1 00:00:33,812 --> 00:00:43,812 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:52,815 --> 00:01:01,815 ♬~ 3 00:01:41,813 --> 00:01:44,533 (喜代美)♬「お前さんの」 4 00:01:44,533 --> 00:01:48,804 ♬「お世話にゃ なりゃしょまい」 5 00:01:48,804 --> 00:01:51,473 (草々)「よう そんな事 ぬかしやがったなあ。➡ 6 00:01:51,473 --> 00:01:53,976 世話焼いてないかあ? やれ 着物買うてくれやの➡ 7 00:01:53,976 --> 00:01:55,978 金貸してくれやのと➡ 8 00:01:55,978 --> 00:01:59,778 千度 お前には 世話焼いてあるわい!」。 9 00:02:02,868 --> 00:02:06,872 「からっけつの からぞめき」や! え? 10 00:02:06,872 --> 00:02:09,825 お前が言わな 俺が 次 言われへんやろ! 11 00:02:09,825 --> 00:02:12,544 あっ すいません! 12 00:02:12,544 --> 00:02:15,531 前のとこ歌えて 思わず ほっとしてしまいました。 13 00:02:15,531 --> 00:02:19,201 ほっとすな! あの程度で! 14 00:02:19,201 --> 00:02:21,703 <草々さんと私が 稽古しているのは➡ 15 00:02:21,703 --> 00:02:24,806 「辻占茶屋」の 見せ場でございまして➡ 16 00:02:24,806 --> 00:02:28,210 茶屋で 梅乃を持っている源太が…> 17 00:02:28,210 --> 00:02:31,813 (源太) 「いっそ 会わずに去のうか…」。 18 00:02:31,813 --> 00:02:36,113 <…と言いますと 偶然 隣から 芸者の唄が> 19 00:02:37,803 --> 00:02:39,803 「え?」。 20 00:02:46,144 --> 00:02:50,644 「世話焼くな? よう そんな事 言うなあ」。 21 00:02:53,135 --> 00:02:55,137 「誰が からっけつや!」。 22 00:02:55,137 --> 00:02:57,372 <…みたいな やり取りがありまして➡ 23 00:02:57,372 --> 00:03:03,145 この三味線と唄のパートを 私が やらんならん訳ですが…> 24 00:03:03,145 --> 00:03:06,815 大体 お前 何が弾けんねん。 25 00:03:06,815 --> 00:03:08,815 (ため息) 26 00:03:14,539 --> 00:03:22,864 ♬「祭りも近いと 汽笛は呼ぶが」 27 00:03:22,864 --> 00:03:30,372 ♬「洗いざらしの Gパンひとつ」 28 00:03:30,372 --> 00:03:38,196 ♬「白い花咲く 故郷が」 29 00:03:38,196 --> 00:03:47,873 ♬「日暮れりゃ 恋しくなるばかり」 30 00:03:47,873 --> 00:03:50,375 ここで 挫折したんです。 31 00:03:50,375 --> 00:03:54,880 は? このあとが サビなんです。 32 00:03:54,880 --> 00:03:59,801 ♬「あゝ 誰にも 故郷がある」って。 33 00:03:59,801 --> 00:04:06,308 そこが 指が うまく運べんで…。 34 00:04:06,308 --> 00:04:10,312 そうや。 おばあちゃんに言われたんや。 35 00:04:10,312 --> 00:04:14,800 「最後まで やり遂げる自信は ありますのんか?」。 36 00:04:14,800 --> 00:04:21,873 私 「ある」て言われんで それで それで…➡ 37 00:04:21,873 --> 00:04:25,873 無念の照明係を…。 38 00:04:27,813 --> 00:04:30,816 ん? 39 00:04:30,816 --> 00:04:33,318 え? 40 00:04:33,318 --> 00:04:36,805 草々さん! どこ 行くんですか? 41 00:04:36,805 --> 00:04:39,808 休憩や。 ほんまですか? 42 00:04:39,808 --> 00:04:41,810 まさか やめるつもりや…。 43 00:04:41,810 --> 00:04:44,610 そんな訳ないやろ! 44 00:04:46,381 --> 00:04:49,701 ほんまに久しぶりやったんや。 