1 00:00:01,812 --> 00:00:05,682 ありがとうございました。 2 00:00:05,682 --> 00:00:24,835 ♬~ 3 00:00:24,835 --> 00:00:27,835 ひょっとして 歌 歌てた? 4 00:00:34,478 --> 00:00:39,349 (優子)もう 話してもいいよね。➡ 5 00:00:39,349 --> 00:00:44,649 長い話になるけど 聞いてくれるねぇ? 6 00:00:46,957 --> 00:00:53,497 お父ちゃんとお母ちゃんの 昔の話…。 7 00:00:53,497 --> 00:00:57,334 ♬~ 8 00:00:57,334 --> 00:01:03,139 ♬「陽の光 纏う朝」 9 00:01:03,139 --> 00:01:09,346 ♬「開く窓 願う姿」 10 00:01:09,346 --> 00:01:19,689 ♬「忘れない 机の前 あなたの場所」 11 00:01:19,689 --> 00:01:26,363 ♬「また会えたら話をしよう」 12 00:01:26,363 --> 00:01:31,134 ♬「あの日の続きを聴かせてよ」 13 00:01:31,134 --> 00:01:38,475 ♬「届いて この歌 あなたへ」 14 00:01:38,475 --> 00:01:44,147 ♬「降り注ぐ 順光線」 15 00:01:44,147 --> 00:01:51,488 ♬「照らす背には 永久の願い」 16 00:01:51,488 --> 00:02:01,488 ♬「『大丈夫 ほら 見ていて』」 17 00:02:10,507 --> 00:02:12,842 (暢子)いつの写真? 18 00:02:12,842 --> 00:02:16,713 (優子)昭和18年ぐらいかね。 19 00:02:16,713 --> 00:02:21,351 うちの家族と お父ちゃん。➡ 20 00:02:21,351 --> 00:02:24,688 たった一枚 残っている写真。 21 00:02:24,688 --> 00:02:29,559 お父ちゃんが ずっと持っててくれてたわけ。 22 00:02:29,559 --> 00:02:32,295 これが お母ちゃんのおうち? 23 00:02:32,295 --> 00:02:38,168 (優子)そう。 うちは 那覇の食堂の娘だったから。 24 00:02:38,168 --> 00:02:43,807 ♬~(「浜千鳥」) 25 00:02:43,807 --> 00:02:50,146 (優子)うちの家族は 両親と おじぃ おばぁ➡ 26 00:02:50,146 --> 00:02:56,446 時恵ネーネー 弟の秀夫の7人家族。 27 00:02:58,855 --> 00:03:07,163 (優子)ネーネーは 琉球舞踊が上手で 弟は 賢秀に似て やんちゃだったよ。 28 00:03:07,163 --> 00:03:13,937 ♬~(「浜千鳥」) 29 00:03:13,937 --> 00:03:17,173 (良子)お母ちゃんも 踊りを習ってた? 30 00:03:17,173 --> 00:03:20,210 (優子)ネーネーに 少し教えてもらっただけ。 31 00:03:20,210 --> 00:03:22,679 お母ちゃんの踊り 見てみたい。 32 00:03:22,679 --> 00:03:25,479 (賢秀)おう。 ハッハッハ…。 33 00:03:27,183 --> 00:03:31,788 (優子)お父ちゃんは うちのお店で働いていたさぁ。 34 00:03:31,788 --> 00:03:34,691 お店の名物は そばだったよ。 35 00:03:34,691 --> 00:03:40,797 あ~ だから お父ちゃんが そばを作れたわけ? 36 00:03:40,797 --> 00:03:43,700 (良子)そのお店で お父ちゃんと出会ったわけ? 37 00:03:43,700 --> 00:03:46,302 初めは ただのお客さん。 38 00:03:46,302 --> 00:03:49,939 芸人一座の 一番下っ端でね。 39 00:03:49,939 --> 00:03:53,309 (歌子)もしかしたら 上原さんも その一座にいたわけ? 40 00:03:53,309 --> 00:03:55,645 上原さんが座長だったんだのに。 41 00:03:55,645 --> 00:04:01,151 (賢秀)アキサミヨー。 