1 00:00:34,160 --> 00:00:44,160 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:53,162 --> 00:01:02,162 ♬~ 3 00:01:43,112 --> 00:01:47,112 (喜代美)「算段の平兵衛」。 4 00:01:50,102 --> 00:01:53,172 …って 誰? 5 00:01:53,172 --> 00:01:56,792 (草々)「算段の平兵衛」いう 落語があるんや。 6 00:01:56,792 --> 00:01:59,278 ああ…。 7 00:01:59,278 --> 00:02:05,601 金が目的で うっかり 殺してしもた庄屋はんを➡ 8 00:02:05,601 --> 00:02:08,671 庄屋はんのお嫁はんに➡ 9 00:02:08,671 --> 00:02:11,824 「私のせいで死んだんや」と 思わして➡ 10 00:02:11,824 --> 00:02:17,163 「俺が どないかしたる」言うて 金もろて。 11 00:02:17,163 --> 00:02:27,507 盆踊りの衆に ボコボコにさして 自分らのせいで死んだ思わして。 12 00:02:27,507 --> 00:02:30,159 (平兵衛)「算段しましょか?」。 13 00:02:30,159 --> 00:02:34,163 「俺が どないかしたる」て また 金もろて…。 14 00:02:34,163 --> 00:02:37,166 と まあ こんな事 繰り返してる男の噺や。 15 00:02:37,166 --> 00:02:40,203 その落語 笑えるんですか? 16 00:02:40,203 --> 00:02:44,440 実際 師匠の「平兵衛」は どっか 憎めんところがあって➡ 17 00:02:44,440 --> 00:02:48,327 面白い噺になってた。 18 00:02:48,327 --> 00:02:54,127 四草は その「算段の平兵衛」 みたいな男なんや。 19 00:02:57,169 --> 00:02:59,169 (中国語) 20 00:03:11,834 --> 00:03:14,334 3,280円です。 21 00:03:18,174 --> 00:03:21,174 (2人)ありがとうございました! 22 00:03:32,171 --> 00:03:35,171 (3人)いらっしゃいませ! 23 00:03:37,176 --> 00:03:39,176 四草! 24 00:03:47,837 --> 00:03:51,173 草々にいさんて 相変わらず 頭 悪いですね。 25 00:03:51,173 --> 00:03:54,173 ちょっ…! 草々さん! 26 00:03:57,163 --> 00:04:00,166 草若師匠の落語が 生き残ったからいうて➡ 27 00:04:00,166 --> 00:04:04,503 僕には 何の利益もないんですよ。 28 00:04:04,503 --> 00:04:09,175 ほな 何で 落語をやってたんや? 29 00:04:09,175 --> 00:04:14,163 大学まで出て いっぺんは 落語家を目指したんは 何でや? 30 00:04:14,163 --> 00:04:16,165 大学…。 (コップを置く音) 31 00:04:16,165 --> 00:04:19,168 落語家 目指した事なんかありませんよ。 32 00:04:19,168 --> 00:04:23,172 「師匠の落語に感動して 自分から弟子入りした」。 33 00:04:23,172 --> 00:04:27,159 そない 言うてたやないか? 僕が惚れたんは 師匠やない。 34 00:04:27,159 --> 00:04:32,164 「算段の平兵衛」です。 はあ? 35 00:04:32,164 --> 00:04:37,169 あの時 師匠は 「算段の平兵衛」をかけてた。 36 00:04:37,169 --> 00:04:40,172 僕は 「平兵衛のような男になりたい➡ 37 00:04:40,172 --> 00:04:46,162 平兵衛に弟子入りしたい」 思たんです。 38 00:04:46,162 --> 00:04:48,862 大丈夫なんやろか? この人。 39 00:04:56,005 --> 00:04:59,108 こんな男の どこがええんですか? え? 40 00:04:59,108 --> 00:05:02,108 暑苦しいだけですよ。 