45 00:04:49,701 --> 00:04:53,805 師匠が 前向きに 高座の話をしてくれはったんは。 46 00:04:53,805 --> 00:04:59,861 (草若)けど なんぞ 工夫したら どないかなるや 分からへんな。 47 00:04:59,861 --> 00:05:03,148 そやから この「辻占茶屋」は 絶対に やり遂げる! 48 00:05:03,148 --> 00:05:10,138 ♬~ 49 00:05:10,138 --> 00:05:13,875 ほんまに できるんか? え? あの掛け合いや。 50 00:05:13,875 --> 00:05:17,329 まともに 一曲も弾かれん お前に できるんか? 51 00:05:17,329 --> 00:05:19,548 やります! 52 00:05:19,548 --> 00:05:23,548 ほんまに できるんか!? できます! 53 00:05:27,873 --> 00:05:29,873 信じてええんやな? 54 00:05:31,476 --> 00:05:34,713 お前を信じてええんやな!? 55 00:05:34,713 --> 00:05:37,032 は…。 ≪(子供 A)はずれ! 56 00:05:37,032 --> 00:05:38,967 そっちかて そっちかて はずれや! 57 00:05:38,967 --> 00:05:40,969 そっちかて そっちかて はずれや! 58 00:05:40,969 --> 00:05:44,740 もう知らんわ 行くわ! 待ってぇや! 59 00:05:44,740 --> 00:05:47,240 えらい悪い 辻占が出たな。 60 00:05:50,328 --> 00:05:52,814 さっさと戻って 稽古せえ! 61 00:05:52,814 --> 00:05:54,800 ♬「待たしゃんせ」 62 00:05:54,800 --> 00:05:56,802 ♬「源太さん」 63 00:05:56,802 --> 00:06:00,822 <とにかく 朝から晩まで 暇さえあれば 稽古しました> 64 00:06:00,822 --> 00:06:33,805 ♬~ 65 00:06:33,805 --> 00:06:37,542 何や? 66 00:06:37,542 --> 00:06:41,813 血ぃ 出てるやないか。 大丈夫です これぐらい。 67 00:06:41,813 --> 00:06:49,204 ♬~ 68 00:06:49,204 --> 00:06:53,204 (ため息) (草若)どないした? 69 00:06:58,530 --> 00:07:02,868 「三味線は 『ゆかりの月』だけ 弾けたらええ」て 言われました。 70 00:07:02,868 --> 00:07:07,873 ふ~ん。 「あとは 唄だけで 掛け合いする」って。 71 00:07:07,873 --> 00:07:10,809 いんちきな「辻占茶屋」やなあ。 え? 72 00:07:10,809 --> 00:07:14,546 客の中に 落語通がおったら 「金返せ」て どなられるで。 73 00:07:14,546 --> 00:07:17,816 手当たりしだい 猪口やら徳利やら ビャ~ッて投げられて➡ 74 00:07:17,816 --> 00:07:20,316 それが あんたの頭に パ~ンって 当たって 鼻血が ダ~ッ! 75 00:07:22,804 --> 00:07:26,541 なんの事もないやろけど…。 え? 76 00:07:26,541 --> 00:07:29,377 それは プロの下座さんでも➡ 77 00:07:29,377 --> 00:07:32,697 気軽に手出しのできん 難しい噺や。 78 00:07:32,697 --> 00:07:34,799 それを ド素人のあんたが 「でけへん でけへん」て➡ 79 00:07:34,799 --> 00:07:36,818 くよくよ言うてたら 「当たり前じゃ なめとるのか」て➡ 80 00:07:36,818 --> 00:07:40,518 ド突かれるで。 すいません。 81 00:07:42,874 --> 00:07:47,145 草々は ああ見えても 気の小さい男や。 82 00:07:47,145 --> 00:07:49,147 少々 難しいても➡ 83 00:07:49,147 --> 00:07:52,467 今度の高座は はめもの入りで 正解や。 84 00:07:52,467 --> 00:07:54,469 「下座さんがいる」。 85 00:07:54,469 --> 00:07:57,639 そう思うだけで 安心すると思うで。 86 00:07:57,639 --> 00:08:00,375 でも 私… ほんまに不器用なんですよ。 87 00:08:00,375 --> 00:08:03,478 不器用で ええやないかい。 