437 00:30:31,529 --> 00:30:34,365 前にも来たことがあるんです 438 00:30:34,465 --> 00:30:35,533 覚えてます 439 00:30:35,834 --> 00:30:36,501 いかがです? 440 00:30:36,601 --> 00:30:37,602 最高です 441 00:30:37,902 --> 00:30:39,537 シェフに伝えときます 442 00:30:40,371 --> 00:30:41,139 ドミニク 443 00:30:41,272 --> 00:30:42,607 いらっしゃい 444 00:30:43,508 --> 00:30:44,542 ようこそ 445 00:30:44,876 --> 00:30:46,177 よろしく 446 00:30:47,378 --> 00:30:50,281 フランスに住んでた頃は— 447 00:30:50,448 --> 00:30:54,986 友達と出掛けた後 うちで早朝まで過ごした 448 00:30:55,220 --> 00:30:56,287 あら いらっしゃい 449 00:30:57,021 --> 00:30:57,555 ようこそ 450 00:30:57,889 --> 00:30:59,023 共通の友人がいてね 451 00:30:59,157 --> 00:31:01,159 近くにオープンしたと聞いて 452 00:31:01,292 --> 00:31:03,862 友達から最高だったと聞いて 453 00:31:03,962 --> 00:31:04,429 よかった 454 00:31:04,562 --> 00:31:05,563 ありがとう 455 00:31:05,864 --> 00:31:07,131 こちらこそ 456 00:31:07,232 --> 00:31:08,066 私の家よ 457 00:31:08,166 --> 00:31:12,904 実際に家ではできないことを “プティ・クレン”で— 458 00:31:13,238 --> 00:31:14,405 やってるの 459 00:31:14,505 --> 00:31:18,276 デザートをタルトタタンに 変えたいの 460 00:31:18,376 --> 00:31:21,613 母がよく作ってたのよ できるかしら? 461 00:31:22,146 --> 00:31:23,348 ありがとう 462 00:31:36,527 --> 00:31:42,300 母が入院したと聞いたの まったく知らなくて驚いたわ 463 00:31:54,112 --> 00:31:58,483 なぜ教えてくれなかったのか 母に聞いたら— 464 00:31:58,950 --> 00:32:01,185 “心配させたくなかった”と 465 00:32:02,420 --> 00:32:07,558 母は忙しすぎる私の 邪魔をしたくなかった 466 00:32:08,092 --> 00:32:11,062 その時にやっと気付いた 467 00:32:13,097 --> 00:32:14,232 目が覚めたわ 468 00:32:15,366 --> 00:32:18,436 父が亡くなった時と 同じだからよ 469 00:32:19,103 --> 00:32:22,440 私は父のそばにいなかった 470 00:32:31,149 --> 00:32:34,352 自分自身に腹が立った 471 00:32:34,452 --> 00:32:37,155 とても情けなくて— 472 00:32:37,255 --> 00:32:39,490 自分を責めたわ 473 00:32:39,590 --> 00:32:43,294 “私は一体 何を考えてたの?” 474 00:32:49,133 --> 00:32:52,003 親が苦しんでいる時には— 475 00:32:52,136 --> 00:32:54,405 そばにいてあげたい 476 00:32:56,007 --> 00:32:58,176 支えになってあげたい 477 00:33:05,683 --> 00:33:10,054 フランス ブルターニュ 478 00:33:13,691 --> 00:33:14,659 <ママ!> 479 00:33:16,327 --> 00:33:17,161 <元気?> 480 00:33:21,132 --> 00:33:23,034 <ママ 会いたかった> 481 00:33:23,167 --> 00:33:23,768 <調子は?> 482 00:33:24,168 --> 00:33:25,570 <元気よ あなたは?> 483 00:33:25,670 --> 00:33:27,305 <私は元気よ> 484 00:33:27,572 --> 00:33:32,543 <お腹が空いてるから 朝ごはん食べに行かない?> 485 00:33:32,643 --> 00:33:33,378 <もちろん> 486 00:33:33,478 --> 00:33:34,712 <ゆっくり下りて> 487 00:33:35,246 --> 00:33:36,047 <最近 どう?> 488 00:33:36,180 --> 00:33:37,148 <問題ないわ> 489 00:33:37,248 --> 00:33:38,182 <調子はいいの?