1 00:00:35,247 --> 00:00:37,582 朝粥 出来たで~! 2 00:00:37,582 --> 00:00:39,517 持っていってや! へえ! 3 00:00:39,517 --> 00:00:42,420 (万吉)よっしゃ! 任された! 4 00:00:42,420 --> 00:00:45,323 ああ 頼んだで。 へい。 5 00:00:45,323 --> 00:00:50,623 なんとまあ 朝から にぎやかやな。 6 00:00:55,000 --> 00:00:57,769 朝粥 お持ち致しました。 7 00:00:57,769 --> 00:01:00,269 ≪入れ。 へい! 8 00:01:05,110 --> 00:01:08,013 (徳兵衛)そこぃ置いといてんか。 (お初)ご苦労はん。 9 00:01:08,013 --> 00:01:10,615 …へえ。 10 00:01:10,615 --> 00:01:13,118 あれ 食たら 去ぬわ。 11 00:01:13,118 --> 00:01:20,792 嫌や。 帰らんといて。 私かて 帰りとうない。 12 00:01:20,792 --> 00:01:22,727 帰らんといて。 13 00:01:22,727 --> 00:01:28,667 また 来るさかい。 う~ん きっと 来るさかい。 14 00:01:28,667 --> 00:01:30,802 そんなん言うて➡ 15 00:01:30,802 --> 00:01:34,572 わてみたいな者の事 すぐに忘れてしまいまっしゃろ。 16 00:01:34,572 --> 00:01:40,378 あほな事を…。 私はな…。 17 00:01:40,378 --> 00:01:42,878 いつまで いてんねん! 18 00:01:47,085 --> 00:01:49,754 私はな お初。 19 00:01:49,754 --> 00:01:54,092 これまで さんざん 茶屋遊びをしてきた。 20 00:01:54,092 --> 00:01:57,429 けど… 一人のおなごのもとに➡ 21 00:01:57,429 --> 00:01:59,764 通た事はあれへんのやで。 22 00:01:59,764 --> 00:02:07,439 心からほれたおなごは お初… お前が初めてや。 23 00:02:07,439 --> 00:02:10,475 徳様。 うれしい。 24 00:02:10,475 --> 00:02:14,212 お初。 徳様。 25 00:02:14,212 --> 00:02:17,449 お初。 徳様。 26 00:02:17,449 --> 00:02:23,254 お初。 私は いずれ きっと お前を身請けするつもりや。 27 00:02:23,254 --> 00:02:26,791 えっ… そないな大それた事 わては望んでまへん。 28 00:02:26,791 --> 00:02:28,727 こないして お会いできるだけで…。 29 00:02:28,727 --> 00:02:30,662 私が望んでんのや。 30 00:02:30,662 --> 00:02:37,435 これが私のほれたおなごやと いずれ 堂々と親父に言うさかい。 31 00:02:37,435 --> 00:02:40,071 ≪(お初)徳様。 うれしい。 32 00:02:40,071 --> 00:02:42,974 ≪(徳兵衛)お初。 ≪(お初)徳様。 33 00:02:42,974 --> 00:02:45,474 ≪(徳兵衛)お初~! ≪(お初)徳様…。 34 00:02:53,918 --> 00:02:59,424 ♬~ 35 00:02:59,424 --> 00:03:02,927 (門左衛門) <♬「君と よく この小屋に」> 36 00:03:02,927 --> 00:03:05,830 <♬「来たものさ」> 37 00:03:05,830 --> 00:03:12,270 <♬「わけもなく お茶を飲み 話したよ」> 38 00:03:12,270 --> 00:03:18,143 <♬「お客はんで にぎやかな この小屋の」> 39 00:03:18,143 --> 00:03:23,882 <♬「片隅で聴いていた義太夫節」> 40 00:03:23,882 --> 00:03:30,121 <♬「あの時の節は聴こえない」> 41 00:03:30,121 --> 00:03:36,895 <♬「人の姿も変わったよ」> 42 00:03:36,895 --> 00:03:46,695 <♬「時は流れたぁ~」> 43 00:03:48,506 --> 00:03:56,748 (義太夫)あ~あ…。 このままでは 平野屋はんに義理が立たんで…。➡ 44 00:03:56,748 --> 00:04:02,420 そのうち きっと 近松っつぁんが ええ筋 書いてくれる。➡ 45 00:04:02,420 --> 00:04:09,294 そない信じて 催促せんどころか 高い高い朝鮮人参まで➡ 46 00:04:09,294 --> 00:04:13,932 煎じてくれはった 平野屋はんにな…。 47 00:04:13,932 --> 00:04:16,835 そない ちくちく 言いないな。 48 00:04:16,835 --> 00:04:22,607 とにかく 新作や。 世間が あっと驚くような新作。 49 00:04:22,607 --> 00:04:24,542 そない言うけどな➡ 50 00:04:24,542 --> 00:04:27,946 ネタがあれへんのや。 ネタ? 51 00:04:27,946 --> 00:04:31,916 この20年で なんぼほどの筋 書いてきた思うねん。 52 00:04:31,916 --> 00:04:36,221 何をどう書いても 似たり寄ったりや。 53 00:04:36,221 --> 00:04:42,026 あ~あ…。 どっかに ネタ 落ちてへんかな。 54 00:04:42,026 --> 00:04:48,933 (瓦版屋)切腹や~! 切腹や 切腹や! 切腹や~! 55 00:04:48,933 --> 00:04:53,404 赤穂の義士が切腹したんや~!➡ 56 00:04:53,404 --> 00:04:57,404 さあさあ さあさあ…! 詳しい事は これに書いてある! 57 00:05:02,914 --> 00:05:08,086 切腹か! 打ち首は免れたちゅう訳やな。 58 00:05:08,086 --> 00:05:10,989 あんだけの忠義者や。 表彰されてもええぐらいやで。 59 00:05:10,989 --> 00:05:15,989 ほんまに あっぱれな ご最期を遂げられて…。 60 00:05:21,633 --> 00:05:23,935 <これや。 これや~!➡ 61 00:05:23,935 --> 00:05:26,771 暮れに起きた 赤穂義士の討ち入り事件!> 62 00:05:26,771 --> 00:05:29,807 「鮒じゃ 鮒じゃ。➡ 63 00:05:29,807 --> 00:05:33,578 鮒侍とは お前の事じゃ」。 64 00:05:33,578 --> 00:05:37,878 「殿中でござる! 殿中でござる~!」。 65 00:05:45,723 --> 00:05:51,229 「出ませい! 亡き主の恨み➡ 66 00:05:51,229 --> 00:05:53,929 今ぞ晴らさん!」。 67 00:06:01,739 --> 00:06:07,912 「うう~… うう~… やあっ!」。 68 00:06:07,912 --> 00:06:09,912 「御免!」。 69 00:06:21,092 --> 00:06:24,429 <見どころ 満載! 名場面 続出!➡ 70 00:06:24,429 --> 00:06:30,101 何で 思いつかんかったんや。 早よ 書かな。 …書かな!> 71 00:06:30,101 --> 00:06:34,372 母上! 私は 書き上がるまで 寝えへん覚悟ですさかい➡ 72 00:06:34,372 --> 00:06:37,208 どうぞ 邪魔せんといて下さい! 73 00:06:37,208 --> 00:06:39,711 気がかりじゃ。 74 00:06:39,711 --> 00:06:44,048 ご心配なく。 まだまだ 体は健やかですさかい。 75 00:06:44,048 --> 00:06:47,919 お前が張り切って うまくいったためしがない。 76 00:06:47,919 --> 00:06:49,921 えっ? 77 00:06:49,921 --> 00:06:53,224 凧が木に引っ掛かったと泣く 弟のために➡ 78 00:06:53,224 --> 00:06:56,127 木に登っては カラスに つつかれ➡ 79 00:06:56,127 --> 00:06:58,396 もっとよい凧を 作ってやると➡ 80 00:06:58,396 --> 00:07:01,899 材料を探しに入った竹藪で 道に迷い…。 