父ちゃんの夢は 歌手だったわけ? 42 00:04:01,151 --> 00:04:03,953 歌子が 今 使っている三線は➡ 43 00:04:03,953 --> 00:04:07,653 お父ちゃんが そのころから使っていたもの。 44 00:04:12,495 --> 00:04:16,833 上原さんの一座は 苦しくなって➡ 45 00:04:16,833 --> 00:04:20,503 お父ちゃんは 本土に出稼ぎに行ったわけ。 46 00:04:20,503 --> 00:04:31,114 ♬~ 47 00:04:31,114 --> 00:04:35,452 (房子)私の両親は やんばるの出身で➡ 48 00:04:35,452 --> 00:04:40,924 幼い姉を親戚に預けて 鶴見に仕事を探しに来た。 49 00:04:40,924 --> 00:04:43,293 私は 鶴見で生まれた。 50 00:04:43,293 --> 00:04:46,796 だから 私は 一度も 姉には会ったことがない。 51 00:04:46,796 --> 00:04:52,302 その姉の息子が 賢三。 暢子さんの父親。 52 00:04:52,302 --> 00:04:58,942 (二ツ橋)つまり オーナーの 甥御さんですね。 53 00:04:58,942 --> 00:05:04,147 賢三は 戦前 出稼ぎで鶴見に来ていた。 54 00:05:04,147 --> 00:05:08,318 私は 親戚というものに 初めて出会った。 55 00:05:08,318 --> 00:05:10,353 うれしかった。 56 00:05:10,353 --> 00:05:17,353 明るい若者で 三線はうまいし 県人会にも すぐになじんだ。 57 00:05:20,029 --> 00:05:26,669 [ 回想 ] (賢三)♬「親ぬ寄し事や」 58 00:05:26,669 --> 00:05:33,443 ♬「肝に染みり」 59 00:05:33,443 --> 00:05:37,313 ♬「親ぬ寄し」 60 00:05:37,313 --> 00:05:39,315 (田良島)じゃあ 三郎さんは➡ 61 00:05:39,315 --> 00:05:43,787 暢子ちゃんの父親から三線を? 62 00:05:43,787 --> 00:05:51,528 (三郎)両親は 沖縄生まれの沖縄育ちだが 俺は こっちで生まれて育った。➡ 63 00:05:51,528 --> 00:05:54,798 沖縄のことを何にも知らねえ。 64 00:05:54,798 --> 00:05:57,801 大人になると それが悔しくてな。 65 00:05:57,801 --> 00:06:01,571 それで 賢三に 三線を教えてもらったんですよ。 66 00:06:01,571 --> 00:06:03,940 じきに 那覇に 戻っちまったんですけどね。 67 00:06:03,940 --> 00:06:07,477 民謡歌手になりてえっつって。 68 00:06:07,477 --> 00:06:10,947 (歌子)お父ちゃんは 結局 歌手には なれなかったの? 69 00:06:10,947 --> 00:06:14,317 どうにもならなくて…。 70 00:06:14,317 --> 00:06:19,656 お父ちゃんは 住み込みで うちの食堂の店員になった。 71 00:06:19,656 --> 00:06:22,559 で そのまま結婚? 72 00:06:22,559 --> 00:06:29,833 ううん。 お父ちゃんは そのうち いなくなってしまったから。 73 00:06:29,833 --> 00:06:31,768 何で? 74 00:06:31,768 --> 00:06:36,272 戦争が始まって 召集されて➡ 75 00:06:36,272 --> 00:06:39,972 中国の方に出征していった。 76 00:06:49,285 --> 00:06:55,625 (田良島)俺の兄は 19年に入営しましてね。 77 00:06:55,625 --> 00:06:59,128 沖縄で 戦死したんです。 78 00:06:59,128 --> 00:07:04,934 だから どうしても あの 「鉄の暴風」のことを➡ 79 00:07:04,934 --> 00:07:08,134 自分で記事にして伝えたかった。 80 00:07:10,807 --> 00:07:17,480 俺は 戦後 シベリアに連れていかれました。 