1 00:00:19,619 --> 00:00:23,590 数週間前 僕は婚約者と 話し合った 2 00:00:26,159 --> 00:00:29,562 今後どんな人生を 歩むかについて― 3 00:00:29,662 --> 00:00:31,731 話したのは初めてだった 4 00:00:36,336 --> 00:00:39,572 僕は“成功を収めたい”と 言った 5 00:00:42,142 --> 00:00:45,211 すると彼女は “自己中心的よ”と 6 00:00:46,713 --> 00:00:51,484 “僕は自己中心的じゃない” と否定したよ 7 00:00:54,687 --> 00:00:57,590 だが“自己中心的”の 意味を考えた 8 00:00:59,325 --> 00:01:03,063 “自分中心に 独自の世界を築き上げる” 9 00:01:03,163 --> 00:01:06,066 そういう意味だと解釈した 10 00:01:08,168 --> 00:01:12,238 それはまさに 今の僕の生き方だ 11 00:01:21,114 --> 00:01:23,616 僕は自己中心的 12 00:01:25,385 --> 00:01:26,786 胸を張って言える 13 00:01:40,266 --> 00:01:44,838 NETFLIX オリジナルドキュメンタリー 14 00:02:28,214 --> 00:02:31,351 シェフのテーブル 15 00:03:00,613 --> 00:03:02,348 〈始めよう〉 16 00:03:04,884 --> 00:03:07,921 〈全部 片づけないと 始められない〉 17 00:03:10,523 --> 00:03:11,424 〈急げ〉 18 00:03:11,858 --> 00:03:14,360 〈考えてるヒマはない〉 19 00:03:16,829 --> 00:03:19,365 ティムは自分の 主張を曲げない… 20 00:03:19,365 --> 00:03:20,800 ティムは自分の 主張を曲げない… 料理書著者 ウルスラ・ ハインツェルマン 21 00:03:20,800 --> 00:03:21,668 料理書著者 ウルスラ・ ハインツェルマン 22 00:03:21,668 --> 00:03:24,737 料理書著者 ウルスラ・ ハインツェルマン 〝主張を曲げない〞は ちょっと違うわ 23 00:03:29,309 --> 00:03:31,778 〈何やってる 行けよ!〉 24 00:03:33,313 --> 00:03:35,915 〈パレットナイフを 持ってこい〉 25 00:03:36,649 --> 00:03:38,351 彼は そうね… 26 00:03:40,386 --> 00:03:41,921 張り詰めてて… 27 00:03:42,589 --> 00:03:44,624 ダメ 陳腐な表現だわ 28 00:03:45,925 --> 00:03:50,396 〈いいか お前たち こうやって立つんだ〉 29 00:03:50,530 --> 00:03:51,531 もう一度 30 00:03:51,764 --> 00:03:52,465 いいわ 31 00:03:54,234 --> 00:03:57,537 ティムはごう慢な ロクデナシね 32 00:03:58,371 --> 00:04:01,274 思ったことを率直に言う 33 00:04:01,808 --> 00:04:06,546 〈皿を取ってくるんだ そして ここに置け〉 34 00:04:06,713 --> 00:04:07,513 いいか? 35 00:04:08,748 --> 00:04:13,486 彼は少しぐらい批判されても 動じない 36 00:04:14,587 --> 00:04:16,589 挑戦的でありたいの 37 00:04:18,524 --> 00:04:21,961 だから最も人気のある シェフではない 38 00:04:26,399 --> 00:04:31,537 でもティムはベルリンの 食文化に― 39 00:04:32,005 --> 00:04:33,806 欠かせない存在なの 40 00:04:34,941 --> 00:04:39,846 彼はベルリンの食のすべてを 象徴しているからよ 41 00:04:40,947 --> 00:04:43,716 〝レストラン・ ティム・ラウエ〞 ドイツ ベルリン 42 00:04:43,850 --> 00:04:46,586 ミシュラン二つ星 世界のベスト・ レストラン50 第34位 43 00:04:50,423 --> 00:04:54,460 ベルリン以外では 彼の評価は賛否両論ある 44 00:04:57,330 --> 00:04:59,999 彼は典型的な ベルリンの人間だ 45 00:05:02,068 --> 00:05:02,802 ベルリンの人は 変わってると思われてる 46 00:05:02,802 --> 00:05:06,005 ベルリンの人は 変わってると思われてる 料理評論家 ステファン・ エルフェンバイン博士 47 00:05:07,607 --> 00:05:11,010 例外なくティムの行動も 変わってる 48 00:05:13,880 --> 00:05:15,648 まさにベルリン的だ 49 00:05:19,319 --> 00:05:21,888 ティムは野心に あふれていて― 50 00:05:23,356 --> 00:05:25,358 遠慮なく発言する 51 00:05:25,858 --> 00:05:29,629 周りの人に対して いつも厳しいわ 52 00:05:31,397 --> 00:05:34,500 それは彼の育った環境が 原因なの 53 00:05:35,101 --> 00:05:37,904 彼はツラい日々を送ってた 54 00:05:40,940 --> 00:05:44,510 ティムは治安の悪い クロイツベルク育ちだ 55 00:05:46,112 --> 00:05:49,782 かつて誰も行きたがらない 地域だった 56 00:05:51,484 --> 00:05:53,619 彼はギャング団に入り― 57 00:05:53,786 --> 00:05:57,657 ケンカをしながら 空腹に耐えていた 58 00:06:00,727 --> 00:06:03,796 それが今やドイツ一(いち)の シェフだ 59 00:06:07,934 --> 00:06:13,673 ドイツの高級料理と言えば 堅苦しい雰囲気と― 60 00:06:15,041 --> 00:06:17,376 伝統的なフランス料理だ 