81 00:07:01,899 --> 00:07:05,737 やめて下さい。 人のやる気をそぐような話は! 82 00:07:05,737 --> 00:07:08,773 ああ… 気がかりじゃ 気がかりじゃ。 83 00:07:08,773 --> 00:07:11,075 ちかえもん。 84 00:07:11,075 --> 00:07:13,011 うわ~っ! 85 00:07:13,011 --> 00:07:16,811 普通に来られへんのか お前は 普通に…。 86 00:07:18,583 --> 00:07:21,085 万吉殿 いらっしゃい。 87 00:07:21,085 --> 00:07:24,756 ちかえもんのお母はん こんにちは。 88 00:07:24,756 --> 00:07:28,426 今 お茶をいれましょうね。 おおきに。 89 00:07:28,426 --> 00:07:30,461 母上も よう普通に迎えられまんなあ。 90 00:07:30,461 --> 00:07:34,866 見てみなはれ この姿。 討ち死に寸前の雑兵か お前は…。 91 00:07:34,866 --> 00:07:38,369 そのとおり。 わいは討ち死に寸前や。 92 00:07:38,369 --> 00:07:41,039 というのも…。 ああ~! やめてや。 93 00:07:41,039 --> 00:07:43,074 お前の長いあんばいは 聞きたないねん。 94 00:07:43,074 --> 00:07:45,910 今日のあんばいは 短うおまっせ。 え…? 95 00:07:45,910 --> 00:07:48,713 「お初」。 「徳様」。 96 00:07:48,713 --> 00:07:51,382 「お初」。 「徳様」。 97 00:07:51,382 --> 00:07:53,317 「お初」。 「徳様」。 98 00:07:53,317 --> 00:07:56,721 ああ~! お初と平野屋の若旦さんが➡ 99 00:07:56,721 --> 00:08:00,224 いちゃついてたんか。 だいぶ わいに なじみましたな。 100 00:08:00,224 --> 00:08:02,160 なじみとうないけどな。 101 00:08:02,160 --> 00:08:04,395 あないな あほボンの どこがええのや! 102 00:08:04,395 --> 00:08:08,266 しゃあないがな。 平野屋の若旦那やで。 103 00:08:08,266 --> 00:08:11,736 跡取り息子やで。 平野屋? そや。 104 00:08:11,736 --> 00:08:14,572 平野屋って何だんねん? お前 そないな事も知らんと➡ 105 00:08:14,572 --> 00:08:16,507 よう ぬけぬけと生きとるな。 106 00:08:16,507 --> 00:08:19,077 つまり 知らんでも 生きていけるちゅう事でっしゃろ。 107 00:08:19,077 --> 00:08:21,979 そないして ちょくちょく 学者めいた事 言うさかい➡ 108 00:08:21,979 --> 00:08:24,582 ややこしねん お前は。 109 00:08:24,582 --> 00:08:29,754 あのな あの若旦さんの父親 平野屋忠右衛門はんは➡ 110 00:08:29,754 --> 00:08:34,525 元は 小さい醤油屋やった。 ほうほう。 111 00:08:34,525 --> 00:08:37,028 それから ちょっとずつ 商いを広げて➡ 112 00:08:37,028 --> 00:08:40,898 今では 大坂で一二を争う 豪商になった。 113 00:08:40,898 --> 00:08:45,369 大坂一ちゅう事は 日本一ちゅうこっちゃ。 114 00:08:45,369 --> 00:08:49,207 つまり 日本一の金持ちなんや。 115 00:08:49,207 --> 00:08:52,877 あの徳兵衛は やがて その財を 皆 受け継ぐ男。 116 00:08:52,877 --> 00:08:54,812 わしかて おなごやったら➡ 117 00:08:54,812 --> 00:08:57,381 少々のあかんとこは 目ぇつぶってでも➡ 118 00:08:57,381 --> 00:08:59,717 嫁にもろてほしいと思うわい! 119 00:08:59,717 --> 00:09:04,055 あんたが嫁て… 気色悪いな。 仮にの話や。 120 00:09:04,055 --> 00:09:08,893 そういうこっちゃさかい お前に勝ち目はないねん。 121 00:09:08,893 --> 00:09:11,229 何や! 122 00:09:11,229 --> 00:09:13,731 そんな事 分かりまへんがな! 分かんねん。 123 00:09:13,731 --> 00:09:16,768 何で? あのな もう…。 124 00:09:16,768 --> 00:09:19,604 一ぺん 平野屋はん行て見てこい! えっ? 125 00:09:19,604 --> 00:09:24,742 あの店 見たら そないな 浅はかな考えは のうなるわ。 126 00:09:24,742 --> 00:09:26,742 (ため息) 127 00:09:29,413 --> 00:09:31,349 平野屋 どこにおまんねん。 128 00:09:31,349 --> 00:09:35,219 わしに聞くな! 表 歩いてる人に 聞いて! 129 00:09:35,219 --> 00:09:37,688 ちかえもん 一緒に行っとくんなはれな。 130 00:09:37,688 --> 00:09:40,591 何でやねん! 一緒に行っとくんなはれな。 131 00:09:40,591 --> 00:09:44,562 信盛。 信盛! えっ? 132 00:09:44,562 --> 00:09:48,362 ついでに お醤油 買ってきてちょうだい。 133 00:09:50,401 --> 00:09:53,171 何で わしが道案内せんならんねん。 134 00:09:53,171 --> 00:09:55,239 道案内ちゃいまっしゃろ。 お使いでっしゃろ。 135 00:09:55,239 --> 00:09:58,376 おんなじ事や! ほら そこや。 136 00:09:58,376 --> 00:10:00,711 (喜助)染吉 勘吉 気ぃ付けて運びや。 137 00:10:00,711 --> 00:10:02,647 (染吉 勘吉)へい! 定吉! 138 00:10:02,647 --> 00:10:04,582 そら 重たいで。 一人で運べるか? 139 00:10:04,582 --> 00:10:07,585 (定吉)大事あらへん 番頭さん。 任しておくなはれ。 140 00:10:07,585 --> 00:10:10,388 おっ! こら 頼もしいな。 ハハハ。 141 00:10:10,388 --> 00:10:12,723 あっ これは これは… お待ちしておりました。 142 00:10:12,723 --> 00:10:15,059 佐七どん! (佐七)へい。 お越しになったで。 143 00:10:15,059 --> 00:10:17,962 おおきに。 どうぞ。 (喜助)どうぞ。 どうぞ どうぞ。 144 00:10:17,962 --> 00:10:23,734 見てみい。 立派な店構えや。 こんだけの荷ぃ取り引きして➡ 145 00:10:23,734 --> 00:10:26,404 こんだけの手代やら丁稚やらが 働いてんねん。 146 00:10:26,404 --> 00:10:29,073 なっ? 更に この奥にはな➡ 147 00:10:29,073 --> 00:10:33,244 お屋敷があって 蔵があって その蔵の中には➡ 148 00:10:33,244 --> 00:10:37,915 醤油やら酒やら米やらが ぎっしりと…。 149 00:10:37,915 --> 00:10:39,915 あっ! 150 00:10:41,752 --> 00:10:44,422 (伊八)若旦さん お帰りやす。 151 00:10:44,422 --> 00:10:49,122 (一同)お帰りやす。 152 00:10:50,761 --> 00:10:54,761 うわ~。 153 00:10:57,635 --> 00:11:04,308 う~ん! こら うまい。 京橋のたもとに出来た店の饅頭や。 