88 00:08:03,478 --> 00:08:08,867 不器用なもんほど ぎょうさん 稽古する。 89 00:08:08,867 --> 00:08:14,823 ぎょうさん 稽古したもんは 誰よりも うまなんのや。 90 00:08:14,823 --> 00:08:25,867 ♬~ 91 00:08:25,867 --> 00:08:30,067 <さて いよいよ 本番の日が やってまいりました> 92 00:08:36,828 --> 00:08:40,865 師匠 行ってまいります。 93 00:08:40,865 --> 00:08:45,303 どこへ? 落語会です。 94 00:08:45,303 --> 00:08:48,803 ああ 今日やったんか。 行ってき 行ってき。 95 00:08:56,898 --> 00:09:00,398 (磯七)頂戴いたします。 ああ すんまへんな。 96 00:09:08,810 --> 00:09:15,310 <私は どうにか 言われた事だけは できるようになっておりました> 97 00:09:29,864 --> 00:09:34,869 (草若)草々は ああ見えても 気の小さい男や。➡ 98 00:09:34,869 --> 00:09:36,871 「下座さんがいる」。➡ 99 00:09:36,871 --> 00:09:40,871 そう思うだけで 安心すると思うで。 100 00:09:44,863 --> 00:09:47,863 あの… 草々さん。 101 00:09:50,869 --> 00:09:55,874 <人生において いっぺん 言うてみたい。➡ 102 00:09:55,874 --> 00:09:59,811 でも 一生 言う事ないやろと 思うてたセリフを➡ 103 00:09:59,811 --> 00:10:02,811 言うてみました> 104 00:10:05,533 --> 00:10:09,833 私が ついてますから。 105 00:10:19,814 --> 00:10:21,800 はあ…。 106 00:10:21,800 --> 00:10:26,137 え~ ただいまより 落語を一席 お楽しみ頂きます。 107 00:10:26,137 --> 00:10:30,837 (拍手) 108 00:10:32,544 --> 00:10:35,844 そこの座布団 高座に置いてきてくれ。 はい。 109 00:10:37,816 --> 00:10:41,816 何や えらい地味な座布団やなあ。 110 00:10:45,540 --> 00:10:51,813 (客達)よっ! (拍手) 111 00:10:51,813 --> 00:11:01,873 ♬~ 112 00:11:01,873 --> 00:11:07,362 大丈夫か? しっかりせえ! …はい。 113 00:11:07,362 --> 00:11:09,481 出囃子! 114 00:11:09,481 --> 00:11:11,866 出囃子? 「ふるさと」や! 115 00:11:11,866 --> 00:11:13,818 お前が 唯一 ちょっと弾ける曲や! 116 00:11:13,818 --> 00:11:15,870 ああっ! 117 00:11:15,870 --> 00:11:21,870 ♬~ 118 00:11:30,819 --> 00:11:44,365 ♬~(「ふるさと」) 119 00:11:44,365 --> 00:11:53,308 (拍手) 120 00:11:53,308 --> 00:11:55,376 (柝の音) 121 00:11:55,376 --> 00:11:59,876 (拍手) 122 00:12:12,877 --> 00:12:16,865 「傾城に まことなしとは 誰が言うた。➡ 123 00:12:16,865 --> 00:12:20,802 まことあるまで 買い遂げもせず」。 124 00:12:20,802 --> 00:12:25,807 商売女にも 真実の恋というもんが あるんやそうでして。 125 00:12:25,807 --> 00:12:28,476 ところが 客の方から言わしますと➡ 126 00:12:28,476 --> 00:12:33,548 「女郎のまことと 卵の四角 あれば 晦日に月が出る」。 127 00:12:33,548 --> 00:12:36,534 …てな事 言いまして。 まあ 男というもんは➡ 128 00:12:36,534 --> 00:12:41,539 分かっていながらでも ついつい 女に だまされにいくもんでして。 129 00:12:41,539 --> 00:12:44,225 「おい 源太。 ちょっと そこ座り。➡ 130 00:12:44,225 --> 00:12:47,028 お前 聞くところによると 女子が できたそうやな。➡ 131 00:12:47,028 --> 00:12:49,647 「ええ そうでんねん。 