1 00:00:20,086 --> 00:00:25,592 <愛はとても 大事なものだと思う> 2 00:00:27,293 --> 00:00:31,331 <愛がなければ いい仕事はできない> 3 00:00:31,431 --> 00:00:35,201 <厨房では 特に大事になってくる> 4 00:00:36,603 --> 00:00:42,041 <人は愛されていると よりいい物が作れる> 5 00:00:47,180 --> 00:00:49,449 <情熱が湧いてくるし—> 6 00:00:53,052 --> 00:00:55,355 <美しい考えが浮かぶ> 7 00:00:58,758 --> 00:01:00,660 <愛があると優しくなれる> 8 00:01:00,760 --> 00:01:06,199 <それと同時に愛が 困難を生む場合もある> 9 00:01:16,342 --> 00:01:21,147 NETFLIX オリジナルドキュメンタリー 10 00:02:04,157 --> 00:02:07,393 シェフのテーブル 11 00:02:13,333 --> 00:02:17,270 スロベニア ソチャ谷 12 00:02:24,344 --> 00:02:26,913 スロベニアは 有名な国ではない 13 00:02:28,581 --> 00:02:31,451 場所すら知らない人が多い 14 00:02:34,387 --> 00:02:36,689 遠い国という印象がある 「サヴール」 ライター アレクサンダー・ ロブラノ 15 00:02:44,697 --> 00:02:49,736 だがこの国には 想像もできない場所がある 16 00:03:00,246 --> 00:03:03,850 今では有名店となった “ヒシャ・フランコ”だ 17 00:03:06,452 --> 00:03:10,623 店に入った瞬間から 丁寧にもてなされて— 18 00:03:10,723 --> 00:03:13,860 祖母の家に 来たかのように感じる 19 00:03:17,363 --> 00:03:22,402 “ヒシャ・フランコ”は 誰かの家みたいなの 20 00:03:22,869 --> 00:03:24,571 温かく歓迎されて くつろげる店よ 21 00:03:24,571 --> 00:03:27,373 温かく歓迎されて くつろげる店よ 「クック・インク」 編集長 アンナ・モレッリ 22 00:03:27,373 --> 00:03:28,441 温かく歓迎されて くつろげる店よ 23 00:03:31,511 --> 00:03:33,980 「オズの魔法使」の— 24 00:03:34,280 --> 00:03:37,617 魔法使いに会いに来たような 気分になる 25 00:03:40,887 --> 00:03:46,926 アナは21世紀のヨーロッパの シェフのトップを走っている 26 00:03:48,428 --> 00:03:51,698 フランスなどとは違い スロベニアは— 27 00:03:51,798 --> 00:03:55,768 グルメな国という 印象がないのに不思議だ 28 00:03:58,638 --> 00:04:00,673 「ミシュランガイド」もない 29 00:04:01,641 --> 00:04:07,013 アナだけじゃなく 国中のシェフにとって残念よ 30 00:04:08,514 --> 00:04:12,518 優秀なシェフなのに 星をもらうことはない 31 00:04:13,886 --> 00:04:17,357 アナは洗練されてて情熱的だ 32 00:04:17,457 --> 00:04:20,927 遊び心ある料理を作り出す 33 00:04:24,664 --> 00:04:26,833 彼女は天才だと思う 34 00:04:26,966 --> 00:04:31,838 様々なスロベニアの 食の伝統に手を加え— 35 00:04:31,938 --> 00:04:34,540 モダンな料理に変身させる 36 00:04:36,643 --> 00:04:41,347 彼女の料理は独創的で 新たな世界が広がる 37 00:04:41,514 --> 00:04:44,450 他の場所では味わえない 38 00:04:46,819 --> 00:04:50,990 アナは料理学校には通わず 独学で学んだ 39 00:04:51,824 --> 00:04:55,662 今では 素晴らしい食を生み出してる 40 00:04:56,062 --> 00:04:58,531 毎回 驚かされるよ 41 00:04:58,631 --> 00:05:02,068 彼女の腕は驚異的だ 42 00:05:03,503 --> 00:05:06,873 “ヒシャ・フランコ” 43 00:05:07,006 --> 00:05:09,542 スロベニア コバリド 44 00:05:09,642 --> 00:05:14,647 世界のベスト・ ディスカバリー・リスト50 45 00:05:14,747 --> 00:05:16,482 <すぐに桃を2つ> 46 00:05:16,582 --> 00:05:17,483 <はい> 47 00:05:24,924 --> 00:05:27,860 <何度も手を休めないように> 48 00:05:27,960 --> 00:05:33,099 <行動に移す前に ちゃんと考えないとダメ> 49 00:05:40,940 --> 00:05:44,377 <マヤ 塩は入れた?