61 00:06:17,810 --> 00:06:19,946 ティムは それを変えた 料理評論家 ジュリアン・ヴァルター 62 00:06:24,617 --> 00:06:28,421 彼はドイツの 高級料理店に― 63 00:06:28,688 --> 00:06:31,824 アジアの要素をいち早く 取り入れた 64 00:06:33,826 --> 00:06:38,664 “ワサビ・ ラングスティーヌ”には驚く 65 00:06:40,666 --> 00:06:44,871 食べた途端に スパイシーな風味が広がる 66 00:06:46,572 --> 00:06:49,142 顔にパンチを食らうようだ 67 00:06:54,046 --> 00:06:58,451 ティムはベルリンの 象徴であり導き手だ 68 00:06:59,118 --> 00:07:02,121 彼の半生から ベルリンが分かる 69 00:07:04,991 --> 00:07:07,460 ベルリンで最も重要な シェフだ 70 00:07:24,911 --> 00:07:27,513 〈何の味もしない〉 71 00:07:28,014 --> 00:07:31,451 〈辛くしないと 魚に味がしみ込まない〉 72 00:07:33,186 --> 00:07:35,822 〈味がしないだろ〉 73 00:07:37,156 --> 00:07:39,926 〈火は通ってるが パンチがない〉 74 00:07:41,627 --> 00:07:43,129 料理の道に入った時― 75 00:07:44,597 --> 00:07:46,132 僕は特別ではなかった 76 00:07:47,500 --> 00:07:50,069 大勢いる生徒の1人だった 77 00:07:53,039 --> 00:07:56,175 後になって学んだことがある 78 00:07:56,642 --> 00:07:59,212 人は1つでも 才能があれば― 79 00:08:00,580 --> 00:08:02,181 興味を持ってもらえる 80 00:08:07,820 --> 00:08:09,789 シェフになる時― 81 00:08:10,756 --> 00:08:12,792 僕は ある決意をした 82 00:08:13,192 --> 00:08:15,194 “挑戦的になること” 83 00:08:16,562 --> 00:08:18,264 “過剰にやること” 84 00:08:19,665 --> 00:08:22,535 “平凡なままでは―” 85 00:08:23,269 --> 00:08:27,173 “誰にも気付かれず 記事にもされない” 86 00:08:28,975 --> 00:08:29,876 〈ダメだ〉 87 00:08:31,677 --> 00:08:32,812 〈辛くない〉 88 00:08:34,514 --> 00:08:36,015 〈全然ダメ〉 89 00:08:38,651 --> 00:08:42,255 挑戦的であることは 僕の個性なんだ 90 00:08:42,688 --> 00:08:45,224 黙って座ってるのは ご免だ 91 00:08:49,662 --> 00:08:52,798 〈味がしっかりしてないと ダメだ〉 92 00:08:53,633 --> 00:08:55,301 〈それが うちの料理〉 93 00:08:56,536 --> 00:08:57,803 〈味が薄すぎる〉 94 00:08:59,839 --> 00:09:03,109 挑戦的だからこそ 過剰に味をつける 95 00:09:05,611 --> 00:09:06,279 〈ダメ〉 96 00:09:08,214 --> 00:09:09,582 〈もう少しだ〉 97 00:09:09,949 --> 00:09:13,586 〈さっきの2倍の量は 入れないと〉 98 00:09:17,623 --> 00:09:22,762 人と違うことをやって 周りに気付かせたい 99 00:09:25,064 --> 00:09:29,268 世界のどんな料理よりも 目立つ物を作りたい 100 00:09:32,638 --> 00:09:35,074 それが自分自身を 表現する― 101 00:09:35,875 --> 00:09:37,276 僕なりの方法だ 102 00:09:53,025 --> 00:09:55,161 130年前のベルリンは― 103 00:09:55,328 --> 00:09:59,165 世界でも急成長を 遂げている都市だった 104 00:10:01,233 --> 00:10:04,036 ヨーロッパ中から 移民が集まり― 105 00:10:04,737 --> 00:10:08,908 彼らは好きな食べ物や レシピを持ち込んだ 106 00:10:10,876 --> 00:10:15,181 その時にベルリンの食文化が 発達したの 107 00:10:19,952 --> 00:10:23,055 1930年 ベルリンはパリに次ぐ― 108 00:10:23,189 --> 00:10:26,092 世界的に大きな 食の都になった 109 00:10:27,660 --> 00:10:29,028 活気に満ちていた 110 00:10:34,634 --> 00:10:38,170 だが戦争が すべてを変えてしまった 111 00:10:53,085 --> 00:10:56,822 ベルリンの壁が建設され 街は東西に― 112 00:10:57,089 --> 00:10:58,324 分断された 113 00:11:03,129 --> 00:11:06,098 ベルリンは陸の孤島となった 114 00:11:08,768 --> 00:11:11,671 新鮮な食材は 手に入らなかった 115 00:11:13,305 --> 00:11:16,876 もはや 食の都ではなくなったんだ 116 00:11:20,980 --> 00:11:24,116 80年代も まだベルリンの壁はあった 117 00:11:24,250 --> 00:11:26,419 “連合軍検問所” 118 00:11:27,086 --> 00:11:30,256 ティムが住んでいた クロイツベルクは― 119 00:11:30,356 --> 00:11:33,259 3方向を壁に囲まれ 治安も悪かった 120 00:11:35,394 --> 00:11:37,797 閉ざされた町だった 121 00:11:40,132 --> 00:11:44,036 状況が変わるなんて 考えられなかった 122 00:11:46,305 --> 00:11:48,841 非常に暗い時代だった 