154 00:11:04,308 --> 00:11:07,111 うまいちゅうて 天満屋の旦さんが言うさかい➡ 155 00:11:07,111 --> 00:11:13,111 寄ってきたんやけどな。 こら 確かに うまい。 絶品や。 156 00:11:14,785 --> 00:11:17,785 アッハハハ…! 157 00:11:19,457 --> 00:11:24,128 何や? 欲しいんか? 158 00:11:24,128 --> 00:11:27,031 やらへんで。 159 00:11:27,031 --> 00:11:30,001 私を恨まんといてや。 160 00:11:30,001 --> 00:11:34,301 恨むんやったら 己の生まれを恨むこっちゃ。 161 00:11:36,073 --> 00:11:38,009 汗水垂らして働かんでも➡ 162 00:11:38,009 --> 00:11:40,945 こないして うまい饅頭にあやかれる。 163 00:11:40,945 --> 00:11:44,415 それは 私が この平野屋の跡継ぎに➡ 164 00:11:44,415 --> 00:11:47,752 生まれたさかいや。 お前らみたいな➡ 165 00:11:47,752 --> 00:11:52,089 子どもの時分から よそぃ 働きにやられてるような者は➡ 166 00:11:52,089 --> 00:11:56,961 そないな家に生まれついたのが 身の不運ちゅうこっちゃ。 167 00:11:56,961 --> 00:12:02,433 …とことん 性根の腐った男やな。 168 00:12:02,433 --> 00:12:05,633 気分悪い。 去の。 169 00:12:07,772 --> 00:12:09,807 おい…! 170 00:12:09,807 --> 00:12:13,444 (一同)おいでやす。 171 00:12:13,444 --> 00:12:18,616 何や? いもり男やあれへんか。 これは これは 近松先生。 172 00:12:18,616 --> 00:12:21,452 あ… どうも。 (一同)おいでやす。 173 00:12:21,452 --> 00:12:24,752 いもりと 腐れ物書きが 連れ立って 何の用や? 174 00:12:32,396 --> 00:12:35,299 お醤油 下さい。 175 00:12:35,299 --> 00:12:37,799 …はあ? 176 00:12:44,108 --> 00:12:46,243 へえ。 177 00:12:46,243 --> 00:12:51,749 あ… おいくらでっしゃろか? ああ。 銭は要らん。 178 00:12:51,749 --> 00:12:53,684 えっ? えっ? 179 00:12:53,684 --> 00:12:56,587 いずれ 一切 手当が 無うなる者から取ったったら➡ 180 00:12:56,587 --> 00:13:00,758 かわいそうやさかいな。 手当が無うなる? 181 00:13:00,758 --> 00:13:06,263 私は 人形芝居みたいなもんに 金 出す気は 一切あらへん。 182 00:13:06,263 --> 00:13:10,601 私の代になったら 竹本座の金主は 引き揚げますよって。 183 00:13:10,601 --> 00:13:14,271 そんな! 殺生な…。 184 00:13:14,271 --> 00:13:19,110 そやけど お代は きちんきちんと 頂戴するようにと 旦さんが…。 185 00:13:19,110 --> 00:13:22,013 平野屋は いずれ 皆 私のもんになるのや。 186 00:13:22,013 --> 00:13:27,284 醤油の1升や2升 貧乏人に恵んでやったところで➡ 187 00:13:27,284 --> 00:13:29,284 大事おまへん。 188 00:13:35,393 --> 00:13:39,563 あら… 潰れるな。 189 00:13:39,563 --> 00:13:44,235 あの若旦さんの代になったら 平野屋は しまいや。 190 00:13:44,235 --> 00:13:48,572 あのお人は 旦さんが どないな苦労して➡ 191 00:13:48,572 --> 00:13:50,508 店 大きゅうしたのか➡ 192 00:13:50,508 --> 00:13:53,744 奉公人らが どないな思いで 醤油 造ってんのか➡ 193 00:13:53,744 --> 00:13:56,080 な~んにも 分かってへん。 194 00:13:56,080 --> 00:14:00,080 あほボンも ここに極まれりや。 195 00:14:01,752 --> 00:14:05,423 どないした? さっきから おとなしい。 196 00:14:05,423 --> 00:14:08,325 すごいでんな。 197 00:14:08,325 --> 00:14:12,930 店の事か? そやから 言うたやろ。 198 00:14:12,930 --> 00:14:15,433 はなっから お前に勝ち目はないねん。 199 00:14:15,433 --> 00:14:18,769 あそこまで突き抜けた不孝者は 初めて見た。 200 00:14:18,769 --> 00:14:20,704 え…? 201 00:14:20,704 --> 00:14:23,441 人間 あそこまで 親不孝できまんねんな。 202 00:14:23,441 --> 00:14:25,376 どこに感じ入っとんねん。 203 00:14:25,376 --> 00:14:28,112 わいは不孝糖売りとして ふがいない思いや。 204 00:14:28,112 --> 00:14:30,781 ややこしい事 思いな。 ああ くそ~! 205 00:14:30,781 --> 00:14:34,385 ああ! 不孝糖 売るで~! おお…! 走るな おい! 206 00:14:34,385 --> 00:14:38,885 醤油が… 醤油が こぼれる! おい! 207 00:14:43,394 --> 00:14:45,329 (九平次)ご主人。 208 00:14:45,329 --> 00:14:48,065 (吉兵衛) おっ… これは 黒田屋さん。 209 00:14:48,065 --> 00:14:50,568 毎度 ご贔屓に ありがとうございます。 210 00:14:50,568 --> 00:14:54,405 近々 こちらで 平野屋様をもてなしたい。 211 00:14:54,405 --> 00:14:56,440 金に糸目はつけません。 212 00:14:56,440 --> 00:14:59,276 うまい酒と馳走を 支度して下さい。 213 00:14:59,276 --> 00:15:02,913 へえへえ。 こらまた おおきに。 ありがとうさんで。 214 00:15:02,913 --> 00:15:04,949 それから 酌をさせるのに➡ 215 00:15:04,949 --> 00:15:07,084 飛び切り器量よしの女を➡ 216 00:15:07,084 --> 00:15:09,019 用意して下さい。 217 00:15:09,019 --> 00:15:11,255 飛び切りの器量よし。 218 00:15:11,255 --> 00:15:13,190 大事な商いの場です。 219 00:15:13,190 --> 00:15:16,594 くれぐれも粗相なきよう お願いしますよ。 220 00:15:16,594 --> 00:15:19,794 は… かしこまりました。 221 00:15:21,432 --> 00:15:23,367 飛び切りの…。 222 00:15:23,367 --> 00:15:33,043 飛び切りの器量よしな…。 嬶! …嬶! 223 00:15:33,043 --> 00:15:35,379 (お玉)何や? 224 00:15:35,379 --> 00:15:38,716 うちで 飛び切りの 器量よしいうたら 誰や? 225 00:15:38,716 --> 00:15:41,218 わてや。 226 00:15:41,218 --> 00:15:44,722 そんなん言わんでも 分かってるがな…。 227 00:15:44,722 --> 00:15:46,757 その次やがな。 228 00:15:46,757 --> 00:15:51,957 そやな。 だいぶ離れるけど…。 229 00:15:54,398 --> 00:15:57,434 (お玉)お初。 はい。 230 00:15:57,434 --> 00:15:59,570 何ですやろか? 女将さん。 231 00:15:59,570 --> 00:16:03,440 だいぶ 愛想がでけるようになったな。 