> 50 00:05:49,348 --> 00:05:52,518 私がアナに感心するのは— 51 00:05:52,618 --> 00:05:56,789 予想外の料理を 提供してくるところだ 52 00:05:58,024 --> 00:06:01,360 驚くようなものを 組み合わせる 53 00:06:01,894 --> 00:06:07,934 彼女の絶品料理の名前は 成立していない俳句のようだ 54 00:06:09,635 --> 00:06:15,908 “イカ 胸腺肉 クルミ トルミンチーズ”などね 55 00:06:16,008 --> 00:06:17,710 口に入れた時に— 56 00:06:17,810 --> 00:06:21,714 どんな味がするのか 想像もできない 57 00:06:26,753 --> 00:06:32,792 しかし食べ始めると 素晴らしい味に衝撃を受ける 58 00:06:35,628 --> 00:06:38,898 胸腺肉の カスタードのような味に— 59 00:06:38,998 --> 00:06:42,902 イカのコリコリした食感が 交じり合う 60 00:06:48,040 --> 00:06:51,511 すべての食材の味が 際立っているのに— 61 00:06:51,611 --> 00:06:54,547 うまく1つにまとまってる 62 00:06:54,647 --> 00:06:56,149 説明ができないよ 63 00:06:56,783 --> 00:06:58,785 どうやって思いつくのか 64 00:07:09,095 --> 00:07:11,564 <料理学校で 学ばなかったから—> 65 00:07:11,731 --> 00:07:17,770 <制限のない自分らしい 料理方法を生み出せた> 66 00:07:20,506 --> 00:07:23,643 <私の料理を見て最初は—> 67 00:07:23,743 --> 00:07:27,013 <“おいしそうではない”と 思うかもしれない> 68 00:07:27,113 --> 00:07:29,749 <口に入れたら世界が変わる> 69 00:07:32,485 --> 00:07:36,589 <大胆さは 自分の長所だと思ってる> 70 00:07:39,192 --> 00:07:45,198 <“退屈な食事だった”と 絶対に言われたくないの> 71 00:07:45,498 --> 00:07:49,735 <その言葉は私にとって 最大の批判よ> 72 00:07:55,041 --> 00:07:56,776 <首輪は?> 73 00:07:58,010 --> 00:07:59,745 <プリンスに着けた?> 74 00:08:01,013 --> 00:08:02,515 <行きましょ> 75 00:08:04,116 --> 00:08:05,751 <バッグが重いわね> 76 00:08:05,852 --> 00:08:07,520 <ドア閉めて> 77 00:08:07,720 --> 00:08:09,121 <靴が邪魔> 78 00:08:11,924 --> 00:08:16,529 <“ヒシャ・フランコ”は ただの仕事場ではない> 79 00:08:22,969 --> 00:08:27,807 <仕事場であり 私たちの家でもある> 80 00:08:31,511 --> 00:08:34,180 <店は2人で経営してる> 81 00:08:34,280 --> 00:08:38,551 <1人は私 厨房を担当してる> 82 00:08:45,791 --> 00:08:51,063 <もう1人はヴァルテル ワインセラーの担当よ> 83 00:08:57,169 --> 00:09:03,809 共同オーナー ソムリエ ヴァルテル・クラマー 84 00:09:13,953 --> 00:09:18,057 <彼は私の夫でもある> 85 00:09:18,224 --> 00:09:20,726 <24時間 私のパートナーよ> 86 00:09:24,697 --> 00:09:27,667 <アナとは 20年以上前から一緒だ> 87 00:09:28,067 --> 00:09:31,871 <彼女の料理を 昔から知ってる> 88 00:09:32,605 --> 00:09:37,109 <もう彼女の突飛な料理には 慣れたよ> 89 00:09:42,148 --> 00:09:44,283 <最高> 90 00:09:44,884 --> 00:09:47,153 <酔っ払いそうね> 91 00:09:49,722 --> 00:09:54,827 <サバよ 最初に食べてみましょう> 92 00:09:55,227 --> 00:10:01,801 <新メニューを試食して どのワインが合うか考える> 93 00:10:02,668 --> 00:10:05,137 <今回はワインセラーにある ワインで—> 94 00:10:05,237 --> 00:10:10,242 <完璧にマッチするものを 3本選んだ> 95 00:10:11,844 --> 00:10:18,351 <料理がワインを引き立て ワインが料理を引き立てる> 