41 00:05:04,096 --> 00:05:08,834 <結局 3人のお弟子さん達は➡ 42 00:05:08,834 --> 00:05:12,121 一人も戻ってきては くれませんでした> 43 00:05:12,121 --> 00:05:15,124 (熊五郎)うっ! ああ…。 44 00:05:15,124 --> 00:05:17,777 おっ ちょ ちょっと! 45 00:05:17,777 --> 00:05:20,112 (咲)あんた 連れてきたで! 師匠! 46 00:05:20,112 --> 00:05:22,131 これ 全部 飲んだんやで! 47 00:05:22,131 --> 00:05:26,152 師匠! 師匠! 48 00:05:26,152 --> 00:05:29,171 (草若)おう 草々か。 49 00:05:29,171 --> 00:05:33,175 帰りましょう。 立てますか? 50 00:05:33,175 --> 00:05:35,875 (4人)ああ~っ! 51 00:05:38,197 --> 00:05:43,102 あ~。 なあ 草々。 はい。 52 00:05:43,102 --> 00:05:47,773 毎日の 俺 見てて お前 どない思う? 53 00:05:47,773 --> 00:05:49,775 「どない」て…。 54 00:05:49,775 --> 00:05:54,163 昼間から酒飲んで ごろごろして。 55 00:05:54,163 --> 00:06:00,169 かわいい下宿人に 飯の世話してもろて。 56 00:06:00,169 --> 00:06:06,169 はっきり言うて ええ身分。 極楽やで。 57 00:06:10,096 --> 00:06:14,166 「何で落語みたいなもん やってたんやろな」って思うわ。 58 00:06:14,166 --> 00:06:17,103 「落語みたいなもん」? 59 00:06:17,103 --> 00:06:23,125 考えてもみいや。 1人で 座布団の上 座って。 60 00:06:23,125 --> 00:06:27,095 誰もおらんとこに…。 61 00:06:27,095 --> 00:06:30,098 「誰か いてはりまっか! 誰か いてはりまっか!」。 62 00:06:30,098 --> 00:06:36,104 今度 こっち回って 「ああ あんさんか。 入り 入り」。 63 00:06:36,104 --> 00:06:41,109 こんなもの まともなやつの やってる事ちゃうぞ! 64 00:06:41,109 --> 00:06:43,829 言われてみたら そやなあ。 65 00:06:43,829 --> 00:06:47,165 そんな けったいなもん 「教えてくれ 教えてくれ」て➡ 66 00:06:47,165 --> 00:06:53,104 4人の男が 入れ代わり立ち代わり むさ苦しい。➡ 67 00:06:53,104 --> 00:06:59,110 思い出しとうもないわ。 (ため息) 68 00:06:59,110 --> 00:07:01,410 けど…。 69 00:07:03,165 --> 00:07:06,935 どうしても 俺は 師匠の落語を…。 あ! 70 00:07:06,935 --> 00:07:09,504 師匠さん! 草若さん 何をしはんねん! 71 00:07:09,504 --> 00:07:11,773 大丈夫か? (草若)「師匠 師匠」て➡ 72 00:07:11,773 --> 00:07:14,159 気色悪いんじゃ! 73 00:07:14,159 --> 00:07:20,165 わしは 弟子やったやつの顔 二度と見とうない! 74 00:07:20,165 --> 00:07:23,165 お前の顔もじゃ! 75 00:07:31,159 --> 00:07:35,096 草々さん! 喜六 つきあえ! お咲さん! 76 00:07:35,096 --> 00:07:38,096 飲ます訳ないやろ! 77 00:07:40,101 --> 00:07:43,104 何で あんな事 言いなるんですか!? 78 00:07:43,104 --> 00:07:46,825 草々さんにとっては 師匠さんが落語なんです! 79 00:07:46,825 --> 00:07:50,161 落語がないと 生きていけんのです! 80 00:07:50,161 --> 00:07:55,166 何を 大層な事 考えてんのか 知らんけど➡ 81 00:07:55,166 --> 00:07:59,604 落語みたいなもんに 必死になって➡ 82 00:07:59,604 --> 00:08:03,625 人生狂わすやつは あほや! 83 00:08:03,625 --> 00:08:18,657 ♬~ 84 00:08:18,657 --> 00:08:22,657 え!? 