232 00:16:03,440 --> 00:16:08,913 平野屋の若旦さんが 通てくれはるようになってからか。 233 00:16:08,913 --> 00:16:10,948 …へえ。 234 00:16:10,948 --> 00:16:15,252 あんたには ええお客さんは つけへんつもりでおった。 235 00:16:15,252 --> 00:16:19,757 けど あの若旦さんが どうしても言うもんやさかい➡ 236 00:16:19,757 --> 00:16:21,792 特別に許してんのやで。 237 00:16:21,792 --> 00:16:25,563 おおきに。 238 00:16:25,563 --> 00:16:28,265 まあ もう よろし。 頃合いや。 239 00:16:28,265 --> 00:16:34,705 近々 大事なお座敷があってな。 あんた 行きなはれ。 240 00:16:34,705 --> 00:16:36,640 大事なお座敷…? 241 00:16:36,640 --> 00:16:41,378 黒田屋さんが 平野屋の旦さんを もてなさはんのや。 242 00:16:41,378 --> 00:16:44,415 平野屋の旦さんて…。 243 00:16:44,415 --> 00:16:47,718 平野屋忠右衛門はん。 244 00:16:47,718 --> 00:16:52,590 若旦さんの お父はんにあたるお方や。 245 00:16:52,590 --> 00:16:54,892 そのお座敷に わてが? 246 00:16:54,892 --> 00:16:58,229 あんたの器量を 見込んでのこっちゃ。 247 00:16:58,229 --> 00:17:01,229 頼みましたで。 248 00:17:15,646 --> 00:17:26,757 ♬「父は都の六波羅へ 虜となりて」 249 00:17:26,757 --> 00:17:33,197 ♬「あさましや」 250 00:17:33,197 --> 00:17:39,897 ♬「憂き目にあわせ給うとの」 251 00:17:41,538 --> 00:17:43,838 (喜助)ご苦労さんやな! 252 00:17:47,344 --> 00:17:52,716 若旦さん 足元 気ぃ付けて。 はい。 何やねん! 253 00:17:52,716 --> 00:17:56,887 若旦さん。 これから 大事な事をお教えします。 254 00:17:56,887 --> 00:17:58,922 何や? 仕事やったら いらんぞ。 255 00:17:58,922 --> 00:18:03,560 この店の跡継ぎにしか 教えられん事だす。 256 00:18:03,560 --> 00:18:07,731 若旦さん。 平野屋の跡を継ぐちゅう事は➡ 257 00:18:07,731 --> 00:18:11,902 並大抵の事やおまへん。 それを 今のうちに➡ 258 00:18:11,902 --> 00:18:16,202 よう知っておいて もらいとうおます。 ほな。 259 00:18:19,410 --> 00:18:21,345 (忠右衛門)何しとる? 260 00:18:21,345 --> 00:18:23,280 (喜助)旦さん…! 申し訳ございません!➡ 261 00:18:23,280 --> 00:18:25,749 私の一存で…。 262 00:18:25,749 --> 00:18:27,685 勝手なまねすな! すんまへん! 263 00:18:27,685 --> 00:18:30,621 何やねん。 一体 この蔵に何があんねん? 264 00:18:30,621 --> 00:18:33,557 お前は知らんでええ。 そないな事より➡ 265 00:18:33,557 --> 00:18:38,028 うちの家訓でも手習いして よう頭にたたき込んどけ。 266 00:18:38,028 --> 00:18:43,701 始末する事。 放蕩は慎む事。 そして 孝行するこっちゃ。 267 00:18:43,701 --> 00:18:47,371 ああ そうでっか! 268 00:18:47,371 --> 00:18:50,274 (喜助)若旦さん…! 269 00:18:50,274 --> 00:18:55,574 ほんま すんまへん! 若旦さん! 若旦さん! 270 00:19:01,385 --> 00:19:04,288 ほい。 ヘッヘヘヘ…。 271 00:19:04,288 --> 00:19:08,058 若旦さん! あきまへん。 それは お店の…。 272 00:19:08,058 --> 00:19:10,394 店の金は 私の金や。 273 00:19:10,394 --> 00:19:13,731 ♬「それ 不孝糖 不孝糖」 274 00:19:13,731 --> 00:19:19,236 ♬「おやおやおやおや 親不孝の不孝糖」 275 00:19:19,236 --> 00:19:22,139 ほい! ♬「親を泣かせてやろうとて」 276 00:19:22,139 --> 00:19:25,109 ♬「拵え始めの不孝糖」 277 00:19:25,109 --> 00:19:27,911 ♬「おいしいで 売ったろか」 278 00:19:27,911 --> 00:19:30,748 ♬「一ぺん 食うたら やめられへん」 279 00:19:30,748 --> 00:19:33,183 ♬「それ 不孝糖 不孝糖」 280 00:19:33,183 --> 00:19:35,119 けったいな旦さん。 ん? 281 00:19:35,119 --> 00:19:37,688 不孝糖て何だんねん? おっ! よう聞いた。 282 00:19:37,688 --> 00:19:41,024 これはな 親不孝したい者がなめる不孝糖や。 283 00:19:41,024 --> 00:19:44,695 あほらし。 そないなもん 誰が買いまんねん。 284 00:19:44,695 --> 00:19:50,367 それが 全くもって 誰も買わん。 あきまへんがな! 285 00:19:50,367 --> 00:19:52,667 そこでや…。 286 00:19:54,238 --> 00:19:57,875 おい あほボン。 わいと一緒に 不孝糖 売らへんか? 287 00:19:57,875 --> 00:20:02,546 はあ? 日本一の不孝者を看板にして➡ 288 00:20:02,546 --> 00:20:05,582 不孝糖を 日本一の商いにすんのや! 289 00:20:05,582 --> 00:20:11,054 ふざけんな! 誰が日本一の不孝者や! 290 00:20:11,054 --> 00:20:15,392 この 今 手に握りしめてる銭。 291 00:20:15,392 --> 00:20:20,063 おおかた 店の銭箱から くすねてきたんちゃいまっか? 292 00:20:20,063 --> 00:20:25,569 自分は跡継ぎや。 そやさかい 店の金は 自分の金や。 293 00:20:25,569 --> 00:20:27,905 あんたの理屈は そないなとこでっしゃろ。 294 00:20:27,905 --> 00:20:31,742 親不孝も そこまでいったら あっぱれや。 295 00:20:31,742 --> 00:20:35,579 うん。 立派な不孝糖の看板になる。 296 00:20:35,579 --> 00:20:38,615 どないしようもない あほボンのあんたが➡ 297 00:20:38,615 --> 00:20:41,452 人の役に立つんや。 ええ? 298 00:20:41,452 --> 00:20:43,454 どや あほボン 徳兵衛! 299 00:20:43,454 --> 00:20:46,223 わいと一緒に 不孝糖 売らへんか! 300 00:20:46,223 --> 00:20:49,760 あほか! 誰が そないな事 言われて➡ 301 00:20:49,760 --> 00:20:52,663 はい そうでっかと のこのこ ついていくねん。 302 00:20:52,663 --> 00:20:55,098 ああ あかんか。 あかんわ! 303 00:20:55,098 --> 00:20:59,436 大体 お前… 私に そないな口 きいて➡ 304 00:20:59,436 --> 00:21:02,105 ただでは済まんぞ。 何で? 305 00:21:02,105 --> 00:21:06,443 私は 平野屋の跡継ぎや。 306 00:21:06,443 --> 00:21:10,614 (一同・小声で)フフフ…。 307 00:21:10,614 --> 00:21:12,649 …チッ。 308 00:21:12,649 --> 00:21:17,788 はは~ん。 