96 00:10:18,651 --> 00:10:22,054 <お互いにエネルギーを 与えるワインをね> 97 00:10:23,389 --> 00:10:26,826 アナもヴァルテルも イカしてるの 98 00:10:26,959 --> 00:10:29,161 それに個性的よ 99 00:10:29,261 --> 00:10:34,266 シェフとソムリエが 夫婦だということが— 100 00:10:34,367 --> 00:10:36,335 他の店とは違う 101 00:10:36,902 --> 00:10:40,973 ヴァルテルは アナの料理だけではなく— 102 00:10:41,273 --> 00:10:43,876 アナ自身も知り尽くしている 103 00:10:52,318 --> 00:10:58,691 だから彼が選ぶワインは アナの料理にぴったりなの 104 00:10:59,392 --> 00:11:03,029 科学や計算で 選ぶわけではない 105 00:11:03,295 --> 00:11:06,198 2人の関係から導き出される 106 00:11:06,298 --> 00:11:09,368 だからこの店は素晴らしいの 107 00:11:17,910 --> 00:11:21,747 <父は田舎町の医師だった> 108 00:11:25,418 --> 00:11:29,288 <田舎で医師は 重宝される存在よ> 109 00:11:38,097 --> 00:11:42,468 <父と私は とても仲が良かったわ> 110 00:11:45,971 --> 00:11:50,876 <子供にとって両親とは 初めて本当の愛を知る—> 111 00:11:50,976 --> 00:11:53,479 <大切な存在だと思う> 112 00:11:55,214 --> 00:11:57,983 <私たちは 理想的な親子だった> 113 00:12:04,857 --> 00:12:07,226 <父は私がいい教育を受け> 114 00:12:07,359 --> 00:12:11,030 <いい仕事に就くことを 望んだ> 115 00:12:12,998 --> 00:12:15,334 <娘はスキーが上手く—> 116 00:12:16,202 --> 00:12:21,307 <ユーゴスラビアの ユースチームに選ばれた> 117 00:12:22,741 --> 00:12:25,010 <遅くまで練習しても 次の日の朝は—> 118 00:12:25,010 --> 00:12:27,113 <遅くまで練習しても 次の日の朝は—> アナの父親 ボヤン・ロシュ 119 00:12:27,213 --> 00:12:31,183 <5時に起きて 学校に行っていた> 120 00:12:31,350 --> 00:12:35,187 <それが娘にとっての 日常だった> 121 00:12:39,325 --> 00:12:42,261 <スポーツと学業で—> 122 00:12:42,361 --> 00:12:45,197 <忙しそうだったわ> アナの母親 カーチャ・ロシュ 123 00:12:45,464 --> 00:12:49,935 <勉強をおろそかにせず 成績優秀だった> 124 00:12:52,438 --> 00:12:56,408 <国際関係を勉強していたわ> 125 00:12:57,543 --> 00:13:02,414 <娘が外交官になることを 期待してた> 126 00:13:04,850 --> 00:13:09,522 <大会や両親の期待で プレッシャーを感じていた> 127 00:13:11,924 --> 00:13:17,463 <人に期待される人生は 難しい> 128 00:13:18,264 --> 00:13:20,833 <何も創造できなくなる> 129 00:13:41,320 --> 00:13:43,389 <見て ミント> 130 00:13:53,432 --> 00:13:57,937 スロベニア ザトルミン・メドウ チーズ製造所 131 00:13:59,872 --> 00:14:00,573 <コン コン コン> 132 00:14:00,873 --> 00:14:02,074 <こんにちは> 133 00:14:04,009 --> 00:14:07,279 <やっと来た コーヒーを淹れてる> 134 00:14:08,380 --> 00:14:10,916 <コーヒーとミルクだ> 135 00:14:11,016 --> 00:14:14,086 <それか蒸留酒を飲む?> 136 00:14:14,853 --> 00:14:20,292 <この丘に来たら まずは 蒸留酒を1杯 飲まなきゃ> 137 00:14:21,060 --> 00:14:23,229 <朝7時からお酒?