わて 女子が できましてん。➡ 132 00:12:49,647 --> 00:12:51,633 ほんで 一緒になったろ 思てまんねん」。 133 00:12:51,633 --> 00:12:54,035 「ああ そうか。 …で その女子というのは➡ 134 00:12:54,035 --> 00:12:57,655 一体 どこの人や」。 「日本人です」。 135 00:12:57,655 --> 00:12:59,807 「日本人 分かってはるがな」。 136 00:12:59,807 --> 00:13:01,809 やっぱり ちょっと硬いなあ。 137 00:13:01,809 --> 00:13:04,863 「花魁です」。 「花魁? ああ 女郎か」。 138 00:13:04,863 --> 00:13:09,367 <私はといいますと 草々さんが 3年間の思いを乗り越え➡ 139 00:13:09,367 --> 00:13:13,821 高座に上がった感慨に 浸る余裕もなく➡ 140 00:13:13,821 --> 00:13:16,474 「とにかく 間違えんとこう」と➡ 141 00:13:16,474 --> 00:13:20,862 そればっかり 必死で考えておりました。➡ 142 00:13:20,862 --> 00:13:26,818 「私が ついてます」て どの口が言うたんでしょうか> 143 00:13:26,818 --> 00:13:28,870 「おい 女将」。 144 00:13:28,870 --> 00:13:32,807 <さて お噺は いよいよ 源太が 茶屋へ➡ 145 00:13:32,807 --> 00:13:36,377 梅乃を訪ねる場面に さしかかります。➡ 146 00:13:36,377 --> 00:13:39,364 つまり もうすぐ 私の出番です> 147 00:13:39,364 --> 00:13:43,368 「こら 結び昆布の実カスやな。 あっ そや➡ 148 00:13:43,368 --> 00:13:46,371 おっさん 『見たもん 聞いたもん 辻占にせえ』言うとったな。➡ 149 00:13:46,371 --> 00:13:48,873 ああ これを 辻占にとったろ。➡ 150 00:13:48,873 --> 00:13:55,496 何と書いてある? 『見れば見るほど けつたい仲』。➡ 151 00:13:55,496 --> 00:13:57,815 ほっといてくれ」。 152 00:13:57,815 --> 00:14:06,874 ♬~ 153 00:14:06,874 --> 00:14:10,862 「あっ ここに皿があるがな。 まだ 昆布 ついてはる。➡ 154 00:14:10,862 --> 00:14:15,133 こら ええもらいや。 ああ 何と書いてある?➡ 155 00:14:15,133 --> 00:14:18,536 『好き 好き 好きは ほかにある』。➡ 156 00:14:18,536 --> 00:14:20,488 何 ぬかしよんねん! ほんまに もう!」。 157 00:14:20,488 --> 00:14:22,490 <次でございます> 158 00:14:22,490 --> 00:14:24,876 「ああ 悪い辻占やなあ!」。 159 00:14:24,876 --> 00:14:26,876 <はい!> 160 00:14:38,890 --> 00:14:43,090 「ほんまに 悪い辻占やなあ!」。 161 00:14:45,480 --> 00:14:47,815 <そうなんでございます。➡ 162 00:14:47,815 --> 00:14:50,868 頭の中が 真っ白になってしもて> 163 00:14:50,868 --> 00:14:53,871 (心臓の鼓動の音) 164 00:14:53,871 --> 00:14:59,811 <とにかく 最初の音を出さにゃ。 何やったっけ? 最初の音…。➡ 165 00:14:59,811 --> 00:15:02,111 最初の音!> 166 00:15:04,983 --> 00:15:08,803 ♬「祭りも近いと」 167 00:15:08,803 --> 00:15:12,803 ♬「汽笛は呼ぶが」 168 00:15:14,809 --> 00:15:18,313 <なんと 私が弾いたんは➡ 169 00:15:18,313 --> 00:15:23,013 「ゆかりの月」やなくて 「ふるさと」でした> 170 00:15:36,631 --> 00:15:39,631 (め以子)お父ちゃん もう 賄い食べた? 171 00:15:45,306 --> 00:15:48,776 (照生)話があるって 悠太郎さんが来てさ。 172 00:15:48,776 --> 00:15:53,114 話? 173 00:15:53,114 --> 00:15:55,783 (悠太郎) 近くに 家を借りてもええですし➡