分かったぞ。 さては あんた➡ 309 00:21:17,788 --> 00:21:20,457 客あしらいも まともに でけんのやな! 310 00:21:20,457 --> 00:21:22,392 何やと!? 311 00:21:22,392 --> 00:21:25,629 ああ そうか。 それやったら しゃあない。 312 00:21:25,629 --> 00:21:28,131 どうも お邪魔しました。 ほな さいなら。 313 00:21:28,131 --> 00:21:32,002 ♬「それ 不孝糖 不孝糖」 314 00:21:32,002 --> 00:21:33,937 ♬「おやおやおやおや」 315 00:21:33,937 --> 00:21:37,241 ♬「それ 不孝糖 不孝糖」 316 00:21:37,241 --> 00:21:42,112 ♬「おやおやおやおや 親不孝の不孝糖」 317 00:21:42,112 --> 00:21:44,114 ええ声だんな。 318 00:21:44,114 --> 00:21:46,950 それ! ♬「親を泣かせてやろうとて」 319 00:21:46,950 --> 00:21:50,420 ♬「拵え始めの不孝糖」 320 00:21:50,420 --> 00:21:53,323 ♬「おいしいで 売ったろ」 321 00:21:53,323 --> 00:21:58,762 もし。 そこの いとさん。 私と親不孝してくれまへんか? 322 00:21:58,762 --> 00:22:02,099 親不孝て どないしてしますのん? 323 00:22:02,099 --> 00:22:05,969 親の目 盗んで 今宵 私に会いに来てほしい。 324 00:22:05,969 --> 00:22:08,972 そないな事したら お父ちゃんに叱られます。 325 00:22:08,972 --> 00:22:15,112 おい! …これは 親不孝したい者がなめる不孝糖。 326 00:22:15,112 --> 00:22:17,614 どうぞ ひとつ お求めになり➡ 327 00:22:17,614 --> 00:22:21,451 私に会いに来る気概を 持って下さい。 328 00:22:21,451 --> 00:22:26,790 そないな事…。 若旦さんこそ 親不孝でっせ。 329 00:22:26,790 --> 00:22:33,490 親不孝してでも 手に入れたいものがありますのや。 330 00:22:36,600 --> 00:22:38,735 不孝糖 下さい! 331 00:22:38,735 --> 00:22:41,572 (一同)おお~! おい。 332 00:22:41,572 --> 00:22:45,909 (定吉)さすが 若旦さん。 口だけは達者や。 333 00:22:45,909 --> 00:22:47,844 そして 卑劣や。 (伊八)まさに➡ 334 00:22:47,844 --> 00:22:50,581 己の持ち味を生かした商いや~。 335 00:22:50,581 --> 00:22:55,919 おおきに。 ありがとうございます。 336 00:22:55,919 --> 00:22:57,919 おおきにな! 337 00:22:59,590 --> 00:23:04,261 ヘヘヘ…。 見事や~。 338 00:23:04,261 --> 00:23:08,761 私を誰やと思てんねん。 339 00:23:30,120 --> 00:23:32,723 「おのおの方。 いざ!」。 340 00:23:32,723 --> 00:23:36,393 「あいや 待たれい」。 「何事ぞ?」。 341 00:23:36,393 --> 00:23:40,897 「わらじの鼻緒が切れた。 しばらく。 しばらく」。 342 00:23:40,897 --> 00:23:43,800 「う~む。 早ようせぬか」。 343 00:23:43,800 --> 00:23:46,403 「待たせた」。 「うむ」。 344 00:23:46,403 --> 00:23:49,306 「おのおの方。 いざ!」。 345 00:23:49,306 --> 00:23:51,742 「あいや 待たれい」。 「何事ぞ?」。 346 00:23:51,742 --> 00:23:54,645 「我が住まいの行灯の明かりを 消したるや否や」。 347 00:23:54,645 --> 00:23:56,613 「何と?」。 348 00:23:56,613 --> 00:23:58,615 「どうも つけたままと 思えてならぬ。➡ 349 00:23:58,615 --> 00:24:00,917 戻って見てきたい」。 「ならぬ!」。 350 00:24:00,917 --> 00:24:03,253 「されど 油代が…」。 「ならぬ ならぬ!」。 351 00:24:03,253 --> 00:24:05,589 「されど…」。 「討ち入りが済んでからにせい!」。 352 00:24:05,589 --> 00:24:07,524 「はあ…」。 353 00:24:07,524 --> 00:24:09,459 (せきばらい) 354 00:24:09,459 --> 00:24:11,461 「おのおの方。 いざ!」。 「父上!」。 355 00:24:11,461 --> 00:24:13,463 「何じゃ~!」。 「ここは まこと➡ 356 00:24:13,463 --> 00:24:15,932 吉良の屋敷でござりましたか?」。 「何と?」。 357 00:24:15,932 --> 00:24:17,968 「そういえば 何か 違うような」。 358 00:24:17,968 --> 00:24:20,804 「まこと 屋根の感じとか 違う気がする」。 359 00:24:20,804 --> 00:24:23,674 「おい」。 「この雪で 道を間違えたのでは」。 360 00:24:23,674 --> 00:24:26,674 「ちょっと…」。 「ちょっと 地図 出して」。 361 00:24:30,113 --> 00:24:34,613 「ねえ… ちょっと…」。 362 00:24:38,922 --> 00:24:42,225 あかんがな。 何をもたもたしてんねん。 363 00:24:42,225 --> 00:24:44,261 早よ 討ち入りせんかい。 364 00:24:44,261 --> 00:24:47,064 へえ…。 わしも そない思いますねんけどな➡ 365 00:24:47,064 --> 00:24:49,399 なかなか 行こうとしまへんのや。 366 00:24:49,399 --> 00:24:51,399 誰が? 赤穂義士が。 367 00:24:53,904 --> 00:24:55,839 …えっ? 368 00:24:55,839 --> 00:24:57,774 えっ? 369 00:24:57,774 --> 00:25:01,411 …なんぼ 書かれへんからいうて➡ 370 00:25:01,411 --> 00:25:04,081 いまだかつて そないな大胆な言い訳➡ 371 00:25:04,081 --> 00:25:07,417 聞いた事ないわ。 いやいや 言い訳ちゃいまんねん。 372 00:25:07,417 --> 00:25:09,352 いい加減にせんと! 373 00:25:09,352 --> 00:25:12,052 わしが あんたに 夜討ち かけまっせ! 374 00:25:18,061 --> 00:25:19,996 お袖…。 375 00:25:19,996 --> 00:25:25,769 今日が 浄瑠璃作者 近松門左衛門の命日や。 376 00:25:25,769 --> 00:25:30,440 身ぃ削って書いたもんを あないな言いようされて…。 377 00:25:30,440 --> 00:25:35,045 物書きの気持ちなんぞ 誰にも分かってたまるかい。 378 00:25:35,045 --> 00:25:38,381 (お袖)そうやな。 わてにも分からんわ。 379 00:25:38,381 --> 00:25:42,252 …お袖! お前まで! 380 00:25:42,252 --> 00:25:45,255 そんだけ 特別な仕事やいう事やろ? 381 00:25:45,255 --> 00:25:47,390 …えっ。 382 00:25:47,390 --> 00:25:50,293 お殿様にも 公方様にも でけへん事を➡ 383 00:25:50,293 --> 00:25:52,729 あんたは その腕一本でやっとんのや。 384 00:25:52,729 --> 00:25:55,632 すごいこっちゃがな。 