123 00:12:07,359 --> 00:12:10,096 やあ 元気か? 124 00:12:22,374 --> 00:12:27,246 3歳から9歳まで ベルリンの貧困地域で育った 125 00:12:30,149 --> 00:12:34,186 母と一緒に暮らしてたが とても貧しかった 126 00:12:37,022 --> 00:12:41,193 母は優しかったが 知的に恵まれてなかった 127 00:12:42,428 --> 00:12:45,097 子供を育てられなかった 128 00:12:48,200 --> 00:12:52,938 それで9歳の時 父親と暮らすことになった 129 00:12:54,807 --> 00:12:57,843 問題はすぐに起こり始めた 130 00:13:02,148 --> 00:13:04,383 父は仕事で つまずいた 131 00:13:06,152 --> 00:13:07,486 それが きっかけで… 132 00:13:10,389 --> 00:13:12,224 僕を虐待し始めた 133 00:13:17,897 --> 00:13:22,301 週に2回だった暴力が 毎日になったりもした 134 00:13:25,471 --> 00:13:28,841 病院に運ばれることもあった 135 00:13:29,508 --> 00:13:32,811 耳や目から血が出たんだ 136 00:13:36,482 --> 00:13:40,352 9歳の僕は 父から虐待を受け― 137 00:13:43,255 --> 00:13:44,356 孤独だった 138 00:13:49,862 --> 00:13:52,831 当時 よく小遣いを 持って― 139 00:13:54,033 --> 00:13:57,169 スーパーに行き 食べ物を買った 140 00:13:59,905 --> 00:14:03,475 それが日常からの逃避だった 141 00:14:04,076 --> 00:14:07,079 そこにあるのは食べ物の― 142 00:14:08,013 --> 00:14:10,916 味や香り 食感だけだった 143 00:14:15,421 --> 00:14:18,891 誰からも 傷つけられることのない― 144 00:14:19,158 --> 00:14:20,893 僕だけの場所だった 145 00:14:30,636 --> 00:14:32,438 〈パイクパーチ3皿〉 146 00:14:35,007 --> 00:14:37,109 〈8番テーブルに急げ〉 147 00:14:42,147 --> 00:14:46,318 ティムの店は修業には 厳しいと言われている 148 00:14:49,121 --> 00:14:52,524 彼の口調は とても荒々しいからね 149 00:14:53,125 --> 00:14:54,293 〈キャビア完成〉 150 00:14:54,393 --> 00:14:56,395 〈早く魚を盛り付けろ〉 151 00:14:57,363 --> 00:15:01,200 だがリーダーとしての彼は 素晴らしい 152 00:15:01,400 --> 00:15:03,335 指示が明確だからだ 153 00:15:11,076 --> 00:15:13,612 ベルリンでは よくこう言われる 154 00:15:14,313 --> 00:15:19,218 “言いたいことを言い やりたいことをやれ” 155 00:15:21,921 --> 00:15:25,491 ベルリンの人間は あまり礼儀を考えない 156 00:15:28,227 --> 00:15:32,064 率直なコミュニケーションを 取ろうとする 157 00:15:37,369 --> 00:15:39,972 〈塩が全然 足りてない〉 158 00:15:42,174 --> 00:15:47,212 自分の能力を過信している 若いシェフには― 159 00:15:48,714 --> 00:15:51,283 彼はすぐさま忠告を与える 160 00:15:52,151 --> 00:15:54,353 〈味が少し薄い〉 161 00:15:56,255 --> 00:15:59,291 だが同時に彼は ベルリンでも有数の― 162 00:16:00,960 --> 00:16:02,661 シェフを育て上げる 163 00:16:02,995 --> 00:16:05,331 〈いいぞ 沸騰させよう〉 164 00:16:08,033 --> 00:16:11,437 僕の言葉を 信じてもらうことが重要だ 165 00:16:13,672 --> 00:16:15,975 シェフを雇ったら― 166 00:16:16,475 --> 00:16:19,144 握手を交わすことにしてる 167 00:16:21,680 --> 00:16:23,115 契約の印だ 168 00:16:26,251 --> 00:16:27,319 その後は― 169 00:16:28,620 --> 00:16:30,556 僕が面倒を見る 170 00:16:32,157 --> 00:16:33,726 何が起ころうともね 171 00:16:37,429 --> 00:16:39,732 時には厳しく接する 172 00:16:42,768 --> 00:16:45,671 だが決して彼らを裏切らない 173 00:16:45,771 --> 00:16:48,173 僕はまっすぐな性格なんだ 174 00:16:50,509 --> 00:16:51,610 〈かなりいいぞ〉 175 00:16:53,612 --> 00:16:55,514 〈この2つは―〉 176 00:16:55,748 --> 00:16:59,752 〈まだ指導の余地が 残ってるな〉 177 00:17:00,319 --> 00:17:01,186 〈以上だ〉 178 00:17:16,335 --> 00:17:19,071 父と暮らすまでは― 179 00:17:19,171 --> 00:17:21,473 かわいくて いい子だった 180 00:17:22,341 --> 00:17:25,744 物は盗まず 人を傷つけることもなく― 181 00:17:26,045 --> 00:17:27,613 悪いことはしなかった 182 00:17:32,551 --> 00:17:36,688 だが虐待の日々が 続いてから― 183 00:17:37,823 --> 00:17:39,224 何かが変わった 184 00:17:41,560 --> 00:17:45,264 子供に殴る蹴るの 暴行を加えると― 185 