> 138 00:14:24,997 --> 00:14:26,498 <いい日だわ> 139 00:14:29,535 --> 00:14:32,137 <一気に飲まないと> 140 00:14:35,040 --> 00:14:35,941 <アナ> 141 00:14:39,044 --> 00:14:41,046 いいぞ 142 00:14:41,146 --> 00:14:47,152 <私が大学4年生で 休暇中の時だった> 143 00:14:47,887 --> 00:14:52,992 <母に無理やり 食事に連れて行かれたの> 144 00:14:54,460 --> 00:14:57,463 <そこが “ヒシャ・フランコ”だった> 145 00:15:00,165 --> 00:15:04,203 <その時 僕は 接客係として働いてて—> 146 00:15:05,170 --> 00:15:09,608 <アナがつまらなそうに しているのが見えた> 147 00:15:10,142 --> 00:15:13,345 <だから 店内のバーに誘ったんだ> 148 00:15:15,247 --> 00:15:20,986 <お互いに興味を持ち それから会うようになった> 149 00:15:21,086 --> 00:15:24,056 <そして恋に落ちて—> 150 00:15:25,925 --> 00:15:28,227 <すぐ同棲するようになった> 151 00:15:30,362 --> 00:15:32,998 <本物の恋は展開が速い> 152 00:15:36,268 --> 00:15:38,938 <2人で世界を旅し—> 153 00:15:39,038 --> 00:15:42,141 <様々な料理やワインに 出会った> 154 00:15:45,477 --> 00:15:49,081 <お互いの願いを 叶えていった> 155 00:15:50,015 --> 00:15:54,653 <最高の時期だった 僕らは幸せだった> 156 00:15:56,055 --> 00:16:00,292 <この頃の生き方に 大きな影響を受けて—> 157 00:16:00,426 --> 00:16:02,494 <私は変わっていった> 158 00:16:04,530 --> 00:16:08,467 <私は彼の隣で 成長していった> 159 00:16:10,502 --> 00:16:16,208 <いろんな国を知り いろんなことを知り—> 160 00:16:16,342 --> 00:16:21,447 <子供の頃からの生き方に 疑問を感じた> 161 00:16:21,580 --> 00:16:24,450 <違う生き方を選んだ> 162 00:16:27,119 --> 00:16:32,191 <ずっとルールだらけの 生活を送っていて—> 163 00:16:32,291 --> 00:16:35,561 <何かに 縛られている気がしてた> 164 00:16:38,330 --> 00:16:41,567 <自由でなきゃ 自分らしくいられない> 165 00:16:58,283 --> 00:17:02,054 <地元の伝統を知らないと> 166 00:17:02,154 --> 00:17:06,658 <シェフは創作することが できない> 167 00:17:09,261 --> 00:17:11,730 <この地域の環境は厳しく> 168 00:17:12,297 --> 00:17:18,203 <農家は大変な思いをして 生活している> 169 00:17:18,537 --> 00:17:25,344 スロベニア トルミン 地域酪農場 170 00:17:29,615 --> 00:17:31,750 美しい部屋だ 171 00:17:32,184 --> 00:17:36,688 <日付が書いてあって 日付順に並んでいる> 172 00:17:38,123 --> 00:17:40,559 <何日間 保管するの?> 173 00:17:41,160 --> 00:17:42,728 <4週間だ> 174 00:17:44,096 --> 00:17:46,765 <この地域は貧しく—> 175 00:17:47,066 --> 00:17:52,638 <冷蔵庫や冷たい保管場所が なかったの> 176 00:17:54,807 --> 00:18:01,280 <だからここで作られる チーズは熟成されなかった> 177 00:18:02,214 --> 00:18:07,152 <トルミンチーズは この地を表現できる食材> 178 00:18:10,789 --> 00:18:13,559 <だからこそ私たちは—> 179 00:18:13,659 --> 00:18:18,831 <チーズを熟成させることが 大事だと思った> 180 00:18:19,364 --> 00:18:23,535 <スロベニアで チーズの熟成室を—> 181 00:18:23,635 --> 00:18:27,272 <見たことがなかった> 182 00:18:29,141 --> 00:18:33,345 <そこで店の貯蔵庫で 熟成させることに> 183 00:18:37,249 --> 00:18:39,451 <ここでチーズを管理し—> 184 00:18:39,551 --> 00:18:42,888 <ひっくり返したり 洗ったりしてる> 185 00:18:46,325 --> 00:18:49,194 <3年寝かせるのが 最適と分かった> 186 00:18:54,399 --> 00:19:00,439 <一口食べただけで おいしさが口全体に広がる> 187 00:19:02,541 --> 00:19:06,778 <3年熟成させた トルミンチーズは格別よ> 188 00:19:08,514 --> 00:19:14,653 <世界の有名なチーズに 負けていないと思う> 189 