81 00:07:17,480 --> 00:07:20,516 (田良島)シベリアですか。 82 00:07:20,516 --> 00:07:25,154 何年も 残された家族は➡ 83 00:07:25,154 --> 00:07:28,057 生きてんのか 死んでんのかも分からずね。 84 00:07:28,057 --> 00:07:31,594 苦労をかけちまいましたよ。 85 00:07:31,594 --> 00:07:35,098 (多江)いいえ。 86 00:07:35,098 --> 00:07:40,603 寒さと飢えの中 シベリアで死んだやつは まだ➡ 87 00:07:40,603 --> 00:07:44,774 骨も 日本に帰れないまま。 88 00:07:44,774 --> 00:07:50,474 いいやつほど 早く死にます。 89 00:07:55,118 --> 00:08:01,457 (優子)お父ちゃんは 戦地でのことを ほとんど話さなかった。 90 00:08:01,457 --> 00:08:08,157 ただ 一度だけ すごく後悔してることがあると言ってた。 91 00:08:11,167 --> 00:08:15,939 「まくとぅそーけー なんくるないさー」。 92 00:08:15,939 --> 00:08:20,310 自分が正しいと思うことを 守れなかったことを➡ 93 00:08:20,310 --> 00:08:24,948 すごく悔やんでいたと思う。 94 00:08:24,948 --> 00:08:30,753 帰ってきたばかりの頃は 夜 寝ている時➡ 95 00:08:30,753 --> 00:08:38,628 「ごめんなさい ごめんなさい」と うなされていたからね。 96 00:08:38,628 --> 00:08:50,139 ♬~ 97 00:08:50,139 --> 00:08:55,278 [ 回想 ] (賢秀)父ちゃん 毎朝 何をお祈りしてるわけ? 98 00:08:55,278 --> 00:09:00,778 お願いしたいことと 謝らないといけないことがあるわけさ。 99 00:09:13,629 --> 00:09:20,937 昭和19年10月10日の大空襲で➡ 100 00:09:20,937 --> 00:09:24,474 那覇は 焼け野原➡ 101 00:09:24,474 --> 00:09:31,280 おうちも 食堂も 全部燃えて➡ 102 00:09:31,280 --> 00:09:35,280 おじぃと おばぁも亡くなって。 103 00:09:38,021 --> 00:09:44,221 そして 米軍が上陸してきた…。 104 00:09:48,097 --> 00:09:52,902 (優子)うちは 山の中を さまよっているうちに➡ 105 00:09:52,902 --> 00:09:56,773 お父さん お母さん ネーネーと はぐれて➡ 106 00:09:56,773 --> 00:09:59,108 弟と 二人きりになってしまった。 107 00:09:59,108 --> 00:10:01,408 [ 回想 ] はっ…。 108 00:10:03,980 --> 00:10:08,785 (優子)うちと弟は アメリカ兵に つかまって➡ 109 00:10:08,785 --> 00:10:12,785 捕虜収容所で終戦を迎えた。 110 00:10:15,291 --> 00:10:23,091 戦争が終わって お父ちゃんは 沖縄に帰ってこられたわけ? 111 00:10:24,934 --> 00:10:32,308 日本には 戻ってきていたけど 沖縄には 帰ってこられなかった。 112 00:10:32,308 --> 00:10:34,944 何で? 113 00:10:34,944 --> 00:10:39,482 そのころ 沖縄出身の復員兵は➡ 114 00:10:39,482 --> 00:10:44,954 すぐに 沖縄に帰ることを 許されていなかったから。 115 00:10:44,954 --> 00:10:47,154 どうして? 116 00:10:48,825 --> 00:10:55,125 沖縄は… 日本じゃなくなっていたからねぇ。 117 00:11:08,511 --> 00:11:17,520 ♬~ 118 00:11:17,520 --> 00:11:21,190 (房子)妹と 空襲で生き別れて➡ 119 00:11:21,190 --> 00:11:28,490 きっとまた 一緒に暮らせると信じて ずっと捜し続けて。 