00:17:45,798 --> 00:17:49,768 まるで核爆弾のような衝撃を 受ける 186 00:17:53,505 --> 00:17:58,143 僕は憎しみを抱え その憎しみは大きくなった 187 00:17:59,645 --> 00:18:01,647 そして制御できなくなった 188 00:18:03,348 --> 00:18:06,285 僕も暴力的になったんだ 189 00:18:12,624 --> 00:18:17,496 それから僕はギャング団の 一員になった 190 00:18:22,801 --> 00:18:26,839 誰がリーダーなのかを 決めるために― 191 00:18:27,406 --> 00:18:31,543 ケンカを繰り返す日々だった 192 00:18:36,415 --> 00:18:41,587 他のギャング団と闘ったり 盗みを働いたりした 193 00:18:45,457 --> 00:18:51,730 僕は暴力を求め 誰かを殴り 相手を倒すことで― 194 00:18:51,830 --> 00:18:55,434 人生をコントロールしてる つもりだった 195 00:18:58,303 --> 00:19:02,474 拳で殴っても 倒れなかったら― 196 00:19:02,641 --> 00:19:05,277 イスやビンで殴った 197 00:19:05,410 --> 00:19:07,179 相手が倒れるまでね 198 00:19:12,885 --> 00:19:16,655 とにかく手に負えない 悪ガキだった 199 00:19:19,591 --> 00:19:22,294 僕は暴力を受ける側から― 200 00:19:23,262 --> 00:19:27,733 暴力を与える側へと 変わってしまったんだ 201 00:19:29,434 --> 00:19:30,736 攻撃者だった 202 00:19:53,625 --> 00:19:55,394 ドイツ人の多くは― 203 00:19:55,894 --> 00:19:58,497 食に対して積極的ではない 204 00:20:00,199 --> 00:20:03,769 食にこだわりを持たないんだ 205 00:20:05,237 --> 00:20:10,475 ドイツでは食事は栄養を 取れれば十分だと思われてる 206 00:20:11,343 --> 00:20:13,579 食材や風味の良さを― 207 00:20:14,580 --> 00:20:17,816 重要視してはいないんだ 208 00:20:20,586 --> 00:20:25,457 高級料理店となると 人々は期待して訪れる 209 00:20:25,724 --> 00:20:28,660 だが料理の内容は 重要ではない 210 00:20:29,461 --> 00:20:32,531 彼らは典型的な 高級料理店の― 211 00:20:32,798 --> 00:20:34,633 体験がしたいだけだ 212 00:20:42,274 --> 00:20:45,477 高級料理店に行ったら 友達に自慢する 213 00:20:45,577 --> 00:20:49,548 “20種類ものパンが 出てきた”とか― 214 00:20:49,648 --> 00:20:53,919 “何種類も水があって サービスがよかった”とね 215 00:20:55,287 --> 00:20:59,992 ティムはそういうことを 全部 取り払った 216 00:21:01,893 --> 00:21:04,796 “レストラン・ティム・ ラウエ”は― 217 00:21:05,731 --> 00:21:07,966 広い意味で高級料理店だ 218 00:21:08,734 --> 00:21:13,472 ベルリンにある ベルリン流の高級料理店だ 219 00:21:15,440 --> 00:21:17,976 ペット同伴でも許され― 220 00:21:18,277 --> 00:21:20,312 ウェイターはジーンズ姿 221 00:21:22,681 --> 00:21:24,750 今までにない雰囲気で― 222 00:21:25,550 --> 00:21:27,653 型にはまってない 223 00:21:32,724 --> 00:21:35,427 ティムが作り出した世界だ 224 00:21:36,862 --> 00:21:39,364 彼は規則を気にしない 225 00:22:05,457 --> 00:22:08,827 〈前 食べたケバブは こうじゃなかった〉 226 00:22:08,927 --> 00:22:10,762 〈改善したんだ〉 227 00:22:10,896 --> 00:22:11,830 〈そうか〉 228 00:22:12,431 --> 00:22:15,600 〈特別な物は 入ってるのか?〉 229 00:22:16,034 --> 00:22:17,035 〈唐辛子と…〉 230 00:22:17,369 --> 00:22:19,838 〈いいものだけを使ってる〉 231 00:22:21,473 --> 00:22:22,974 〈本当なんだ〉 232 00:22:24,776 --> 00:22:28,914 ギャング団の仲間たちは 強盗や麻薬の取引で― 233 00:22:30,048 --> 00:22:32,918 本物の犯罪者になっていった 234 00:22:34,352 --> 00:22:37,389 だが他の何人かは 現実に気付いた 235 00:22:37,789 --> 00:22:41,793 そんなことは今後10年も やってられない 236 00:22:43,528 --> 00:22:47,399 僕も何か仕事を 見つけないといけなかった 237 00:22:49,801 --> 00:22:52,404 〈よし じゃあ次の人!〉 