> 490 00:33:38,282 --> 00:33:38,716 <ええ> 491 00:33:39,017 --> 00:33:40,051 <良くなった?> 492 00:33:40,318 --> 00:33:41,185 <とっても> 493 00:33:51,062 --> 00:33:54,332 すべての原点に戻ってきた 494 00:33:56,067 --> 00:33:57,735 ここは両親の故郷 495 00:33:58,803 --> 00:34:01,339 辺りを見渡すと— 496 00:34:02,340 --> 00:34:06,477 ここは20年前と 少しも変わってない 497 00:34:08,479 --> 00:34:13,251 多くの人が探し求めている 幸せが— 498 00:34:13,618 --> 00:34:15,086 ここにはある 499 00:34:17,355 --> 00:34:22,193 この場所なくして 私自身を語ることはできない 500 00:34:34,272 --> 00:34:39,377 過去は過去として 触れたくないと思う時もある 501 00:34:43,714 --> 00:34:47,785 その過去の思い出を 心にしまったまま— 502 00:34:48,319 --> 00:34:50,321 別のことに触れたくなる 503 00:34:56,461 --> 00:34:57,395 <こんばんは> 504 00:34:57,528 --> 00:34:58,529 <こんばんは> 505 00:34:58,663 --> 00:35:00,198 <ドミニク・クレンです> 506 00:35:00,798 --> 00:35:02,200 <昔 ここに住んでた> 507 00:35:02,300 --> 00:35:03,267 <あらそうなの> 508 00:35:03,401 --> 00:35:04,402 <初めまして> 509 00:35:04,535 --> 00:35:07,138 <これを見たら思い出す?> 510 00:35:07,839 --> 00:35:10,141 <ここでよく遊んでた?> 511 00:35:10,241 --> 00:35:13,544 <いえ 父がよく 絵を描いてました> 512 00:35:13,678 --> 00:35:14,645 <そうか> 513 00:35:14,812 --> 00:35:17,415 <ここに自転車があって> 514 00:35:17,515 --> 00:35:21,686 <ここと上の部屋で 父は絵を描いてた> 515 00:35:22,120 --> 00:35:24,689 <部屋は 変わってますよね?> 516 00:35:24,822 --> 00:35:25,590 <いいや> 517 00:35:26,858 --> 00:35:28,292 <その部屋は—> 518 00:35:28,826 --> 00:35:30,161 <オフィスに使ってる> 519 00:35:30,261 --> 00:35:31,829 <そうですか> 520 00:35:34,532 --> 00:35:37,902 <君の方がよく知ってるね> 521 00:35:38,202 --> 00:35:39,604 <よく遊んだわ> 522 00:35:40,605 --> 00:35:42,306 <ここでかくれんぼを> 523 00:35:46,544 --> 00:35:47,545 <私の部屋> 524 00:35:49,380 --> 00:35:51,182 小さな寝室よ 525 00:35:54,452 --> 00:35:55,586 懐かしいわ 526 00:35:59,457 --> 00:36:04,462 昔 よく兄と一緒に あそこに隠れたの 527 00:36:04,862 --> 00:36:06,464 あそこの中にね 528 00:36:06,731 --> 00:36:08,733 ベッドはここだった 529 00:36:09,433 --> 00:36:11,702 机はそっちで— 530 00:36:12,403 --> 00:36:13,871 それから… 531 00:36:14,805 --> 00:36:17,708 ウソみたい 信じられないわ 532 00:36:29,620 --> 00:36:30,888 <君の両親の寝室かな> 533 00:36:31,189 --> 00:36:34,358 <そうよ この部屋だった> 534 00:36:35,826 --> 00:36:39,564 父は亡くなった後 そこのベッドで眠ってた 535 00:36:40,765 --> 00:36:45,369 父に最後の挨拶(あいさつ)を するために— 536 00:36:45,503 --> 00:36:47,772 私はこの部屋に来たの 537 00:36:48,372 --> 00:36:51,509 私は父の隣に横たわって— 538 00:36:52,376 --> 00:36:53,711 キスしてお別れした 539 00:36:56,247 --> 00:36:59,383 世界中の子供たちは 誰もが— 540 00:36:59,483 --> 00:37:02,620 親は無敵で 死なないと思ってる 541 00:37:02,887 --> 00:37:05,323 いつも守ってくれてるってね 542 00:37:05,423 --> 00:37:08,526 でも父が亡くなって 気付かされた 543 00:37:08,859 --> 00:37:10,461 親も死ぬとね 544 00:37:42,293 --> 00:37:44,562 待って 思い出せない 545 00:37:45,296 --> 00:37:47,832 そうよ 父のお墓はあっち 546 00:37:48,266 --> 00:37:49,567 ごめんなさい 547 00:39:34,605 --> 00:39:38,442 “アラン・クレン” 548 00:39:38,542 --> 00:39:39,410 昔… 549 00:39:41,579 --> 00:39:44,515 父が埋葬された時は— 550 00:39:45,683 --> 00:39:47,418 お墓が1つだけだった 551 00:39:51,689 --> 00:39:52,823 これ 大好き 552 00:39:53,691 --> 00:39:55,025 とても素敵だわ 553 00:40:17,615 --> 00:40:21,685 青い海の先を 見つめていると— 554 00:40:22,686 --> 00:40:26,824 むき出しの心に 太陽が激しく照りつける 555 00:40:28,025 --> 00:40:31,729 子供の頃 ドライブしながら海へ行った 556 00:40:32,463 --> 00:40:33,697 そして… 557 00:40:34,465 --> 00:40:36,467 1966年8月 558 00:40:36,600 --> 00:40:39,003 1971年7月 海で泳いで 浜辺で遊んで— 559 00:40:39,003 --> 00:40:39,136 海で泳いで 浜辺で遊んで— 560 00:40:39,136 --> 00:40:39,937 海で泳いで 浜辺で遊んで— 1968年8月 561 00:40:39,937 --> 00:40:41,138 1968年8月 562 00:40:41,138 --> 00:40:42,440 1968年8月 暑くて家族みんな 汗だくになった 563 00:40:42,440 --> 00:40:45,476 暑くて家族みんな 汗だくになった 564 00:40:45,743 --> 00:40:47,445 匂いを覚えてるわ 565 00:40:47,778 --> 00:40:50,014 日焼け止めローションの 匂いをね 566 00:40:50,147 --> 00:40:53,884 1968年8月 567 00:41:02,026 --> 00:41:07,498 子供時代を過ごした場所を 理解することは— 568 00:41:07,631 --> 00:41:09,834 店の在り方に つながる 569 00:41:10,134 --> 00:41:15,506 肝心なのは 料理を作ることではなく— 570 00:41:15,639 --> 00:41:20,144 最初から最後まですべてを 結びつけること 571 00:41:27,051 --> 00:41:29,520 誕生 572 00:41:38,829 --> 00:41:41,532 スイートな思い出の品 573 00:41:47,638 --> 00:41:51,208 森を歩く 574 00:41:52,142 --> 00:41:56,881 昔からずっと 私は自分を探し求めてる 575 00:42:00,251 --> 00:42:03,220 ハチミツ養蜂所 576 00:42:07,925 --> 00:42:11,195 乾燥熟成ラム カキ 夏カボチャ 577 00:42:15,566 --> 00:42:17,701 焼きアワビ 海藻蒸し煮 イラクサ 578 00:42:21,572 --> 00:42:24,308 今回の旅は 何が大事なのかを— 579 00:42:24,608 --> 00:42:26,844 考えるいい機会になった 580 00:42:29,580 --> 00:42:33,817 両親は固い絆で結ばれ 45年間 連れ添った 581 00:42:34,985 --> 00:42:37,187 人は誰しも— 582 00:42:37,721 --> 00:42:40,991 そういう家庭を築きたいと 願ってる 583 00:42:41,091 --> 00:42:44,962 “クレン家のパパへ これからもずっと一緒よ” 584 00:42:50,134 --> 00:42:52,269 ル・ショコラ 585 00:42:55,639 --> 00:42:58,876 “会いたい あなたの娘より” 586 00:43:05,282 --> 00:43:08,619 私は落ち着ける場所を 探してる 587 00:43:10,287 --> 00:43:12,222 でもまだ見つかってない 588 00:43:14,758 --> 00:43:18,729 私は最期を迎える時まで— 589 00:43:18,862 --> 00:43:20,130 学び続けるわ 590 00:43:23,233 --> 00:43:27,171 “アトリエ・クレン”は 私の夢の一部だった 591 00:43:28,672 --> 00:43:32,142 夢を実現したら それはもう夢ではない 592 00:43:33,611 --> 00:43:35,646 新たな夢に向かうの