385 00:25:55,632 --> 00:25:57,901 そやな! 386 00:25:57,901 --> 00:26:10,080 ♬~ 387 00:26:10,080 --> 00:26:12,080 失礼致します。 388 00:26:13,750 --> 00:26:16,450 失礼致します。 389 00:26:20,524 --> 00:26:22,459 さあ…。 390 00:26:22,459 --> 00:26:26,329 ご無礼を致します。 初と申します。 391 00:26:26,329 --> 00:26:30,600 (九平次)はあ…! これは ご主人も お人が悪い。➡ 392 00:26:30,600 --> 00:26:32,869 これほどの器量よしが いながら➡ 393 00:26:32,869 --> 00:26:35,772 どうして これまで 会わせてくれなかったのです? 394 00:26:35,772 --> 00:26:42,045 へえ。 少し前に 京の廓より 買い受けたばかりでして。 395 00:26:42,045 --> 00:26:46,716 (九平次)ほう。 それは よい買い物をしましたね。 396 00:26:46,716 --> 00:26:50,216 今後とも ご贔屓に。 397 00:26:51,888 --> 00:26:53,888 お初。 398 00:26:55,725 --> 00:26:57,661 お初! 399 00:26:57,661 --> 00:27:01,361 あ… どうぞ ご贔屓に。 400 00:27:07,737 --> 00:27:14,237 …で 話ちゅうのは何だすか? はい。 401 00:27:16,746 --> 00:27:22,552 実は… お願いしたい儀がございまして。 402 00:27:22,552 --> 00:27:28,358 (2人)♬「おやおやおやおや 親不孝の不孝糖」 403 00:27:28,358 --> 00:27:31,294 ♬「親を泣かせてやろうとて」 404 00:27:31,294 --> 00:27:34,231 ♬「拵え始めの不孝糖」 405 00:27:34,231 --> 00:27:37,067 ♬「おいしいで 売ったろか」 406 00:27:37,067 --> 00:27:40,370 (2人) ♬「一ぺん 食うたら やめられへん」 407 00:27:40,370 --> 00:27:43,273 ♬「それ 不孝糖 不孝糖」 408 00:27:43,273 --> 00:27:48,245 ♬「おやおやおやおや 親不孝の不孝糖」 409 00:27:48,245 --> 00:27:50,714 さあ 買いなはれ 買いなはれ! 410 00:27:50,714 --> 00:27:55,585 大坂一の不孝者 平野屋徳兵衛の売る この不孝糖! 411 00:27:55,585 --> 00:27:58,388 おい! この若旦さんにあやかって➡ 412 00:27:58,388 --> 00:28:02,726 あんたも せいだい 親不孝しなはれ! 413 00:28:02,726 --> 00:28:06,229 そないなボンボンにあやかれたら 結構や! 414 00:28:06,229 --> 00:28:09,733 1つくれ。 うちも1つ。 415 00:28:09,733 --> 00:28:14,571 (徳兵衛)ありがとうございます。 8文やで~。 416 00:28:14,571 --> 00:28:17,240 8文です。 はい。 おおきに。 417 00:28:17,240 --> 00:28:21,411 (一同)キャ~! 418 00:28:21,411 --> 00:28:23,346 おおきに。 419 00:28:23,346 --> 00:28:25,282 はいはい。 はいよ 8文です。 はい。 420 00:28:25,282 --> 00:28:28,919 はい どうも。 おおきに。 (一同)キャ~! 421 00:28:28,919 --> 00:28:33,356 (徳兵衛)はいはい。 はい…。 はい どうも。 はい おおきに。➡ 422 00:28:33,356 --> 00:28:36,356 はい どうも~。 いや~…。 423 00:28:40,030 --> 00:28:42,532 (九平次) 平野屋様のおかげをもちまして➡ 424 00:28:42,532 --> 00:28:48,705 我が黒田屋も 油屋として 大坂では知られた店となりました。 425 00:28:48,705 --> 00:28:53,576 しかし 商人の町 大坂の商いには➡ 426 00:28:53,576 --> 00:28:57,714 まだまだ 尽きせぬ面白さがある様子。 427 00:28:57,714 --> 00:29:03,386 いま少し 手を広げてみたいと 欲が出てまいりました。 428 00:29:03,386 --> 00:29:06,222 そら 結構な事だす。 429 00:29:06,222 --> 00:29:10,060 ちなみに どういったものを 商わはるおつもりだすか? 430 00:29:10,060 --> 00:29:15,398 はい。 ありきたりな商いは 性分に合いません。 431 00:29:15,398 --> 00:29:20,070 そこで… 大陸から➡ 432 00:29:20,070 --> 00:29:26,070 いろいろと珍しいものを 取り寄せたいと思っております。 433 00:29:27,944 --> 00:29:32,015 …ええ。 無論 そう簡単な事ではございません。 434 00:29:32,015 --> 00:29:37,821 大陸の品は 幕府から認められた 限られた者しか➡ 435 00:29:37,821 --> 00:29:40,821 取り引きできませんからね。 436 00:29:43,193 --> 00:29:48,365 しかし… 平野屋様のお力をもってすれば➡ 437 00:29:48,365 --> 00:29:50,700 それも不可能ではない事➡ 438 00:29:50,700 --> 00:29:54,200 この九平次は よ~く存じております。 439 00:30:02,412 --> 00:30:05,548 いかがでしょう 平野屋様。 440 00:30:05,548 --> 00:30:11,721 なんとか お力添え願えませんでしょうか。 441 00:30:11,721 --> 00:30:14,057 なるほど。 442 00:30:14,057 --> 00:30:17,927 あんたは ただの商売人や あれへんとは思てましたで。 443 00:30:17,927 --> 00:30:24,401 ハハハ…。 お褒め頂き恐縮です。 444 00:30:24,401 --> 00:30:31,741 で… あんたの商いに力添えして うちには何の利がおます? 445 00:30:31,741 --> 00:30:37,080 答え次第で うちの出ようも変わりまっせ。➡ 446 00:30:37,080 --> 00:30:43,853 次に会うた時に 聞かしとくなはれ。 447 00:30:43,853 --> 00:30:46,790 (ため息) 448 00:30:46,790 --> 00:30:50,790 しかし 何で いつものように 書けんのやろなあ。 449 00:30:52,562 --> 00:30:58,101 忠義物は 今まで ぎょうさん 書いてきたんやが…。 450 00:30:58,101 --> 00:31:03,440 わては 別に 赤穂のお侍さんの事 あっぱれとも思わんけどなあ。 451 00:31:03,440 --> 00:31:05,375 …えっ? 452 00:31:05,375 --> 00:31:08,778 なんぼ お仕えした殿さんやいうたかて➡ 453 00:31:08,778 --> 00:31:11,448 死んでしもた人のために 命 懸けるやなんて。 454 00:31:11,448 --> 00:31:15,248 わてらからしたら 親不孝の極みや。 455 00:31:17,320 --> 00:31:21,320 何や よう分からんようなってきた。 456 00:31:23,059 --> 00:31:25,359 厠 行てくる。 457 00:31:29,799 --> 00:31:33,403 わっ! ああ。 これは 近松さん。 458 00:31:33,403 --> 00:31:36,906 どないです? 新作は進んでまっか? 459 00:31:36,906 --> 00:31:40,243 へえ… そらもう さくさくと… さくさくと…。 460 00:31:40,243 --> 00:31:42,178 ほんまでっか? 461 00:31:42,178 --> 00:31:44,414 うう…。 