238 00:22:52,938 --> 00:22:56,475 ドイツでは 10年生が終わると― 239 00:22:56,575 --> 00:23:01,780 自分に合った3つの職業を 提示されるんだ 240 00:23:02,481 --> 00:23:05,917 僕の場合は庭師に 塗装工に料理人 241 00:23:08,887 --> 00:23:11,590 なぜか その3つだったが― 242 00:23:11,723 --> 00:23:13,859 食べることは好きだった 243 00:23:16,962 --> 00:23:20,432 だから試しに 料理の道に進んだんだ 244 00:23:25,804 --> 00:23:31,510 見習いの最初の頃 先生が前に立ち こう言った 245 00:23:31,610 --> 00:23:36,715 “今日は自分の料理を 考案してもらいます” 246 00:23:39,117 --> 00:23:41,720 自分の好きな物が何か― 247 00:23:41,987 --> 00:23:43,088 考えた 248 00:23:48,660 --> 00:23:50,428 紙を破って― 249 00:23:50,762 --> 00:23:53,598 好物の“イチジク”と書いた 250 00:23:57,569 --> 00:24:01,740 イタリア産の バルサミコ酢を思いついた 251 00:24:02,574 --> 00:24:06,011 高級品だったので それも書いた 252 00:24:09,014 --> 00:24:13,752 クルミのキャラメリゼの 方法を教わったから― 253 00:24:14,619 --> 00:24:16,822 “クルミ”と書いた 254 00:24:18,590 --> 00:24:20,058 翌週になると― 255 00:24:20,158 --> 00:24:24,462 先生が僕らの書いた材料を 用意してくれた 256 00:24:24,996 --> 00:24:27,465 それぞれが料理を作った 257 00:24:34,539 --> 00:24:36,508 僕が真っ先に完成させた 258 00:24:37,108 --> 00:24:38,543 見た目は悪いが― 259 00:24:38,910 --> 00:24:41,813 みんなが寄ってきて 試食を始めた 260 00:24:42,914 --> 00:24:45,517 すると先生が驚いた 261 00:24:47,719 --> 00:24:52,958 “熟したイチジクの甘さと クルミの歯ごたえが―” 262 00:24:53,058 --> 00:24:54,492 “素晴らしい” 263 00:24:56,094 --> 00:24:58,864 試食した誰もが絶賛した 264 00:24:59,531 --> 00:25:02,167 僕には才能があったんだ 265 00:25:06,504 --> 00:25:11,276 料理があれば単調な 毎日から抜け出せると思った 266 00:25:12,711 --> 00:25:16,648 かつての生活から 遠ざかりたかった 267 00:25:30,795 --> 00:25:34,666 〈みんな いいか 今から魚の―〉 268 00:25:34,766 --> 00:25:36,234 〈おろし方を教える〉 269 00:25:38,770 --> 00:25:41,673 〈通常は腹の身を切って―〉 270 00:25:41,973 --> 00:25:44,876 〈その後で骨を抜く〉 271 00:25:45,577 --> 00:25:49,681 〈そのおろし方でも 問題はないが―〉 272 00:25:49,848 --> 00:25:50,982 〈面白くない〉 273 00:25:51,116 --> 00:25:56,121 〈欲しいのは ここと ここのきれいな白身だ〉 274 00:25:57,322 --> 00:25:59,090 〈だから僕は―〉 275 00:25:59,190 --> 00:26:03,728 〈自分に一番合う おろし方を考えた〉 276 00:26:06,731 --> 00:26:09,901 その頃 本格的に仕事を探し始めた 277 00:26:11,569 --> 00:26:14,239 僕は野心に満ちあふれてた 278 00:26:15,640 --> 00:26:19,577 五つ星ホテルのシェフに 応募したが― 279 00:26:19,744 --> 00:26:21,746 どこからも返事がなかった 280 00:26:22,280 --> 00:26:27,719 四つ星のホテルに応募しても 同じく返事がなかった 281 00:26:30,689 --> 00:26:33,758 3ヵ月経っても 何の返事もなく― 282 00:26:34,059 --> 00:26:35,760 理由は分からなかった 283 00:26:37,696 --> 00:26:39,597 僕は腹が立った 284 00:26:40,999 --> 00:26:44,903 〈これが完璧な 白身魚の切り身だ〉 285 00:26:52,010 --> 00:26:55,747 そんな時 五つ星ホテルの― 286 00:26:56,181 --> 00:26:57,916 人事担当に呼ばれた 287 00:26:59,918 --> 00:27:03,855 “どこからも返事が なかったわね”と言われ― 288 00:27:05,290 --> 00:27:07,625 なぜ分かるのかと聞いた 289 00:27:09,661 --> 00:27:13,398 “危険なクロイツベルクの 出身だからよ” 290 00:27:14,132 --> 00:27:16,167 そう言われたんだ 291 00:27:19,204 --> 00:27:21,773 そこを見られていたとはね 292 00:27:21,873 --> 00:27:25,076 面接を受ければ 採用されて― 293 00:27:25,210 --> 00:27:29,681 自分の野心 情熱を 知ってもらえると思ってた 294 00:27:29,814 --> 00:27:31,683 でも現実は違った 295 00:27:36,821 --> 00:27:38,223 僕は求められてない 296 00:27:43,028 --> 00:27:46,698 仕事があるのは 格下の店だった 297 00:27:49,067 --> 00:27:52,971 そういう店では 喜んで雇ってくれる 298 00:27:55,707 --> 00:27:58,977 僕はミシュランの星を持つ 店がよかった 299 00:28:00,845 --> 00:28:06,084 だが格下の店で働くしか 選択肢が残されてなかった 300 00:28:20,098 --> 00:28:21,199 〈これでいい?〉 301 00:28:21,299 --> 00:28:23,368 〈他にアレンジはない〉 302 00:28:23,868 --> 00:28:26,771 〈丸いのは時々 大きさを変える〉 303 00:28:27,072 --> 00:28:30,141 〈出汁の塩気によるんだ〉 304 00:28:30,742 --> 00:28:32,143 〈入れすぎですか?〉 