00:19:15,721 --> 00:19:20,292 <料理には必ず 地元の伝統食材を使ってる> 190 00:19:20,392 --> 00:19:23,395 <私たちの基本理念よ> 191 00:19:24,730 --> 00:19:29,234 <例えばメニューに チーズ入りパスタがある> 192 00:19:29,334 --> 00:19:33,672 <ソチャ谷の高地で作られた チーズを使ってるわ> 193 00:19:37,309 --> 00:19:41,513 <私たちは 新しい物を創造する> 194 00:19:43,515 --> 00:19:47,619 <一方で “ヒシャ・フランコ”には—> 195 00:19:47,719 --> 00:19:51,690 <伝統を生かすという 大事な役割もある> 196 00:20:30,429 --> 00:20:34,800 <ヴァルテルの父親が 引退して—> 197 00:20:34,900 --> 00:20:39,438 <店を辞めることにした時 すべてが変わった> 198 00:20:40,772 --> 00:20:45,811 <“ヒシャ・フランコ”は ヴァルテルのものとなった> 199 00:20:48,347 --> 00:20:53,952 <でも彼一人では 店を切り盛りできない> 200 00:20:57,522 --> 00:21:02,361 <アナはブリュッセルで 仕事のオファーがあり—> 201 00:21:02,461 --> 00:21:05,297 <それを受けると思っていた> 202 00:21:07,666 --> 00:21:10,969 <店で働きたかったけど—> 203 00:21:11,670 --> 00:21:17,976 <私に期待してた両親が ガッカリすると思って悩んだ> 204 00:21:18,277 --> 00:21:20,545 <難しい選択だったわ> 205 00:21:24,283 --> 00:21:25,951 <決断を迫られた> 206 00:21:31,290 --> 00:21:35,460 <私はヴァルテルとの 関係を選んだ> 207 00:21:37,496 --> 00:21:41,033 <父はパニックに陥った> 208 00:21:42,968 --> 00:21:46,972 <“将来はレストランで 働くのか?”と> 209 00:21:47,839 --> 00:21:50,442 <次第に 話してくれなくなった> 210 00:21:55,380 --> 00:22:00,986 <父の沈黙がとても 苦しかったのを覚えてる> 211 00:22:12,731 --> 00:22:15,500 <温度はよさそう 測って> 212 00:22:17,903 --> 00:22:19,905 <210度 いいわ> 213 00:22:22,007 --> 00:22:24,509 <お米がおいしそう 見て> 214 00:22:26,645 --> 00:22:30,115 <そうやって 店で働くことを決めた> 215 00:22:30,882 --> 00:22:34,653 <その頃は 料理を仕事にして—> 216 00:22:34,753 --> 00:22:40,592 <自分の人生を 変えるつもりはなかった> 217 00:22:42,594 --> 00:22:46,698 <ヴァルテルはすでに ソムリエだったから—> 218 00:22:47,699 --> 00:22:50,802 <シェフにはなれない> 219 00:22:54,005 --> 00:22:57,542 <だから私がシェフになった> 220 00:22:59,711 --> 00:23:05,550 <シェフになって数年間が とにかく大変だった> 221 00:23:06,051 --> 00:23:12,691 <家族に食べさせるパスタの 作り方は知ってたけど—> 222 00:23:12,791 --> 00:23:14,993 <シェフの料理は知らない> 223 00:23:17,162 --> 00:23:23,435 <いろんなことが分からず 毎日悩んでいた> 224 00:23:24,035 --> 00:23:27,405 <パンは膨らまないし—> 225 00:23:27,506 --> 00:23:31,143 <ラビオリは失敗するし 肉はパサパサ> 226 00:23:32,711 --> 00:23:37,783 <普通のシェフなら 学校で学ぶはずのことよ> 227 00:23:40,952 --> 00:23:44,623 <でも私は 基本を知らなかった> 228 00:23:44,856 --> 00:23:48,493 <きっちりしないと ダメな性格なの> 229 00:23:48,593 --> 00:23:51,563 <無知な自分がイヤだった> 230 00:24:10,816 --> 00:24:16,221 <悩んでる頃 息子の スヴィットが生まれた> 231 00:24:17,455 --> 00:24:20,192 <16ヵ月後 娘のエヴァ・クララも> 232 00:24:29,801 --> 00:24:36,641 <店のかつての常連客は ほとんど去って行ったわ> 233 00:24:39,511 --> 00:24:43,248 <経済的に苦しい時期だった> 234 00:24:46,151 --> 00:24:51,022 <シェフの仕事は 簡単ではなかった> 235 00:24:55,894 --> 00:24:59,497 <生活するのがやっとだった> 236 00:25:12,744 --> 00:25:16,081 <アナは 外交官になるのを諦め—> 237 00:25:16,181 --> 00:25:18,817 <シェフの道を進んだ> 238 00:25:20,185 --> 00:25:25,156 <それが正しかったと 両親に証明するためにも> 239 00:25:25,257 --> 00:25:27,092 <成功したがってた> 240 00:25:29,561 --> 00:25:35,100 <彼女は伝統料理は作れたが 美食を知らなかった> 241 00:25:35,200 --> 00:25:37,969 <だから店巡りをした> 242 00:25:39,604 --> 00:25:43,975 <彼女にいろんな味を 知ってもらうためだ> 243 00:25:44,075 --> 00:25:48,246 <彼女なりの美しい何かを 見出してほしかった> 244 00:25:53,752 --> 00:25:55,887 <夫に勧められた店で—> 245 00:25:57,088 --> 00:25:59,324 <忘れられない料理があった> 246 00:25:59,624 --> 00:26:05,597 <ポレンタとルバーブと レバーを使った料理だった> 247 00:26:06,965 --> 00:26:08,300 <夢みたいだったわ> 248 00:26:08,600 --> 00:26:12,137 <「不思議の国のアリス」に なった気分よ> 249 00:26:16,207 --> 00:26:21,046 <その後 5年間 料理の勉強をした> 250 00:26:24,015 --> 00:26:28,887 <実験を繰り返して 新しい料理を考えては—> 251 00:26:28,987 --> 00:26:31,256 <お客さんにふるまった> 252 00:26:32,357 --> 00:26:38,063 <申し訳ないことに 何度もミスを犯した> 253 00:26:44,803 --> 00:26:49,908 <それから しっかり者の 自分の性格が出てきた> 254 00:26:51,376 --> 00:26:55,180 <図書館に行って 情報を集め始めた> 255 00:26:55,280 --> 00:26:58,883 <何冊か 料理本を読破したわ> 256 00:27:02,854 --> 00:27:05,090 <頭は疑問だらけだった> 257 00:27:06,324 --> 00:27:10,662 <“どうやって?”“いつ?” “なぜこうなるの?”> 258 00:27:17,235 --> 00:27:21,940 <ヴァルテルの シェフの 友人にも教えてもらい—> 259 00:27:22,040 --> 00:27:25,343 <ある大事なことに気付いた> 260 00:27:26,144 --> 00:27:29,080 <コントラストが 大事ということ> 261 00:27:29,180 --> 00:27:31,816 <食感や温度の コントラストよ> 262 00:27:37,022 --> 00:27:40,025 <それに気付いてから—> 263 00:27:40,125 --> 00:27:43,762 <様々な組み合わせを 探し始めた> 264 00:27:44,963 --> 00:27:49,267 <私の中に何かが芽生えた 瞬間だった> 265 00:27:57,275 --> 00:28:00,078 <それから自信がついた> 266 00:28:00,678 --> 00:28:04,149 <うまくいくと分かった> 267 00:28:22,300 --> 00:28:25,136 <スロベニアは 独立するまで—> 268 00:28:25,236 --> 00:28:28,740 <共産主義国で 何もかもが同じだった> 269 00:28:29,107 --> 00:28:33,411 <突出してるものや 珍しいものはなく—> 270 00:28:33,711 --> 00:28:36,314 <表現は一様だった> 271 00:28:36,414 --> 00:28:42,887 <芸術の表現だけでなく 食の表現も代わり映えしない> 272 00:28:44,856 --> 00:28:46,291 <ある晩—> 273 00:28:47,125 --> 00:28:52,230 <料理評論家の友人が店に 食べに来てこう言った> 274 00:28:53,198 --> 00:28:55,300 <“アナ おいしかったよ”> 275 00:28:55,400 --> 00:28:58,436 <“料理が進化してるし 成長してる”> 276 00:28:58,737 --> 00:29:02,006 <“もっと身近な食材に 目を向けたら—”> 277 00:29:02,240 --> 00:29:04,776 <“さらにいい物が 作れると思う”> 278 00:29:04,876 --> 00:29:10,048 <“魚やチーズなど 地元の食材を使っては?”