462 00:31:44,414 --> 00:31:48,284 (2人)♬「それ 不孝糖 不孝糖」 <え…?> 463 00:31:48,284 --> 00:31:50,286 ♬「おやおやおやおや」 464 00:31:50,286 --> 00:31:53,590 ♬「親不孝の不孝糖」 <ええ~?> 465 00:31:53,590 --> 00:31:55,525 (銀助)万吉っつぁん お帰りやす。 (菊介)若旦さん➡ 466 00:31:55,525 --> 00:31:57,460 えらい ご機嫌さんでんな。 さあ!➡ 467 00:31:57,460 --> 00:32:01,097 今日も どんちゃんやるで~。 (一同)ハハハ…! 468 00:32:01,097 --> 00:32:03,097 徳兵衛! 469 00:32:10,440 --> 00:32:13,109 <何でや…。➡ 470 00:32:13,109 --> 00:32:16,980 何で こないな事になってんのや…。➡ 471 00:32:16,980 --> 00:32:19,449 この部屋で…> 472 00:32:19,449 --> 00:32:21,749 徳兵衛。 473 00:32:23,319 --> 00:32:26,623 うちの家訓は何や? 474 00:32:26,623 --> 00:32:34,230 始末する事 放蕩は慎む事。 も一つは何や? 475 00:32:34,230 --> 00:32:37,567 (小声で)孝行。 聞こえん。 476 00:32:37,567 --> 00:32:41,905 …孝行。 そうや! 477 00:32:41,905 --> 00:32:46,075 そうや。 孝行する事や。 うちの家訓や。 478 00:32:46,075 --> 00:32:48,111 子は 親を敬うこっちゃ。 479 00:32:48,111 --> 00:32:52,749 子は 親に尽くし 忠実に従うこっちゃ。 480 00:32:52,749 --> 00:32:55,084 それを お前は 家の仕事もせんと➡ 481 00:32:55,084 --> 00:32:57,987 けったいな商いに 関わってたちゅうのやな? 482 00:32:57,987 --> 00:33:01,424 ええ? この平野屋忠右衛門の伜が➡ 483 00:33:01,424 --> 00:33:05,094 平野屋の跡継ぎが 「不孝糖 不孝糖」ちゅうて➡ 484 00:33:05,094 --> 00:33:09,265 人様に親不孝を 勧めて歩いとったちゅうのやな? 485 00:33:09,265 --> 00:33:11,265 この恥さらしが! 486 00:33:16,439 --> 00:33:20,310 隙のないお人だ。 487 00:33:20,310 --> 00:33:24,113 弱みを握っている事を ちらつかせても➡ 488 00:33:24,113 --> 00:33:30,787 かえって優位に立って物を言う。 ハハハ…! 489 00:33:30,787 --> 00:33:36,226 わて 商いの事は よう分かりまへんけど➡ 490 00:33:36,226 --> 00:33:39,262 限られた者にしか 取り引きでけへん品て➡ 491 00:33:39,262 --> 00:33:42,732 何の事です? 492 00:33:42,732 --> 00:33:48,032 女は… 知らんでいい事だ。 493 00:33:53,743 --> 00:33:55,678 おい! 494 00:33:55,678 --> 00:34:00,416 ≪(忠右衛門) 聞いとんのか 徳兵衛!➡ 495 00:34:00,416 --> 00:34:06,089 情けない。 今 思たら… あれが… お鶴が➡ 496 00:34:06,089 --> 00:34:09,789 お前を さんざんに甘やかして 育てよったんが あかなんだ。 497 00:34:12,762 --> 00:34:15,431 (忠右衛門)喜助。 へい。 498 00:34:15,431 --> 00:34:17,934 去んだら 江戸の寿屋さんへ 文を書け。 499 00:34:17,934 --> 00:34:19,869 え…? 500 00:34:19,869 --> 00:34:22,605 徳兵衛を しばらく預けるちゅうてな。 501 00:34:22,605 --> 00:34:24,540 旦さん…。 502 00:34:24,540 --> 00:34:26,776 ≪(忠右衛門) 知った顔のおらん➡ 503 00:34:26,776 --> 00:34:28,711 逃げ場のあらへん江戸で➡ 504 00:34:28,711 --> 00:34:31,614 あんじょう 商いちゅうもんを 身につけてこい。 505 00:34:31,614 --> 00:34:34,384 ≪(喜助) 旦さん それは あんまりな…。 506 00:34:34,384 --> 00:34:37,220 ほかに どないな手がある! あ… へえ。 507 00:34:37,220 --> 00:34:42,392 (忠右衛門)お前は わしの伜や。 平野屋徳兵衛や。➡ 508 00:34:42,392 --> 00:34:46,896 わしが一代で大きいした平野屋を 担わんならん男や。 509 00:34:46,896 --> 00:34:50,896 それを思い出すまで 大坂へは戻るな。 510 00:34:52,568 --> 00:34:55,071 ちょっと待っとくなはれ。 511 00:34:55,071 --> 00:34:59,409 しれ~っと横入りしてもろたら 困りまっせ。 横入り? 512 00:34:59,409 --> 00:35:04,280 そないな事されたら わい 不孝糖の商い できまへんがな。 513 00:35:04,280 --> 00:35:09,085 いや~ ほんま こないに 不孝糖売りに向いてるお人➡ 514 00:35:09,085 --> 00:35:11,120 探そう思たかて 見つかりまへんで。 515 00:35:11,120 --> 00:35:15,758 店の銭箱から盗んだ金で 飲んで 食うて おなごと遊んで➡ 516 00:35:15,758 --> 00:35:18,094 ひとっつも悪びれる事あれへん。 517 00:35:18,094 --> 00:35:21,431 「店の金は 己の金。 いずれは 店ごと➡ 518 00:35:21,431 --> 00:35:23,366 己のもんになる」ちゅうて はばからん! 519 00:35:23,366 --> 00:35:28,304 いや~ こら 旦さん あんたが思てるより もっと➡ 520 00:35:28,304 --> 00:35:31,607 こら とんでもない ど腐れ息子でっせ~。 521 00:35:31,607 --> 00:35:34,510 <言うか? そこまで…。➡ 522 00:35:34,510 --> 00:35:40,416 本人の前で… 親の前で… そこまで言うか…?> 523 00:35:40,416 --> 00:35:44,187 そらもう 見事な 不孝糖の売りっぷりでしたわ。 524 00:35:44,187 --> 00:35:46,122 一ぺん 旦さんにも見せたりたい! 525 00:35:46,122 --> 00:35:48,091 <見せんでええ!> 526 00:35:48,091 --> 00:35:52,729 ええとこの あほボンなだけあって 歌がうまい。 口がうまい。 527 00:35:52,729 --> 00:35:55,064 う~ん もう ちかえもんとは えらい違いや。 528 00:35:55,064 --> 00:35:57,967 先生も やってたんかいな。 529 00:35:57,967 --> 00:36:01,404 あほボンには あほボンにしかあれへん➡ 530 00:36:01,404 --> 00:36:05,074 商いの才覚ちゅうもんが おまんねんな。 531 00:36:05,074 --> 00:36:09,746 …ヘヘッ。 旦さん。 あんた 親のくせして➡ 532 00:36:09,746 --> 00:36:14,617 知らなんだようやな。 恐れ入ったか! わいの勝ちや! 533 00:36:14,617 --> 00:36:19,088 …そないなもん 才覚とは言いまへん。 534 00:36:19,088 --> 00:36:24,894 平野屋の跡継ぎにいるのは 侍のような忠義の心や。➡ 535 00:36:24,894 --> 00:36:27,764 かの赤穂義士みたいに➡ 536 00:36:27,764 --> 00:36:32,535 家のため 主のために 命なげうつ覚悟や。 