305 00:28:32,277 --> 00:28:33,311 〈いつもだろ〉 306 00:28:34,813 --> 00:28:37,749 僕は“シャレー・スイス”で 働き始めた 307 00:28:38,817 --> 00:28:42,087 スイス料理が中心の店だった 308 00:28:45,290 --> 00:28:48,760 厨房には敵意が満ちていた 309 00:28:48,893 --> 00:28:52,430 プレッシャーや緊張感も 感じられた 310 00:28:53,998 --> 00:28:56,167 まるで街のケンカだ 311 00:28:58,269 --> 00:29:03,808 最初 僕は切ることもできず 何の技術もなかったが― 312 00:29:03,908 --> 00:29:05,910 闘うことはできた 313 00:29:06,911 --> 00:29:08,313 競争だった 314 00:29:08,780 --> 00:29:13,318 僕は勝つために 毎日 厨房に立ってた 315 00:29:32,237 --> 00:29:37,976 出世の段階はコミ・シェフ デミ・シェフ 部門シェフ 316 00:29:38,076 --> 00:29:42,347 ジュニア・スーシェフ スーシェフ そして料理長だ 317 00:29:42,947 --> 00:29:44,315 〈おはよう〉 318 00:29:44,983 --> 00:29:49,087 コミ・シェフだった頃は 上のポジションを目指し 319 00:29:49,320 --> 00:29:54,392 デミ・シェフの男を 目の敵にしながら働いた 320 00:29:56,828 --> 00:30:01,132 彼より早く出勤し 彼より早く仕事をこなした 321 00:30:01,232 --> 00:30:02,934 そして料理長には― 322 00:30:03,034 --> 00:30:07,872 “デミ・シェフより上手に 切れてる”とアピールした 323 00:30:10,575 --> 00:30:13,011 僕は同僚から嫌われてた 324 00:30:13,111 --> 00:30:16,848 彼らをイラつかせてたから 当然だ 325 00:30:16,981 --> 00:30:17,982 やあ ポーラ 326 00:30:18,316 --> 00:30:23,288 力をつけるためには 何でもやったし― 327 00:30:23,388 --> 00:30:26,491 そのお陰で 昔の生活から離れられた 328 00:30:26,591 --> 00:30:27,458 〈まずまずだ〉 329 00:30:28,259 --> 00:30:32,330 生きるため あの街には戻りたくなかった 330 00:30:32,430 --> 00:30:34,833 〈おはよう みんな!〉 331 00:30:35,900 --> 00:30:39,304 そして僕は 23歳で料理長になれた 332 00:30:40,538 --> 00:30:45,276 みんなの前に立って オーダーを読み上げ― 333 00:30:45,376 --> 00:30:47,212 細かく指示を出す 334 00:30:48,179 --> 00:30:50,915 僕はタフで実力があり― 335 00:30:51,282 --> 00:30:52,383 集団を率いてた 336 00:31:07,265 --> 00:31:09,901 〈ここにある サーモンで―〉 337 00:31:10,435 --> 00:31:14,272 〈どんな料理が作れるか 考えよう〉 338 00:31:16,908 --> 00:31:18,643 〈このサーモンなら―〉 339 00:31:19,244 --> 00:31:21,613 〈寿司や刺身にできる〉 340 00:31:24,082 --> 00:31:26,117 2003年頃― 341 00:31:26,217 --> 00:31:30,922 ティムは意外な食材の 組み合わせで料理を作った 342 00:31:34,192 --> 00:31:37,528 例えばロブスターに― 343 00:31:37,996 --> 00:31:41,065 ベルリンで収穫した ビーツを合わせた 344 00:31:42,200 --> 00:31:44,202 彼は力を証明したかった 345 00:31:46,204 --> 00:31:49,240 自分の個性を発揮したかった 346 00:31:51,309 --> 00:31:53,678 彼の新しく大胆な発想は― 347 00:31:54,646 --> 00:31:56,381 うまくいかなかった 348 00:32:03,354 --> 00:32:04,656 〈パパイヤと―〉 349 00:32:05,924 --> 00:32:06,958 〈これだ〉 350 00:32:08,326 --> 00:32:10,495 彼の奇抜な料理は― 351 00:32:11,229 --> 00:32:13,965 批評家たちに酷評された 352 00:32:16,200 --> 00:32:21,105 ベルリンで高級料理と言えば 伝統的なフランス料理だ 353 00:32:23,141 --> 00:32:26,344 彼が自分らしさを 追い求めるほど― 354 00:32:28,513 --> 00:32:30,949 人々に敬遠された 355 00:32:33,551 --> 00:32:37,288 「ゴ・エ・ミヨ」は ヨーロッパの食のガイド本だ 356 00:32:38,556 --> 00:32:42,560 「ゴ・エ・ミヨ」は 僕にとって重要で― 357 00:32:42,660 --> 00:32:45,663 その本がドイツ一(いち)の シェフを決める 358 00:32:49,167 --> 00:32:52,503 その年の暮れに出た 「ゴ・エ・ミヨ」には― 359 00:32:54,138 --> 00:32:55,273 こう書かれてた 360 00:32:55,640 --> 00:32:58,977 “彼は自分に自信を 持っている” 361 00:32:59,077 --> 00:33:02,280 “しかし どの料理も スパイスがきつい” 362 00:33:04,315 --> 00:33:08,119 “創造的だと 思っているようだが―” 363 00:33:08,386 --> 00:33:10,421 “料理はよくない” 364 00:33:18,663 --> 00:33:21,632 優れたシェフに なりたかったが― 365 00:33:23,668 --> 00:33:26,204 僕の料理は 理解されなかった 