> 279 00:29:10,148 --> 00:29:11,850 <そう助言をくれた> 280 00:29:13,485 --> 00:29:20,158 <その言葉を聞いて 自分の中の何かが変わった> 281 00:29:20,458 --> 00:29:22,894 <いろいろ考え始めた> 282 00:29:29,768 --> 00:29:32,904 <スロベニアのソチャ川には> 283 00:29:33,004 --> 00:29:37,842 <昔からマーブルトラウトが 生息していた> 284 00:29:40,411 --> 00:29:45,049 <20世紀に入って 川が汚染されてしまい—> 285 00:29:45,150 --> 00:29:51,356 <マーブルトラウトの多くが 姿を消してしまった> 286 00:29:53,191 --> 00:29:56,361 <だけど地域の人たちが—> 287 00:29:58,396 --> 00:30:04,402 <元気な群れを見つけ 養殖することにしたの> 288 00:30:06,137 --> 00:30:09,808 <彼らは献身的に世話をした> 289 00:30:11,109 --> 00:30:15,947 <おかげでソチャ川の マーブルトラウトの数が> 290 00:30:16,114 --> 00:30:17,849 <増えているわ> 291 00:30:22,120 --> 00:30:26,558 <人里離れた場所に こんな美しい話があるとは> 292 00:30:27,425 --> 00:30:30,261 <私は胸を打たれた> 293 00:30:32,864 --> 00:30:35,433 <マーブルトラウトは—> 294 00:30:36,000 --> 00:30:39,337 <酸素が豊富で キレイな水が必要> 295 00:30:40,505 --> 00:30:44,609 <この魚も この地域の人々も—> 296 00:30:44,909 --> 00:30:48,279 <闘いながら生きてるんだと 感じた> 297 00:30:50,248 --> 00:30:53,184 <自分のことのようだった> 298 00:30:56,955 --> 00:31:03,394 <だからマーブルトラウトに 捧げる料理を作ってる> 299 00:31:10,335 --> 00:31:15,139 <それから食材について あることを決めた> 300 00:31:16,407 --> 00:31:21,913 <メインの食材は必ず 地元のものを使うと> 301 00:31:24,082 --> 00:31:27,585 <私たちの 新たな一章が始まった> 302 00:31:33,558 --> 00:31:36,327 <この土地を 料理で表現するの> 303 00:31:36,427 --> 00:31:40,565 <そうすると私の思いが 伝わるような—> 304 00:31:41,332 --> 00:31:43,301 <そんな気持ちになれる> 305 00:32:18,403 --> 00:32:22,507 <私は新たな スロベニアの物語と—> 306 00:32:22,607 --> 00:32:24,609 <哲学を作っていた> 307 00:33:10,621 --> 00:33:17,161 イタリアで記者をやってた時 アナの記事を書こうとした 308 00:33:17,261 --> 00:33:21,399 彼女に出会ったのは 2010年のミラノのイベント 309 00:33:21,499 --> 00:33:26,304 彼女は料理していて 私をもてなしてくれた 310 00:33:26,771 --> 00:33:30,508 温かみがある おいしい料理で— 311 00:33:30,608 --> 00:33:33,044 心から楽しめた 312 00:33:35,413 --> 00:33:38,783 それでアナの記事を 書きたいと思った 313 00:33:41,085 --> 00:33:44,055 だけど編集長に反対された 314 00:33:44,155 --> 00:33:47,392 “彼女は何者なんだ? 何が面白いんだ?”と 315 00:33:47,492 --> 00:33:52,597 だから私はみんなを “ヒシャ・フランコ”に— 316 00:33:53,031 --> 00:33:55,733 連れて行くことにしたの 317 00:33:56,034 --> 00:34:00,171 もちろん全員 アナの料理にホレ込んだわ 318 00:34:09,047 --> 00:34:14,485 <その記事が出てから 大きな変化があった> 319 00:34:14,619 --> 00:34:19,657 <スロベニアのグルメが 注目されるようになったの> 320 00:34:21,092 --> 00:34:26,364 <スロベニアにも おいしい料理があるのだと> 321 00:34:26,464 --> 00:34:32,136 <世界中に 知られるようになった> 322 00:34:37,475 --> 00:34:42,213 <発展途上だった この国の食文化では> 323 00:34:42,313 --> 00:34:47,418 <この一件は 非常に大事な出来事だった> 324 00:34:48,686 --> 00:34:53,658 <私が歩んできたことが