120 00:11:30,533 --> 00:11:33,503 とも…! 121 00:11:33,503 --> 00:11:37,306 すいません…。 122 00:11:37,306 --> 00:11:42,945 (房子)私は 妹を捜しながら 焼け跡の闇市で 商売を始めた。 123 00:11:42,945 --> 00:11:48,151 あっ ありがとうございます。 ありがとうございました。 124 00:11:48,151 --> 00:11:50,151 いらっしゃい…。 125 00:11:51,821 --> 00:11:55,491 賢三…。 126 00:11:55,491 --> 00:12:00,830 (房子)明るかった賢三が まるで別人。➡ 127 00:12:00,830 --> 00:12:03,830 笑わない男になっていた。 128 00:12:06,169 --> 00:12:10,039 (房子)沖縄に帰りたくても 帰れなかった 賢三は➡ 129 00:12:10,039 --> 00:12:14,677 私の商売を手伝ってくれた。➡ 130 00:12:14,677 --> 00:12:20,983 人がいいし 料理もできる 頼れる甥っ子だった。➡ 131 00:12:20,983 --> 00:12:26,483 独りぼっちだった私は とっても うれしかった。 132 00:12:33,930 --> 00:12:36,930 賢三。 はい。 133 00:12:46,509 --> 00:12:49,812 叔母さん ありがとう。 134 00:12:49,812 --> 00:12:54,951 2人で もっともっと働いて 稼ぐよ! 135 00:12:54,951 --> 00:12:56,951 はい! 136 00:12:58,821 --> 00:13:04,321 (房子)これからも ずっと一緒に 商売をやっていこうねって約束した。 137 00:13:10,166 --> 00:13:17,506 翌年 賢三は沖縄に帰れることになって 鶴見を去った。 138 00:13:17,506 --> 00:13:24,380 「家族の消息を確かめたら すぐ また戻ります」と言って。➡ 139 00:13:24,380 --> 00:13:27,850 でも それっきり…。 140 00:13:27,850 --> 00:13:33,122 賢三が 鶴見に 戻ることはなかった。 141 00:13:33,122 --> 00:13:38,294 1年ほどして 手紙が届いた。 142 00:13:38,294 --> 00:13:43,165 「やんばるで結婚した。 やんばるで子供を育てたい。➡ 143 00:13:43,165 --> 00:13:46,965 約束を破ってしまって 申し訳ない」。 144 00:13:49,305 --> 00:13:53,305 私は 裏切られたと 思い込んでしまった。 145 00:13:55,177 --> 00:14:01,817 あちこちの収容所を 転々とさせられて➡ 146 00:14:01,817 --> 00:14:05,688 いつも ひもじくて。 147 00:14:05,688 --> 00:14:12,388 やがて 弟も死んでしまった。 148 00:14:14,163 --> 00:14:22,163 うちが 独りぼっちになってしまって もう 生きる気力もなくなった頃…。 149 00:14:28,978 --> 00:14:32,281 (優子)お父ちゃんは 自分の親きょうだいが➡ 150 00:14:32,281 --> 00:14:36,919 収容所にいるんじゃないかと 捜しに来てた。➡ 151 00:14:36,919 --> 00:14:43,693 結局 みんな 戦争で 死んでしまっていたんだけど。 152 00:14:43,693 --> 00:14:45,893 [ 回想 ] (賢三)優子か? 153 00:14:50,466 --> 00:14:54,303 ニーニー… 賢三ニーニー! 154 00:14:54,303 --> 00:14:57,340 生きてたのか 生きててくれたのか! 155 00:14:57,340 --> 00:14:59,840 よかった…。 156 00:15:05,815 --> 00:15:09,685 運命の再会だと思った。 157 00:15:09,685 --> 00:15:24,985 ♬~