366 00:33:33,711 --> 00:33:37,148 名を上げたいなら どうするか 367 00:33:41,085 --> 00:33:42,453 何かを変えないと 368 00:34:03,474 --> 00:34:07,745 〈“フォアグラの抹茶添え” を作った〉 369 00:34:08,679 --> 00:34:10,515 〈食べてみてくれ〉 370 00:34:16,054 --> 00:34:18,156 “スイスホテル”に いた頃― 371 00:34:19,223 --> 00:34:23,428 シェフとしての腕前に まだ自信がなかった 372 00:34:25,630 --> 00:34:31,135 大成功しているシェフが 何をしているか考えてみた 373 00:34:32,303 --> 00:34:37,308 当時 ドイツのシェフは フランス料理に― 374 00:34:37,642 --> 00:34:39,644 ドイツの要素を加えた 375 00:34:41,712 --> 00:34:45,116 僕もそういう料理を 研究し始めた 376 00:34:45,383 --> 00:34:47,251 〈では よい給仕を〉 377 00:34:58,129 --> 00:35:02,433 あらゆる料理本や グルメ雑誌を買いあさり― 378 00:35:03,534 --> 00:35:05,236 隅から隅まで読んだ 379 00:35:09,307 --> 00:35:12,343 1日18時間働いて― 380 00:35:12,810 --> 00:35:17,815 テレビを見ることもなく 料理だけに没頭した 381 00:35:28,392 --> 00:35:33,564 その頃 ティムの料理は 前進し 繊細になっていった 382 00:35:37,301 --> 00:35:38,769 そしてある時点から― 383 00:35:39,470 --> 00:35:42,440 ティムは名を上げ始めた 384 00:35:47,578 --> 00:35:49,847 2006年の終わりに― 385 00:35:50,448 --> 00:35:53,718 「ゴ・エ・ミヨ」の編集者から 連絡があった 386 00:35:54,719 --> 00:35:59,323 僕がその年の最優秀シェフに 選ばれたんだ 387 00:36:02,860 --> 00:36:05,463 最年少受賞者に名を連ねた 388 00:36:08,266 --> 00:36:11,469 欲しい物を 手に入れた瞬間だった 389 00:36:13,871 --> 00:36:18,476 店には人が押し寄せ ミシュラン一つ星を獲得した 390 00:36:18,709 --> 00:36:21,746 周りから見れば すべて順調だった 391 00:36:26,851 --> 00:36:28,920 だが僕は満足してなかった 392 00:36:31,355 --> 00:36:33,357 何かは分からないが― 393 00:36:34,325 --> 00:36:36,427 足りない物があった 394 00:36:46,737 --> 00:36:51,609 〈さっき食べた料理の 隠し味は何なんだ?〉 395 00:36:51,776 --> 00:36:53,644 〈秘密ですよ〉 396 00:36:57,915 --> 00:37:00,651 〈このエビの料理をどうぞ〉 397 00:37:00,751 --> 00:37:02,653 〈殻ごと?〉 398 00:37:02,887 --> 00:37:07,258 〈殻ごとでもいいですよ パリパリしてます〉 399 00:37:10,895 --> 00:37:11,862 〈いい味だ〉 400 00:37:12,930 --> 00:37:17,535 その頃 アジアを訪れ シンガポールに行った 401 00:37:20,271 --> 00:37:21,872 そして初めて― 402 00:37:22,506 --> 00:37:27,778 アジア料理の高級料理店で 食事をしたんだ 403 00:37:28,546 --> 00:37:29,647 それはまるで… 404 00:37:30,348 --> 00:37:31,682 何と言うか… 405 00:37:32,483 --> 00:37:35,319 突然現れたパラダイスだった 406 00:37:40,691 --> 00:37:45,496 シンガポールは前衛的な 中国料理の中心地だった 407 00:37:47,298 --> 00:37:52,436 多くのシェフが伝統的な 広東料理の調理法に― 408 00:37:52,570 --> 00:37:56,707 タイ料理の風味や 西洋の食材を合わせた 409 00:37:56,974 --> 00:38:00,344 日本料理の完璧さも 見られた 410 00:38:06,284 --> 00:38:09,887 ある店で蒸したタラの料理を 注文した 411 00:38:10,721 --> 00:38:16,460 中国風の料理に タイ風の マンゴーサラダを添えてた 412 00:38:22,533 --> 00:38:25,002 甘酸っぱく サクサクしていて― 413 00:38:25,503 --> 00:38:27,638 口の中で すべてが合わさった 414 00:38:27,738 --> 00:38:31,342 感銘を受け 同じ料理を4回 注文した 415 00:38:33,344 --> 00:38:35,846 ものすごく心に響いた 416 00:38:45,022 --> 00:38:48,659 4回 食べた後 あることに気付いた 417 00:38:48,893 --> 00:38:51,929 フランス料理の発想は 僕には合わない 418 00:38:52,029 --> 00:38:55,933 フランス料理は調和と バランスが重要だが― 419 00:38:56,467 --> 00:39:00,037 僕の料理には調和も バランスも関係ない 420 00:39:02,873 --> 00:39:06,944 新しいことに気付いた 目覚めの瞬間だった 421 00:39:11,048 --> 00:39:14,518 スパイシーさ 情熱 挑戦的な味付け 422 00:39:14,685 --> 00:39:15,886 まさに僕だった 423 00:39:31,836 --> 00:39:34,805 ドイツに戻っても 僕はまだ― 424 00:39:34,939 --> 00:39:40,411 スペイン料理の斬新さと フランス料理を合わせてた 