スロベニアにとっての—> 325 00:34:53,758 --> 00:34:56,694 <大きな一歩となった> 326 00:34:59,564 --> 00:35:04,368 <スロベニアと この国のシェフのために—> 327 00:35:04,469 --> 00:35:08,139 <道を切り開くことができた> 328 00:35:10,708 --> 00:35:14,245 <シェフとして成功した 証しだと思ってる> 329 00:35:16,647 --> 00:35:21,119 スロベニアの食は 今後もヨーロッパ中で— 330 00:35:21,219 --> 00:35:22,720 注目され続けるだろう 331 00:35:22,820 --> 00:35:27,758 イギリス人もオランダ人も フランス人も驚いてる 332 00:35:27,859 --> 00:35:30,461 スロベニアの料理のウマさにね 333 00:35:33,631 --> 00:35:37,235 アナは国のために 大いに貢献した 334 00:35:50,815 --> 00:35:54,652 レバーやイチジクなどの パスタ 335 00:35:59,657 --> 00:36:06,531 ノロジカ カッテージチーズ 小さな赤いフルーツ 336 00:36:14,872 --> 00:36:21,679 ビッグアップル 337 00:36:31,656 --> 00:36:39,230 ソチャ・トラウト 生姜のスープ ビネガープラム 338 00:36:46,704 --> 00:36:48,639 フランコのトラウト 339 00:36:48,739 --> 00:36:51,909 シーアスパラガス アンチョビウォーター 340 00:36:57,448 --> 00:37:01,919 野生羊のチーズのラビオリ 骨髄 アンズタケ アカザエビ 341 00:37:02,253 --> 00:37:05,456 野生のベリー レモンカード スプルースケーキ 342 00:37:06,524 --> 00:37:09,994 桃 キュウリ ハニーキャラメル フラワーメレンゲ 343 00:37:12,830 --> 00:37:15,800 グレイリング ビートの根 344 00:37:15,900 --> 00:37:18,936 野生のラズベリー バターミルク 345 00:37:26,377 --> 00:37:31,616 イカ 子羊の胸腺肉 黒ニンニク 地下蔵チーズ 346 00:37:41,993 --> 00:37:47,832 サバ カボチャのピューレ 金箔 347 00:37:56,741 --> 00:38:02,346 <カモと一緒に こちらのワインをどうぞ> 348 00:38:02,446 --> 00:38:06,050 <メルローと ソーヴィニヨンのブレンド> 349 00:38:19,397 --> 00:38:23,934 アナは外交官を諦めて シェフになったが— 350 00:38:24,035 --> 00:38:28,539 今の彼女は外交官のようだと 私は思う 351 00:38:28,639 --> 00:38:33,044 彼女が行くのではなく 世界が彼女の元に来る 352 00:38:38,316 --> 00:38:41,419 <どう言えば ちゃんと伝わるか…> 353 00:38:43,354 --> 00:38:46,557 <両親を傷つけるつもりは なかった> 354 00:38:49,994 --> 00:38:53,431 <自分の心に 従いたい気持ちと> 355 00:38:53,631 --> 00:38:57,601 <両親を悲しませたくない 気持ちがあったけど> 356 00:38:58,402 --> 00:38:59,770 <心に従うことにした> 357 00:39:05,609 --> 00:39:06,377 <忍耐よ> 358 00:39:06,510 --> 00:39:09,814 <そう仕事は忍耐だ やり続けなきゃいけない> 359 00:39:09,914 --> 00:39:14,552 <自信を失って 辞めてはいけないんだ> 360 00:39:18,589 --> 00:39:22,526 <ようやく両親に 認められた時は—> 361 00:39:22,760 --> 00:39:24,662 <最高の気分だった> 362 00:39:28,099 --> 00:39:33,104 <生まれ育った この谷は アナには小さすぎた> 363 00:39:34,472 --> 00:39:39,710 <思いがけない方法で 彼女は自分の羽を広げた> 364 00:39:44,148 --> 00:39:50,087 <今では孫たちのそばで 暮らすことができてる> 365 00:39:50,388 --> 00:39:55,993 <娘がシェフとして 成功するとは意外だった> 366 00:40:00,398 --> 00:40:02,700 <だが誇りに思ってるよ> 367 00:40:02,900 --> 00:40:09,006 <家庭でも立派にやってるし シェフとしても立派だ> 368 00:40:09,440 --> 00:40:12,443 <世界に貢献してる> 369 00:40:12,943 --> 00:40:17,848 <本当の愛があれば 何でも成し遂げられる>