貸してくれ。 85 00:08:27,165 --> 00:08:30,118 何をですか? 86 00:08:30,118 --> 00:08:33,171 テープ。 え? 87 00:08:33,171 --> 00:08:37,108 師匠の「愛宕山」のテープ。 88 00:08:37,108 --> 00:09:09,107 ♬~ 89 00:09:09,107 --> 00:09:14,162 (ラジカセ・草若) 「え~ 太鼓持ち 男芸者と呼ばれる 商売がありますが➡ 90 00:09:14,162 --> 00:09:17,098 これは 難しい商売でして➡ 91 00:09:17,098 --> 00:09:20,835 男が男のお客の ご機嫌をとらなあきまへん。➡ 92 00:09:20,835 --> 00:09:24,956 ほんに難しい商売です 太鼓持ち。➡ 93 00:09:24,956 --> 00:09:27,175 東京の方では まだ古い方が…」。 94 00:09:27,175 --> 00:09:30,445 (テープを追いかける声) ≪「東京の方では まだ古い方が 何人か いてはるんですが➡ 95 00:09:30,445 --> 00:09:34,099 残念ながら大阪では 全然見かけん ようになってしまいました。➡ 96 00:09:34,099 --> 00:09:37,102 終戦直後には まだ何人か いてはったそうですが」。 97 00:09:37,102 --> 00:09:39,104 草々さん? 98 00:09:39,104 --> 00:09:44,109 「大阪ミナミの太鼓持ち 一八に繁八という2人。➡ 99 00:09:44,109 --> 00:09:48,109 ちょっと ミナミのお茶屋を しくじりまして」。 100 00:09:52,100 --> 00:09:55,600 こないして 稽古つけてくれはったんや。 101 00:09:59,441 --> 00:10:03,161 俺は 中学の時に 師匠に弟子入りした。 102 00:10:03,161 --> 00:10:06,164 中学…。 103 00:10:06,164 --> 00:10:11,119 学校の勉強は嫌いやし 手先も ぶきっちょやし。 104 00:10:11,119 --> 00:10:15,006 そのころは 体も小そうて➡ 105 00:10:15,006 --> 00:10:18,159 何にも でけへんかった。 106 00:10:18,159 --> 00:10:22,659 落語かて ひどいもんやったと思う。 107 00:10:26,668 --> 00:10:33,368 けど 最初の稽古の時 師匠が言うてくれはったんや。 108 00:10:35,944 --> 00:10:41,099 「よう通る声やなあ 大事にしいや。➡ 109 00:10:41,099 --> 00:10:45,120 お前の宝もんや!」。 110 00:10:45,120 --> 00:10:52,010 ♬~ 111 00:10:52,010 --> 00:10:55,764 「お前の宝もんや」って…。 112 00:10:55,764 --> 00:11:08,109 ♬~ 113 00:11:08,109 --> 00:11:11,830 (ノック) 草々さん! 114 00:11:11,830 --> 00:11:15,130 (ノック) 草々さん? 115 00:11:20,171 --> 00:11:23,171 すいません 入りますよ。 116 00:11:38,840 --> 00:11:43,278 どないしましょう! 117 00:11:43,278 --> 00:11:48,333 う~ん あ~! 118 00:11:48,333 --> 00:11:51,002 ちょっと 師匠さん ええんですか!? 119 00:11:51,002 --> 00:11:56,991 ええも何も 俺と草々 もともと 赤の他人や。 120 00:11:56,991 --> 00:12:00,191 どこなと 好きなとこ 行ったらええ。 121 00:12:22,600 --> 00:12:25,103 どこ行ってしもたんやろ? 122 00:12:25,103 --> 00:12:45,156 ♬~ 123 00:12:45,156 --> 00:12:50,161 颯太 大きなったなあ! 124 00:12:50,161 --> 00:12:55,834 (颯太の泣き声) 125 00:12:55,834 --> 00:12:57,836 (草原)どないしたん? 