537 00:36:32,535 --> 00:36:36,035 ほかの しょうもない才覚は いりまへん。 538 00:36:38,708 --> 00:36:43,579 <わしが出る幕やあれへん…。 あれへんけど…> 539 00:36:43,579 --> 00:36:50,420 旦さん それは…! それは あんまり… 酷でっせ。 540 00:36:50,420 --> 00:36:52,889 何です? 541 00:36:52,889 --> 00:36:55,391 いや… その… あほボン➡ 542 00:36:55,391 --> 00:36:58,294 いやいや 若旦さんには 若旦さんの ええとこがあると➡ 543 00:36:58,294 --> 00:37:01,197 今 この万吉が言いました。 544 00:37:01,197 --> 00:37:07,103 何で 「なるほど そうか」と 言うてやれんのです? 545 00:37:07,103 --> 00:37:11,407 …平野屋の跡継ぎたる者 こうあるべきと➡ 546 00:37:11,407 --> 00:37:15,077 旦さんの思い描くもんばっかり 押しつけられたら➡ 547 00:37:15,077 --> 00:37:20,416 そら… 若旦さんかて 息が詰まりまっせ。 548 00:37:20,416 --> 00:37:23,319 そもそも… そもそも そもそも➡ 549 00:37:23,319 --> 00:37:28,090 赤穂義士かて そないに 家のため 主のために➡ 550 00:37:28,090 --> 00:37:32,090 命なげうつ覚悟が あったんでっしゃろか? 551 00:37:33,696 --> 00:37:38,367 そうか! そうか そうか そうか そうか! 552 00:37:38,367 --> 00:37:42,705 戦の世が終わって100年 家より 主より 忠義の心より➡ 553 00:37:42,705 --> 00:37:46,542 もっと大事にしたいもんかて あったんや。 554 00:37:46,542 --> 00:37:50,213 ああ 何で 武家になんぞ 生まれてきてしもたんやと➡ 555 00:37:50,213 --> 00:37:54,717 できれば 討ち入りなんぞ しとうないなと思てた者も➡ 556 00:37:54,717 --> 00:37:57,620 きっと おった…。 そやさかい➡ 557 00:37:57,620 --> 00:38:02,058 わらじの鼻緒が切れたのと 行灯の明かりがどうのと➡ 558 00:38:02,058 --> 00:38:05,394 もたもたと…。 (喜助)わらじ? 559 00:38:05,394 --> 00:38:10,266 あっ いや… つまり… その…。 560 00:38:10,266 --> 00:38:15,404 皆が わあわあ 言うほど 華やかなもんやおまへんのや。 561 00:38:15,404 --> 00:38:21,744 赤穂義士も 平野屋の若旦那も…。 562 00:38:21,744 --> 00:38:29,244 家に縛られて 義理に縛られて のたうち回ってますのや…。 563 00:38:31,420 --> 00:38:33,720 ふざけんな。 564 00:38:36,259 --> 00:38:42,365 何で 私が…。 この私が…。 565 00:38:42,365 --> 00:38:47,236 腐れ物書きなんぞに かばってもらわなあかんねん! 566 00:38:47,236 --> 00:38:51,040 私は平野屋の跡継ぎやぞ! 567 00:38:51,040 --> 00:38:54,340 平野屋徳兵衛やぞ! 568 00:38:58,214 --> 00:39:03,553 分かってるわい。 …私みたいな者➡ 569 00:39:03,553 --> 00:39:07,723 家ちゅう後ろ盾 取ったら 何も残らん。 570 00:39:07,723 --> 00:39:10,626 しょうもない男や。 571 00:39:10,626 --> 00:39:16,065 …こないな私が 生きていこう思たら➡ 572 00:39:16,065 --> 00:39:22,238 「私は平野屋の伜や」言うて 偉そうな顔して➡ 573 00:39:22,238 --> 00:39:26,742 羽振りよう振る舞うしか あれへんやおまへんか! 574 00:39:26,742 --> 00:39:41,257 (すすり泣き) 575 00:39:41,257 --> 00:39:44,057 若旦さん。 576 00:39:48,998 --> 00:39:53,198 今日の商いは 楽しおましたか? 577 00:40:05,381 --> 00:40:09,251 今日 稼いだ銭で買うた。 578 00:40:09,251 --> 00:40:13,251 丁稚らに食わしたろ思て…。 579 00:40:17,393 --> 00:40:19,328 (喜助)若旦さん…! 580 00:40:19,328 --> 00:40:24,528 (すすり泣き) 581 00:40:28,404 --> 00:40:31,073 あほや あほや 思とったが➡ 582 00:40:31,073 --> 00:40:34,910 ほんまに救いようのない あほ息子やな お前は…。 583 00:40:34,910 --> 00:40:38,414 これが わしの伜やと 言うて歩くのも 恥ずかしいわい。 584 00:40:38,414 --> 00:40:40,916 明日から 佐七の下で働け! 585 00:40:40,916 --> 00:40:43,753 …えっ? 586 00:40:43,753 --> 00:40:47,256 手代から やり直せ 言うてんねん。 587 00:40:47,256 --> 00:40:50,292 そうでもせんと お前みたいな あほに➡ 588 00:40:50,292 --> 00:40:53,092 恐ろしゅうて 平野屋を任せられんわい! 589 00:40:56,265 --> 00:40:58,200 <よかった~> 590 00:40:58,200 --> 00:41:01,103 あの…。 <いらん事 言うなよ~> 591 00:41:01,103 --> 00:41:05,441 わいとの不孝糖売りは どないなりまんねん? 592 00:41:05,441 --> 00:41:12,948 手代が仕事の合間に何しようと わしの知ったこっちゃない。 593 00:41:12,948 --> 00:41:30,800 ♬~ 594 00:41:30,800 --> 00:41:32,800 徳様! 595 00:41:38,074 --> 00:41:40,743 お初…。 596 00:41:40,743 --> 00:41:43,412 徳様…。 597 00:41:43,412 --> 00:41:49,085 お初…。 徳様。 598 00:41:49,085 --> 00:41:53,422 お初…。 徳様。 599 00:41:53,422 --> 00:41:58,594 お初。 徳様。 600 00:41:58,594 --> 00:42:02,098 (徳兵衛)お初~。 (お初)徳様。 601 00:42:02,098 --> 00:42:06,602 ほな… ちかえもん わい 仕事… 仕事するわ。 602 00:42:06,602 --> 00:42:08,537 あ…。 ああ。 603 00:42:08,537 --> 00:42:11,440 ああ…。 気ぃ付けてな。 604 00:42:11,440 --> 00:42:16,112 よし…。 わしも書くで。 605 00:42:16,112 --> 00:42:33,229 ♬~ 606 00:42:33,229 --> 00:42:37,399 <わしが 画期的な切り口で 赤穂義士を書こうと➡ 607 00:42:37,399 --> 00:42:40,302 奮起している その隣の部屋で➡ 608 00:42:40,302 --> 00:42:45,574 黒田屋九平次が ひそかに 今夜の修羅場を 皆 聞いており➡ 609 00:42:45,574 --> 00:42:48,477 商人の町 大坂を 震撼させる➡ 610 00:42:48,477 --> 00:42:51,914 よからぬ謀を 企てている事を➡ 611 00:42:51,914 --> 00:42:56,085 この時のわしは 知る由もなかったのである。➡ 612 00:42:56,085 --> 00:43:01,957 …ってな 陳腐な言い回しは わしのプライドが許さんのである> 613 00:43:01,957 --> 00:43:06,457 何? この緊張感で書けるか~?