425 00:39:40,945 --> 00:39:42,413 〝レストラン・ ティム・ラウエ〞 426 00:39:42,413 --> 00:39:44,782 〝レストラン・ ティム・ラウエ〞 自分の店を見て思った 427 00:39:45,583 --> 00:39:47,985 〝まったく違うことが 必要だ〞 428 00:39:52,423 --> 00:39:57,395 フランス料理の発想を すべて締め出すことにした 429 00:40:01,832 --> 00:40:03,667 僕の料理を作った 430 00:40:06,537 --> 00:40:10,941 より存在感があり お客様を挑発する料理で― 431 00:40:11,976 --> 00:40:16,147 味に対する固定観念を 打破したかった 432 00:40:20,117 --> 00:40:24,455 アジア料理を取り入れ モダンに盛り付け― 433 00:40:25,923 --> 00:40:27,992 “ティムのひねり”を加えた 434 00:40:34,665 --> 00:40:37,868 ドイツでアジア料理を 食べる場合― 435 00:40:38,002 --> 00:40:41,839 手頃な中国料理店に 行くのが普通だ 436 00:40:46,610 --> 00:40:50,147 だから彼が店を出すのは リスクがあった 437 00:40:52,149 --> 00:40:56,754 友人や記者たちは皆 本気なのかと聞いてきた 438 00:40:58,489 --> 00:41:02,860 “すでに成功しているのに なぜ変えるのか”と 439 00:41:05,729 --> 00:41:08,866 彼らには僕の成功が 予想できなかった 440 00:41:12,203 --> 00:41:15,039 何を言われても やるつもりだった 441 00:41:26,617 --> 00:41:29,186 アジア料理のほうが 楽しかった 442 00:41:30,988 --> 00:41:36,060 体も心も求めてたし 僕そのものだった 443 00:41:43,501 --> 00:41:46,804 ティムは彼自身の 世界だけでなく― 444 00:41:46,937 --> 00:41:48,706 新たな料理を確立した 445 00:41:50,674 --> 00:41:53,244 それと同時に ファンを獲得した 446 00:41:54,678 --> 00:41:57,214 取り巻く環境も変化した 447 00:42:04,522 --> 00:42:07,224 ベルリンに多くの若者が 流入し― 448 00:42:09,226 --> 00:42:10,694 食を楽しんだ 449 00:42:13,898 --> 00:42:17,535 かつてなかった光が 街に差し込んだ 450 00:42:22,206 --> 00:42:25,843 ベルリンの人々は 食の面白さに気付いた 451 00:42:28,012 --> 00:42:33,951 こうしてベルリンは 美食のあふれる街になった 452 00:42:36,186 --> 00:42:38,088 ベルリンは― 453 00:42:39,957 --> 00:42:41,292 生まれ変わった 454 00:42:45,996 --> 00:42:49,266 ティムはベルリンを ドイツでも― 455 00:42:49,867 --> 00:42:52,269 有数の食の都に変えた 456 00:42:53,571 --> 00:42:55,973 エビ トマトとガランガル添え 457 00:43:01,679 --> 00:43:04,615 上海ビーフ ブラッドオレンジと八角 458 00:43:08,085 --> 00:43:12,790 豚の膝肉 出汁と和辛子を添えて 459 00:43:15,826 --> 00:43:17,895 ハトの タマリンド添え 460 00:43:19,830 --> 00:43:21,999 点心 ホタテとキヌガサ茸の 鶏ガラスープ 461 00:43:29,940 --> 00:43:32,309 ワサビ・ラングスティーヌ 462 00:43:33,944 --> 00:43:36,180 フォアグラの アマチャヅルと抹茶添え 463 00:43:40,317 --> 00:43:45,055 北京ダック 464 00:43:53,097 --> 00:43:56,967 ここ数年でベルリンは 大きく変わった 465 00:43:58,335 --> 00:44:01,405 現在は活気にあふれてる 466 00:44:04,808 --> 00:44:07,044 今のベルリンはまるで― 467 00:44:07,745 --> 00:44:08,846 僕だ 468 00:44:10,848 --> 00:44:14,852 荒っぽくて強情で 愛想がない 469 00:44:16,687 --> 00:44:21,692 だが一方で その裏側を 見てみると― 470 00:44:23,327 --> 00:44:24,361 いい面もある 471 00:44:26,363 --> 00:44:28,232 僕は この街の一部だ 472 00:44:30,434 --> 00:44:31,802 ここは我が家 473 00:44:33,971 --> 00:44:35,706 僕のいるべき場所だ 474 00:44:41,145 --> 00:44:43,981 “レストラン・ ティム・ラウエ”は― 475 00:44:44,181 --> 00:44:46,350 僕の人生の心臓部だ 476 00:44:47,084 --> 00:44:49,386 すべてが僕の望み通りだ 477 00:44:53,924 --> 00:44:56,126 グラス1個や― 478 00:44:57,327 --> 00:44:58,762 皿1枚にも― 479 00:44:59,863 --> 00:45:00,831 僕が表れてる 480 00:45:06,136 --> 00:45:08,238 僕は自分の世界を作り上げた 481 00:45:11,809 --> 00:45:13,477 店に入る時― 482 00:45:14,278 --> 00:45:18,182 自分の成功を最も実感できる 483 00:45:21,285 --> 00:45:24,388 僕は悪いエネルギーを― 484 00:45:24,955 --> 00:45:26,924 コントロールできたんだ 485 00:45:34,098 --> 00:45:38,368 そのエネルギーを 美しさへと変えた