126 00:12:57,836 --> 00:13:03,107 (緑)覚えてへん? よう遊んでもろたやろ。 127 00:13:03,107 --> 00:13:07,095 3年前は まだ 3つでしたから。 な! 128 00:13:07,095 --> 00:13:14,102 それで 草々 どないしたんや? こんな 朝はよから。 129 00:13:14,102 --> 00:13:18,106 草原にいさん それから ねえさん。 130 00:13:18,106 --> 00:13:20,174 え? 131 00:13:20,174 --> 00:13:24,112 しばらくの間 ここに置いてもらえませんか? 132 00:13:24,112 --> 00:13:26,164 え!? 133 00:13:26,164 --> 00:13:29,164 師匠のとこ 出てきました。 134 00:13:31,169 --> 00:13:36,174 え!? あんた まだ おったん? 135 00:13:36,174 --> 00:13:41,112 にいさん 俺に お稽古つけて下さい! 136 00:13:41,112 --> 00:13:43,164 え!? 137 00:13:43,164 --> 00:13:47,168 にいさんに 高座に 戻ってもらう事は諦めました。 138 00:13:47,168 --> 00:13:51,172 けど にいさんは 俺より ぎょうさん➡ 139 00:13:51,172 --> 00:13:56,110 師匠に教わりはったはずです。 それを 教えてほしいんです。 140 00:13:56,110 --> 00:14:00,098 草々 むちゃ言うたらあかんわ。 141 00:14:00,098 --> 00:14:04,102 ほかに 方法がないんです! 142 00:14:04,102 --> 00:14:08,106 すまんけど 今は 話してる暇あらへん。 143 00:14:08,106 --> 00:14:17,098 ♬~ 144 00:14:17,098 --> 00:14:21,102 喜代美ちゃん。 あ…。 145 00:14:21,102 --> 00:14:26,107 草々君 おらんように なってしもたんやてなあ。 146 00:14:26,107 --> 00:14:30,445 知っとってんですか? そら 気ぃつくで。 147 00:14:30,445 --> 00:14:33,097 毎日毎日 聞こえてた稽古の声。 148 00:14:33,097 --> 00:14:35,617 急に のうなってしもたんやさかい。 149 00:14:35,617 --> 00:14:46,110 ♬~ 150 00:14:46,110 --> 00:14:52,166 <草々さんが 稽古をする声が消えて➡ 151 00:14:52,166 --> 00:14:56,666 私の心は ぽっかり 穴があいたようでした> 152 00:15:01,776 --> 00:15:03,761 <そして そのころ…> 153 00:15:03,761 --> 00:15:09,450 お帰りなさい! ≪「瀬を早み」。 154 00:15:09,450 --> 00:15:11,769 <草々さんの落語は➡ 155 00:15:11,769 --> 00:15:16,157 今度は 兄弟子 草原さんの家で 響き渡っていたのでした> 156 00:15:16,157 --> 00:15:18,776 ≪「違う違う。 そんなんと違うねん」。 157 00:15:18,776 --> 00:15:21,162 「そこのお方 え~ あんさん。➡ 158 00:15:21,162 --> 00:15:23,331 えらい 崇徳院さんのお歌が➡ 159 00:15:23,331 --> 00:15:26,031 お好きと見えますな」。 160 00:15:33,992 --> 00:15:35,927 (源太)飯 食わしたってほしい奴 おんねんけど。 161 00:15:35,927 --> 00:15:39,227 始末で苦労してんのや。 162 00:15:45,603 --> 00:15:48,406 (め以子)どうも。 163 00:15:48,406 --> 00:15:50,742 ああ これ 土産。 164 00:15:50,742 --> 00:15:54,612 (師匠)おお おお。 これ 牛の臓物やないか。 ええ? 165 00:15:54,612 --> 00:15:58,082 (お姐さん) どないすんの こんなん。 (師匠)これ 精つきまんねんで。 166 00:15:58,082 --> 00:16:00,418 お入り。